説明

電子機器

【課題】消費電力が少なく、使用するときには高速に起動する電子機器を提供すること。
【解決手段】人物の動作を検知するセンサと、第1回路部と第2回路部に分かれ、電気的動作を処理する回路部と、第1の動作モードにおいて第1回路部と第2回路部に電力を供給し、第2の動作モードにおいて第1回路部に電力を供給しないで第2回路部に電力を供給し、第3の動作モードにおいて第1回路部および第2回路部に電力を供給しないよう制御する電力制御部と、第1動作モード、第2動作モード、第3動作モードを含む動作モードを切り替える動作モード制御部を備え、電力供給が開始されたときの第1回路部の起動時間は、電力供給が開始されたときの第2回路部の起動時間に比べて短く、動作モード制御部は、動作モードが第3動作モードに設定されている場合において、センサが検知したとき、動作モードを第2の動作モードに切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動的に動作モードを切り替え可能な電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
テレビやレコーダなどの電子機器においては、待機中の消費電力を削減する為、人感センサを用いて、その電子機器の周辺の人の有無を検知し、周辺に人がいる場合には電源をオンに制御し、所定の期間、人がいなくなった場合には電源をオフにする技術が開示されている(例えば、特許文献1に記載)。
【特許文献1】特開2007−96462号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、人感センサで周辺に人がいることを検知した場合であっても、その周辺にいる人が必ずしも当該電子機器を使用するとは限らない。したがって、人感センサで周辺に人がいることを検知した場合に電源をオンにすると、必要の無い電力を消費することとなる。
【0004】
一方、人感センサに基づいて電源をオンにしない場合には、その電子機器を使用する度に電源をオンに切り換えなければならない。この場合、電子機器の電源をオンにした後に、稼動可能な状態となるまでには所定の起動時間を必要とする。したがって、ユーザーが使用時に電源をオンにしても、すぐにその電子機器を稼動させることができないという課題があった。
【0005】
本発明は上記課題を解決するものであって、待機時に消費する電力を抑えつつ、且つ、ユーザーが使用時には高速で稼動させることができる電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する為、本発明の電子機器は、少なくとも第1動作モード、第2動作モードおよび第3動作モードを備える電子機器であって、周辺の人物の動作を検知するセンサと、少なくとも第1回路部および第2回路部に分かれ、自機の電気的動作を処理する回路部と、第1動作モードにおいて第1回路部および第2回路部に電力を供給し、第2動作モードにおいて第1回路部に電力を供給しないで第2回路部に電力を供給し、第3動作モードにおいて第1回路部および第2回路部に電力を供給しないよう、回路部への電力の供給を制御する電力制御部と、第1動作モード、第2動作モードおよび第3動作モードを含む動作モードを切り替える動作モード制御部と、を備え、電力供給が開始されたときの第1回路部の起動時間は、電力供給が開始されたときの第2回路部の起動時間に比べて短く、動作モード制御部は、動作モードが第3動作モードに設定されている場合において、センサが周辺の人物の動作を検知したとき、動作モードを第2動作モードに切り替える。
【発明の効果】
【0007】
本発明の電子機器によれば、待機時に消費する電力を抑えつつ、且つ、ユーザーが使用時には高速で稼動させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0009】
図1は本発明の実施の形態による録画機器のブロック図である。本実施の形態による録画機器100は、チューナ101、復調部102、AVエンコーダ部103、AVデコーダ部104、出力部105、第1のマイコン部106、第2のマイコン部107、リモコン受光部108、人感センサ部109、表示部110、内部記録部111、外部媒体記録部112、放送受信アンテナ113を備える。
【0010】
放送受信アンテナ113は放送電波を受信する。チューナ101は、放送受信アンテナ113で受信した放送信号を選局する。復調部102はチューナ101で選局した放送信号をTS(Transport Stream:トランスポートストリーム)データに復調する。AVエンコーダ部103は復調部102で復調されたTSデータを変換して圧縮記録するためのAVデータを生成する。内部記録部111は、復調部102で復調されたTSデータ、または、AVエンコーダ部103で生成されたAVデータを記録する。内部記録部111は、例えば、ハードディスクなどが該当する。外部媒体記録部112は、外部媒体記録部112が受け付けた記録メディアに復調部102で復調されたTSデータ、または、AVエンコーダ部103で生成されたAVデータを記録する。外部媒体記録部112が受け付ける記録メディアは、DVDやBDといったディスク状の記憶媒体でもよいし、SDカードのようにカード型の記憶媒体でも良い。
【0011】
AVデコーダ部104は復調部102で復調されたTSデータ、または、内部記録部111から再生されたAVデータ、または、外部媒体記録部112から再生されたAVデータを所定のAV信号に復号する。出力部105はAVデコーダ104から出力されるAV信号を出力する。出力部105は具体的にはHDMI端子など、AV信号を出力可能な端子と回路が該当する。
【0012】
第1のマイコン部106はチューナ101、復調部102、AVエンコーダ部103、AVデコーダ部104、出力部105、内部記録部111、外部媒体記録部112の動作を制御する。リモコン114は録画機器100の動作を制御する赤外線信号を送信する。また、第1のマイコン部106はメモリを備えている。第1のマイコン部106に備えられたメモリは、例えば、録画機器100が起動する際にプログラムが展開される。また、第1のマイコン部106に備えられたメモリは、例えば、AVエンコーダ部103やAVデコーダ部104が動作する場合のメモリとしても使用される。
【0013】
リモコン受光部108はリモコン114からの赤外線制御信号を受信する。人感センサ部109は人の動きを遠赤外線によって検知する。第2のマイコン部107は人感センサ部109からのデータとリモコン受光部108で受信したリモコンの制御信号を信号処理して第1のマイコン部106へ伝達する。第2のマイコン部107と106は相互に通信し全体を制御している。表示部110は、録画機器100の制御状態を表示する。表示部110に表示されるデータは、第2のマイコン部107が制御する。
【0014】
一般的に録画機器の電源オフの状態で電力は低消費であるが、この状態から電源オンすると完全起動状態に達するまで起動時間は数十秒を要する。これを改善するため、多数の録画機器は起動に必要な内部回路を電源オフ時でも常時通電しておき、数秒で起動させるための高速起動モードを有している。この高速起動モードの消費電力は電源オフ時とオン時の間の消費電力値であるため、電源オフ時よりも大幅に電力を消費している。
【0015】
図2は、本発明の本実施の形態における録画機器の動作モードを説明する為の図である。録画機器100の動作モードには、少なくとも電源オンモード、高速起動モード、電源オフモードの3通りの動作モードがある。
【0016】
電源オンモードの場合には、チューナ101、復調部102、AVエンコーダ部103、AVデコーダ部104、出力部105、第1のマイコン部106、第2のマイコン部107、リモコン受光部108、人感センサ部109、表示部110、内部記録部111、外部媒体記録部112に電力が供給されている。よって、チューナ101、復調部102、AVエンコーダ部103、AVデコーダ部104、出力部105、第1のマイコン部106、第2のマイコン部107、リモコン受光部108、人感センサ部109、表示部110、内部記録部111、外部媒体記録部112は稼動状態となっている。電源オンモードにおいては、多くの構成要素が稼働中となっている為、他の動作モードと比較して、消費電力が大きくなっている。
【0017】
高速起動モードの場合は、AVエンコーダ部103、AVデコーダ部104、第1のマイコン部106、第2のマイコン部107、リモコン受光部108、人感センサ部109に電力が供給されている。よって、AVエンコーダ部103、AVデコーダ部104、第1のマイコン部106、第2のマイコン部107、リモコン受光部108、人感センサ部109が稼動状態となっている。電源オンモードと比較すると、チューナ101、復調部102、出力部105、表示部110、内部記録部111、外部媒体記録部112に電力が供給されておらず、これらは稼動していない。しかし、チューナ101、復調部102、出力部105、表示部110、内部記録部111、外部媒体記録部112の起動の時間はAVエンコーダ部103、AVデコーダ部104、第1のマイコン部106、第2のマイコン部107、リモコン受光部108、人感センサ部109と比較して短い。したがって、電源オンモードに移行に要する時間は1sec程度であり、後述する電源オフモードと比べて高速に起動することができる。また、高速起動モードの消費電力は、電源オンモードと比較すれば小さい。一方、後述する電源オフモードと比較すると、高速起動モードの消費電力は、後述する電源オフモードと比べると大きい。
【0018】
電源オフモードの場合は、第2のマイコン部107、リモコン受光部108、人感センサ部109に電力が供給されている。よって、第2のマイコン部107、リモコン受光部108、人感センサ部109は稼動状態となっている。つまり、リモコン受光部108によるリモコン信号の受信など、録画機器100の停止状態においても稼動が必要な最低限の構成要素について電力を供給し、稼動させている。したがって、電源オンモードへと移行する時間は、特にAVエンコーダ部103、AVデコーダ部104及び第1のマイコン部106を起動するのに時間がかかる為、高速起動モードと比較すると起動に時間を要する。一方、消費電力は3つの動作モードの中で最も小さい。
【0019】
ここで、動作モードが電源オンモードの場合に起動状態であり高速起動モードの場合に起動状態ではない回路を第1の回路部とし、第1の回路部以外の回路であって、高速起動モードの場合に起動状態ではない回路を第2の回路部とする。この場合、本実施の形態においては、第1の回路部は、チューナ101、復調部102、出力部105、表示部110、内部記録部111、及び、外部媒体記録部112が該当する。また、第2の回路部は、AVエンコーダ部103、AVデコーダ部104、及び第1のマイコン部106が該当する。
【0020】
本実施の形態による録画機器100は人感センサ部109を具備しており、人感センサ部109が人の動きを検知したか否かに応じて、動作モードを切り換える。図3は、電源オンモード時の停止状態において、所定の時間、人感センサ部109が人の動きを検知しなかった場合に、録画機器100が自動的に電源オフモードに切り換える動作を説明する為のフローチャートである。
【0021】
録画機器100が、電源オンモードであった場合に(S301)、第2のマイコン部107は録画機器が停止状態になってから所定の時間経過したかを判断する(S302)。次に第2のマイコン部107は人感センサ部109が人を検知しない状態になってから所定の時間経過したかを判断する(S303)。人感センサ部109が人を検知しない状態になってから所定の時間経過した場合には、第2のマイコン部107は第1のマイコン部106に対し電源オフモードに設定するように命令する。第1のマイコン部106は、チューナ101、復調部102、AVエンコーダ部103、AVデコーダ部104、出力部105、内部記録部111、外部媒体記録部112を稼動状態から非稼動の状態に遷移させる。その後、第1のマイコン部106も非稼動状態となる。このようにして、録画機器100は人感センサ部109が人の動きを検知しなかった場合に、自動的に電源オフモードとなる(S304)。
【0022】
図4は、本発明の本実施の形態における録画機器の電源の高速起動モードへの移行動作を説明するためのフローチャートである。まず、録画機器100の動作モードが電源オフモードである場合において(S401)、第2のマイコン部107は人感センサ部109が人の動きを検知するか否かを監視する(S402)。人感センサ部109が人の動きを検知した場合には、第2のマイコン部107は第1のマイコン部106を起動する。第1のマイコン106はAVエンコーダ部103とAVデコーダ104部を起動する。これにより録画機器100の動作モードは高速起動モードに遷移する(S403)。録画機器100が高速起動モードに遷移した後に、第2のマイコン部107は人感センサ部109が人を検知しない状態になってから所定の時間経過したかを監視する(S404)。人感センサ部109が所定の期間、人の動きを検知しなかった場合には、録画機器100の動作モードは電源オフモードとなる(S405)。具体的な動作としては、人感センサ部109が所定の期間、人の動きを検知しなかった場合には、第2のマイコン部107が第1のマイコン部106に対し、電源オフモードに遷移するように命令する。第1のマイコン部106はAVエンコーダ部103及びAVデコーダ部104を非稼動状態にする。また第1のマイコン部106自身も非稼動の状態とする。これにより、録画機器100の動作モードは、電源オフモードとなる。
【0023】
つまり、本実施の形態における録画機器100は、少なくとも第1動作モード(電源オンモード)、第2動作モード(高速起動モード)および第3動作モード(電源オフモード)を備える録画機器100であって、周辺の人物の動作を検知する人感センサ部109と、少なくとも第1回路部(チューナ101、復調部102、出力部105、表示部110、内部記録部111及び外部媒体記録部112)および第2回路部(AVエンコーダ部103、AVデコーダ部104、及び第1のマイコン部106)に分かれ、録画機器100の電気的動作を処理する回路部(チューナ101、復調部102、AVエンコーダ部103、AVデコーダ部104、出力部105、第1のマイコン部106、表示部110、内部記録部111及び外部媒体記録部112)と、第1動作モードにおいて第1回路部および第2回路部に電力を供給し、第2動作モードにおいて第1回路部に電力を供給しないで第2回路部に電力を供給し、第3動作モードにおいて第1回路部および第2回路部に電力を供給しないよう、回路部への電力の供給を制御する第2のマイコン部107と、第1動作モード、第2動作モードおよび第3動作モードを含む動作モードを切り替える第2のマイコン部107と、を備え、電力供給が開始されたときの第1回路部の起動時間は、電力供給が開始されたときの第2回路部の起動時間に比べて短く、第2のマイコン部107は、動作モードが第3動作モードに設定されている場合において、センサが周辺の人物の動作を検知したとき、動作モードを第2動作モードに切り替える。
【0024】
なお、本発明において、第1回路部の起動とは、第1の回路部の全ての構成要素が起動することを示す。よって、第1回路部の起動時間とは第1の回路部の全ての構成要素が起動するまでの時間を示す。即ち、例えば、第1回路部のうち表示部110が高速に起動する場合であっても、表示部110が起動したことのみをもって、本発明の第1回路部の起動を意味するものではない。
【0025】
したがって、本実施の形態の録画機器100によれば、人感センサ部109を用いて、録画機器100の周辺に人がいる場合には、録画機器100の動作モードを自動的に高速起動モードに起動する。したがって、ユーザーが録画機器100の周囲にいる場合において、自動的に高速起動モードにするので、電源オンモードほど電力を消費することなく待機している状態となり、使用時には高速に録画機器100を起動することができる。したがって、待機電力の削減と録画機器100の高速起動という、相反する課題を解決することができる。
【0026】
また、本実施の形態における録画機器100は、録画機器100の動作モードが第3動作モードから第2動作モードに変更された後、人感センサ部109が、所定の期間、周辺の人物の動作を検知しなかった場合には、録画機器100の動作モードを第3動作モードに変更する。
【0027】
これにより、ユーザーが録画機器100の周辺からいなくなったときに、自動的に動作モードを電源オフモードに切り換えることができるので、更に待機時の消費電力を減らすことができる。
【0028】
なお、本実施の形態において人感センサ部109は遠赤外線によって人の動きを検知するとしたが、他の方法(CCDカメラや赤外線カメラなど)を用いて、人の動きを検知しても良い。
【0029】
また、本実施の形態では録画機器を用いて説明しているが、これは電子機器の一例に過ぎない。つまり、本発明は図2の記載のように複数の動作モードを持つ電子機器であれば適用可能である。例えば、デジタルテレビやパーソナルコンピュータなど、あらゆる電子機器に適用が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明にかかる電子機器は、待機時に消費する電力を抑えつつ、且つ、ユーザーが使用時には高速で稼動させるので、電子機器等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の本実施の形態における録画機器の構成を示すブロック図
【図2】本発明の本実施の形態における録画機器の動作モードを説明する為の図
【図3】本発明の本実施の形態における録画機器の電源の自動OFFの動作を説明するためのフローチャート
【図4】本発明の本実施の形態における録画機器の電源の高速起動モードへの移行動作を説明するためのフローチャート
【符号の説明】
【0032】
100 録画機器
101 チューナ
102 復調部
103 AVエンコーダ部
104 AVデコーダ部
105 出力部
106 第1のマイコン部
107 第2のマイコン部
108 リモコン受光部
109 人感センサ部
110 表示部
111 記録部
112 外部記録媒体記録部
113 放送受信アンテナ
114 リモコン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第1動作モード、第2動作モードおよび第3動作モードを備える電子機器であって、
周辺の人物の動作を検知するセンサと、
少なくとも第1回路部および第2回路部に分かれ、自機の電気的動作を処理する回路部と、
前記第1動作モードにおいて前記第1回路部および前記第2回路部に電力を供給し、前記第2動作モードにおいて前記第1回路部に電力を供給しないで前記第2回路部に電力を供給し、前記第3動作モードにおいて前記第1回路部および前記第2回路部に電力を供給しないよう、前記回路部への電力の供給を制御する電力制御部と、
前記第1動作モード、前記第2動作モードおよび前記第3動作モードを含む動作モードを切り替える動作モード制御部と、を備え、
電力供給が開始されたときの前記第1回路部の起動時間は、電力供給が開始されたときの前記第2回路部の起動時間に比べて短く、
前記動作モード制御部は、動作モードが前記第3動作モードに設定されている場合において、前記センサが周辺の人物の動作を検知したとき、動作モードを前記第2動作モードに切り替える、
電子機器。
【請求項2】
前記電子機器の動作モードが第3動作モードから第2動作モードに変更された後、前記センサが、所定の期間、周辺の人物の動作を検知しなかった場合には、前記電子機器の動作モードを第3動作モードに変更することを特徴とする請求項1に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−219591(P2010−219591A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−60508(P2009−60508)
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】