説明

電子機器の取付構造

【課題】ベース部材のねじ穴の径が電子機器の取付孔の径よりも大きい場合においても締結部材により電子機器をベース部材に取り付けることができる電子機器の取付構造を提供する。
【解決手段】締結部材30の締結部材本体50は、軸方向に延びる複数のスリット54によりねじ加工部53を含めた先端側が径方向に変形可能である。ねじ加工部53を縮径した状態でねじ加工部53がマイクロフォトセンサ10の取付孔12を貫通してベース部材40のねじ穴41に挿入され、ピン60が締結部材本体50の内部に嵌入され、締結部材本体50のねじ加工部53が拡径され、ベース部材40のねじ穴41に螺合されている。締結部材本体50の頭部52には、マイナス・スクリュードライバを差し込んで締結部材本体50を回転して締結部材本体50のねじ加工部53をベース部材40のねじ穴41に螺入するための切り欠き部56が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器の取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子機器の取付構造として、締結部材を、電子機器に形成した取付孔を貫通してベース部材に形成したねじ穴に螺入する構成が知られている(例えば特許文献1等)。
具体的には、図9に示すように、センサ等の電子機器100をベース部材110に取付ねじ120により取り付ける場合、電子機器100におけるねじ取付部に取付孔(貫通孔)101が用意されているとともに、取り付けるベース部材110にはねじ穴111が加工されている。そして、取付ねじ120を、電子機器100の取付孔101を通してベース部材110のねじ穴111に螺入することにより電子機器100を取り付ける。
【0003】
その場合、ねじ穴111と取付孔101は取付ねじ120に適したサイズである必要がある。具体的には、例えば、ベース部材110にM3のねじ穴加工を施すとともに、電子機器100においてM3のねじ取付部に、径が3.5mmの取付孔101を形成しておく。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−179990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、既に取り付いていた電子機器100を別の電子機器に置き換える際、取付孔101の径が異なる場合がある。
例えば、図9に示すように、M3の取付ねじ120で電子機器100を取り付けていたが、図10に示すように、置換する電子機器200のねじ取付部の取付孔201がM2のものを選定する場合等である。即ち、図10の場合、径が2.5mmの取付孔(貫通孔)201が形成されている。
【0006】
この場合、M3のねじでは取り付けられないため、やむを得ず「M3ねじ取り付け可能な電子機器を再選定」するか、「取付位置を変更してM2ねじ加工をベース部材110に施し取り付ける」必要があり、選定や取付位置の変更などに配慮しなくてはならない。
【0007】
具体的には、取り付けるベース部材110にM3のねじ穴が加工され、電子機器としてM2のねじ取付部(φ=2.5mmの貫通孔)を有する場合、取り付けができない。そのため、M3のねじが通る電子機器を再選定する、あるいは、取付位置の変更が必要であった。
【0008】
本発明の目的は、ベース部材のねじ穴の径が電子機器の取付孔の径よりも大きい場合においても締結部材により電子機器をベース部材に取り付けることができる電子機器の取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明では、締結部材の軸部が電子機器に形成した取付孔を貫通して前記軸部に形成したねじ加工部をベース部材に形成したねじ穴に螺入することにより前記電子機器が前記締結部材の頭部と前記ベース部材との間に締め付けられた電子機器の取付構造において、前記締結部材は、円筒状の締結部材本体と、棒状のピンとを備え、前記締結部材本体は、円筒軸部の先端部にねじ加工部を有するとともに、円筒軸部における頭部の根元から前記ねじ加工部までの長さが前記取付孔の長さよりも長く、軸方向に延びる複数のスリットにより前記ねじ加工部を含めた先端側が径方向に変形可能であり、前記ねじ加工部を縮径した状態で前記ねじ加工部が前記電子機器の取付孔を貫通して前記ベース部材のねじ穴に挿入され、前記ピンが前記締結部材本体の内部に嵌入されて前記ピンにより前記締結部材本体のねじ加工部が拡径され、前記ねじ加工部が前記ベース部材のねじ穴に螺合され、前記締結部材本体の頭部または前記ピンには、前記締結部材本体を回転して前記締結部材本体のねじ加工部を前記ベース部材のねじ穴に螺入するための部位を有することを要旨とする。
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、締結部材本体は、円筒軸部の先端部にねじ加工部を有するとともに、円筒軸部における頭部の根元からねじ加工部までの長さが取付孔の長さよりも長く、軸方向に延びる複数のスリットによりねじ加工部を含めた先端側が径方向に変形可能であり、ねじ加工部を縮径した状態でねじ加工部が電子機器の取付孔を貫通してベース部材のねじ穴に挿入されている。
【0011】
ピンが締結部材本体の内部に嵌入されてピンにより締結部材本体のねじ加工部が拡径され、ねじ加工部がベース部材のねじ穴に螺合されている。締結部材本体の頭部またはピンにおいて、締結部材本体を回転して締結部材本体のねじ加工部をベース部材のねじ穴に螺入するための部位を有するので、締結部材本体が回転されて締結部材本体のねじ加工部がベース部材のねじ穴に螺入される。
【0012】
このようにして、締結部材本体のねじ加工部を縮径することにより、電子機器の取付孔を通すことができ、ベース部材のねじ穴へ締結部材本体のねじ加工部を到達させることができる。また、ピンを締結部材本体の内部に嵌入することにより締結部材本体のねじ加工部が拡径されてベース部材のねじ穴に螺合する。そして、締結部材本体が回転されて締結部材本体のねじ加工部がベース部材のねじ穴に螺入される。その結果、ベース部材のねじ穴が電子機器の取付孔よりも大きい場合においても締結部材により電子機器をベース部材に取り付けることができる。
【0013】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の電子機器の取付構造において、前記螺入するための部位は、工具を差し込んで前記締結部材本体を回転して前記締結部材本体のねじ加工部を前記ベース部材のねじ穴に螺入するための切り欠き部であることを要旨とする。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、切り欠き部に工具を差し込んで締結部材本体を回転して締結部材本体のねじ加工部をベース部材のねじ穴に螺入することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の電子機器の取付構造において、前記ピンおよび前記締結部材本体の一方に設けられた突起が、他方に設けられた嵌合部に嵌まることにより前記ピンが、締結された状態で前記締結部材本体に支持されていることを要旨とする。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、ピンおよび締結部材本体の一方に設けられた突起が、他方に設けられた嵌合部に嵌まることによりピンが、締結された状態で締結部材本体に支持され、これにより、ピンの抜けが防止できる。
【0016】
請求項4に記載のように、請求項3に記載の電子機器の取付構造において、前記突起は前記ピンに設けられ、前記嵌合部は締結部材本体に設けられているとよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ベース部材のねじ穴の径が電子機器の取付孔の径よりも大きい場合においても締結部材により電子機器をベース部材に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施形態におけるパレットの位置決めシステムを示す斜視図。
【図2】(a)は実施形態におけるセンサの取付構造を示す平面図、(b)はセンサの取付構造を示す一部断面図。
【図3】実施形態におけるセンサの取付構造を示す分解図。
【図4】(a)は図2(a)のA−A線での断面図、(b)は図2(a)のB−B線での断面図。
【図5】(a)は締結部材の斜視図、(b)は締結部材の下面図(図5(a)のC矢視図)。
【図6】締結部材本体の斜視図。
【図7】ピンの斜視図。
【図8】(a),(b)は実施形態におけるセンサの取付構造を示す一部断面図。
【図9】一般的なセンサの取付構造を示す分解図。
【図10】センサの取付を説明するための分解図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面にしたがって説明する。
図1に示すように、本実施形態においては、電子機器の取付構造は、電子機器としてのマイクロフォトセンサ10の取付構造に適用している。
【0020】
図1において、パレット20の位置決めシステムにおいて、搬送ベルト21,22によりパレット20が搬送され、パレット20の側面にはドグ23が設けられている。コの字型マイクロフォトセンサ10によりドグ23を検出してパレット20を停止させるようになっている。
【0021】
マイクロフォトセンサ10は、取付用プレート部11を備えている。図2,3に示すように、取付用プレート部11には取付孔12が形成されている。取付孔12は円形の貫通孔である。マイクロフォトセンサ10の取付用プレート部11はベース部材40の上面に配置される。ベース部材40には、ねじ穴41がベース部材40の上面に開口するように形成されている。
【0022】
図1に示すように、締結部材30によりマイクロフォトセンサ10がベース部材40にねじ締め固定されている。つまり、図2,3に示すように、締結部材30の軸部(円筒軸部51)が、マイクロフォトセンサ10の取付孔12を貫通して軸部(円筒軸部51)に形成したねじ加工部53を、ベース部材40のねじ穴41に螺入することにより、マイクロフォトセンサ10が締結部材30の頭部52とベース部材40との間に締め付けられている。本実施形態の電子機器の取付構造においては、締結部材30は、図3に示すように、円筒状の締結部材本体50と、棒状のピン60を備えている。
【0023】
図3に示すように、ベース部材40に形成されたねじ穴41はM3の雌ねじであり、谷の径は3.0mmである。一方、マイクロフォトセンサ10の取付用プレート部11に形成された取付孔12は、M2の雄ねじ(外径が2.0mm)が通過可能である。具体的には、取付孔12は直径が2.5mmである。
【0024】
図5に示すように、締結部材30における締結部材本体50は、上下方向に延びる円筒形状をなし、その内部には棒状のピン60が嵌挿できるようになっている。
詳しくは、締結部材本体50は、上下方向に延びる円筒軸部51を有し、円筒軸部51における上端には、円筒軸部51に対し拡径された頭部52が形成されている。円筒軸部51の外径は取付孔12の内径よりも若干小さくなっており、円筒軸部51は取付孔12を挿通可能である。また、円筒軸部51における下端部にはねじ加工部53が形成されている。図2に示すように、ねじ加工部53はM3の雄ねじであり、外径が、ピン60を締結部材本体50に嵌入した状態において3.0mmである。円筒軸部51における頭部52の根元からねじ加工部53までの長さL1は、取付孔12の長さL2よりも長くなっている。
【0025】
円筒軸部51の下端側には、軸方向に延びる4つのスリット54(図5(b)参照)が形成されている。4つのスリット54は、90度毎に形成されている。この4つのスリット54により、円筒軸部51におけるねじ加工部53を含めた先端側は径方向に変形可能であり、ピン60を締結部材本体50に挿入する前の状態では、図3,6に示すように、ねじ加工部53が取付孔12を貫通することができるように縮径されている。
【0026】
このようにして、締結部材本体50は、円筒軸部51の先端部にねじ加工部53を有するとともに、軸方向に延びる複数のスリット54によりねじ加工部53を含めた先端側が径方向に変形可能である。そして、図8(a)に示すように、ねじ加工部53を縮径した状態でねじ加工部53がマイクロフォトセンサ10の取付孔12を貫通してベース部材40のねじ穴41に挿入される。
【0027】
図6に示すように、締結部材本体50の頭部52の中央部には、上面に開口する凹部55が形成されている。凹部55は平面視において円形に形成されている。この凹部55内に、ピン60の鍔部62が嵌入されることになる。
【0028】
図7に示すように、ピン60は、上下方向に延びる円柱部61を有し、円柱部61の外径は、円筒状の締結部材本体50の内径よりも若干小さくなっている。そして、図8(a)の状態から、図8(b)に示すように、ピン60の円柱部61が締結部材本体50の内部に嵌入されている。このピン60により締結部材本体50のねじ加工部53が拡径され、ねじ加工部53がベース部材40のねじ穴41に螺合される。
【0029】
このようにマイクロフォトセンサ10の取付孔12に円筒軸部51が挿入されるとともにねじ加工部53がベース部材40のねじ穴41へ仮固定可能となっている。
図6に示すように、締結部材本体50の頭部52の上面には、工具としてのマイナス・スクリュードライバ70の先端部が差し込まれる切り欠き部56が180度ごとに形成されている。
【0030】
また、図3,7に示すように、ピン60の円柱部61の上端には、円柱部61に対し拡径された鍔部62が形成されている。鍔部62の外径は締結部材本体50の凹部55の内径よりも若干小さくなっている。ピン60の鍔部62は、図4に示すように、締結部材本体50の頭部52の凹部55に嵌入され、この状態において、切り欠き部56にマイナス・スクリュードライバ70の先端部を挿入することができるようになっている。そして、図8(b)の状態から、締結部材本体50の切り欠き部56に、マイナス・スクリュードライバ70の先端部を差し込んで、マイナス・スクリュードライバ70により締結部材本体50を回転することができる。これにより、図2に示すように、締結部材本体50のねじ加工部53がベース部材40のねじ穴41に螺入されている。即ち、ピン60の円柱部61を締結部材本体50へ挿入して締結部材本体50の円筒軸部51の先端が内径側にしならないように固定した状態で締結部材本体50をマイナス・スクリュードライバ70で回転して締め付けを行い締結している。
【0031】
また、図3,7に示すように、ピン60の鍔部62の外周面には二箇所にわたり突起63が180度離間した位置に設けられている。突起63の外径寸法は締結部材本体50の頭部52の凹部55の内径寸法よりも大きくなっている。よって、ピン60を締結部材本体50に挿入する際に、ピン60の鍔部62が締結部材本体50の頭部52の凹部55内に嵌入されるが、このとき、ピン60の突起63を締結部材本体50の凹部55内に押し込んでいく(圧入する)。一方、図6に示すように、締結部材本体50の頭部52にはピン60の突起63が嵌合する嵌合部(嵌合孔)57が設けられている。よって、ピン60の突起63を締結部材本体50の凹部55内に押し込んでいき(圧入して)、ピン60の突起63が締結部材本体50の嵌合部57に嵌合する。これにより、ピン60の抜けが防止される。
【0032】
また、図3,7に示すように、ピン60の突起63の下面には斜状面63aが形成されるとともに、図6に示すように、締結部材本体50の頭部52の凹部55の内方側の角部も斜状面55aが形成されている。よって、ピン60の突起63の斜状面63aが、締結部材本体50の頭部52の凹部55の斜状面55aに当接してピン60の突起63が締結部材本体50に対しスムーズに摺動できるようになっている。これにより、ピン60の突起63を締結部材本体50の嵌合部57に容易に嵌合することができる。
【0033】
このように、ピン60は、締結された状態で、抜け止め機構により締結部材本体50に支持されている。抜け止め機構は、ピン60および締結部材本体50の一方に設けた突起63と、他方に設けられ突起63が嵌まる嵌合部57である。突起63はピン60に設けられ、嵌合部57は締結部材本体50に設けられている。
【0034】
次に、このように構成したマイクロフォトセンサ10の組付構造の作用について説明する。
組み付け手順としては、まず、ベース部材40とマイクロフォトセンサ10を用意する、ベース部材40には、3Mのねじ穴41が形成されている。また、マイクロフォトセンサ10の取付用プレート部11には取付孔12が形成されている。取付孔12はM2ねじ用であり、径は2.5mmである。つまり、M3のねじを通すためには取付孔12の径が3.0mm以上(例えば3.5mm)である必要があるが、径が3.0mmよりも小さなM2ねじ用の取付孔12が形成されている。
【0035】
締結部材本体50の円筒軸部51は軸方向に延びる4つのスリット54によりねじ加工部53は縮径されている。よって、図8(a)に示すように、円筒軸部51のねじ加工部53をマイクロフォトセンサ10の取付用プレート部11の取付孔12を通してベース部材40のねじ穴41に挿入する。
【0036】
引き続き、締結部材本体50の内部にピン60の円柱部61を挿入する。これにより、図8(b)に示すように、ピン60の円柱部61により締結部材本体50のねじ加工部53が外径側に広がり、ベース部材40のねじ穴41と螺合する。
【0037】
このようにピン60の円柱部61を締結部材本体50の内部に挿入して締結部材本体50の円筒軸部51の先端が内径側にしならないように固定する。
さらに、この状態で締結部材本体50の頭部52の切り欠き部56にマイナス・スクリュードライバ70の先端部を差し込んで締結部材本体50を回転して締め付けを行い、図2に示すように締結する。
【0038】
次に、マイクロフォトセンサ10の組付構造におけるセンサの互換性について説明する。
図9に示すごとく既に取り付いていた電子機器(マイクロフォトセンサ)100を、図10に示すごとく、別の電子機器(マイクロフォトセンサ)200に置き換える際について考える。
【0039】
図10に示したごとく取付孔201の径が異なる場合がある。具体的には、図9ではM3の取付ねじ120でセンサを取り付けていたが、図10に示すように、置換する電子機器(マイクロフォトセンサ)の取付孔201がM2のものを選定する場合等である。即ち、径が2.5mmの取付孔201が形成されている。
【0040】
図10の場合、マイクロフォトセンサを取り付ける際、取り付けるベース部材110に加工されたねじ穴111がセンサの取付孔201よりも大きく、通常のねじでは取り付け不可能である。
【0041】
従って、従来、M3のねじでは取り付けられないため、やむを得ず「M3ねじ取り付け可能なセンサを再選定」するか、「取付位置を変更してM2ねじ加工をベース部材110へ施し取り付ける」必要があり、選定や取付位置の変更などに配慮しなくてはならなかった。本実施形態では、これを回避して通常のねじでは取り付け不可能な場合においても追加工不要で容易に取り付けを可能とすることができる。
【0042】
このように本実施形態では、締結部材30の軸部のねじ加工部53が縮径された状態となることにより(しなることにより)、マイクロフォトセンサの取付孔(貫通孔)12を通すことが可能となり、ベース部材40のねじ穴41へ締結部材30の軸部のねじ加工部53を到達させることが可能となる。また、ピン60を挿入することにより、締結部材30のねじ加工部53の外面がベース部材40のねじ穴41の内面へ嵌合することになり、従来のように何回もねじを回転する必要は無くなる。また、ピン60を締結部材本体50に挿入した状態において、締結部材本体50の頭部52に形成した切り欠き部56にマイナス・スクリュードライバ70を差し込んで締結部材本体50を回転することができる(増締めすることができる)。よって、例えば、若干の締結後に緩みが発生しても再度締め付けることができる。
【0043】
このように本実施形態のセンサの取付構造においては既に取り付いていたセンサを別のセンサに置き換える際に取付穴が異なっていてもセンサをベース部材40に取り付けることができる互換性のある構成となっている。
【0044】
以上のごとく本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)電子機器としてのセンサの取付構造として、締結部材30は、円筒状の締結部材本体50と、棒状のピン60とを備えている。締結部材本体50は、円筒軸部51の先端部にねじ加工部53を有するとともに、円筒軸部51における頭部52の根元からねじ加工部53までの長さL1が取付孔12の長さL2よりも長く、軸方向に延びる複数のスリット54によりねじ加工部53を含めた先端側が径方向に変形可能である。そして、ねじ加工部53を縮径した状態でねじ加工部53がマイクロフォトセンサ10の取付孔12を貫通してベース部材40のねじ穴41に挿入される。ピン60が、締結部材本体50の内部に嵌入されてピン60により締結部材本体50のねじ加工部53が拡径され、ベース部材40のねじ穴41に螺合されている。締結部材本体50の頭部52には、締結部材本体50を回転して締結部材本体50のねじ加工部53をベース部材40のねじ穴41に螺入するための部位としての切り欠き部56を有する。即ち、螺入するための部位は、工具としてのマイナス・スクリュードライバ70を差し込んで締結部材本体50を回転して締結部材本体50のねじ加工部53をベース部材40のねじ穴41に螺入するための切り欠き部56である。
【0045】
これにより、マイクロフォトセンサ10を取り付ける際、取り付けるベース部材40に加工されたねじ穴41の径がマイクロフォトセンサ10の取付孔12の径よりも大きく、通常のねじでは取り付け不可能な場合においても追加工不要で容易に取り付けを可能とすることができる。即ち、ベース部材40のねじ穴41の径が電子機器としてのマイクロフォトセンサ10の取付孔12の径よりも大きい場合においても締結部材30によりマイクロフォトセンサ10をベース部材40に取り付けることができる。
【0046】
また、従来のように何回もねじを回転する必要は無くなる。さらに、締結部材30の頭部52にスクリュードライバを差し込み可能な切り欠き部56が形成されているので、締結部材30を回転することにより締結部材30のねじ加工部53をベース部材40のねじ穴41に螺入して締め付けることができる。
【0047】
(2)ピン60および締結部材本体50の一方に設けられた突起63が、他方に設けられた嵌合部57に嵌まることによりピン60が、締結された状態で締結部材本体50に支持されている。詳しくは、突起63はピン60に設けられ、嵌合部57は締結部材本体50に設けられている。よって、ピン60の抜けが防止できる。
【0048】
なお、本実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、締結部材本体50の頭部52に工具としてのマイナス・スクリュードライバ70を差し込むことができる切り欠き部56が形成したが、これに代わり、工具としてのプラス・スクリュードライバを差し込むことができる切り欠き部を形成してもよい。
【0049】
・さらに、締結部材本体50の頭部52の外形を六角形等のボルト頭形状にして工具(例えばレンチ)により締結部材本体50を回転するようにしてもよい。
・また、締結部材本体50の頭部52に六角穴を形成して六角穴付きボルト頭形状にして工具(例えば六角棒スパナ)により締結部材本体50を回転するようにしてもよい。
【0050】
・締結部材本体50の頭部52に翼を設けちょうボルト形状にして手で締結部材本体50を回転するようにしてもよい。
・ピン60の鍔部62に翼を設けちょうボルト形状にして手で締結部材本体50を回転するようにしてもよい。
【0051】
このように各種の構造にて締結部材本体50の頭部52またはピン60に、締結部材本体50を回転して締結部材本体50のねじ加工部53をベース部材40のねじ穴41に螺入するための部位を有する構成とすることができる。
【0052】
・締結部材本体50における円筒軸部51に形成するスリット54の数は「4」であったが、これに限ることなく、スリットの数は、例えば「3」であっても「5」以上であってもよい。
【0053】
・ピン60は丸棒以外にも、断面が正方形等の角棒であってもよい。
・締結部材本体50のねじ加工部53におけるねじ山の数は任意である。
・締結部材本体50のねじ加工部53におけるねじ山の形状は任意であり、例えば、三角ねじ等であってもよい。
【0054】
・抜け止め機構として、ピン60に突起63に設けるとともに締結部材本体50に嵌合部57を設けたが、締結部材本体50に突起63に設けるとともにピン60に嵌合部57を設けてもよい。
【0055】
・ねじ穴41はベース部材40の上面に開口する凹部であったが、ベース部材40を貫通していてもよい。
・上記実施形態では、電子機器としてのマイクロフォトセンサ10の取付構造に適用したが、これに限ることなく、例えば、電子機器はマイクロフォトセンサ以外のセンサであってもよい。
【0056】
・上記実施形態では、電子機器としてのセンサの取付構造に適用したが、これに限ることなく、本願の取付構造を有する電子機器であれば静電気対策機器、表示器といったセンサ以外の電子機器であってもよい。
【符号の説明】
【0057】
10…マイクロフォトセンサ、12…取付孔、30…締結部材、40…ベース部材、41…ねじ穴、50…締結部材本体、51…円筒軸部、52…頭部、53…ねじ加工部、54…スリット、56…切り欠き部、57…嵌合部、60…ピン、63…突起、70…マイナス・スクリュードライバ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
締結部材の軸部が電子機器に形成した取付孔を貫通して前記軸部に形成したねじ加工部をベース部材に形成したねじ穴に螺入することにより前記電子機器が前記締結部材の頭部と前記ベース部材との間に締め付けられた電子機器の取付構造において、
前記締結部材は、円筒状の締結部材本体と、棒状のピンとを備え、
前記締結部材本体は、円筒軸部の先端部にねじ加工部を有するとともに、円筒軸部における頭部の根元から前記ねじ加工部までの長さが前記取付孔の長さよりも長く、軸方向に延びる複数のスリットにより前記ねじ加工部を含めた先端側が径方向に変形可能であり、前記ねじ加工部を縮径した状態で前記ねじ加工部が前記電子機器の取付孔を貫通して前記ベース部材のねじ穴に挿入され、
前記ピンが前記締結部材本体の内部に嵌入されて前記ピンにより前記締結部材本体のねじ加工部が拡径され、前記ねじ加工部が前記ベース部材のねじ穴に螺合され、
前記締結部材本体の頭部または前記ピンには、前記締結部材本体を回転して前記締結部材本体のねじ加工部を前記ベース部材のねじ穴に螺入するための部位を有することを特徴とする電子機器の取付構造。
【請求項2】
前記螺入するための部位は、工具を差し込んで前記締結部材本体を回転して前記締結部材本体のねじ加工部を前記ベース部材のねじ穴に螺入するための切り欠き部であることを特徴とする請求項1に記載の電子機器の取付構造。
【請求項3】
前記ピンおよび前記締結部材本体の一方に設けられた突起が、他方に設けられた嵌合部に嵌まることにより前記ピンが、締結された状態で前記締結部材本体に支持されていることを特徴とする請求項1または2に記載の電子機器の取付構造。
【請求項4】
前記突起は前記ピンに設けられ、前記嵌合部は締結部材本体に設けられていることを特徴とする請求項3に記載の電子機器の取付構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2013−29162(P2013−29162A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−165813(P2011−165813)
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(000106221)パナソニック デバイスSUNX株式会社 (578)
【Fターム(参考)】