説明

電子機器

【課題】 センサモジュールの検出感度の向上を図ることができる電子機器を提供する。
【解決手段】 電子機器は、表示パネル及びセンサモジュールを備える。表示パネルは、複数の信号線と、複数の走査線と、複数の画素とを有したアレイ基板ASを具備する。センサモジュールは、それぞれ隣合う複数の画素が設けられた領域内に1つの割合で配置された複数のセンサ回路を具備する。センサ回路は、行方向に延在し、入力手段30による入力動作に応じて結合容量が変化する検知電極DEと、検知電極に接続された接続電極16と、接続電極16を介して検知電極DEに接続され、検知電極DEでの検知電圧を増幅するアンプと、を有する。検知電極DEは、信号線より表示パネルの前記入力手段による接触側に位置している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、PDA(パーソナル・デジタル・アシスタント)及びタブレットPC(パーソナルコンピュータ)のような電子機器は、指や導体等の入力手段を用いて表示画面から直接データを入力可能に構成されている。上記電子機器は、画像を表示する表示パネルに静電容量の変化を検出するセンサ回路を設けている。このため、電子機器は、センサ回路の静電容量の変化を取り出すことで、入力手段にて接触される個所の位置情報を抽出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−271756号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、表示パネルにセンサ回路を設けた場合、検知電極での入力手段の有り無しにおける電位変化量の差を大きくすることができず、センサ回路の検出感度が十分ではない問題がある。
この発明は以上の点に鑑みなされたもので、その目的は、センサ回路の検出感度の向上を図ることができる電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態に係る電子機器は、
画像を表示し、入力手段にて接触される個所の位置情報を抽出する電子機器において、
列方向に延在した複数の信号線と、行方向に延在した複数の走査線と、前記複数の信号線及び前記複数の走査線に接続された複数の画素と、を有したアレイ基板を具備した表示パネルと、
それぞれ隣合う前記複数の画素が設けられた領域内に1つの割合で配置され、前記行方向に延在し、前記入力手段による入力動作に応じて結合容量が変化する検知電極と、前記検知電極に接続された接続電極と、前記接続電極を介して前記検知電極に接続され、前記検知電極での検知電圧を増幅するアンプと、を有した複数のセンサ回路を具備したセンサモジュールと、を備え、
前記検知電極は、前記信号線より前記表示パネルの前記入力手段による接触側に位置していることを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】図1は、第1の実施形態に係る電子機器を示す概略斜視図である。
【図2】図2は、図1に示した電子機器を示す概略構成図であり、アレイ基板を示す平面図である。
【図3】図3は、上記電子機器の画素及びセンサ回路等の等価回路を示す図である。
【図4】図4は、上記電子機器のアレイ基板の一部を示す拡大平面図である。
【図5】図5は、図4の線A−Aに沿った上記電子機器を示す断面図である。
【図6】図6は、第2の実施形態に係る電子機器のアレイ基板の一部を示す拡大平面図である。
【図7】図7は、図6の線B−Bに沿った上記電子機器を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しながら第1の実施形態に係る電子機器について詳細に説明する。
図1に示すように、電子機器は、画像を表示する表示パネルとしての液晶表示パネルPと、液晶表示パネルPに設けられたセンサモジュールMと、バックライトユニットBとを備えている。
【0008】
図1、図2及び図5に示すように、液晶表示パネルPは、アレイ基板ASと、対向基板OSと、液晶層LCとを備えている。アレイ基板AS及び対向基板OSは、それぞれ矩形状に形成されている。アレイ基板ASは、対向基板OSよりも大きな寸法に形成されている。アレイ基板AS及び対向基板OSは、各々の3辺がほぼ重なるように配置されている。
【0009】
図示しないが、アレイ基板ASの残る一辺において、アレイ基板ASは対向基板OSよりも外側へ延出している。アレイ基板ASの延出部及び基板50は、FPC(flexible printed circuit)52で接続されている。液晶表示パネルPは、アレイ基板AS及び対向基板OSに重なった矩形状の表示領域(アクティブエリア)R1を有している。なお、後述する入力領域R2は表示領域R1に重なっている。
【0010】
表示領域R1の外側において、アレイ基板AS側(後述するガラス基板1上)には、XドライバXD及びYドライバYD1、YD2が形成されている。基板50上に形成(搭載)されたIC51(センサ用LSI)は、FPC52を介してXドライバXD及びYドライバYD1、YD2に電気的に接続されている。IC51は、少なくともセンサの出力をデジタル信号に変換する等処理を行う。なお、XドライバXD及びYドライバYD1、YD2には、図示しない他のFPCを介して画像表示用のデータが与えられる。
【0011】
アレイ基板AS及び対向基板OSは、図示しない複数本の柱状スペーサにより所定の間隙を保持して対向配置されている。アレイ基板AS及び対向基板OSは、表示領域R1の周縁部である両基板の周縁部に配置された矩形枠状のシール材31により互いに接合されている。
【0012】
液晶層LCは、アレイ基板AS及び対向基板OS間に挟持され、シール材31で囲まれている。シール材31の一部に形成された液晶注入口32は、封止材33により封止されている。この実施形態において、液晶表示パネルPは、アレイ基板AS側に表示面Scを有している。また、表示面Scは入力面としても機能している。このため、液晶表示パネルPは、フロントアレイ構造と呼ばれる構造を採っており、アレイ基板ASは対向基板OSよりユーザ側に配置されている。
【0013】
バックライトユニットBは、対向基板OSに対してアレイ基板ASの反対側に配置されている。バックライトユニットBは、対向基板OSに対向配置された導光板と、導光板の一側縁に対向配置された光源及び反射板とを備えている。バックライトユニットBは、対向基板OSに向けて光を放出する。
【0014】
液晶表示パネルPは、入射されるバックライトを透過させるかどうかを制御する。液晶表示パネルPは、対向基板OSの外面側に光を透過させることにより、表示領域R1に画像を表示する。
【0015】
図2及び図3に示すように、アレイ基板ASは、互いに直交する行方向X及び列方向Yに沿ってマトリクス状に設けられた複数の画素PXを有している。複数の画素PXは、表示領域R1に重なっている。画素PXは、行方向Xにn個並べられ、列方向Yにm個並べられている(m,n:自然数)。画素PXの数はm×nである。
【0016】
画素PXは、複数色の何れかを表示し、この実施形態において、赤色、緑色及び青色の何れかを表示する。この実施形態において、赤色の画素PX、緑色の画素PX及び青色の画素PXは、行方向Xに繰返し並べられている。赤色の画素PXは後述する赤色の着色層に、緑色の画素PXは後述する緑色の着色層に、青色の画素PXは後述する青色の着色層に、それぞれ重ねられている。
【0017】
アレイ基板ASは、複数(n本)の信号線sと、複数(m本)の走査線gと、複数(m本)の補助容量線cとを有している。信号線sは、列方向Yに延在し、行方向Xに間隔を置いて並んでいる。信号線sは、XドライバXDに接続されている。水平走査期間中や垂直走査期間中、複数の信号線sには、XドライバXDを介して映像信号が与えられる。
【0018】
走査線gは、行方向Xに延在し、列方向Yに間隔を置いて並んでいる。補助容量線cは、走査線gに間隔を置いて並べられている。補助容量線cは、走査線gと同様、行方向Xに延在し、列方向Yに間隔を置いて並んでいる。走査線g及び補助容量線cは、YドライバYD1及びYドライバYD2の少なくとも一方に接続されている。
【0019】
複数の画素PXは、複数の信号線s並びに複数の走査線g及び複数の補助容量線cの交差部近傍に設けられている。画素PXは、信号線s、走査線g及び補助容量線cに接続されている。画素PXは、スイッチング素子GSWと、画素電極EPと、補助容量Csとを有している。
【0020】
スイッチング素子GSWは、走査線g及び信号線sに電気的に接続され、TFT(薄膜トランジスタ)で形成され、ここでは、NMOS型のTFTで形成されている。画素電極EPは、スイッチング素子GSWに電気的に接続されている。補助容量Csは、画素電極EPに電気的に接続されている。補助容量Csは、補助容量線c及び図示しない補助容量電極を有し、容量を形成する。
【0021】
図2乃至図5に示すように、センサモジュールMは、複数のセンサ回路SNと、複数(9n/12本)の容量カップリング線cupと、複数(n/12本)の第1プリチャージ線pre1と、複数(n/12本)の第2プリチャージ線pre2と、複数(m/2本)のプリチャージ制御線pregと、複数(n/12本)の出力線outと、複数(m/2本)の出力制御線outgと、を有している。
【0022】
センサ回路SNは、それぞれ隣合う複数の画素PXが設けられた領域(画素群)内に1つの割合で配置されている。この実施形態において、センサ回路SNは、24画素PX(2行×12列)毎に1つ配置されている。センサ回路SNの数は(m/2)×(n/12)である。
【0023】
プリチャージ制御線pregは、走査線g及び補助容量線cに間隔を置いて並べられている。プリチャージ制御線pregは、行方向Xに延在し、列方向Yに間隔を置いて並んでいる。プリチャージ制御線pregは、YドライバYD1及びYドライバYD2の少なくとも一方に接続されている。プリチャージ制御線pregには、YドライバYD1、YD2からプリチャージ制御信号が与えられる。
【0024】
ここで、プリチャージ制御線pregは、複数の分割部を有している。隣合う分割部同士(断線部)は、接続電極(継手)11により接続されている。これは、後述するゲート絶縁膜のESD(Electro Static Discharge)破壊を抑制するためである。すなわち、後述するプリチャージ制御スイッチPSWの半導体層3とゲート電極6がショートし、プリチャージ制御スイッチPSWが破損することを抑制するためである。
【0025】
出力制御線outgは、走査線g、補助容量線c及びプリチャージ制御線pregに間隔を置いて並べられている。出力制御線outgは、行方向Xに延在し、列方向Yに間隔を置いて並んでいる。出力制御線outgは、YドライバYD1及びYドライバYD2の少なくとも一方に接続されている。出力制御線outgには、YドライバYD1、YD2から出力制御信号が与えられる。
【0026】
ここで、出力制御線outgは、複数の分割部を有している。隣合う分割部同士(断線部)は、接続電極(継手)12により接続されている。これは、後述するゲート絶縁膜のESD破壊を抑制するためである。すなわち、後述する出力制御スイッチOSWの半導体層5とゲート電極8がショートし、出力制御スイッチOSWが破損することを抑制するためである。
【0027】
第1プリチャージ線pre1、第2プリチャージ線pre2、出力線out及び容量カップリング線cupは、信号線sと共用している。第1プリチャージ線pre1、第2プリチャージ線pre2及び出力線outは、1つのセンサ回路SN毎に1本ずつ配置されている。容量カップリング線cupは、1つのセンサ回路SN毎に9本ずつ配置されている。
【0028】
容量カップリング線cupは、後述する検知電極DEとの間に容量を形成し、検知電極DEの電圧をプルアップ又はプルダウンする。なお、この実施形態において、第2プリチャージ線pre2は、検知電極DEに電気的に接続されたゲート電極7との間に容量を形成し、ゲート電極7(検知電極DE)の電圧をプルアップ又はプルダウンするため、容量カップリング線としても機能すると言うことができる。
【0029】
センサ回路SNは、検知電極DEと、プリチャージ制御スイッチPSWと、アンプAMPと、出力制御スイッチOSWとを有している。
検知電極DEは、行方向Xに延在し、入力手段30による入力動作に応じて結合容量が変化するものである。
【0030】
プリチャージ制御スイッチPSWは、TFTで形成され、ここでは、NMOS型のTFTで形成されている。プリチャージ制御スイッチPSWは、第1プリチャージ線pre1及び検知電極DE間に接続され、第1プリチャージ線pre1を介して入力されるプリチャージ電圧としての第1プリチャージ電圧を検知電極DEに与えるかどうか切替える。
【0031】
詳しくは、プリチャージ制御スイッチPSWにおいて、ゲート電極6はプリチャージ制御線pregに接続され、半導体層3のソース領域は第1プリチャージ線pre1に接続され、半導体層3のドレイン領域は接続電極13等を介して検知電極DEに接続されている。プリチャージ制御スイッチPSWは、プリチャージ制御信号に応じて第1プリチャージ電圧を検知電極DEに出力するかどうかを切替える。
【0032】
プリチャージ制御スイッチPSWは、プリチャージ制御線pregを介してゲート電極6にハイ(H)レベルのプリチャージ制御信号が与えられるタイミングで、第1プリチャージ電圧を検知電極DEに与える。プリチャージ制御スイッチPSWは検知電極DEの電位を初期化し、また、詳細を後述するアンプAMPの動作点を制御するものである。
【0033】
アンプAMPは、TFTで形成され、ここでは、NMOS型のTFTで形成されている。アンプAMPのゲート電極7において、一端は接続電極16を介して検知電極DEに接続され、他端は接続電極13を介して半導体層3のドレイン領域に接続されている。アンプAMPのソース電極14は第2プリチャージ線pre2に接続されている。
【0034】
アンプAMPは、第2プリチャージ線pre2を介して与えられる第2プリチャージ電圧をソース電圧として供給され、検知電極DEの電位を増幅してドレイン電極15に出力する。
【0035】
出力制御スイッチOSWは、TFTで形成され、ここでは、NMOS型のTFTで形成されている。出力制御スイッチOSWは、アンプAMPに接続されている。出力制御スイッチOSWは、アンプAMPのドレイン電極15及び出力線out間に接続されている。出力制御スイッチOSWは、増幅された検知電圧を出力するかどうかを切替えるものである。出力制御スイッチOSWは、検知電極DEの静電容量変動を読み取る際に導通状態に切替えられる。
【0036】
詳しくは、出力制御スイッチOSWにおいて、ゲート電極8は出力制御線outgに接続され、半導体層5のソース領域はアンプAMPのドレイン電極15に接続され、半導体層5のドレイン領域は出力線outに接続されている。ここで、出力線outには第3プリチャージ電圧が与えられる。第3プリチャージ電圧を与えることにより、出力線outの電位をリセットすることができる。
【0037】
出力制御スイッチOSWは、出力制御線outgを介してゲート電極にハイ(H)レベルの出力制御信号が与えられるタイミングで導通状態に切替えられる。その際、出力線outの電位は、入力手段30及び検知電極DE間の結合容量Cfの有無や強弱に基づいた検知電極DEの静電容量変動に応じて変動することになる。すなわち、出力線outの電位の変動を取得することにより、入力手段30にて接触される個所の位置情報を抽出することができる。
【0038】
なお、センサモジュールMを用いた入力手段30にて接触される個所の位置情報の抽出は、映像信号の書込みをしていない水平ブランキング期間中や垂直ブランキング期間中等に行われる。
【0039】
検知電極DEにおいて、容量カップリング線cupと交差する個所の幅(列方向Yの長さ)は、容量カップリング線cup間に位置する個所の幅より小さい。これにより、検知電極DEと容量カップリング線cupとの間に形成される寄生容量Cpを小さくすることができる。
【0040】
図4に示すように、容量カップリング線cupは、行方向Xに突き出た複数のシールド電極SLDを有している。検知電極DEは、複数のシールド電極SLDで囲まれている。検知電極DEは、複数のシールド電極SLD(容量カップリング線cup)で静電遮蔽されている。このため、検知電極DEが各々の配線や電極との間に形成する恐れのある寄生容量を抑制することができる。
【0041】
複数の画素PXは、行方向Xに沿って一様に並べられ、列方向Yに沿って1行毎に反転して並べられている。
列方向Yにおいて、センサ部の幅wは、列方向Yに並んだ補助容量Csの2個分と略同一である。
【0042】
次に、上記センサモジュールMが設けられた液晶表示パネルPの積層構造について説明する。
図3乃至図5に示すように、アレイ基板ASは、透明な絶縁基板として、矩形状のガラス基板1を有している。ガラス基板1上に、下地層2が形成されている。下地層2は、ガラス基板1上に成膜されたアンダーコート絶縁膜と、アンダーコート絶縁膜上に形成された半導体層3、4、5、スイッチング素子GSWの半導体層及び補助容量電極と、各半導体層及び補助容量電極を覆ったゲート絶縁膜を含んでいる。この実施形態において、各半導体層及び補助容量電極は、ポリシリコンで形成されている。
【0043】
下地層2(ゲート絶縁膜)上には、MoW(モリブデン・タングステン)で形成された複数の導電層が形成されている。これらの導電層としては、プリチャージ制御線preg、出力制御線outg、ゲート電極6、7、8、検知電極DE、走査線g、補助容量線c等を挙げることができる。
【0044】
導電層が形成された下地層2上には、層間絶縁膜が形成されている。層間絶縁膜は、SiNで形成された絶縁膜9と、SiOで形成された絶縁膜10とが積層して形成されている。
【0045】
層間絶縁膜(絶縁膜10)上には、アルミニウム(Al)で形成された複数の導電層が形成されている。これらの導電層としては、信号線s(第1プリチャージ線pre1、第2プリチャージ線pre2、出力線out、容量カップリング線cup)、接続電極11、12、16、ソース電極14、ドレイン電極15、シールド電極SLD等を挙げることができる。例えば、接続電極16は、一方で絶縁膜9、10を貫通するコンタクトホールを通ってゲート電極7に接続され、他方で絶縁膜9、10を貫通する他のコンタクトホールを通って検知電極DEに接続されている。
【0046】
導電層が形成された層間絶縁膜上には、パッシベーション膜17及び平坦化膜18が順に形成されている。平坦化膜18上には、上部層19が形成されている。上部層19は、平坦化膜18上に形成された共通電極ETと、共通電極ETが形成された平坦化膜18上に形成された絶縁膜と、絶縁膜上に形成され共通電極ETと対向した画素電極EPと、画素電極EPが形成された絶縁膜上に形成された配向膜とを有している。画素電極EPには複数のスリットが形成されている。このため、液晶表示パネルPは、横電界を利用するFFS(Fringe Field Switching)モードを採っている。
【0047】
共通電極ET及び画素電極EPは、光透過性を有する導電材料として、例えばITO(インジウム錫酸化物)で形成されている。画素電極EPはセンサ部には形成されていないが、共通電極ETの一部はセンサ部にも形成されている。但し、共通電極ETは、ゲート電極7及び検知電極DEと対向した複数の欠落部を有している。
【0048】
対向基板OSは、透明な絶縁基板として、矩形状のガラス基板21を有している。ガラス基板21上に、対向パターン22が形成されている。対向パターン22は、ガラス基板21上に形成されたカラーフィルタと、カラーフィルタ上に形成された配向膜とを有している。カラーフィルタは、ブラックマトリクス層と、赤色、緑色、青色の複数の着色層を有している。
ガラス基板1の外面には偏光板を含む光学素子OD1が配置され、ガラス基板21の外面には偏光板を含む光学素子OD2が配置されている。
【0049】
上記のように構成された第1の実施形態に係る電子機器によれば、電子機器は、液晶表示パネルP及びセンサモジュールMを備えている。入力面側は、アレイ基板ASの外面側である。
【0050】
センサ回路SNにおける検知電極DEにおいて、タッチする入力手段30(指や導体)の有り無しでは電位変化量(容量の一端の電位を変化させたときの他端の電位変化量)が異なるため、アンプAMPのゲート電極7の電位には差が生じる。この電位差は、出力制御スイッチOSWを通して、アンプAMPから出力線outに出力信号となって現れる。
【0051】
検知電極DEでの入力手段30の有り無しにおける電位変化量の差(ΔV)を大きくするためには、結合容量Cfをできるだけ大きく、寄生容量Cpをできるだけ小さくする必要がある。
【0052】
そこで、検知電極DEを、信号線sより液晶表示パネルPの入力面側(入力手段30による接触側)に位置するように形成している。これにより、アレイ基板ASの外面側の入力面を入力手段30で接触する場合に、検知電極DEと入力手段30とのカップリングが信号線sでシールドされてしまう量を少なくすることができ、結合容量Cfを大きくすることができる。検知電極DEでの入力手段30の有り無しにおける電位変化量の差を大きくすることができるため、センサモジュールMの検出感度の向上を図ることができ、その結果、S/N比を改善することもできる。
【0053】
アンプAMPのゲート電極7と、検知電極DEは、直接接続されておらず、接続電極16を介して間接的に接続されている。ゲート電極7及び検知電極DEはMoWで形成されているが、接続電極16は、Alで形成されている。ゲート電極7と、検知電極DEとを接続電極16を介して接続することにより、アレイ基板ASの製造工程中の静電破壊(ESD破壊)の発生を低減することができ、静電破壊の広がりを抑制することができる。
上記のことから、センサモジュールの検出感度の向上を図ることができる電子機器を得ることができる。
【0054】
次に、第2の実施形態に係る電子機器について説明する。なお、この実施形態において、他の構成は上述した第1の実施形態と同一であり、同一の部分には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0055】
図6及び図7に示すように、液晶表示パネルPは、対向基板OS側に表示面Scを有している。また、表示面Scは入力面としても機能している。このため、液晶表示パネルPは、リアアレイ構造と呼ばれる構造を採っており、対向基板OSはアレイ基板ASよりユーザ側に配置されている。バックライトユニットBは、アレイ基板ASに対して対向基板OSの反対側に配置されている。バックライトユニットBは、アレイ基板ASに向けて光を放出する。
【0056】
下地層2上には、電極CEが形成されている。電極CEは、ゲート電極7と同一の層に同一材料で形成されている。電極CEは、ゲート電極7に間隔を置いて形成され、ゲート電極7とは接続電極16を介して接続されている。
【0057】
平坦化膜18上には、検知電極DEが形成されている。検知電極DEは、共通電極ETと同一の層に同一材料(ITO)で形成されている。検知電極DEは、共通電極ETに間隔を置いて形成されている。検知電極DEは、パッシベーション膜17及び平坦化膜18を貫通して形成されたコンタクトホールを通って接続電極16に接続されている。
【0058】
検知電極DEは、行方向Xに延在し、入力手段30による入力動作に応じて結合容量が変化するものである。検知電極DEにおいて、容量カップリング線cupと交差する個所の幅(列方向Yの長さ)は、容量カップリング線cup間に位置する個所の幅より小さい。
【0059】
検知電極DEが形成された平坦化膜18上には、上部層19が形成されている。上部層19は、共通電極ET及び検知電極DEが形成された平坦化膜18上に形成された絶縁膜と、絶縁膜上に形成され共通電極ETと対向した画素電極EPと、画素電極EPが形成された絶縁膜上に形成された配向膜とを有している。
【0060】
上記のように構成された第2の実施形態に係る電子機器によれば、電子機器は、液晶表示パネルP及びセンサモジュールMを備えている。入力面側は、対向基板OSの外面側である。
【0061】
検知電極DEは、信号線sより液晶表示パネルPの入力面側に位置するように形成している。これにより、対向基板OSの外面側の入力面を入力手段30で接触する場合に、検知電極DEと入力手段30とのカップリングが信号線sでシールドされてしまう量を少なくすることができ、結合容量Cfを大きくすることができる。検知電極DEでの入力手段30の有り無しにおける電位変化量の差を大きくすることができるため、センサモジュールMの検出感度の向上を図ることができ、その結果、S/N比を改善することもできる。
【0062】
アンプAMPのゲート電極7と、検知電極DEは、直接接続されておらず、接続電極16を介して間接的に接続されている。ゲート電極7及び検知電極DEはMoWで形成されているが、接続電極16は、Alで形成されている。このため、ゲート電極7と、検知電極DEとを接続電極16を介して接続することにより、アレイ基板ASの製造工程中の静電破壊(ESD破壊)の発生を低減することができ、静電破壊の広がりを抑制することができる。
上記のことから、センサモジュールの検出感度の向上を図ることができる電子機器を得ることができる。
【0063】
なお、この発明は上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化可能である。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0064】
例えば、第1の実施形態に係る検知電極DE及び容量カップリング線cup間に形成される寄生容量Cpに比べ、第2の実施形態に係る検知電極DE及び容量カップリング線cup間に形成される寄生容量Cpは小さい。このため、第1の実施形態に比べて第2の実施形態の方が、検知電極DEにおける容量カップリング線cupと交差する個所の幅を大きくすることができる。
【0065】
検知電極DEは、行方向Xに沿った全域に亘って同一の幅を有していてもよい。すなわち、検知電極DEにおいて、容量カップリング線cupと交差する個所の幅(列方向Yの長さ)は、容量カップリング線cup間に位置する個所の幅と同一であってもよい。検知電極DEの面積をより大きくすることができるため、より結合容量Cfを大きくすることができる。なお、上記のことは、上述した第2の実施形態で示したように、検知電極DEが共通電極ETと同一の層に形成されている場合に、特に有効である。
【0066】
液晶表示パネルPは、横電界を利用するFFS(Fringe Field Switching)モードを採っているが、これに限らず、各種のモードを採ることができる。この場合、液晶表示パネルPの配線構造や積層構造は異なるが、上述した効果が得られることは言うまでもない。
【0067】
表示パネルは、液晶表示パネルPに限定されるものではなく、画像を表示領域R1に表示するように構成されたものであれば良い。
この発明は、上記電子機器に限定されるものではなく、各種の電子機器に適応可能である。
【符号の説明】
【0068】
1…ガラス基板、7…ゲート電極、16…接続電極、P…液晶表示パネル、M…センサモジュール、AS…アレイ基板、OS…対向基板、LC…液晶層、Sc…表示面、PX…画素、s…信号線、g…走査線、c…補助容量線、GSW…スイッチング素子、EP…画素電極、ET…共通電極、Cs…補助容量、SN…センサ回路、cup…容量カップリング線、pre1…第1プリチャージ線、pre2…第2プリチャージ線、preg…プリチャージ制御線、out…出力線、outg…出力制御線、DE…検知電極、Cf…結合容量、PSW…プリチャージ制御スイッチ、AMP…アンプ、OSW…出力制御スイッチ、SLD…シールド電極、R1…表示領域、R2…入力領域、X…行方向、Y…列方向。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示し、入力手段にて接触される個所の位置情報を抽出する電子機器において、
列方向に延在した複数の信号線と、行方向に延在した複数の走査線と、前記複数の信号線及び前記複数の走査線に接続された複数の画素と、を有したアレイ基板を具備した表示パネルと、
それぞれ隣合う前記複数の画素が設けられた領域内に1つの割合で配置され、前記行方向に延在し、前記入力手段による入力動作に応じて結合容量が変化する検知電極と、前記検知電極に接続された接続電極と、前記接続電極を介して前記検知電極に接続され、前記検知電極での検知電圧を増幅するアンプと、を有した複数のセンサ回路を具備したセンサモジュールと、を備え、
前記検知電極は、前記信号線より前記表示パネルの前記入力手段による接触側に位置していることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記前記入力手段による接触側は、前記アレイ基板の外面側であり、
前記接続電極は、前記信号線と同一の層に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記接続電極は、Alで形成され、
前記検知電極は、MoWで形成されていることを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記表示パネルは、前記アレイ基板に対向配置された対向基板をさらに有し、
前記前記入力手段による接触側は、前記対向基板の外面側であることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項5】
前記接続電極は、Alで形成され、
前記検知電極は、ITOで形成されていることを特徴とする請求項4に記載の電子機器。
【請求項6】
前記検知電極は、前記行方向に沿った全域に亘って同一の幅を有していることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項7】
前記複数のセンサ回路は、それぞれ、前記検知電極に接続され、前記プリチャージ電圧を前記検知電極に出力するかどうかを切替えるプリチャージ制御スイッチと、前記アンプに接続され、前記増幅された検知電圧を出力するかどうかを切替える出力制御スイッチと、をさらに有していることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−3829(P2013−3829A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−134052(P2011−134052)
【出願日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(302020207)株式会社ジャパンディスプレイセントラル (2,170)
【Fターム(参考)】