説明

電子機器及び電子機器に装着可能なバッテリパック

【課題】バッテリパックの種類を確実に判別すると共にバッテリパックを装着する電子機器の装着部表面の領域に安全規格や製造元、製品識別のバーコードなど様々な表示を大きく表示できる電子機器及び電子機器に装着可能なバッテリパックを提供する。
【解決手段】バッテリパックを保持するための保持部102と、バッテリパックの種類を検出する検出部103とを備えた電子機器100であって、バッテリパックには前記保持部に保持されるためのリブが設けられ、検出部はバッテリパックの装着時に前記リブの一部の有無を検出することでバッテリパックの種類を判別することを特徴とする電子機器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子機器のDC電源として使用して好適なバッテリパック及びバッテリパックを装着可能な電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年撮像装置などの電子機器の小型化が進み、電子機器に表示を義務づけられている安全規格や製造元、製品識別のバーコードなど様々な表示の配置場所が少なくなってきている。それに伴いバッテリパックを装着する電子機器の装着部表面にそれら表示を配置することが多くなった。今後、より撮像装置の小型化が進んだ場合そのような表示の配置場所として電子機器の装着部表面は必須であると共に、電子機器の装着部表面を効率的に利用し、少しでも広い領域に表示をする必要性がでてくるのは間違いない。
【0003】
また適合しないバッテリパックを電子機器に取り付けることによる事故防止のためやバッテリパックの容量を判断するために、バッテリパックを装着する電子機器にはバッテリパックの種類を判別する検出手段を電子機器の装着部表面に配置するものも多く見られる。まずここでは従来のバッテリパック及び、バッテリパックを装着する電子機器について説明する。
【0004】
従来のバッテリパックには、バッテリパックの底面(電子機器との装着面)とその側面との角部に電子機器と係合するリブが設けられているものがある。そしてこのバッテリパックが接続される充電器又は電子機器の接続部に形成した係合部と係合するため、バッテリパックの中央線上に当該バッテリパックの種類を検出するための凹形状が設けられる。リブはバッテリパックの対向する前記角部の一つの辺に2箇所に夫々設けられ、凹形状は2箇所のリブの間でバッテリパックの中央線上の位置に設けられる。またバッテリパックを装着する電子機器の装着部表面の略中央部にも前記凹形状に対応する検出部がある。(例えば、特許文献1参照。)
【特許文献1】特開2000−82501
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来例ではバッテリパックの種類の判別をバッテリパックの凹形状と電子機器の装着部表面の凸形状の検出部との係合で行っていた。そのため、適合しないバッテリパックを電子機器に装着しようとした場合に浮き上がってバッテリパックの傾きが大きくなり、適合しないバッテリパックだと見た目で分かり易い。こういう理由からバッテリパックを装着する電子機器の装着部表面の中央部にバッテリパックの形状に対応する検出部を配置している。しかしながら上記従来例の場合、安全規格や製造元、製品識別のバーコードなど様々な表示をバッテリパックを装着する電子機器の装着部表面の領域を有効に使い大きく表示することが困難であった。また電子機器の装着部表面の中央部に検出部を配置すると必然的にバッテリパックを保持する保持部と検出部との距離が離れてしまうため、検出方向で保持部と検出部の間にばらつきが出易くなってしまった。そのため検出部で確実に検出するには前記ばらつきを考慮した設計にする必要があった。
【0006】
本発明は斯かる点に鑑み、バッテリパックの種類を確実に判別すると共にバッテリパックを装着する電子機器の装着部表面の領域に安全規格や製造元、製品識別のバーコードなど様々な表示を大きく表示できる電子機器及び電子機器に装着可能なバッテリパックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電子機器は、バッテリパックと、前記バッテリパックを保持するための保持部と、前記バッテリパックの種類を検出する検出部とを備えた電子機器であって、前記バッテリパックには前記保持部に保持されるためのリブが設けられ、前記検出部はバッテリパックの装着時に前記リブの一部の有無を検出することでバッテリパックの種類を判別することを特徴としている。
【0008】
また、本発明のバッテリパックは上記記載の電子機器に装着可能なことを特徴とする。
また、本発明の電子機器およびバッテリパックにおいて上記記載のバッテリパックの種類とはバッテリパックの電気容量の違いによる種類であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように、本発明によれば、バッテリパックの種類を簡単に確実に判別すると共にバッテリパックを装着する電子機器の装着部表面の領域に安全規格や製造元、製品識別のバーコードなど様々な表示を大きく表示できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態に関して説明する。
【実施例1】
【0011】
以下、本発明のバッテリパック及びバッテリパックを装着可能な電子機器について実施例に示した図1〜図7を用いて説明する。
【0012】
図1は本実施例におけるバッテリパック200を装着した電子機器100である。ここでは撮像装置を例にとって説明する。バッテリパック200は電子機器100の後方(レンズ側を前方とすると背面側)に装着され、電源として電子機器100に電気を供給する。
【0013】
図2は本実施例におけるバッテリパックを装着する電子機器100後方から見た図である。電子機器100はバッテリパックを保持するための保持部102とバッテリパックの脱落防止のスライドロック部104、バッテリパックの電気容量を検出する検出部103を持つ。更にバッテリパックから電気および情報を電子機器100に送る接片部106、バッテリパック装着部表面105に貼られている安全規格や製造元、製品識別のバーコードなど様々な表示をする表示部101とで構成されている。
【0014】
図3は本実施例におけるバッテリパック200a,200bである。バッテリパック200aは大容量バッテリパック、200bは通常容量のバッテリパックとなっており、それぞれ円柱形状のバッテリセルを大容量バッテリパック200aは4本、通常容量のバッテリパック200bは2本内包している。バッテリパック200a,200bはそれぞれ電子機器100についている接片部106に対応する接片部201a,201bと、装着される電子機器100の保持部102と係合するバッテリパック200a,200bの底面と側面との角部に設けられリブ202a,202bとで構成される。大容量バッテリパック200aは装着される電子機器100の保持部102と係合し、なお且つ電子機器100についているバッテリ容量の検出部103を押さない長さのリブ203aを持つ。また通常容量バッテリパック200bは装着される電子機器100の保持部102と係合し、なお且つ電子機器100についているバッテリ容量の検出部103を押す長さのリブ203bを持つ構成となっている。詳しくは図5、図7で説明する。ちなみにバッテリパック200a,200bの底面とはバッテリパック装着時にバッテリパック装着部表面105に対面する面である。バッテリパック200a,200bの側面とはバッテリパック200a,200bの底面と直交するバッテリパック200a,200bの面である。
【0015】
図4は本実施例における大容量バッテリパック200aを電子機器100に装着した様子を後方から見た図である。バッテリパック200aを装着する場合は、電子機器100の保持部102にバッテリパック200aのリブ202a、203aが係合するようにスライドさせる。すると電子機器100の接片部106はバネ性を持つため、バッテリパック200aの接片部201aと一定の接圧で接触し導通する。このときバッテリパックの脱落防止のスライドロック部104はバッテリパック200aの側面の一部を支えることでバッテリパック200aの脱落を防いでいる。また図4のA_Aラインは図5に示す断面を取ったラインである。
【0016】
図5は本実施例における大容量バッテリパック200aの電子機器100に装着された様子の断面図である。ここでは分かり易いようにバッテリパックの装着部付近のみ示す。電子機器100に取付けられている検出部103はバネ300によってバッテリパック装着部表面に対して垂直方向に付勢されており、その方向にスライド可能である。検出部103が押されると基板302に実装されているスイッチ301を押しバッテリ容量を検知する構造となっている。基板302はビス303によって固定されている。
【0017】
大容量バッテリパック200aの場合、リブ203aは検出部103を押さず、保持部102と係合するだけの機能となっている。これにより電子機器100は現在装着されているバッテリパックが大容量バッテリパック200aだと判断し適正な充電時間で充電を行う。
【0018】
図6は本実施例における通常容量バッテリパック200bを電子機器100に装着した様子を後方から見た図である。バッテリパック200bを装着する場合はバッテリパック200aを装着する場合と同じなのでここでは説明を省略する。図6のB_Bラインは図7に示す断面を取ったラインである。
【0019】
図7は本実施例における通常容量バッテリパック200bの電子機器100に装着された様子の断面図である。ここでは分かり易いようにバッテリパックの装着部付近のみ示す。電子機器100側の機構は図5と同じなのでここでは説明を省略する。図5との違いは通常容量のバッテリパック200bはリブ203bが大容量バッテリパック200aのリブ203aに比べ長いため、その長い分のリブで検出部103を押している点である。
【0020】
通常容量バッテリパック200bの場合、リブ203bは検出部103を押し、保持部102と係合する二つの機能を持つ。検出部103がリブ203bの一部の有無を判別することにより電子機器100は現在装着されているバッテリパックが通常容量バッテリパック200bだと判断し適正な充電時間で充電を行う。
【0021】
この様な構成をとることで安全規格や製造元、製品識別のバーコードなど様々な表示をバッテリパックを装着する電子機器の装着部表面の領域を有効に使い大きく表示することが可能になる。かつバッテリパックの保持部と検出部の距離がなくなるため、検出方向でバッテリパックの保持部と検出部の間のばらつきを考慮する必要がなくなり、バッテリパックの種類を簡単に確実に検出することが可能になる。
【実施例2】
【0022】
以下、本発明のバッテリパック及びバッテリパックを装着する電子機器について実施例に示した図8を用いて説明する。
【0023】
図8は本実施例におけるバッテリパックを装着する電子機器100である。基本構成は実施例1に記載の図2と同じである。違いは検出部が実施例1では1つであったのに対して本実施例では2つ搭載することを特徴とする。これにより実施例1では大容量バッテリパックと通常容量バッテリパックの2通りしか判別できなかったものが、最大4通りのバッテリパックの判別が可能となる。本実施例では従来の検出部103、新たな検出部400とする。それ以外は実施例1と同じであるためここでは説明を省略する。表1にバッテリパックの容量による判別を検出部103,400のON,OFFによって行ったものを示した。本実施例では検出部を2つ用いたが、当然それ以上の検出部を設け、より多くの種類のバッテリパックを判別することも可能である。
【0024】
【表1】

【0025】
この様な構成をとることで安全規格や製造元、製品識別のバーコードなど様々な表示をバッテリパックを装着する電子機器の装着部表面の領域を有効に使い大きく表示することが可能になる。かつバッテリパックの保持部と検出部の距離がなくなるため、検出方向でバッテリパックの保持部と検出部の間のばらつきを考慮する必要がなくなり、バッテリパックの種類を簡単に確実に検出することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施例1に係るバッテリパックを装着した電子機器を説明する図である。
【図2】本発明の実施例1に係るバッテリパックを装着する電子機器を説明する図である。
【図3】本発明の実施例1に係るバッテリパックを説明する図である。
【図4】本発明の実施例1に係るバッテリパックを装着する電子機器に大容量バッテリパックが装着された様子を説明する図である。
【図5】本発明の実施例1に係るバッテリパックを装着する電子機器に大容量バッテリパックが装着された様子を説明する図4の断面図の一部である。
【図6】本発明の実施例1に係るバッテリパックを装着する電子機器に通常容量バッテリパックが装着された様子を説明する図である。
【図7】本発明の実施例1に係るバッテリパックを装着する電子機器に通常容量バッテリパックが装着された様子を説明する図6の断面図の一部である。
【図8】本発明の実施例2に係るバッテリパックを装着する電子機器を説明する図である。
【符号の説明】
【0027】
100 電子機器
101 表示部
102 保持部
103 検出部
104 スライドロック部
105 バッテリパック装着部表面
106 接片部(電子機器側)
200a,200b バッテリパック
201a,201b 接片部(バッテリパック側)
202a,203a,202b,203b リブ
300 バネ
301 スイッチ
302 基板
303 ビス
400 検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリパックと、
前記バッテリパックを保持するための保持部と、
前記バッテリパックの種類を検出する検出部とを備えた電子機器であって、
前記バッテリパックには前記保持部に保持されるためのリブが設けられ、
前記検出部はバッテリパックの装着時に前記リブの一部の有無を検出することで
バッテリパックの種類を判別することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器に装着可能なバッテリパック。
【請求項3】
請求項1に記載のバッテリパックの種類とはバッテリパックの電気容量の違いによる種類であることを特徴とする請求項1、2に記載の電子機器および、バッテリパック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−32557(P2009−32557A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−195927(P2007−195927)
【出願日】平成19年7月27日(2007.7.27)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】