説明

電子機器及びプログラム

【課題】個々の制御パラメータ毎にその更新の最適化を可能とする。
【解決手段】画像形成装置制御部の不揮発メモリに記憶され、制御処理の実行時に参照されると共に値を変更することも可能な複数の制御パラメータに対し、個々の制御パラメータ毎に、その内容や特性に応じた最適な更新条件が複数種の更新条件((A)〜(E)に一例を示す)の中から予め選択・設定すると共に、更新参照値を必要とする更新条件が適用される制御パラメータについては、最適な更新参照値も予め設定する。制御プログラムのバージョンアップ時には、個々の制御パラメータに対し、個々の制御パラメータ毎の更新条件に基づいて更新の可否が判定され、更新可と判定した制御パラメータが初期値へ書き換えられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子機器及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置等の電子機器では、不揮発性の記憶部に制御プログラムと共に各種の制御パラメータが記憶されており、電子機器の稼働中は制御プログラムが実行されることで各種制御が行われるが、これらの制御では、記憶部に記憶されている個々の制御パラメータを参照し、個々の制御パラメータの値に応じて制御内容を切り替えている。また、新たなバージョンの制御プログラムが開発された場合、外部機器から電子機器へ新たなバージョンの制御プログラムが転送され、記憶部に記憶されている制御プログラムが新たなバージョンのプログラムに書き換えられることで、制御プログラムのバージョンアップが行われるが、外部機器から電子機器へ転送される制御プログラムには各制御パラメータの初期値も含まれており、制御プログラムのバージョンアップ時には記憶部に記憶されている複数の制御パラメータも全て初期値へ更新されることが一般的であった。
【0003】
上記に関連して特許文献1には、制御パラメータの自動更新時に、更新前の規定の初期値から外れた設定値を有する制御パラメータを識別し、該当する制御パラメータについては非更新とする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−277225号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、制御パラメータの更新を個々の制御パラメータ毎に最適化することが可能な電子機器及びプログラムを得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために請求項1記載の発明に係る電子機器は、稼働中に各々参照され値の変更が可能な複数の制御パラメータを記憶する第1記憶手段と、個々の前記制御パラメータ毎に設定された更新条件を各々記憶する第2記憶手段と、前記第2記憶手段に記憶されている特定の制御パラメータの更新条件に基づいて前記特定の制御パラメータを更新するか否か判定し、前記特定の制御パラメータを更新すると判定した場合にのみ、前記第1記憶手段に記憶されている特定の制御パラメータを更新する条件付き更新処理を、前記複数の制御パラメータについて各々行う更新手段と、を含んで構成されている。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記第2記憶手段は、個々の前記制御パラメータ毎に設定された初期値も記憶し、前記更新手段は、前記特定の制御パラメータを更新すると判定した場合に、前記第1記憶手段に記憶されている特定の制御パラメータを、前記第2記憶手段に記憶されている初期値へ更新する。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明において、強制初期化を指示するための指示手段を更に備え、前記更新手段は、前記指示手段を介して前記強制初期化が指示された場合には、前記第1記憶手段に記憶されている全ての制御パラメータを、前記第2記憶手段に記憶されている対応する初期値へ各々更新する。
【0009】
請求項4記載の発明は、請求項1〜請求項3の何れかに記載の発明において、前記第1記憶手段は、稼働中に実行される制御プログラムも記憶すると共に、外部機器から新たな前記制御プログラムが受信される毎に、受信された新たな制御プログラムをそれ迄記憶していた制御プログラムに代えて記憶し、前記第2記憶手段は、前記外部機器から前記新たな前記制御プログラムと共に新たな前記更新条件が受信される毎に、受信された新たな前記更新条件をそれ迄記憶していた更新条件に代えて記憶し、前記更新手段は、前記第2記憶手段に新たな前記更新条件が記憶された後に最初に電源が投入された際にのみ前記条件付き更新処理を前記複数の制御パラメータについて各々行う。
【0010】
請求項5記載の発明は、請求項1〜請求項4の何れかに記載の発明において、第3記憶手段に記憶され前記電子機器の状態に応じて更新される状態パラメータが予め定められた値になった場合、又は、前記電子機器に予め定められた事象が発生したことが検知された場合、又は、前記電子機器の部品が交換された場合に、前記第2記憶手段に記憶されている特定の制御パラメータの前記更新条件を変更する変更手段を更に備えている。
【0011】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の発明において、前記特定の制御パラメータの前記更新条件は、当該更新条件を規定し制御パラメータを更新するか否かを判定する際に参照される更新参照値を含んで構成されており、前記変更手段は、前記更新参照値を予め定められた値へ変更することで前記更新条件の変更を行う。
【0012】
請求項7記載の発明は、請求項5記載の発明において、前記更新手段は、前記第2記憶手段に記憶されている特定の制御パラメータの前記更新条件が前記変更手段によって変更された場合に、前記特定の制御パラメータについてのみ前記条件付き更新処理を行う。
【0013】
請求項8記載の発明に係るプログラムは、コンピュータを内蔵し、稼働中に各々参照され値の変更が可能な複数の制御パラメータを記憶する第1記憶手段、及び、個々の前記制御パラメータ毎に設定された更新条件を各々記憶する第2記憶手段を備えた電子機器の前記コンピュータを、前記第2記憶手段に記憶されている特定の制御パラメータの更新条件に基づいて前記特定の制御パラメータを更新するか否か判定し、前記特定の制御パラメータを更新すると判定した場合に、前記第1記憶手段に記憶されている特定の制御パラメータを更新する条件付き更新処理を、前記複数の制御パラメータについて各々行う更新手段として機能させる。
【0014】
請求項9記載の発明に係るプログラムは、コンピュータを内蔵し、稼働中に各々参照され値の変更が可能な複数の制御パラメータを記憶する第1記憶手段、及び、個々の前記制御パラメータ毎に設定された更新条件を各々記憶する第2記憶手段を備えた電子機器の前記コンピュータを、請求項1〜請求項7の何れか1項記載の各手段として機能させる。
【発明の効果】
【0015】
請求項1,8,9記載の発明は、本構成を有しない場合と比較して、制御パラメータの更新を個々の制御パラメータ毎に最適化することが可能になる、という効果を有する。
【0016】
請求項3記載の発明は、本構成を有しない場合と比較して、全ての制御パラメータを強制的に初期値へ更新させることを容易に実現できる、という効果を有する。
【0017】
請求項4記載の発明は、本構成を有しない場合と比較して、電子機器の電源投入時の起動時間を短縮することができる、という効果を有する。
【0018】
請求項5記載の発明は、本構成を有しない場合と比較して、電子機器の状態の変化、又は、電子機器における予め定められた事象の発生の有無、又は、電子機器の部品交換の有無に応じて、特定の制御パラメータの更新を最適化することが可能になる、という効果を有する。
【0019】
請求項7記載の発明は、本構成を有しない場合と比較して、更新条件が変更された制御パラメータに対して早期に条件付き更新処理を行うことができる、という効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第1実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態に係る制御プログラム更新処理を示すフローチャートである。
【図3】第1実施形態に係る強制初期化処理を示すフローチャートである。
【図4】第1実施形態に係る条件付き更新処理を示すフローチャートである。
【図5】更新条件の一例を示す概略図である。
【図6】第2実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示すブロック図である。
【図7】更新条件変更の条件の一例を示す概略図である。
【図8】第2実施形態に係る制御プログラム更新処理を示すフローチャートである。
【図9】第2実施形態に係る強制初期化処理を示すフローチャートである。
【図10】第2実施形態に係る更新条件変更処理を示すフローチャートである。
【図11】第2実施形態に係る条件付き更新処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。
【0022】
〔第1実施形態〕
図1には本実施形態に係る画像形成装置10が示されている。画像形成装置10は本発明に係る電子機器に対応しており、感光体を帯電させ、用紙に記録すべき画像に応じて感光体を露光することで前記画像の静電潜像を形成し、静電潜像を現像することでトナー像を形成し、形成したトナー像を用紙に転写して定着させる、という公知の電子写真プロセスによって用紙上に画像を形成する画像形成部12と、原稿に記録された画像を光電的に読み取り前記画像を表す画像データを出力するスキャナ14と、LCD等から成り各種の情報を表示可能なディスプレイ及びテンキー等のキーボードを含むコントロールパネル16を備えている。画像形成部12、スキャナ14及びコントロールパネル16は画像形成装置制御部18に接続されており、画像形成装置制御部18は第1通信I/F(インタフェース)部28及び第2通信I/F部30に接続されている。
【0023】
画像形成装置制御部18はCPU20、メモリ22、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)等から成る第1不揮発メモリ24、及び、フラッシュメモリ等から成る第2不揮発メモリ26を含んで構成されており、第1不揮発メモリ24には、画像形成装置10の各部の動作を制御する等の処理をCPU20によって行うための制御プログラムの記憶領域が設けられている。画像形成装置制御部18は、第1不揮発メモリ24に記憶されている制御プログラムがCPU20Aによって実行されることで、利用者によってコントロールパネル16が操作されたり、第1通信I/F部28と通信回線(例えばLAN)を介して接続されたコンピュータ(図1ではこのコンピュータの一例としてPC(Personal Computer)32を示す)が利用者によって操作されることで用紙への画像の記録(印刷)が指示された場合に、スキャナ14から出力された画像データが表す画像、或いは通信回線を介してコンピュータから受信した画像データが表す画像を用紙に記録する画像記録処理を画像形成部12によって行わせる制御処理が行われる。
【0024】
また、第2不揮発メモリ26には各種の制御パラメータを記憶するための記憶領域が設けられており、上記の制御処理では、第2不揮発メモリ26に記憶されている各種の制御パラメータのうち、実行中の制御に関連する制御パラメータが参照され、参照した制御パラメータの値に応じた制御が行われる。例えば、第2不揮発メモリ26に記憶されている制御パラメータには、「画像の書き出しタイミング」を規定するパラメータや「用紙の給紙タイミング」を規定するパラメータが含まれているが、これらのパラメータは画像形成部12における画像形成時に参照され、これらのパラメータに応じて画像の書き出しタイミングや用紙の給紙タイミングが制御されることで、用紙上の画像の形成位置が適切な位置へ調整される。また制御パラメータには、例えば「感光体の帯電電圧」を規定するパラメータや「現像バイアス電圧」を規定するパラメータ等も含まれており、これらのパラメータも画像形成部12における画像形成時に参照され、感光体の帯電電圧や現像バイアス電圧が制御される。
【0025】
また、第1不揮発メモリ24には、個々の制御パラメータの初期値を表す初期値情報を記憶するための記憶領域が設けられており、画像形成装置10が設置されて稼働を開始する際には、個々の制御パラメータとして、上記の記憶領域に記憶された初期値が設定されている。また制御パラメータの中には、例えばオペレータ(例えばサービス・エンジニア)がコントロールパネル16を操作する等によって値を変更可能なパラメータが含まれている。例えば「画像の書き出しタイミング」や「用紙の給紙タイミング」については、用紙上の適切な位置に画像を形成させるための最適値が製造誤差や経時変化の影響を受けて徐々に変化するので、これらを規定するパラメータについてはオペレータによる操作等によって適宜変更設定される。
【0026】
更に、第1不揮発メモリ24には制御パラメータの更新条件を表す更新条件情報を記憶するための記憶領域が設けられており、第2不揮発メモリ26には上記の更新条件に基づいて制御パラメータを更新するか否かを判定する際に参照される更新参照値を表す更新参照値情報を記憶するための記憶領域が設けられている。なお、これらの記憶領域に記憶される更新条件情報や更新参照値情報については後述する。
【0027】
なお、本第1実施形態において、第2不揮発メモリ26は本発明に係る第1記憶手段に、第1不揮発メモリ24は本発明に係る第2記憶手段(より詳しくは請求項2,4に記載の第2記憶手段)に各々対応している。
【0028】
次に本第1実施形態の作用として、画像形成装置10の制御プログラムを新たなバージョンへ更新する場合の各処理について順に説明する。画像形成装置10の制御プログラムは、新たな機能の追加やバグ修正等の必要が生ずる度に新たなバージョンのプログラムが開発される。新たなバージョンの制御プログラムが開発され、第1不揮発メモリ24に記憶されている制御プログラムを新たなバージョンへ更新する場合には、制御プログラム(この制御プログラムには後述する更新プログラムも含まれる)や、更新条件情報、更新参照値情報、初期値情報、セットアップ・プログラムを含む情報群がオペレータの指示によって外部コンピュータから画像形成装置10へ転送され、転送された情報群はメモリ22に一旦記憶される。なお、画像形成装置10へ上記の情報群を転送する外部コンピュータとしては、例えばオペレータの接続操作により、第2通信I/F部30と通信ケーブル(例えばUSBケーブル)を介して接続されるメンテナンス用PC34が好適であるが、他のコンピュータ(例えばインターネット上のサーバ・コンピュータ)であってもよい。
【0029】
続いてオペレータは、メモリ22に記憶された情報群に含まれるセットアップ・プログラムの実行を指示する。これにより、画像形成装置制御部18のCPU20により、図2に示す制御プログラム更新処理が行われる。この制御プログラム更新処理では、まずステップ50において、外部コンピュータから転送されてメモリ22に記憶された情報群に含まれる新たなバージョンの制御プログラムを、第1不揮発メモリ24の制御プログラム記憶領域に既に記憶されている制御プログラムに上書きして記憶させる。またステップ52では、メモリ22に記憶された情報群に含まれる制御パラメータの更新条件情報を、第1不揮発メモリ24の更新条件記憶領域に既に記憶されている更新条件情報に上書きして記憶させると共に、メモリ22に記憶された情報群に含まれる制御パラメータの初期値情報を、第1不揮発メモリ24の初期値記憶領域に既に記憶されている初期値情報に上書きして記憶させる。
【0030】
次のステップ54では、メモリ22に記憶された情報群に含まれる更新参照値情報を、第2不揮発メモリ26の更新参照値記憶領域に既に記憶されている更新参照値情報に上書きして記憶させる。そしてステップ56では、第2不揮発メモリ26の条件付き更新フラグの記憶領域に1を設定し、制御プログラム更新処理を終了する。なお、上記の条件付き更新フラグは、画像形成装置10の電源が次回投入されて画像形成装置10が起動される際に、後述する条件付き更新処理を行うか否かを表すフラグであり、上記のように制御プログラム更新処理で条件付き更新フラグに1が設定されることで、第1不揮発メモリ24に記憶されている制御プログラムが新たなバージョンの制御プログラムへ更新された後の画像形成装置10の初回の起動時に条件付き更新処理が行われることになる。
【0031】
一方、本実施形態に係る画像形成装置10は、オペレータがコントロールパネル16を操作することで、第2不揮発メモリ26に記憶されている全ての制御パラメータの初期化(第1不揮発メモリ24に記憶されている初期値への書き換え)を指示することが可能とされている。この指示が為された場合には、画像形成装置制御部18のCPU20によって図3に示す強制初期化処理が行われる。この処理では、まずステップ60で第2不揮発メモリ26の条件付き更新フラグの記憶領域に1を設定し、次のステップ62において、第2不揮発メモリ26の強制初期化フラグ(全ての制御パラメータの初期化を指示するフラグ)の記憶領域に1を設定し、処理を終了する。なお、この強制初期化処理において、コントロールパネル16は請求項3に記載の指示手段に対応している。
【0032】
次に図4を参照し、条件付き更新処理について説明する。上記のように制御プログラム更新処理(図2)又は強制初期化処理(図3)が行われることで条件付き更新フラグに1が設定された場合、画像形成装置10の電源が一旦切断され、その後電源が投入されることで画像形成装置制御部18のCPU20によって行われる起動処理(画像形成装置10を画像形成が可能な状態にするための処理であり、前述した制御処理の一部を構成している)の途中で、条件付き更新フラグに1が設定されていることが検知される。これにより、制御プログラムに含まれる更新プログラムがCPU20によって実行されることで、図4に示す条件付き更新処理が行われる。なお、この条件付き更新処理は本発明に係る更新手段(より詳しくは請求項2〜4に記載の更新手段)に対応しており、更新プログラムは本発明に係るプログラムに対応している。
【0033】
この条件付き更新処理では、まずステップ70において第2不揮発メモリ26の制御パラメータ記憶領域に記憶されている各種の制御パラメータの中から、以下の処理で処理対象とする制御パラメータを選択する。次のステップ72では、強制初期化フラグに1が設定されているか否かを判定する。判定が肯定された場合は処理対象の制御パラメータを初期値へ書き換えるためにステップ86へ移行するが、ステップ72の判定が否定された場合はステップ74へ移行し、第1不揮発メモリ24の更新条件記憶領域に記憶されている更新条件情報に含まれる、処理対象の制御パラメータの更新条件を参照する。
【0034】
本実施形態では、制御パラメータの更新条件として複数種の更新条件が用意されており(例として図5(A)〜(E)には更新条件1〜5の5種類の更新条件を示す)、第1不揮発メモリ24の更新条件記憶領域に記憶される更新条件情報は、個々の制御パラメータ毎に、制御パラメータの更新判定に複数種の更新条件のうちの何れを適用するかを規定する情報である。また、第2不揮発メモリ26の更新参照値記憶領域に記憶される更新参照値情報は、個々の制御パラメータのうち、更新参照値を必要とする更新条件が適用される制御パラメータの各々について、更新参照値を規定する情報である。以下、個々の更新条件を順に説明する。
【0035】
図5(A)に示す更新条件1は、制御パラメータの現在の値等に拘わらず、制御パラメータの値を初期値へ書き換える「一律更新」の条件であり、図5(A)に示す例では、制御パラメータの現在の値"0"が初期値"1"へ更新されている。また、図5(B)に示す更新条件2は、制御パラメータの現在の値と初期値との差が更新参照値未満の場合に制御パラメータの値を初期値へ書き換える条件であり、図5(B)に示す例では、制御パラメータの現在の値"0"と初期値"2"との差が更新参照値"5"よりも小さいために、制御パラメータが初期値へ更新されている。
【0036】
また、図5(C)に示す更新条件3は、制御パラメータの現在の値が更新参照値と一致している場合に制御パラメータの値を初期値へ書き換える条件であり、図5(C)に示す例では、制御パラメータの現在の値"3"が更新参照値"5"と一致していないために、制御パラメータの初期値"2"への更新は行われず、制御パラメータは現在の値"3"のまま維持される。なお、更新条件3における更新参照値としては、例えば前バージョンの制御プログラムにおいて前記制御パラメータに設定されていた初期値を適用することができる。更に、図5(D)に示す更新条件4は、制御パラメータの変更回数が更新参照値未満の場合に制御パラメータの値を初期値へ書き換える条件であり、図5(D)に示す例では、制御パラメータの変更回数"5"が更新参照値"5"よりも大きいために、制御パラメータの初期値"1"への更新は行われず、制御パラメータは現在の値"3"のまま維持される。
【0037】
また、図5(E)に示す更新条件5は、制御パラメータ更新の可否をユーザ(オペレータ)に問い合わせ、ユーザ入力が「更新可」の場合に制御パラメータの値を初期値へ書き換える条件であり、図5(E)に示す例では、ユーザ入力が「更新可」の場合は制御パラメータの現在の値"0"が初期値"2"へ更新され、ユーザ入力が「更新不可」の場合は制御パラメータが現在の値"0"のまま維持される。
【0038】
本実施形態では、全ての制御パラメータについて、制御パラメータの内容や特性に応じた最適な更新条件が複数種の更新条件の中から予め選択され、個々の制御パラメータ毎の更新条件の選択結果に基づいて更新条件情報が設定される。また本実施形態では、全ての制御パラメータのうち、更新参照値を必要とする更新条件(図5の例では更新条件2〜4)が適用される個々の制御パラメータについて、制御パラメータの内容に応じた最適な更新参照値が予め設定され、設定された更新参照値を表す更新参照値情報が設定される。
【0039】
次のステップ76では、ステップ74で参照した処理対象の制御パラメータの更新条件に応じて分岐する。すなわち、処理対象の制御パラメータの更新条件が更新条件1(一律更新)であった場合には、処理対象の制御パラメータを初期値へ書き換えるためにステップ86へ移行する。
【0040】
また、処理対象の制御パラメータの更新条件が更新条件5(ユーザ入力が「更新可」の場合に更新)であった場合はステップ78へ移行し、処理対象の制御パラメータを更新してよいか否かをユーザに問い合わせるメッセージをコントロールパネル16のディスプレイに表示させることで、処理対象の制御パラメータ更新の可否をユーザに問い合わせる。ユーザは、コントロールパネル16のディスプレイに上記メッセージが表示されると、処理対象の制御パラメータを更新してよいか否かを判断し、コントロールパネル16のキーを操作して判断結果を入力する。ユーザによってキー操作が行われるとステップ80へ移行し、ユーザのキー操作によって入力された情報が「更新可」か否か判定する。入力された情報が「更新可」の場合は処理対象の制御パラメータを初期値へ書き換えるためにステップ86へ移行するが、入力された情報が「更新不可」の場合はステップ86をスキップしてステップ88へ移行する。
【0041】
また、処理対象の制御パラメータの更新条件が上記以外(図5の例では更新条件2〜4)であった場合はステップ82へ移行し、先のステップ74で参照した処理対象の制御パラメータの更新条件に加え、第2不揮発メモリ26に記憶されている処理対象の制御パラメータ(の現在の値)、及び、更新参照値情報のうち処理対象の制御パラメータに対応する更新参照値を参照して (図5(D)に示す更新条件4であれば、更に、個々の制御パラメータ毎に第2不揮発メモリ26に記憶され対応する制御パラメータが更新される毎にインクリメントされる更新回数のうち、処理対象の制御パラメータの更新回数も参照して)、処理対象の制御パラメータが更新条件に合致するか否か、すなわち処理対象の制御パラメータを更新するか否かを判定する。
【0042】
次のステップ84はステップ82の判定の結果に応じて分岐し、処理対象の制御パラメータの更新を行うと判定した場合は処理対象の制御パラメータを初期値へ書き換えるためにステップ86へ移行し、処理対象の制御パラメータの更新を行わないと判定した場合はステップ86をスキップしてステップ88へ移行する。
【0043】
ステップ86では、第1不揮発メモリ24の初期値記憶領域から処理対象の制御パラメータの初期値を読み出し、読み出した初期値を、第2不揮発メモリ26の制御パラメータ記憶領域に記憶されている処理対象の制御パラメータ(の現在の値)に上書きして記憶させることで、処理対象の制御パラメータを初期値へ書き換える。また、次のステップ88では、全ての制御パラメータの中に上記処理が未実行の制御パラメータが有るか否か判定する。判定が肯定された場合はステップ70に戻り、ステップ88の判定が肯定される迄ステップ70〜ステップ88を繰り返す。
【0044】
これにより、個々の制御パラメータは、個々の制御パラメータ毎に予め選択・設定された最適な更新条件に従って更新/非更新が判定され、更新すると判定した制御パラメータについては初期値へ書き換えられることになる。また、強制初期化フラグに1が設定されている場合には、全ての制御パラメータについてステップ72の判定が各々肯定されることで、全ての制御パラメータが一律に初期値へ書き換えられることになる。
【0045】
次のステップ90では、条件付き更新フラグに0を代入する。本実施形態では、条件付き更新フラグへの1の設定が制御プログラム更新処理(図2)又は強制初期化処理(図3)でのみ行われ、制御プログラム更新処理又は強制初期化処理が次回実行される迄の間(更に新しいバージョンへの制御プログラムの更新が行われるか、全ての制御パラメータの初期化が再度指示される迄の間)は条件付き更新フラグが0のまま維持されるので、この間画像形成装置10の起動時に上述した条件付き更新処理が行われることはなく、画像形成装置10の起動時間が短縮される。次のステップ92では、強制初期化フラグに0を代入し、条件付き更新処理を終了する。
【0046】
〔第2実施形態〕
次に本発明の第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同一の部分には同一の符号を付して説明を省略し、第1実施形態と異なる部分のみ説明する。図6に示すように、本第2実施形態に係る画像形成装置10は、更新条件記憶領域が第2不揮発メモリ26に設けられており、更新条件情報が第2不揮発メモリ26に記憶されている。また、本第2実施形態では、第1不揮発メモリ24に更新条件変更の条件を表す情報(変更条件情報)を記憶するための記憶領域(変更条件記憶領域)が設けられており、この変更条件記憶領域には変更条件情報が記憶されている。
【0047】
変更条件情報は、画像形成装置10の全ての制御パラメータのうち、画像形成装置10の稼働に伴う画像形成装置10の状態の変化、例えば構成部品の消耗等の経時変化や、エラーの発生、交換対象部品の消耗等に応じて更新条件を変更することが望ましい制御パラメータについて、更新条件変更の条件、変更の前及び後の更新条件を各々規定する情報である。更新条件変更の条件の一例を図7に示す。
【0048】
図7(A)に示す更新条件変更の条件1は、画像形成装置10の稼働に伴い特定の構成部品(例えば交換対象でない部品)の消耗度が大きくなってくると、その影響を受けて最適値が変化する可能性が高い制御パラメータ(以下、制御パラメータAという)に好適な条件であり、特定の構成部品の消耗度の判定を画像形成装置10が設置されて稼働を開始してからの積算プリント枚数で代用し、積算プリント枚数が閾値P1未満であれば制御パラメータAの更新条件として更新条件1(一律更新)を適用することで、制御パラメータAを初期値に一致させ、積算プリント枚数が閾値P1以上であれば制御パラメータAの更新条件として更新条件3(制御パラメータの現在の値が更新参照値と一致している場合に更新)を適用することで、制御パラメータAの最適値への更新を許容するように定められている。
【0049】
また、図7(B)に示す更新条件変更の条件2は、パラメータの値によっては画像形成装置10に特定のエラーが発生する原因となる可能性がある制御パラメータ(以下、制御パラメータBという)に好適な条件であり、画像形成装置10における特定のエラーの発生頻度を画像形成装置10で特定のエラーが発生してからのプリント枚数で代用し、特定のエラーが発生してからのプリント枚数が閾値P2未満(特定のエラーの発生頻度が高い)であれば、制御パラメータBの更新条件として更新条件2(制御パラメータの現在の値と初期値との差が更新参照値未満の場合に更新)を適用することで、制御パラメータBの最適値への更新を許容し、特定のエラーが発生してからのプリント枚数が閾値P2以上(特定のエラーが長期間発生していない)であれば制御パラメータBの更新条件として更新条件5(ユーザ入力が「更新可」の場合に更新)を適用することで、制御パラメータBの更新をユーザの判断に委ねるように定められている。
【0050】
また、図7(C)に示す更新条件変更の条件3は、画像形成装置10の交換対象部品が交換されてから、画像形成装置10の稼働に伴い交換された部品の消耗度が大きくなってくると、その影響を受けて最適値が変化する可能性が高い制御パラメータ(以下、制御パラメータCという)に好適な条件であり、交換対象部品の消耗度の判定を当該部品が交換されてからのプリント枚数で代用し、部品交換からのプリント枚数が閾値P3未満であれば制御パラメータCの更新条件として更新条件1(一律更新)を適用することで、制御パラメータCを初期値に一致させ、部品交換からのプリント枚数が閾値P3以上であれば制御パラメータCの更新条件として更新条件3(制御パラメータの現在の値が更新参照値と一致している場合に更新)を適用することで、制御パラメータCの最適値への更新を許容するように定められている。
【0051】
更に、図7(D)に示す更新条件変更の条件4は、画像形成装置10におけるエラー発生頻度によって最適値が変化する可能性が高い制御パラメータ(以下、制御パラメータDという)に好適な条件であり、エラー発生頻度の判定をエラー発生回数で代用し、エラー発生回数が閾値E未満であれば制御パラメータDの更新条件として更新条件1(一律更新)を適用することで、制御パラメータDを初期値に一致させ、エラー発生回数が閾値E以上であれば制御パラメータDの更新条件として更新条件3(制御パラメータの現在の値が更新参照値と一致している場合に更新)を適用することで、制御パラメータDの最適値への更新を許容すると共に、制御パラメータDが更新されていなければ制御パラメータDを自動的に最適値へ更新するように定められている。
【0052】
上記のエラー発生頻度(回数)としては、発生したエラーの種類を区別せずに計数したものを用いてもよいし、発生したエラーの種類毎に計数したものを用いてもよい。エラーの種類毎に計数したエラー発生頻度(回数)を用いる場合は、エラーの種類毎に、対象とする制御パラメータ等が異なる更新条件変更の条件を各々設けることが望ましい。
【0053】
具体的には、例えば画像形成装置10で通信エラーが頻発している場合、メッセージの再送回数が上限値に達してしまうことで、画像形成装置10からのメッセージの送信が停止される等のより重大な通信トラブルが生じ易くなる。これに対し、制御パラメータDの1つであるメッセージの再送回数の上限値に対し、通信エラーの発生回数が閾値E以上であれば、メッセージの再送回数の上限値が更新されていない場合はより大きな値へ更新する更新条件が適用されるように、更新条件変更の条件を定めておけば、通信エラーが頻発した場合にメッセージの再送回数が上限値に達してしまう確率が低減されるので、より重大な通信トラブルが生じることが抑制される。
【0054】
また、例えば画像形成装置10の搬送ローラの消耗等により、搬送ローラの回転に対する用紙の一時的な滑りが頻発している場合、この一時的な滑りが用紙搬送時間の増大として表れ、用紙の紙詰まりと判断されることで、画像形成装置10の稼働停止等が生じ易くなる。これに対し、制御パラメータDの1つである紙詰まり検知タイマのタイマ値に対し、用紙搬送エラーの発生回数が閾値E以上であれば、紙詰まり検知タイマのタイマ値が更新されていない場合はより大きな値へ更新する(紙詰まり検知タイマをより長時間化する)更新条件が適用されるように、更新条件変更の条件を定めておけば、搬送ローラの回転に対する用紙の一時的な滑りが頻発し、用紙搬送時間が増大した場合に用紙の紙詰まりと判断される確率が低減されるので、画像形成装置10の稼働停止等が生じることが抑制される。
【0055】
なお、図7に示した更新条件変更の条件は単なる一例であり、制御パラメータの内容や特性に応じて図7とは異なる条件を設定可能であることは言うまでもない。また、更新条件変更のトリガとしても、例えば交換対象部品の交換等の他の事象を適用することも可能である。
【0056】
次に本第2実施形態の作用として、まず本第2実施形態に係る制御プログラム更新処理について、図8を参照して説明する。本第2実施形態では、外部コンピュータから画像形成装置10へ転送される情報群に上述した変更条件情報も含まれており、本第2実施形態に係る制御プログラム更新処理では、ステップ50で、外部コンピュータから転送されてメモリ22に記憶された情報群に含まれる新たなバージョンの制御プログラムを、第1不揮発メモリ24に既に記憶されている制御プログラムに上書きして記憶させた後に、次のステップ51において、メモリ22に記憶された情報群に含まれる制御パラメータの初期値情報を、第1不揮発メモリ24の初期値記憶領域に既に記憶されている初期値情報に上書きして記憶させると共に、メモリ22に記憶された情報群に含まれる変更条件情報を、第1不揮発メモリ24の変更条件記憶領域に既に記憶されている変更条件情報に上書きして記憶させる。
【0057】
次のステップ53では、メモリ22に記憶された情報群に含まれる制御パラメータの更新条件情報を、第2不揮発メモリ24の更新条件記憶領域に既に記憶されている更新条件情報に上書きして記憶させると共に、メモリ22に記憶された情報群に含まれる更新参照値情報を、第2不揮発メモリ26の更新参照値記憶領域に既に記憶されている更新参照値情報に上書きして記憶させる。また、次のステップ55では、第1不揮発メモリ24の変更条件記憶領域に記憶された変更条件情報を参照し、当該変更条件情報が規定する更新条件変更の条件において、更新条件変更のトリガとなる事象を、更新条件変更処理(後述)の割込起動要因として登録する。例えば更新条件変更の条件が図7(A)〜(D)に示す内容であれば、別の処理によって更新される積算プリント枚数の変化、エラー発生からのプリント枚数の変化、部品交換からのプリント枚数の変化、及び、エラー発生が、更新条件変更処理の割込起動要因として各々登録される。
【0058】
そしてステップ57では条件付き更新フラグに1を設定する。また本第2実施形態では、条件付き更新処理が一部の制御パラメータのみを対象として行われることがあることから、条件付き更新処理を行うか否かを個々の制御パラメータを単位として表す更新フラグも設けられており、ステップ57では全ての制御パラメータに対し、制御パラメータ単位の更新フラグにも1を設定した後に、制御プログラム更新処理を終了する。
【0059】
次に図9を参照し、本第2実施形態に係る強制初期化処理を説明する。本第2実施形態に係る強制初期化処理では、ステップ61において、条件付き更新フラグに1を設定すると共に、制御プログラム更新処理のステップ57と同様に、全ての制御パラメータに対し、制御パラメータ単位の更新フラグにも1を設定する。そして、次のステップ62で強制初期化フラグに1を設定し、処理を終了する。
【0060】
また、前述のように本第2実施形態では、変更条件情報が規定する更新条件変更の条件において、更新条件変更のトリガとなる事象を更新条件変更処理の割込起動要因として登録しているので、上記事象(例えば積算プリント枚数、エラー発生からのプリント枚数、部品交換からのプリント枚数の何れかの変化、或いはエラー発生)が発生すると割込がかかり、図10に示す更新条件変更処理が起動される。
【0061】
この更新条件変更処理では、まずステップ100において、今回発生した事象(割込起動要因)を認識し、次のステップ102では、ステップ100で認識した割込起動要因を変更条件情報が規定する更新条件変更の条件と照合することで、今回の割込起動要因の発生に伴って更新条件変更の条件に合致した制御パラメータ、すなわち更新条件の変更が必要な制御パラメータが存在しているか否か判定する。この判定が否定された場合は更新条件変更処理を終了するが、ステップ102の判定が肯定された場合はステップ104へ移行し、第2不揮発メモリ26に記憶されている更新条件情報のうち、今回の割込起動要因の発生に伴って更新条件変更の条件に合致した制御パラメータの更新条件を、前記更新条件変更の条件で規定された変更後の更新条件へ変更する。また、次のステップ106では条件付き更新フラグに1を設定すると共に、更新条件を変更した制御パラメータに対応する更新フラグに1を設定し、更新条件変更処理を終了する。
【0062】
なお、上記の更新条件変更処理は請求項5に記載の変更手段に対応している。また、上記では更新条件変更の条件に合致した制御パラメータに対し、更新条件自体を切り替える変更を行っているが、更新条件の変更はこれに限られるものではなく、更新条件自体の切り替えは行わずに、更新条件に合致しているか否かの判定の際に参照される更新参照値を変更することも、本発明に係る更新条件の変更に含まれる。更新参照値を変更することで更新条件を変更することは請求項6に記載の変更手段に対応している。
【0063】
続いて図11を参照し、本第2実施形態に係る条件付き更新処理を説明する。なお、本第2実施形態に係る条件付き更新処理は本発明に係る更新手段、より詳しくは請求項7に記載の更新手段に対応している。本第2実施形態では、更新条件変更処理で特定の制御パラメータの更新条件が変更された場合にも条件付き更新フラグに1が設定されるので、本第2実施形態に係る条件付き更新処理は、更新条件変更処理で特定の制御パラメータの更新条件が変更され、画像形成装置10の電源が一旦切断され、その後電源が投入されて画像形成装置制御部18で起動処理が行われる際にも実行される。
【0064】
本第2実施形態に係る条件付き更新処理は、ステップ70で処理対象の制御パラメータを選択した後に、次のステップ71で処理対象の制御パラメータに対応する更新フラグに1が設定されているか否か判定し、判定が肯定された場合はステップ72へ移行する一方、判定が否定された場合はステップ70へ戻る点で第1実施形態に係る条件付き更新処理(図4)と相違している。これにより、前述した更新条件変更処理で特定の制御パラメータの更新条件が変更された場合には、更新条件が変更された特定の制御パラメータに対してのみ、ステップ72以降の処理(制御パラメータの更新判定等の処理)が実行されることになる。
【0065】
また、本第2実施形態に係る条件付き更新処理では、ステップ80又はステップ84の判定が否定された場合、或いはステップ86の処理を行った場合にステップ87へ移行し、処理対象の制御パラメータに対応する更新フラグに0を設定した後にステップ88へ移行する。これにより、前述した更新条件変更処理で特定の制御パラメータの更新条件が変更された場合にも、その後の初回の起動処理でのみ条件付き更新処理が行われることになる。
【0066】
なお、上記では本発明に係る更新条件として、単一の更新参照値を閾値として用いて制御パラメータを更新するか否かを規定する内容の更新条件を例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明に係る更新条件は、単一の制御パラメータに一対の更新参照値を設定し、この一対の更新参照値を上限値又は下限値として各々用いた数値範囲により制御パラメータを更新するか否を規定する内容であってもよい。 また、更新条件変更の条件についても、上記と同様に、更新条件を変更するか否かを数値範囲によって規定する(例えば制御パラメータの値が数値範囲内か否かに応じて、更新条件を切り替える)内容であってもよいし、複数の更新参照値を複数の閾値として用い、制御パラメータの値の各閾値との大小関係に応じて適用する更新条件を切り替える内容(例えば制御パラメータの値が第1の閾値未満であれば第1の更新条件を適用し、第1の閾値以上かつ第2の閾値未満であれば第2の更新条件を適用し、第2の閾値以上であれば第3の更新条件を適用する等)であってもよい。
【0067】
また、上記では制御パラメータの更新として初期値への書き換えを説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば制御パラメータの値に対し、更新参照値を用いて四則演算のうちの何れかの演算を行い、演算結果を制御パラメータに設定する等、初期値以外の他の値へ更新するようにしてもよい。
【0068】
また、上記では画像形成装置10のうち画像形成装置制御部18で実行される制御処理で参照される制御パラメータの更新に本発明を適用した態様を説明したが、これに限定されるものではない。一般に画像形成装置は、用紙を大量にセット可能で画像形成装置からの要求に応じて画像形成装置へ高速に用紙を供給する機能を備えた給紙装置(前処理装置)や、画像形成装置によって画像が記録されて排出される用紙に対して後処理(例えば用紙の反り(カール)を矯正するデカラー処理、用紙上の所定位置で用紙を折る折り処理、用紙上の所定位置に孔を開けるパンチ処理、複数枚の用紙の端部を揃えステープルにより単一の用紙束として綴じるステープル処理、用紙(束)を同一の排出トレイ上の異なる位置へ排出させるオフセット処理、排出された用紙(束)を積み重ねるスタック処理、複数枚の用紙の端部を揃えて製本するブックレット処理等)を行う機能を備えた各種の後処理装置(フィニッシャー)を1〜複数台連結可能とされているが、これらの前処理装置や後処理装置も制御パラメータを不揮発メモリに記憶し、当該制御パラメータを参照しながら各種の制御が行われる。本発明は、画像形成装置に連結された前処理装置や後処理装置の不揮発メモリに記憶されている制御パラメータの更新に適用することも可能である。
【0069】
更に、本発明に係る電子機器は、上記の画像形成装置や前処理装置、後処理装置に限られるものではなく、制御パラメータを記憶し、当該制御パラメータを参照しながら制御が行われる各種機器に適用可能である。
【0070】
また、上記では本発明に係るプログラムに対応する更新プログラムが画像形成装置制御部18のCPU20で実行される態様を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、上記プログラムはメンテナンス用PC34等のように、本発明に係る電子機器と異なるコンピュータで実行させることも可能である。
【0071】
また、上記では本発明に係るプログラムに対応する更新プログラムが画像形成装置制御部18の第1不揮発メモリ24に記憶される態様を説明したが、本発明に係るプログラムは、CD−ROMやDVD−ROM等の記録媒体に記録されている形態で提供することも可能である。
【符号の説明】
【0072】
10 画像形成装置
12 画像形成部
18 画像形成装置制御部
20 CPU
22 メモリ
24 第1不揮発メモリ
26 第2不揮発メモリ
34 メンテナンス用PC

【特許請求の範囲】
【請求項1】
稼働中に各々参照され値の変更が可能な複数の制御パラメータを記憶する第1記憶手段と、
個々の前記制御パラメータ毎に設定された更新条件を各々記憶する第2記憶手段と、
前記第2記憶手段に記憶されている特定の制御パラメータの更新条件に基づいて前記特定の制御パラメータを更新するか否か判定し、前記特定の制御パラメータを更新すると判定した場合にのみ、前記第1記憶手段に記憶されている特定の制御パラメータを更新する条件付き更新処理を、前記複数の制御パラメータについて各々行う更新手段と、
を含む電子機器。
【請求項2】
前記第2記憶手段は、個々の前記制御パラメータ毎に設定された初期値も記憶し、
前記更新手段は、前記特定の制御パラメータを更新すると判定した場合に、前記第1記憶手段に記憶されている特定の制御パラメータを、前記第2記憶手段に記憶されている初期値へ更新する請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
強制初期化を指示するための指示手段を更に備え、
前記更新手段は、前記指示手段を介して前記強制初期化が指示された場合には、前記第1記憶手段に記憶されている全ての制御パラメータを、前記第2記憶手段に記憶されている対応する初期値へ各々更新する請求項2記載の電子機器。
【請求項4】
前記第1記憶手段は、稼働中に実行される制御プログラムも記憶すると共に、外部機器から新たな前記制御プログラムが受信される毎に、受信された新たな制御プログラムをそれ迄記憶していた制御プログラムに代えて記憶し、
前記第2記憶手段は、前記外部機器から前記新たな前記制御プログラムと共に新たな前記更新条件が受信される毎に、受信された新たな前記更新条件をそれ迄記憶していた更新条件に代えて記憶し、
前記更新手段は、前記第2記憶手段に新たな前記更新条件が記憶された後に最初に電源が投入された際にのみ前記条件付き更新処理を前記複数の制御パラメータについて各々行う請求項1〜請求項3の何れか1項記載の電子機器。
【請求項5】
第3記憶手段に記憶され前記電子機器の状態に応じて更新される状態パラメータが予め定められた値になった場合、又は、前記電子機器に予め定められた事象が発生したことが検知された場合、又は、前記電子機器の部品が交換された場合に、前記第2記憶手段に記憶されている特定の制御パラメータの前記更新条件を変更する変更手段を更に備えた請求項1〜請求項4の何れか1項記載の電子機器。
【請求項6】
前記特定の制御パラメータの前記更新条件は、当該更新条件を規定し制御パラメータを更新するか否かを判定する際に参照される更新参照値を含んで構成されており、
前記変更手段は、前記更新参照値を予め定められた値へ変更することで前記更新条件の変更を行う請求項5記載の電子機器。
【請求項7】
前記更新手段は、前記第2記憶手段に記憶されている特定の制御パラメータの前記更新条件が前記変更手段によって変更された場合に、前記特定の制御パラメータについてのみ前記条件付き更新処理を行う請求項5記載の電子機器。
【請求項8】
コンピュータを内蔵し、稼働中に各々参照され値の変更が可能な複数の制御パラメータを記憶する第1記憶手段、及び、個々の前記制御パラメータ毎に設定された更新条件を各々記憶する第2記憶手段を備えた電子機器の前記コンピュータを、
前記第2記憶手段に記憶されている特定の制御パラメータの更新条件に基づいて前記特定の制御パラメータを更新するか否か判定し、前記特定の制御パラメータを更新すると判定した場合に、前記第1記憶手段に記憶されている特定の制御パラメータを更新する条件付き更新処理を、前記複数の制御パラメータについて各々行う更新手段として機能させるためのプログラム。
【請求項9】
コンピュータを内蔵し、稼働中に各々参照され値の変更が可能な複数の制御パラメータを記憶する第1記憶手段、及び、個々の前記制御パラメータ毎に設定された更新条件を各々記憶する第2記憶手段を備えた電子機器の前記コンピュータを、請求項1〜請求項7の何れか1項記載の各手段として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−182162(P2010−182162A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−26041(P2009−26041)
【出願日】平成21年2月6日(2009.2.6)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.EEPROM
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】