説明

電子機器

【課題】本発明は、ユーザ負担を増大させることなく、防水レベルに密閉された電子機器内部に配置される吸湿剤を効率的に乾燥させ、再生可能とすることができる電子機器を提案する。
【解決手段】
本発明のデジタル秤1は、防水レベルに密閉された筐体と、デジタル秤1を稼動させるための電池39の電池ボックス38とを備える。電池ボックス38が、筐体内の電気回路と接続するための秤電源コネクタ、筐体内の水分を吸着する吸湿剤14を乾燥させるためのヒーター12、筐体から取り外した際に、収容している電池39およびヒーター12に電圧を印加させるために、外部電源と接続するためのピンインサートコネクタ17とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防水レベルに筐体が密閉されている電子機器に関するものであって、特に、該電子機器の筐体内を乾燥させるための吸湿剤を有する電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から湿気対策として様々な吸湿器が利用されている。吸湿器としては、例えば、ペルチェ素子を用いたもの、または吸湿剤を用いたものがある。なお、利用可能な吸湿剤としては、水分の吸着性を示す物質(例えば、シリカゲル)、または潮解性を示す物質(例えば、塩化カルシウム)などが挙げられる。
【0003】
例えば、特許文献1、2、および3では、吸湿剤を用いた吸湿器(除湿装置)が開示されている。より具体的には、特許文献1では、水分吸着剤(吸湿剤)を備える通風体、この通風体に送風するファン、この通風体を加熱再生する電熱ヒーター、およびファン駆動モータの電源となる充電式蓄電池等を備えた除湿装置が開示されている。この除湿装置では、通風体の水分吸着剤が吸着能力を失った場合、電熱ヒーターにより加熱加温された熱風をファンにより通風体に吹き付けることで水分吸着剤を乾燥再生させることができる。
【0004】
また、特許文献2では、吸湿剤、この吸湿剤に通風する送風装置、吸湿剤の乾燥時に加熱するヒーター、送風装置を駆動させる蓄電池、この蓄電池を充電する充電回路を備えた除湿装置が開示されている。この除湿装置では、充電回路、ヒーター、および送風装置に交流電源を接続して、吸湿剤の乾燥を行うことができる。
【0005】
また、特許文献3では、吸湿剤カートリッジおよびヒーターを有する乾燥ユニットと、ファンを有する吸湿ユニットとを備えた吸湿器が開示されている。この吸湿器では、乾燥ユニットにおいて吸湿剤カートリッジが取り外し自在となっており、この吸湿剤カートリッジを使って、吸湿を行うことができる。また、吸湿剤カートリッジの吸湿容量が満杯になると乾燥ユニットにとりつけ乾燥再生できるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平2−95531号公報
【特許文献2】特開平3−275115号公報
【特許文献3】特許第3319765号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、電子機器は一般的にその内部に水気を嫌う部材を備えている。このため、電子機器は、水気を含む場所等で利用される場合、該電子機器に防水対策を施し、外部からの浸水を防ぐように工夫される。しかしながら、このように防水対策を施した電子機器であっても、この電子機器をとりまく外界の急激な温度変化等によりその内部に結露が生じる場合がある。
【0008】
つまり、電子機器内に収容されている電子回路の発熱等に起因して内部の圧力が上昇し、電子機器に誤作動が生じる場合がある。このため、外部からの浸水を防げる程度(防水レベル)には電子機器内部は密閉されているが、圧力の上昇を防ぐために外気が浸入できるように完全な密閉状態とはなっていない。それゆえ、湿気を含む空気が電子機器内に浸入してくるため結露が発生する場合がある。
【0009】
そこで、上述した結露対策として、例えば、特許文献1、2、および3に開示されるように、電力を消費しない吸湿剤を利用する構成が考えられる。
【0010】
しかしながら、これら従来技術は、水分の吸着力が低下した吸湿剤を再生可能とする構成であるが、防水レベルに密閉された電子機器内での利用を想定した構成となっていない。このため、密閉された電子機器内の乾燥を目的として従来技術を利用した場合、ユーザに強いる負担が増す。
【0011】
より具体的には、特許文献1、2に開示されている発明の装置は除湿装置であり、構成要素として備える充電池は、ファンのモータ駆動用電源として供されるものである。このため、特許文献1、2の除湿装置を防水レベルに密閉された電子機器内部で利用する場合、電子機器内部に除湿装置を取り付け可能とする機構を設ける必要がある。また、電子機器の稼動用と、除湿装置のファンのモータ駆動用とに電力が消費されるため、充電池の充電頻度が多くなりユーザの負担が増す。
【0012】
また、特許文献3の吸湿器は、乾燥ユニットと吸湿ユニットとを別体に設けた構成となっており、吸湿剤の再生を行う場合、吸湿ユニットから吸湿剤カートリッジ(吸湿剤)を取り外し乾燥させる構成である。このため、特許文献3の吸湿器を、防水レベルに密閉された電子機器内部で利用する場合、乾燥ユニットを電子機器本体とは別に常時準備しておかなければならず、ユーザの負担が大きくなる。
【0013】
本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ユーザ負担を増大させることなく、防水レベルに密閉された電子機器内部に配置される吸湿剤を効率的に乾燥させ、再生可能とすることができる電子機器を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る電子機器は、上記した課題を解決するために、所定の防水レベルに密閉された筐体と、当該電子機器を稼動させるための電源としての蓄電池を収容する電池容器と、を備え、前記電池容器が、前記筐体内に配線されている電気回路と接続するための第一接続部と、前記筐体内の水分を吸着するための吸湿剤を乾燥させるためのヒーターと、前記筐体から取り外した際に、収容している前記蓄電池および前記ヒーターに電圧を印加させるために、外部電源と接続するための第二接続部と、を有し、前記電池容器は、外部から取り外し可能に前記筐体に格納される。
【0015】
ここで、所定の防水レベルに密閉されているとは、前記筐体に収容される電子部品や電子回路等が水気により不具合が生じないように、前記筐体外部からの浸水を防止できる程度に密封されているということである。すなわち、この電機機器の筐体は、完全な密閉状態にあるということではない。
【0016】
上記した構成によると、本発明に係る電子機器では、蓄電池と第一接続部とを有している。このため、蓄電池を電源として電子機器を稼動させることができる。また、電子機器は、蓄電池を収容する電池容器が、前記吸湿剤を乾燥させるためのヒーターと、前記接続部とを有している。このため、蓄電池を充電するときに、ヒーターを稼動させて、吸湿剤の乾燥も併せて行うことができる。
【0017】
このように、本発明に係る電子機器は、蓄電池の充電時間中に水分を含有する吸湿剤の乾燥を併せて行うことができるため、ユーザに負担をかけることなく効率的に吸湿剤を再生させることができる。また、上記蓄電池は、電子機器の稼動用の電源としてのみ利用されるため、ヒーターの稼動用電源としても利用される構成と比較して、蓄電池の充電回数を低減させることができ、ユーザに強いる負担が増大することがない。
【0018】
したがって、ユーザ負担を増大させることなく、防水レベルに密閉された電子機器内部に配置される吸湿剤を効率的に乾燥させ、再生可能とすることができるという効果を奏する。
【0019】
なお、電池容器が備える吸湿剤としては、例えば、水分を吸着し、加熱により水分を放出するシリカゲル等が利用できる。
【0020】
また、本発明に係る電子機器は、前記電池容器は、前記吸湿剤と前記ヒーターとを収容するための収容部を備え、前記ヒーターにおける熱を発生させる面が前記吸湿剤に向けられるように該ヒーターと該吸湿剤とが前記収容部内において配置されてもよい。
【0021】
前記収容部を備えるため、電池容器は吸湿剤とヒーターとを一緒に収容しておくことができる。このため、電池容器の筐体への取り付け、あるいは取り外しを行うたびに吸湿剤とヒーターとの取り付け、あるいは取り外しを別途行う必要がなく、ユーザの負担を軽減できる。
【0022】
また、本発明に係る電子機器は、前記吸湿剤を収容し、該吸湿剤により前記筐体内における水分を吸着して該筐体内を乾燥させるように外部から取り外し可能に該筐体に取り付けられた乾燥ユニットをさらに備え、前記電池容器及び前記吸湿剤が前記筐体から取り外された状態において、前記乾燥ユニット内の吸湿剤を前記収容部に収容して乾燥させるように構成されていてもよい。
【0023】
上記した構成によると乾燥ユニットを備えているため、電子機器内の所望の位置に吸湿剤を配置することができる。また、前記電池容器及び前記吸湿剤が前記筐体から取り外された状態において、この吸湿剤を上記電池容器が備える収容部に収容させることができるため、乾燥ユニット内の吸湿剤が吸着した水分を乾燥させることができる。
【0024】
また、本発明に係る電子機器では、前記電池容器は、前記ヒーターの発熱温度を管理するためのサーモスタットを備え、前記サーモスタットが、前記ヒーターの発熱温度が、所定期間、所定の温度範囲にあるか否かを検知する熱検知部と、前記接続部と前記ヒーターとを接続する回路のオンおよびオフを切り替えるスイッチ部とを有し、前記熱検知部が、所定期間、所定の温度範囲に前記ヒーターの発熱温度あることを検知した場合、前記スイッチ部が回路をオフにするように構成されていてもよい。
【0025】
上記した構成によると、前記電池容器が、前記検知部およびスイッチ部を有するサーモスタットを備えているため、ヒーターの発熱温度が吸湿剤を乾燥させるために必要な温度以上とならないように管理することができる。
【0026】
また、本発明に係る電子機器は、前記吸湿剤は、含水量に応じて色が変化するものであってもよい。前記吸湿剤が含水量に応じて色が変化するため、前記ヒーターによる加熱によって、該吸湿剤の乾燥が完了したかどうか視認することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明は以上に説明したように構成され、防水レベルに密閉された電子機器内部に配置される吸湿剤を効率的に乾燥させ、再生可能とすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施形態に係るデジタル秤の斜め前方から見た外観構成を示す斜視図である。
【図2】図1のデジタル秤の断面図である。
【図3】図1のデジタル秤の底面図である。
【図4】本発明の実施形態に係るデジタル秤の電池を収容した電池ボックスの外観構成を示す斜視図である。
【図5】図4の電池ボックス内の配線の一例を示す回路図である。
【図6】本発明の他の実施形態に係るデジタル秤の乾燥ユニットの分解図である。
【図7】図6における乾燥ユニットの取り付け位置を示すデジタル秤の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の好ましい実施の形態として、電子機器の一例としてデジタル秤を挙げ、図面を参照して説明する。なお、以下では全ての図を通じて同一又は対応する構成部材には同一の参照符号を付して、その説明については省略する。
【0030】
本発明の実施の形態に係る電子機器は、防水レベルに筐体が密閉されていて、該電子機器の筐体内を乾燥させるための吸湿剤を有する電子機器であれば、これに該当する。以下ではデジタル秤を例に取って説明するが、これに限定されるものではない。
【0031】
本実施の形態に係るデジタル秤1は、物品の重量を計量し、当該計量により得られた計量値を数値化して電気的に表示する電子機器であれば、これに該当する。以下には、計量皿に載置した物品の重量(重さ)を計量し、その計量値を表示部においてデジタル表示する、いわゆるデジタル式上皿自動秤を例示する。なお、デジタル秤1は、例えば、歪ゲージ式ロードセルを利用して物品の重量を求める構成となっている。
【0032】
ところで、農水産品、生鮮食品等を物品とする場合、物品となる魚介類、野菜等は多くの水分を含んでおり、デジタル秤1を取り巻く環境は高湿度なものとなる。また、魚介類や野菜等を扱う環境では、高度な食品衛生管理が要求される。このため、デジタル秤1を頻繁に洗浄したり消毒したりする必要があり、デジタル秤1に対して洗浄に対応可能な防水性(あるいは耐水性)が要求される。
【0033】
そこで、本実施の形態に係るデジタル秤1は、食品加工場等、水により濡れる環境での使用も可能とするように、デジタル秤本体部3における接合部10にシール部材(例えば、ゴムパッキング等)9を配設し取り付け、浸水を防ぐ構成となっている。
【0034】
(デジタル秤の構成)
上述したデジタル秤1のより具体的な構成について、図1から図3を参照して説明する。
【0035】
図1は、本発明の実施形態に係るデジタル秤1の斜め前方から見た外観構成を示す斜視図である。図2は、図1のデジタル秤1の断面図である。なお、デジタル秤1において、表示部34が備えられている側を前方、表示部34が備えられている側と対向する側を後方とすると、図2は前方から後方に沿ってデジタル秤1を垂直に切り出した場合の断面構造を示す。図3は、図1のデジタル秤1の底面図である。
【0036】
デジタル秤1は、図1に示すように、その外観形状において計量皿2、およびデジタル秤本体部3を備えている。
【0037】
図1および図2に示すように、計量皿2は、物品(被計量物)を載置するための皿である。計量皿2は、その上面側に物品が載置される。また、下方側では皿受31と当接しており、該皿受31により支持されている。そして、載置された物品の荷重が下方側で支持する皿受31に加わるように構成されている。
【0038】
デジタル秤本体部3は、筐体4と、この筐体4に収容又は取り付けられた部材とを含む。筐体4は、例えばステンレスで構成されており、また、この筐体4を構成する部材もステンレスで構成されている。筐体4の形状は任意である。
【0039】
以下では、筐体4が扁平な直方体形状に形成されている構成を例示する。筐体4は、底板5とカバー部材6とを備える。底板5は、例えば、全体として平板状に形成されている。カバー部材6は、例えば、全体として、下面が開放され、前面が上方に傾斜し、かつ上面の中央に開口8を有する中空の扁平な半開放の直方体形状に形成されている。カバー部材6の下縁部は全周に渡って内方に折り曲げられていて、当接部6aを構成している。この当接部6aに底板5の外縁部5aが当接し、ねじ22によって、この当接部6aと底板5の外縁部5aとが接合されている。この接合箇所が、底板5とカバー部材6との接合部10を構成している。
【0040】
このようにして、底板5とカバー部材6とを用いて扁平は直方体状の筐体4が形成されている。カバー部材6の当接部6aと底板5の外縁部5aとの間にはシール部材(例えばゴムパッキング等)9Aが配置されていて、これにより、カバー部材6の当接部6aと底板5の外縁部5aとの間が所定の防水レベル(防水仕様)にシールされている。
【0041】
筐体4には、皿受31の下部、ロードセル40、制御基板41、電池ボックス38、及び電気配線(不図示)等が収容されている。底板5の一部には開口5bが形成されていて、この開口5bから電池ボックス38をデジタル秤本体部3に収容することができるようになっている。なお、電池ボックス38が本発明の電池容器に相当する。
【0042】
底板5の開口5bは板状の底蓋7によって塞がれている。底蓋7は、ねじ25によって、底板5に取り外し可能に取り付けられている。底蓋7と底板5のとの間にはシール部材(例えばゴムパッキング等)9Bが配置されていて、これにより、底蓋7と底板5との間が上述の所定の防水レベルにシールされている。
【0043】
ロードセル40は、起歪体29と、この起歪体29の所定の部位に貼付された歪ゲージ30とを備えている。また、皿受31は、水平に延在する受け部31aと、この受け部31aの中央部に下方に突設された取り付け部31bとを備えている。そして、起歪体29がその一端を支持されるようにして片持ち状に底板5の上面に取り付けられている。そして、起歪体29の他端部が皿受31の取り付け部31bを支持している。
【0044】
皿受31の取り付け部31bの上端部は、カバー部材6の開口8から上方に突出しており、その上端に受け部31aが位置し、この受け部31aに計量皿2が取り付けられている。これにより、計量皿2に物品が載置されると、当該物品の荷重が皿受31を介してロードセル40の起歪体29に加わり、それによる起歪体29の歪みが歪ゲージ30によって検出される。このようにして、計量皿2に載置された物品の重量が検出される。
【0045】
さらに、カバー部材6の開口8の周縁部6bと皿受31の受け部31aの外縁部との間にダイヤフラム11が配設されている。これにより、カバー部材6と皿受31との間が上述の所定の防水レベルにシールされている。ダイヤフラム11は、その両端部を、ねじ23、24等によって気密(水密)にカバー部材6の開口8の周縁部6b及び皿受31の受け部31aの外縁部に取り付けられている。また、ダイヤフラム11は、柔軟性に富んだ材料で構成され、皿受31が上下方向に移動する際に実質的に当該皿受31に反力を及ぼさないように構成されている。これにより、筐体4の内部を外部からシールした状態で、計量皿2に載置された物品の重量を正確に計量することができる。
【0046】
また、カバー部材6の前面には表示部34が設けられ、この表示部34の背後に位置するように、カバー部材6の内面に制御基板41が取り付けられている。制御基板41は、例えば、電池ボックス38に近接して配置されている。
【0047】
上述のようにして、皿受31の下部、ロードセル40、制御基板41、及び電池ボックス38が筐体4に収容されている。ここで、計量皿2、起歪体29、歪ゲージ30、皿受31、およびロードセル40が計量機構を構成している。また、電池ボックス38、電池39、制御基板41、及び所要の電気配線等(図示せず)が電装品を構成している。
【0048】
筐体4(底板5及びカバー部材6)の外面にはさらに、電源ON−OFFシートキースイッチ32、操作シートキースイッチ33、及び高さ調整脚35が配設されている。
【0049】
電源ON−OFFシートキースイッチ32は、デジタル秤1の電源のオンおよびオフを切り替えるものであり、操作シートキースイッチ33は、各種設定等を行うための入力手段である。各種設定としては、零点補正、風袋引き等の設定等が挙げられる。
【0050】
また、表示部34は、計量値等の情報を表示させるものであり、LCD(Liquid crystal display)などにより実現できる。
【0051】
高さ調整脚35は、デジタル秤本体部3を支持するための脚であり、筐体4における底面の4隅に設けられ、デジタル秤本体部3を水平位置で支持できるように、それぞれの脚の高さが調節可能となっている。
【0052】
底蓋7は、上述のように、デジタル秤本体部3の内部に収容されている電池ボックス38の開口部5bを閉止するためのものである。すなわち、底蓋7はデジタル秤本体部3に対して着脱可能となっている。そして、底蓋7をデジタル秤本体部3から取り外すと、電池ボックス38の開口部5bが外部に曝されるようになっている。この開口部5bから電池39を収容した電池ボックス38を筐体4の外部に取り出すことができる。
【0053】
なお、底蓋7のはめ込み部分には上述のようにシール部材9Bが取り付けられており、外部からの浸水を防ぐことができるようになっている。また、電池39が本発明の蓄電池に相当する。
【0054】
ロードセル40は、計量皿2に載置された物品から加えられた荷重から、物品の重量を求めるものである。ロードセル40は、力に比例して変形する起歪体29とその変形量(歪)を測定する歪ゲージ30とを備えており、物品から起歪体29に加えられた荷重による起歪体29の変形量(歪)から、該物品の重量を検出する。
【0055】
より具体的には、ロードセル40には、例えば、歪みに比例して電気抵抗が変化する4箇所の歪ゲージ30でホイートストンブリッジが構成されている。そして、このホイートストンブリッジからは、印加電圧に比例し、かつ、歪みに比例した非常に小さい電圧信号を制御基板41に対して出力する。制御基板41ではこの小さな電圧信号を増幅させ、物品の重量を数値として表示部34で表示できるように制御する。
【0056】
制御基板41は、デジタル秤1の各種制御を行うものである。制御基板41は、デジタル秤本体部3において、デジタル秤1の前方部、すなわち、表示部34が備えられている側に設けられている。図2の例では、制御基板41は、表示部34の背面側に設けられる。
【0057】
筐体4の内部に備えられている電池ボックス38は、上述したように電池39を収容するものである。電池ボックス38は、不図示の電極を備え、該電極は不図示の配線を介して制御基板41の電力供給端子(不図示)に接続される。なお、電池ボックス38の構成の詳細については後述する。
【0058】
また、図3に示すようにデジタル秤1の筐体4の底部20には、デジタル秤1の持ち運びを容易とするために、該底部20からデジタル秤1の上方側に向かって窪んだ一対の凹部28が設けられている。そして、これら一対の凹部28それぞれの一側面は、防水透湿性素材27から構成されている。
【0059】
上述したように、デジタル秤1は、防水性を高めるために、接合部10等をシール部材9A、9Bにより塞ぎ、かつ筐体4と皿受31との間をダイヤフラム11でシールしているため、外部から密閉された構造となる。
【0060】
しかしながら、デジタル秤1の計量精度を高めるためには、デジタル秤本体部3(より具体的には筐体4)の内外の気圧の均衡を保つ必要がある。そこで、本実施の形態に係るデジタル秤1では、水がかかる可能性が小さい底部20の凹部28の側面に防水透湿性素材27を用いて気圧調整を行うことができるようになっている。
【0061】
なお、この防水透湿性素材27としては、ポリテトラフルオロエチレンを延伸加工したフィルムとポリウレタンポリマーを複合化して作った素材、いわゆるゴアテックス(登録商標)を用いることができる。
【0062】
このように、本実施の形態に係るデジタル秤1は、デジタル秤本体部3内外の気圧を均衡に保つ必要があるため、底部20における一部に防水透湿性素材27を用いている。このため、筐体4の内部に防水透湿性素材27を通じて湿気を含む空気が入り、デジタル秤1を取り巻く外界の急激な温度変化によって結露が生じやすくなる。なお、デジタル秤1を取り巻く外界の急激な温度変化としては、冷凍された加工品の重量を計量した後、高温のお湯によって洗浄がなされた場合などが想定される。
【0063】
そこで、デジタル秤1では、生じた結露により電池39、制御基板41の電子回路、およびロードセル40の歪ゲージ30など水気を嫌う部材に悪影響を与えないようにするため、吸湿剤14を電池ボックス38が備える収容部54に収容して、筐体4内に配置できるようになっている。
【0064】
(電池ボックスの構成)
以下において、図4、5を参照して電池ボックス38の構成について詳細に説明をする。図4は、本発明の実施形態に係るデジタル秤1の電池39を収容した電池ボックス38の外観構成を示す斜視図である。図5は、図4の電池ボックス38内の配線の一例を示す回路図である。
【0065】
図4に示すように、電池ボックス38は、上面が開口した(すなわち、開口部5bを有した)直方体形状をしている。電池ボックス38の内部には複数の電池39(図4の例では4つの電池39)を所定位置に配置するための仕切り部50と、配置した電池39を押圧して電池ボックス38内に固定する固定部51とが設けられている。
【0066】
電池39は、図4に示すように円柱形状をしている。そして、この電池39を電池ボックス38に収容した際に、導通するように連接した2つの電池39の連接方向における端部と当接する電池ボックス38の側面52a、52bの中央部分に、仕切り部50が形成されている。
【0067】
この仕切り部50は、電池ボックス38の側面52aまたは側面52bから、該電池ボックス38内部に向かって突出し、かつ電池ボックス38の底面53から上方に立設した板形状をしている。この仕切り部50により複数の電池39を所定位置に収めることができる。
【0068】
また、仕切り部50が設けられている電池ボックス38の側面52a、52bとは異なる側面、すなわち、連接した電池39が並列して設置される方向に設けられた側面52c、52dの上端部には、電池39の周形状に沿って湾曲した板形状の固定部51が設けられている。そして、この固定部51と底面53とで挟み込むことにより電池39を電池ボックス38内に固定することができる。
【0069】
図4の例では、電池ボックス38は、導通するように連接した2つの電池39を、2列に並置している。このため、固定部51は、側面52c、52dそれぞれにおいて、各電池39の収容位置に応じた位置(図4の例では側面52c、52dそれぞれにおいて2箇所ずつ)に設けられることとなる。
【0070】
このように、電池ボックス38では、仕切り部50により電池39を所定位置に配置させ、固定部51により電池ボックス38内に固定するようにできる。このため、電池ボックス38を筐体4から取り外したり、筐体4内に取り付けたりしたとしても電池39が電池ボックス38内から抜け落ちることがない。
【0071】
また、収容部54の側面52a、52bそれぞれにおける電池39と当接する位置には、不図示の電極が備えられ、該電極は不図示の端子と接続されている。そして、この端子を介して、配線を通じて制御基板41の電力供給端子(不図示)に接続されように構成されている。
【0072】
より具体的には、本実施形態では、電池ボックス38の側面52aの外側面にスナップ端子等により実現できる秤電源コネクタ26が設けられており、電池ボックス38をデジタル秤本体部3内に収容した際には、この秤電源コネクタ26を介して電池ボックス38と制御基板41の電力供給端子との接続を行うことができる。なお、秤電源コネクタ26は、本発明の第一接続部に相当する。
【0073】
さらにまた、これら電極は、電池ボックス38の側面52bの外側面に備えられたピンインサートコネクタ17とも接続されている。なお、ピンインサートコネクタ17が本発明の第二接続部に相当する。
【0074】
収容部54に収容されている電池39は、蓄電池(二次電池)であり、電池39を電池ボックス38に収容したまま充電を行うことができるようになっている。このため、電池ボックス38の側面52bの外側面には、電源(例えば、商用電源または家庭用電源)につながっているACアダプタ19と接続させるために、ピンインサートコネクタ17が設けられている。
【0075】
つまり、電池ボックス38に収容している電池39を充電する際、このピンインサートコネクタ17とACアダプタ19のケーブルの先端部に備えられているソケットインサートコネクタ18と嵌合させる。そして、ACアダプタ19が電源からの交流電圧を直流電圧に変え、該直流電圧を電池ボックス38内に収容している電池39に引加させる。
【0076】
さらにまた、電池ボックス38の側面52bの外側面には、上述したピンインサートコネクタ17に加えて、収容部54が設けられている。
【0077】
収容部54は、吸湿剤14と、この吸湿剤14を乾燥させるためのヒーター12とを収容するものであって、上面が開口した直方体形状をしている。そして、この直方体形状における長手の側面のうちの一つ(図4では側面61c)で電池ボックス38の側面52bと接合されている。
【0078】
収容部54に収容される吸湿剤14は、例えば、水分を吸着し、加熱により水分を放出するシリカゲルである。また、シリカゲルの水分の吸着力の状態を示すために、吸湿剤14には、塩化コバルトなどの水分の指示薬を添加している。このため、吸湿剤14の水分の吸着力の有無を色変化により認識することができる。
【0079】
また、この吸湿剤14は、図4に示すように板形状をしており、この吸湿剤14の両端部の縁には凸部(不図示)が形成されている。そして、収容部54への収容時において、吸湿剤14の両端部が収容部54の側面61a、および61bと当接する。一方、収容部54における吸湿剤14の両端部と当接する側面61a、61bには、この凸部と嵌合する凹部(不図示)が形成されている。そして、吸湿剤14の凸部を側面61a、61bに形成された凹部に嵌めこみ固定することができる。これにより、吸湿剤14は、その端部が収容部54の側面61a、および61bと当接し、かつ収容部54の底面53に立設するように配置される。
【0080】
なお、収容部54において、電池ボックス38の側面52bと接する側、すなわち図4における収容部54の側面61c側に吸湿剤14が配置され、側面61cと対向する側面61d側にヒーター12が取り付けられている。ヒーター12の発熱により吸湿剤14を効果的に乾燥させることができるように両者は近接し、かつヒーター12の発熱面が吸湿剤14と対向するように配置されている。
【0081】
ヒーター12は、ピンインサートコネクタ17と接続されており、電池39の充電時に該電池39に印加する電圧が、このヒーター12にも印加されるようになっている。このため、本実施の形態に係るデジタル秤1では、電池ボックス38に収容されている電池39の充電時に、ヒーター12を稼動させて吸湿剤14を乾燥させることができる。
【0082】
より具体的には、図5に示すように、ピンインサートコネクタ17を介して直流電圧が電池39とヒーター12とに印加される。これにより、電池39の充電を行うことができるとともに、ヒーター12を稼動させて吸湿剤14の乾燥を行うことができる。なお、電池39では、充電回路中にダイオード21があり、一次側には電流が戻らないようになっている。
【0083】
また、電池ボックス38が有する収容部54は、ヒーター12の発熱温度が所定温度以上に上昇しないように、サーモスタット16をさらに備えている。サーモスタット16は、ヒーター12の発熱温度を検知する熱検知部13と、該熱検知部13が、ヒーター12の発熱温度が所定期間、所定温度の範囲にあることを検知すると、回路のオンおよびオフを切り替えるスイッチ15とを有してなる構成である。すなわち、サーモスタット16では、熱検知部13がヒーター12の発熱温度が所定期間、所定温度の範囲にあることを検知すると、スイッチ15が、ヒーター12とピンインサートコネクタ17とを接続する回路をオンからオフに切り替える。
【0084】
なお、本実施形態では、吸湿剤14としてシリカゲルを利用している。このシリカゲルは、加熱して100℃から200℃の温度を一定時間維持すると水分が放出することが知られている。このため、サーモスタット16では、熱検知部13が所定期間、ヒーター12の発熱温度が100℃から200℃の範囲にあることを検知すると、スイッチ15が、該ヒーター12とピンインサートコネクタ17とを接続する回路をオンからオフに切り替える。そして、ヒーター12への電圧の印加を停止させる。なお、熱検知部13は、例えば、バイメタルまたは形状記憶合金による機械式検知を利用して実現できる。
【0085】
上述したように、本実施の形態に係るデジタル秤1では、電池ボックス38をデジタル秤1の筐体4から着脱自在となっている。そして、電池ボックス38に収容した電池39を充電する際は、筐体4から電池ボックス38と取り外し、ACアダプタ19を通じて電源と接続する。そして、この電源から印可される電圧(正確には、ACアダプタ19により直流電圧に変換された電圧)により電池39の充電を行う。また、電池39の充電時に、ヒーター12にも電圧を印加させて稼動させる。そして、ヒーター12の発熱で水分を吸着した吸湿剤14を乾燥させ、吸湿剤14の水分の吸着力を回復させる。
【0086】
このように、電池ボックス36及び吸湿剤14が筐体4から取り外された状態において、充電と吸湿剤14の乾燥とを同時に行い、電池39の充電と吸湿剤14の乾燥が完了したら、ACアダプタ19を電池ボックス38から切り離す。そして、電池ボックス38を図1に示すように筐体4に取り付け、底蓋7により開口部5bを塞ぎ、電池ボックス38を筐体4の内部に収容する。
【0087】
次に、以上のように構成されたデジタル秤1の作用効果を説明する。
【0088】
デジタル秤1は、例えば、冷凍された加工品の重量を計量するのに使用される。そうすると、計量時にデジタル秤本体部3の内部に一対の防水透湿性素材27それぞれを通じて湿気を含む空気が侵入する。そして、計量が終了すると、例えば、高温のお湯によって洗浄がなされる。この場合、何ら結露対策が講じられていない場合には、デジタル秤本体部3の筐体4の内部の湿気(水分)が結露しやすくなる。しかしながら、本実施の形態のデジタル秤1には、電池ボックス38が吸湿剤14を備えているので、この吸湿剤14によって筐体4の内部の湿気が吸着される。このため、筐体4の内部における結露を防止することができる。
【0089】
また、吸湿剤14とヒーター12とを備えた電池ボックス38は、筐体4の外部から取り外し可能に取り付けられている。そして、電池ボックス38を筐体4から取り外して、ACアダプタ19を通じて電源に接続し、電池ボックス38に収容されている電池39を充電することができる。また、電池39の充電時、電源からの電圧がヒーター12にも印加されるように構成されているため、この電池39の充電と同時に、電池ボックス38が備えるヒーター12を稼動させて前記吸湿剤13を乾燥させることができる。
【0090】
つまり、デジタル秤1の計量及び洗浄は繰り返し行なわれるので、いずれ吸湿剤14の含水量が大きくなり水分吸着能力が失われるが、電池39の充電時に、この吸湿剤14の乾燥を同時に行うことができる。そして、吸湿剤14の水分吸着能力を回復させることができる。
【0091】
また、吸湿剤14は、含水量に応じて色が変化するため、吸湿剤14の水分吸着能力の回復の有無を判別することができので、吸湿剤14の交換時期を的確に把握することができる。
【0092】
また、上述したように、ヒーター12と吸湿剤14とを収容部54に収容して電池ボックス38に備える構成である。このため、デジタル秤本体部3内に電池ボックス38を取り付けるためには、従来の電池ボックスの収容スペースに加えて、この収容部54を収めることができるだけのスペースを確保すればよい。つまり、電池ボックス38をデジタル秤本体部3内に収容可能とするために、このデジタル秤本体部3内に新たな部材等を設ける必要がなく製造コストを抑制することができる。
【0093】
また、ヒーター12が電池ボックス38に備えられているため、デジタル秤1の稼動時には電池ボックス38とともにヒーター12もデジタル秤本体部3内に収容された状態となる。このため、デジタル秤1とは別体でヒーター12を準備しておく必要がなくユーザの負担が増大することはない。
【0094】
また、電池ボックス38の電池39は、デジタル秤1を稼動させるためだけの電源として利用されるため、この電池39を、ヒーター12の稼動用電源としても利用する構成と比較して、電力の消費速度を低減させることができる。このため、電池39を、デジタル秤1の稼動用の電源、およびヒーター12の稼動用の電源として利用する構成と比較して電池39の充電回数を抑制することができ、ユーザ負担が増大することはない。
【0095】
なお、本実施の形態に係るデジタル秤1は、歪ゲージ式ロードセルを利用して物品(被計量物)の重量を求める秤であるが、これに限定されるものではない。例えば、荷重センサとして電磁力平衡方式(電磁力補償方式、電磁式)を採用した電子天秤などのような秤であってもよいし、静電容量方式を採用した秤であってもよい。
【0096】
また、本実施形態では、筐体が防水レベルに密閉され、防水対策が施された電子機器として、デジタル秤1を例に挙げて説明した。しかしながら、デジタル秤1に限定されるものではない。外部からの浸水に起因して筐体内の電子部品等に不具合が生じないように密閉された構成となっており、かつ蓄電池を電源とする電子機器であればよい。
【0097】
また、上記では電池ボックス38がデジタル秤本体部3内に着脱自在の場合について説明したが、電池ボックス38をデジタル秤本体部3から取り外すことができない場合は、以下の構成とすることもできる。すなわち、ヒーター12を稼動させる電源を電池39となるように配線し、デジタル秤1を稼動させる状態と、ヒーター12を稼動させて吸湿剤14を乾燥させる状態をと切り替える状態切り替えスイッチを設ける。また、デジタル秤本体部3における接合部10に取り付けるシール部材にシリコンゴムを採用する。つまり、シリコンゴムは水分が水蒸気の状態のときには透過性を増す性質を有しているため、ヒーター12により熱せられて水蒸気の状態となった水分を外部に逃がすことができる。また水蒸気は、上述した防水透湿性素材27を通じて外部に逃がすこともできる。
【0098】
以下に、本実施形態の変形例を説明する。
【0099】
[変形例1]
本実施の形態に係るデジタル秤1では、電池ボックス38の収容部54に吸湿剤14を収容して、デジタル秤本体部3内に配置する構成であったが、この構成に限定されるものではない。例えば、図6に示すような乾燥ユニット36に吸湿剤14を収容して、図7に示すように、デジタル秤本体部3内において、電池ボックス38が収容される場所以外のところに乾燥ユニット36を取り付ける構成としてもよい。
【0100】
そして、電池ボックス38に収容された電池36の充電時に、乾燥ユニット36から取り出した吸湿剤14を電池ボックス38の収容部54に装填して、該吸湿剤14の乾燥を行う構成としてもよい。図6は本発明の他の実施形態に係るデジタル秤1の乾燥ユニット36の分解図である。また、図7は、図6における乾燥ユニット36の取り付け位置を示すデジタル秤1の断面図である。
【0101】
例えば、乾燥ユニット36は、図6に示すように、吸湿剤14を収容するための乾燥ユニット本体部37と、キャップ42とを備えてなる構成として実現できる。より具体的には、乾燥ユニット本体部37は、図6に示すように、円筒形の軸部60と多角形状の頭部61とを備えた柱状の形状(いわゆるボルト形状)をしている。頭部61は、乾燥ユニット本体部37の基端部に形成され、軸部60は、乾燥ユニット本体部37の頭部61を除いた全部分に形成されている。
【0102】
ここで、軸部60は、吸湿剤収容部60a、ねじ溝60b、およびゴムパッキン60cを備えてなる構成である。
【0103】
吸湿剤収容部60aは、吸湿剤14を収容するための中空部分である。この中空部分は、軸部60のほぼ全長に渡って形成されており、また、軸部60の先端において開口部が設けられている。つまり、開口部から吸湿剤14を挿入して、この吸湿剤収容部60aに収容することができるようになっている。また、軸部60の壁面には吸湿剤収容部60aまで貫通した複数の穴が形成されており、この穴により水分を含む空気が入り込むことができるようになっている。
【0104】
ねじ溝60bは、乾燥ユニット36をデジタル秤本体部3に設けられているねじ穴(開口、雌ねじ)に挿入して螺合するためのものである。このねじ溝60bは、軸部60における頭部61側の一定範囲に形成されている。
【0105】
ゴムパッキング60cは、乾燥ユニット36のデジタル秤本体部3への装着後、その装着位置から浸水することを防ぐためのものである。このゴムパッキング60cは、軸部60における頭部61の座面近傍に設けられる。
【0106】
キャップ42は、吸湿剤収容部60aに収容した吸湿剤14が乾燥ユニット本体部37から抜け落ちないようにするために、吸湿剤収容部60の先端部に設けられた開口部を塞ぐものである。
【0107】
なお、上述した乾燥ユニット36は、透明の合成樹脂から形成されており、該乾燥ユニット36内に収容された吸湿剤14の色の変化を識別できる構成になっている。
【0108】
上述した構成を有する乾燥ユニット36は、図7に示すように、デジタル秤本体部3の内部において水気を嫌う部材の近傍に吸湿剤14が配置されるように取り付けられることが好適である。さらにまた、外部から浸水しにくい取り付け位置、あるいは吸湿剤14の水分の吸着力の状態を確認し易い位置であることが好ましい。図7では、デジタル秤本体部3の後方における側部に乾燥ユニット36bが、デジタル秤本体部3の前方側の底部に乾燥ユニット36aが取り付けられている例を示している。
【0109】
より具体的には、水気を嫌う部材近傍に吸湿剤が配置されるように取り付けられる位置とは、例えば、図7に示すように、制御基板41と電池39との間、ロードセル40の近傍などに吸湿剤14が位置するような取り付け位置が挙げられる。また、外部からの浸水が生じにくい位置としては、乾燥ユニット36とデジタル秤本体部3との螺合位置がデジタル秤本体部3の底部20となる位置(図7で示す例では乾燥ユニット36aの位置)が挙げられる。また、吸湿剤14の水分の吸着力の状態を確認しやすい位置としては、乾燥ユニット36とデジタル秤本体部3との螺合位置がデジタル秤本体部3の側面となる位置(図7で示す例では乾燥ユニット36bの位置)が挙げられる。
【0110】
乾燥ユニット36は、少なくとも、水気を嫌う部材近傍に吸湿剤14が配置されればよく、乾燥ユニット36とデジタル秤本体部3との螺合位置をデジタル秤本体部3の底部20とするのか、側面とするのかは、デジタル秤1の使用態様に応じて適宜決定されることが好適である。
【0111】
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
【産業上の利用可能性】
【0112】
本発明の電子機器は、防水性を備えかつ内部における結露を防止可能な電子機器等として有用である。
【符号の説明】
【0113】
1 デジタル秤
3 デジタル秤本体部
4 筐体
5 底板
5a 外縁部
5b 開口部
6 カバー部材
6a 当接部
7 底蓋
8 開口
9A シール部材
9B シール部材
10 接合部
11 ダイヤフラム
12 ヒーター
13 熱検知部
16 サーモスタット
14 吸湿剤
17 ピンインサートコネクタ
18 ソケットインサートコネクタ
19 ACアダプタ
20 底部
21 ダイオード
22〜25 ねじ
26 秤電源コネクタ
29 起歪体
30 歪ゲージ
36 乾燥ユニット
36a 乾燥ユニット
36b 乾燥ユニット
37 乾燥ユニット本体部
38 電池ボックス
39 電池
40 ロードセル
41 制御基板
50 仕切り部
51 固定部
52a〜52d 側面
53 底面
54 収容部
60 軸部
60a 吸湿剤収容部
60b ねじ溝
60c ゴムパッキン
61 頭部
61a〜61d 側面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の防水レベルに密閉された筐体と、
当該電子機器を稼動させるための電源としての蓄電池を収容する電池容器と、を備え、
前記電池容器が、
前記筐体内に配線されている電気回路と接続するための第一接続部と、
前記筐体内の水分を吸着するための吸湿剤を乾燥させるためのヒーターと、
前記筐体から取り外した際に、収容している前記蓄電池および前記ヒーターに電圧を印加させるために、外部電源と接続するための第二接続部と、を有し、
前記電池容器は、外部から取り外し可能に前記筐体に格納される、電子機器。
【請求項2】
前記電池容器は、前記吸湿剤と前記ヒーターとを収容するための収容部を備え、
前記ヒーターにおける熱の発生面が前記吸湿剤と対向する位置となるように該ヒーターと該吸湿剤とが前記収容部内において配置される、請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記吸湿剤を収容し、該吸湿剤により前記筐体内における水分を吸着して該筐体内を乾燥させるように外部から取り外し可能に該筐体に取り付けられた乾燥ユニットをさらに備え、
前記電池容器及び前記吸湿剤が前記筐体から取り外された状態において、前記乾燥ユニット内の吸湿剤を前記収容部に収容して乾燥させる、請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記電池容器は、前記ヒーターの発熱温度を管理するためのサーモスタットを備え、
前記サーモスタットが、前記ヒーターの発熱温度が、所定期間、所定の温度範囲にあるか否かを検知する熱検知部と、
前記接続部と前記ヒーターとを接続する回路のオンおよびオフを切り替えるスイッチ部とを有し、
前記熱検知部が、所定期間、所定の温度範囲に前記ヒーターの発熱温度あることを検知した場合、前記スイッチ部が回路をオフにする請求項1から3のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項5】
前記吸湿剤は、含水量に応じて色が変化するものである、請求項1から4のいずれか1項に記載の電子機器。

【図3】
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【図6】
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【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−125676(P2012−125676A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−277954(P2010−277954)
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【出願人】(000208444)大和製衡株式会社 (535)
【Fターム(参考)】