電子機器操作支援装置、電子機器操作支援システムおよび電子機器操作支援プログラム
【課題】支援者の指示内容を正確に実行できたか否かを被支援者側で把握できる技術を提供する。
【解決手段】支援者側の画面での操作を行うと、その結果が、被支援者側の画面で指示表示601として表示される(図6(B))。この指示表示601に従い指示内容の操作が被支援者側で行われると、指示表示601が消え、操作の内容を反映した画面となる(図6(E))。被支援者側で指示と異なる操作が行われると、指示表示601が認識しやすい指示表示603に切り替わり、また誤って行われた操作部分「D***」が強調表示される。これらの視覚情報は、支援者側に送られ、支援者側で視覚的に確認できる。
【解決手段】支援者側の画面での操作を行うと、その結果が、被支援者側の画面で指示表示601として表示される(図6(B))。この指示表示601に従い指示内容の操作が被支援者側で行われると、指示表示601が消え、操作の内容を反映した画面となる(図6(E))。被支援者側で指示と異なる操作が行われると、指示表示601が認識しやすい指示表示603に切り替わり、また誤って行われた操作部分「D***」が強調表示される。これらの視覚情報は、支援者側に送られ、支援者側で視覚的に確認できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器操作支援装置、電子機器操作支援システムおよび電子機器操作支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、生徒側の端末画面を先生側画面に転送し、両者の入力操作を互いに相手側に転送することにより、各々の端末装置で表示画面を共有する技術が記載されている。特許文献2には、生徒側ディスプレイ上に表示されるキーボード画像や擬似ポインタ画像を用いて視覚的で的確な指示が講師側のパソコン側から行われる技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−244987号公報
【特許文献2】特開2002−108184号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、電子機器の操作の支援を受ける技術において、支援者の指示内容を被支援者が正確に実行できたか否かを支援者側で把握できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、支援者側から通知される操作の内容を受け付ける受付手段と、前記受け付けた操作の内容を指示する指示表示を操作画面上に表示させる制御を行う表示制御手段と、前記受け付けた内容が実行されたか否か、を判定する判定手段と、前記判定手段における前記判定に基づいて、前記指示表示の表示状態を切り替える切り替え手段と、前記切り替え手段による前記表示状態の切り替えの情報を前記支援者側に送信する送信手段とを備えることを特徴とする電子機器操作支援装置である。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記受け付けた内容と異なる操作が実行された場合に、当該操作を強調する表示の制御を行う強調表示制御手段を備え、前記送信手段は、前記強調する表示の情報を前記支援者側に送信することを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記支援者側からの操作による前記操作画面の操作が行えないことを特徴とする。
【0008】
請求項4に記載の発明は、支援者側から通知される操作の内容を受け付ける受付手段と、前記受け付けた操作の内容を指示する指示表示を操作画面上に表示させる制御を行う表示制御手段と、前記受け付けた内容が実行されたか否か、を判定する判定手段と、前記判定手段における前記判定に基づいて、前記指示表示の表示状態を切り替える切り替え手段と、前記切り替え手段による前記表示状態の切り替えの情報を前記支援者側に送信する送信手段とを備えることを特徴とする電子機器操作支援システムである。
【0009】
請求項5に記載の発明は、コンピュータに読み取らせて実行させるプログラムであって、コンピュータを、支援者側から通知される操作の内容を受け付ける受付手段と、前記受け付けた操作の内容を指示する指示表示を操作画面上に表示させる制御を行う表示制御手段と、前記受け付けた内容が実行されたか否か、を判定する判定手段と、前記判定手段における前記判定に基づいて、前記指示表示の表示状態を切り替える切り替え手段と、前記切り替え手段による前記表示状態の切り替えの情報を前記支援者側に送信する送信手段として動作させることを特徴とする電子機器操作支援プログラムである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、電子機器の操作の支援を受ける技術において、支援者の指示内容を被支援者が正確に実行できたか否かを支援者側で把握できる技術が提供される。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、指示と異なる操作を支援者が視覚的に認識することができる。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、支援者による被支援者の意図しない操作が防止される。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、電子機器の操作の支援を受ける技術において、支援者の指示内容を被支援者が正確に実行できたか否かを支援者側で把握できるシステムが提供される。
【0014】
請求項5に記載の発明によれば、電子機器の操作の支援を受ける技術において、支援者の指示内容を被支援者が正確に実行できたか否かを支援者側で把握できる技術を実現するためのプログラムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施形態のブロック図である。
【図2】実施形態のブロック図である。
【図3】実施形態のブロック図である。
【図4】実施形態の動作の手順を示すフローチャートである。
【図5】実施形態の動作の手順を示すフローチャートである。
【図6】実施形態の画面表示図である。
【図7】実施形態の画面表示図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(構成)
以下、発明を利用した一例を説明する。図1には、支援者側PC操作支援装置100が示されている。図2には、被支援者側PC操作支援装置200が示されている。図3には、支援者側PC操作支援装置100を備えた支援者側PC300が示され、また被支援者側PC操作支援装置200を備えた被支援者側PC310が示されている。
【0017】
支援者は、キーボード装置303、マウス304を操作することで支援者側PC300の操作を行う。この操作内容は、ディスプレイ302に表示される。被支援者は、キーボード装置313、マウス314を操作することで被支援者側PC310の操作を行う。この操作内容は、ディスプレイ312に表示される。
【0018】
支援者側PC300と被支援者側PC310は、通常のパーソナルコンピュータであり、CPU、RAM、ROM、ハードディスク装置、インタフェース装置、通信機能を備え、OS、各種アプリケーションソフトウェア、後述する動作を実行するための動作プログラムを備えている。支援者側PC300と被支援者側PC310とは、インターネット回線等の通信回線320により接続されており、支援者側PC操作支援装置100と被支援者側PC操作支援装置200とが通信を行える構成とされている。
【0019】
支援者側PC操作支援装置100は、被支援者側PCの操作を支援する側の装置であり、支援者側PC300の本体301にインストールされたプログラムにより、支援者側PC300中でソフトウェア的に構成されている。
【0020】
支援者側PC操作支援装置100は、通信部101および操作内容検出部102を備えている。通信部101は、被支援者側のPCとの間で通信を行い、被支援者側のPC内で機能する後述の被支援者側PC操作支援装置200との間でデータのやり取りを行う。具体的にいうと、通信部101は、操作内容検出部102が検出した支援者による支援者側PC310の操作内容を被支援者側PC操作支援装置200の通信部201に送る。また、通信部101は、被支援者側PC操作支援装置200の通信部201から送られてくる被支援者側PC310で動作しているアプリケーションソフトのディスプレイ312への画面表示のデータを受け付ける。
【0021】
操作内容検出部102は、支援者側のPC操作の内容を検出する。この検出内容は、通信部101から被支援者側PC310(被支援者側PC操作支援装置200)に送られる。
【0022】
図2には、被支援者側PC操作支援装置200が示されている。被支援者側PC操作支援装置200は、PC(パーソナルコンピュータ)の操作の支援を受ける側の装置である。被支援者側PC操作支援装置200は、被支援者側PC310の本体311にインストールされたプログラムにより被支援者側PC301中でソフトウェア的に構成されている。
【0023】
被支援者側PC操作支援装置200は、通信部201、表示制御部202、操作実行判定部203、操作同一性判定部204、切り替え部205、強調表示制御部206、支援者側操作内容特定部207を備えている。
【0024】
通信部201は、支援者側の通信部101との間で通信回線320を介して通信を行う。具体的にいうと、通信部201は、支援者側から通知される操作の内容を受け付ける受付部として機能する。また、通信部201は、被支援者側PC310で動作しているアプリケーションソフト(例えば文書作成ソフトウェア等)のディスプレイ312への画面表示のデータを支援者側PC操作支援装置100の通信部101に送る機能を備えている。
【0025】
表示制御部202は、通信部201が受け付けた内容を指示する指示表示を被支援者側PC310のディスプレイ312上に表示させる制御を行う。指示表示は、認識し易い矢印表示、指し指を模した表示、三角形の表示等によって構成される。また、認識されやすいように輪郭を太くしたり、表示を濃くしたり、目立つ色彩にした表示の形態が採用される。
【0026】
操作実行判定部203は、被支援者による被支援者側PC310の操作が行われたか否か、の判定を行う。操作同一性判定部204は、操作実行判定部203が実行を判定した被支援者のPC操作の操作内容が、通信部201が支援者側から受け付けた操作内容(指示された操作内容)と同じであるか否か、を判定する。
【0027】
切り替え部205は、操作同一性判定部204における判定の結果に基づいて、表示制御部202により表示が制御される上記の指示表示を切り替える。この切り替えは、見た目の違いが明確に視認できるように濃さや色彩を切り替えることで行われる。この切り替えの具体例については後述する。
【0028】
強調表示制御部206は、被支援者による操作の内容が、支援者により指示された内容と異なる場合に、被支援者による操作が視認され易いように表示を強調する制御を行う。この強調する処理の具体例は後述する。切り替え部205と強調表示制御部206の処理の結果は、通信部201から支援者側PC操作支援装置100内の通信部101に送られ、支援者側PC操作支援装置100のディスプレイ302上に表示される。
【0029】
支援者側操作内容特定部207は、通信部201が支援者側PC操作支援装置100から受け付けた内容に基づき、支援者側PC操作支援装置100の操作内容検出部102が検出した操作の内容を特定する。つまり、支援者側操作内容特定部207は、支援者が行った指示操作の内容を特定する。
【0030】
支援者側PC操作支援装置100からは、支援者による支援者側PC300の操作内容が、被支援者側PC操作支援装置200に送られるが、その情報は、表示制御部202による被支援者側PC310のディスプレイ312上における指示表示の表示制御に利用されるのみであり、被支援者側PC310の操作には利用されない。つまり、指示表示に係る内容以外に関しては、支援者側PC300を操作しての被支援者側PC310の操作は行えない。
【0031】
以上述べたように、被支援者側PC操作支援装置200は、支援者側から通知される操作の指示内容を受け付ける通信部201を備えている。また、被支援者側PC操作支援装置200は、通信部201が受け付けた内容を指示する指示表示(例えば図6の符号601)を被支援者が操作するディスプレイ312(図3参照)上に表示させる制御を行う表示制御部202(図2参照)を備えている。
【0032】
また、被支援者側PC操作支援装置200は、通信部201が受け付けた内容が実行されたか否か、を判定する操作同一性判定部203を備えている。また、被支援者側PC操作支援装置200は、操作同一性判定部203における判定に基づいて、図6に例示さえる指示表示601の表示状態を符号603や604の状態に切り替える切り替え部205を備えている。また、被支援者側PC操作支援装置200は、切り替え部205により指示表示の表示状態の切り替えが行われた場合、その情報を支援者側PC300に送信する通信部201を備えている。
【0033】
また、被支援者側PC操作支援装置200は、支援者側から受け付けた指示された操作内容と異なる操作が実行された場合に、この操作を強調する表示の制御を行う強調表示部206を備えている。この強調する表示に係る情報は、通信部201から支援者側PC300に送信される。
【0034】
(動作の一例)
以下、図1、図2に示す構成の動作の一例を説明する。以下に説明する動作では、被支援者側PC操作支援装置200において、電子メールを扱うアプリケーションソフトウェアの動作画面が表示されており、この動作画面の画面データは、被支援者側PC操作支援装置200の通信部201から支援者側PC操作支援装置100の通信部101に送られ、ディスプレイ302には、ディスプレイ312と同じ内容の画面が表示されている状態を前提とする。
【0035】
以下、被支援者側PC操作支援装置100における被支援者による上記電子メールを扱うアプリケーションソフトウェアの操作の支援が、支援側PC300を操作する支援者により行われる場合の動作の一例を説明する。また、支援者と被支援者は、電話回線による音声による通話が行える状態であるとする。
【0036】
いま、ディスプレイ312上に表示されている操作画面に当該アプリケーションのGUI(グラフィカル・ユーザ・インターフェース)画面(操作画面)が表示されているとする。この状態において、ある操作を実行するためのクリック操作を被支援者が行おうとしており、それを支援者が支援する状況を想定する。すなわち、支援者が被支援者に対して、クリックする画面上の位置を教える状況を想定する。
【0037】
図6にはこの状況の一例が示されている。図6の左側には、ディスプレイ302のGUI画面(操作画面)が7パターン示されている。図6の右側には、ディスプレイ312のGUI画面が7パターン示されている。図6には、支援者がGUI画面上の「B***」の表示部分を被支援者に左ダブルクリックさせる指示を与える場合の状況が示されている。
【0038】
この場合、支援者側PC操作支援装置100の動作が開始(ステップS401)されている状況において、支援者は、ディスプレイ302上に表示されている画面上で「B***」の表示部分にカーソル600を移動させる。この状態が図6(A)に示されている。
【0039】
図6(A)の状態において、支援者が左ダブルクリックを行うと、ステップS402の判定がYESとなり、支援者側でディスプレイ302上の「B***」の表示部分が選択された旨が支援者側PC支援装置100において検出される。この処理は、操作内容検出部102によって行われる。この検出内容は、通信部101から被支援者側PC操作支援装置200に送られ(ステップS403)、通信部201で受け付けられる。
【0040】
この通信部201における支援者側PC300の操作内容のデータの受け付けを契機として、被支援者側PC操作支援装置200における図5の処理が開始される(ステップS501)。図5の処理が開始されると、通信部201が受け付けたデータに基づいて、操作内容検出部102が検出した支援者側の操作内容(この場合は、図6の「B***」の表示部分が左ダブルクリックされた操作内容)が特定される(ステップS502)。この処理は、図2の支援者側操作内容特定部207において行われる。
【0041】
次に、ステップS502で特定した内容に基づき、ディスプレイ312上に支援者の操作を反映させた指示表示を表示する(ステップS503)。すなわち、支援者が指示した場所に支援者が指示した内容を表示する。この処理は、図2の表示制御部202によって行われる。
【0042】
この状態が、図6(B)に示されている。図6(B)には、指示表示601としてカーソルと区別でき、且つ、認識し易い矢印の表示が示されている。ここで、指示表示601が左斜め上を向いているのは、支援者から左クリックが指示されている旨を示し、指示表示601右側の数字は、指示表示601の付加情報であり、支援者からダブルクリックが指示されている旨を示している。このような表示形態とすることで、支援者が指示した画面上での位置と操作の内容とを視覚的に表現している。
【0043】
なお、図6(A)の段階で、支援者が右クリックを行った場合は、指示表示の矢印が右斜め上を向く取り決めとされている。これにより、被支援者が右クリックの指示か、左クリックの指示かを区別できるようにされている。
【0044】
図6(B)の表示内容により、被支援者は、支援者により「B***」の表示部分を左ダブルクリックする指示が出されている旨を認識できる。図6(C)には、被支援者が支援者により指示された位置(「B***」の表示部分)に、カーソル602を移動させた状態が示されている。
【0045】
ここで、指示通り左ダブルクリックが行われた場合、図5のステップS504がYESとなり、また指示通りの操作が行われたので、ステップS505がYESとなり、指示表示601が消去される(ステップS506)。また、被支援者側PC310で「B***」の表示部分が左ダブルクリックされた結果、当該画面表示を行っているアプリケーションソフトウェアの機能に従って、「B***」の表示部分のメニュー表示が行われる。この状態が、図6(E)に示されている。なお、ディスプレイ312の表示内容は、通信部201から支援者側PC300に送られ、ディスプレイ302にも表示される。
【0046】
上記の処理では、ステップS504の処理が図2の操作実行判定部203において行われ、ステップS505の処理が操作同一性判定部204において行われ、ステップS506の処理が表示制御部202において行われる。こうして、支援者は、指示した通りの操作が被支援者により行われたことが視覚的に確認できる。また、被支援者も指示された操作が確実に行えたことが視覚的に確認できる。
【0047】
ここで仮に、図6(C)の状態において、被支援者が左ワンクリックを行った場合、図6(C)の画面表示が図6(D)の画面表示となる。この場合、指示表示が消えず、また指示表示横の数字が1に切り替わる。ここで、被支援者が一定時間の間操作を行わないと、図6(C)の状態に戻り、その後被支援者が左ダブルクリックを行うと(つまり、指示された操作を正確に行うと)、図6(E)の画面表示となる。
【0048】
この処理は、ステップS505の判定がNOとなり、ステップS508の処理が図2の切り替え部205において実行されることで行われる。また、被支援者側のディスプレイ312の表示内容は、通信部201から支援者側に送られ、同様の内容がディスプレイ302にも表示される。
【0049】
この処理によれば、クリック操作が指示通りでなかった旨が支援者および被支援者の双方で視覚的に認識される。したがって、音声通話による助言を効果的に行うことができる。
【0050】
また、図6(C)の状態において、被支援者が指示内容を把握できず、誤って「D***」の部分を左ダブルクリックした場合、「D***」の部分が図6(F)に示すように色が濃くなる強調表示とされ、且つ、指示表示が符号603で示されるように色が濃くなった状態に切り替わる。
【0051】
この処理は、ステップS505の判定がNOとなり、ステップS508の処理が強調表示制御部206および切り替え部205で実行されることで行われる。すなわち、強調表示制御部206の機能により、「D***」の部分が図6(F)に示すように色が濃くなる強調表示とされる。また、切り替え部205の機能により、指示表示が符号603で示されるように色が濃くなった状態に切り替わる。また、被支援者側のディスプレイ312の表示内容は、支援者側に送られ、同様の内容がディスプレイ302にも表示される。
【0052】
図6(F)に示すように、指示と異なる誤った操作が被支援者によって行われた場合、符号603で示されるように指示表示の切り替わりによりその事態が視覚的に強調される。また、誤ってクリックした部分が符号602で示されるように強調表示され、その位置が視覚的に強調される。この表示形態は、支援者側と被支援者側の両方で視認される。このため、支援者および被支援者の双方が、どのような誤りがあったのか認識することが容易であり、操作をやり直す、あるいは改めて支援者からの支援を受ける等の作業がスムーズに行われる。
【0053】
図6(F)の状況において、被支援者が誤りに気付き、カーソル602を指示表示603の部分に移動させ、指示された操作を行うと、図6(E)の画面表示となる。この場合、図5のステップS504がYES、ステップS505がYESとなり、ステップS506の処理が行われる。
【0054】
また、図6(C)の状態において、被支援者が支援者の指示と異なる右クリックを行った場合、図5のステップS504がYES、ステップS505がNOとなり、ステップS508の強調表示が実行され、図6(G)の画面表示となる。この場合、切り替え部205の機能により、符号604で示されるように指示表示の矢印の向きが右斜め上向きの状態に切り替わる。
【0055】
この処理によれば、左クリックの指示であったのに、誤って右クリックを被支援者が行ったことが、支援者および被支援者の双方で視覚的に認識することができる。このため、支援者は、次の的確な指示や助言を被支援者に与えることができ、また被支援者は、誤りに気付くことができる。
【0056】
(優位性)
支援者の指示内容が、指示表示601によって被支援者側のディスプレイ312に表示され、その指示内容が正確に実行されたか否か、が符号603で示されるように、指示表示601の表示状態の切り替わりにより支援者側にフィードバックされる。このため、支援者の指示内容を被支援者が正確に実行できたか否かを支援者側で視覚的に把握できる。また、被支援者側も指示を正確に実行できたか否か、を視覚的に把握することができる。
【0057】
また、誤った操作が被支援者側で行われた場合、図6(F)の「F***」の部分で示されるように、誤った操作内容が強調表示される。このため、指示と異なるどのような操作が被支援者側で行われたかを支援者、被支援者側の双方で視覚的に把握することができる。
【0058】
図6に示すように、支援者側の指示の内容が、指示表示601として被支援者側で表示されるが、それは表示に留まり、被支援者側PC310の操作が支援者側から(つまり支援者側PC300側から)行えるわけではない。このため、被支援者の意思に反して、遠隔操作により被支援者側PC310の操作は行われない。よって例えば、個人情報が絡む設定の操作や金銭のやり取りが絡む各種の操作(例えば、ネット銀行を利用した払い込み操作)といった本人が最終的に責任を持って操作を行う必要がある場合に、支援者がその操作をアシストすることはできるが、支援者がその操作を遠隔操作によって行うことはできない。またこれに関連して、被支援者による操作によってしか操作内容が反映されないので、被支援者の学習効果が高くなる。
【0059】
指示表示の向きや添え字の付加によって、右クリックと左クリックを区別しての指定、およびクリック数の指定が視覚的に行われる。このため、被支援者への的確な支援が可能となる。
【0060】
支援者操作に基づく指示表示及び被支援者の誤操作に基づく強調表示は、支援者側PC300と被支援者側PC310との間の伝送速度が過度に遅く全ての画面状態遷移を遅れない場合であっても、的確に相互に操作内容を伝達することが可能となる。
【0061】
支援者側PC操作支援装置100および被支援者側PC操作支援装置200は、ソフトウェア的に構成されるので、通常のPCに当該プログラムをインストールすることで、本発明を利用することができる。
【0062】
(他の例)
本発明を利用してドラッグアンドドロップ操作の支援を行うこともできる。以下、この一例を説明する。図7には、被支援者側PCのディスプレイ上に表示される表示画面の一例が示されている。支援者側PCのディスプレイ上でドラッグアンドドロップ操作を行うと、図7に示す指示表示の表示が被支援者側PCのディスプレイ上で行われる。
【0063】
ここで、指示表示は、ドラッグアンドドロップ操作の始点を示す矢印701、経路を示す破線703、終点を示す矢印703、付加情報として「押」、「離」の表示により構成されている。この指示表示により、マウスボタンを押す位置、押したまま動かす経路、離す位置が視覚的に示されている。
【0064】
この場合も、指示通りのドラッグアンドドロップ操作が行われないと、矢印701、702、破線703の表示が認識し易い形態で切り替わり、支援者側の指示が正確に再現できていない旨が視覚的に表現される。またこの画像は、支援者側PCにも送られる。このため、図6の例示の場合と同様に、支援者側で操作を誤った状態を視覚的に把握することが可能となる。
【0065】
(その他)
PCの操作内容としては、PCの操作に係るものであれば、特に限定されず、例えばPCの基本操作、PCの各種設定操作、各種アプリケーションソフトウェアの設定や操作、PCを操作しての各種の手続(例えば、ネットショッピングの手続、ネット銀行への入金、各種の申し込み等)、PCを操作しての学習(例えば算数の学習)等に本発明は適用することができる。
【0066】
また、以上の例示では、操作される電子機器としてパーソナルコンピュータの例を説明したが、電子機器としては、通信機能を有し、タッチパネルディスプレイ等の画面を利用した操作部(つまりGUIの機能)を備えた家電製品、事務機器(複写装置や印刷装置)、工作機械、携帯情報処理端末、携帯電話等を挙げることができる。
【0067】
ところで、端末側の操作内容がサーバに送られ、操作内容の一部または全部の処理がサーバ側で行われるしシステムが知られている。このようなシステムに本発明を利用することもできる。この場合、上に例示した処理の一部または全部がサーバ側で行われる。この場合、本発明は、電子機器操作支援装置システムとして把握される。
【0068】
実施形態を実現するためのプログラムは、サーバや適当な記憶媒体中に格納され、そこから提供される形態であってもよい。指示表示の切り替わりは、それが認識し易いものであればよく、点滅状態への切り替わり、他の形への切り替わり、表示が薄くなる切り替わり等が可能である。指示表示の形は、指の形や何らかのキャラクター等であってもよい。指示表示が表示されてから特定の時間が経過した場合に、指示表示を強調表示に切り替え、指示が行われてから一定時間内に被支援者の操作が行われなかった旨を両ディスプレイ上で強調する処理を行っても良い。強調表示も目立つものであればよく、例えば点滅や反転表示であってもよい。
【0069】
被支援者側のディスプレイ312に被支援者の個人情報が表示されている場合、それが支援者側のディスプレイ302に表示されないように、特定の部分に表示されている内容は、伏せ字として支援者側に送られるようにしてもよい。指示表示に付加して表示する内容としては、クリック回数以外に、「5秒以内に操作」や「チェックを外す」、「左クリックしたままの状態を維持する」、「警告表示は無視する」等の内容を採用することもできる。また指示表示により、文字の入力個所を指示することもできる。この際に指示表示への付加情報として「入力は半角文字」、「パスワードは5文字以上」といった内容を付加することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、電子機器の操作を支援する技術に利用することができる。
【符号の説明】
【0071】
300…支援者側PC(支援者側のパーソナルコンピュータ)
310…被支援者側PC(被支援者側のパーソナルコンピュータ)
320…通信回線。
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器操作支援装置、電子機器操作支援システムおよび電子機器操作支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、生徒側の端末画面を先生側画面に転送し、両者の入力操作を互いに相手側に転送することにより、各々の端末装置で表示画面を共有する技術が記載されている。特許文献2には、生徒側ディスプレイ上に表示されるキーボード画像や擬似ポインタ画像を用いて視覚的で的確な指示が講師側のパソコン側から行われる技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−244987号公報
【特許文献2】特開2002−108184号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、電子機器の操作の支援を受ける技術において、支援者の指示内容を被支援者が正確に実行できたか否かを支援者側で把握できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、支援者側から通知される操作の内容を受け付ける受付手段と、前記受け付けた操作の内容を指示する指示表示を操作画面上に表示させる制御を行う表示制御手段と、前記受け付けた内容が実行されたか否か、を判定する判定手段と、前記判定手段における前記判定に基づいて、前記指示表示の表示状態を切り替える切り替え手段と、前記切り替え手段による前記表示状態の切り替えの情報を前記支援者側に送信する送信手段とを備えることを特徴とする電子機器操作支援装置である。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記受け付けた内容と異なる操作が実行された場合に、当該操作を強調する表示の制御を行う強調表示制御手段を備え、前記送信手段は、前記強調する表示の情報を前記支援者側に送信することを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記支援者側からの操作による前記操作画面の操作が行えないことを特徴とする。
【0008】
請求項4に記載の発明は、支援者側から通知される操作の内容を受け付ける受付手段と、前記受け付けた操作の内容を指示する指示表示を操作画面上に表示させる制御を行う表示制御手段と、前記受け付けた内容が実行されたか否か、を判定する判定手段と、前記判定手段における前記判定に基づいて、前記指示表示の表示状態を切り替える切り替え手段と、前記切り替え手段による前記表示状態の切り替えの情報を前記支援者側に送信する送信手段とを備えることを特徴とする電子機器操作支援システムである。
【0009】
請求項5に記載の発明は、コンピュータに読み取らせて実行させるプログラムであって、コンピュータを、支援者側から通知される操作の内容を受け付ける受付手段と、前記受け付けた操作の内容を指示する指示表示を操作画面上に表示させる制御を行う表示制御手段と、前記受け付けた内容が実行されたか否か、を判定する判定手段と、前記判定手段における前記判定に基づいて、前記指示表示の表示状態を切り替える切り替え手段と、前記切り替え手段による前記表示状態の切り替えの情報を前記支援者側に送信する送信手段として動作させることを特徴とする電子機器操作支援プログラムである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、電子機器の操作の支援を受ける技術において、支援者の指示内容を被支援者が正確に実行できたか否かを支援者側で把握できる技術が提供される。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、指示と異なる操作を支援者が視覚的に認識することができる。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、支援者による被支援者の意図しない操作が防止される。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、電子機器の操作の支援を受ける技術において、支援者の指示内容を被支援者が正確に実行できたか否かを支援者側で把握できるシステムが提供される。
【0014】
請求項5に記載の発明によれば、電子機器の操作の支援を受ける技術において、支援者の指示内容を被支援者が正確に実行できたか否かを支援者側で把握できる技術を実現するためのプログラムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施形態のブロック図である。
【図2】実施形態のブロック図である。
【図3】実施形態のブロック図である。
【図4】実施形態の動作の手順を示すフローチャートである。
【図5】実施形態の動作の手順を示すフローチャートである。
【図6】実施形態の画面表示図である。
【図7】実施形態の画面表示図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(構成)
以下、発明を利用した一例を説明する。図1には、支援者側PC操作支援装置100が示されている。図2には、被支援者側PC操作支援装置200が示されている。図3には、支援者側PC操作支援装置100を備えた支援者側PC300が示され、また被支援者側PC操作支援装置200を備えた被支援者側PC310が示されている。
【0017】
支援者は、キーボード装置303、マウス304を操作することで支援者側PC300の操作を行う。この操作内容は、ディスプレイ302に表示される。被支援者は、キーボード装置313、マウス314を操作することで被支援者側PC310の操作を行う。この操作内容は、ディスプレイ312に表示される。
【0018】
支援者側PC300と被支援者側PC310は、通常のパーソナルコンピュータであり、CPU、RAM、ROM、ハードディスク装置、インタフェース装置、通信機能を備え、OS、各種アプリケーションソフトウェア、後述する動作を実行するための動作プログラムを備えている。支援者側PC300と被支援者側PC310とは、インターネット回線等の通信回線320により接続されており、支援者側PC操作支援装置100と被支援者側PC操作支援装置200とが通信を行える構成とされている。
【0019】
支援者側PC操作支援装置100は、被支援者側PCの操作を支援する側の装置であり、支援者側PC300の本体301にインストールされたプログラムにより、支援者側PC300中でソフトウェア的に構成されている。
【0020】
支援者側PC操作支援装置100は、通信部101および操作内容検出部102を備えている。通信部101は、被支援者側のPCとの間で通信を行い、被支援者側のPC内で機能する後述の被支援者側PC操作支援装置200との間でデータのやり取りを行う。具体的にいうと、通信部101は、操作内容検出部102が検出した支援者による支援者側PC310の操作内容を被支援者側PC操作支援装置200の通信部201に送る。また、通信部101は、被支援者側PC操作支援装置200の通信部201から送られてくる被支援者側PC310で動作しているアプリケーションソフトのディスプレイ312への画面表示のデータを受け付ける。
【0021】
操作内容検出部102は、支援者側のPC操作の内容を検出する。この検出内容は、通信部101から被支援者側PC310(被支援者側PC操作支援装置200)に送られる。
【0022】
図2には、被支援者側PC操作支援装置200が示されている。被支援者側PC操作支援装置200は、PC(パーソナルコンピュータ)の操作の支援を受ける側の装置である。被支援者側PC操作支援装置200は、被支援者側PC310の本体311にインストールされたプログラムにより被支援者側PC301中でソフトウェア的に構成されている。
【0023】
被支援者側PC操作支援装置200は、通信部201、表示制御部202、操作実行判定部203、操作同一性判定部204、切り替え部205、強調表示制御部206、支援者側操作内容特定部207を備えている。
【0024】
通信部201は、支援者側の通信部101との間で通信回線320を介して通信を行う。具体的にいうと、通信部201は、支援者側から通知される操作の内容を受け付ける受付部として機能する。また、通信部201は、被支援者側PC310で動作しているアプリケーションソフト(例えば文書作成ソフトウェア等)のディスプレイ312への画面表示のデータを支援者側PC操作支援装置100の通信部101に送る機能を備えている。
【0025】
表示制御部202は、通信部201が受け付けた内容を指示する指示表示を被支援者側PC310のディスプレイ312上に表示させる制御を行う。指示表示は、認識し易い矢印表示、指し指を模した表示、三角形の表示等によって構成される。また、認識されやすいように輪郭を太くしたり、表示を濃くしたり、目立つ色彩にした表示の形態が採用される。
【0026】
操作実行判定部203は、被支援者による被支援者側PC310の操作が行われたか否か、の判定を行う。操作同一性判定部204は、操作実行判定部203が実行を判定した被支援者のPC操作の操作内容が、通信部201が支援者側から受け付けた操作内容(指示された操作内容)と同じであるか否か、を判定する。
【0027】
切り替え部205は、操作同一性判定部204における判定の結果に基づいて、表示制御部202により表示が制御される上記の指示表示を切り替える。この切り替えは、見た目の違いが明確に視認できるように濃さや色彩を切り替えることで行われる。この切り替えの具体例については後述する。
【0028】
強調表示制御部206は、被支援者による操作の内容が、支援者により指示された内容と異なる場合に、被支援者による操作が視認され易いように表示を強調する制御を行う。この強調する処理の具体例は後述する。切り替え部205と強調表示制御部206の処理の結果は、通信部201から支援者側PC操作支援装置100内の通信部101に送られ、支援者側PC操作支援装置100のディスプレイ302上に表示される。
【0029】
支援者側操作内容特定部207は、通信部201が支援者側PC操作支援装置100から受け付けた内容に基づき、支援者側PC操作支援装置100の操作内容検出部102が検出した操作の内容を特定する。つまり、支援者側操作内容特定部207は、支援者が行った指示操作の内容を特定する。
【0030】
支援者側PC操作支援装置100からは、支援者による支援者側PC300の操作内容が、被支援者側PC操作支援装置200に送られるが、その情報は、表示制御部202による被支援者側PC310のディスプレイ312上における指示表示の表示制御に利用されるのみであり、被支援者側PC310の操作には利用されない。つまり、指示表示に係る内容以外に関しては、支援者側PC300を操作しての被支援者側PC310の操作は行えない。
【0031】
以上述べたように、被支援者側PC操作支援装置200は、支援者側から通知される操作の指示内容を受け付ける通信部201を備えている。また、被支援者側PC操作支援装置200は、通信部201が受け付けた内容を指示する指示表示(例えば図6の符号601)を被支援者が操作するディスプレイ312(図3参照)上に表示させる制御を行う表示制御部202(図2参照)を備えている。
【0032】
また、被支援者側PC操作支援装置200は、通信部201が受け付けた内容が実行されたか否か、を判定する操作同一性判定部203を備えている。また、被支援者側PC操作支援装置200は、操作同一性判定部203における判定に基づいて、図6に例示さえる指示表示601の表示状態を符号603や604の状態に切り替える切り替え部205を備えている。また、被支援者側PC操作支援装置200は、切り替え部205により指示表示の表示状態の切り替えが行われた場合、その情報を支援者側PC300に送信する通信部201を備えている。
【0033】
また、被支援者側PC操作支援装置200は、支援者側から受け付けた指示された操作内容と異なる操作が実行された場合に、この操作を強調する表示の制御を行う強調表示部206を備えている。この強調する表示に係る情報は、通信部201から支援者側PC300に送信される。
【0034】
(動作の一例)
以下、図1、図2に示す構成の動作の一例を説明する。以下に説明する動作では、被支援者側PC操作支援装置200において、電子メールを扱うアプリケーションソフトウェアの動作画面が表示されており、この動作画面の画面データは、被支援者側PC操作支援装置200の通信部201から支援者側PC操作支援装置100の通信部101に送られ、ディスプレイ302には、ディスプレイ312と同じ内容の画面が表示されている状態を前提とする。
【0035】
以下、被支援者側PC操作支援装置100における被支援者による上記電子メールを扱うアプリケーションソフトウェアの操作の支援が、支援側PC300を操作する支援者により行われる場合の動作の一例を説明する。また、支援者と被支援者は、電話回線による音声による通話が行える状態であるとする。
【0036】
いま、ディスプレイ312上に表示されている操作画面に当該アプリケーションのGUI(グラフィカル・ユーザ・インターフェース)画面(操作画面)が表示されているとする。この状態において、ある操作を実行するためのクリック操作を被支援者が行おうとしており、それを支援者が支援する状況を想定する。すなわち、支援者が被支援者に対して、クリックする画面上の位置を教える状況を想定する。
【0037】
図6にはこの状況の一例が示されている。図6の左側には、ディスプレイ302のGUI画面(操作画面)が7パターン示されている。図6の右側には、ディスプレイ312のGUI画面が7パターン示されている。図6には、支援者がGUI画面上の「B***」の表示部分を被支援者に左ダブルクリックさせる指示を与える場合の状況が示されている。
【0038】
この場合、支援者側PC操作支援装置100の動作が開始(ステップS401)されている状況において、支援者は、ディスプレイ302上に表示されている画面上で「B***」の表示部分にカーソル600を移動させる。この状態が図6(A)に示されている。
【0039】
図6(A)の状態において、支援者が左ダブルクリックを行うと、ステップS402の判定がYESとなり、支援者側でディスプレイ302上の「B***」の表示部分が選択された旨が支援者側PC支援装置100において検出される。この処理は、操作内容検出部102によって行われる。この検出内容は、通信部101から被支援者側PC操作支援装置200に送られ(ステップS403)、通信部201で受け付けられる。
【0040】
この通信部201における支援者側PC300の操作内容のデータの受け付けを契機として、被支援者側PC操作支援装置200における図5の処理が開始される(ステップS501)。図5の処理が開始されると、通信部201が受け付けたデータに基づいて、操作内容検出部102が検出した支援者側の操作内容(この場合は、図6の「B***」の表示部分が左ダブルクリックされた操作内容)が特定される(ステップS502)。この処理は、図2の支援者側操作内容特定部207において行われる。
【0041】
次に、ステップS502で特定した内容に基づき、ディスプレイ312上に支援者の操作を反映させた指示表示を表示する(ステップS503)。すなわち、支援者が指示した場所に支援者が指示した内容を表示する。この処理は、図2の表示制御部202によって行われる。
【0042】
この状態が、図6(B)に示されている。図6(B)には、指示表示601としてカーソルと区別でき、且つ、認識し易い矢印の表示が示されている。ここで、指示表示601が左斜め上を向いているのは、支援者から左クリックが指示されている旨を示し、指示表示601右側の数字は、指示表示601の付加情報であり、支援者からダブルクリックが指示されている旨を示している。このような表示形態とすることで、支援者が指示した画面上での位置と操作の内容とを視覚的に表現している。
【0043】
なお、図6(A)の段階で、支援者が右クリックを行った場合は、指示表示の矢印が右斜め上を向く取り決めとされている。これにより、被支援者が右クリックの指示か、左クリックの指示かを区別できるようにされている。
【0044】
図6(B)の表示内容により、被支援者は、支援者により「B***」の表示部分を左ダブルクリックする指示が出されている旨を認識できる。図6(C)には、被支援者が支援者により指示された位置(「B***」の表示部分)に、カーソル602を移動させた状態が示されている。
【0045】
ここで、指示通り左ダブルクリックが行われた場合、図5のステップS504がYESとなり、また指示通りの操作が行われたので、ステップS505がYESとなり、指示表示601が消去される(ステップS506)。また、被支援者側PC310で「B***」の表示部分が左ダブルクリックされた結果、当該画面表示を行っているアプリケーションソフトウェアの機能に従って、「B***」の表示部分のメニュー表示が行われる。この状態が、図6(E)に示されている。なお、ディスプレイ312の表示内容は、通信部201から支援者側PC300に送られ、ディスプレイ302にも表示される。
【0046】
上記の処理では、ステップS504の処理が図2の操作実行判定部203において行われ、ステップS505の処理が操作同一性判定部204において行われ、ステップS506の処理が表示制御部202において行われる。こうして、支援者は、指示した通りの操作が被支援者により行われたことが視覚的に確認できる。また、被支援者も指示された操作が確実に行えたことが視覚的に確認できる。
【0047】
ここで仮に、図6(C)の状態において、被支援者が左ワンクリックを行った場合、図6(C)の画面表示が図6(D)の画面表示となる。この場合、指示表示が消えず、また指示表示横の数字が1に切り替わる。ここで、被支援者が一定時間の間操作を行わないと、図6(C)の状態に戻り、その後被支援者が左ダブルクリックを行うと(つまり、指示された操作を正確に行うと)、図6(E)の画面表示となる。
【0048】
この処理は、ステップS505の判定がNOとなり、ステップS508の処理が図2の切り替え部205において実行されることで行われる。また、被支援者側のディスプレイ312の表示内容は、通信部201から支援者側に送られ、同様の内容がディスプレイ302にも表示される。
【0049】
この処理によれば、クリック操作が指示通りでなかった旨が支援者および被支援者の双方で視覚的に認識される。したがって、音声通話による助言を効果的に行うことができる。
【0050】
また、図6(C)の状態において、被支援者が指示内容を把握できず、誤って「D***」の部分を左ダブルクリックした場合、「D***」の部分が図6(F)に示すように色が濃くなる強調表示とされ、且つ、指示表示が符号603で示されるように色が濃くなった状態に切り替わる。
【0051】
この処理は、ステップS505の判定がNOとなり、ステップS508の処理が強調表示制御部206および切り替え部205で実行されることで行われる。すなわち、強調表示制御部206の機能により、「D***」の部分が図6(F)に示すように色が濃くなる強調表示とされる。また、切り替え部205の機能により、指示表示が符号603で示されるように色が濃くなった状態に切り替わる。また、被支援者側のディスプレイ312の表示内容は、支援者側に送られ、同様の内容がディスプレイ302にも表示される。
【0052】
図6(F)に示すように、指示と異なる誤った操作が被支援者によって行われた場合、符号603で示されるように指示表示の切り替わりによりその事態が視覚的に強調される。また、誤ってクリックした部分が符号602で示されるように強調表示され、その位置が視覚的に強調される。この表示形態は、支援者側と被支援者側の両方で視認される。このため、支援者および被支援者の双方が、どのような誤りがあったのか認識することが容易であり、操作をやり直す、あるいは改めて支援者からの支援を受ける等の作業がスムーズに行われる。
【0053】
図6(F)の状況において、被支援者が誤りに気付き、カーソル602を指示表示603の部分に移動させ、指示された操作を行うと、図6(E)の画面表示となる。この場合、図5のステップS504がYES、ステップS505がYESとなり、ステップS506の処理が行われる。
【0054】
また、図6(C)の状態において、被支援者が支援者の指示と異なる右クリックを行った場合、図5のステップS504がYES、ステップS505がNOとなり、ステップS508の強調表示が実行され、図6(G)の画面表示となる。この場合、切り替え部205の機能により、符号604で示されるように指示表示の矢印の向きが右斜め上向きの状態に切り替わる。
【0055】
この処理によれば、左クリックの指示であったのに、誤って右クリックを被支援者が行ったことが、支援者および被支援者の双方で視覚的に認識することができる。このため、支援者は、次の的確な指示や助言を被支援者に与えることができ、また被支援者は、誤りに気付くことができる。
【0056】
(優位性)
支援者の指示内容が、指示表示601によって被支援者側のディスプレイ312に表示され、その指示内容が正確に実行されたか否か、が符号603で示されるように、指示表示601の表示状態の切り替わりにより支援者側にフィードバックされる。このため、支援者の指示内容を被支援者が正確に実行できたか否かを支援者側で視覚的に把握できる。また、被支援者側も指示を正確に実行できたか否か、を視覚的に把握することができる。
【0057】
また、誤った操作が被支援者側で行われた場合、図6(F)の「F***」の部分で示されるように、誤った操作内容が強調表示される。このため、指示と異なるどのような操作が被支援者側で行われたかを支援者、被支援者側の双方で視覚的に把握することができる。
【0058】
図6に示すように、支援者側の指示の内容が、指示表示601として被支援者側で表示されるが、それは表示に留まり、被支援者側PC310の操作が支援者側から(つまり支援者側PC300側から)行えるわけではない。このため、被支援者の意思に反して、遠隔操作により被支援者側PC310の操作は行われない。よって例えば、個人情報が絡む設定の操作や金銭のやり取りが絡む各種の操作(例えば、ネット銀行を利用した払い込み操作)といった本人が最終的に責任を持って操作を行う必要がある場合に、支援者がその操作をアシストすることはできるが、支援者がその操作を遠隔操作によって行うことはできない。またこれに関連して、被支援者による操作によってしか操作内容が反映されないので、被支援者の学習効果が高くなる。
【0059】
指示表示の向きや添え字の付加によって、右クリックと左クリックを区別しての指定、およびクリック数の指定が視覚的に行われる。このため、被支援者への的確な支援が可能となる。
【0060】
支援者操作に基づく指示表示及び被支援者の誤操作に基づく強調表示は、支援者側PC300と被支援者側PC310との間の伝送速度が過度に遅く全ての画面状態遷移を遅れない場合であっても、的確に相互に操作内容を伝達することが可能となる。
【0061】
支援者側PC操作支援装置100および被支援者側PC操作支援装置200は、ソフトウェア的に構成されるので、通常のPCに当該プログラムをインストールすることで、本発明を利用することができる。
【0062】
(他の例)
本発明を利用してドラッグアンドドロップ操作の支援を行うこともできる。以下、この一例を説明する。図7には、被支援者側PCのディスプレイ上に表示される表示画面の一例が示されている。支援者側PCのディスプレイ上でドラッグアンドドロップ操作を行うと、図7に示す指示表示の表示が被支援者側PCのディスプレイ上で行われる。
【0063】
ここで、指示表示は、ドラッグアンドドロップ操作の始点を示す矢印701、経路を示す破線703、終点を示す矢印703、付加情報として「押」、「離」の表示により構成されている。この指示表示により、マウスボタンを押す位置、押したまま動かす経路、離す位置が視覚的に示されている。
【0064】
この場合も、指示通りのドラッグアンドドロップ操作が行われないと、矢印701、702、破線703の表示が認識し易い形態で切り替わり、支援者側の指示が正確に再現できていない旨が視覚的に表現される。またこの画像は、支援者側PCにも送られる。このため、図6の例示の場合と同様に、支援者側で操作を誤った状態を視覚的に把握することが可能となる。
【0065】
(その他)
PCの操作内容としては、PCの操作に係るものであれば、特に限定されず、例えばPCの基本操作、PCの各種設定操作、各種アプリケーションソフトウェアの設定や操作、PCを操作しての各種の手続(例えば、ネットショッピングの手続、ネット銀行への入金、各種の申し込み等)、PCを操作しての学習(例えば算数の学習)等に本発明は適用することができる。
【0066】
また、以上の例示では、操作される電子機器としてパーソナルコンピュータの例を説明したが、電子機器としては、通信機能を有し、タッチパネルディスプレイ等の画面を利用した操作部(つまりGUIの機能)を備えた家電製品、事務機器(複写装置や印刷装置)、工作機械、携帯情報処理端末、携帯電話等を挙げることができる。
【0067】
ところで、端末側の操作内容がサーバに送られ、操作内容の一部または全部の処理がサーバ側で行われるしシステムが知られている。このようなシステムに本発明を利用することもできる。この場合、上に例示した処理の一部または全部がサーバ側で行われる。この場合、本発明は、電子機器操作支援装置システムとして把握される。
【0068】
実施形態を実現するためのプログラムは、サーバや適当な記憶媒体中に格納され、そこから提供される形態であってもよい。指示表示の切り替わりは、それが認識し易いものであればよく、点滅状態への切り替わり、他の形への切り替わり、表示が薄くなる切り替わり等が可能である。指示表示の形は、指の形や何らかのキャラクター等であってもよい。指示表示が表示されてから特定の時間が経過した場合に、指示表示を強調表示に切り替え、指示が行われてから一定時間内に被支援者の操作が行われなかった旨を両ディスプレイ上で強調する処理を行っても良い。強調表示も目立つものであればよく、例えば点滅や反転表示であってもよい。
【0069】
被支援者側のディスプレイ312に被支援者の個人情報が表示されている場合、それが支援者側のディスプレイ302に表示されないように、特定の部分に表示されている内容は、伏せ字として支援者側に送られるようにしてもよい。指示表示に付加して表示する内容としては、クリック回数以外に、「5秒以内に操作」や「チェックを外す」、「左クリックしたままの状態を維持する」、「警告表示は無視する」等の内容を採用することもできる。また指示表示により、文字の入力個所を指示することもできる。この際に指示表示への付加情報として「入力は半角文字」、「パスワードは5文字以上」といった内容を付加することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、電子機器の操作を支援する技術に利用することができる。
【符号の説明】
【0071】
300…支援者側PC(支援者側のパーソナルコンピュータ)
310…被支援者側PC(被支援者側のパーソナルコンピュータ)
320…通信回線。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支援者側から通知される操作の内容を受け付ける受付手段と、
前記受け付けた操作の内容を指示する指示表示を操作画面上に表示させる制御を行う表示制御手段と、
前記受け付けた内容が実行されたか否か、を判定する判定手段と、
前記判定手段における前記判定に基づいて、前記指示表示の表示状態を切り替える切り替え手段と、
前記切り替え手段による前記表示状態の切り替えの情報を前記支援者側に送信する送信手段と
を備えることを特徴とする電子機器操作支援装置。
【請求項2】
前記受け付けた内容と異なる操作が実行された場合に、当該操作を強調する表示の制御を行う強調表示制御手段を備え、
前記送信手段は、前記強調する表示の情報を前記支援者側に送信することを特徴とする請求項1に記載の電子機器操作支援装置。
【請求項3】
前記支援者側からの操作による前記操作画面の操作が行えないことを特徴とする請求項1または2に記載の電子機器操作支援装置。
【請求項4】
支援者側から通知される操作の内容を受け付ける受付手段と、
前記受け付けた操作の内容を指示する指示表示を操作画面上に表示させる制御を行う表示制御手段と、
前記受け付けた内容が実行されたか否か、を判定する判定手段と、
前記判定手段における前記判定に基づいて、前記指示表示の表示状態を切り替える切り替え手段と、
前記切り替え手段による前記表示状態の切り替えの情報を前記支援者側に送信する送信手段と
を備えることを特徴とする電子機器操作支援システム。
【請求項5】
コンピュータに読み取らせて実行させるプログラムであって、
コンピュータを、
支援者側から通知される操作の内容を受け付ける受付手段と、
前記受け付けた操作の内容を指示する指示表示を操作画面上に表示させる制御を行う表示制御手段と、
前記受け付けた内容が実行されたか否か、を判定する判定手段と、
前記判定手段における前記判定に基づいて、前記指示表示の表示状態を切り替える切り替え手段と、
前記切り替え手段による前記表示状態の切り替えの情報を前記支援者側に送信する送信手段と
して動作させることを特徴とする電子機器操作支援プログラム。
【請求項1】
支援者側から通知される操作の内容を受け付ける受付手段と、
前記受け付けた操作の内容を指示する指示表示を操作画面上に表示させる制御を行う表示制御手段と、
前記受け付けた内容が実行されたか否か、を判定する判定手段と、
前記判定手段における前記判定に基づいて、前記指示表示の表示状態を切り替える切り替え手段と、
前記切り替え手段による前記表示状態の切り替えの情報を前記支援者側に送信する送信手段と
を備えることを特徴とする電子機器操作支援装置。
【請求項2】
前記受け付けた内容と異なる操作が実行された場合に、当該操作を強調する表示の制御を行う強調表示制御手段を備え、
前記送信手段は、前記強調する表示の情報を前記支援者側に送信することを特徴とする請求項1に記載の電子機器操作支援装置。
【請求項3】
前記支援者側からの操作による前記操作画面の操作が行えないことを特徴とする請求項1または2に記載の電子機器操作支援装置。
【請求項4】
支援者側から通知される操作の内容を受け付ける受付手段と、
前記受け付けた操作の内容を指示する指示表示を操作画面上に表示させる制御を行う表示制御手段と、
前記受け付けた内容が実行されたか否か、を判定する判定手段と、
前記判定手段における前記判定に基づいて、前記指示表示の表示状態を切り替える切り替え手段と、
前記切り替え手段による前記表示状態の切り替えの情報を前記支援者側に送信する送信手段と
を備えることを特徴とする電子機器操作支援システム。
【請求項5】
コンピュータに読み取らせて実行させるプログラムであって、
コンピュータを、
支援者側から通知される操作の内容を受け付ける受付手段と、
前記受け付けた操作の内容を指示する指示表示を操作画面上に表示させる制御を行う表示制御手段と、
前記受け付けた内容が実行されたか否か、を判定する判定手段と、
前記判定手段における前記判定に基づいて、前記指示表示の表示状態を切り替える切り替え手段と、
前記切り替え手段による前記表示状態の切り替えの情報を前記支援者側に送信する送信手段と
して動作させることを特徴とする電子機器操作支援プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開2011−186603(P2011−186603A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−49130(P2010−49130)
【出願日】平成22年3月5日(2010.3.5)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月5日(2010.3.5)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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