説明

電子機器

【課題】入力オブジェクトに関連づけられた処理を行うための基準を変更することにより、誤操作を回避する。
【解決手段】押圧検出部13により検出される押圧に基づくデータが所定の基準を満たすと、入力オブジェクトに関連付けられた処理を行う制御部15が、入力オブジェクトに関連付けられた処理の頻度に応じて当該入力オブジェクトの所定の基準を変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接触検出部を有する電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話等の携帯端末において、ユーザによる入力操作を検出する部材として、タッチセンサ等の接触検出部を備えた電子機器が増えてきた。接触検出部による入力操作の検出方式は、抵抗膜方式、静電容量方式等、種々の検出方式が知られている。いずれの方式もユーザの指やスタイラスペン等による接触を検出する。
【0003】
接触検出部を備えた電子機器として、接触検出部と表示部とが重畳され形成されるタッチパネルが知られている。タッチパネルは、接触検出部の裏面に配置された表示部に、操作キーやボタン等の画像(以下、入力オブジェクトという)が表示される。表示部に表示された入力オブジェクトをユーザが押圧すると、接触検出部は、当該押圧位置における接触を検出するようになっている。また、所定の押圧荷重以上で押圧された場合に、ユーザに触感応答を与える技術も知られている。
【0004】
なお、押圧操作により、多段階の選択が可能となるタッチパネル式入力装置が特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−39745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、表示部に複数の入力オブジェクトが配置され表示されている場合、ユーザは選択しようとした入力オブジェクトではなく、誤って当該入力オブジェクトの隣にある入力オブジェクトを選択することがある。この場合、ユーザの意図しない動作が開始され、当該意図しない動作により、それまでに起動していた重要な処理動作を終了させてしまった場合、リカバリがきかない状況に陥ることもある。また、当該意図しない動作を取り消すためにはユーザによる追加操作が必要とされる。
【0007】
本発明は上記した課題を解決するためになされたものであり、入力オブジェクトに関連づけられた処理を行うための基準を変更することにより、誤操作を回避することが出来る電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した課題を解決するために本発明は、複数の入力オブジェクトを表示する表示部と、接触を検出する接触検出部と、前記接触検出部に対する押圧を検出する押圧検出部と、前記接触検出部により前記表示部に表示された入力オブジェクトに対応する位置の接触が検出され、前記押圧検出部により検出される押圧に基づくデータが前記入力オブジェクトの所定の基準を満たすと、前記入力オブジェクトに関連付けられた処理を行う制御部とを有し、前記制御部は、前記入力オブジェクトに関連付けられた処理の頻度に応じて、前記入力オブジェクトの前記所定の基準を変更することを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、押圧検出部により検出される押圧に基づくデータが所定の基準を満たすと、入力オブジェクトに関連付けられた処理を行う制御部が、入力オブジェクトに関連付けられた処理の頻度に応じて当該入力オブジェクトの所定の基準を変更する。したがって、例えば、処理頻度(利用頻度)の高い処理に対応付けた入力オブジェクトの基準を低く変更することで、当該入力オブジェクトは軽く押圧するだけで関連付けられた処理が実行され、処理頻度の低い処理に対応付けた入力オブジェクトは強く押圧することで関連付けられた処理が実行される。このため、押圧により、実行される入力オブジェクトに関連付けられた処理を選択することが出来る。例えば、ユーザが処理頻度の高い処理を実行させるために、当該処理が関連付けられている入力オブジェクトに接触しようとした際、当該入力オブジェクトと隣り合う入力オブジェクトに跨った接触となったとしても、使用頻度の低い処理が関連付けられている隣り合う入力オブジェクトの処理が誤って実行されるという誤操作を回避することが出来る。その結果、ユーザが意図する処理を行うことが出来るため、ユーザに利便性を提供することができる。
【0010】
本発明において、前記制御部は、隣り合う前記入力オブジェクトを前記所定の基準が異なるように配置することを特徴とする。本発明によれば、隣り合う入力オブジェクトの基準が異なるように配置することで、入力オブジェクトを選択するための押圧に差が出来、例えば、ユーザが処理頻度の高い処理を実行させるために、当該処理が関連付けられている入力オブジェクトに接触しようとした際、当該入力オブジェクトと隣り合う入力オブジェクトに跨った接触となったとしても、使用頻度の低い処理が関連付けられている隣り合う入力オブジェクトの処理が誤って実行されることが確実になくなる。したがって、誤操作を回避することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、入力オブジェクトに関連づけられた処理を行うための基準を変更することによって誤操作を回避することが出来る電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態に係る電子機器の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る電子機器の入力オブジェクト選択操作時の押圧に基づくデータを時間軸上に概略的に示したグラフである。
【図3】本発明の実施の形態に係る電子機器の基準の設定動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態に係る電子機器の処理選択動作を示すフローチャートである。
【図5】図4の続きの処理理選択動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態に係る電子機器の入力オブジェクトの配置、および処理選択操作の動作の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して本発明を実施するための実施の形態(以下、単に本実施形態という)について詳細に説明する。
【0014】
(実施形態の構成)
図1は、本実施形態に係る電子機器の構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態に係る電子機器1は、接触検出部11と、表示部12と、押圧検出部13と、記憶部14と、制御部15とを含み、構成される。
【0015】
接触検出部11は、通常は表示部12の前面に配置され、表示部12に表示された入力オブジェクトに対するユーザの指やスタイラスペン等の接触物による接触、または接触の解除を接触検出部11の入力面において検出する。また、接触検出部11は、入力面に対する接触位置を検出し、検出した接触位置を制御部15へ出力する。接触検出部11は、例えば、抵抗膜方式、静電容量方式等、光学式等、周知の方式で実現される。なお、光学式の場合、接触検出部11は、赤外線等が接触物により遮られた位置を検出するため、接触検出部11が接触を検出するためには、接触物の物理的な接触は不要である。つまり、接触検出部11が検出する接触は、物理的な接触に限定されない。
【0016】
表示部12は、押しボタンスイッチのような入力オブジェクトを画像にて表示する。押しボタンスイッチとは、ユーザが入力操作に用いるボタンキー等である。表示部12は、例えば、液晶パネル(LCD:Liquid Crystal Display)や有機ELパネル(OELD:Organic Electroluminescence Display)等を用いて構成される。
【0017】
なお、接触検出部11と表示部12は一体化されていてもよい。接触検出部11と表示部12の両機能を一体化した装置の構成としては、LCDパネルが有するマトリクス状配列の画素電極群に、フォトダイオード等の複数の光電変換素子を規則的に混在させたものがある。この装置は、LCDパネル構造によって画像を表示する一方で、パネル表面の所望の位置に接触するペンの先端で液晶表示用のバックライトの光を反射し、この反射光を周辺に配置された光電変換素子が受光することにより接触位置を検出することができる。
【0018】
押圧検出部13は、接触検出部11の入力面に対する押圧を検出する。押圧検出部13は、例えば、歪みゲージセンサや圧電素子等の押圧に対して反応する素子を用いて構成される。押圧検出部13が、例えば、圧電素子等を用いて構成された場合、押圧検出部13の圧電素子は、接触検出部11に対する押圧に係る荷重(力)の大きさ(または、荷重(力)の大きさが変化する速さ(加速度))に応じて、電気的な特性である電圧の大きさ(電圧値(以下、押圧に基づくデータと称する))が変化する。押圧検出部13は、検出した入力面に対する押圧に基づくデータを制御部15に出力する。
なお、押圧検出部13は、接触検出部11の検出方式に応じて、例えば、抵抗膜方式の場合は、接触面積の大きさに応じた抵抗の大きさ、または抵抗の大きさが変化した範囲等を、入力面に対する押圧の荷重(力)に対応付けることにより、歪みゲージセンサや圧電素子等を用いることなく構成することができる。あるいは静電容量方式の場合、接触面積の大きさに応じた静電容量(電荷)の大きさ、または静電容量(電荷)の大きさが変化した範囲等を、入力面に対する押圧の荷重(力)に対応付けることにより、歪みゲージセンサや圧電素子等を用いることなく構成することができる。つまり、押圧検出部13は、接触検出部11であってもよく、また、接触検出部11からの出力信号の変化から押圧を検出している点を考慮すると制御部15であっても良い。また、接触検出部11および制御部15の2つの構成により、押圧検出部13の機能を実現してもよい。
【0019】
記憶部14は、半導体メモリ等で構成することができ、入力された各種情報や電子機器1を動作させるプログラム等を記憶すると共に、ワークメモリとしても機能する。特に、本実施形態では、入力オブジェクト毎に設定される、押圧に基づくデータに対する基準と、アプリケーション毎に管理される使用頻度情報とが記憶されている。
【0020】
制御部15は、押圧検出部13が押圧に基づくデータを制御部15に通知することにより、または、制御部15が、押圧検出部13の押圧に基づくデータを検出することにより、当該押圧に基づくデータを取得する。つまり、制御部15は、接触検出部11に対する押圧に基づくデータを押圧検出部13から取得する。なお、押圧に基づくデータは、電圧値の代わりに、押圧に係る荷重の大きさ、電力値、抵抗値等でもよい。制御部15は、接触検出部11により表示部12に表示された入力オブジェクトに対応する位置の接触が検出され、押圧検出部13により検出される押圧に基づくデータが所定の基準を満たすと(満たすことを条件に)、入力オブジェクトに関連付けられた処理を行ない、入力オブジェクトに関連付けられた処理の頻度に応じて、当該入力オブジェクトの所定の基準を変更する機能を有する。このとき、制御部15は、隣り合う前記入力オブジェクトを所定の基準が異なるように配置してもよい。
【0021】
ここで、「押圧検出部13により検出される押圧に基づくデータが所定の基準を満たす」場合とは、例えば、所定の基準を閾値にみたて、押圧検出部13により検出される押圧に基づくデータ値が閾値以上である場合であっても良く、押圧検出部13により検出される押圧に基づくデータ値が閾値を超えた場合でも良い。また、「押圧検出部13により検出される押圧に基づくデータが所定の基準を満たさない」場合とは、例えば、所定の基準をある閾値にみたて、押圧検出部13により検出される押圧に基づくデータ値が閾値以下、または未満である場合であっても良く、押圧検出部13により検出される押圧に基づくデータ値が閾値を上回った後に下回った場合でも良い。
【0022】
本実施形態に係る入力オブジェクトの基準について図2のグラフを参照しながら説明する。一般的に、ユーザは、接触検出部11の入力面を押圧する操作を行う際、入力面に触れてから、入力操作が受け付けられたと判断できる時点までは、入力面に対する押圧力を増大し続ける。すなわち、入力面を押し込む動作を行う。ここで、ユーザは、例えば、表示部10の表示が変化したり、図示しない触感呈示部によりユーザの指等の接触物に触感が呈示されたりすることにより、電子機器1により入力操作が受け付けられたと判断する。また、ユーザは、入力操作が受け付けられたと判断した時点からは、入力面に対する押圧力を低減する。つまり、入力面から指を離そうとするリリース操作を行う。
【0023】
したがって、押圧検出部13が検出する押圧に基づくデータは、例えば、電子機器1がユーザの入力操作を検出したことを通知するために、押圧に基づくデータが基準P2を満たした際に、表示部10の表示を変化させる等の処理を行う場合、図2に示す曲線Aのように、時間経過にしたがって右上がりに増大し、基準P1を超え、更に基準P2(基準P1<基準P2)を超えたところで最大値になり、その後、右下がりに減少し、基準P2、基準P1を通って最終的には0になる。また、同様に、例えば、電子機器1がユーザの入力操作を検出したことを通知するために、押圧に基づくデータが基準P1を満たした際に、表示部10の表示を変化させる等の処理を行う場合、図2に示す曲線Bのように、時間経過にしたがって右上がりに増大し、基準P1を超えたところで最大値になり、その後、右下がりに減少し、基準P1を通って最終的には0になる。
【0024】
本実施形態では、後述する入力オブジェクトの基準設定処理を行う前提として、まず、表示部12に表示されている入力オブジェクトに対し、予め基準P0を設定する。このとき、基準P0は、ユーザが表示部12に対して通常の入力操作を行う際の通常の押圧力に基づき設定される。この設定に基づき、ユーザが所定の入力操作を行う際の通常の押圧力に対応する基準P0を超える押圧に基づくデータが押圧検出部13によって検出された場合に、制御部15は、表示部12に表示されている入力オブジェクトが押下されたと判定する。
【0025】
また、例えば、押圧された入力オブジェクトに関し基準P0を割り込んだ押圧に基づくデータが押圧検出部13によって検出された場合に、またはユーザの指やスタイラスペン等の接触物の接触の解除が接触検出部11によって検出された場合に、制御部15は、押下されたと判定した入力オブジェクトに対する入力操作が終了(確定)したと判定し、入力オブジェクトに関連付けられた処理を行う。このように、基準P0を設定することにより、ユーザが接触検出部11の入力面に極軽く触れただけで入力オブジェクトに関連付けられた処理が行われることを防ぎ、これによりユーザの意図しない処理を回避することができる。
【0026】
次に、ユーザが接触検出部11の入力面に対して通常の入力操作を行う際の普段の押圧力よりも大きな(強い)押圧力に基づいて、基準P1、P2(但し、P1<P2)を設定する。この基準P1,P2は、隣り合う入力オブジェクトが跨って押圧された場合に、その押圧力によって起動する処理を選択するために使用され、入力オブジェクトに関連付けられた処理(アプリケーション)の使用頻度によりその基準が設定される。ここでは、所定の頻度閾値と比較して使用頻度が高い処理に対応する入力オブジェクトついては基準を低く、使用頻度が低い処理については基準を高く設定している。このため、隣り合う入力オブジェクトが跨って押圧された場合にユーザの操作による押圧に応じて実行される処理を選択できるため、ユーザに利便性を提供できる。
【0027】
本実施形態では、隣り合う入力オブジェクトに跨って押圧された(隣り合う入力オブジェクトに跨った接触がされた)場合、入力オブジェクトに関連付けられた処理の(使用)頻度)に応じて、入力オブジェクトに対してそれぞれ基準が設定される。ここで、一方の入力オブジェクトに関連付けられた処理の使用頻度が所定の頻度閾値より高く、他方の入力オブジェクトに関連付けられた処理の使用頻度が所定の頻度閾値より低かった場合には、例えば、前記一方の入力オブジェクトに基準P1が設定され、前記他方の入力オブジェクトに基準P2が設定される。そして、制御部15は、押圧検出部13が検出する押圧に基づくデータが、基準P1を満たした後に基準P2を満たすことなく、接触検出部11が接触の解除を検出した(接触を検出しなくなった)場合には、基準P1が設定された入力オブジェクトに関連付けられた処理を実行する。また、制御部15は、押圧検出部13が検出する押圧に基づくデータが、基準P1および基準P2を満たした後に、接触検出部11が接触の解除を検出した場合には、基準P2が設定された入力オブジェクトに関連付けられた処理を実行する。
【0028】
このように、制御部15は、隣り合う入力オブジェクトに跨って押圧された場合、押圧検出部13が検出する押圧に基づくデータに基づき、隣り合う入力オブジェクトにそれぞれ関連付けられた処理のうち、一方だけを実行することができる。制御部15は、押圧検出部13が検出する押圧に基づくデータが、基準P2を満たすことなく基準P1のみ満たした場合には、基準P1が設定された入力オブジェクトに関連付けられた処理のみ実行でき、基準P1および基準P2を満たした場合には、基準P2が設定された入力オブジェクトに関連付けられた処理のみ実行できる。
【0029】
(実施形態の動作)
図3、図4は、本実施形態に係る電子機器1の動作を示すフローチャートであり、基準設定処理動作(図3)、処理選択動作(図4、図5)のそれぞれを示す。以下、図3〜図5のフローチャートを参照しながら、本実施形態に係る電子機器1の動作について詳細に説明する。
【0030】
まず、図3のフローチャートを参照して、本実施形態に係る入力オブジェクトの基準設定処理動作について説明する。ここでいう基準設定処理は、制御部15が、入力オブジェクトで構成されるユーザインタフェースを表示部12に表示するアプリケーションを起動する命令(要求)を受信することにより開始される。なお、この命令は、例えば、ユーザの電子機器1に対する操作に基づくものである。制御部15は、ユーザインタフェースを表示するアプリケーションを起動する命令を受信すると、記憶部14に記憶されている各種ユーザインタフェース(UI)のUIテンプレートの中から、上記した要求に対応するテンプレート、ならびに頻度管理テーブルとを読み込む(ステップS101)。
【0031】
なお、頻度管理テーブルとは、アプリケーション毎に処理を行った回数、その処理に要した時間などのアプリケーションの処理の頻度を示す情報が記憶されるテーブルである。
制御部15は、アプリケーションが起動される毎に、アプリケーションの使用頻度を管理するためにアプリケーション毎に割り当てられたカウンタを+1更新し、その処理に要する時間(例えば、アプリケーションが起動してから終了するまでの時間)をタイマで監視している。すなわち、制御部15は、アプリケーションが起動される毎に、その回数と累積処理(起動)時間とを監視しており、記憶部14の所定の領域(ワークメモリ)に頻度管理テーブルとして割り付け、記憶しているものとする。
【0032】
次に制御部15は、読み込んだUIテンプレートに含まれる入力オブジェクトが複数であるか否かを判定する。(ステップS102)。ここで、UIテンプレートに含まれる入力オブジェクトが複数である場合(ステップS102“YES”)、制御部15は、隣り合って配置された入力オブジェクトが所定の間隔d未満で配置される仕様になっているか否かを判定する(ステップS103)。なお、所定の間隔については後述する。
【0033】
UIテンプレートに含まれる入力オブジェクトが複数で、かつ、隣り合う入力オブジェクトが所定の間隔d未満で配置される場合(ステップS103“YES”)、制御部15は、処理の頻度に応じた入力オブジェクトの基準の設定を行う(ステップS105)。基準を設定するにあたり、制御部15は、先に読み込んだ頻度管理テーブルを参照することにより、アプリケーション毎の処理回数と予め定義された頻度閾値とを比較し、処理回数が頻度閾値以上の場合、基準を低く設定し(例えば、基準P1)、処理回数が頻度閾値未満の場合、処理回数が頻度閾値以上の場合と比較して基準を高く設定する(例えば、基準P2)。
【0034】
続いて制御部15は、隣り合う入力オブジェクトに関し、設定した基準の中に同じ基準値(基準)があるか否かを判定する(ステップS106)。そして、同じ基準値があれば(ステップS106“YES”)、これら入力オブジェクトに対して設定される基準値が相違するように各入力オブジェクトの再配置を行う(ステップS107)。入力オブジェクトの再配置にあたり、例えば、後述する図6(b)(c)に示されるように、設定された基準毎にグルーピングして交互に配置して隣接する入力オブジェクトの押圧に基づくデータに差をつけることが考えられる。詳細は後述する。
【0035】
上記のように基準の設定が完了した後、制御部15は、これらの各入力オブジェクトを表示部12に表示して、ユーザからの入力操作を受け付ける状態とする。(ステップS108)。なお、ステップS102の「入力オブジェクトの判定処理」において入力オブジェクトが複数でないと判定された場合(ステップS102“NO”)、すなわち入力オブジェクトが1つしかない場合は、当該入力オブジェクトに通常の基準(P0)を設定してから(ステップS104)、ステップS108の「入力オブジェクトの表示」処理に移行する。また、ステップS103の「隣り合うオブジェクトの間隔判定処理」において、複数の入力オブジェクトが互いに所定の間隔以上の間隔で配置される場合にも(ステップS103“NO”)、それらの入力オブジェクトに通常の基準(P0)を設定してから(ステップS104)、ステップS108の「入力オブジェクトの表示」処理に移行する。
【0036】
以上の処理により、複数の入力オブジェクトが隣り合って配置される場合に、各入力オブジェクトに設定される基準が相違する態様で配置される。なお、上記した所定の間隔とは、入力オブジェクト同士の間隔が当該所定の間隔d未満の場合、ユーザが入力操作を誤って、意図する入力オブジェクトとは異なる入力オブジェクトを押圧してしまう可能性が高まるとして設定する間隔である。ここで、所定の間隔として設定される間隔dは、入力オブジェクト同士の端部から端部までの距離とすることができるし、また、入力オブジェクト同士の中心部から中心部までの距離とすることもできる。
【0037】
次に、図4、図5のフローチャートを参照しながら、本実施形態に係る電子機器1の入力オブジェクトの処理選択動作について詳細に説明する。
【0038】
まず、表示部12が画面上に複数の入力オブジェクトからなるメニュー画面(待受画面)を表示しているものとする。ここで、ユーザが接触検出部11の入力面に触れることで所望の入力オブジェクトを選択すると、接触検出部11がこれを検出し、制御部15に、その接触領域内の座標に関する位置情報を出力する。なお、制御部15は、接触領域の重心となる座標に関する位置情報も出力してもよい(図4のステップS201)。制御部15は、この位置情報を得、接触検出部11により検出された接触領域に対応する表示部12の位置に入力オブジェクトが位置するか否かを判定する(ステップS202)。ここで、入力オブジェクトが無いと判定された場合(ステップS202“NO”)、処理選択動作は終了する。
【0039】
入力オブジェクトありと判定されると(ステップS202“YES”)、制御部15は、入力される位置情報からその入力オブジェクトの押下に跨りがあるか否かを判定する(ステップS203)。ここで、跨りが無いと判定されると(ステップS203“NO”)、制御部15は、その入力オブジェクトに設定された基準を記憶部14から読み出し、また、押圧検出部13で検出される押圧に基づくデータの最大値αmaxを取得する(ステップS204)。続いて、接触検出部11で、接触の解除が検出されると(ステップS205“YES”)、制御部15は、先に取得した通常の基準P0と押圧に基づくデータの最大値αmaxとを比較する(図5のステップS208)。
【0040】
ここで、押圧に基づくデータの最大値αmaxが通常の基準P0以上であると判定されると(ステップS208“YES”)、制御部15は、入力オブジェクトに関連付けられた処理(対応する処理)、すなわち対応するアプリケーションを起動して(ステップS209)、所望の処理を実行する。また、押圧に基づくデータの最大値αmaxが通常の基準P0未満であると判定されると(ステップS208“NO”)、接触は無効として何もせず、上記した一連の入力オブジェクトの処理選択動作を終了する。
【0041】
一方、図4のステップS203の「入力オブジェクトの跨りの有無判定処理」において、接触検出部11の出力により入力オブジェクトに跨る接触であると判定されると(ステップS203“YES”)、制御部15は、跨って配置された隣り合う入力オブジェクトに対する接触であると判断し、該当するそれぞれの入力オブジェクトに設定された基準P1,P2を記憶部14から読み出すと共に、押圧検出部13で検出された押圧に基づくデータの最大値βmaxを取得する(ステップS206)。
【0042】
続いて、ユーザの指が入力面から離れ(リリース)、接触検出部11で接触の解除が検出されると(ステップS207“YES”)、制御部15は、先に読み出した基準P1とP2とを比較する(図5のステップS210)。ここで、基準P1とP2が同じ基準値であると判定された場合(ステップS210“YES”)、制御部15は、接触領域(面積)が大きい方(または重心が有る方)の入力オブジェクトに関連付けられたアプリケーションを有効である判定して対応するアプリケーションを起動する(ステップS211)。
【0043】
一方、ステップS210で基準P1とP2(但し、P1<P2)が異なる基準値(基準)であると判定されると(ステップS210“NO”)、制御部15は、引き続き、基準P2と、押圧検出部13で検出された押圧に基づくデータの最大値βmaxとを比較する(ステップS212)。ステップS212で、押圧に基づくデータの最大値βmaxが通常の基準P2以上であると判定されると(ステップS212“YES”)、制御部15は、高い基準P2が設定された入力オブジェクトに関連付けられた処理、すなわち、使用頻度の低いアプリケーションを起動して(ステップS213)、所望の処理を実行する。
【0044】
一方、押圧に基づくデータの最大値βmaxが基準P2未満であると判定されると(ステップS212“NO”)、制御部15は、更に、基準P1と押圧に基づくデータの最大値βmaxとを比較する(ステップS214)。ここで、押圧に基づくデータの最大値βmaxが、基準P1以上であり、基準P1と基準P2との間にあると判定されると(ステップS214“YES”)、制御部15は、低い基準P1が設定された入力オブジェクトに関連付けられた処理、すなわち、使用頻度の高いアプリケーションを起動して(ステップS215)、所望の処理を実行する。また、押圧に基づくデータの最大値βmaxが通常の基準P0未満であると判定されると(ステップS214“NO”)、接触は無効として何もせずに上記した一連の入力オブジェクトの処理選択動作を終了する。
【0045】
なお、図示省略したが、S209、S211、S213、S215の「アプリケーション起動処理」の後、制御部15は、それぞれに対応するアプリケーションが起動される毎に、その回数と累積処理時間とを監視しており、記憶部14に記憶される頻度管理テーブルを更新している。
【0046】
なお、上記した本実施形態に係る電子機器1によれば、制御部15は、複数の入力オブジェクトに跨る接触を検出し、それぞれの入力オブジェクトに設定された基準が同じである場合に、接触領域(面積)が大きい方の入力オブジェクトまたは接触領域の重心が有る方の入力オブジェクトに対応する処理を実行するものとして説明したが、両方の入力オブジェクトに対応する処理を行なわない、あるいは直近に実行した入力オブジェクトに対応する処理を優先して実行しても良い。
【0047】
また、本実施形態に係る電子機器1によれば、所定の基準を満たした後、接触検出部11により検出されていた接触が検出されなくなったタイミングで対応する処理を実行するものとして説明したが、接触検出部11により接触が検出された直後のタイミングで対応する処理を実行しても良い。但し、この場合において、複数の入力オブジェクトに跨る接触を検出した場合で、いずれの基準P1,P2(但し、P1<P2)も満たしたときは、基準P1が設定された入力オブジェクトの処理は無効化される。また、所定の基準を満たした後、所定の基準に対応する他の基準を満たさなくなったタイミングで入力オブジェクトに対応する処理を実行してもよい。また、制御部15は、所定の基準を満たした後、当該所定の基準を満たさなくなった際に、入力オブジェクトに対応する(関連付けられた)処理を実行してもよい。この場合、例えば、制御部15は、押圧検出部13が検出する押圧に基づくデータが、基準P2を満たすことなく基準P1のみ満たした場合には、基準P1を満たさなくなった際に基準P1が設定された入力オブジェクトに関連付けられた処理を実行する。
【0048】
なお、本実施形態に係る電子機器1によれば、図3に示す基準の設定処理と、図4、図5に示す入力オブジェクトの選択処理動作とは独立して動作するものとして説明したが、基準の設定処理は、入力オブジェクトの選択処理動作の中に組み込まれて実行されてもよい。つまり、基準の設定処理は、処理選択動作に先立ち実行されてもよいが、入力オブジェクトの選択処理動作と並行して動的に設定されてもよい。
【0049】
図6は、本発明の実施形態に係る電子機器1の入力オブジェクトの配置と処理選択動作とを模式図で示したものである。図6において、(a)(b)(c)(d)共に、○枠は入力オブジェクトを示し、○枠が濃く塗り潰されるにしたがい対応するアプリケーションの使用頻度が低く、強い押圧力が必要とされるものとする。
【0050】
上記したように、本実施形態に係る電子機器1によれば、ユーザが待受画面に示される入力オブジェクトに触れ、離したタイミングで対応するアプリケーションが起動されるが、アプリケーションの使用頻度に応じて基準を相違させることで、頻繁に使用するアプリケーションは軽く触れることで起動させ、頻繁に使用しないアプリケーションは強く触れることで起動させることができる。但し、図6(a)に示す入力オブジェクトが配列された待受画面において、隣り合う入力オブジェクトに対する基準が同じである場合、ユーザが意図しない入力オブジェクトが選択されて対応する処理が実行されることがある。
【0051】
このため、図6(b)に示されるように、入力オブジェクトを、予め設定された基準のグループ毎に交互に配置することで、隣り合う入力オブジェクトの基準に差がついて誤操作を回避することが出来る。また、図6(c)に示されるように、基準のグループを2つに限定することで、隣り合う入力オブジェクトに極端な差をつけることが出来、この場合、ユーザに利便性を提供でき、誤操作を回避することが出来る。
【0052】
また、図6(d)に示されるように、アプリケーションの使用頻度に応じて対応する入力オブジェクトを透過させ、あるいは、押圧に基づくデータが基準を満たした場合にその入力オブジェクトの輪郭を強調表示して指を離した際に対応するアプリケーションを起動することによりユーザの視認性を高めることが出来る。また、図1に示す電子機器1が有する構成に、押圧に基づくデータが所定の基準を満たすような押圧力で押圧されたことを検出してユーザに振動による触感応答を与える触感呈示部を付加することによっても、同様の効果が得られる。
【0053】
(実施形態の効果)
以上説明のように本実施形態に係る電子機器1によれば、押圧検出部13により検出される押圧に基づくデータが所定の基準を満たすと(満たすことを条件に)、入力オブジェクトに関連付けられた処理を行う制御部15が、入力オブジェクトに関連付けられた処理の頻度に応じて当該入力オブジェクトの所定の基準を変更する。このため、例えば、処理の頻度が高い入力オブジェクトの基準を低く変更することで、処理の頻度が高い入力オブジェクトは軽く押圧するだけで関連付けられた処理が実行され、処理の頻度が低い入力オブジェクトは強く押圧することで関連付けられた処理が実行される。したがって、ユーザの操作にかかる押圧により、実行される入力オブジェクトに関連付けられた処理を選択することが出来、隣り合う入力オブジェクトに跨る接触を検出しても、誤って意図しない入力オブジェクトを選択する誤操作を回避出来、その結果、ユーザが意図する処理を選択することが出来るため、ユーザに利便性を提供することができる。
【0054】
また、本実施形態に係る電子機器1によれば、制御部15は、隣り合う入力オブジェクトの基準が異なるように配置することで、隣り合う入力オブジェクトを選択するための基準に差が出来、ユーザが隣り合う入力オブジェクトに跨って接触した場合でも誤って選択することがなくなる。また、押圧に基づくデータが基準を満たした場合にその入力オブジェクトの輪郭を強調表示することにより、または、押圧に基づくデータが所定の基準を満たすような押圧力で押圧されたことを検出してユーザに振動による触感応答を与えることで、ユーザに押圧の程度を通知することが出来、利便性が向上する。
【0055】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。またその様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0056】
本実施形態では、隣り合う入力オブジェクトに跨った押圧(接触)がされた場合に基準P1、基準P2を用い、そうでない場合、基準P0を用いたが、本発明はこれに限定されず、隣り合う入力オブジェクトに跨った押圧がされた場合とされなかった場合とで異なる基準を用いなくてもよい。
【0057】
また、本発明は、入力オブジェクトに関連付けられた処理の頻度が高まると共に、例えば、使用(起動)回数が増えると共に、当該入力オブジェクトの基準を低くしていってもよい。また、本発明は、入力オブジェクトに関連付けられた処理の頻度が高まると共に、当該入力オブジェクトと異なる他の入力オブジェクトの基準を高くしていってもよい。
【0058】
また、本発明は、隣り合う入力オブジェクトに跨った押圧がされた場合に、一方の入力オブジェクトの方が、他方の入力オブジェクトより、関連付けられた処理の頻度が高い場合には、当該一方の入力オブジェクトの方の基準を当該他方の入力オブジェクトより低く設定してもよい。
【0059】
また、本実施形態では、隣り合う入力オブジェクトが所定の間隔未満の場合(入力オブジェクトが互いに隣接している場合を含む)に、処理の頻度に応じた基準を入力オブジェクトに設定したが、本発明はこれに限定されず、隣り合う入力オブジェクトが所定の間隔以上の場合にも、処理の頻度に応じた基準を入力オブジェクトに設定してもよい。つまり、本発明は、隣り合う入力オブジェクトの間隔に依存することなく、処理の頻度に応じた基準を入力オブジェクトに設定してもよい。
【0060】
また、本発明は、隣り合う入力オブジェクトの基準が同じ場合、隣り合う入力オブジェクトの基準が異なるように入力オブジェクトを配置するが、ここで、隣り合う入力オブジェクトの基準が異なるように入力オブジェクトを配置する態様には、例えば、隣り合う入力オブジェクトの間隔を、所定の間隔以上として配置する態様が含まれる。
【符号の説明】
【0061】
1 電子機器
11 接触検出部
12 表示部
13 押圧検出部
14 記憶部
15 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の入力オブジェクトを表示する表示部と、
接触を検出する接触検出部と、
前記接触検出部に対する押圧を検出する押圧検出部と、
前記接触検出部により前記表示部に表示された入力オブジェクトに対応する位置の接触が検出され、前記押圧検出部により検出される押圧に基づくデータが前記入力オブジェクトの所定の基準を満たすと、前記入力オブジェクトに関連付けられた処理を行う制御部と、を有し、
前記制御部は、前記入力オブジェクトに関連付けられた処理の頻度に応じて、前記入力オブジェクトの前記所定の基準を変更することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記制御部は、
隣り合う前記入力オブジェクトを前記所定の基準が異なるように配置することを特徴とする請求項1記載の電子機器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−12191(P2013−12191A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−121267(P2012−121267)
【出願日】平成24年5月28日(2012.5.28)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】