説明

電子機器

【課題】レバースイッチのレバー操作を妨げることなく防水構造が設けられた電子機器を提供する。
【解決手段】本発明に係る電子機器において、レバースイッチ4は、スイッチ本体41と、該スイッチ本体41に対して少なくとも一方向へのレバー操作が可能なレバー部42とから構成され、シャーシ21には、スイッチ本体41を収容する開口210が設けられている。シャーシ21にはカバー部材22が接合され、該カバー部材22には、その表面にレバー部42を露出させる窓221が形成されている。カバー部材22の背面側には、開口210を覆う防水ラバー5が配備され、該防水ラバー5は、シャーシ21とカバー部材22との接合面211,220と重なる位置まで拡がった形状を有し、該防水ラバー5の外縁部51が接合面210,220間に介在している。防水ラバー5には、レバー部42の先端部が挿入される有底筒状部50が形成され、該有底筒状部50は、防水ラバー5の表面から突出している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機等、レバースイッチを具えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電子機器においては、機器本体の内部にレバースイッチが配備され、該レバースイッチは、スイッチ本体と、該スイッチ本体に対して多方向へのレバー操作が可能なレバー部とから構成されている。又、機器本体には、その表面にレバースイッチのレバー部を露出させる窓が形成されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−277034号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、電子機器に防水構造を設けることが望まれている。防水構造として、機器本体に形成されている窓等の開口を、防水シートや防水ラバー等の防水部材によって覆った構成が考えられる。しかしながら、レバースイッチを具えた電子機器にこの構成を適用すると、レバー部が防水部材によって覆われ、その結果、レバースイッチのレバー操作が防水部材によって妨げられることになる。このため、従来は、レバースイッチを具えた電子機器に対して防水構造を設けることが困難であった。
【0005】
そこで本発明の目的は、レバースイッチのレバー操作を妨げることなく防水構造が設けられた電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る電子機器は、機器本体と、該機器本体の内部に配備されたレバースイッチとを具え、該レバースイッチは、スイッチ本体と、該スイッチ本体に対して少なくとも一方向へのレバー操作が可能なレバー部とから構成され、前記機器本体には、その表面に前記レバースイッチのレバー部を露出させる窓が形成されている。ここで、前記機器本体は、前記レバースイッチのスイッチ本体を収容する開口が設けられた収容部材と、該収容部材に接合されて前記機器本体の表面の少なくとも一部を形成するカバー部材とを有し、該カバー部材に前記窓が形成されている。前記カバー部材の背面側には、前記収容部材の開口を覆う弾性シートが配備され、該弾性シートは、前記収容部材とカバー部材との接合面と重なる位置まで拡がった形状を有し、該弾性シートの外縁部が前記収容部材とカバー部材との接合面間に介在している。前記弾性シートには、前記レバースイッチのレバー部の少なくとも先端部が挿入される有底筒状部が形成され、該有底筒状部は、前記弾性シートの表面から突出している。尚、弾性シートには、防水性を有するシート状の弾性部材を用いることが出来る。
【0007】
上記電子機器においては、カバー部材の窓からカバー部材の背面側へ水が浸入した場合でも、該水は弾性シートを通過することが出来ない。従って、浸入した水は、弾性シートの表面に滞留し、或いは弾性シートの表面に沿って移動することになる。ここで、弾性シートの外縁部が収容部材とカバー部材との接合面間に介在している。従って、浸入した水が弾性シートの表面上を接合面の方へ向けて移動した場合でも、該水が弾性シートの背面へ回り込むことが、弾性シートの外縁部によって防止されることになる。又、収容部材とカバー部材との接合面間を通じて機器本体の外部から内部へ水が浸入することが、該接合面間に介在した弾性シートの外縁部によって防止されることになる。よって、レバースイッチを収容する開口内には、機器本体の外部の水が浸入することがない。即ち、上記電子機器は、レバースイッチを収容する開口内への水の浸入を防止する防水構造を有することになる。
【0008】
更に、上記電子機器においては、有底筒状部が弾性シートの表面から突出しているので、該弾性シートの表面側から有底筒状部に対して、様々な方向へ操作力を加えることが出来る。そして、有底筒状部に操作力が加えられることにより、レバースイッチのレバー部が有底筒状部と共に操作方向へ移動することになる。よって、レバースイッチのレバー操作が弾性シートによって妨げられることがない。
【0009】
上記電子機器の具体的構成において、前記弾性シートは、少なくとも前記レバー部のレバー操作が可能な方向において、前記有底筒状部から外縁部までの長さ寸法が、前記レバー部から前記接合面までの距離よりも大きい。
【0010】
該具体的構成においては、弾性シートの有底筒状部に操作力が加えられていない場合、弾性シートは、レバー部の移動可能な方向において有底筒状部の両側の領域が湾曲することになる。一方、レバースイッチのレバー部をスライドさせるべく、弾性シートの有底筒状部に操作力が加えられた場合、該操作方向へ有底筒状部が移動し、これに伴って弾性シートには、有底筒状部の移動方向に存在する前方領域に、該領域を押し縮めようとする圧縮力が付与される一方、有底筒状部の移動方向とは反対方向に存在する後方領域に、該領域を引き伸ばそうとする引張力が付与されることになる。
【0011】
ここで、弾性シートの前方領域及び後方領域は、これらに圧縮力又は引張力が付与されていないときであっても湾曲している。このため、弾性シートの前方領域は、この領域に僅かな圧縮力が付与されただけで更に湾曲し、従って容易に押し縮められることになる。又、弾性シートの後方領域は、この領域に僅かな引張力が付与されるだけで伸びてその湾曲が小さくなり、従って容易に引き伸ばされることになる。
【0012】
又、レバースイッチのレバー部をスイッチ本体へ向けて押し込むべく、弾性シートの有底筒状部に押圧力が加えられた場合、押圧方向へ有底筒状部が移動し、これに伴って弾性シートには、有底筒状部の周りに存在する周辺領域に、該領域を外側へ押し縮めようとする圧縮力が付与されることになる。
【0013】
ここで、弾性シートの周辺領域は、これに圧縮力が付与されていないときであっても湾曲している。このため、弾性シートの周辺領域は、この領域に僅かな圧縮力が付与されただけで更に湾曲し、従って容易に押し縮められることになる。
【0014】
よって、上記電子機器によれば、レバースイッチのレバー操作時であっても、レバー部は、弾性シートから、操作方向とは反対方向へ小さな反発力を受けるに過ぎない。従って、レバースイッチのレバー操作が弾性シートによって妨げられることがない。
【0015】
上記電子機器のより具体的な構成において、前記弾性シートには、該弾性シートを前記有底筒状部の周囲にて湾曲させることにより、1又は複数の湾曲部が形成されている。
【0016】
上記電子機器の更に具体的な構成において、前記弾性シートの湾曲部は、前記有底筒状部を包囲した形状を有している。この構成によれば、レバースイッチのレバー操作時においてレバー部が弾性シートから受ける反発力が、より小さくなる。
【0017】
上記電子機器の具体的な構成において、前記弾性シートの有底筒状部にはキートップが取り付けられており、前記弾性シートは、前記湾曲部が前記キートップの背部から離間した形状を有している。
【0018】
上記電子機器において、湾曲部は、それが押し縮められたとき、高さ寸法が大きくなる。ここで、湾曲部がキートップの背部に接触していると、湾曲部は、その高さ寸法を更に大きくする変形がキートップによって妨げられることになる。これに対し、上記具体的構成においては、湾曲部がキートップの背部から離間して設けられている。従って、湾曲部は、その高さ寸法を更に大きくする変形がキートップによって妨げられることがない。従って、レバースイッチのレバー操作がキートップ又は弾性シートによって妨げられることがない。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る電子機器には、レバースイッチのレバー操作を妨げることなく防水構造が設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係るスライド式携帯電話機を示す正面図である。
【図2】図2は、該スライド式携帯電話機の分解斜視図である。
【図3】図3は、上記スライド式携帯電話機の機器本体について、その閉じ状態の説明に用いられる正面図である。
【図4】図4は、該機器本体を構成する第2キャビネットの分解斜視図である。
【図5】図5は、図3に示されるA−A線に沿う第2キャビネットの断面図である。
【図6】図6は、図5に示されるB領域の拡大図である。
【図7】図7は、上記スライド式携帯電話機が具える防水ラバーについて、有底筒状部を含むその周辺領域を示した拡大図である。
【図8】図8は、上記スライド式携帯電話機が具えるレバースイッチについて、そのレバー部を上方へスライドさせるレバー操作の説明に用いられる断面図である。
【図9】図9は、上記スライド式携帯電話機が具えるレバースイッチについて、そのレバー部をスイッチ本体へ向けて押し込むレバー操作の説明に用いられる断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明をスライド式携帯電話機に実施した形態につき、図面に沿って具体的に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るスライド式携帯電話機を示す正面図である。図1に示す様に、スライド式携帯電話機は、第1キャビネット(1)と第2キャビネット(2)とを互いにスライド可能に連結して構成された機器本体(10)を具えている。第1キャビネット(1)の表面(101)には、複数の操作キー(180)〜(180)によって構成された第1操作部(18)が設置されている。
【0022】
第2キャビネット(2)の表面(201)には、液晶表示パネル(27)によって構成された表示部が設置される一方、第2キャビネット(2)の内部には、レバースイッチ(4)と複数の操作キー(280)〜(280)とから構成された第2操作部(28)が配備されている。そして、第2キャビネット(2)の表面(201)には、液晶表示パネル(27)の設置領域とは異なる領域に、第2操作部(28)の一部、即ちレバースイッチ(4)の操作子(後述する第1キートップ(43))と各操作キー(280)の操作子(後述する第2キートップ(282))とが露出している。
【0023】
図2は、スライド式携帯電話機の分解斜視図である。図2に示す様に、第1キャビネット(1)と第2キャビネット(2)との間には、これらをスライド可能に連結するスライド機構(3)が設けられ、該スライド機構(3)は、スライド体(31)とスライド規定部(32)とから構成されている。スライド体(31)は、第1キャビネット(1)と第2キャビネット(2)との対向面の内、第2キャビネット(2)側の対向面(即ち、第2キャビネット(2)の背面(202))に固定される。一方、スライド規定部(32)は、第1キャビネット(1)と第2キャビネット(2)との対向面の内、第1キャビネット(1)側の対向面(即ち、第1キャビネット(1)の表面(101))、具体的には第1操作部(18)の設置領域とは異なる領域に固定される。
【0024】
又、スライド規定部(32)には、その両端位置に左右一対のガイド溝(320)(320)が形成されており、該一対のガイド溝(320)(320)に、スライド体(31)の左右の縁部(310)(310)が摺動自在に係合している。斯くして、スライド規定部(32)は、スライド体(31)のスライド方向を第1キャビネット(1)の長手方向(91)に規定している。
【0025】
よって、上記スライド式携帯電話機の機器本体(10)は、第1キャビネット(1)と第2キャビネット(2)をスライド方向に相対移動させることにより、図3に示す如く両キャビネット(1)(2)が閉じて第1操作部(18)の全体が第2キャビネット(2)によって被覆された閉じ状態と、図1に示す如く両キャビネット(1)(2)が開いて第1操作部(18)の全体が露出した開き状態との間で状態を変更させることが可能である。
【0026】
上記スライド式携帯電話機のユーザは、図1に示す如く機器本体(10)が開き状態に設定されている場合、第1操作部(18)と第2操作部(28)とを用いてスライド式携帯電話機を操作することが可能である。又、図3に示す如く機器本体(10)が閉じ状態に設定されている場合であっても、ユーザは、第2操作部(28)を用いてスライド式携帯電話機を操作することが可能である。
【0027】
図4は、第2キャビネット(2)の分解斜視図である。又、図5は、図3に示されるA−A線に沿う第2キャビネット(2)の断面図であり、図6は、図5に示されるB領域の拡大図である。図4及び図6に示す様に、レバースイッチ(4)は、直方体状のスイッチ本体(41)と、該スイッチ本体(41)に突設されたレバー部(42)とを具えている。本実施形態のレバースイッチ(4)は、スイッチ本体(41)に対して上下左右の4方向と斜め4方向の計8方向へレバー部(42)をスライドさせるレバー操作と、スイッチ本体(41)へ向けてレバー部(42)を押し込むレバー操作とが可能である。又、レバースイッチ(4)は、第2キャビネット(2)の内部に配備された第1基板(61)に搭載されている。
【0028】
第2キャビネット(2)は、マグネシウム合金製のシャーシ(21)と、該シャーシ(21)に接合されて第2キャビネット(2)の表面(201)の一部を形成するカバー部材(22)とを有している。シャーシ(21)には、カバー部材(22)によって覆われる領域に、レバースイッチ(4)のスイッチ本体(41)を収容する四角形の開口(210)が形成されている。従って、シャーシ(21)は、第2キャビネット(2)を構成する構成部材として用いられると共に、レバースイッチ(4)のスイッチ本体(41)を収容する開口(210)が設けられた収容部材として用いられている。
【0029】
図6に示す様に、第1基板(61)は、シャーシ(21)の背面側に配置され、第1基板(61)に搭載されているレバースイッチ(4)のスイッチ本体(41)は、シャーシ(21)の開口(210)に、シャーシ(21)の背面側から挿入されている。そして、スイッチ本体(41)は、シャーシ(21)の開口(210)により拘持されている。
【0030】
図4及び図6に示す様に、シャーシ(21)には、カバー部材(22)によって覆われる領域に、シャーシ(21)の開口(210)を包囲して拡がったシート状の第2基板(62)が設置されており、該第2基板(62)の表面には、各操作キー(280)を構成するドームスイッチ(281)が搭載されている。
【0031】
シャーシ(21)には更に、カバー部材(22)によって覆われる領域に、第2基板(62)の設置領域を包囲して拡がると共にカバー部材(22)が接合されるべき接合面(211)が形成されている。該接合面(211)には、第2基板(62)の設置領域を包囲して延びた環状溝(212)が凹設されている。
【0032】
図4及び図6に示す様に、カバー部材(22)の背面側には、シャーシ(21)の開口(210)及び第2基板(62)を覆う防水ラバー(5)が配備されている。ここで、該防水ラバー(5)は、防水性を有する弾性シートである。尚、防水ラバー(5)に替えて、防水性を有する種々の弾性シートを採用してもよい。
【0033】
防水ラバー(5)は、シャーシ(21)の接合面(211)と重なる位置まで拡がった形状を有しており、防水ラバー(5)の外縁部(51)には、シャーシ(21)の環状溝(212)に嵌合すべきシール部(511)が、環状溝(212)の方へ向けて突設されている。
【0034】
従って、図6に示す様に第2キャビネット(2)の組み立て状態においては、防水ラバー(5)のシール部(511)がシャーシ(21)の環状溝(212)に嵌合すると共に、カバー部材(22)がシャーシ(21)に接合され、これにより、カバー部材(22)の接合面(220)によってシール部(511)が環状溝(212)内へ押圧されることになる。これにより、防水ラバー(5)のシール部(511)は、環状溝(212)内に隙間なく嵌合されることになる。又、このとき、防水ラバー(5)の外縁部(51)は、シャーシ(21)とカバー部材(22)との接合面(211)(220)間に介在することになる。
【0035】
更に、防水ラバー(5)には、レバースイッチ(4)のレバー部(42)の先端部が挿入される有底筒状部(50)が形成されている。ここで、有底筒状部(50)は、防水ラバー(5)の背面に開口すると共に、防水ラバー(5)の表面から突出している。従って、防水ラバー(5)の表面側から有底筒状部(50)に対して、様々な方向へ操作力を加えることが出来る。そして、有底筒状部(50)に操作力が加えられることにより、レバースイッチ(4)のレバー部(42)が有底筒状部(50)と共に操作方向へ移動することになる。よって、レバースイッチ(4)のレバー操作が、防水ラバー(5)によって妨げられることがない。
【0036】
又、防水ラバー(5)の背面には、各ドームスイッチ(281)と対向することとなる領域に突起部(52)が形成されている。図6に示す様に第2キャビネット(2)の組み立て状態においては、防水ラバー(5)の突起部(52)は、ドームスイッチ(281)に当接することになる。そして、防水ラバー(5)の表面の内、背面側の各突起部(52)と重なる領域に押圧力が加えられることにより、該突起部(52)を介してこれに対応するドームスイッチ(281)に押圧力が伝わり、その結果、ドームスイッチ(281)が押圧されることになる。よって、操作キー(280)の押圧操作が、防水ラバー(5)によって妨げられることがない。
【0037】
防水ラバー(5)の有底筒状部(50)には、レバースイッチ(4)の操作子となる第1キートップ(43)が取り付けられている。具体的には、第1キートップ(43)の背部(430)には、嵌合凹部(431)が形成されており、該嵌合凹部(431)に有底筒状部(50)が嵌合されている。又、防水ラバー(5)の表面には、背面側の各突起部(52)と重なる位置に、操作キー(280)の操作子となる第2キートップ(282)が貼着固定されている。
【0038】
ここで、カバー部材(22)には、レバースイッチ(4)の第1キートップ(43)をカバー部材(22)の表面に露出させる第1の窓(221)と、各操作キー(280)の第2キートップ(282)をカバー部材(22)の表面に露出させる第2の窓(222)とが形成されている。従って、上記スライド式携帯電話機のユーザは、第1キートップ(43)に操作力を加えることにより、レバースイッチ(4)のレバー操作を実行することが出来、又、各第2キートップ(282)に操作力を加えることにより、該第2キートップ(282)に対応する操作キー(280)の押圧操作を実行することが出来る。
【0039】
図7は、防水ラバー(5)について、有底筒状部(50)を含むその周辺領域を示した拡大図である。図7に示す様に(図6も参照)、防水ラバー(5)には、該防水ラバー(5)を有底筒状部(50)の周囲にて湾曲させることにより、有底筒状部(50)の周りを円環状に延びて該有底筒状部(50)を包囲した複数の湾曲部(531)〜(534)が形成されている。
【0040】
具体的には、防水ラバー(5)には、有底筒状部(50)からドーム状に湾曲した第1湾曲部(531)と、該第1湾曲部(531)から外側へ拡がって防水ラバー(5)の背面側へ隆起した円環状の第2湾曲部(532)と、該第2湾曲部(532)から外側へ拡がって防水ラバー(5)の表面側へ隆起した円環状の第3湾曲部(533)と、該第3湾曲部(533)から外側へ拡がって防水ラバー(5)の背面側へ隆起した円環状の第4湾曲部(534)とが形成されている。斯くして、防水ラバー(5)は、有底筒状部(50)の周囲の領域が同心円状に波打った形状を有している。
【0041】
従って、図6に示す様に、少なくともレバー部(42)のレバー操作が可能な方向において、防水ラバー(5)は、所謂、蛇腹形状を有している。又、防水ラバー(5)の有底筒状部(50)から外縁部(51)までの長さ寸法が、防水ラバー(5)が湾曲している長さ分だけ、レバー部(42)からシャーシ(21)の接合面(211)までの距離Lよりも大きくなっている。ここで、防水ラバー(5)の前記長さ寸法は、レバー部(42)がスライド可能な幅と同程度か、若しくはそれより大きく設定されている。
【0042】
更に、防水ラバー(5)は、図6に示す様に、その湾曲部(531)〜(534)が第1キートップ(43)の背部(430)から離間した形状を有している。
【0043】
上記スライド式携帯電話機においては、カバー部材(22)の第1及び第2の窓(221)(222)からカバー部材(22)の背面側へ水が浸入した場合でも、該水は防水ラバー(5)を通過することが出来ない。従って、浸入した水は、防水ラバー(5)の表面に滞留し、或いは防水ラバー(5)の表面に沿って移動することになる。ここで、防水ラバー(5)の外縁部(51)がシャーシ(21)とカバー部材(22)との接合面(211)(220)間に介在し、又、シール部(511)が環状溝(212)に隙間なく嵌合されている。従って、浸入した水が防水ラバー(5)の表面上を接合面(211)(220)の方へ向けて移動した場合でも、該水が防水ラバー(5)の背面へ回り込むことが、防水ラバー(5)の外縁部(51)とシール部(511)とによって防止されることになる。
【0044】
又、シャーシ(21)とカバー部材(22)との接合面(211)(220)間を通じて機器本体(10)の外部から内部へ水が浸入することが、該接合面(211)(220)間に介在した防水ラバー(5)の外縁部(51)と、環状溝(212)に隙間なく嵌合されたシール部(511)とによって防止されることになる。
【0045】
よって、第2基板(62)の表面上、及びレバースイッチ(4)を収容する開口(210)内には、機器本体(10)の外部の水が浸入することがない。即ち、上記スライド式携帯電話機は、第2基板(62)の表面上、及びレバースイッチ(4)を収容する開口(210)内への水の浸入を防止する防水構造を有することになる。
【0046】
上記スライド式携帯電話機においては、防水ラバー(5)の有底筒状部(50)に操作力が加えられていない場合(ユーザが第1キートップ(43)を操作していない場合)、図6に示す様に、防水ラバー(5)は、有底筒状部(50)の周囲の領域が同心円状に波打った形状を有している。一方、レバースイッチ(4)のレバー部(42)を上方へスライドさせるべく、防水ラバー(5)の有底筒状部(50)に対して上方へ操作力が加えられた場合(ユーザが第1キートップ(43)を上方へ操作した場合)、図8に示す様に、操作方向(上方)へ有底筒状部(50)が移動し、これに伴って防水ラバー(5)には、有底筒状部(50)の移動方向に存在する前方領域(54)に、該領域(54)を押し縮めようとする圧縮力が付与される一方、有底筒状部(50)の移動方向とは反対方向に存在する後方領域(55)に、該領域(55)を引き伸ばそうとする引張力が付与されることになる。
【0047】
ここで、防水ラバー(5)の前方領域(54)及び後方領域(55)は、これらに圧縮力又は引張力が付与されていないときであっても、図6に示す如く湾曲している。このため、防水ラバー(5)の前方領域(54)は、この領域(54)に僅かな圧縮力が付与されただけで更に湾曲し、従って容易に押し縮められることになる。又、防水ラバー(5)の後方領域(55)は、この領域(55)に僅かな引張力が付与されるだけで伸びてその湾曲が小さくなり、従って容易に引き伸ばされることになる。防水ラバー(5)の有底筒状部(50)に対して、上下左右、斜めの各方向へ操作力が加えられた場合においても、防水ラバー(5)は、上述したのと同様に変形することになる。
【0048】
又、レバースイッチ(4)のレバー部(42)をスイッチ本体(41)へ向けて押し込むべく、防水ラバー(5)の有底筒状部(50)に押圧力が加えられた場合(ユーザが第1キートップ(43)を押圧した場合)、図9に示す様に、押圧方向へ有底筒状部(50)が移動し、これに伴って防水ラバー(5)には、有底筒状部(50)の周りに存在する周辺領域(56)に、該領域(56)を外側へ押し縮めようとする圧縮力が付与されることになる。
【0049】
ここで、防水ラバー(5)の周辺領域(56)は、これに圧縮力が付与されていないときであっても、図6に示す如く湾曲している。このため、防水ラバー(5)の周辺領域(56)は、この領域(56)に僅かな圧縮力が付与されただけで更に湾曲し、従って容易に押し縮められることになる。
【0050】
よって、上記スライド式携帯電話機によれば、レバースイッチ(4)のレバー操作時であっても、レバー部(42)は、防水ラバー(5)から、操作方向とは反対方向へ小さな反発力を受けるに過ぎない。従って、レバースイッチ(4)のレバー操作が防水ラバー(5)によって妨げられることがない。
【0051】
上記スライド式携帯電話機においては、防水ラバー(5)の湾曲部(531)〜(534)は、有底筒状部(50)を包囲した形状を有している。従って、レバースイッチ(4)のレバー操作時においてレバー部(42)が防水ラバー(5)から受ける反発力は、非常に小さくなっている。
【0052】
上記スライド式携帯電話機において湾曲部(531)〜(534)が押し縮められたとき、これらの高さ寸法が大きくなる。ここで、湾曲部(531)〜(534)が第1キートップ(43)の背部(430)に接触していると、湾曲部(531)〜(534)は、その高さ寸法を更に大きくする変形が第1キートップ(43)によって妨げられることになる。これに対し、本実施形態のスライド式携帯電話機においては、図6に示す如く湾曲部(531)〜(534)が第1キートップ(43)の背部(430)から離間して設けられている。従って、図8及び図9に示す様に、湾曲部(531)〜(534)は、その高さ寸法を更に大きくする変形が第1キートップ(43)によって妨げられることがない。従って、レバースイッチ(4)のレバー操作が第1キートップ(43)又は防水ラバー(5)によって妨げられることがない。
【0053】
尚、本発明の各部構成は上記実施の形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。図6及び図7に示す上記防水ラバー(5)の形状は一例であり、防水ラバー(5)には、該防水ラバー(5)を有底筒状部(50)の周囲にて湾曲させた様々な形状を採用することが出来る。又、防水シート(5)に形成されている湾曲部(531)〜(534)は、円環状に限らず、レバー部(42)のレバー操作が可能な方向に応じて多角形状を有していてもよい。
【0054】
更に、本発明において、防水ラバー(5)には、組み立て前の状態において有底筒状部(50)と外縁部(51)との間の領域が弛むこととなる形状を採用してもよい。この場合、防水ラバー(5)をシャーシ(21)に取り付ける際に、防水ラバー(5)の弛んだ領域を撓曲させることにより、上述した湾曲部が形成されることになる。又、防水ラバー(5)には、伸縮性の高い材質から形成されたものを採用してもよい。
【0055】
上記スライド式携帯電話機に採用した各種構成は、折り畳み式携帯電話機、ストレートタイプの携帯電話機等、様々な携帯電話機に適用することが出来る。又、上記スライド式携帯電話機に採用した各種構成は、携帯電話機に限らず、PDA(Personal Digital Assistant)、デジタルカメラ、ビデオカメラ等、種々の電子機器に適用することが出来る。
【符号の説明】
【0056】
(10) 機器本体
(1) 第1キャビネット
(2) 第2キャビネット
(201) 表面
(21) シャーシ(収容部材)
(210) 開口
(211) 接合面
(212) 環状溝
(22) カバー部材
(220) 接合面
(221) 第1の窓
(222) 第2の窓
(28) 第2操作部
(280) 操作キー
(281) ドームスイッチ
(282) 第2キートップ
(3) スライド機構
(4) レバースイッチ
(41) スイッチ本体
(42) レバー部
(43) 第1キートップ
(430) 背部
(5) 防水ラバー(弾性シート)
(50) 有底筒状部
(51) 外縁部
(511) シール部
(52) 突起部
(531) 第1湾曲部
(532) 第2湾曲部
(533) 第3湾曲部
(534) 第4湾曲部
(54) 前方領域
(55) 後方領域
(56) 周辺領域
(61) 第1基板
(62) 第2基板
L 距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器本体と、該機器本体の内部に配備されたレバースイッチとを具え、該レバースイッチは、スイッチ本体と、該スイッチ本体に対して少なくとも一方向へのレバー操作が可能なレバー部とから構成され、前記機器本体には、その表面に前記レバースイッチのレバー部を露出させる窓が形成されている電子機器において、
前記機器本体は、前記レバースイッチのスイッチ本体を収容する開口が設けられた収容部材と、該収容部材に接合されて前記機器本体の表面の少なくとも一部を形成するカバー部材とを有し、該カバー部材に前記窓が形成されており、前記カバー部材の背面側には、前記収容部材の開口を覆う弾性シートが配備され、該弾性シートは、前記収容部材とカバー部材との接合面と重なる位置まで拡がった形状を有し、該弾性シートの外縁部が前記収容部材とカバー部材との接合面間に介在しており、前記弾性シートには、前記レバースイッチのレバー部の少なくとも先端部が挿入される有底筒状部が形成され、該有底筒状部は、前記弾性シートの表面から突出していることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記弾性シートは、少なくとも前記レバー部のレバー操作が可能な方向において、前記有底筒状部から外縁部までの長さ寸法が、前記レバー部から前記接合面までの距離よりも大きい請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記弾性シートには、該弾性シートを前記有底筒状部の周囲にて湾曲させることにより、1又は複数の湾曲部が形成されている請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記弾性シートの湾曲部は、前記有底筒状部を包囲した形状を有している請求項3に記載の電子機器。
【請求項5】
前記弾性シートの有底筒状部にはキートップが取り付けられており、前記弾性シートは、前記湾曲部が前記キートップの背部から離間した形状を有している請求項3又は請求項4に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−204461(P2011−204461A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−70449(P2010−70449)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】