説明

電子機器

【課題】化粧ボタン孔に対して操作ボタンを適切な位置に容易に配置できる記録再生装置の提供。
【解決手段】記録再生装置に、操作ボタン152を露出させるパネルボタン挿通孔121を有する正面パネル120と、操作ボタン152が設けられたボタン台座141と、このボタン台座141を左右方向へ移動可能に支持する台座支持部123と、ボタン台座141を右方向へ付勢する樹脂ばね122と、パネル裏面120Aに対して略直交する方向へ移動可能な可動部170と、この可動部170に当接する状態でボタン台座141に設けられ可動部170の移動に応じて左右方向へ案内される台座案内部147と、を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、正面パネルの操作子露出孔から露出される操作子を備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子機器として、正面パネルの操作子露出孔から露出される操作子を備えた構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1に記載のものは、トレイ開閉ボタンを有するイジェクト部材にボス孔を設けている。そして、イジェクト部材をフロントケースにボス孔により固定して、トレイ開閉ボタンをフロントケースの孔から外部に露出させる構成が採られている。
【0003】
【特許文献1】特開2006−318556号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のような構成では、外観に介在する部品が多い場合、例えば正面パネルの前面にさらに意匠性が高いパネルを設ける場合、外観面に対する操作子の位置精度を出すのが困難である。この位置精度を高めるためには、各部品の精度に依存せざるを得ないが、部品製造に複数の金型が介在することが多く、精度を高めることは困難である。
また、製造時に操作子が孔に対してずれている場合、正面パネルと操作子を支持する部材との間にスペーサを配置して、操作子を傾かせることで見かけ上の位置精度を出すことも考えられる。しかし、操作子が傾いているため見た目が悪く、製造ロットごとにスペーサの配置条件やサイズも変化してしまい量産性が落ちてしまう。
これらのことから、正面パネルから露出される操作子を適切な位置に容易に配置可能な構成が望まれている。
【0005】
本発明は、正面パネルから露出される操作子を適切な位置に容易に配置可能な電子機器を提供することを1つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、操作子と、ケース体の正面に設けられる正面パネルと、この正面パネルに設けられ前記操作子を露出させる操作子露出孔と、を備えた電子機器であって、前記正面パネルの裏面に配置され前記操作子が設けられた操作子台座と、この操作子台座を少なくとも一軸に沿った方向に往復自在に支持する台座支持部と、前記操作子台座を移動可能な方向のうちの一方向に付勢する付勢部と、前記正面パネルに対して所定方向に移動可能に設けられた可動部と、この可動部に当接する状態で前記操作子台座に固定され、前記可動部の移動に応じて前記付勢部による付勢方向およびこの付勢方向と反対方向のうち少なくとも一方の方向へ案内される台座案内部と、を具備したことを特徴とする電子機器である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、本実施形態では、電子機器としての記録再生装置を例示して説明する。
【0008】
[記録再生装置の構成]
まず、記録再生装置の構成について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る記録再生装置の概略構成を示す斜視図である。図2は、ボタン部の調整作業が終了した状態を示す正面パネルの表面側からの斜視図である。図3は、ボタン部の調整作業が終了した状態を示す正面パネルの裏面側からの斜視図である。図4は、ボタン部の調整作業が終了した状態を示す図3のIV−IV線に沿った断面図である。
【0009】
図1に示すように、電子機器としての記録再生装置100は、正面が開口したケース体110と、このケース体110の正面に設けられた正面パネル120と、この正面パネル120の外面に取り付けられる化粧板210と、を備えている。
【0010】
ケース体110は、例えば樹脂材により形成されている。このケース体110の内部には、図示しない光ディスクに対する情報の記録再生処理をするディスク装置111や、各種情報を表示する表示装置112などが配置されている。
【0011】
化粧板210は、例えばアルミ材やアクリル樹脂などにより長方形板状に形成されている。この化粧板210の長手方向(左右方向)両側には、後述する操作ボタン152が挿通される円形状の化粧ボタン孔211がそれぞれ設けられている。この化粧ボタン孔211は、径寸法が操作ボタン152よりも若干大きい形状を有している。また、化粧ボタン孔211の間には、図示しない端子を露出させるための第1の開口212と、ディスク装置111を露出させるための第2の開口213と、表示装置112を露出させるための第3の開口214とがそれぞれ設けられている。
【0012】
正面パネル120は、図2および図3に示すように、例えばポリスチレンやABS樹脂などにより背面側が開口された断面略コ字状に形成されている。ここで、正面パネル120の各構成の説明において、方向を述べるときは、正面パネル120の裏面120A(以下、パネル裏面120Aと称す)側から見た方向を基準にする。
【0013】
正面パネル120における化粧板210の第1〜第3の開口212〜214に対応する位置には、これらと略同一形状の図示しない開口部が設けられている。また、正面パネル120における化粧ボタン孔211に対応する位置にも、化粧ボタン孔211と略同一形状の操作子露出孔としてのパネルボタン挿通孔121が設けられている。
【0014】
また、パネル裏面120Aには、図3および図4に示すように、このパネル裏面120Aと一体的に形成された、付勢部である樹脂ばね122と、台座支持部123と、調整螺合部127と、2個の固定螺合部128と、が設けられている。
【0015】
樹脂ばね122は、長方形板状に形成され、パネルボタン挿通孔121の左側に設けられている。また、樹脂ばね122は、パネル裏面120Aと略直交する方向に延びる状態(図5参照)で設けられている。
【0016】
台座支持部123は、支持基部124と、2個の支持ピン125と、2個の支持延出部126と、を備えている。
支持基部124は、パネルボタン挿通孔121の周囲を覆う四角枠状に形成され、一つの辺が正面パネル120の上辺と平行となり、かつ、他の一つの辺がパネルボタン挿通孔121と樹脂ばね122との間に位置するように設けられている。
支持ピン125は、丸棒状に形成され、支持基部124の上辺部分の左右両端側において、パネル裏面120Aと略直交する方向に延びるように設けられている。
2個の支持延出部126のうち一方は、支持基部124の左上端側から左側に延びるように設けられ、他方は、支持基部124の右下端側から右側に延びるように設けられている。
【0017】
調整螺合部127は、内周面に図示しないねじ溝が形成された略円筒状に形成され、支持基部124の右側において、パネル裏面120Aと略直交する方向に延びるように設けられている。
【0018】
固定螺合部128は、調整螺合部127と同様の構成を有し、パネル裏面120Aと略直交する方向に延びるように設けられている。2個の固定螺合部128のうち一方は、左上端の支持延出部126の上側に設けられ、他方は、右下の支持延出部126の下側に設けられている。
【0019】
また、パネル裏面120Aには、例えば正面パネル120と同じ材料で形成されたボタン部140が設けられている。
このボタン部140は、台座支持部123の支持基部124と略等しい四角枠状に形成された操作子台座としてのボタン台座141を備えている。このボタン台座141は、支持基部124に重なる状態で設けられる
このボタン台座141の上辺の両端側には、長孔状の2個のピン挿通孔142が設けられている。このピン挿通孔142は、左右方向の寸法が支持ピン125の径寸法よりも十分に大きく、かつ、上下方向の寸法が支持ピン125の径寸法よりも若干の大きい形状に形成されている。
また、ボタン台座141における2個の支持延出部126に対応する位置には、それぞれの支持延出部126と略等しい形状の2個の台座延出部143が設けられている。
【0020】
さらに、ボタン台座141の左辺には、パネル裏面120Aと略直交する方向に延びる付勢側板部144が設けられている。そして、この付勢側板部144の外側面には、樹脂ばね122に向かって延びる略長方形板状の付勢当接部145が設けられている。
また、ボタン台座141の右辺には、付勢側板部144と略等しい形状の調整側板部146が設けられている。そして、この調整側板部146の外側面には、調整螺合部127に向かって延びる略板状の台座案内部147が設けられている。この台座案内部147の延出方向先端には、パネル裏面120Aに近づくにしたがって、調整側板部146から離れるように傾斜する傾斜部としての傾斜面部148を備えている。
さらに、ボタン台座141の上辺には、付勢側板部144と略等しい形状の上側板部149が設けられている。
【0021】
また、ボタン台座141の上辺の両側には、下辺側に向けて延びる2個の連結部150が設けられている。そして、この連結部150の延出先端には、ボタン台座141の内部領域よりも小さい外形状を有するボタン基部151が連結されている。
このボタン基部151には、略中央から突出する操作子としての操作ボタン152が設けられている。
操作ボタン152は、パネルボタン挿通孔121および化粧ボタン孔211の径寸法よりも小さい径寸法を有し、突出先端側の面が閉塞された円筒状に形成されている。また、操作ボタン152は、パネルボタン挿通孔121および化粧ボタン孔211に挿通されたときに、その先端面が化粧板210の正面と略同一面上に位置する形状に形成されている。
さらに、ボタン基部151の下辺側には、円柱状に形成され、操作ボタン152と逆方向に突出するスイッチ押圧部153が設けられている。
【0022】
そして、ボタン部140は、ピン挿通孔142に支持ピン125が挿通され、かつ、ボタン台座141が支持基部124に載置されることで、台座支持部123により左右方向のみに往復自在に支持される。つまり、ボタン部140は、パネルボタン挿通孔121および化粧ボタン孔211に対する操作ボタン152の位置を調整できるように支持される。さらに、この支持の際、付勢当接部145が樹脂ばね122を左方向に押して弾性変形させる。そして、ボタン部140は、樹脂ばね122の弾性変形の反力により、矢印F1で示すように、右方向へ付勢される。
なお、操作ボタン152が利用者により押されると、連結部150を中心にボタン基部151が回動して、スイッチ押圧部153が図示しないスイッチを押圧する。
【0023】
また、調整螺合部127には、正面パネル120に対して略直交する方向に移動可能に設けられた可動部170が設けられる。この可動部170は、調整ねじ部材180と、螺合連動移動部としてのスライド部材190と、を備えている。
【0024】
調整ねじ部材180は、例えば金属により形成され、調整螺合部127に螺合されるねじ溝181を有するねじ部182と、ねじ頭部183と、を備えている。
【0025】
スライド部材190は、樹脂材により形成されている。このスライド部材190は、調整螺合部127を内部に挿通可能な略筒状のスライド基部191を備えている。このスライド基部191の一端(以下、スライド上端と称す)における内周面には、内側に向かって突出する内側突部192が周方向に沿って一連に設けられている。さらに、このスライド上端の外周面には、外側に向かって突出する外側突部193が周方向に沿って一連に設けられている。また、この外側突部193の突出先端におけるスライド下端には、円弧面状の円弧面部194が周方向に沿って一連に設けられている。
【0026】
そして、このスライド部材190は、スライド基部191の内部に調整螺合部127が挿通され、かつ、円弧面部194がボタン部140の傾斜面部148に当接する状態で設けられる。さらに、このスライド部材190の内側突部192の上に、ワッシャ185を介して調整ねじ部材180が配置される。そして、この調整ねじ部材180が調整螺合部127に螺合されることで、スライド部材190は、パネル裏面120Aと略直交する方向に移動する。
【0027】
また、固定螺合部128には、図示しない雄ねじ部と、ねじ頭部201とを有する固定ねじ部材200が螺合される。この固定ねじ部材200が固定螺合部128に螺合されると、ねじ頭部201と、支持延出部126とにより、台座延出部143を狭持する。この狭持により、ボタン部140が固定される。
【0028】
[ボタン部の取付作業および調整作業]
次に、ボタン部140を正面パネル120に取り付ける作業、および、ボタン部140の調整作業について説明する。
図5は、ボタン部を正面パネルに取り付ける前の状態を示す断面図である。図6は、ボタン部の調整作業を実施する前の状態を示す断面図である。
【0029】
まず、作業者は、図5に示すように、正面パネル120のパネル裏面120A側に、ボタン部140を位置させる。このとき、樹脂ばね122は、ボタン部140の付勢当接部145により弾性変形させられていないので、パネル裏面120Aと略直交する状態で設けられている。
次に、ボタン部140のピン挿通孔142に支持ピン125を挿通させる。
この状態では、付勢当接部145と樹脂ばね122とが当接し、かつ、ボタン台座141と支持基部124とが離れた状態となり、ボタン部140は、その重量により樹脂ばね122を左方向に若干弾性変形させる。
【0030】
この後、可動部170を調整螺合部127に取り付ける。具体的には、図6に示すように、スライド部材190の内部に調整螺合部127を挿通させ、円弧面部194をボタン部140の傾斜面部148に当接させる。そして、調整ねじ部材180のねじ部182を、スライド部材190に挿通させて調整螺合部127に螺合させる。
このように調整ねじ部材180が螺合されると、ボタン台座141が支持基部124上に載置され、樹脂ばね122は、さらに左方向に弾性変形する。そして、ボタン部140は、樹脂ばね122の弾性変形の反力により矢印F1で示す右方向へ付勢されるとともに、傾斜面部148と円弧面部194との当接により右方向への付勢が妨げられることで、樹脂ばね122と円弧面部194とで挟み込まれる状態で位置決めされる。
【0031】
そして、図6に示すように、操作ボタン152とパネルボタン挿通孔121との間隔が左右で異なり、かつ、操作ボタン152と化粧ボタン孔211との間隔も左右で異なっている場合、両者の間隔の調整作業を実施する。
【0032】
例えば、操作ボタン152を左方向へ移動させたい場合、可動部170をパネル裏面120Aに近づく方向(以下、パネル近接方向と称す)へ移動させる。
つまり、調整ねじ部材180の螺合によりスライド部材190をパネル近接方向へ移動させると、傾斜面部148は、円弧面部194との当接部分を傾斜に沿ってパネル近接方向へ移動させることで、スライド部材190のパネル近接方向への運動を左方向(樹脂ばね122の付勢方向と反対方向)への運動へ変換する。
そして、この変換された運動により、ボタン部140が樹脂ばね122の付勢に反して左方向へ付勢されるとともに、樹脂ばね122がさらに左方向へ弾性変形する。そして、結果的に、ボタン部140は、左方向へ移動して、この移動後の位置において樹脂ばね122と円弧面部194とで位置決めされる。
【0033】
また、操作ボタン152を右方向へ移動させたい場合、可動部170をパネル裏面120Aから離れる方向(以下、パネル離間方向と称す)へ移動させる。
このように移動させると、傾斜面部148は、円弧面部194との当接部分を傾斜に沿ってパネル離間方向へ移動させることで、ボタン部140を樹脂ばね122の付勢により右方向へ移動可能な状態へと移行させる。そして、結果的に、ボタン部140は、右方向へ移動して、この移動後の位置において樹脂ばね122と円弧面部194で位置決めされる。
【0034】
以上のような作業により操作ボタン152を左右に移動させ、操作ボタン152とパネルボタン挿通孔121との間隔を調整することで、操作ボタン152を化粧ボタン孔211に対して適切な位置に調整する。
この後、ねじ部材200を固定螺合部128に螺合させて、ボタン部140を強固に固定する。
【0035】
[記録再生装置の作用効果]
以上の記録再生装置100によれば、以下の作用効果が期待できる。
【0036】
(1)記録再生装置100に、操作ボタン152を露出させるパネルボタン挿通孔121を有する正面パネル120と、操作ボタン152が設けられたボタン台座141と、このボタン台座141を左右方向へ移動可能に支持する台座支持部123と、ボタン台座141を右方向へ付勢する樹脂ばね122と、パネル近接方向およびパネル離間方向へ移動可能な可動部170と、この可動部170に当接する状態でボタン台座141に設けられ可動部170の移動に応じて左右方向へ案内される台座案内部147と、を設けている。
このため、可動部170をパネル近接方向へ移動させることで、樹脂ばね122の付勢に反して、台座案内部147を介してボタン台座141を左方向へ移動させることができる。また、可動部170をパネル離間方向へ移動させることで、樹脂ばね122の付勢によりボタン台座141を右方向へ移動させることができる。そして、この移動後の位置において、樹脂ばね122と可動部170とにより、ボタン台座141を位置決めすることができる。
したがって、正面パネル120やボタン部140の位置精度を高めたり、スペーサを配置したりしなくても、ボタン部140の取り付け後に上記のような調整作業を施すことにより、パネルボタン挿通孔121や化粧ボタン孔211に対して操作ボタン152を適切な位置に容易に配置できる。
また、一般的に、操作ボタン152と化粧ボタン孔211との間隔が小さいほど、デザイン性が高いとされている。本発明を用いることにより、両者の間隔が小さい構成においても、操作ボタン152を適切な位置に調整でき、デザイン性が高い記録再生装置100を提供できる。
【0037】
(2)可動部170を、パネル近接方向へ移動可能に構成している。そして、台座案内部147に、可動部170との当接部分を傾斜に沿って移動させることで、パネル近接方向への運動を左方向への運動へ変換する傾斜面部148を設けている。
このため、パネル裏面120Aと略直交する方向から可動部170を操作することができ、作業性を向上できる。
【0038】
(3)可動部170に、調整螺合部127に螺合されるねじ部182と、このねじ部182の螺合に応じて移動可能なスライド部材190と、を設けている。
このため、ねじ部182の螺合により、スライド部材190を連続的に移動させることができ、操作ボタン152をより高精度に位置調整できる。
【0039】
(4)可動部170を、調整ねじ部材180と、スライド部材190と、で構成している。
このため、スライド部材190を調整ねじ部材180と異なる材料である樹脂材で形成することができる。したがって、スライド部材190を調整ねじ部材180と同じ材料の金属で形成する構成と比べて、スライド部材190との当接により傾斜面部148を変形させる可能性を低くすることができる。
【0040】
(5)樹脂ばね122を、正面パネル120と一体成型している。
このため、部品点数を減らすことができ、部品管理を容易にできるとともに、製造性を向上できる。
【0041】
(6)樹脂ばね122を、パネル裏面120Aと略直交する方向に延びる状態で設けている。
このため、樹脂ばね122をパネル裏面120Aと鈍角をなす方向に延びる状態で設ける構成と比べて、正面パネル120の一体成型に用いる金型の形状を簡略にできる。
【0042】
(7)台座支持部123により、ボタン部140を左右方向、つまり正面パネル120の長手方向に往復自在に支持している。
このため、特に成型時に位置ずれが発生し易い正面パネル120の長手方向に沿って、操作ボタン152を移動可能にしているので、記録再生装置100の薄型化と、デザイン性の向上との両立を図ることができる。
【0043】
(8)固定螺合部128と、この固定螺合部128に螺合される固定ねじ部材200と、を設けている。
このため、両者の取り付けにより、ねじ頭部201と、支持延出部126とで台座延出部143を狭持することができ、ボタン部140をより強固にパネル正面120に固定することができる。
【0044】
[他の実施形態]
なお、本発明は前述の一実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0045】
すなわち、本発明の可動部として、楕円形板状に形成されボタン台座141に当接するいわゆる偏心カムと、パネル裏面120Aと略直交する方向に延び偏心カムを回転させる軸部と、を適用してもよい。このような構成にすれば、以下のようにして、ボタン部140を位置調整できる。つまり、偏心カムを回転させることで、この回転運動を左右方向への運動へ変換して、ボタン部140を左右方向へ移動させる。そして、固定ねじ部材200と固定螺合部128との螺合により、ボタン部140を固定することができる。ここで、偏心カムを回転させる構成が、本発明における可動部を正面パネルに対して所定方向に移動可能に設ける構成に対応する。
なお、このような構成では、台座案内部147に傾斜面部148を設ける必要がなくなり、ボタン部140を成型するための金型の形状を簡略にできる。
【0046】
また、スライド部材190の周方向に沿って、このスライド部材190の移動方向とのなす角度が鋭角となる状態に傾斜した本発明の傾斜部を設け、台座案内部147に傾斜面部148を設けない構成としてもよい。このような構成では、スライド部材190の傾斜部は、スライド部材190がパネル近接方向へ移動したときに、台座案内部との当接部分を傾斜に沿ってパネル離間方向へ移動させることで、ボタン部140を左方向へ移動させることができる。
【0047】
さらに、調整ねじ部材180の代わりにねじ溝を有さない圧入部材を適用するとともに、調整螺合部127の代わりに圧入部材を圧入可能な圧入部を設ける。そして、圧入部材の移動に応じて、スライド部材190を移動させる構成としてもよい。
また、スライド部材190を用いずに、調整ねじ部材180のねじ頭部183を上記実施形態よりも大きくして、このねじ頭部183を傾斜面部148に当接させる構成としてもよい。
また、樹脂ばね122を、正面パネル120と一体成型しなくてもよいし、パネル裏面120Aと鈍角をなす方向に延びる状態で設けてもよい。さらに、本発明の付勢部としては、樹脂ばね122に限らず、金属製の板ばねやコイルばねを適用してもよい。
そして、台座支持部123によりボタン部140を上下方向、つまり正面パネル120の短手方向に往復自在に支持してもよい。また、固定螺合部128と、固定ねじ部材200とを設けなくてもよい。
【0048】
さらに、操作ボタン152を、その先端面が化粧板210の正面と略同一面上に位置する形状に形成したが、先端面が化粧板210から突出する形状、正面パネル120の表面と略同一面上に位置する形状、正面パネル120の表面よりもパネル裏面120A側に位置する形状としてもよい。
また、本発明の操作子としては、外形円筒状のものに限らず、外形角筒状のものや、いわゆる十字キーを適用してもよい。さらに操作子としては、筒状の周方向に回転させることで操作されるものを適用してもよい。
そして、本発明を適用する電子機器としては、記録装置、再生装置、テレビジョン、ラジオ、ナビゲーション装置、携帯式や設置式の電話、電子レンジなどの家電機器などとしてもよい。さらには、化粧板210を有さない記録再生装置100に、本発明を適用してもよい。
【0049】
その他、本発明の実施の際の具体的な構造および手順は、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造などに適宜変更できる。
【0050】
[実施形態の作用効果]
上記したように、記録再生装置100に、正面パネル120と、ボタン台座141と、台座支持部123と、樹脂ばね122と、可動部170と、台座案内部147と、を設けているので、可動部170をパネル裏面120Aに近づく方向へ移動させることで、樹脂ばね122の付勢に反して、台座案内部147を介してボタン台座141を左方向へ移動させることができる。また、可動部170をパネル裏面120Aから離れる方向へ移動させることで、樹脂ばね122の付勢によりボタン台座141を右方向へ移動させることができる。そして、この移動後の位置において、樹脂ばね122と可動部170とにより、ボタン台座141を位置決めすることができる。
したがって、正面パネル120やボタン部140の位置精度を高めたり、スペーサを配置したりしなくても、ボタン部140の取り付け後に上記のような調整作業を施すことにより、パネルボタン挿通孔121や化粧ボタン孔211に対して操作ボタン152を適切な位置に容易に配置できる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の一実施形態に係る記録再生装置の概略構成を示す斜視図である。
【図2】前記一実施形態におけるボタン部の調整作業が終了した状態を示す正面パネルの表面側からの斜視図である。
【図3】前記一実施形態におけるボタン部の調整作業が終了した状態を示す正面パネルの裏面側からの斜視図である。
【図4】前記一実施形態におけるボタン部の調整作業が終了した状態を示す図3のIV−IV線に沿った断面図である。
【図5】前記一実施形態におけるボタン部を正面パネルに取り付ける前の状態を示す断面図である。
【図6】前記一実施形態におけるボタン部の調整作業を実施する前の状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0052】
100…電子機器としての記録再生装置
110…ケース体
120…正面パネル
120A…パネル裏面
121…操作子露出孔としてのパネルボタン挿通孔
122…付勢部である樹脂ばね
123…台座支持部
141…操作子台座としてのボタン台座
147…台座案内部
148…傾斜部としての傾斜面部
152…操作子としての操作ボタン
170…可動部
180…調整ねじ部材
181…ねじ溝
182…ねじ部
183…ねじ頭部
190…螺合連動移動部としてのスライド部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作子と、ケース体の正面に設けられる正面パネルと、この正面パネルに設けられ前記操作子を露出させる操作子露出孔と、を備えた電子機器であって、
前記正面パネルの裏面に配置され前記操作子が設けられた操作子台座と、
この操作子台座を少なくとも一軸に沿った方向に往復自在に支持する台座支持部と、
前記操作子台座を移動可能な方向のうちの一方向に付勢する付勢部と、
前記正面パネルに対して所定方向に移動可能に設けられた可動部と、
この可動部に当接する状態で前記操作子台座に固定され、前記可動部の移動に応じて前記付勢部による付勢方向およびこの付勢方向と反対方向のうち少なくとも一方の方向へ案内される台座案内部と、
を具備したことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器において、
前記可動部は、前記正面パネルの裏面と交差する方向に移動可能に設けられ、
前記可動部および前記台座案内部のうち一方は、前記可動部の移動方向とのなす角度が鋭角となる状態に傾斜した形状を有し他方に当接する傾斜部を備え、
前記傾斜部は、前記可動部および前記台座案内部のうち他方との当接部分を傾斜に沿って移動させることで前記可動部の運動を前記付勢方向と反対方向への運動へ変換し、
前記台座案内部は、前記傾斜部で変換された運動により前記反対方向へ案内されることを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項2に記載の電子機器において、
前記可動部は、前記正面パネルに螺合されるねじ溝を有し外形が略筒状のねじ部と、このねじ部の螺合に応じて移動可能な螺合連動移動部と、を備え、
前記傾斜部は、前記螺合連動移動部および前記台座案内部のうち一方に設けられた
ことを特徴とする電子機器。
【請求項4】
請求項3に記載の電子機器において、
前記可動部は、前記ねじ部およびこのねじ部の一端に設けられたねじ頭部を有するねじ部材と、このねじ部材と別体の前記螺合連動移動部と、を備えた
ことを特徴とする電子機器。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の電子機器において、
前記付勢部は、前記正面パネルと一体成型された板ばねである
ことを特徴とする電子機器。
【請求項6】
請求項5に記載の電子機器において、
前記板ばねは、前記正面パネルの裏面と略直交する方向に延びる状態で設けられた
ことを特徴とする電子機器。
【請求項7】
前記正面パネルは、略長方形板状に形成され、
前記台座支持部は、前記操作子台座を前記正面パネルの長手方向に沿った方向に往復自在に支持する
ことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−146814(P2009−146814A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−324806(P2007−324806)
【出願日】平成19年12月17日(2007.12.17)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】