説明

電子機器

【課題】 ズームスイッチを効率的に配置した電子機器を提供する。
【解決手段】 外装と、外装に取り付けられた回転操作部材と基板上に配置された、回転操作部材の回転を検出する第1の検出スイッチとを有し、第1の検出スイッチは、外装と基板の組み付け方向に対して、所定量の角度を持って配置されていることを特徴とする。また、回転操作部材と同軸上に取り付けられた操作部材と、基板上に配置された、操作部材の押下を検出する第2の検出スイッチとを有し、第2の検出スイッチは第1の検出スイッチよりも低い位置に配置されている。そして、第1の検出スイッチは、回転操作部材を含む複数の円形部品間の隙間に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子機器に関し、検出スイッチの効率的な配置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
撮像装置のズーム検出機構には、回転操作部材と、ツマミ部材を有するスライド式ズームスイッチを採用する例がある(例えば、特許文献1参照)。この場合、カメラのグリップ部の上方にフレキシブル基板を配置し、その上にレリーズスイッチ、ズームスイッチを載せて、さらにグリップカバー、ズームレバー、ボタンばね、レリーズボタンを重ねていくという構成をとっている。
【特許文献1】特開2004−273324号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記の検出機構では、グリップカバーもしくはトップカバーのような外観部品が別途必要になり、コストの増加につながる。別の問題として、レリーズスイッチとズームスイッチが同一平面上に実装されているため、ズームレバー及びレリーズボタンを基板の水平方向から組み付けようとすると、レリーズボタンの足とレリーズスイッチとが干渉してしまう。干渉を避けるためにレリーズボタンのストロークを大きくすると、その分レリーズボタンが鉛直方向に伸びて厚みが増してしまう。よって組み付け方向は上方からに限定されていた。また、ズームスイッチのスペースを確保しなければならないので、カメラの薄型化の妨げとなっていた。
【0004】
本発明は、以上の点に着目して成されたもので、ズームスイッチを効率的に配置した電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の電子機器は、外装と、外装に取り付けられた回転操作部材と、基板上に配置された、回転操作部材の回転を検出する第1の検出スイッチとを有し、第1の検出スイッチは、外装と基板の組み付け方向に対して、所定量の角度を持って配置されていることを特徴とする。
【0006】
また、回転操作部材と同軸上に取り付けられた操作部材と、基板上に配置された、操作部材の押下を検出する第2の検出スイッチとを有し、第2の検出スイッチは第1の検出スイッチよりも低い位置に配置されている。
【0007】
そして、第1の検出スイッチは、回転操作部材を含む複数の円形部品間の隙間に配置されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、トップカバーやグリップカバーを別途設ける必要はなくなり、部品数が減り、コストダウンにつながる。また、ズームレバー及びレリーズボタンをフロントカバーに取り付けてから、フロントカバーにトップベースユニットを組み付けた場合、レリーズスイッチはズームスイッチよりも低い位置に配置されているためレリーズスイッチとレリーズボタンの足は干渉しない。
【0009】
さらに、ズームスイッチと、ズームレバーのプレートのアームが干渉してもズームスイッチの突起部は力を受け流し、中間位置に自己復帰するため破壊するおそれがない。なお、ズームレバー、スピーカー、モードダイヤルの3つの円形部品間にできるデッドスペースにズームスイッチを配置しているため、ズームスイッチのための余分なスペースを確保する必要がない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下本発明を実施するための最良の形態を、実施例により詳しく説明する。
【実施例】
【0011】
図1は、本発明の一実施形態であるデジタルカメラ(電子機器)の外観斜視図である。
【0012】
同図において、1はカメラ本体であり、この内部には撮影を可能とする各種の部材が配置されている。2は撮影者がカメラ本体1を保持するためのグリップ部である。3はレンズ鏡筒であり、光軸方向に繰り出したり繰り込んだりすることにより、撮影光学系の焦点距離を変更する。
【0013】
4はレンズ鏡筒3の撮像画角(撮影光学系の焦点距離)を変更するために操作されるズームレバーであり、円筒状に形成されており、カメラ本体1に組み込まれる。このズームレバー4は、軸を中心に正逆方向に所定量、回転可能となっている。
【0014】
5は2段階の押圧操作が可能なレリーズボタンであり、半押操作により撮影準備動作(測光動作や焦点調節動作等)が開始され、全押し操作により撮影動作(CCD等の撮像素子への露光)が開始される。
【0015】
6はシャッタスピード優先モード、絞り優先モード、ポートレート撮影モード、夜景撮影モードなど様々な撮影モードを選択するモードダイヤルであり、回転軸を中心に回転可能となっている。
【0016】
7はスピーカー孔であり、記録した動画の再生時に、下部に配置されているスピーカーから音声が出る。
【0017】
次に、ズームレバー4の周辺の構造について詳細に説明する。
【0018】
図2はズームレバー4の周辺の構造を示す分解斜視図である。
【0019】
同図において、ズームレバー4は、この回転軸を、フロントカバー13に設けられたカバー穴部15aに貫通させることにより、回転軸を中心に回転可能となる。フロントカバー13の下から、ズームスイッチの突起部と係合するアームを持つプレート12と、ズームレバー4を操作方向と逆方向に付勢するための円形状の針金ばねを組み付け、ビスで固定される。
【0020】
ズームレバー4の取り付けボスはフロントカバー13に形成された2つの円弧穴部15b、15cに貫通し、2本のビスで固定される。これにより、ズームレバー4は、取り付けボスが円弧穴部15b、15c内を移動可能な範囲内において、回転軸を中心に回転することができる。
【0021】
また、回転軸の中にはボタン穴部が開けられており、このボタン穴部にはレリーズボタン5がボタンばねとともに取り付けられている。
【0022】
図3はトップベースユニット14の部分を拡大した斜視図である。トップベースユニット14は板金の基板27、フレキシブル基板26、レリーズスイッチ22、ズームスイッチ23、電源スイッチ24、パワーLED25、モードダイヤル6、スピーカー21などから構成される。
【0023】
レリーズスイッチ22、電源スイッチ24は押圧式のスイッチであり、ズームスイッチ23は2方向検知型スイッチである。22、24はそれぞれフレキシブル基板26の表面のうち適正な位置に実装される。このフレキシブル基板26の一端は、カメラ本体1内に設けられた不図示の制御部に接続されている。
【0024】
ズームレバー4の回転中心の真下に、レリーズスイッチ22が配置されており、レリーズボタン5の押圧操作によりボタン足がレリーズスイッチ22に当接するようになっている。
【0025】
レリーズスイッチ22の構成は、従来のカメラに用いられているレリーズスイッチと同様の構成であり、レリーズボタン5の半押し操作によりボタン足と当接してON状態となる第1のスイッチ(SW1)と、レリーズボタン5の全押し操作によりボタン足と当接してON状態となる第2のスイッチ(SW2)とで構成されている。
【0026】
ズームスイッチ23は、突起部23aが回転軸を中心に左右対称に所定量回転する。突起部23aは、中間位置に戻るように付勢されている。
【0027】
レリーズスイッチ22はフレキシブル基板26を折り曲げることによって、ズームスイッチ23より1段低い位置に配置されている。このように配置することにより、トップベースユニット14をフロントカバー13に対して水平方向に組み付けた場合でも、レリーズボタン5やプレート12がレリーズスイッチ22と干渉することはなく、水平方向の組み付けが可能となる。
【0028】
ズームスイッチ23は、フロントカバー13とトップベースユニット14を組み付けたとき、ズームレバー4、スピーカー21、モードダイヤル6の3つの円形部品間にできるデッドスペースに配置されており、ズームスイッチを配置するためのスペースを別途設ける必要はない。
【0029】
図4にズームスイッチ23とズームレバー4の下部に取り付けられるプレート12の、組み付け前の位置関係を示す。ズームスイッチ23は組み付け方向に対して所定量の角度を持って配置されている。このように配置することにより、組み付け時にプレート12のアーム32a、32bとズームスイッチ23の突起部23aが干渉した場合でも、突起部23aは力を受け流して、中間位置に自己復帰するため、スイッチの破壊を回避することができる。
【0030】
図5にトップベースユニット14がフロントカバー13に組み付けられたときの、ズームスイッチ23とプレート12との位置関係を示す。図のように、アーム32a、32bの間にズームスイッチの突起部23aが納まる。ズームレバー4に固定されたプレート12のアーム32a、32bとズームスイッチの突起部23aが連動する。
【0031】
次に、本実施形態のカメラにおいて、ズームレバー4の操作に応じた動作を説明する。
【0032】
図1にて、撮影者は右手でグリップ2を保持し、レンズ鏡筒3を被写体に向け、ズームレバー4を操作して撮影画角を設定する。このとき、ズームレバー4を一方向に回転させると、ズームレバー4の操作信号を受けたカメラ本体1内の制御部は、撮影画角が広角となるようにレンズ鏡筒3を駆動して停止させる。また、ズームレバー4を他方向に回転させると、制御部は、撮影画角が望遠となるようにレンズ鏡筒3を駆動して停止させる。このように、ズームレバー4の回転方向に応じて、撮影画角を広角側と望遠側に切り換えることができるため、撮影画角の選定が行ないやすい。
【0033】
撮影画角を決定した後に、ズームレバー4の中央にあるレリーズボタン5を押圧操作(全押し操作)することにより撮影が行われる。すなわち、レリーズボタン5のボタン足がレリーズスイッチ22の第2のスイッチを押し込むことでSW2がON状態となり、この信号がフレキシブル基板26を経てカメラ本体1内の制御部に入力される。この入力信号を受けた制御部は、カメラ本体1内に設けられた撮像素子を駆動することによって撮影を行なう。
【0034】
本実施形態のカメラでは、撮影画角の切替えを行なうズームレバー4の近傍にレリーズボタン5が配置されているため、撮影画角の切替えと撮影動作とを、指一本で簡単に行なえる。特にデジタルカメラの様に、レンズの撮影画角を頻繁に切替えながら撮影を行なう機器においては、ズームレバー4の操作性が求められているため、上述した配置構成とすることで上記機器に好適なものとなる。
【0035】
次に、ズームレバー4の動作について詳しく説明する。
【0036】
まず、ズームレバー4が初期位置にあるときには、プレート12に取り付けられた針金ばね31の両端がフロントカバーの突き出し部と、遊びを持たずに係合しているため、ズームレバー4は安定した状態となっている。これにより、ズームレバー4をがたなく初期位置に保持させることができる。ズームレバーが初期位置にあるときは、図5のようにズームスイッチの突起部23aは中間位置にあり、制御部はズームレバー4が初期位置にいることを検出し、レンズ鏡筒3を停止させた状態に維持する。
【0037】
ここで、操作者がズームレバー4を初期位置から広角位置へ回転(図5において反時計方向)させると、プレート12がズームレバー4とともに回転するため、アーム32bがズームスイッチの突起部23aを突起部の付勢力に抗して中間位置から広角位置へ回転させる。
【0038】
突起部23aが広角位置まで回転すると、ズームスイッチは内部の端子を導通させ、信号がカメラ本体1内の制御部に入力される。制御部はズームレバー4が広角位置にあることを検出するとともに、レンズ鏡筒3を駆動して撮影画角を広角側に切り換える。
【0039】
次に操作者はレンズ鏡筒3を所望の撮影画角に設定できたら、ズームレバー4を放す。プレート12に取り付けられた針金ばね31は回転方向に圧縮されていたので、ズームレバー4は付勢力を受けて、初期位置へ向けて回転する。このとき、ズームスイッチの突起部23aも中間位置まで自己復帰する。
【0040】
以上はズームレバー4を広角位置へ回転させた場合について説明したが、ズームレバー4を広角位置と反対側の望遠位置に移動させる場合についても上述した動作と同様となる。
【0041】
なお、本実施形態ではデジタルカメラについて説明したが、互いに異なる方向に操作されるレバーを備え、このレバーの操作位置に応じて異なる信号を出力させるような構成を持った電子機器であればいかなるものについても適用することができる。
【0042】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変更や改良が加えられて実施されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本実施形態であるカメラの外観斜視図
【図2】ズームレバーの周辺構造の分解斜視図
【図3】トップベースユニットの斜視図
【図4】ズームスイッチの構成図(組み付け前)
【図5】ズームスイッチの構成図(組み付け後)
【符号の説明】
【0044】
1 カメラ本体
2 グリップ部
3 レンズ鏡筒
4 ズームレバー
5 レリーズボタン
5a レリーズキャップ
5b レリーズボタン足部
6 モードダイヤル
7 スピーカー孔
11 ボタンばね
12 プレート
13 フロントカバー
14 トップベースユニット
15a カバー穴部
15b、15c 円弧穴部
21 スピーカー
22 レリーズスイッチ
23 ズームスイッチ
23a ズームスイッチの突起部
24 電源スイッチ
25 パワーLED
26 フレキシブル基板
27 板金基板
31 針金ばね
32a、32b アーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外装と、
該外装に取り付けられた回転操作部材と、
基板上に配置された、前記回転操作部材の回転を検出する第1の検出スイッチとを有し、
前記第1の検出スイッチは、前記外装と前記基板の組み付け方向に対して、所定量の角度を持って配置されていることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記回転操作部材と同軸上に取り付けられた操作部材と、
前記基板上に配置された、前記操作部材の押下を検出する第2の検出スイッチとを有し、
前記第2の検出スイッチは前記第1の検出スイッチよりも低い位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記第1の検出スイッチは、前記回転操作部材を含む複数の円形部品間の隙間に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−196212(P2006−196212A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−3901(P2005−3901)
【出願日】平成17年1月11日(2005.1.11)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】