説明

電子機器

【課題】筐体1aに一対の集音部11、11と機能部4とが配備されると共に、機能部4を覆って筐体1aに装着することが可能な着脱式の外装部品5を具えた電子機器において、機能部4の使用時において当該機能部を覆って機器の筐体1aに装着されていた外装部品5を機器の他の機能に寄与せしめる。
【解決手段】本発明に係る電子機器において、筐体1aには、一対の集音部11、11の間に、外装部品5を着脱可能に取り付けるための外装部品取付け部が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラやICレコーダ等の電子機器に関し、特にステレオ音声記録機能を有する電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、カメラにおいては、筐体に左右一対のマイクロホンを内蔵し、筐体の前面に配備された一対の集音部によって、ステレオ音声を記録することが可能なものが知られている。
又、カメラにおいては、カメラ本体の撮影窓を覆ってレンズキャップが着脱可能に装着されており、非撮影時には、レンズキャップの装着によってレンズを保護することが行なわれている。
【0003】
この様なカメラにおいては、撮影時にレンズキャップを取り外す必要があり、例えばレンズキャップを紐によってカメラ本体と連結する構成(特許文献1)や、カメラ本体の外面にレンズキャップの装着部を設ける構成(特許文献2)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−194035号公報
【特許文献2】実開昭59−114535号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のカメラにおいては、撮影時に、カメラ本体と紐によって連結され、或いはカメラ本体の外面に装着されたレンズキャップは、機器の機能に何ら寄与しない邪魔な存在となる問題があった。
【0006】
そこで本発明の目的は、機器の一部として機能する機能部の使用時において当該機能部を覆って機器の筐体に装着されていたレンズキャップ等の外装部品を、機器の他の機能に寄与せしめることが出来る電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る電子機器においては、筐体に、ステレオ録音のための一対の集音部と、機器の一部として機能する機能部とが配備されると共に、該機能部を覆って筐体に装着することが可能な着脱式の外装部品を具えている。
ここで、筐体には、前記一対の集音部の間に、前記外装部品を着脱可能に取り付けるための外装部品取付け部が設けられている。
【0008】
具体的態様において、前記外装部品は板状を呈し、前記一対の集音部の間に取り付けられた状態で、両集音部が並ぶ方向に対して直交する姿勢に保持される。
【0009】
上記電子機器によれば、機器の一部として機能する機能部の非使用時には、外装部品が筐体に装着される。これによって、当該機能部が外装部品により覆われて保護されることになる。
当該機能部の使用時には、外装部品を筐体から取り外し、その取り外した外装部品を前記外装部品取付け部に取り付ける。これによって、外装部品は一対の集音部の間に介在して、両集音部へ導かれる音波の隔壁となる。この結果、一対の集音部の間隔が狭い場合においても、左側の音源から左側の集音部へ導かれる音波と、右側の音源から右側の集音部へ導かれる音波とが、互いに分離され、ステレオ録音性能が向上することになる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る電子機器によれば、機器の一部として機能する機能部の使用時において当該機能部を覆って機器の筐体に装着されていた外装部品を、録音性能の向上に寄与せしめることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明に係る電子機器の第1実施形態においてレンズキャップがレンズを覆って装着されている状態を示す斜視図である。
【図2】図2は、本発明に係る電子機器の第1実施形態においてレンズキャップが一対の集音部の間に取り付けられている状態を示す斜視図である。
【図3】図3は、本発明に係る電子機器の第1実施形態におけるレンズキャップの斜視図である。
【図4】図4は、本発明に係る電子機器の第1実施形態におけるレンズキャップの装着状態を示す断面図である。
【図5】図5は、本発明に係る電子機器の第2実施形態においてレンズキャップがレンズを覆って装着されている状態を示す斜視図である。
【図6】図6は、本発明に係る電子機器の第2実施形態においてレンズキャップが一対の集音部の間に取り付けられている状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明をデジタルカメラに実施した形態につき、図面に沿って具体的に説明する。
本発明の第1実施形態に係るデジタルカメラは、図1及び図2に示す如く、把持可能な横型のカメラ本体(1)を具え、カメラ本体(1)の側面には、2軸ヒンジ機構(20)を介して表示器(2)が開閉可能に連結されている。
【0013】
カメラ本体(1)には、その筐体(1a)の前部に、撮影窓(30)を有する鏡筒部(3)が設けられ、撮影窓(30)の奥部にはレンズ(4)が配備されている。又、カメラ本体(1)の筐体(1a)の上面には操作釦(13)が配備されている。
更にカメラ本体(1)には、鏡筒部(3)の下方位置に、ステレオ録音のための左右一対のマイクロホン(図示省略)が内蔵されており、これによって、カメラ本体(1)の筐体(1a)の前面に、左右一対の集音部(11)(11)が構成されている。
一方、表示器(2)の筐体(2a)には、撮影された画像(スルー画)を表示すべき画面(21)が設けられている。
【0014】
カメラの非使用状態(非撮影時)において、カメラ本体(1)の鏡筒部(3)には、図1の如くレンズ(4)を覆ってレンズキャップ(5)が着脱可能に装着される。
カメラの使用状態(撮影時)においては、鏡筒部(3)からレンズキャップ(5)が取り外され、その取り外されたレンズキャップ(5)は、図2の如くカメラ本体(1)の筐体(1a)の前面に、左右一対の集音部(11)(11)の間に介在させて取り付けられる。
【0015】
具体的には、レンズキャップ(5)は、図3に示す様に、板状を呈するキャップ本体(51)を具え、キャップ本体(51)の内面両端部には、一対のフック片(52)(52)が内向きに突設されている。又、キャップ本体(51)の側面には、一対のピン(53)(53)が突設されている。
【0016】
一方、カメラ本体(1)には、図4に示す如く鏡筒部(3)の内周面に、レンズキャップ(5)の一対のフック片(52)(52)が弾性によって係脱可能に係合すべき一対のフック受け部(31)(31)が形成されている。
又、カメラ本体(1)の筐体(1a)の前面には、図1に示す如く左右一対の集音部(11)(11)の中間位置に、前記レンズキャップ(5)の一対のピン(53)(53)が密に嵌入可能な一対の係止穴(12)(12)が凹設されている。
【0017】
カメラの非使用状態(非撮影時)においては、図1の如くカメラ本体(1)の鏡筒部(3)にレンズキャップ(5)が装着されることによって、レンズ(4)の保護が図られる。
【0018】
カメラの使用状態(撮影時)においては、図2の如くレンズキャップ(5)の一対のピン(53)(53)をカメラ本体(1)の一対の係止穴(12)(12)へ嵌入させて、レンズキャップ(5)をカメラ本体(1)に取り付けることによって、レンズキャップ(5)の紛失が防止される。
【0019】
又、レンズキャップ(5)は、カメラ本体(1)に取り付けられた状態で、左右一対の集音部(11)(11)の間に鉛直の姿勢で介在し、両集音部(11)(11)へ導かれる音波の隔壁となる。この結果、左側の音源から左側の集音部(11)へ導かれる音波と、右側の音源から右側の集音部(11)へ導かれる音波とが、互いに分離され、ステレオ録音効果が向上することなる。
【0020】
上記デジタルカメラにおいては、カメラ本体(1)の前面に一対の集音部(11)(11)が配備されているので、両集音部(11)(11)は互いに接近せざるを得ないが、上述の如くレンズキャップ(5)によるステレオセパレーション効果が得られるので、良好なステレオ録音が実現される。
【0021】
本発明の第2実施形態に係るデジタルカメラは、図5及び図6に示す如く、把持部(60)を有する縦型のカメラ本体(6)を具え、カメラ本体(6)の側面には、2軸ヒンジ機構(70)を介して表示器(7)が開閉可能に連結されている。
【0022】
カメラ本体(6)には、その筐体(6a)の前部に、撮影窓(80)を有する鏡筒部(8)が設けられ、撮影窓(80)の奥部にはレンズ(4)が配備されている。又、カメラ本体(6)の上面には操作釦(61)が配備されている。
一方、表示器(7)には、ステレオ録音のための左右一対のマイクロホン(図示省略)が内蔵されており、これによって、表示器(7)の筐体(7a)の前面に、左右一対の集音部(71)(71)が構成されている。
【0023】
カメラの非使用状態(非撮影時)において、カメラ本体(6)の鏡筒部(8)には、図5の如くレンズ(4)を覆ってレンズキャップ(9)が着脱可能に装着される。
又、カメラの使用状態(撮影時)においては、鏡筒部(8)からレンズキャップ(9)が取り外され、その取り外されたレンズキャップ(9)は、図6の如く開き状態における表示器(7)の筐体(7a)の前面に、左右一対の集音部(71)(71)の間に介在させて取り付けられる。
【0024】
レンズキャップ(9)の具体的な構造は上述の第1実施形態における構造と同様であり、カメラ本体(6)に対する着脱構造も、上述の第1実施形態における着脱構造と同じである。
【0025】
一方、表示器(7)の開き状態における筐体(7a)の前面には、左右一対の集音部(71)(71)の中間位置に、レンズキャップ(9)の一対のピンが密に嵌入可能な一対の係止穴(72)(72)が凹設されている。
【0026】
カメラの非使用状態(非撮影時)においては、図5の如くカメラ本体(6)の鏡筒部(8)にレンズキャップ(9)が装着されることによって、レンズ(4)の保護が図られる。
【0027】
カメラの使用状態(撮影時)においては、図6の如くレンズキャップ(9)の一対のピンを表示器(7)の一対の係止穴(72)(72)へ嵌入させて、レンズキャップ(9)を表示器(7)に取り付けることによって、レンズキャップ(9)の紛失が防止される。
【0028】
又、レンズキャップ(9)は、表示器(7)に取り付けられた状態で、左右一対の集音部(71)(71)の間に鉛直姿勢で介在し、両集音部(71)(71)へ導かれる音波の隔壁となるので、ステレオ録音効果が向上することなる。
【0029】
尚、本発明の各部構成は上記実施の形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。又、本発明は、デジタルカメラに限らず、ICレコーダ等の種々の電子機器に実施することも可能である。この場合、機器本体に対して着脱化可能な端子カバー等の種々の外装部品を、機器の使用時には左右一対の集音部の間に設置して、両集音部へ導かれる音波の隔壁とすることが出来る。
【0030】
更に又、外装部品によって覆われるべき機能部は、撮影用のレンズや、外部機器と接続するための端子の他、操作部材(釦やレバー)であってもよく、外装部品は操作部材を覆うカバーであってもよい。又、外装部品は、電子機器の筐体に紐によって連結されていてもよい。
【符号の説明】
【0031】
(1) カメラ本体
(11) 集音部
(12) 係止穴
(2) 表示器
(3) 鏡筒部
(30) 撮影窓
(4) レンズ
(5) レンズキャップ
(6) カメラ本体
(7) 表示器
(71) 集音部
(72) 係止穴
(8) 鏡筒部
(9) レンズキャップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体に、ステレオ録音のための一対の集音部と、機器の一部として機能する機能部とが配備されると共に、該機能部を覆って筐体に装着することが可能な着脱式の外装部品を具えた電子機器において、筐体には、前記一対の集音部の間に、前記外装部品を着脱可能に取り付けるための外装部品取付け部が設けられていることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記筐体は、カメラ本体の筐体であり、前記機能部は、撮影用のレンズであり、前記外装部品は、該レンズを覆うレンズキャップである請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記筐体は、カメラ本体の筐体と、該筐体に対して開閉可能に連結された表示器の筐体とから構成され、カメラ本体の筐体に前記機能部が配備されると共に、表示器の筐体に前記一対の集音部が配備され、前記機能部は、撮影用のレンズであり、前記外装部品は、該レンズを覆うレンズキャップである請求項1に記載の電子機器。
【請求項4】
前記外装部品は板状を呈し、前記一対の集音部の間に取り付けられた状態で、両集音部が並ぶ方向に対して直交する姿勢に保持される請求項1乃至請求項3の何れかに記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−178676(P2012−178676A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−39985(P2011−39985)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】