説明

電子機器

【課題】充電時に電源の温度が上昇した場合に適切に充電電流を遮断するとともに、電源に大きな電流を流して充電を行う場合においても、小型の温度検出手段を用いて電源の温度を検出することを可能とし、薄型化を図ることが可能な電子機器を提供する。
【解決手段】正極端子24pや負極端子24mが薄板状の電源24を備える電子機器1において、電源24の充電時に、電源24の温度を検出する温度検出手段62と、温度検出手段62が検出した電源24の温度の情報に基づいて電源24の温度が過熱状態にある旨の信号Vlowと電源24の温度が過熱状態にはない旨の信号Vhighのいずれかの信号を出力する過熱判定手段63と、前記信号に基づいて,電源24の温度が過熱状態である場合に充電電流経路81を遮断する遮断手段61とを備える過熱時遮断回路60を備え、温度検出手段62は、電源24の負極端子24m等に着脱可能に取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に係り、特に充電可能な電源を備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器に内蔵された充電可能な電源(バッテリー、2次電池、蓄電デバイス等ともいう。)を充電する際に、ある種の電源では、電源が過熱する場合がある。また、充電時に過熱しないように構成されている電源でも、故障等が生じると、充電の際に過熱する場合がある。そして、電源の過熱を放置すると、電子機器が破損したり、ユーザーが火傷したりする事故が生じる虞れがある。
【0003】
また、電子機器が、複数の放射線検出素子が二次元状(マトリクス状)に配列されたセンサーパネルを備える放射線画像撮影装置(Flat Panel Detector:FPD)である場合、センサーパネルの裏側すなわち複数の放射線検出素子が配列された側とは反対側に設けられた電源が過熱すると、電源に対応する位置の放射線検出素子の中に、異常な動作を行うようになる放射線検出素子が発生する場合がある。
【0004】
このような場合、その放射線検出素子の部分にいわゆる画欠が生じてしまったり、その異常な放射線検出素子から読み出された画像データにより画像上にアーチファクトが生じたりする場合がある。
【0005】
また、高温でも放射線検出素子が正常に動作する場合であっても、温度が上昇した部分の各放射線検出素子では、その内部で発生するいわゆる暗電荷の量が他の部分の放射線検出素子よりも多くなる等の問題が生じ得る。そのため、2次元状の各放射線検出素子から読み出された各画像データに濃度ムラ(すなわち画像データの大きさのムラ)が生じる場合がある。
【0006】
このような画欠やアーチファクト、濃度ムラ等を生じると、放射線画像撮影により得られた画像データに基づく放射線画像の画質が低下してしまうといった問題が生じる。また、上記のような電源の過熱によるユーザーの火傷や、電子機器の破損の発生等を防止するためにも、放射線画像撮影装置を含む電子機器の電源における充電時の過熱すなわち温度上昇があまり大きくならないようにすることが必要となる。
【0007】
このような電源の過熱を防止するために、例えば特許文献1では、PTC(positive temperature coefficient)サーミスター等の温度素子で検出した電源の表面温度が低温度域、標準温度域、高温度域のいずれの領域に入っているかをMPUが判断し、電源の表面温度に応じて充電の仕方を切り替える電池パック等が提案されている。
【0008】
また、特許文献2、3等では、薄板状の正極端子や負極端子にPTCサーミスター等が設けられた電源が示されている。この場合、電源の温度が所定の温度以上に上昇するとPTCサーミスターの抵抗値が急激に大きくなること等を利用して、電源に充電異常が生じた場合に、PTCサーミスター等で充電電流を遮断するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−55729号公報
【特許文献2】特開2003−308887号公報
【特許文献3】特開2003−45492号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、放射線画像撮影装置の場合、従来の銀塩等のスクリーンフィルムから、輝尽性蛍光体シートを内蔵したCR(Computed Radiography)カセッテを経て、上記のような放射線画像撮影装置に発展してきた経緯がある。そのため、放射線画像撮影装置は、従来のCRカセッテを装填するブッキー撮影台に装填することができるような形状に形成される場合がある。
【0011】
そして、CRカセッテは、従来のスクリーンフィルム用のカセッテにおけるJIS規格サイズ(対応する国際規格はIEC 60406)に準拠して、14インチ×17インチ(半切サイズ)等の寸法で形成される。また、放射線入射方向の厚さは15mm+1mm〜15mm−2mmの範囲内になるように形成される。
【0012】
そのため、放射線画像撮影装置を、CRカセッテを装填するブッキー撮影台に装填することができるように構成する場合、放射線画像撮影装置は、上記のCRカセッテが準拠するスクリーンフィルム用のカセッテにおけるJIS規格に準拠した寸法で形成される。
【0013】
放射線画像撮影装置が、上記のように放射線入射方向の厚さが15mm+1mm〜15mm−2mmの範囲内になるように薄型に形成される場合、放射線画像撮影装置の筐体と電源との間隙が非常に狭くなる。そのため、上記の特許文献1に記載されているように、電源の表面温度を検出するためのPTCサーミスター等をこの間隙部分に挿入して設置することは、実際上、非常に困難になる。
【0014】
その点、上記の特許文献2、3に記載されているように、PTCサーミスター等を、電源の正極端子や負極端子の部分に設ければ、端子部分では各端子が薄板状であるため厚さ方向にスペースがあり、PTCサーミスター等を設置するスペースがあるため、上記のような問題が生じることを回避することができる。
【0015】
ところで、電源として例えばリチウムイオンキャパシター(LIC)を用いる場合、リチウムイオンキャパシターは内部抵抗が小さいため、定電流充電の場合に例えば10[A]等の大きな電流を流して、より短時間で充電を行うことが可能となるといった特性を有している。
【0016】
しかしながら、上記の特許文献2、3に記載されているように、PTCサーミスター自体で充電電流を遮断するように構成する場合、多くのPTCサーミスターでは、上記のような大きな電流を流すことができるように構成されているものが必ずしも多くない。また、大電流に対応するように構成する場合、通常、PTCサーミスターを含む温度検出手段が非常に大型化してしまう。そのため、例えば放射線画像撮影装置の筐体内に電源部分が収まらなくなったり、放射線画像撮影装置を大型化せざるを得なくなる等の問題が生じる。
【0017】
一方、電源の温度が、PTCサーミスターの抵抗値が急激に増大する温度以下の温度(すなわち充電電流を遮断しない正常な温度範囲)であっても、PTCサーミスターの抵抗分が存在するため、負荷変動が大きくなったり、出力電圧が低下する虞れがある。
【0018】
また、電源を充電する場合、後述する図7に示すように、定電流充電を行った後、充電の仕方を定電圧充電に切り替えて充電が行われる場合がある。この場合、後述するように、定電流充電を行って電源の充電電圧が目標電圧Vに達しても電源内部や充電電流経路の抵抗による電圧降下が存在するため電源の実際の充電電圧は実際には目標電圧Vには達していないため、定電圧充電を行って充電電圧を目標電圧Vに近づけていく。
【0019】
その際、上記のPTCサーミスターの抵抗分により、定電流充電期間が短くなるが、電源の充電電圧が目標電圧Vに達した時点での目標電圧Vと電源の実際の充電電圧との差が大きくなり、その分を定電圧充電で補わなければならなくなるため、結果として充電時間が長くなってしまうといった問題も生じ得る。
【0020】
さらに、特許文献2、3に記載されているように、電源の正極端子や負極端子にPTCサーミスター等が一体的に設けられている場合、電源の交換時等に、放射線画像撮影装置等の電子機器内の回路と、電源に設けられたPTCサーミスター等との接続を切り離したり、接続し直したりしなければならなくなる。
【0021】
また、PTCサーミスター等が設けられているため、交換する電源がより高価になる可能性がある。さらに、まだ使用できるPTCサーミスター等が電源とともに廃棄されることになり、資源の無駄遣いを招く虞れがある。
【0022】
なお、特許文献1では、CPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備えるMPUでソフトウエア的に電源の温度を判断することが記載されている。しかし、そのためのプログラムをCPUに読み込ませる構成よりも、ハードウエア的に電源の温度を検出して充電電流を遮断できる構成とした方が、構成がより簡単になり、また、より小さな回路構成になるため好ましい。
【0023】
本発明は、上記の問題点を鑑みてなされたものであり、充電時に電源の温度が上昇した場合に適切に充電電流を遮断することが可能な電子機器を提供することを目的とする。
【0024】
また、電源がリチウムイオンキャパシターである場合のように、電源に大きな電流を流して充電を行う場合においても、小型の温度検出手段を用いて電源の温度を検出することを可能とすることで、薄型化を図ることが可能な電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
前記の問題を解決するために、本発明の電子機器は、
正極端子または負極端子が薄板状の電源を備える電子機器において、
前記電源の充電時に、前記電源の温度を検出する温度検出手段と、
前記温度検出手段が検出した前記電源の温度の情報に基づいて、前記電源の温度が過熱状態にある旨の信号と前記電源の温度が過熱状態にはない旨の信号のいずれかの信号を出力する過熱判定手段と、
前記過熱判定手段が出力した前記信号に基づいて、前記電源の温度が過熱状態である場合に、前記電源に充電電流を供給する充電電流経路を遮断する遮断手段と、
を備える過熱時遮断回路を備え、
前記過熱時遮断回路の前記温度検出手段は、前記電源の薄板状の前記正極端子または前記負極端子に着脱可能に取り付けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明のような方式の電子機器によれば、充電時に、電源の温度が上昇した場合に、適切に充電電流経路を遮断して、電源に対する充電電流の供給を的確に遮断することが可能となる。そのため、電子機器の電源を充電する際に、電源の過熱を的確に防止することが可能となり、電源の過熱により電子機器が破損したりユーザーが火傷したりする事故が生じることを的確に防止することが可能となる。
【0027】
また、前述したように、電子機器が放射線画像撮影装置である場合には、電源の過熱を的確に防止して、上記のような画欠やアーチファクト、濃度ムラ等が生じることを的確に防止することが可能となる。
【0028】
また、温度検出手段で直接に充電電流の制限や遮断を行うのではなく、温度検出手段と過熱判定手段との組み合わせによる出力結果に基づいて、遮断手段により充電電流経路を遮断する構成とし、さらに、過熱時遮断回路の温度検出手段を電源の薄板状の正極端子または負極端子に着脱可能に取り付けるように構成したため、電源がリチウムイオンキャパシターである場合のように、電源に大きな電流値の充電電流を流して充電を行う場合においても、小型の温度検出手段を用いることが可能となり、電子機器の薄型化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】電子機器の例としての放射線画像撮影装置の外観を示す斜視図である。
【図2】図1のX−X線に沿う断面図である。
【図3】図1の放射線画像撮影装置の回路構成を表すブロック図である。
【図4】図3におけるコネクターから電源を経て制御手段に至る部分の構成等を表すブロック図である。推定手段としての制御手段の制御構成を説明するためのブロック図である。
【図5】ケーブルを接続した状態の放射線画像撮影装置の外観を示す斜視図である。
【図6】充電制御回路の回路構成を概略的に表すブロック図である。
【図7】定電流充電および定電圧充電における充電電流および充電電圧の値の時間的な変化等を表すグラフである。
【図8】過熱時遮断回路の回路構成を概略的に表すブロック図である。
【図9】複数の電源の各電極端子にそれぞれ着脱可能に取り付けられた温度検出手段を互いに直列に接続する場合の構成例を概略的に表すブロック図である。
【図10】放射線画像撮影装置の基台を裏側から見た場合の外観を示す斜視図であり、電源の電極端子への温度検出手段の取り付け構造等を表す図である。
【図11】接続電極に電源の電極端子が接続され、電極端子に温度検出手段が取り付けられた状態を表す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明に係る電子機器の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0031】
なお、以下では、電子機器が放射線画像撮影装置(FPD)である場合について説明するが、本発明は、この形態に限定されない。
【0032】
[電子機器の例としての放射線画像撮影装置の構成例について]
電子機器の例として、放射線画像撮影装置1の構成例について説明する。図1は、放射線画像撮影装置の外観を示す斜視図であり、図2は、図1のX−X線に沿う断面図である。
【0033】
放射線画像撮影装置1は、図1や図2に示すように、筐体状のハウジング2内にシンチレーター3や基板4等で構成されるセンサーパネルSPが収納されて構成されている。本実施形態では、筐体2は、放射線入射面Rを有する中空の角筒状のハウジング本体部2Aの両側の開口部を蓋部材2B、2Cで閉塞することで形成されている。
【0034】
図1に示すように、筐体2の一方側の蓋部材2Bには、電源スイッチ37や切替スイッチ38、コネクター39、電源24(図2や後述する図3参照)の状態や放射線画像撮影装置1の稼働状態等を表示するLED等で構成されたインジケーター40等が配置されている。
【0035】
また、図示を省略するが、本実施形態では、筐体2の反対側の蓋部材2Cに、放射線画像撮影装置1が外部装置と信号等の送受信を無線方式で行うためのアンテナ装置41(後述する図3参照)が、例えば蓋部材2Cに埋め込まれるようにして設けられている。
【0036】
図2に示すように、筐体2の内部には、基板4の下方側に図示しない鉛の薄板等を介して基台31が配置され、基台31には、電子部品32等が配設されたPCB基板33や電源24等が取り付けられている。また、基板4やシンチレーター3の放射線入射面Rには、それらを保護するためのガラス基板34が配設されており、センサーパネルSPと筐体2の側面との間に緩衝材35が設けられている。
【0037】
図示を省略するが、基板4の検出部P上には、フォトダイオード等からなる複数の放射線検出素子7が二次元状(マトリクス状)に配列されており、各放射線検出素子7にスイッチ手段としての薄膜トランジスター(Thin Film Transistor。以下、TFTという。)8や走査線5、信号線6、バイアス線9等が接続されている。また、シンチレーター3が、基板4の検出部Pに対向するように設けられるようになっている。
【0038】
放射線画像撮影装置1の回路構成を、図3に示すブロック図を用いて説明する。本実施形態では、複数の放射線検出素子7が基板4上に二次元状に配列されて検出部Pが形成されている。また、各放射線検出素子7の第2電極7bにはそれぞれバイアス線9が接続されており、各バイアス線9は結線10に結束されてバイアス電源14に接続されている。そして、バイアス電源14は、結線10および各バイアス線9を介して各放射線検出素子7の第2電極7bにそれぞれ逆バイアス電圧を印加するようになっている。
【0039】
走査駆動手段15では、電源回路15aからゲートドライバー15bに配線15cを介してオン電圧やオフ電圧が供給され、ゲートドライバー15bで走査線5の各ラインL1〜Lxに印加する電圧をオン電圧とオフ電圧との間で切り替えて、各TFT8のオン状態とオフ状態とを切り替えることで、各放射線検出素子7からの画像データの読み出し処理等を行うようになっている。
【0040】
各信号線6は、読み出しIC16内に形成された各読み出し回路17にそれぞれ接続されており、読み出し回路17は、増幅回路18と相関二重サンプリング回路19等で構成されている。読み出しIC16内には、さらに、アナログマルチプレクサー21と、A/D変換器20とが設けられている。
【0041】
そして、例えば、各放射線検出素子7からの画像データの読み出し処理の際には、ゲートドライバー15bからオン電圧が印加された走査線5に接続されているTFT8がオン状態になり、オン状態になったTFT8に接続されている放射線検出素子7から信号線6に電荷が放出され、放出された電荷が読み出し回路17の増幅回路18で電荷電圧変換される。
【0042】
そして、増幅回路18の出力側に設けられた相関二重サンプリング回路19で、放射線検出素子7から電荷が放出される前後の増幅回路18からの出力値の差分を算出し、算出した差分をアナログ値の画像データとして出力する。そして、出力されたアナログ値の画像データが、アナログマルチプレクサー21を介して順次A/D変換器20に送信され、A/D変換器20で順次デジタル値の画像データに変換されて出力され、記憶手段23に順次保存される。このようにして、各放射線検出素子7からの画像データの読み出し処理が順次行われる。
【0043】
制御手段22は、図示しないCPUやROM、RAM、入出力インターフェース等がバスに接続されたコンピューターや、FPGA(Field Programmable Gate Array)等により構成されている。専用の制御回路で構成されていてもよい。そして、制御手段22は、放射線画像撮影装置1の各部材の動作等を制御するようになっている。
【0044】
また、制御手段22には、SRAM(Static RAM)やSDRAM(Synchronous DRAM)等で構成される記憶手段23が接続されている。また、本実施形態では、制御手段22には、前述したアンテナ装置41が接続されており、さらに、前述した電源スイッチ37や切替スイッチ38、インジケーター40(図1参照)等も接続されている。
【0045】
また、本実施形態では、制御手段22には、制御手段22や走査駆動手段15、読み出し回路17、記憶手段23、バイアス電源14等の各部材に電力を供給するための電源24が接続されている。電源24には、充電制御回路80や前述したコネクター39等が接続されているが、この点については後で説明する。
【0046】
本実施形態では、電源24として、リチウムイオンキャパシター(LIC)が用いられているが、本発明はこれに限定されず、充電可能な電源であれば、電気二重層キャパシター等の蓄電デバイスやリチウムイオンバッテリー等のバッテリーやリチウムイオン2次電池等であってもよい。
【0047】
なお、リチウムイオンキャパシターを電源24として用いると、前述したようにリチウムイオンキャパシターは内部抵抗が小さいため、定電流充電を行う際に大きな電流を流して、より短時間で充電を行うことが可能となるといった利点がある。
【0048】
以下、充電制御回路80や電源生成回路、過熱時遮断回路等について説明する。図4は、図3におけるコネクター39から電源24を経て制御手段22に至る部分の構成等を表すブロック図である。
【0049】
なお、図4や後述する図6は、放射線画像撮影装置1が充電装置であるクレードルCrに挿入され、放射線画像撮影装置1のコネクター39とクレードルCrのコネクターCr1とが接続された状態で電源24の充電を行う場合が示されている。
【0050】
しかし、この他にも、例えば図5に示すように、放射線画像撮影装置1のコネクター39に、ケーブルCaの先端に設けられたコネクターCを接続し、ケーブルCaやコネクターC、39を介して図示しない外部の充電装置から放射線画像撮影装置1に電力を供給して電源24の充電を行う場合等も同様に説明される。
【0051】
本実施形態の電子機器である放射線画像撮影装置1では、図4に示すように、コネクター39と電源24との間に充電制御回路80と過熱時遮断回路60とが設けられている。また、電源24と制御手段22との間には電源生成回路25が設けられている。
【0052】
電源生成回路25は、電源24から供給される電力を、制御手段22やセンサーパネルSPにおける走査駆動手段15や読み出し回路17、バイアス電源14(図3参照)等の各機能部に供給する際に、各機能部で要求される適切な状態に電力を生成して供給するようになっている。
【0053】
また、図6は、充電制御回路80の回路構成を概略的に表すブロック図である。本実施形態では、充電制御回路80は、接続されたコネクター39、Cr1を介してクレードルCrの定電圧電源Cr2から供給された電力を放射線画像撮影装置1の電源24に供給する配線としての充電電流経路81と、電源24への充電を制御する充電制御部82とを備えて構成されている。
【0054】
また、本実施形態では、充電制御部82には、少なくとも充電電圧検出部83と、充電電流検出部84と、スイッチング制御部85とが設けられている。
【0055】
充電制御回路80では、充電電流経路81上には第1スイッチ素子86が、充電電流経路81から分岐してグランド(以下、GNDと記載する。)に接続されている配線88上には第2スイッチ素子87がそれぞれ設けられている。そして、第1スイッチ素子86および第2スイッチ素子87は、それぞれFET(電界効果トランジスター)で構成されており、また、それぞれスイッチング制御部85によりそれらのオン/オフ動作が制御されるようになっている。
【0056】
また、充電電流経路81にはインダクター(コイルともいう。)89が挿入されており、また、充電電流経路81とGNDとの間にコンデンサー90が設けられている。そして、インダクター89のインダクタンス(inductance)成分により蓄えられるエネルギーを制御することにより、充電電流Iおよび充電電圧Vを制御する。また、コンデンサー90は、電源24への出力に対してローパスフィルター状に機能して、充電電圧Vを平滑化するようになっている。
【0057】
本実施形態では、充電電流経路81に充電電流検出用の抵抗部91が挿入されている。また、充電電流検出用の抵抗部91の両極が充電電流検出部84に接続されており、充電電流検出部84によって充電電流検出用の抵抗部91の両極間の電位差Δvが検出されるようになっている。この電位差Δvは、Δv=IRの関係により充電電流経路81を流れる充電電流Iに相当する。
【0058】
また、充電電流経路81は、過熱時遮断回路60に接続されている。すなわち図6の充電制御回路80の接続端子Aが後述する図8の過熱時遮断回路60の接続端子Aに接続されている。また、充電制御回路80の接続端子Bは、図8の過熱時遮断回路60の接続端子Bに接続されている。
【0059】
また、充電制御回路80内では、充電電流経路81とGNDとが2つの分圧抵抗92a、92bを介して接続されており、2つの分圧抵抗92a、92bの間に接続された配線93が充電電圧検出部83に接続されている。そして、充電制御部82の充電電圧検出部83で、電源24に充電されている充電電圧Vが検出されるようになっている。
【0060】
そして、充電電圧検出部83で検出された電源24に充電されている充電電圧Vの情報や、充電電流検出部84で検出された充電電流検出用の抵抗部91の両極間の電位差Δvの情報(すなわち充電電流経路81を流れる充電電流Iの情報)が、充電制御部82のスイッチング制御部85に送られるようになっている。
【0061】
充電制御部82のスイッチング制御部85は、充電電圧検出部83からもたらされる電源24に充電されている充電電圧Vの情報や、充電電流検出部84からもたらされる充電電流検出用の抵抗部91の両極間の電位差Δvの情報(すなわち充電電流経路81を流れる充電電流Iの情報)に応じて、充電電流経路81を介して電源24に供給される充電電流Iを制御するようになっている。
【0062】
そして、スイッチング制御部85は、フィードバックされたそれらの情報に応じて第1スイッチ素子86および第2スイッチ素子87のオン/オフ動作を制御して、コネクター39に供給される電力から電源24を充電制御するようになっている。
【0063】
本実施形態では、充電制御回路80は、電子機器である放射線画像撮影装置1の電源24の充電の仕方を、図7に示すように、充電電流Iが一定になるように充電を行う定電流充電を行った後、充電電圧Vが一定になるように充電を行う定電圧充電に切り替えるようになっている。
【0064】
具体的には、充電制御回路80のスイッチング制御部85は、充電電圧検出部83が検出した電源24に充電されている充電電圧V(図7の右側の目盛りおよび破線参照)が予め設定された目標電圧Vよりも小さい場合には、充電電流検出部84が検出する充電電流検出用の抵抗部91の両極間の電位差Δvが、設定された電流値(例えば10[A])に相当する電位差になるように、第1スイッチ素子86と第2スイッチ素子87のオン/オフ動作を制御して定電流充電を行う。
【0065】
そして、上記のようにして定電流充電を行い、充電電圧検出部83が検出した電源24の充電電圧Vが目標電圧Vに達すると、図7に示すように、スイッチング制御部85は、今度は、電源24に対する充電の仕方を定電圧充電に切り替える。
【0066】
上記のように定電流充電を行って、充電電圧検出部83が検出した電源24の充電電圧Vが目標電圧Vに達したとしても、電源24内部や充電電流経路81等の抵抗による電圧降下が存在するため、電源24の実際の充電電圧Vは、実際には目標電圧Vには達していない。
【0067】
そこで、スイッチング制御部85は、充電の仕方を切り替えた後の定電圧充電時には、充電電圧検出部83が検出する電源24の充電電圧Vが目標電圧Vを越えずに目標電圧Vを維持するように第1スイッチ素子86と第2スイッチ素子87のオン/オフ動作を制御しながら定電圧充電を行うようになっている。
【0068】
そして、スイッチング制御部85は、充電電流検出部84が検出する充電電流検出用の抵抗部91の両極間の電位差Δvが次第に減少し、充電電流経路81中を流れる充電電流Iが非常に小さくなってそれに対応する電位差Δvが予め設定された閾値Δvth以下になった時点で、電源24の充電を終了するようになっている(図7の時刻t1参照)。
【0069】
次に、充電制御回路80と電源24との間に設けられている過熱時遮断回路60について説明する。図8は、過熱時遮断回路60の回路構成を概略的に表すブロック図である。
【0070】
前述したように、充電制御回路80から延びる充電電流経路81は、過熱時遮断回路60の接続端子Aに接続されている。また、充電制御回路80の接続端子Bから延びる配線は、過熱時遮断回路60の接続端子Bを介して過熱時遮断回路60のGNDに接続されている。
【0071】
過熱時遮断回路60は、主に、遮断手段61と、温度検出手段62と、過熱判定手段63とで構成されており、本実施形態では、さらにFET駆動部64や複数の抵抗器65a〜65c等を備えて構成されている。
【0072】
上記のように、過熱時遮断回路60の接続端子Aに接続された充電電流経路81は、過熱時遮断回路60中を通り、接続端子Cを介して電源24の正極端子24pに接続されている。また、電源24の負極端子24mは、過熱時遮断回路60の接続端子Dを介して過熱時遮断回路60のGNDに接続されている。
【0073】
過熱時遮断回路60中の充電電流経路81には、遮断手段61が挿入されており、遮断手段61は、後述するように、過熱判定手段63が出力した信号に基づいて、充電電流経路81を遮断したり導通させたりするようになっている。
【0074】
本実施形態では、遮断手段61は、FET(電界効果トランジスター)で構成されている。また、遮断手段61であるFETには、それを駆動させるためのFET駆動部64が接続されており、FETは、過熱判定手段63が出力した信号に基づいてFET駆動部64から出力されるオン信号やオフ信号に従ってオン/オフ動作、すなわち充電電流経路81の導通や遮断が制御されるようになっている。
【0075】
過熱時遮断回路60の温度検出手段62は、電源24の温度を検出するようになっている。本実施形態では、温度検出手段62は、PTCサーミスターで構成されている。PTCサーミスターは、よく知られているように、閾値以下の温度では抵抗値が小さいが、閾値以上の温度ではその抵抗値が急激に大きくなるという特徴を有する。
【0076】
また、温度検出手段62は、電源24の薄板状の正極端子24pや負極端子24mに着脱可能に取り付けられているが、この点については後で説明する。また、温度検出手段62は、電源24の正極端子24pと負極端子24mのいずれの端子に取り付けられてもよい。以下、温度検出手段62が取り付けられる電源24の正極端子24pや負極端子24mを一般的に言う場合、電極端子24tという。
【0077】
なお、本実施形態のように、温度検出手段62としてPTCサーミスターを用いる代わりに、例えばNTC(negative temperature coefficient)サーミスターを用いるように構成することが可能である。NTCサーミスターは、よく知られているように、上記のPTCサーミスターの場合とは逆に、閾値以下の温度ではその抵抗値が大きな値を示すが、閾値以上の温度になるとその抵抗値が小さくなるという特徴を有する。
【0078】
一方、過熱時遮断回路60内には、所定の抵抗値を有する2つの抵抗器65a、65bが直列に接続されて設けられている。そして、抵抗器65aの、抵抗器65bと接続されている側とは反対側の端子にリファレンス電圧Vが印加されるようになっており、また、抵抗器65bの、抵抗器65aと接続されている側とは反対側の端子がGNDに接続されている。
【0079】
そして、抵抗器65a、65bによりリファレンス電圧V−GND間が分圧された電圧値V1が、過熱判定手段63に入力されるようになっている。この電圧値V1が、後述する電源の温度に対応する電圧値V2と比較される電圧値となる。以下、電圧値V1を対照電圧値V1という。
【0080】
また、過熱時遮断回路60内には、所定の抵抗値を有する抵抗器65cと、前述した温度検出手段62としてPTCサーミスターとが直列に接続されて設けられている。そして、抵抗器65cの、PTCサーミスター62と接続されている側とは反対側の端子にリファレンス電圧Vが印加されるようになっており、また、PTCサーミスター62の、抵抗器65cと接続されている側とは反対側の端子がGNDに接続されている。
【0081】
そして、抵抗器65cとPTCサーミスター62によりリファレンス電圧V−GND間が分圧された電圧値V2も、過熱判定手段63に入力されるようになっている。この電圧値V2が、温度検出手段62により検出された電源24の温度に対応する電圧値となる。
【0082】
本実施形態では、過熱判定手段63は、コンパレーター(comparator)で構成されており、上記の対照電圧値V1が非反転入力側に入力され、電圧値V2が反転入力側に入力されるようになっている。そして、コンパレーターにより対照電圧値V1と電圧値V2との大小をハードウエア的に判定するようになっている。
【0083】
具体的には、充電時に、電源24の温度が低く、本実施形態における温度検出手段62であるPTCサーミスターの抵抗値が小さい状態では、電圧値V2が対照電圧値V1よりも低くなるように構成されている。そして、この場合には、過熱判定手段63であるコンパレーターは、FET駆動部64に正の所定の電圧値の電圧Vhighを出力する。
【0084】
本実施形態では、この電圧Vhighが、過熱判定手段63が遮断手段61やそれを駆動するFET駆動部64に対して出力する、電源24の温度が過熱状態にはない旨の信号に相当する。
【0085】
そして、FET駆動部64は、この電圧Vhighが入力されると、遮断手段61であるFETにオン信号を出力する。そのため、遮断手段61はオン状態となり、充電電流経路81の導通を維持するようになっている。
【0086】
また、充電時に、電源24の温度が上昇し、温度検出手段62であるPTCサーミスターの抵抗値が急激に大きくなると、電圧値V2が対照電圧値V1よりも高くなる。そして、過熱判定手段63であるコンパレーターは、今度は、FET駆動部64に0[V]に近い電圧値の電圧Vlowを出力する。
【0087】
本実施形態では、この電圧Vlowが、過熱判定手段63が遮断手段61やそれを駆動するFET駆動部64に対して出力する、電源24の温度が過熱状態にある旨の信号に相当する。
【0088】
そして、FET駆動部64は、この電圧Vlowが入力されると、遮断手段61であるFETにオフ信号を出力する。そのため、遮断手段61はオフ状態となり、充電電流経路81を遮断するようになっている。
【0089】
なお、本実施形態では、過熱判定手段63であるコンパレーターは、上記のように、入力される電圧値V2の対照電圧値V1に対する大小関係に基づいて、FET駆動部64を介して遮断手段61であるFETのオン/オフ動作を制御する。そのため、抵抗器65a〜65cの抵抗値は、電源24の温度が上昇して過熱状態になった場合に電圧値V2が対照電圧値V1よりも確実に大きな電圧値になるような抵抗値に設定される。
【0090】
また、電源24の温度がどの程度の温度になった場合に過熱状態になったと見なすかについては、個々の電子機器で許容される電源24の温度範囲等に基づいて決められる。そして、温度検出手段62としてPTCサーミスターを用いる場合には、例えば、上記の電源24に許容される温度範囲の上限の温度を閾値とするPTCサーミスターが選択されて用いられる。
【0091】
このように構成すれば、電源24の温度が上記の温度範囲を越えると、温度検出手段62としてのPTCサーミスターの抵抗値が急激に大きくなり、電圧値V2が対照電圧値V1よりも高くなる。そのため、過熱判定手段63であるコンパレーターからFET駆動部64に電圧Vlowが出力され、遮断手段61であるFETに的確にオフ信号が出力されて、遮断手段61が的確に充電電流経路81を遮断することが可能となる。
【0092】
その際、本実施形態のように、電源24としてリチウムイオンキャパシターを用いる場合、リチウムイオンキャパシターは、通常の場合、充電時に温度が低下するといった特性を有している。そのため、温度検出手段62として、上記の温度に関する閾値が、充電の際に温度が上昇するような他のバッテリー等に用いられるPTCサーミスターよりも低い温度に設定されたPTCサーミスターを用いることが可能となる。
【0093】
さらに、本実施形態では、過熱判定手段63であるコンパレーターは、遮断手段61に充電電流経路81を遮断させた後で、電源24の温度が低下した場合、すなわちPTCサーミスターの抵抗値が小さくなり、電圧値V2が対照電圧値V1よりも低くなった場合には、FET駆動部64に電圧Vhighを出力し、遮断手段61であるFETにオン信号を出力させ、遮断手段61による充電電流経路81の遮断を停止させて、充電電流経路81の導通を回復させるようになっている。
【0094】
しかし、その際、電源24の温度が、PTCサーミスターの閾値以下の温度になったからといって即座に充電電流経路81の導通を回復させると、すぐにまた電源24の温度が上昇してPTCサーミスターの閾値を越えて遮断手段61により充電電流経路81が遮断されるようになる。
【0095】
このような状態になると、充電制御回路80(図4等参照)から電源24への充電電流Iの供給が再開されるとすぐに停止される状態が続くようになり、過熱異常の状態を効果的に防げないといった問題等を生じる。
【0096】
そのため、例えば、過熱判定手段63であるコンパレーターにヒステリシスを設けておき、電源24の温度がPTCサーミスターの閾値以下の温度に低下して電圧値V2が対照電圧値V1よりも低くなった後、さらに電源24の温度が所定の温度まで低下した時点で初めてFET駆動部64に電圧Vhighを出力して、充電電流経路81の導通を回復させるように構成することが好ましい。
【0097】
一方、例えば図9に示すように、電子機器(本実施形態では放射線画像撮影装置1)内に複数の電源24A、24Bが設けられている場合、各電源24A、24Bの各電極端子24tにそれぞれ着脱可能に取り付けられた温度検出手段62としての各PTCサーミスター62A、62Bを、互いに直列に接続するように構成することが可能である。
【0098】
このように構成すると、複数の電源24のうち、いずれか1つでも電源24の温度が上昇して過熱状態になれば、直列に接続されたPTCサーミスター62A、62B全体の抵抗値(この場合は各PTCサーミスター62A、62Bの抵抗値の総和)が急激に大きくなり、過熱判定手段63であるコンパレーターに入力される電圧値V2が対照電圧値V1よりも高くなる。
【0099】
そのため、充電電流経路81を遮断して、各電源24への充電電流Iの供給を的確に停止することが可能となる。
【0100】
なお、温度検出手段62としてNTCサーミスターを用いる場合、上記のように、PTCサーミスターの場合とは逆に、閾値以下の温度ではその抵抗値が大きな値を示すが、閾値以上の温度になるとその抵抗値が小さくなる。
【0101】
その際、複数の電源24の電極端子24tに取り付けられているNTCサーミスターを直列に接続すると、いずれか1つの電源24の温度が上昇して過熱状態になり当該電源24の電極端子24tに取り付けられているNTCサーミスターの抵抗値が小さくなっても、他のNTCサーミスターの抵抗値が大きな値のままであれば、直列に接続されたNTCサーミスター全体の抵抗値は大きな値になる。そのため、当該電源24が過熱状態になったことを的確に判定することができなくなる。
【0102】
そのため、温度検出手段62としてNTCサーミスターを用いる場合には、複数の電源24の電極端子24tに取り付けられた各NTCサーミスターを直列に接続せず、個別に過熱判定手段63に接続するように構成される。そして、過熱判定手段63は、複数の電源24のうちいずれか1つでも電源24の温度が上昇して過熱状態になった場合には、遮断手段61により充電電流経路81を遮断させるように構成される。
【0103】
次に、本実施形態の電子機器である放射線画像撮影装置1における電源24の電極端子24tへの温度検出手段62の取り付け構造等について説明する。前述したように、本実施形態では、温度検出手段62であるPTCサーミスターは、電源24の薄板状の正極端子24pや負極端子24mに着脱可能に取り付けられている。
【0104】
具体的には、本実施形態では、放射線画像撮影装置1のセンサーパネルSPの基台31には、(図2参照)には、図10に示すように、電源24の薄板状の正極端子24pや負極端子24mが、接続手段であるネジ27により接続される接続電極26が形成されている。なお、図10は、基台31を裏側、すなわちPCB基板33(図2参照)等が取り付けられる側から見た図である。また、後述する図11では、基台31の裏側が上側になるように記載されている。
【0105】
接続電極26は、例えば、一面側に金属膜が形成されたプリント基板26aを細長に形成し、それを基台31に貼付する等して形成することができる。本実施形態では、接続電極26には、接続電極26と過熱時遮断回路60や電源生成回路25等とを電気的に接続するためのコネクター28A、28Bが取り付けられている。
【0106】
なお、図10では、接続電極26と過熱時遮断回路60や電源生成回路25等とを、コネクター28A、28Bを介して配線で接続する場合を示した。しかし、この他にも、例えば、過熱時遮断回路60や電源生成回路25等が形成されたプリント基板の一端に接続電極26を設けておき、それと電源24の電極端子24tとを接続するように構成することも可能である。
【0107】
一方、図10に示すように、電源24の電極端子24t(すなわち正極端子24pまたは負極端子24m)は薄板状に形成されている。また、温度検出手段であるPTCサーミスター62には、それを電源24の薄板状の電極端子24tに着脱可能に取り付けるための、先端がリング状に形成された固定片62aが設けられている。
【0108】
そして、電源24の薄板状の電極端子24tが接続電極26に接続される際に、電源24の電極端子24tと、PTCサーミスター62の固定片62aとが、接続手段であるネジ27により共締めされて接続電極26に接続されるようになっている。
【0109】
本実施形態では、このようにして電源24の電極端子24tを接続電極26に接続することにより、図11に示すように、温度検出手段であるPTCサーミスター62が、電源24の電極端子24tに接触する状態で、着脱可能に取り付けられるようになっている。
【0110】
なお、図示を省略するが、電源24を複数設ける場合には、例えば、図10や図11に示した接続電極26を長手方向に延長させて形成し、延長された接続電極26に各電源24の各電極端子24tをネジ止め等により接続するように構成される。
【0111】
また、例えば、図10や図11に示した電極端子24tが負極端子24mの場合には、電源24の反対側の正極端子24pも同様にして設けられた接続電極に接続される。なお、その際、反対側の端子には温度検出手段62を取り付ける必要はない。
【0112】
次に、本実施形態に係る電子機器の作用について説明する。
【0113】
本実施形態に係る電子機器である放射線画像撮影装置1では、過熱時遮断回路60が、上記のように、PTCサーミスター等で構成された温度検出手段62により検出された温度の情報(すなわち、その抵抗値や、その抵抗値に基づいてコンパレーター63に入力される電圧値V2(図8参照))に基づいて、コンパレーター等で構成された過熱判定手段63が、電源24の温度が過熱状態にあるか否かをハードウエア的に判定する。
【0114】
実際には、過熱判定手段63であるコンパレーターが、入力された電圧値V2と対照電圧値V1のいずれの電圧値が大きいかを比較する。
【0115】
そして、判定(すなわち比較)の結果、電圧値V2の方が対照電圧値V1よりも大きい場合には、過熱判定手段63は、電源24の温度が過熱状態になっていると判定して、電源24の温度が過熱状態にある旨の信号すなわち電圧Vlowを出力する。そして、FET(電界効果トランジスター)等で構成された遮断手段61が、その信号に基づいて充電電流経路81を遮断する。
【0116】
また、判定(すなわち比較)の結果、対照電圧値V1の方が電圧値V2よりも大きい場合には、過熱判定手段63は、電源24の温度が過熱状態になっていないと判定して、電源24の温度が過熱状態にはない旨の信号すなわち電圧Vhighを出力する。そして、遮断手段61は、その信号に基づいて充電電流経路81の導通を維持し、或いは、充電電流経路81を遮断している場合には導通を回復する。
【0117】
この場合、充電電流経路81の遮断や導通を、本実施形態のようにFET等で構成された遮断手段61で行う代わりに、電源24の温度上昇によりPTCサーミスターの抵抗値が急激に非常に大きくなることを利用してPTCサーミスター自体で行うように構成することも考えられなくはない。
【0118】
しかし、その場合には、前述したように、電源24の温度が低く、PTCサーミスターの抵抗値が低い状態でも、PTCサーミスターの抵抗分が存在するため、負荷変動が大きくなったり、出力電圧が低下する虞れがある。また、PTCサーミスターの比較的大きな抵抗分により、結果的に充電時間が長くなってしまうといった問題が生じ得る。
【0119】
それに対して、本実施形態のように、充電電流経路81の遮断や導通をFET等で構成された遮断手段61で行うように構成すれば、FETは常温時の抵抗分がPTCサーミスターの常温での抵抗分よりも大幅に小さいため、このような問題が生じることを回避することが可能となる。
【0120】
そして、充電電流経路81を遮断する際には、経路がFETで的確に遮断される。また、それとともに、充電電流経路81の導通を維持する際には、FET部分の抵抗値が温度に依存して変動しない。また、仮に遮断手段61をPTCサーミスターで構成する場合に比べて常温時の抵抗値が大幅に小さくなり、充電電流経路81内に充電電流Iをロスなく安定的に流して電源24に供給することが可能となる。
【0121】
また、本実施形態のように電源24として例えばリチウムイオンキャパシター(LIC)を用いる場合、リチウムイオンキャパシターは内部抵抗が小さいため、定電流充電の場合に例えば10[A]等の大きな電流を流して、より短時間で充電を行うことが可能となる。
【0122】
しかし、上記のように、遮断手段61をPTCサーミスターで構成する場合、大きな電流値の充電電流Iを流すことができなかったり、大電流に対応するためにPTCサーミスターが大型化してしまう場合があった。
【0123】
それに対し、本実施形態では、温度検出手段62としてPTCサーミスターを用いるが、充電電流経路81を遮断する遮断手段61は、それとは別体のFETで構成する。このように構成することにより、FETであれば、充電電流経路81に大電流を流すことが可能となり、しかも、充電電流経路81を遮断する場合には上記のように的確に遮断することができる。この場合、FETを大型化する必要はない。
【0124】
また、本実施形態では、PTCサーミスターは、上記のように大電流が流れる充電電流経路81を遮断するようには機能せず、温度検出手段62として電源24の温度を検出するためだけに機能する。そのため、PTCサーミスターに大電流を流す必要がない。
【0125】
このように、本実施形態では、温度検出手段62としてのPTCサーミスターが大型化することを回避することが可能となり、図11等に示すように、小型のPTCサーミスターを用いることが可能となる。また、そのため、放射線画像撮影装置1のように電子機器に薄型化が要求される場合にも、適切に電子機器の薄型化を図ることが可能となる。
【0126】
また、本実施形態では、このように小型のPTCサーミスター等で構成される温度検出手段62を、電源24の薄板状の電極端子24tに取り付ける。電源24の電極端子24tが薄板状であれば、図11に示すように、電極端子24tの部分に、小型のPTCサーミスターを取り付けるためのスペース(図中では電極端子24tの上側と電源24の上端面との間のスペース)が十分にある。
【0127】
すなわち、放射線画像撮影装置1の筐体2(図1等参照)を大型化して、電源24の電極端子24tにPTCサーミスターを取り付けるためのスペースをわざわざ設ける必要がない。
【0128】
このように、本実施形態では、電極端子24tの部分のスペースを利用して、PTCサーミスターを電極端子24tに取り付けることでPTCサーミスターをそのスペース内に収めることが可能となる。そのため、温度検出手段62(PTCサーミスター)を電極端子24tに取り付けるためのスペースをわざわざ形成しなくてもよいため、この点においても、電子機器の薄型化を図ることが可能となる。
【0129】
さらに、本実施形態では、前述した特許文献2、3に記載されているように電源24の電極端子24tにPTCサーミスター等を一体的に設けるのではなく、共締め等により温度検出手段62(PTCサーミスター)を電極端子24tに着脱可能に取り付けるように構成した。
【0130】
そのため、本実施形態では、電源24の交換時等において電源24の電極端子24tを接続電極26から離脱させる際に、同時に温度検出手段62(PTCサーミスター)が電極端子24tから離脱する。また、新たに電源24の電極端子24tを接続電極26に接続される際に、温度検出手段62(PTCサーミスター)を共締め等することにより、温度検出手段62(PTCサーミスター)を電源24の電極端子24tに容易に取り付けることが可能となる。
【0131】
そのため、温度検出手段62(PTCサーミスター)の電極端子24tの取り付け作業が非常に容易になる。また、それとともに、上記のようにPTCサーミスター等を電源24の電極端子24tに一体的に設ける場合には、電源24の交換の際に、まだ使用できるPTCサーミスター等が電源24とともに廃棄されることになるが、本実施形態では、このような資源の無駄遣いを防止することが可能となる。
【0132】
なお、過熱判定手段63をMPU等でソフトウエア的に処理を行う代わりに、本実施形態のように過熱判定手段63をコンパレーターで構成し、ハードウエア的に処理を行うように構成することで、過熱時遮断回路60の構成がより簡単になり、過熱時遮断回路60をより小さな回路構成で構成することが可能となる。
【0133】
以上のように、本実施形態に係る電子機器1によれば、電源24の温度を検出する温度検出手段62(例えばPTCサーミスター)と、充電電流経路81を遮断する遮断手段61(例えばFET)を別体に構成した。
【0134】
また、温度検出手段62が検出した電源24の温度の情報に基づいて過熱判定手段63(例えばコンパレーター)で電源24の温度が過熱状態であるか否かを判定し、電源24の温度が過熱状態にある旨の信号(例えば電圧Vlow)と、電源24の温度が過熱状態にはない旨の信号(例えば電圧Vhigh)のいずれかの信号を出力するように構成した。
【0135】
そして、電源24の温度が過熱状態にある場合には、過熱判定手段63から遮断手段61に電源24の温度が過熱状態にある旨の信号(例えば電圧Vlow)を出力し、それにより遮断手段61を制御して、充電電流経路81を遮断させるように構成した。
【0136】
そのため、充電時に、電源24の温度が上昇した場合に、適切に充電電流経路81を遮断して、電源24に対する充電電流Iの供給を的確に遮断することが可能となる。
【0137】
そのため、電子機器1に内蔵された充電可能な電源24を充電する際に、電源24の過熱を的確に防止することが可能となり、電源24の過熱により電子機器1が破損したりユーザーが火傷したりする事故が生じることを的確に防止することが可能となる。
【0138】
また、前述したように、電子機器が放射線画像撮影装置1である場合、電源24が過熱すると、電源24に対応する位置の放射線検出素子7の中に異常な動作を行うようになる放射線検出素子7が発生して画欠が生じたり、放射線画像上にアーチファクトが生じたりする場合がある。また、温度が上昇した部分の放射線検出素子7から読み出された画像データに濃度ムラが生じる場合がある。
【0139】
しかし、上記のように、本実施形態に係る電子機器1によれば、電源24の過熱を的確に防止することが可能となる。そのため、上記のような画欠やアーチファクト、濃度ムラ等が生じることを的確に防止することが可能となる。
【0140】
また、本実施形態に係る電子機器1によれば、過熱時遮断回路60の温度検出手段62(例えばPTCサーミスター)で直接に充電電流Iの制限や遮断を行うのではなく、上記のように温度検出手段62(例えばPTCサーミスター)と過熱判定手段63(例えばコンパレーター)との組み合わせによる出力結果に基づいて、遮断手段61(例えばFET)により充電電流経路81を遮断する構成とし、さらに、温度検出手段62を、電源24の薄板状の正極端子24pまたは負極端子24m、すなわち電極端子24tに着脱可能に取り付けるように構成した。
【0141】
そのため、電源24がリチウムイオンキャパシターである場合のように、電源24に大きな電流値の充電電流Iを流して充電を行う場合においても、小型の温度検出手段24を用いることが可能となり、電子機器の薄型化を図ることが可能となる。
【0142】
なお、上記の実施形態では、電子機器が放射線画像撮影装置1である場合を例に挙げて説明したが、この他にも、充電可能な電源24を内蔵する電子機器であれば、ノート型パソコンや携帯電話、携帯情報端末等についても本発明を適用することが可能である。
【符号の説明】
【0143】
1 放射線画像撮影装置(電子機器)
7 放射線検出素子
24、24A、24B 電源
24m 負極端子
24p 正極端子
24t 電極端子(正極端子または負極端子)
26 接続電極
26a プリント基板
27 ネジ(接続手段)
31 基台
60 過熱時遮断回路
61 電界効果トランジスター(FET、遮断手段)
62、62A、62B PTCサーミスター(温度検出手段)
62a 固定片
63 コンパレーター(過熱判定手段)
81 充電電流経路
I 充電電流
Vhigh 電圧(電源の温度が過熱状態にはない旨の信号)
Vlow 電圧(電源の温度が過熱状態にある旨の信号)
1 対照電圧値
2 電源の温度に対応する電圧値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極端子または負極端子が薄板状の電源を備える電子機器において、
前記電源の充電時に、前記電源の温度を検出する温度検出手段と、
前記温度検出手段が検出した前記電源の温度の情報に基づいて、前記電源の温度が過熱状態にある旨の信号と前記電源の温度が過熱状態にはない旨の信号のいずれかの信号を出力する過熱判定手段と、
前記過熱判定手段が出力した前記信号に基づいて、前記電源の温度が過熱状態である場合に、前記電源に充電電流を供給する充電電流経路を遮断する遮断手段と、
を備える過熱時遮断回路を備え、
前記過熱時遮断回路の前記温度検出手段は、前記電源の薄板状の前記正極端子または前記負極端子に着脱可能に取り付けられていることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記遮断手段は、電界効果トランジスターで形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記過熱判定手段は、コンパレーターで形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記過熱判定手段は、前記温度検出手段が検出した前記電源の温度に対応する電位とリファレンス電位とを比較して、前記電源の温度が過熱状態にある旨の信号と前記電源の温度が過熱状態にはない旨の信号のいずれかの信号を出力することを特徴とする請求項3に記載の電子機器。
【請求項5】
前記過熱判定手段は、前記電源の温度が所定の温度まで低下した時点で、前記遮断手段に対して前記電源の温度が過熱状態にはない旨の信号を出力することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項6】
前記電源の薄板状の前記正極端子と前記負極端子とがそれぞれ接続手段により接続される各接続電極を備え、
前記温度検出手段は、前記温度検出手段を前記電源の薄板状の前記正極端子または前記負極端子に着脱可能に取り付けるための固定片を備え、
前記電源の薄板状の前記正極端子と前記負極端子とがそれぞれ前記各接続電極に接続される際に、前記温度検出手段の前記固定片と、前記電源の薄板状の前記正極端子または前記負極端子とが、ともに前記接続手段により前記接続電極に接続されることにより、前記温度検出手段が前記正極端子または前記負極端子に接触する状態で取り付けられることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項7】
前記接続手段は、ネジであり、
前記温度検出手段の前記固定片と、前記電源の薄板状の前記正極端子または前記負極端子とは、前記接続手段であるネジにより共締めされて前記接続電極に接続されることを特徴とする請求項6に記載の電子機器。
【請求項8】
前記接続電極は、プリント基板で構成されていることを特徴とする請求項6または請求項7に記載の電子機器。
【請求項9】
前記温度検出手段は、PTCサーミスターで形成されていることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項10】
前記電源を複数個備え、
前記温度検出手段としての前記PTCサーミスターは、前記各電源の薄板状の前記正極端子または前記負極端子にそれぞれ着脱可能に取り付けられており、かつ、前記各PTCサーミスターが直列に接続されていることを特徴とする請求項9に記載の電子機器。
【請求項11】
前記電源は、リチウムイオンキャパシターで形成されていることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項12】
二次元状に配列された複数の放射線検出素子を備える放射線画像撮影装置として構成されていることを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項13】
前記電源を取り付けるための基台を備え、
前記電源は、前記基台に対して、前記複数の放射線検出素子が設けられている側とは反対側に取り付けられていることを特徴とする請求項12に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−249350(P2012−249350A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−116757(P2011−116757)
【出願日】平成23年5月25日(2011.5.25)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】