説明

電子機器

【課題】一方の表示画面に動画データを表示させ、他方の表示画面に動画データに関連付けられた文字データ(データ放送)を表示する電子機器を提供する。
【解決手段】情報を表示可能な第1表示画面21と第2表示画面31どうしを相対的に移動可能に連結する連結機構40と、表示画面に対する情報の表示制御を夫々行なう表示制御部70と、第1表示画面に対する第2表示画面の位置を検知する位置検知部80と、第1データ及びこれに関連付けられた第2データを受信するデータ受信部72と、受信された第1、第2データとを分離するデータ分離部74を有し、第2表示画面が視認不能な位置にあることが検知されている状態では、第1データと第2データを第1表示画面に表示し、この状態から第2表示画面が視認可能な位置に移動すると、データ分離部により分離された第1データを第1表示画面に表示し、第2データを第2表示画面に表示する、

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種情報を表示することのできる表示画面を有する電子機器に関するものであり、より具体的には、所謂ワンセグ等の動画情報と文字情報を表示することのできる電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機や携帯型ゲーム機、PDA(Personal Digital Assistance)などの携帯型情報端末の如き電子機器は、一般的に文字や静止画、動画などの情報を表示する表示画面を有する。この種の電子機器として、複数の表示画面を有し、移動体用の1セグメント放送(所謂ワンセグ)のような地上デジタル放送データの受信機能を搭載して、複数の表示画面にこれら放送を表示するものも提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
これら携帯情報端末では、ワンセグのように動画データと、該動画データに関連付けられた文字データ(データ放送)とを含む放送を視聴する際に、文字データ(データ放送)は動画データの表示領域とは別領域に表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−206131号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、動画データと文字データ(データ放送)を分離して、1つの表示画面の半分に動画データを表示し、残りの半分に文字データを表示すると、動画データも文字データも小さくなってしまうため、視認し難い。
【0006】
本発明の目的は、複数の表示画面を有する電子機器の一方の表示画面に動画データを表示させ、他方の表示画面に動画データに関連付けられた文字データ(データ放送)を表示させることで、視認性を向上させることのできる電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の電子機器は、
情報を表示可能な第1表示画面と、
情報を表示可能な第2表示画面と、
前記第1表示画面と第2表示画面どうしを相対的に移動可能に連結する連結機構であって、第1表示画面に対して、第2表示画面を視認可能な位置と視認不能な位置に移動可能な連結機構と、
前記第1表示画面と第2表示画面に対する情報の表示制御を夫々行なう表示制御部と、
前記第1表示画面に対して、第2表示画面が視認可能な位置にあるか視認不能な位置にあるかを検知する位置検知部と、
第1データ及び該第1データに関連付けられた第2データを受信可能なデータ受信部と、
を具える電子機器において、
前記データ受信部により受信された第1データと第2データとを分離するデータ分離部を有しており、
前記表示制御部は、前記位置検知部により第2表示画面が視認不能な位置にあることが検知されている状態では、第1データと第2データを第1表示画面に表示し、前記位置検知部により第2表示画面が視認可能な位置にあることが検知されると、前記データ分離部により分離された第1データを第1表示画面に表示し、第2データを第2表示画面に表示する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の電子機器によれば、第1表示画面に対して第2表示画面が視認不能な位置にある状態では、第1表示画面に第1データのみか、第1データと第2データの両方を表示し、第1表示画面に対して第2表示画面が視認可能な位置となると、第1表示画面に第1データを表示し、第2表示画面に第2データを表示するよう切り替えることができる。従って、第1表示画面で第1データを大きく表示することができ、また、第2表示画面で第2データを大きく表示することができるから、視認性を可及的に高めることができる。
【0009】
具体的実施形態として、ワンセグなどの地上デジタル放送データに含まれる動画データを第1データ、動画データに関連付けられた文字データ(データ放送)を第2データとすると、ユーザ操作により、第2画面が視認不能な状態から視認可能になったときに、動画データを第1表示画面、文字データ(データ放送)を第2表示画面に表示することができる。これにより、第1表示画面、第2表示画面に夫々動画データ、文字データ(データ放送)を大きく表示することができるから、視認性を高めることができる。
【0010】
また、上記表示の切り替えの契機を、第1表示画面に対する第2表示画面の位置としている。これにより、例えば、ユーザが第2データを大きく表示したいと考えたときに、第2表示画面が視認可能となるように第1表示画面に対して相対的に移動させるだけで、上記表示の切り替えを行なうことができ、操作性にもすぐれる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明が適用される電子機器の一例を示す斜視図であって、表示画面どうしが略同一平面に位置し、接近したフラット接近状態を示している。
【図2】図2は、図1の状態から表示画面どうしを離間させたフラット離間状態を示す電子機器の斜視図である。
【図3】図3は、図2の状態から第1表示画面を第2表示画面に対して回転させ、第1表示画面を第2表示画面に対して傾けたチルト状態を示す電子機器の斜視図である。
【図4】図4は、表示画面どうしが重なった畳み状態を示す電子機器の斜視図である。
【図5】図5は、図1の状態から図3の状態へ至る過程を示す電子機器の側面図であって、図5(a)は、図1に示すフラット接近状態、図5(b)は、図2に示すフラット離間状態、図5(c)は、図3に示すチルト状態を示している。
【図6】図6は、図3のチルト状態の後、図4の畳み状態へ至る過程を示す電子機器の側面図であって、図6(a)は、第1表示画面を第2表示画面に対して前方へスライドするよう傾けた状態、図6(b)は、図6(a)の状態からさらに第1表示画面をスライドするよう傾けた状態、図6(c)は、図4に示す畳み状態を示している。
【図7】図7は、本実施例の電子機器のブロック図である。
【図8】図8は、地上デジタル放送データのデータ構造を示す説明図である。
【図9】図9は、本発明の動作の一例を示すフローチャート図である。
【図10】図10は、第1表示画面に動画データのみを表示している状態を示す電子機器の説明図である。
【図11】図11は、本発明により、第1表示画面に動画データ、第2表示画面に文字データ(データ放送)を表示した状態を示す電子機器の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施例について図面を参照しつつ説明する。
図1乃至図6は、本実施例に係る電子機器(10)の構造例を示す図である。
この電子機器(10)として、例えば地上デジタル放送の受信機能を具えた携帯型電子機器を例示することができる。以下の実施例では、電子機器(10)により受信されるデータを地上デジタル放送データとし、該放送データに含まれる動画データを上記した第1データ、動画データに関連付けられた文字データ(データ放送)を第2データとして説明を行なう。
【0013】
地上デジタル放送データは、図8に示すように、動画データと該動画データに関連付けられた文字データ(データ放送)を有している。文字データは、BML(Broadcast Markup Language)等のマークアップ言語により記述されたデータである。このデータの具体例としては、例えば上記動画データが映画の動画が野球などのスポーツの動画を表わすものである場合には、試合経過のスコアボードや出場選手の情報などを表わすデータが挙げられる。
【0014】
この電子機器(10)は、図1乃至図6に示すように、文字、図形、静止画、動画等の各種情報を表示可能な表示画面(21)(31)と、該表示画面の表面にユーザが触れることで操作可能なタッチパネル(22)(32)とを有する表示部(20)(30)を、連結機構(40)によって相対的に開閉やスライド等により移動可能に連結して構成することができる。
【0015】
図1乃至図6では、第2表示画面(31)が上方に向くように、電子機器(10)を水平に配置した状態を示しており、何れも図中第2表示画面(31)が向いている方向を「上」、その背面側を「下」、図1乃至図4では図中左前方を「前」、右後方を「後」、図5及び図6では、図中左側を「前」、右側を「後」と称する。「左」、「右」については、前記「前」方向から見た左右方向を夫々意味するものとする。また、第1表示部(20)及び第2表示部(30)について、図1に示す前側の端部を夫々「基端」、後側の端部を「後端」と称し、後側に位置する表示部を第1表示部(20)、前側に位置する表示部を第2表示部(30)と称する。
【0016】
第1表示部(20)及び第2表示部(30)は、夫々図に示すように、一方の面、即ち、図1における上面が開口した筺体(23)(33)内に、表示画面(21)(31)が開口側から視認可能となるように収容されている。表示画面(21)(31)は、例えば、液晶ディスプレイなどの電気光学装置である。表示画面(21)(31)は、後述する制御手段(60)及び表示制御部(70)(図7参照)に電気的に接続され、制御手段(60)及び表示制御部(70)による表示制御の下、各種情報を表示する。
【0017】
表示画面(21)(31)の開口側にはタッチパネル(22)(32)が設けられている。タッチパネル(22)(32)は、筺体(23)(33)の開口を塞ぐように配設され、表示画面(21)(31)が視認可能となるよう透明に形成されている。タッチパネル(22)(32)として、静電容量方式や抵抗膜方式のものを例示できる。タッチパネル(22)(32)は、タッチパネル制御部(25)(35)を介して制御手段(60)(図7参照)に電気的に接続されている。ユーザがタッチパネル(22)(32)を指等で触れて操作すると、指先等によって触れた位置を示す座標情報がタッチパネル制御部(25)(35)を介して制御手段(60)に引き渡される。これにより、ユーザの操作内容が制御手段(60)に伝達される。
【0018】
タッチパネル(22)(32)を用いたユーザの操作として、比較的短くタッチパネル(22)(32)に触れるタップやダブルタップ、タッチパネル(22)(32)に触れる時間が、これらよりも長く、タッチパネル(22)(32)にタッチしたままタッチポイントを移動させる操作である所謂ドラッグ、指やスタイラス等でタッチパネル(22)(32)をタッチしてから素早く払う操作である所謂フリック、タッチパネル(22)(32)を2つの指等でタッチしたままその距離を変える所謂ピンチ、タッチパネル(22)(32)の同じ位置を長押しする所謂ロングタッチを例示できる。
【0019】
第1表示部(20)と第2表示部(30)は、連結機構(40)により、相対的に移動可能となっており、本実施例の電子機器(10)では、図1乃至図6に示すように、第1表示部(20)を第2表示部(30)に対してスライド可能且つ回動可能としている。
【0020】
連結機構(40)は、図1乃至図6に示すように、第1筺体(23)の背面側の前後方向略中央と、第2筺体(33)の先端を連結している。連結機構(40)は、複数のアーム等によって構成することができ、その詳細については説明を省略するが、後述するとおり、連結機構(40)によって、第1表示部(20)は、第2表示部(30)に対して、接近、離間方向にスライド可能且つ回動可能となっている。なお、連結機構(40)は、第1表示部(20)と第2表示部(30)をスライドのみ又は回動のみ等に連結するように構成することもできる。
【0021】
第2表示部(30)に対する第1表示部(20)の相対的な位置は、位置検知手段(80)によって検知することができる。本実施例の位置検知手段(80)は、第2表示部(30)の上面左下隅に設けられるメンブレンスイッチ(82)を例示でき、メンブレンスイッチ(82)のオン/オフに応じて信号値が切り換る2値信号である相対位置信号を制御手段(60)に出力する。第2表示部(30)上に第1表示部(20)が重ねられて、第2表示画面(31)が第1表示部(20)に隠れて視認不能な状態では、メンブレンスイッチ(82)は第1表示部(20)の背面によって押圧されオン状態となり、信号値が“1”の相対位置信号を位置検知手段(80)から制御手段(60)に出力する。
【0022】
これに対して、第2表示画面(31)が視認可能となるように、第1表示部(20)と第2表示部(30)を相対的に移動させると、第2表示画面(31)が視認可能となると共に、メンブレンスイッチ(82)はオフ状態となり、信号値が“0”の相対位置信号が位置検知手段(80)から制御手段(60)に出力される。
【0023】
このように、本実施例では、位置検知手段(80)から出力される相対位置信号の信号値を参照することで、第1表示画面(21)が第2表示画面(31)に重なる位置、すなわち、第2表示画面(31)が視認不能な位置にあるのか、視認可能な位置にあるのかを検知することができる。
【0024】
本実施例では、第1表示画面(21)に対する第2表示画面(31)の相対位置を検知するためのメンブレンスイッチ(82)を第2表示部(30)の上面の隅に設けているが、その位置は特に限定されるものではない。また、マグネットとマグネットセンサからなる非接触型のセンサにより位置検知手段(80)を構成してもよい。例えば、第1表示部(20)を第2表示部(30)に重ねた状態において互いに対向するように、マグネットとマグネットセンサの何れか一方を第1表示部(20)、他方を第2表示部(30)に設けて、マグネットセンサから出力される信号に基づいて、第1表示画面(21)と第2表示画面(31)の相対位置を判定することもできる。
さらに、第1表示部(21)と第2表示部(31)又は両表示部(21)(31)と連結機構(40)との相対的な角度変化を検知するポテンショメータ(84)等を配置して位置検知手段(80)を構成してもよい(図5(a)参照)。
【0025】
図7は、本発明の電子機器のブロック図の一例を示している。
電気機器のすべての制御は、CPU等から構成される制御手段(60)により行なわれる。制御手段(60)には、前述した第1表示画面(21)、第2表示画面(31)が電気的に接続されている。制御手段(60)には、表示制御部(70)が電気的に接続されており、第1表示画面(21)および第2表示画面(31)の各々における各種情報の表示制御を行なう。
【0026】
また、第1タッチパネル(22)及び第2タッチパネル(32)は、夫々第1タッチパネル制御部(25)、第2タッチパネル制御部(35)を介して制御手段(60)に電気的に接続されており、第1タッチパネル(22)及び第2タッチパネル(32)からのユーザの入力は、タッチパネル制御部(25)(35)を介して制御手段(60)に送信され、制御手段(60)は、入力に応じて、表示画面(21)(31)の情報を編集、操作等を行なうことができる。
【0027】
制御手段(60)には、その他、電子機器(10)の各種動作やユーザの所望する各種データ等を記憶するメモリ(図示せず)、地上デジタル放送データ(図8参照)を受信するデータ受信部(72)等が電気的に接続されている。データ受信部(72)は例えばアンテナと復調回路とを含んでおり、移動パケット通信網等を介して配信される地上デジタル放送データを受信し、制御手段(60)に引き渡す。
【0028】
データ受信部(72)にて受信された地上デジタル放送データ(図8参照)は、制御手段(60)に電気的に接続されたデータ分離部(74)により、動画データ(第1データ)と該動画データに関連付けられた文字データ(第2データ/データ放送)に分離される。
【0029】
制御手段(60)は、第1タッチパネル(22)や第2タッチパネル(32)を介して入力される各種指示に応じた処理を実行する動作を実行する。例えば、第1タッチパネル(22)や第2タッチパネル(32)を介して地上デジタル放送データの受信、および当該地上デジタル放送データに含まれる動画データの表わす動画の表示を指示されると、制御手段(60)は、地上デジタル放送データをデータ受信部(72)によって受信し、この地上デジタル放送データに含まれている動画データの表わす動画を、表示制御部(70)により表示する。なお、これについては、フローチャート図9を用いて後述する。
【0030】
上述の連結機構(40)により接続された第1表示部(20)と第2表示部(30)は、以下の要領で相対的に移動可能となっている。
【0031】
例えば、図1は、第1表示部(20)と第2表示部(30)が、第1表示画面(21)と第2表示画面(31)を略同一平面とし、且つ第1筺体(23)の基端と第2筺体(33)の先端が接近した状態を示している。図1の側面図が図5(a)である。この状態を「フラット接近状態」と称する。フラット接近状態では、第1表示画面(21)と第2表示画面(31)は連続し、1つの画面として視認でき、また、第1タッチパネル(22)と第2タッチパネル(32)も連続した1つのタッチパネルの如く操作することができる。このフラット接近状態では、メンブレンスイッチ(82)は第1表示部(20)の背面によって押圧されておらず、オフ状態となっている。このため、フラット接近状態において位置検知手段(80)は、信号値が“0”の相対位置信号を制御手段(60)に与える。
【0032】
上記フラット接近状態から、図2に示すように、第2筺体(33)の背面をユーザが手(P)の四指で支え、母指球で第2タッチパネル(32)を支えながら、両親指(T)で第1タッチパネル(22)を後方に押すと、第1表示部(20)は、第2表示部(30)に対して離間方向にスライドする。この状態を「フラット離間状態」と称し、その側面図を図5(b)に示す。このフラット離間状態においても、メンブレンスイッチ(82)は第1表示部(20)の背面によって押圧されておらず、オフ状態となっている。このため、フラット離間状態において位置検知手段(80)は、信号値が“0”の相対位置信号を制御手段(60)に与える。
【0033】
図2のフラット離間状態から、第1表示部(20)の先端側を掴んで、第1表示画面(21)が前方に傾くように第1表示部(20)を引き上げると、図3及び図5(c)に示すように、第1表示画面(21)を第2表示画面(31)に対して傾けることができる。この状態を「チルト状態」と称する。この動作は、一方の手で第2筺体(33)を押さえたまま、他方の手の親指と人差し指等で第1表示部(20)を摘んで引き上げることにより行なうことができる。
【0034】
チルト状態では、第2表示画面(31)を水平に保ったまま、第1表示画面(21)が傾いているから、第1表示画面(21)を視認し易く、例えば、第1表示画面(21)に文字等の情報を表示するとともに、ユーザの指示等に応じて第2表示画面(31)にキーボード等を表示し、第2タッチパネル(32)の操作によって、操作性にすぐれる電子機器(10)とすることができる。このチルト状態においても、メンブレンスイッチ(82)は第1表示部(20)の背面によって押圧されておらず、オフ状態となっている。このため、チルト状態において位置検知手段(80)は、信号値が“0”の相対位置信号を制御手段(60)に与える。
【0035】
チルト状態から図6(a)に示すように、第1表示部(20)を連結機構(40)との連結部分を中心として後方に倒し、さらに、図6(b)に示すように、第1表示部(20)の先端が第2表示部(30)の先端に接近するように下方に押し下げることで、図4及び図6(c)に示すように、第1表示部(20)と第2表示部(30)が、第1表示部(20)を上側として重なった畳み状態とすることができる。
【0036】
畳み状態では、第2表示部(30)の上に第1表示部(20)が重なり、第2表示画面(31)は第1表示部(20)によって覆い隠される。このため、畳み状態では、第1表示画面(21)のみが視認可能、且つ、第1タッチパネル(22)が操作可能であり、第2タッチパネル(32)の操作も行なうことはできない。この畳み状態では、第1表示画面(21)にのみ情報を表示し、第1タッチパネル(22)を操作する使用状態や、電子機器(10)をコンパクトにできるから、非使用状態や持ち運びに好適である。この畳み状態においては、メンブレンスイッチ(82)は第1表示部(20)の背面によって押圧され、オン状態となっている。このため、畳み状態において位置検知手段(80)は、信号値が“1”の相対位置信号を制御手段(60)に与える。
【0037】
畳み状態からチルト状態やフラット接近状態へ移行するには、上記とは逆の操作を行なえばよい。
【0038】
図9は、本発明において制御手段(60)が実行する表示制御処理の流れを示すフローチャートである。
タッチパネル(22)(32)をユーザが操作することにより、データ受信部(72)が地上デジタル放送データを受信する(ステップ1)。なお、この時点における第1表示画面(21)と第2表示画面(31)の位置関係、即ち、第2表示画面(31)が視認可能であるか、視認不能(畳み状態)であるかは、後述のステップにて判定されるため、地上デジタル放送データの受信開始時にはその判別は不要である。
【0039】
データ受信部(72)が受信した地上デジタル放送データは、データ分離部(74)に送信されて、地上デジタル放送データに含まれている動画データと文字データ(データ放送)とを分離する(ステップ2)。
次いで、制御手段(60)は位置検知手段(80)から出力される相対位置信号の信号値及びその変化の有無を参照して、第2表示画面(31)が視認不能な状態(信号値“1”)から視認可能な状態(“0”)に変化したかどうかを判定する(ステップ3)。
【0040】
ステップS3の判定結果が“Yes”である場合は、第2表示画面(31)が視認不能な畳み状態から(図10参照)、視認可能な状態に電子機器(10)が移行した、即ち、ユーザ操作により、第2表示画面(31)が視認可能な状態まで引き出されたことを意味する。この場合、制御手段(60)は、データ分離部(74)によりステップS2で地上デジタル放送データから分離した動画データを第1表示画面(21)に表示させるとともに、同地上デジタル放送データから分離した文字データ(データ放送)の表わす文字情報を第2表示画面(31)に表示させる(ステップ4)。この状態における各表示画面(21)(31)の表示を図11に示している。図11のように、第1表示画面(21)に動画データ、第2表示画面(31)に文字データ(データ放送)を表示することができるから、動画データと文字データ(データ放送)の重なりはなく、また、夫々を例えば全画面表示すると、視認性を可及的に向上できていることがわかる。
【0041】
その後、ステップS4(或いは後述するステップ6、7、9)に後続するステップS10では、制御手段(60)はタッチパネル(22)(32)を介して地上デジタル放送データの受信の表示終了指示を与えられたか否かを判定し、その判定結果が“No”である場合には、続く地上デジタル放送データの受信を待ち受けて、地上デジタル放送データを受信して、ステップS1以降の処理を再度実行する。逆に、ステップS10の判定結果が“Yes”である場合には、制御手段(60)は、地上デジタル放送データの受信及びその表示を終了する。
【0042】
上記したステップ3において、位置検知手段(80)の信号変化がない場合(ステップ3の“No”)、ユーザが地上デジタル放送データの視聴を開始した表示画面(21)(31)の状態、即ち、第2表示画面(31)が視認可能又は視認不能の状態を維持していることを意味する。
【0043】
この場合、制御手段(60)は、位置検知手段(80)の信号値が“1”であるか“0”であるかにより、第2表示画面が視認不能(ステップ5の“Yes”)又は視認可能(ステップ5の“No”)であるかを判定する(ステップ5)。
【0044】
第2表示画面(31)が視認不能の場合(ステップ5の“Yes”)、第1表示画面(21)に地上デジタル放送データ、即ち、動画データと該動画データに関連付けられた文字データ(データ放送)を図10に示すように並べて表示する(ステップ6)。
【0045】
逆に、第2表示画面(31)が視認可能の場合(ステップ5の“No”)、地上デジタル放送データを受信開始したときから、第2表示画面(31)が視認不能であったのか、視認可能であったのかを前述のステップ4を通過したか否かにより判定する(ステップ7)。
【0046】
ステップ7にて“Yes”の場合は、地上デジタル放送データの受信開始後、ユーザの操作により、第2表示画面が視認可能となっていることから、引き続き、第1表示画面(21)に動画データ、第2表示画面(31)に動画データに関連付けられた文字データ(データ放送)を表示する(ステップ8)。
【0047】
一方、ステップ7にて“No”の場合には、地上波デジタル放送データの受信開始後から、第2表示画面(31)が視認可能であったことを意味するから(ステップ5で“No”である)、例えば、ユーザによるタッチパネル(22)(32)の操作や、設定に基づいて、第1表示画面(21)と第2表示画面(31)の全画面に連続して動画データと文字データ(データ放送)を並べて表示するようにすればよい(ステップ9)。
【0048】
以上、本発明の一実施例について説明したが、上記実施例は、例えば以下のように変形することもできる。
【0049】
上記実施例では、データ受信部(72)により受信した地上デジタル放送データに含まれる動画データの表わす動画、および同地上デジタル放送データに含まれるデータ放送の表わす情報の表示制御への適用例を説明している。しかしながら、電子機器(10)のメモリ(図示せず)に記憶されている画像データ(動画データ、静止画像データ、画像データなど)の表わす画像と、この画像データに関連付けて同メモリに記憶されている他の画像や文字等のデータを表示するようにしてもよい。この場合、データ受信部は読み取り手段として機能するリーダー等に相当する。
また、電子機器(10)がCD−ROMやメモリスティックなどの記録媒体に記録されたデータの読み取りが可能である場合には、当該記録媒体に記録されている画像や動画のデータと、このデータに関連付けて同記録媒体に記録されている他の画像や文字等のデータを表示するようにしてもよい。
【0050】
また、第1データと該第1データに関連付けられた第2データとして、例えば第1データがゲーム動画、第2データがそのゲーム動画中に表示される会話文や説明文などの文字データ(データ放送)とすることもできる。
さらに、第1データとしてブラウザ等で動画を視聴中に、その動画に関連付けられたユーザらにより入力されるチャット等の会話文を第2データとすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、2つの表示画面を有し、互いに関連するデータを各表示画面に表示させて、視認性の向上を図ることのできる電子機器として有用である。
【符号の説明】
【0052】
(10) 電子機器
(20) 第1表示部
(21) 第1表示画面
(22) 第1タッチパネル
(30) 第2表示部
(31) 第2表示画面
(32) 第2タッチパネル
(40) 連結機構
(60) 制御手段
(70) 表示制御部
(72) データ受信部
(74) データ分離部
(80) 位置検知手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報を表示可能な第1表示画面と、
情報を表示可能な第2表示画面と、
前記第1表示画面と第2表示画面どうしを相対的に移動可能に連結する連結機構であって、第1表示画面に対して、第2表示画面を視認可能な位置と視認不能な位置に移動可能な連結機構と、
前記第1表示画面と第2表示画面に対する情報の表示制御を夫々行なう表示制御部と、
前記第1表示画面に対して、第2表示画面が視認可能な位置にあるか視認不能な位置にあるかを検知する位置検知部と、
第1データ及び該第1データに関連付けられた第2データを受信可能なデータ受信部と、
を具える電子機器において、
前記データ受信部により受信された第1データと第2データとを分離するデータ分離部を有しており、
前記表示制御部は、前記位置検知部により第2表示画面が視認不能な位置にあることが検知されている状態では、第1データと第2データを第1表示画面に表示し、この状態から前記位置検知部により第2表示画面が視認可能な位置に移動したことが検知されると、前記データ分離部により分離された第1データを第1表示画面に表示し、第2データを第2表示画面に表示する、
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記第1データは動画データであり、前記第2データは前記第1データに関連付けられた文字データである請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
情報を表示可能な第1表示画面と、
情報を表示可能な第2表示画面と、
前記第1表示画面と第2表示画面どうしを相対的に移動可能に連結する連結機構であって、第1表示画面に対して、第2表示画面を視認可能な位置と視認不能な位置に移動可能な連結機構と、
前記第1表示画面と第2表示画面に対する情報の表示制御を夫々行なう表示制御部と、
前記第1表示画面に対して、第2表示画面が視認可能な位置にあるか視認不能な位置にあるかを検知する位置検知部と、
第1データ及び該第1データに関連付けられた第2データを受信可能なデータ受信部と、
を具える電子機器の制御方法であって、
データ受信部により受信された第1データと第2データとを分離するデータ分離部を有しており、
前記位置検知部により第2表示画面が視認不能な位置にあることが検知されている状態では、第1データと第2データを第1表示画面に表示し、位置検知部により第2表示画面が視認可能な位置にあることが検知されると、データ分離部により分離された第1データを第1表示画面に表示し、第2データを第2表示画面に表示することを特徴とする電子機器の制御方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−208222(P2012−208222A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−72374(P2011−72374)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】