説明

電子機器

【課題】側端面に境界線が生じない筐体に取り付けるスイッチ部において確実な固定や良好な防水性を得ることができる電子機器を提供する。
【解決手段】筐体20の外郭21に着脱可能に設けられた外郭部材23に隣接してスイッチ部30を設ける際に、スイッチ部30に、スイッチ本体31と、スイッチ本体31を囲むスイッチカバー32を設けた。そして、スイッチカバー32の縁部324を、外郭部材23で覆うようにしたので、確実な固定や良好な防水性を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体の側端面にスイッチが設けられた電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、筐体の側端面にスイッチが設けられた電子機器が広く知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、図6に示す電子機器100のように、ケース101とカバー102によって構成される筐体103の側端面104に生じる境界線105に沿って、スイッチ106を配置することがある。
スイッチ106は、筐体103の内部に設けられているスイッチ端子107を外部から押圧するためのスイッチ本体108と、筐体103の内部を防水するための防水部材109を有する。
この場合、ケース101とカバー102とを組み合わせる構造であるため、ケース101とカバー102とが分離しない限り、スイッチ本体108が外れる虞もなく、良好な防水性も容易に得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4480038号公報(第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年では、筐体の側端面に境界線が生じない電子機器が提案されている。このような電子機器では、筐体に設けた貫通孔を覆うようにスイッチ部を設ける関係上、前述したようなケース&カバーの組み合わせに伴うスイッチ本体の確実な固定や良好な防水性が得にくいという問題があった。
【0005】
本発明は、従来の問題を解決するためになされたもので、境界線を有していない筐体の側端面に取り付けるスイッチ部において確実な固定や良好な防水性を得ることができる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電子機器は、筐体と、前記筐体の外郭を形成するとともに、前記筐体に対して着脱可能な外郭部材と、前記外郭部材に隣接するスイッチ部とを備え、前記スイッチ部が、スイッチ本体と、前記スイッチ本体を囲むスイッチカバーとを有し、前記スイッチカバーの縁部が前記外郭部材に覆われているものである。
【0007】
また、本発明の電子機器は、前記外郭部材が、前記筐体に対して着脱可能となる着脱位置と、前記筐体に固定される固定位置との間で前記筐体に対して移動する電池蓋であり、前記スイッチカバーが、前記電池蓋に覆われるフランジを有し、前記筐体に前記フランジに隣接するリブが設けられているものである。
【0008】
さらに、本発明の電子機器は、前記リブが、前記着脱位置と前記固定位置との間で前記電池蓋を案内するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、筐体の外郭に着脱可能に設けられた外郭部材に隣接してスイッチ部を設ける際に、スイッチ部に、スイッチ本体と、スイッチ本体を囲むスイッチカバーを設けた。そして、スイッチカバーの縁部を、外郭部材で覆うようにしたので、確実な固定や良好な防水性を得ることができるという効果を有する電子機器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る実施形態の携帯端末を下筐体側から見た分解斜視図
【図2】スイッチ部を外側から見た分解斜視図
【図3】スイッチ部を内側から見た分解斜視図
【図4】スイッチ部および下筐体におけるスイッチ部取り付け位置の斜視図
【図5】下筐体に取り付けられたスイッチ部の斜視図
【図6】(A)は従来のスイッチ部の取り付け構造を示す斜視図であり、(B)はB−B位置の断面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る実施形態の電子機器について、図面を用いて説明する。
図1に示すように、本発明に係る実施形態の電子機器である携帯端末10は、筐体である下筐体20と、上筐体11と、下筐体20と上筐体11とを相対的に回動可能に支持する連結部12を有する。
上筐体11は、閉状態(図1に示す状態)において、下筐体20の内面と対向する内面に、液晶表示板からなる表示部(図示省略)を有する。
【0012】
下筐体20は、底板21と、底板21の外周縁に沿って内側へ立設された側壁22とから、外郭を形成する。側壁22の内側端、すなわち、閉状態(図1に示す状態)において、上筐体11の内面と対向する下筐体20の内面は開口しており、複数のキーを備えた操作部(図示省略)が取り付けられる。
また、下筐体20の底板21には、下筐体20の外郭を形成するとともに、外郭の一部を構成する電池カバー23が下筐体20に対して着脱可能に設けられている。電池カバー22は、下筐体20に対して着脱可能となる着脱位置26(図5参照)と、下筐体20に固定される固定位置27(図5参照)との間で、下筐体20の長手方向に沿ってスライド可能となっている。
【0013】
下筐体20の側壁22には、電池カバー22に隣接してスイッチ部30が設けられている。スイッチ部30は、スイッチ本体31と、スイッチ本体31を囲むスイッチカバー32を有する。
図2および図3にも示すように、スイッチ本体31は、本体基部33と、取付部34を有する。本体基部33には、外側へ突出する矩形状の嵌合凸部331と、内側に突出する押圧部332が設けられている。嵌合凸部331を押圧すると、押圧部332がスイッチ端子カバー40(図4参照)を押圧する。
【0014】
スイッチ端子カバー40の内側には、防止処理して下筐体20の内部に収容されているスイッチ端子(図示省略)が接触しており、スイッチ端子カバー40を押圧することによりスイッチ端子を押圧して、オン・オフを切り替える。
すなわち、スイッチ端子カバー40が下筐体20に対して密着することにより止水性を得ているため、下筐体20の内部に収容されているスイッチ端子に防水性が得られる。
取付部34は、連結部35を介して本体基部33に連結されており、位置決め・固定用の嵌合穴341を有する。
【0015】
スイッチカバー32には、内側からスイッチ本体31を取り付けた際に、本体基部33の嵌合凸部331を外側に露出させる矩形状の窓部321が開口して設けられている。また、スイッチカバー32の内面322には、スイッチ本体31の取付部34に設けられている嵌合穴341に嵌合させて位置決め・固定する嵌合突起323が設けられている。
【0016】
従って、スイッチ本体31の嵌合凸部331をスイッチカバー32の窓部321に内側から挿入し、スイッチ本体31の取付部34の嵌合穴341にスイッチカバー32の嵌合突起323を嵌合させることにより、スイッチ部30が構成される。
なお、嵌合凸部331の周囲の一部には、外側に板状に突出するストッパ片333が設けられており、嵌合凸部331をスイッチカバー32の窓部321に挿入した際に、嵌合凸部331が窓部321から外側へ貫通して脱落しないようにしている。
【0017】
スイッチカバー32の縁部(図2において上側の縁部)には、フランジ324が設けられている。また、スイッチカバー32の長手方向両端面には、スイッチ部30を下筐体20に取り付けるための係止凹部325が設けられている。
図4に示すように、下筐体20の側壁22には、側壁22を切り欠いてスイッチ取付部24が設けられている。スイッチ取付部24の内壁241には、下筐体20の内部に収容されているスイッチ(図示省略)をオン・オフするスイッチ端子カバー40が取り付けられている。内壁241においてスイッチ端子カバー40の上方には、リブ25が設けられている。
また、スイッチ取付部24の左右両端面242(図4には右端面のみ表示)には、スイッチ部30を取り付けるための係止凸部243が設けられている。
【0018】
従って、スイッチ部30を下筐体20のスイッチ取付部24に取り付ける際には、スイッチ本体31が組み込まれたスイッチカバー32の係止凹部325を、スイッチ取付部24の係止凸部243に上方から挿嵌する。
図5に示すように、スイッチ部30を、下筐体20のスイッチ取付部24に取り付けると、スイッチ部30の上部のフランジ324の上側に、リブ25が隣接して位置する。
【0019】
スイッチ部30を取り付けた状態で、電池カバー23を下筐体20に取り付ける際には、図1中矢印Aに示すように、電池カバー23を下筐体20の長手方向へスライドさせる。
そして、図5に示すように、電池カバー23の内面に設けられている係合突起231(図1参照)が、下筐体20のリブ25の手前(図5において右側)の着脱位置26に達したら、電池カバー23を下方(図5中矢印B参照)へ押し下げながらスライドさせる。
【0020】
これにより、係合突起231をリブ25の下側に挿入し、さらに係合突起231が固定位置27に達するまでスライドさせて(図5中矢印C参照)、電池カバー23を完全に取り付ける。なお、リブ25は、電池カバー23を完全に取り付けた状態でも、係合突起231を係止する長さに設定する。
電池カバー23は、係合突起231がリブ25の下面に沿ってスライドするとともに、電池カバー23の下端部が、スイッチカバー32の縁部であるフランジ324を外側から覆う。
【0021】
以上、説明した本発明に係る携帯端末10によれば、下筐体20の底板21に着脱可能に設けられた電池カバー23に隣接してスイッチ部30を設ける際に、スイッチ部30に、スイッチ本体31と、スイッチ本体31を囲むスイッチカバー32を設けた。
そして、スイッチカバー32のフランジ324を、電池カバー13で覆うようにしたので、確実な固定や良好な防水性を得ることができる。
【0022】
また、本発明に係る携帯端末10によれば、下筐体20に対して着脱可能となる着脱位置26と、下筐体20に固定される固定位置27との間で下筐体20に対して移動する電池カバー23を外郭部材として設けた。そして、スイッチカバー32に設けたフランジ324を電池カバー23で覆うので、スイッチカバー32の脱落を防止できる。
また、下筐体20には、このフランジ324に隣接するリブ25が設けられているので、容易かつ確実にスイッチカバー32の位置決めを行うことができる。
また、リブ25が、指や爪がスイッチカバー32に引っ掛かるのを防止するので、スイッチカバー32の脱落を防止する。
【0023】
また、本発明に係る携帯端末10によれば、下筐体20に設けられているリブ25が、着脱位置26と固定位置27との間で電池カバー23を案内する。
このため、電池カバー23の着脱の際に、スイッチ部30に当接することなく、電池カバー23を確実に案内できる。
【0024】
なお、本発明の電子機器は、前述した実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形,改良等が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0025】
以上のように、本発明にかかる電子機器は、筐体の外郭に着脱可能に設けられた外郭部材に隣接してスイッチ部を設ける際に、スイッチ部に、スイッチ本体と、スイッチ本体を囲むスイッチカバーを設けた。そして、スイッチカバーの縁部を、外郭部材で覆うようにしたので、確実な固定や良好な防水性を得ることができるという効果を有し、筐体の側端面にスイッチが設けられた電子機器等として有用である。
【符号の説明】
【0026】
10 携帯端末(電子機器)
20 下筐体(筐体)
21 底板(外郭)
22 側壁(外郭)
23 電池カバー(外郭部材、電池蓋)
25 リブ
26 着脱位置
27 固定位置
30 スイッチ部
31 スイッチ本体
32 スイッチカバー
324 フランジ(縁部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体の外郭を形成するとともに、前記筐体に対して着脱可能な外郭部材と、
前記外郭部材に隣接するスイッチ部とを備え、
前記スイッチ部が、スイッチ本体と、前記スイッチ本体を囲むスイッチカバーとを有し、
前記スイッチカバーの縁部が前記外郭部材に覆われている電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器において、
前記外郭部材が、前記筐体に対して着脱可能となる着脱位置と、前記筐体に固定される固定位置との間で前記筐体に対して移動する電池蓋であり、
前記スイッチカバーが、前記電池蓋に覆われるフランジを有し、
前記筐体に前記フランジに隣接するリブが設けられている電子機器。
【請求項3】
請求項2に記載の電子機器において、
前記リブが、前記着脱位置と前記固定位置との間で前記電池蓋を案内する電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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