説明

電子機器及び情報処理システム

【課題】操作性に優れた電子機器を提供する。
【解決手段】信号出力装置10は、指輪形状にされており、ユーザの指に装着されて、アンテナ部15からユーザの身体に電気信号を入力し、当該身体を通じて指先側に電気信号を伝播させる。一方、電子機器30は、ディスプレイ35の表面にタッチパネル33を備えると共に、タッチパネル33の表面に導電性フィルム31を備え、信号出力装置10からの出力信号を受信できたか否かを、導電性フィルム31からの入力信号に基づき、受信判定部37にて判定する。そして、制御部39は、タッチパネル33から入力される操作信号に基づき、ユーザがタッチパネル33をタッチしたことを検知すると、受信判定部37での判定結果に基づいて、信号出力装置を装着した指で、ユーザがタッチパネル33をタッチしたか否かを判断する。そして、この判断結果に従って、実行する処理を切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザに操作されて各種処理を実行する電子機器及び情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザに操作されて各種処理を実行する電子機器としては、複数の操作キーを備える入力デバイスから入力される操作信号に基づき、ユーザの操作に対応した処理を実行する電子機器や、グラフィカルユーザインタフェースとして機能する操作画面を表示デバイスに表示して、ポインティングデバイスから入力される操作信号に基づき、操作画面に対するユーザ操作に対応した処理を実行する電子機器が知られている。
【0003】
また、入力デバイスとしては、タッチ動作を検知して、当該タッチ動作が行われたタッチ面上の位置座標を、操作信号として入力するタッチパネルが知られている。一般的に、タッチパネルは、透明なシートで構成されて、表示デバイスの画面上に設けられ、ユーザによる表示画面へのタッチ動作を検知して、タッチされた位置座標を操作信号として入力する。
【0004】
この他、タッチパネルを用いた入力システムとしては、ユーザとの接触面に電気信号を印加し、ユーザが接触面にタッチすると上記電気信号がユーザの身体を流れることを利用して、タッチパネルをタッチしたユーザを識別する入力システムが知られている(特許文献1参照)。
【0005】
また、タッチパネル付の表示デバイスを備えた電子機器としては、絵描き用の電子機器であって、色指定ボタンを備え、色指定ボタンがタッチされると、タッチされたボタンに対応する色を、ユーザに割り当てて、タッチパネルにおける描画領域で、ユーザの指によって描かれる絵を、ユーザに割り当てた色で、表示デバイスに表示する電子機器が知られている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−148396号公報
【特許文献2】特開2002−041206号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、近年においては、電子機器に搭載される機能数が増加傾向にあるが、多機能化に伴っては、電子機器の操作性が悪化するといった問題がある。
例えば、入力デバイスとして、メカニカルな操作キーを備える入力デバイスを採用する場合には、電子機器の多機能化に伴って、入力デバイスに操作キーを多数設ける必要が生じ、操作キーの増加が原因で、ユーザにとって目的の操作キーが探し辛くなり、操作性が悪化するといった問題がある。この他、限られたスペースに多数の操作キーを配置することで、操作キーのサイズが小さくなり、ユーザにとってキーの押下操作がし辛くなるといった問題もある。
【0008】
また、グラフィカルユーザインタフェースと、マウスやタッチパネル等のポインティングデバイスとの組合せによりユーザ操作を実現する場合には、表示デバイスの表示領域に限りがあることから、グラフィカルユーザインタフェースとしての操作画面を階層表示するように電子機器を構成する場合がある。
【0009】
しかしながら、このように操作画面を階層表示すれば、ユーザが、目的の入力オブジェクトを操作するために、階層表示される操作画面を複数回操作しなければならないため、操作性が悪化するといった問題がある。また、操作画面を階層表示する手法を採用すると、下層の操作画面を呼び出すための入力オブジェクトを上層の操作画面に表示しなければならないため、一画面当りに表示可能な実質的な入力オブジェクトの数が減ってしまうといった問題がある。
【0010】
この他、絵描き用の上記電子機器においては、ユーザに対して一つの色しか割り当てることができないため、頻繁に色を代えてカラフルな絵を描こうとすると、ユーザは、頻繁に、色指定ボタンを操作して、色の割当を変更しなければならず、操作性が悪いといった問題がある。
【0011】
本発明は、こうした問題に鑑みなされたものであり、操作性に優れた電子機器及び情報処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
かかる目的を達成するためになされた本発明は、ユーザの手足に装着されて、当該装着部位に電気信号を出力する信号出力装置と、この信号出力装置を装着するユーザによって操作される電子機器と、を備える情報処理システム及び当該情報処理システムを構成する電子機器であって、電子機器が次のように構成されたものである。
【0013】
本発明の電子機器は、ユーザが操作可能な入力デバイスと、入力デバイスから入力される操作信号に基づき、操作信号に対応した処理を実行する処理実行手段と、検知手段と、を備える。そして、検知手段は、ユーザとの接触又は静電結合により信号出力装置から出力される電気信号が入力される導電体を有し、導電体からの入力信号に基づき、導電体と信号出力装置の装着部位に対応するユーザの身体部位との接触又は接近を検知する。
【0014】
また、処理実行手段は、入力デバイスから入力される操作信号の夫々に対して複数の処理を実行可能な構成にされ、検知手段の検知結果に従って、複数の処理を切り替えて実行する(請求項1,請求項11)。
【0015】
入力デバイスとしては、例えば、タッチ面に対するタッチ動作を検知し、当該タッチ動作が行われたタッチ面上の位置座標を、操作信号として処理実行手段に入力する入力デバイスや、メカニカルな複数の操作具(操作キー等)を備え、操作された操作具を表す操作信号を入力する入力デバイス等が挙げられる。但し、本発明は、入力デバイスの種類に限定されない。
【0016】
このように構成された電子機器によれば、一つの操作信号に対して複数の処理が対応付けられ、処理実行手段が、これらの複数の処理を、検知手段の検知結果に従って切り替えて実行するので、ユーザは、導電体に接触若しくは接近すると信号出力装置の出力信号が身体を通じて上記導電体に流れる身体部位を、導電体に接触若しくは接近又は離間若しくは遠方に配置させつつ、入力デバイスを操作する程度で、入力デバイスに同じ操作をしても、複数の処理を、電子機器に実行させることができる。
【0017】
結果、この電子機器によれば、入力デバイスに多数のキーを設けなくても済む。また、タッチパネル等のポインティングデバイスとグラフィカルユーザインタフェースとの組合せによりユーザ操作を実現する場合には、操作画面の階層化を避けて、電子機器に簡易な操作系を構築することができる。
【0018】
よって、本発明によれば、電子機器を多機能化することにより操作性が悪化するのを抑えることができ、利便性の高い電子機器及び情報処理システムを提供することができる。
ところで、タッチ面に対するユーザのタッチ動作を検知し、当該タッチ動作が行われたタッチ面上の位置座標を、操作信号として処理実行手段に入力する入力デバイスを採用する場合、処理実行手段は、入力デバイスから入力される各位置座標に対して複数の処理を実行可能で、タッチ動作の検知により入力デバイスから位置座標が入力されると、当該位置座標に対応する複数の処理の中から、検知手段の検知結果に従って、一つの処理を選択的に実行する構成にすることができる(請求項2)。
【0019】
また、メカニカルな一つ又は複数の操作具(操作キー等)を有し、操作された操作具を表す操作信号を、処理実行手段に入力する入力デバイスを採用する場合、処理実行手段は、入力デバイスが備える操作具毎に複数の処理を実行可能で、操作具の操作が行われることにより入力デバイスから操作信号が入力されると、当該操作信号に基づき、操作された操作具に対応する複数の処理の中から、検知手段の検知結果に従って、一つの処理を選択的に実行する構成にすることができる(請求項3)。
【0020】
この他、入力デバイスとして、タッチパネル等のポインティングデバイスを採用し、当該ポインティングデバイスとグラフィカルユーザインタフェースとの組合せにより、ユーザ操作を受け付けるように電子機器を構成する場合、処理実行手段は、次のように構成することができる。
【0021】
即ち、処理実行手段は、検知手段の検知結果に従って、表示デバイスに表示する操作画面を切り替えると共に、入力デバイスから入力される操作信号から特定される表示デバイスに表示する操作画面に対するユーザの操作内容に対応した処理を実行することにより、検知手段の検知結果に従って、複数の処理を切り替えて実行する構成にすることができる(請求項4)。
【0022】
このように電子機器を構成すれば、ユーザは、導電体に接触又は接近させると信号出力装置の出力信号が身体を通じて上記導電体に流れる身体部位を、導電体に接触若しくは接近又は離間若しくは遠方に配置させる動作を行う程度で、操作画面を切り替えることができる。
【0023】
即ち、この発明によれば、各操作画面に対して、画面切替用の入力オブジェクトを設ける必要がなく、入力デバイスを通じてユーザに煩雑な操作画面の切替操作を行わせる必要もない。従って、複数の操作画面を通じて、ユーザの操作を受け付ける場合でも、従来装置に対して操作性を向上させることができる。
【0024】
尚、検知手段が備える導電体は、入力デバイス表面に、導電性フィルムとして設けることができる(請求項5)。例えば、タッチ面に対するユーザのタッチ動作を検知し、当該タッチ動作が行われたタッチ面上の位置座標を、操作信号として処理実行手段に入力する入力デバイスを採用する場合、導電体は、タッチ面上に、導電性フィルムとして設けることができる(請求項6)。
【0025】
この電子機器によれば、ユーザは、信号出力装置を指や腕に付けて電子機器を使用し、この際に、入力デバイスを操作する指や腕を変える程度で、電子機器に実行させる処理を切り替えることができる。従って、簡単な操作で、電子機器が備える複数の機能を使用することができる。
【0026】
また、携帯型の電子機器に上記発明を採用する場合、導電体は、電子機器がユーザにより把持される際にユーザの掌に接触する位置に設けられてもよい。
このように電子機器を構成すれば、ユーザは、信号出力装置を腕に付けて電子機器を使用し、この際に、電子機器の持つ手を変えて、入力デバイスを操作する程度で、電子機器に実行させる処理を切り替えることができ、簡単な操作で、電子機器が備える複数の機能を使用することができる。
【0027】
また、上記発明には、ユーザに複数の信号出力装置を装着させて、この状態でユーザに電子機器を操作させる手法を採用してもよい。即ち、情報処理システムには、装置固有の電気信号を出力する複数の信号出力装置を設け、電子機器においては、複数の信号出力装置を装着するユーザによって電子機器が操作されることを前提に、検知手段及び処理実行手段を次のように構成するとよい。
【0028】
即ち、検知手段は、導電体からの入力信号に基づき、信号出力装置毎に、導電体と当該信号出力装置に対応するユーザの身体部位との接触又は接近を検知し、処理実行手段は、検知手段による信号出力装置毎の検知結果に従って、複数の処理を切り替えて実行する構成にされるとよい(請求項7,請求項12)。
【0029】
このように電子機器を構成すれば、一つの操作信号に対し、多数の処理を割り当てて、処理実行手段に、これらの処理を切り替えて実行させることができる。従って、入力デバイスに用意する操作具(操作キー等)の数や、操作画面に表示する入力オブジェクトの数を一層減らすことができる。
【0030】
尚、処理実行手段は、検知手段によって接触又は接近が検知された信号出力装置の検知順序に従って、入力デバイスから入力される操作信号に対応する複数の処理の中から、一つの処理を選択的に実行する構成にすることができる(請求項8)。
【0031】
電子機器をこのように構成すれば、ユーザは、異なる順序で、信号出力装置の夫々に対応する身体部位を、導電体に接触又は接近させる程度で、入力デバイスに対し同じ操作を行った場合でも、異なる処理を、電子機器に実行させることができる。従って、設計者は、本発明の手法を用いることで、入力デバイスに設ける操作具(操作キー等)を減らしつつ、多機能な電子機器を構成することができ、電子機器の操作性を向上させつつ、電子機器の多機能化を図ることができる。
【0032】
また、処理実行手段は、入力デバイスから操作信号が入力された時点で、検知手段によって接触又は接近が同時検知されている信号出力装置の組合せに基づき、操作信号に対応する複数の処理の内、当該組合せに対応する処理を選択的に実行する構成にされてもよい(請求項9)。
【0033】
この電子機器によれば、ユーザは、複数の信号出力装置の一つに対応する身体部位を選択的に導電体に接触又は接近させるのか、複数の信号出力装置に対応する身体部位を同時に、導電体に接触又は接近させるのかを切り替える程度で、入力デバイスに対する同一操作に対して、異なる処理を、電子機器に実行させることができる。従って、設計者は、操作性良く、電子機器の多機能化を図ることができる。
【0034】
また、上記電子機器には、入力デバイスから操作信号が入力された際に当該操作信号に対応する処理として実行すべき処理と、検知手段による検知結果と、の対応関係を、ユーザからの指示に従って変更する対応関係変更手段を設けると便利である(請求項10)。
【0035】
この電子機器によれば、ユーザの指示に従って上記対応関係を変更することができるので、ユーザは、当該対応関係を調整することにより、自己にとって最適な操作系を構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】情報処理システム1の構成を表すブロック図である。
【図2】信号出力装置10から出力される信号の伝播態様を表す図である。
【図3】制御部39が実行する文字入力受付処理を表すフローチャートである。
【図4】文字入力画面の一例を表す図である。
【図5】第二実施例の文字入力受付処理を表すフローチャートである。
【図6】第二実施例の文字入力画面の一例を表す図である。
【図7】第三実施例の文字入力受付処理を表すフローチャートである。
【図8】第四実施例の表示画面の構成を表す図である。
【図9】第四実施例の制御部39が実行する描画操作受付処理を表すフローチャートである。
【図10】第五実施例において信号出力装置10から出力される信号の送受信態様を表す図である。
【図11】第五実施例の描画操作受付処理を表すフローチャートである。
【図12】第六実施例の表示画面を表す図(a)及び制御部39が実行する入力受付処理を表すフローチャート(b)である。
【図13】第七実施例の入力受付処理を表すフローチャートである。
【図14】第八実施例の情報処理システム3の構成を表す図(a)及び制御部79が実行する変換処理を表すフローチャート(b)である。
【図15】情報処理システム5の構成を表すブロック図である。
【図16】情報処理システム5における信号伝達経路を表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下に本発明の実施例について、図面と共に説明する。
[第一実施例]
図1は、本発明が適用された情報処理システム1の構成を表すブロック図である。本実施例の情報処理システム1は、ユーザの身体に装着されて、当該装着部位に電気信号を出力する信号出力装置10と、この信号出力装置10を装着するユーザによって操作される電子機器30と、を備える。
【0038】
信号出力装置10は、電界方式により、当該信号出力装置10が装着されたユーザの身体部位に電気信号(微弱電波)を出力するものであり、送信部11と、アンテナ部15と、を備える。
【0039】
また、アンテナ部15は、送信部11によって給電され、ユーザの身体に対して電気信号(電波)を出力する輻射器13と、輻射器13からユーザの身体に出力された電気信号を反射する反射器14と、を備える。そして、送信部11は、特定周波数の送信信号を輻射器13に入力する構成にされている。
【0040】
即ち、輻射器13は、送信部11から入力される上記送信信号に従って、ユーザの身体に対し、特定周波数の電気信号(電波)を出力する。この輻射器13から出力される電気信号は、反射器14によって反射されて、ユーザの身体を特定方向に伝播する。
【0041】
この信号出力装置10の構成について詳述すると、本実施例の信号出力装置10は、ユーザの指に装着されることを前提として、指輪形状にされ、環状体の輻射器13及び反射器14が、装着される指の軸線に沿って所定間隔空けられた状態で、並列配置された構成にされている(図1右図参照)。これにより、信号出力装置10は、輻射器13から出力される電気信号が、反射器14に反射されて、反射器14から輻射器13側に延びる方向に、ユーザの身体を伝播するように構成されている。
【0042】
この信号出力装置10は、反射器14が輻射器13よりも指の根元側に配置されるようにして、ユーザの指に装着されることを前提としており、信号出力装置10がこのような正しい向きでユーザの指に装着されると、図2(a)に示すように、信号出力装置10から出力される電気信号は、装着部位よりも指先側の身体部位を伝播する。図2(a)は、信号出力装置10から出力される電気信号の伝播態様を表した説明図である。
【0043】
即ち、この信号出力装置10は、指向性を有し、アンテナ部15から出力される電気信号が、当該信号出力装置10が装着された指以外の部位から身体外部に出力されないように構成されている。本実施例の電子機器30は、このように構成された信号出力装置10からユーザの身体に入力された電気信号を受信することにより、ユーザが、信号出力装置10の装着された指で、タッチパネルを操作したか否かを判断し、この判断結果に従って実行する処理を切り替える。
【0044】
続いて、電子機器30の説明に移る。図1に示すように、本実施例の電子機器30は、導電性の薄膜材である導電性フィルム31と、導電性フィルム31が貼り付けられたタッチパネル33と、タッチパネル33が貼り付けられたディスプレイ35と、導電性フィルム31と電気的に接続され、導電性フィルム31を伝播する電気信号が入力される受信判定部37と、ディスプレイ35を制御する制御部39と、を備える。
【0045】
タッチパネル33は、導電性フィルム31によって被覆されるタッチ面を有し、タッチ面に対するユーザのタッチ動作を検知して、当該タッチ動作が行われたタッチ面上の位置座標を、操作信号として制御部39に入力する構成にされている。また、ディスプレイ35は、液晶ディスプレイ等に代表される周知の表示デバイスであり、制御部39に制御されて、タッチパネル33によって被覆される表示面に各種情報を表示する。
【0046】
一方、受信判定部37は、導電性フィルム31からの入力信号に基づき、信号出力装置10から出力された電気信号の受信有無を判定することで、信号出力装置10を装着した指の接触又は接近を検知する。具体的に、受信判定部37は、上記特定周波数の電気信号を、一定の信号強度以上で、導電性フィルム31を介して受信すると、信号出力装置10から出力された電気信号を受信したと判定し、受信有の旨の状態通知信号を、制御部39に入力する。一方、受信判定部37は、上記特定周波数の電気信号を、一定の信号強度以上で受信できない場合、受信無の旨の状態通知信号を、制御部39に入力する。このようにして、受信判定部37は、信号出力装置10から出力された電気信号の導電性フィルム31を通じた受信の有無を判定し、この結果を、制御部39に通知する。
【0047】
尚、図2(b)は、ユーザが信号出力装置10の装着されていない指でタッチパネルを操作するときのアンテナ部15から出力される電気信号の伝播態様を表した説明図であり、図2(c)は、ユーザが信号出力装置10の装着された指でタッチパネルを操作するときのアンテナ部15から出力される電気信号の伝播態様を表した説明図である。
【0048】
図2(b)に示すように、ユーザが信号出力装置10の装着されていない指でタッチパネルを操作する場合には、信号出力装置10の装着されていない指が導電性フィルム31に対して離れた位置にあるので、静電結合を無視すれば、導電性フィルム31に、信号出力装置10から出力される電気信号が伝播することはなく、受信判定部37では、受信無の旨の状態通知信号が制御部39に入力される。
【0049】
一方、図2(c)に示すように、ユーザが信号出力装置10の装着された指でタッチパネルを操作(タッチ)する場合には、信号出力装置10の装着された指がタッチパネルに近づき接触することになるので、導電性フィルム31に、信号出力装置10から出力される電気信号が伝播することになり、受信判定部37では、受信有の旨の状態通知信号が制御部39に入力される。
【0050】
本実施例の電子機器30が備える制御部39は、この受信判定部37からの状態通知信号に基づき、ユーザが信号出力装置10の装着された指でタッチパネルを操作しているか否かを判断し、この判断結果に従って処理を切り替える。
【0051】
続いて、制御部39が実行する処理について、図3を用いて説明する。図3は、制御部39が実行する文字入力受付処理を表すフローチャートである。この文字入力受付処理は、ユーザを通じて文字情報を受け取る際に、制御部39が実行するものである。
【0052】
例えば、電子機器30がカーナビゲーション装置である場合、上記文字入力受付処理は、経路探索時の目的地として、店舗名や住所などの情報を、ユーザから受け取る際に、制御部39により実行される。この他、電子機器30が、ハードディスク搭載型の音楽プレーヤである場合、上記文字入力受付処理は、ハードディスク装置に登録する楽曲の曲名情報をユーザから受け付ける際に、制御部39により実行される。
【0053】
制御部39は、当該文字入力受付処理を開始すると、まず、ディスプレイ35に、グラフィカルユーザインタフェースとして機能する文字入力画面を表示する(S110)。図4は、文字入力画面を表す図である。
【0054】
図4に示すように、本実施例では、各入力オブジェクト(操作ボタン)に対して、二つの文字を割り当ててなる文字入力画面をディスプレイ35に表示する。以下では、各入力オブジェクトに対して割り当てられた二つの文字を、第一の文字及び第二の文字と表現する。図4に示す例では、各入力オブジェクトに対し、第一の文字として、平仮名が割り当てられ、第二の文字として、アルファベットが割り当てられている。
【0055】
制御部39は、このような構成の文字入力画面を表示後、S120以降の処理を実行することにより、タッチパネル33を通じて入力オブジェクトがタッチされた際に、当該入力オブジェクトに割り当てられた第一及び第二の文字の内、いずれの文字を、入力文字として受け付ける。
【0056】
具体的に、S120に移行すると、制御部39は、タッチパネル33に対するタッチ動作が導電性フィルム31を介して行われることにより、タッチパネル33から、タッチ動作が行われたタッチ面上の位置座標を表す操作信号が、入力されるまで待機する。
【0057】
そして、タッチパネル33から上記操作信号が入力されると(S120でYes)、ディスプレイ35に表示されている入力オブジェクトの配置に従って、ユーザによりタッチされた入力オブジェクトを特定する(S130)。
【0058】
ここで、タッチされた文字入力画面の領域に入力オブジェクトが存在せず、入力オブジェクトの特定に失敗した場合には(S140でNo)、S120に移行する。
一方、タッチされた入力オブジェクトの特定に成功した場合には(S140でYes)、S150に移行し、タッチされた入力オブジェクトが、文字入力用の入力オブジェクトであるか否かを判断する。
【0059】
尚、文字入力画面には、第一及び第二の文字が割り当てられた文字入力用の入力オブジェクトの他に、スペース入力用の入力オブジェクト、漢字変換、小文字/大文字変換用の入力オブジェクト等が設けられている。しかしながら、本実施例では、文字入力用の入力オブジェクト以外の入力オブジェクトに対し、複数の機能を割り当てていない。従って、ここでは、タッチされた入力オブジェクトが文字入力用の入力オブジェクトであるか否かを判断することにより、タッチされた入力オブジェクトが、複数の機能(文字)が割り当てられた入力オブジェクトであるか否かを、判断する。
【0060】
そして、タッチされた入力オブジェクトが、文字入力用の入力オブジェクトであると判断すると(S150でYes)、制御部39は、当該入力オブジェクトによるタッチ動作が、信号出力装置10が装着された指(以下、信号出力装置装着指と表現する。)によって行われたタッチ動作であるか否かを判断する(S160)。
【0061】
具体的には、タッチパネル33から操作信号が入力されたときに受信判定部37から入力された状態通知信号が、受信有の旨の状態通知信号であると、入力オブジェクトによるタッチ動作が、信号出力装置装着指によって行われたタッチ動作であると判断し(S160でYes)、受信無の旨の状態通知信号であると、信号出力装置装着指によって行われたタッチ動作ではないと判断する(S160でNo)。
【0062】
そして、信号出力装置装着指によって行われたタッチ動作ではないと判断すると、制御部39は、S170に移行し、タッチされた入力オブジェクトに割り当てられた第一及び第二の文字の内、第一の文字(平仮名)を、ユーザからの入力文字として受け付けて、この入力文字を、文字入力画面における入力文字表示欄に表示する。その後、S120に移行する。
【0063】
一方、信号出力装置装着指によって行われたタッチ動作であると判断すると(S160でYes)、制御部39は、S175に移行し、タッチされた入力オブジェクトに割り当てられた第一及び第二の文字の内、第二の文字(アルファベット)を、ユーザからの入力文字として受け付けて、この入力文字を、文字入力画面における入力文字表示欄に表示する。その後、S120に移行する。
【0064】
この他、S150において上記タッチされた入力オブジェクトが、文字入力用の入力オブジェクトではないと判断すると、制御部39は、S180に移行し、タッチされた入力オブジェクトが、入力完了の旨のユーザ意思を表す「入力完了」オブジェクトであるか否かを判断する。そして、「入力完了」オブジェクトであると判断すると(S180でYes)、それまでに入力された文字群からなる語句(入力文字表示欄に表示された語句)を、ユーザからの入力語句として確定し(S190)、当該文字入力受付処理を終了する。
【0065】
一方、タッチされた入力オブジェクトが「入力完了」オブジェクトではないと判断すると(S180でNo)、制御部39は、タッチされた入力オブジェクトに対応する処理を実行する(S185)。例えば、スペース入力用の入力オブジェクトがタッチされた場合には、文字入力表示欄に表示された入力文字の最後尾にスペースを挿入する処理を実行し、漢字変換用の入力オブジェクトがタッチされた場合には、文字入力表示欄に表示された未変換の入力文字を漢字変換する処理を実行する。その後、S120に移行する。
【0066】
以上、本実施例の情報処理システム1について説明したが、本実施例の情報処理システム1では、文字入力画面において、文字入力用の各入力オブジェクトに対し、複数の文字を割り当てて、受信判定部37から入力される状態通知信号に従って、タッチされた入力オブジェクトが同じであっても、タッチされた指が信号出力装置装着指であるか否かによって、入力文字として受け付ける文字を切り替えるようにした。
【0067】
従って、この電子機器30によれば、アルファベット入力用の画面、平仮名入力用の画面を切り替えてディスプレイに表示しなくても済み、ユーザは、画面を切り替える操作をしなくても、タッチパネル33にタッチする指を変える程度で、簡単に、文字の種類を切り替えて、語句を入力することができる。
【0068】
更に言えば、この電子機器30によれば、文字入力画面に、画面切替用の入力オブジェクトを設けなくて済むので、文字入力画面に表示する入力オブジェクト数を減らすことができて、操作しやすい文字入力画面を表示することができる。
【0069】
よって、この情報処理システム1によれば、電子機器30に対する操作性が向上する。
尚、以上に説明した第一実施例の情報処理システム1と、「特許請求の範囲」との対応関係は、次の通りである。即ち、請求項2に記載の入力デバイスは、本実施例のタッチパネル33に対応し、処理実行手段は、制御部39に対応し、検知手段は、受信判定部37及び導電体としての導電性フィルム31に対応する。
【0070】
ところで、上記実施例では、一つの入力オブジェクトに対して複数の文字を割り当てるようにしたが、このような手法を採用すると、画面を切り替える必要がなくなる一方で、入力オブジェクトに複数の文字を表示する必要が生じ、表示文字が小さすぎることによって、高齢のユーザ等、特定ユーザにとっては、操作性が十分に改善されない可能性がある。
【0071】
従って、情報処理システム1は、タッチパネル33にタッチされた指が信号出力装置装着指であるか否かによって、アルファベット入力用の画面、平仮名入力用の画面を切り替えてディスプレイ35に表示する構成にされてもよい(第二実施例)。
【0072】
[第二実施例]
続いて、第二実施例の情報処理システム1について、図5及び図6を用いて説明する。但し、第二実施例の情報処理システム1は、制御部39が実行する文字入力受付処理の内容が、第一実施例と異なる程度であるので、以下では、制御部39が実行する処理の内容を選択的に説明する。
【0073】
図5は、第二実施例の制御部39が実行する文字入力受付処理を表すフローチャートである。この文字入力受付処理を開始すると、制御部39は、まず、平仮名入力用の文字入力画面である第一入力画面をディスプレイ35に表示する(S210)。図6(a)は、第一入力画面を表す図である。本実施例では、第一実施例とは異なり、各入力オブジェクトに対して、単一の文字が割り当てられた文字入力画面を表示する。
【0074】
この処理を終えると、制御部39は、タッチパネル33に対するタッチ動作が導電性フィルム31を介して行われることにより、タッチパネル33から、タッチ動作が行われたタッチ面上の位置座標を表す操作信号が、入力されるまで待機する(S220)。
【0075】
そして、タッチパネル33から上記操作信号が入力されると(S220でYes)、当該操作信号が入力されたときに受信判定部37から入力された状態通知信号に基づき、タッチパネル33に対するタッチ動作が、信号出力装置装着指によって行われたタッチ動作であるか否かを判断する(S230)。S230での判断手法は、第一実施例におけるS160での判断手法と同様である。
【0076】
ここで、タッチパネル33に対するタッチ動作が信号出力装置装着指によって行われたタッチ動作であると判断すると(S230でYes)、制御部39は、現在ディスプレイ35に表示中の文字入力画面が、アルファベット入力用の文字入力画面である第二入力画面であるか否かを判断する(S240)。図6(b)は、第二入力画面を表す図である。
【0077】
そして、表示中の文字入力画面が、第二入力画面であると判断すると、S260に移行し、第二入力画面ではなく第一入力画面であると判断すると(S240でNo)、S245に移行して、第一入力画面に代えて第二入力画面をディスプレイ35に表示した後、S220に移行する。
【0078】
一方、制御部39は、タッチパネル33に対するタッチ動作が、信号出力装置装着指によるタッチ動作ではないと判断すると(S230でNo)、現在ディスプレイ35に表示中の文字入力画面が、第一入力画面であるか否かを判断する(S250)。そして、表示中の文字入力画面が、第一入力画面であると判断すると、S260に移行し、第一入力画面ではなく第二入力画面であると判断すると(S250でNo)、S255に移行して、第二入力画面に代えて第一入力画面をディスプレイ35に表示する。その後、S220に移行する。
【0079】
この他、S260に移行すると、制御部39は、現在ディスプレイ35に表示されている文字入力画面における入力オブジェクトの配置に従って、ユーザによりタッチされた入力オブジェクトを特定する。即ち、ディスプレイ35に表示されている文字入力画面が第一入力画面である場合には、第一入力画面における入力オブジェクトの配置に従って、ユーザによりタッチされた入力オブジェクトを特定し、ディスプレイ35に表示されている文字入力画面が第二入力画面である場合には、第二入力画面における入力オブジェクトの配置に従って、ユーザによりタッチされた入力オブジェクトを特定する。
【0080】
ここで、タッチされた文字入力画面の領域に入力オブジェクトが存在せず、入力オブジェクトの特定に失敗した場合には(S270でNo)、S220に移行する。
一方、タッチされた入力オブジェクトの特定に成功した場合には(S270でYes)、S280に移行し、タッチされた入力オブジェクトが、入力完了の旨のユーザ意思を表す「入力完了」オブジェクトであるか否かを判断する。
【0081】
そして、「入力完了」オブジェクトであると判断すると(S280でYes)、それまでに入力された文字群からなる語句(入力文字表示欄に表示された語句)を、ユーザからの入力語句として確定して(S290)、当該文字入力受付処理を終了する。
【0082】
これに対し、タッチされた入力オブジェクトが「入力完了」オブジェクトではないと判断すると(S280でNo)、制御部39は、タッチされた入力オブジェクトに対応する処理を実行する(S285)。
【0083】
具体的には、タッチされた入力オブジェクトが文字入力用の入力オブジェクトである場合、当該入力オブジェクトに割り当てられた文字を、ユーザからの入力文字として受け付けて、この入力文字を、文字入力画面における入力文字表示欄に表示する。
【0084】
詳述すると、第一入力画面に表示される文字「あ」の入力オブジェクトと、第二入力画面に表示される文字「A」の入力オブジェクトは、タッチパネル33における同じ位置に配置されるため、ユーザが文字「あ」の入力オブジェクトをタッチした場合、及び、文字「A」の入力オブジェクトをタッチした場合のいずれにおいても、タッチパネル33からは、これらの入力オブジェクトが配置されるタッチパネル33上の位置座標を表す操作信号が入力されることになる。
【0085】
しかしながら、制御部39は、S260での処理を介すことにより、第一入力画面がディスプレイ35に表示されている場合に当該操作信号が入力された場合には、文字「あ」をユーザからの入力文字として受け付け、第二入力画面がディスプレイ35に表示されている場合には、文字「A」をユーザからの入力文字として受け付ける。
【0086】
このようにしてS285での処理を終えると、制御部39は、S220に移行して、次のタッチ動作がなされるまで待機する。
以上、第二実施例の情報処理システム1について説明したが、本実施例の電子機器30は、信号出力装置装着指以外の身体部位で、タッチパネル33がタッチされると、第一入力画面を表示し、信号出力装置装着指で、タッチパネル33がタッチされると、第二入力画面を表示し、タッチパネル33から入力される操作信号に基づき、表示中の文字入力画面に対する文字入力操作を受け付ける。従って、ユーザは、タッチパネル33にタッチする指を切り替える程度で、文字の種類を切り替えて、文字入力操作を行うことができる。
【0087】
よって、本実施例によれば、文字入力画面に、画面切替用の入力オブジェクトを表示する必要もないし、このような入力オブジェクトに対する操作をしなくても、ユーザは、画面を切り替えることができる。従って、電子機器30に対する操作性が向上する。
【0088】
尚、第二実施例の情報処理システム1と、「特許請求の範囲」との対応関係は、次の通りである。即ち、請求項4記載の表示デバイスは、ディスプレイ35に対応し、処理実行手段が操作画面を切り替える動作は、制御部39が実行するS230〜S255の処理により実現されている。
【0089】
ところで、第二実施例では、第一実施例と同様、電界方式により信号出力装置10からユーザの身体に電気信号を入力しているので、信号出力装置10の装着された指で、導電性フィルム31に触れなくても、ユーザが信号出力装置10の装着された指を、導電性フィルム31に近接させる程度で、人体と導電性フィルム31間の静電結合により、ユーザの身体を伝播する電気信号が、導電性フィルム31に伝播する。
【0090】
即ち、受信判定する信号強度の閾値を調整することにより、受信判定部37では、信号出力装置10の装着された指が導電性フィルム31に触れていない状態でも、信号出力装置10からの電気信号を受信したと判定することが可能である。
【0091】
従って、第一入力画面から第二入力画面への文字入力画面の切替は、信号出力装置装着指がタッチパネル33に接触したか否かに拘らず、信号出力装置装着指が導電性フィルム31(タッチパネル33)に近づけられた時点で、行われるように、電子機器30は構成されてもよい(第三実施例)。
【0092】
[第三実施例]
続いて、第三実施例の情報処理システム1について、図7を用いて説明する。但し、第三実施例の情報処理システム1は、制御部39が実行する文字入力受付処理の内容が、第二実施例と異なる程度である。従って、以下では、制御部39が実行する文字入力受付処理の内容を選択的に説明する。尚、以下では、第二実施例と同一の処理を実行するステップに対して同一ステップ番号を付して、適宜説明を省略する。
【0093】
図7は、第三実施例の制御部39が実行する文字入力受付処理を表すフローチャートである。この文字入力受付処理を開始すると、制御部39は、S210にて、第一入力画面(図6(a)参照)をディスプレイ35に表示する。
【0094】
その後、タッチパネル33から操作信号が入力されているか否かを判断し(S220)、タッチパネル33から操作信号が入力されていると判断すると(S220でYes)、S230に移行し、第二実施例と同様の処理を実行する。
【0095】
一方、タッチパネル33から操作信号が入力されていないと判断すると(S220でNo)、制御部39は、受信有の旨の状態通知信号が受信判定部37から入力されているか否かを判断する(S310)。
【0096】
そして、受信有の旨の状態通知信号が入力されていると判断すると(S310でYes)、ディスプレイ35に表示中の文字入力画面を、第二入力画面(図6(b)参照)に切り替えた後(S320)、S220に移行する。尚、ディスプレイ35に既に第二入力画面が表示されている場合、S320では、実質的な処理を何ら実行せずに、S220に移行する。
【0097】
これに対し、S310で、受信有の旨の状態通知信号が入力されておらず、受信無の旨の状態通知信号が入力されていると判断すると(S310でNo)、制御部39は、S330に移行し、受信判定部37から入力される状態通知信号が「受信有」の旨の状態通知信号から「受信無」の旨の状態通信信号に切り替わってから一定時間が経過したか否かを判断する。
【0098】
そして、一定時間が経過していないと判断すると(S330でNo)、S340の処理を実行せずに、S220に移行し、一定時間が経過したと判断すると(S330でYes)、S340にて、ディスプレイ35に表示中の文字入力画面を、第一入力画面(図6(a)参照)に切り替えた後、S220に移行する。
【0099】
即ち、第三実施例の電子機器30は、タッチパネル33から操作信号が入力されるまでの待機期間中に、信号出力装置装着指がタッチパネル33に近づけられて、受信判定部37から受信有の旨の状態通知信号が入力されると、その後、信号出力装置装着指がタッチパネル33から遠ざけられて、受信判定部37から一定時間、受信無の旨の状態通知信号が入力されるまでの期間、ディスプレイ35に第二入力画面を表示する。
【0100】
従って、本実施例の情報処理システム1によれば、第二実施例とは異なり、第二入力画面を通じて文字入力する場合に、ユーザは、タッチパネル33に指をタッチさせなくても、タッチパネル33に信号出力装置装着指を近づける程度で、当該第二入力画面を呼び出して、その文字入力を行うことができる。
【0101】
即ち、本実施例によれば、タッチパネル33に信号出力装置装着指を接触させて画面を切り替える動作をしなくて済み、文字入力画面の切替操作が、第二実施例よりも一層簡単である。
【0102】
[第四実施例]
続いて、第四実施例について、図8及び図9を用いて説明する。尚、以下に説明する第四実施例の情報処理システム1は、電子機器30が、絵描き用の電子機器として機能するものであるが、このシステムのハードウェア構成は、第一〜第三実施例と同様である。換言すれば、第四実施例の情報処理システム1は、制御部39が実行する処理の内容が、第一〜第三実施例と異なる程度である。
【0103】
従って、以下では、第四実施例の説明として、制御部39が実行する処理を選択的に説明する。まず、制御部39が実行する処理の内容について、図8を用いて概略的に説明する。図8は、制御部39がディスプレイ35に表示するお絵描き画面の構成を表す説明図である。
【0104】
本実施例の制御部39は、ディスプレイ35に、図8に示す画面を表示し、タッチパネル33を通じてユーザの操作を受け付けて、ユーザによりタッチパネル33上に描写された絵を、ディスプレイ35に表示する。
【0105】
具体的に、ディスプレイ35に表示されるお絵描き画面は、描画領域と、コマンド割当領域と、からなり、制御部39は、タッチパネル33から入力される操作信号に基づき、描画領域に対応するタッチパネル33の領域にユーザが指で描いた絵を、描画領域上に表示する。
【0106】
また、この際には、信号出力装置装着指にてタッチパネル33がタッチされたか否かを判断することによって、信号出力装置装着指で描かれた絵については、信号出力装置装着指に割り当てられたペン色で、この絵を描画領域に表示し、信号出力装置装着指以外の指で描かれた絵については、信号出力装置装着指以外の指に割り当てられたペン色で、この絵を描画領域に表示する。
【0107】
そして、このペン色の割当は、コマンド割当領域で実現される。即ち、コマンド割当領域は、ユーザが、信号出力装置装着指及び信号出力装置装着指以外の指に、ペン色又は消しゴム機能を割り当てる操作を行うための領域として用いられる。
【0108】
続いて、制御部39が実行する処理の詳細内容を、図9を用いて説明する。図9は、制御部39が、お絵描き画面のディスプレイ35への表示後に、繰返し実行する描画操作受付処理を表すフローチャートである。
【0109】
描画操作受付処理を開始すると、制御部39は、まず、タッチパネル33から操作信号が入力されたか否かを判断する(S410)。そして、タッチパネル33から操作信号が入力されていないと判断すると(S410でNo)、当該描画操作受付処理を一旦終了し、一定時間後に再度、S410の処理を実行することにより、タッチパネル33から操作信号が入力されるまで待機する。
【0110】
一方、タッチパネル33から操作信号が入力されたと判断すると(S410でYes)、制御部39は、S420に移行し、操作信号が表す位置座標が、描画領域に対応する位置座標であるか否かを判断することによって、ユーザのタッチ動作が描画領域に対して行われたものであるか否かを判断する。
【0111】
そして、ユーザのタッチ動作が描画領域に対して行われたものであると判断すると(S420でYes)、S480に移行し、ユーザのタッチ動作が描画領域に対して行われたものではないと判断すると(S420でNo)、S430に移行する。
【0112】
S430に移行すると、制御部39は、ディスプレイ35に表示されているお絵描き画面における入力オブジェクト(操作ボタン)の配置に従って、ユーザによりタッチされた入力オブジェクトを特定する。具体的に、お絵描き画面においては、そのコマンド割当領域に、複数の入力オブジェクトが配置されており、S430では、これらの入力オブジェクトの内、ユーザによりタッチされた入力オブジェクトを特定する。
【0113】
但し、タッチされた領域に入力オブジェクトが存在せず、入力オブジェクトの特定に失敗する場合もある。従って、この場合には(S440でNo)、当該描画操作受付処理を一旦終了して、ユーザのタッチ動作を無効化する。
【0114】
一方、タッチされた入力オブジェクトの特定に成功した場合には(S440でYes)、S450に移行し、今回のタッチ動作時に受信判定部37から入力された状態通知信号に基づいて、タッチパネル33に対するタッチ動作が、信号出力装置装着指によって行われたタッチ動作であるか否かを判断する(S450)。尚、S450での判断手法は、第一実施例におけるS160での判断手法と同様である。
【0115】
そして、タッチパネル33に対するタッチ動作が、信号出力装置装着指によって行われたタッチ動作ではないと判断すると(S450でNo)、制御部39は、タッチされた入力オブジェクトに割り当てられたコマンドを、通常コマンドに設定すると共に(S451)、タッチされた入力オブジェクトに、第一エフェクト画像を重ね合わせるように表示して(S455)、当該描画操作受付処理を一旦終了する。
【0116】
本実施例では、このようしてユーザによりタッチされた入力オブジェクトにエフェクトをかけ、信号出力装置装着指以外の身体部位にて、タッチ動作を描画領域に行ったときに実行される処理(描画される絵のペン色等)を、コマンド割当領域にてユーザに示す。
【0117】
尚、S455では、既に他の入力オブジェクトに第一エフェクト画像が重ね合わせ表示されている場合、その第一エフェクト画像を他の入力オブジェクトから取り除いて、今回タッチされた入力オブジェクトに第一エフェクト画像を重ね合わせ表示する。このようにして、本実施例では、お絵描き画面にある複数の入力オブジェクトの内、一つのみが第一エフェクト画像と重ね合わせ表示されるようにする。尚、図8に示す例では、緑色のペン色に対応する入力オブジェクトに、第一エフェクト画像としての半透明の塗りつぶし画像が、表示されている。
【0118】
一方、S450で、タッチパネル33に対するタッチ動作が、信号出力装置装着指によって行われたタッチ動作であると判断すると(S450でYes)、制御部39は、タッチされた入力オブジェクトに割り当てられたコマンドを、信号出力装置装着指コマンドに設定すると共に(S461)、タッチされた入力オブジェクトに、第一エフェクト画像とは異なるエフェクト画像である第二エフェクト画像を重ね合わせるように表示して(S465)、当該描画操作受付処理を一旦終了する。
【0119】
本実施例では、このようして第二エフェクト画像を表示することにより、信号出力装置装着指にて、タッチ動作を描画領域に行ったときに実行される処理(描画される絵のペン色等)を、コマンド割当領域にてユーザに示す。尚、図8に示す例では、赤色のペン色に対応する入力オブジェクトに、第二エフェクト画像としての枠画像が、表示されている。
【0120】
一方、S480に移行すると、制御部39は、S450と同様に、タッチパネル33に対するタッチ動作が、信号出力装置装着指によって行われたタッチ動作であるか否かを判断し、タッチパネル33に対するタッチ動作が、信号出力装置装着指によって行われたタッチ動作ではないと判断すると(S480でNo)、通常コマンドに設定されたコマンドに対応する描画処理を実行する(S490)。
【0121】
例えば、通常コマンドに、「ペン色(黒)」の入力オブジェクトに割り当てられたコマンドが設定されている場合には、ユーザがタッチ動作を止めるまで、タッチパネル33から操作信号として入力される位置座標に対応するディスプレイ35の領域に、黒色の線を描画する処理を行う。また、通常コマンドに、「消しゴム」の入力オブジェクトに割り当てられたコマンドが設定されている場合には、ユーザがタッチ動作を止めるまで、タッチパネル33から操作信号として入力される位置座標に対応するディスプレイ35の領域に描かれた線を消す処理を行う。また、通常コマンドに、「戻る」の入力オブジェクトに割り当てられたコマンドが設定されている場合には、前回行われた処理を無効化して、ユーザによる描画作業を一つ前の状態に戻す処理を行う。
【0122】
尚、通常コマンドとしては、予め初期値が定められており、S451の処理が一度も実行されていない状況下では、この初期値に従って描画処理を行うものとする。
この他、S480で、タッチパネル33に対するタッチ動作が、信号出力装置装着指によって行われたタッチ動作であると判断すると(S480でYes)、制御部39は、信号出力装置装着指コマンドに設定されたコマンドに対応する描画処理を実行する(S495)。具体的な描画処理の内容は、S490で説明した通りである。尚、信号出力装置装着指コマンドに対しても、予め初期値が定められており、S461の処理が一度も実行されていない状況下では、この初期値に従って描画処理を行う。
【0123】
また、S490,S495の処理を終えると、制御部39は、一旦描画操作受付処理を終了して、再び、S410から処理を開始することにより、逐次、ユーザの描画操作を受け付ける。
【0124】
以上、第四実施例の情報処理システム1について説明したが、本実施例によれば、従来装置とは異なりユーザの指に複数のペン色を割り当てることができ、ユーザは、どの指でタッチして絵を描くか決める程度で、簡単に、異なるペン色の線を描くことができる。従って、本実施例によれば、タッチパネル33を通じて簡単にカラフルな絵を描くことができる。
【0125】
また、本実施例では、描画領域に対してタッチ動作が行われたときに実行すべき処理の内容と、受信判定部37の判定結果との対応関係を、ユーザからの指示に従って変更できるようにした。即ち、信号出力装置装着指によるタッチ動作が行われた時に実行すべき処理の内容と、それ以外の身体部位によるタッチ動作が行われた時に実行すべき処理の内容とを、コマンド割当領域を通じたユーザからの指示に従って変更できるようにした。
【0126】
従って、本実施例によれば、ユーザは、扱いやすい指に、頻繁に用いるペン色を設定するなどの作業を行うことで、快適に、指を使って描画領域に絵を描くことができる。よって、本実施例によれば、タッチパネル33を通じて絵を描く際の操作性が向上する。尚、「特許請求の範囲」記載の対応関係変更手段は、本実施例において、制御部39が実行するS430〜S465の処理により実現されている。
【0127】
[第五実施例]
続いて、第五実施例について、図10及び図11を用いて説明する。尚、第五実施例の情報処理システム1は、電子機器30が、複数の信号出力装置10から出力される電気信号の受信・非受信を判定できるように構成されると共に、この結果に従って、描画操作受付処理を実行する構成にされたものであり、他の構成は、第四実施例と基本的に同様である。従って、以下では、第四実施例とは異なる構成を、選択的に説明する。
【0128】
図10は、本実施例の信号出力装置10−電子機器30間における電気信号の送受信の態様を示した説明図である。図10(a)に示すように、本実施例の情報処理システム1は、ユーザの異なる指に複数の信号出力装置10が装着されて、当該ユーザにより電子機器30が操作されることを前提に構成されたものである。
【0129】
この情報処理システム1において、複数の信号出力装置10の夫々は、電子機器30の受信判定部37が、導電性フィルム31を通じて入力される信号出力装置10からの電気信号がどの信号出力装置10から出力された信号であるか否かを判定できるように、自装置固有の周波数の電気信号(電波)を出力する構成にされている。
【0130】
そして、電子機器30の受信判定部37は、各信号出力装置10に割り当てられた周波数毎に、当該周波数の電気信号の受信有無を判定し、各信号出力装置10に割り当てられた周波数のいずれかに該当する電気信号を受信した場合には、受信した電気信号の送信元信号出力装置の装置IDを格納した受信有の旨の状態通知信号を出力する構成にされている。
【0131】
尚、図10(b)は、状態通知信号の制御部39への入力態様を示した説明図である。受信判定部37は、予め周波数と装置IDとの対応関係を記憶しており、この対応関係に従って、受信した電気信号の送信元信号出力装置の装置IDを、状態通知信号に格納して、制御部39に通知する。また、受信判定部37は、信号出力装置10に割り当てられた周波数の電気信号を受信できない場合、状態通知信号として、受信無の旨の状態通知信号を制御部39に入力する。
【0132】
続いて、図11を用いて、制御部39が実行する描画操作受付処理について説明する。但し、本実施例の描画操作受付処理は、図9において一点鎖線及び点線で囲まれる部位の内容が、第四実施例の描画操作受付処理と異なる程度であるので、図11には、この部位の処理内容のみを示す。
【0133】
ちなみに、図11(a)は、S450への移行後、図9において点線で囲まれる部位に代わって、本実施例の制御部39が実行する処理の内容を表すフローチャートであり、図11(b)は、S480への移行後、図9において一点鎖線で囲まれる部位に代わって、制御部39が実行する処理の内容を表すフローチャートである。
【0134】
制御部39は、コマンド割当領域へのタッチ動作が行われることで、S450に移行すると、まず、タッチパネル33に対するタッチ動作が、信号出力装置装着指によって行われたタッチ動作であるか否かを判断する。即ち、今回のタッチ動作時に受信判定部37から入力された状態通知信号が、受信有の旨の状態通知信号であるか否かを判断する。
【0135】
そして、タッチパネル33に対するタッチ動作が、信号出力装置装着指によって行われたタッチ動作ではないと判断すると(S450でNo)、S451に移行し、信号出力装置装着指によって行われたタッチ動作であると判断すると(S450でYes)、S470に移行する。
【0136】
また、S470では、今回のタッチ動作時に受信判定部37から入力された状態通知信号により通知された装置IDが、ユーザに装着された第一及び第二の信号出力装置10の内、いずれの装置IDであるかを判断することにより、タッチ動作が行われた指が、第一の信号出力装置10が装着された指であるのか、それとも第二の信号出力装置10が装着された指であるのかを判断する。尚、ここでは、ユーザの指に装着される二つの信号出力装置10を、第一及び第二の信号出力装置10と表現する。
【0137】
そして、状態通知信号により通知された装置IDが第一の信号出力装置10の装置IDであると判断すると(S470でYes)、制御部39は、S471に移行し、タッチされた入力オブジェクトに割り当てられたコマンドを、第一信号出力装置装着指コマンドに設定すると共に(S471)、タッチされた入力オブジェクトに、上記第二エフェクト画像(枠画像)を重ね合わせるように表示し(S473)、当該描画操作受付処理を一旦終了する。
【0138】
一方、状態通知信号により通知された装置IDが第二の信号出力装置10の装置IDであると判断すると(S470でNo)、制御部39は、S475に移行し、タッチされた入力オブジェクトに割り当てられたコマンドを、第二信号出力装置装着指コマンドに設定すると共に(S475)、タッチされた入力オブジェクトに、第一及び第二エフェクト画像とは異なる第三エフェクト画像を重ね合わせるように表示して(S477)、当該描画操作受付処理を一旦終了する。尚、第三エフェクト画像としては、例えば、枠画像の点滅画像を、タッチされた入力オブジェクトに重ねて表示することができる。
【0139】
その他、制御部39は、描画領域へのタッチ動作が行われることで、S480に移行すると、S450での処理と同様に、タッチパネル33に対するタッチ動作が、信号出力装置装着指によって行われたタッチ動作であるか否かを判断し、タッチパネル33に対するタッチ動作が、信号出力装置装着指によって行われたタッチ動作ではないと判断すると(S480でNo)、S490に移行する。
【0140】
これに対し、タッチパネル33に対するタッチ動作が、信号出力装置装着指によって行われたタッチ動作であると判断すると(S480でYes)、制御部39は、S470での処理と同様に、状態通知信号により通知された装置IDが第一の信号出力装置10の装置IDであるか否かを判断することによって、タッチ動作が行われた指が、第一の信号出力装置10が装着された指であるのか否かを判断する(S491)。
【0141】
そして、状態通知信号により通知された装置IDが第一の信号出力装置10の装置IDであると判断すると(S491でYes)、制御部39は、第一信号出力装置装着指コマンドに設定されたコマンドに対応する描画処理を実行する(S493)。
【0142】
一方、状態通知信号により通知された装置IDが第一の信号出力装置10の装置IDではないと判断すると(S491でNo)、第二信号出力装置装着指コマンドに設定されたコマンドに対応する描画処理を実行する(S497)。その後、当該描画操作受付処理を一旦終了する。
【0143】
以上、第五実施例の情報処理システム1について説明したが、本実施例によれば、複数の信号出力装置10を用いているので、第四実施例によりも、更にユーザの複数本の指に、異なるペン色等を割り当てることができ、タッチパネル33を通じて絵を描く際の操作性が向上する。
【0144】
[第六実施例]
続いて、第六実施例について、図12を用いて説明する。但し、第六実施例の情報処理システム1は、制御部39が実行する処理の内容が、第五実施例と異なる程度であるので、以下では、制御部39が実行する処理の内容を選択的に説明する。尚、第六実施例では、電子機器30がお絵描き用の電子機器であるという前提を設定せず、広く一般的な電子機器30に適用可能な処理の内容を説明する。
【0145】
図12(a)は、本実施例の制御部39が、ディスプレイ35に表示する画面の構成例を表す説明図である。本実施例では、ユーザが複数の信号出力装置10を装着していることを前提として、ディスプレイ35に、三以上の機能(コマンド)を割り当てた入力オブジェクトを表示する。
【0146】
具体的に、本実施例では、ユーザが二つの信号出力装置10を装着していることを前提として、各入力オブジェクトに4つの機能を割り当てて、これら各入力オブジェクトを表示する。そして、制御部39は、タッチパネル33を通じて入力オブジェクトがタッチされると、その時に受信判定部37から入力された状態通知信号に基づき、タッチされた入力オブジェクトに割り当てられた4つの機能に対応する処理のいずれか一つを選択的に実行する(詳細後述)。
【0147】
尚、本実施例の情報処理システム1では、信号出力装置10が装着された複数本の指での入力オブジェクトへの同時押しを許容するため、受信判定部37は、複数の信号出力装置10から同時に電気信号を受信している場合、状態通知信号に、受信した電気信号に対応する装置IDの全てを格納し、これを制御部39に入力する構成にされている。
【0148】
続いて、制御部39が実行する処理の詳細を、図12(b)を用いて説明する。図12(b)は、制御部39が繰返し実行する入力受付処理を表すフローチャートである。
この入力受付処理を開始すると、制御部39は、タッチパネル33から操作信号が入力されたか否かを判断する(S510)。そして、タッチパネル33から操作信号が入力されていないと判断すると(S510でNo)、当該入力受付処理を一旦終了する。
【0149】
一方、タッチパネル33から操作信号が入力されたと判断すると(S510でYes)、S520に移行し、ディスプレイ35に表示されている入力オブジェクト(操作ボタン)の配置に従い、ユーザによりタッチされた入力オブジェクトを特定する。
【0150】
ここで、タッチされた領域に入力オブジェクトが存在せず、入力オブジェクトの特定に失敗した場合には(S530でNo)、当該入力受付処理を一旦終了する。これに対し、タッチされた入力オブジェクトの特定に成功した場合には(S530でYes)、S540に移行し、状態フラグq,rをオフに設定する(q=0,r=0)。
【0151】
また、S540での処理を終えると、制御部39は、S550に移行し、今回のタッチ動作時に受信判定部37から入力された状態通知信号によって、第一の信号出力装置10の装置IDが通知されたか否かを判断する。これによって、第一の信号出力装置10が装着された指によるタッチ動作が行われたか否かを判断する。
【0152】
そして、第一の信号出力装置10の装置IDが通知されたと判断すると(S550でYes)、状態フラグqをオン(q=1)に設定する(S555)。その後、S560に移行する。一方、第一の信号出力装置10の装置IDが通知されていないと判断すると(S550でNo)、S555の処理を実行せずに、S560に移行する。
【0153】
また、S560に移行すると、制御部39は、今回のタッチ動作時に受信判定部37から入力された状態通知信号により、第二の信号出力装置10の装置IDが通知されたか否かを判断する。これによって、第二の信号出力装置10が装着された指によるタッチ動作が行われたか否かを判断する。尚、S550でYesと判断している場合には、ここで、第一及び第二の信号出力装置10が装着された二つの指で同時に入力オブジェクトがタッチされたか否か(同時押しされたか否か)を判断することになる。
【0154】
そして、第二の信号出力装置10の装置IDが通知されたと判断すると(S560でYes)、状態フラグrをオン(r=1)に設定した後(S565)、S570に移行する。一方、第二の信号出力装置10の装置IDが通知されていないと判断すると(S560でNo)、S565の処理を実行せずに、S570に移行する。
【0155】
また、S570に移行すると、制御部39は、状態フラグq,rの値に基づいて、タッチされた入力オブジェクトに割り当てられた機能の一つに対応する処理を選択的に実行する。例えば、図12(a)の右側最上段に示す入力オブジェクトがタッチされた場合には、この入力オブジェクトに割り当てられた機能A、機能B、機能C、及び機能Dのいずれか一つを、状態フラグq,rの値に基づいて選択し、選択した機能に対応する処理を実行する。
【0156】
(q,r)=(1,0)の時、機能Aに対応する処理を実行し、(q,r)=(0,1)の時、機能Bに対応する処理を実行し、(q,r)=(1,1)の時、機能Cに対応する処理を実行し、(q,r)=(0,0)の時、機能Dに対応する処理を実行するといった具合である。その後、当該入力受付処理を終了する。
【0157】
ちなみに、第一の信号出力装置10が装着された指のみで入力オブジェクトがタッチされると、状態フラグは(q,r)=(1,0)となり、第二の信号出力装置10が装着された指のみで入力オブジェクトがタッチされると、状態フラグは、(q,r)=(0,1)となり、第一及び第二信号出力装置10が装着された二つの指で入力オブジェクトが同時押しされると、状態フラグは(q,r)=(1,1)となり、第一及び第二の信号出力装置10が装着された指以外の身体部位で入力オブジェクトがタッチされると、状態フラグは、(q,r)=(0,0)となる。
【0158】
以上、第六実施例の情報処理システム1について説明したが、本実施例によれば、ユーザは、タッチする指の選択で、同じ入力オブジェクトに対するタッチ動作であっても、計4つの指令を電子機器30に対して入力することができる。
【0159】
従って、本実施例によれば、設計者は、表示画面に表示する入力オブジェクトの数を減らして、シンプルな表示画面をディスプレイ35に表示するように、電子機器30を設計することができる。尚、請求項9記載の処理実行手段は、本実施例の制御部39が実行する入力受付処理に対応する。
【0160】
[第七実施例]
続いて、第七実施例について、図13を用いて説明する。但し、第七実施例の情報処理システム1は、制御部39が実行する入力受付処理の内容が、第六実施例と異なる程度であるので、以下では、制御部39が実行する処理の内容を選択的に説明する。
【0161】
図13は、制御部39が繰返し実行する入力受付処理を表すフローチャートである。本実施例の制御部39は、図13に示す処理を繰返し実行することにより、タッチパネル33にタッチされた指の順序に従って、入力オブジェクトに割り当てられた複数の機能から、一つの機能に対応する処理を選択的に実行する。尚、本実施例では、一つの入力オブジェクトに対して多数の機能を割り当てることができるので、ディスプレイ35には、単一の入力オブジェクトを表示するものとする。
【0162】
図13に示す入力受付処理を開始すると、制御部39は、タッチパネル33から入力される操作信号に基づき、上記入力オブジェクトがタッチされたか否かを判断し、入力オブジェクトがタッチされていないと判断すると(S610でNo)、当該入力受付処理を終了する。
【0163】
一方、上記入力オブジェクトがタッチされたと判断すると(S610でYes)、連続タッチ回数を表す変数iをi=0に初期化すると共に(S620)、S630に移行して、指の接触順を記録するための変数Z=(Z[0],Z[1],Z[2])をゼロに初期化する(Z=(0,0,0))。
【0164】
また、この処理を終えると、制御部39は、S640に移行し、今回のタッチ動作時に受信判定部37から入力された状態通知信号により、第一の信号出力装置10の装置IDが通知されたか否かを判断する。これによって、第一の信号出力装置10が装着された指によるタッチ動作が行われたか否かを判断する。
【0165】
そして、第一の信号出力装置10の装置IDが通知されたと判断すると(S640でYes)、変数Z[i]を値1に設定した後(S645)、S660に移行する。
一方、第一の信号出力装置10の装置IDが通知されていないと判断すると(S640でNo)、制御部39は、S650に移行し、今回のタッチ動作時に受信判定部37から入力された状態通知信号により、第二の信号出力装置10の装置IDが通知されたか否かを判断する。これによって、第二の信号出力装置10が装着された指によるタッチ動作が行われたか否かを判断する。
【0166】
そして、第二の信号出力装置10の装置IDが通知されたと判断すると(S650でYes)、変数Z[i]を値2に設定した後(S655)、S660に移行する。この他、第二の信号出力装置10の装置IDが通知されていないと判断すると(S650でNo)、制御部39は、今回入力オブジェクトにタッチされた指が、信号出力装置装着指ではないと判断して、変数Z[i]を値3に設定した後(S659)、S660に移行する。
【0167】
また、S660に移行すると、制御部39は、変数iを1加算した値に更新した後、更新後の変数iが値2を超えているか否かを判断する(S665)。即ち、連続タッチ回数iが値3以上であるか否かを判断する。そして、変数i>2であると判断すると(S665)、S690に移行する。
【0168】
一方、変数iが値2以下であると判断すると(S665でNo)、制御部39は、S670に移行し、再度、入力オブジェクトに対するタッチ動作が行われるか、タッチ動作が行われないまま一定時間が経過するまで待機する(S670,S675)。
【0169】
そして、入力オブジェクトに対するタッチ動作が行われると(S670でYes)、当該タッチ動作について、S640以降の処理を実行する。一方、一定時間が経過すると(S675でYes)、S690に移行する。
【0170】
S690に移行すると、制御部39は、現時点での変数Zの値に基づいて、当該Zの値に対して予め定められた機能に対応する処理を実行する。尚、Zの値と、機能との対応関係は、予め制御部39が記憶するテーブル(図13右図参照)等により定義されている。
【0171】
このようにして、S690では、タッチパネル33にタッチされた指の順序に従って、入力オブジェクトに設定された複数の機能から、一つの機能に対応する処理を選択的に実行する。その後、当該入力受付処理を終了する。
【0172】
尚、S690への移行時点で変数Zが採りうる値は、合計39通りある。即ち、入力オブジェクトが1回しかタッチされないケースでは、入力オブジェクトがどの指でタッチされたかにより、合計3通りのパターンがある。具体的に言えば、第一の信号出力装置10が装着された指でタッチされるパターン、第二の信号出力装置10が装着された指でタッチされるパターン、信号出力装置10が装着されていない指でタッチされるパターンの3通りがある。
【0173】
また、ユーザが入力オブジェクトを2回しかタッチしないケースでは、1回のタッチ動作で3通りのパターンがあることから、2回のタッチ動作について、合計9通りのパターンがある。そして、ユーザが入力オブジェクトを3回タッチするケースでは、合計27通りのパターンがある。
【0174】
従って、本実施例では、合計39個の機能に対応する処理の実行指令を、一つの入力オブジェクトを通じてユーザから受けることができ、入力オブジェクトを複数個ディスプレイ35に表示しなくても、ユーザに多数の機能を使用させることができる。尚、請求項8記載の処理実行手段は、本実施例の制御部39が実行する入力受付処理に対応する。
【0175】
[第八実施例]
続いて、第八実施例について、図14を用いて説明する。図14(a)は、第八実施例の情報処理システム3の構成を表す説明図である。
【0176】
図14(a)に示すように、本実施例の情報処理システム3は、腕輪状の信号出力装置50と、携帯型の電子機器(以下、携帯機器と表現する)70と、を備えた構成にされている。この信号出力装置50は、単に、第一実施例の信号出力装置10が腕輪サイズとされた程度のものであり、第一実施例の信号出力装置10が備える送信部11及びアンテナ部15と同様の機能を果たす送信部51及びアンテナ部55を備え、アンテナ部55から、当該信号出力装置50が装着された腕に、第一実施例と同様の電気信号を出力する。
【0177】
尚、アンテナ部55が備える反射器は、腕の根元側に配置されており、信号出力装置50からユーザの身体に出力される電気信号は、信号出力装置50の装着部位から、その腕の指先側に伝播する。
【0178】
例えば、信号出力装置50が図14(a)に示すように左腕に装着されている場合、信号出力装置50から出力される電気信号は、左腕の掌側に伝播するのみで、胴体を回り込んで、右腕の掌に伝播することはない。
【0179】
一方、携帯機器70は、ユーザに把持されると掌が接触する位置に、信号出力装置50から出力される電気信号の入力を受けるための導電体71を備える。また、導電体71には、第一実施例と同様の機能を果たす受信判定部77が接続されている。
【0180】
この他、携帯機器70には、メカニカルな複数の操作キーを備える操作部73、各種情報表示用の表示部75、及び、表示部75を制御する制御部79が設けられ、制御部79は、操作部73から入力される操作信号に従って、ユーザからの指令に対応した処理を実行し、その処理結果を、表示部75に表示する。
【0181】
尚、操作部73から制御部79へは、ユーザにより押下操作されたキーの識別情報である物理キーコードが、操作信号として入力される。
また、制御部79は、受信判定部77から入力される状態通知信号に従って、操作部73から入力される物理キーコードを、論理キーコードに変換する機能を有する。尚、ここで表現する論理キーコードとは、仮想的に存在するキーの識別情報のことである。
【0182】
本実施例では、操作部73において物理的に存在する各操作キーに対して、二つの論理キーコードが割り当てられており、制御部79は、操作部73によって操作キーが押下操作されると、その操作キーの物理キーコードではなく、当該操作キーに割り当てられた二つの論理キーコードのいずれか一方を、アプリケーションソフトウェアに入力する。この動作によって、本実施例では、一つの物理的なキーに対して、アプリケーションソフトウェアからは、あたかも二つの操作キーが存在するようにしている。
【0183】
具体的に、制御部79は、図14(b)に示す変換処理を実行することにより、物理キーコードを論理キーコードに変換する。図14(b)は、制御部79が繰返し実行する変換処理を表すフローチャートである。
【0184】
変換処理を開始すると、制御部79は、操作部73が備える操作キーのいずれか一つが押下操作されることにより、操作部73から操作信号が入力されるまで待機する(S710)。
【0185】
そして、操作信号が入力されると、当該操作信号の入力時に受信判定部77から入力された状態通知信号に基づき、信号出力装置50の装着された腕の掌で携帯機器70が把持された状態で、操作キーが押下操作されたか否かを判断する(S720)。具体的には、上記状態通知信号が、受信有の旨の状態通知信号である場合には、信号出力装置50の装着された腕の掌で携帯機器70が把持された状態で、操作キーが押下操作されたと判断し、受信無の旨の状態通知信号である場合には、これについて否定判断する。
【0186】
そして、信号出力装置50の装着された腕の掌で携帯機器70が把持された状態で、操作キーが押下操作されたと判断すると(S720でYes)、制御部79は、内蔵する不揮発性メモリに予め登録された変換テーブルに従って、上記操作信号として操作部73から入力された物理キーコードを、当該物理キーコードに対応する操作キーに割り当てられた二つの論理キーコードの内、予め定められた第一の論理キーコードに変換する(S730)。
【0187】
尚、制御部79には、内蔵する不揮発性メモリに、物理キーコードと論理キーコードとの対応関係を表す変換テーブルが登録されている。具体的に、変換テーブルにおいては、物理キーコード毎に、第一の論理キーコードと第二の論理キーコードとが対応付けられて記述されている。
【0188】
一方、S720で否定判断すると、制御部79は、上記変換テーブルに従って、操作部73から入力された物理キーコードを、当該物理キーコードに対応する操作キーに割り当てられた二つの論理キーコードの内、予め定められた第二の論理キーコードに変換する(S740)。
【0189】
そして、変換後の論理キーコードを、アプリケーションソフトウェアに入力して(S750)、当該変換処理を終了する。
以上、第八実施例の情報処理システム3について説明したが、本実施例によれば、ユーザは、同一操作キーの押下操作であっても、携帯機器70の持つ手を変える程度で、携帯機器70に対して異なる指令を入力することができる。換言すると、本実施例によれば、携帯機器70を多機能化するに当たって、操作キーの数を増やさなくても済み、ユーザに対し、扱いやすいユーザインタフェースを提供することができて、携帯機器70の操作性が向上する。尚、請求項3記載の入力デバイス及び処理実行手段は、夫々、本実施例の操作部73及び制御部79に対応する。
【0190】
[その他の実施例]
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく種々の態様を採ることができる。
【0191】
例えば、第一実施例では、タッチパネル33を入力デバイスとして、その表面に導電性フィルム31を設けることにより、入力デバイスを操作するユーザの指が、信号出力装置装着指であるか否かを判断し、その判断結果に従って、実行する処理を切り替えるようにしたが、このような技術的思想は、メカニカルな操作系にも適用することができる。
【0192】
具体的に、回転式のボリューム用ツマミを有するオーディオ機器に、第一実施例と同様の技術的思想を適用する場合を考える。この場合には、ツマミ部分を、信号出力装置10からの出力信号を受信可能な導電部材で構成するか、ツマミ部分の表面に、導電性フィルムを貼付して、この導電性フィルムから信号出力装置10が出力する電気信号を受信できるようにすることで、本発明の思想を適用することができる。
【0193】
このようにオーディオ機器を構成すれば、例えば、ボリューム用ツマミを、ラジオ受信時の周波数調整用ツマミとしても利用することができて、操作系を簡潔にし、オーディオ機器に必要な部品点数を減らすことができる。
【0194】
また、第一〜第八実施例においては、電界方式により信号出力装置からユーザの身体に電気信号を出力するようにしたが、電流方式により信号出力装置からユーザの身体に電気信号を出力してもよい。即ち、情報処理システムは、図15に示す構成にされてもよい。図15は、変形例の情報処理システム5の構成を表すブロック図である。
【0195】
変形例の情報処理システム5が備える信号出力装置80は、一対の電極81a,81bと、これら電極81a,81b間に電気信号を印加する印加部85と、を備え、電極81a,81b間に電気信号を印加することにより、ユーザの身体に電気信号を入力する。
【0196】
一方、情報処理システム5が備える電子機器90は、第一実施例の電子機器30において、受信判定部37を電流計測部91及び接触判定部95に置き換えてなるものである。
電流計測部91は、導電性フィルム31に接続されており、導電性フィルム31を通じて入力される信号の電流を計測し、その電流計測値を、接触判定部95に入力する。一方、接触判定部95は、電流計測部91から入力される電流計測値に基づき、信号出力装置装着指が導電性フィルム31に接触しているか否かを判断し、その判断結果を、状態通知信号として、制御部39に入力する。
【0197】
図16(a)は、信号出力装置装着指が、導電性フィルム31から離間されている場合の信号伝達経路を表す説明図であり、図16(b)は、信号出力装置装着指が、導電性フィルム31に接触している場合の信号伝達経路を表す説明図である。
【0198】
図16に示すように、信号出力装置装着指が、導電性フィルム31から離間されている場合には、その他の身体部位が導電性フィルム31に接触しても基本的に、導電性フィルム31に信号出力装置80から出力される電気信号が伝達することはなく、結果として、電流計測部91にて計測される電流値は略ゼロとなる。
【0199】
これに対し、信号出力装置装着指が、導電性フィルム31に接触した場合には、信号出力装置80から出力される電気信号が、接地された電流計測部91側に流れることになり、結果として、電流計測部91では、大きな電流が計測される。
【0200】
従って、接触判定部95では、電流計測部91から入力される電流計測値が、予め定められた閾値よりも大きい場合、信号出力装置装着指が導電性フィルム31に接触していると判断し、電流計測部91から入力される電流計測値が閾値以下である場合、信号出力装置装着指が導電性フィルム31に接触していないと判断する。
【0201】
ちなみに、本実施例においては、接触判定部95から、信号出力装置装着指が導電性フィルム31に接触していることを表す状態通知信号、及び、接触していないことを表す状態通知信号のいずれか一方が、制御部39に入力されることとなるが、これらの状態通知信号は、夫々、上述の実施例における受信有の旨の状態通知信号及び受信無の旨の状態通知信号に対応する。そして、制御部39は、この接触判定部95から入力される状態通知信号に基づき、上述の実施例と同様の処理を実行する。
【0202】
以上には、信号出力装置装着指の接触/離間の検知方法について二通り説明したが、本発明は、他の手法で検知を実現するように構成されてもよい。
また、第一〜第八実施例のように、電界方式を採用する場合には、導電性フィルム31と指とが直接接触しなくても、静電結合により信号出力装置装着指の接近を検知できるので、導電性フィルム31は、タッチパネル33とディスプレイ35との間等に設けられてもよい。
【符号の説明】
【0203】
1,3,5…情報処理システム、10,50,80…信号出力装置、11,51…送信部、13…輻射器、14…反射器、15,55…アンテナ部、30,90…電子機器、31…導電性フィルム、33…タッチパネル、35…ディスプレイ、37,77…受信判定部、39,79…制御部、70…携帯機器、71…導電体、73…操作部、75…表示部、81a,81b…電極、85…印加部、91…電流計測部、95…接触判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの手足に装着されて、当該装着部位に電気信号を出力する信号出力装置
を装着するユーザによって操作される電子機器であって、
ユーザが操作可能な入力デバイスと、
前記入力デバイスから入力される操作信号に基づき、前記操作信号に対応した処理を実行する処理実行手段と、
前記ユーザとの接触又は静電結合により前記信号出力装置から出力される電気信号が入力される導電体を有し、前記導電体からの入力信号に基づき、前記導電体と前記装着部位に対応するユーザの身体部位との接触又は接近を検知する検知手段と、
を備え、
前記処理実行手段は、前記入力デバイスから入力される操作信号の夫々に対して複数の処理を実行可能な構成にされ、前記検知手段の検知結果に従って、前記複数の処理を切り替えて実行すること
を特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記入力デバイスは、タッチ面に対するユーザのタッチ動作を検知し、当該タッチ動作が行われた前記タッチ面上の位置座標を、前記操作信号として前記処理実行手段に入力する入力デバイスであり、
前記処理実行手段は、前記入力デバイスから入力される各位置座標に対して複数の処理を実行可能な構成にされ、前記タッチ動作の検知により前記入力デバイスから前記位置座標が入力されると、当該位置座標に対応する前記複数の処理の中から、前記検知手段の検知結果に従って、一つの処理を選択的に実行すること
を特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記入力デバイスは、メカニカルな一つ又は複数の操作具を備え、操作された操作具を表す操作信号を、前記操作信号として前記処理実行手段に入力する入力デバイスであり、
前記処理実行手段は、前記入力デバイスが備える操作具毎に複数の処理を実行可能な構成にされ、前記操作具の操作が行われることにより前記入力デバイスから前記操作信号が入力されると、当該操作信号に基づき、操作された操作具に対応する前記複数の処理の中から、前記検知手段の検知結果に従って、一つの処理を選択的に実行すること
を特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項4】
表示デバイスを備え、
前記処理実行手段は、前記検知手段の検知結果に従って、前記表示デバイスに表示する操作画面を切り替えると共に、前記入力デバイスから入力される前記操作信号から特定される前記表示デバイスに表示する操作画面に対するユーザの操作内容に対応した処理を実行することにより、前記検知手段の検知結果に従って、前記複数の処理を切り替えて実行すること
を特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項5】
前記検知手段が備える前記導電体は、前記入力デバイス表面に導電性フィルムとして設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の電子機器。
【請求項6】
前記検知手段が備える前記導電体は、前記タッチ面上に導電性フィルムとして設けられていることを特徴とする請求項2記載の電子機器。
【請求項7】
前記信号出力装置として、装置固有の前記電気信号を出力する複数の信号出力装置、を装着するユーザによって操作される電子機器であって、
前記検知手段は、前記導電体からの入力信号に基づき、前記信号出力装置毎に、前記導電体と当該信号出力装置に対応する前記ユーザの身体部位との接触又は接近を検知し、
前記処理実行手段は、前記検知手段による前記信号出力装置毎の検知結果に従って、前記複数の処理を切り替えて実行すること
を特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の電子機器。
【請求項8】
前記処理実行手段は、前記検知手段によって前記接触又は接近が検知された前記信号出力装置の検知順序に従って、前記入力デバイスから入力される操作信号に対応する前記複数の処理の中から、一つの処理を選択的に実行すること
を特徴とする請求項7記載の電子機器。
【請求項9】
前記処理実行手段は、前記入力デバイスから前記操作信号が入力された時点で、前記検知手段によって前記接触又は接近が同時検知されている前記信号出力装置の組合せに基づき、前記操作信号に対応する前記複数の処理の内、当該組合せに対応する処理を選択的に実行すること
を特徴とする請求項7記載の電子機器。
【請求項10】
前記入力デバイスから前記操作信号が入力された際に当該操作信号に対応する処理として実行すべき処理と、前記検知手段による検知結果と、の対応関係を、前記ユーザからの指示に従って変更可能な対応関係変更手段
を備えることを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれかに記載の電子機器。
【請求項11】
ユーザの手足に装着されて、当該装着部位に電気信号を出力する信号出力装置と、
前記信号出力装置を装着するユーザによって操作される電子機器と、
を備え、
前記電子機器は、
ユーザが操作可能な入力デバイスと、
前記入力デバイスから入力される操作信号に基づき、前記操作信号に対応した処理を実行する処理実行手段と、
前記ユーザとの接触又は静電結合により前記信号出力装置から出力される電気信号が入力される導電体を有し、前記導電体からの入力信号に基づき、前記導電体と前記装着部位に対応するユーザの身体部位との接触又は接近を検知する検知手段と、
を備え、
前記処理実行手段は、前記入力デバイスから入力される操作信号の夫々に対して複数の処理を実行可能な構成にされ、前記検知手段の検知結果に従って、前記複数の処理を切り替えて実行すること
を特徴とする情報処理システム。
【請求項12】
ユーザの手足に装着されて、当該装着部位に、装置固有の電気信号を出力する複数の信号出力装置と、
前記複数の信号出力装置を装着するユーザによって操作される電子機器と、
を備え、
前記電子機器は、
ユーザが操作可能な入力デバイスと、
前記入力デバイスから入力される操作信号に基づき、前記操作信号に対応した処理を実行する処理実行手段と、
前記ユーザとの接触又は静電結合により前記信号出力装置から出力される電気信号が入力される導電体を有し、前記導電体からの入力信号に基づき、前記信号出力装置毎に、前記導電体と当該信号出力装置の前記装着部位に対応するユーザの身体部位との接触又は接近を検知する検知手段と、
を備え、
前記処理実行手段は、前記入力デバイスから入力される操作信号の夫々に対して複数の処理を実行可能な構成にされ、前記検知手段の検知結果に従って、前記複数の処理を切り替えて実行すること
を特徴とする情報処理システム。

【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図1】
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【図2】
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【図8】
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【図10】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−204725(P2010−204725A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−46637(P2009−46637)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】