説明

電子機器

【課題】副処理装置に異常が生じたとしても、適切に保護対象データを退避させることが出来る。
【解決手段】保護対象データを記憶している主処理装置と、当該主処理装置と通信が可能な複数の副処理装置と、を含む電子機器であって、主処理装置および複数の副処理装置それぞれが正常か異常かを判断する判断手段と、判断手段により、主処理装置および1以上の副処理装置が異常であり、1以上の副処理装置が正常であると判断された場合に、異常であると判断された1以上の副処理装置と主処理装置との通信を遮断する通信遮断手段と、正常であると判断された1以上の副処理装置のうち何れか1つを選択する選択手段と、通信遮断手段により通信が遮断されると、選択手段により選択された副処理装置に、主処理装置が記憶している保護対象データを記憶させる記憶制御手段と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数の処理装置が具備されている画像形成装置が提案されている。図18に、従来の画像形成装置の簡略図を示す。図18の例では、複数の処理装置として、エンジン処理装置4100、搬送処理装置4200、作像処理装置4210、定着処理装置4220がある。この技術では、当該複数の処理装置4200、4210、4220それぞれが取得した保護対象データ(走行履歴情報やユーザ個人情報)を通信線41100、42001、42101、42201で送信してEEPROM4101(不揮発性メモリ)に記憶させる。当該画像形成装置内の複数の処理装置のうち、当該EEPROM4101を有する処理装置を主処理装置(エンジン処理装置4100)とし、その他の処理装置を副処理装置(搬送処理装置4200、作像処理装置4210、定着処理装置4220)とする。
【0003】
そして、特許文献1では、主処理装置4100に異常が発生した場合には、EEPROM4101に記憶されている保護対象データを、正常に動作している副処理装置(例えば、搬送処理装置4200)のFROM4221(不揮発性メモリ)に、通信線42001経由で退避させる技術が提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
各副処理装置4200、4210、4220からの通信線42001、42101、42201は、通信線41100に接続されている。従って、主処理装置が異常になることで、通信線41100がショートすると、正常に動作している搬送処理装置4200は、EEPROM4101にアクセスできないという問題が生じる。
【0005】
本発明では、主処理装置が異常になった場合に、従来より更に適切に保護対象データを退避させることが出来る電子機器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明では、保護対象データを記憶している主処理装置と、当該主処理装置と通信が可能な複数の副処理装置と、を含む電子機器であって、前記主処理装置および前記複数の前記副処理装置それぞれが正常か異常かを判断する判断手段と、前記判断手段により、前記主処理装置および1以上の前記副処理装置が異常であり、1以上の前記副処理装置が正常であると判断された場合に、前記異常であると判断された前記1以上の前記副処理装置と前記主処理装置との前記通信を遮断する通信遮断手段と、前記正常であると判断された前記1以上の前記副処理装置のうち何れか1つを選択する選択手段と、前記通信遮断手段により前記通信が遮断されると、前記選択手段により選択された前記副処理装置に、前記主処理装置が記憶している前記保護対象データを記憶させる記憶制御手段と、を有することを特徴とする電子機器を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の電子機器であれば、主処理装置が異常になった場合に、従来より更に適切に保護対象データを退避させることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本実施例の画像形成装置のハードウェア構成を示す図。
【図2】本実施例の主処理装置と副処理装置を示した図。
【図3】本実施例の主処理装置などの機能構成例を示した図。
【図4】本実施例の画像形成装置などの機能構成例を示した図。
【図5】本実施例の画像形成装置の主な処理フローを示した図。
【図6】本実施例のテーブル表の一例を示した図。
【図7】本実施例の遮断信号などを示した図。
【図8】別の実施形態の遮断信号などを示した図。
【図9】別の実施形態の画像形成装置の主な処理フローを示した図。
【図10】別の実施形態の主処理装置などを示した図。
【図11】別の実施形態の画像形成装置などの機能構成例を示した図。
【図12】本実施例の電源供給などを示した図。
【図13】別の実施形態の画像形成装置の処理フローを示した図。
【図14】本実施例の優先度などを示した図。
【図15】別の実施形態の主処理装置などの機能構成例を示した図。
【図16】別の実施形態の画像形成装置などの機能構成例を示した図。
【図17】別の実施形態の画像形成装置の処理フローを示した図。
【図18】従来の主処理装置と副処理装置を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<実施形態1>
本実施例では、電子機器とは、複数の処理装置を有するものであり、電源が供給されることで起動し、所定の処理を行なうものである。以下では、電子機器を画像形成装置であるとして説明する。画像形成装置とは例えば、プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ、これらの複合機などである。また、以下の説明では、各実施形態において、機能構成例、処理フロー、の説明では、同じ処理については、同じ参照番号、同じステップ番号を付加し、重複説明を省略する。
[ハードウェア構成]
図1に本実施例の画像形成装置1の全体の機能構成例を示す。本実施例の画像形成装置は、複数の処理装置を有する。当該複数の処理装置とは、コントローラ処理装置700と、エンジン処理装置100、読取処理装置600、書込処理装置500、紙搬送処理装置200、作像処理装置210、定着処理装置220、電源処理装置300である。
【0010】
コントローラ処理装置700は、操作処理装置750でユーザから受け付けた画像形成動作を設定するものである。コントローラ処理装置700は、具体的には、画像形成、ユーザーインターフェースやモード設定、コピーやプリンタといったアプリケーションの処理などを司る。コントローラ処理装置700は、CPU(Central Processing Unit)701、FROM(フラッシュメモリ)702、SRAM(Static Random Access Memory)703、NVRAM(Non Volatile RAM)706を含む。
【0011】
CPU701は、処理用プログラムに基づいて、所定の処理を行う。FROM702は、処理用プログラムを固定的に記憶している。SRAM703は、各種情報を一時的に記憶する。NVRAM706は、画像形成装置1の動作条件全ての設定情報を記憶する。
【0012】
また、LANインターフェース780と、HDD770と、ファックスユニット760、操作処理装置750は、コントローラ処理装置700に接続されている。LANインターフェース780は、外部通信機器(図示せず)からネットワークを介してLAN等で情報を送受信する。また、HDD770は、所定の(処理対象)のデータを格納する。
【0013】
また、コントローラインタフェース処理装置400は、エンジン制御装置100と、搬送制御装置200や作像制御装置210や定着制御装置220とのインタフェースの役割を果たし、お互いにPCIバスで結ばれている。このコントローラ処理装置700は、操作処理装置750からの画像形成動作や、LANインタフェース780を経由した外部機器からの画像形成動作を受け付け、画像形成動作を実行し、作成した画像をエンジン処理装置100にPCIバスを介して送信する。
【0014】
PSU(Power Supply Unit)300は外部電源(コンセント)よりAC電源を受け取り、AC電源をDC電源に変換し、各処理装置に当該DC電源を供給する。またAC電源はDC電源に変換されずに、ヒータ810に使用され、当該ヒータ810に定着熱を発生させる。
【0015】
また、図1記載の各種電装品800には、ソレノイド802、クラッチ804、モータ806、センサ808、ヒータ810などが含まれる。搬送処理装置200は紙搬送に関る各種電装品800と接続されている。例えば紙詰まりが発生した際のJAMの検出などはCPU202がセンサ808の値を読むことで検出することが出来る。
【0016】
作像処理装置210は作像に関わる各種電装品800と接続されており、トナーをドラムや用紙に付着させる処理において、センサ808等でエラーが発生した場合には、CPU212が当該エラーを検出することが出来る。
【0017】
定着処理装置220は定着に関わる各種電装品800と接続されており、用紙に付着されたトナーを定着させるために、ヒータ810などで熱や圧力を加える。CPU222は、ヒータ810の定着温度や用紙詰まり等の有無を検出することが出来る。
【0018】
読取処理装置600は、ユーザにセットされた原稿に形成された記号や文字を読み取る。書込み処理装置500は、レーザー光で感光体ドラム(図示せず)などに画像を形成する。
【0019】
このように、エンジン処理装置100、搬送処理装置200、作像処理装置210、定着処理装置220、コントローラインタフェース処理装置400それぞれは、CPU102、CPU202、CPU212、CPU222、CPU402を有する。CPU102、CPU202、CPU212、CPU222、CPU402は、各種情報を一時的に記憶するRAMを内蔵したものである。また、エンジン処理装置100、搬送処理装置200、作像処理装置210、定着処理装置220、コントローラインタフェース処理装置400それぞれは、処理用プログラムを固定的に記憶したFROM103、FROM201、FROM211、FROM221、FROM401を有している。
【0020】
また、エンジン処理装置100は不揮発メモリであるEEPROM101を有している。EEPROM101には、保護対象データが記憶されている。ここで、保護対象データとは、各処理装置(図1の例では、エンジン処理装置100、搬送処理装置200、作像処理装置210、定着処理装置220、コントローラインタフェース処理装置400、書込み処理装置500、読取処理装置600、コントローラ処理装置700など)の走行履歴情報や、ユーザの個人情報、画像形成装置1の固有情報、調整値、管理情報、マシン情報などである。
<具体的な処理の流れ>
次に、本実施例の画像形成装置1の具体的な処理の流れについて説明する。図2に、本実施例の画像形成装置1の要部の機能構成例を示す。以下では、図2に示すように、説明簡略化のために、画像形成装置1を構成する複数の処理装置をエンジン処理装置100、搬送処理装置200、作像処理装置210、定着処理装置220とする。また、以下では、保護対象データを記憶している処理装置を「主処理装置」とし、それ以外の処理装置を「副処理装置」という。この例では、エンジン処理装置100が、EEPROM101に保護対象データを記憶していることから、エンジン処理装置100を「主処理装置」とする。また、主処理装置、副処理装置をまとめて、処理装置という。エンジン処理装置100を主処理装置100という場合もある。また、搬送処理装置200、作像処理装置210、定着処理装置220を「副処理装置」として説明する。搬送処理装置200、作像処理装置210、定着処理装置220をそれぞれ、副処理装置200、副処理装置210、副処理装置220という場合もある。
【0021】
エンジン処理装置100は、EEPROM101と、CPU102とを含む。搬送処理装置200は、FROM201と、CPU202とを含む。作像処理装置210は、FROM211と、CPU212とを含む。定着処理装置220は、FROM221と、CPU222を含む。主処理装置100の記憶手段をEEPROM101とし、副処理装置200、210、220の記憶手段をFROM201、211、221とする。
【0022】
また、主処理装置100のCPU102、各副処理装置200、210、220それぞれのCPU202、212、222は、自己の走行履歴を示す走行履歴情報などの保護対象データを取得する。そして、搬送処理装置200のCPU202は、取得した保護対象データを、通信線2001経由で、主処理装置100へ送信する。また、作像処理装置210のCPU212は、取得した保護対象データを、通信線2101経由で、主処理装置100へ送信する。また、定着処理装置220のCPU222は、取得した保護対象データを、通信線2201経由で、主処理装置100へ送信する。主処理装置100のCPU102は、各副処理装置200、210、220から送信された保護対象データを通信線1100で受信し、当該保護対象データをEEPROM101に記憶させる。また、主処理装置100のCPU102は、当該CPU102で取得した保護対象データを、通信線1100経由でEEPROM101へ送信して記憶させる。
【0023】
また、図3に本実施形態1の主処理装置100のCPU102の機能構成例と、副処理装置200、210、220それぞれが有するCPU202、212、222の機能構成例と、を示す。主処理装置100のCPU102は、通信手段1001、異常信号送受信手段1002を含む。また、副処理装置CPU202、212、222はそれぞれ、通信手段1001、異常信号送受信手段1002、通信遮断信号送信手段1004、選択手段1006、記憶制御手段1008とを含む。
【0024】
主処理装置100の通信手段1001は、主処理装置100のEEPROM100と通信を行なう。当該通信とは、例えば、主処理装置100が取得した保護対象データ(CPU102が取得した保護対象データ、および、副処理装置200、210、220から送信された保護対象データ)をEEPROM101に記憶させる。また、主処理装置100の通信手段1001は、副処理装置200、210、220それぞれの通信手段1001と通信をすることで、例えば、副処理装置200、210、220の保護対象データなどを取得する。他の手段については後述する。
【0025】
図4に画像形成装置1全体の構成手段などについて、模式的に示す。図4の例では、各CPU102、202、212、222が有する異常信号送受信手段1002をまとめて判断手段10020とする。また、各副処理装置200、210、220の各CPU202、212、222が有する通信遮断信号送信手段1004をまとめて通信遮断手段10040とする。また、各副処理装置200、210、220のCPU202、212、222が有する選択手段1006をまとめて選択手段10060とする。また、各副処理装置200、210、220のCPU202、212、222が有する記憶制御手段1008をまとめて記憶制御手段10080とする。また、図5に、本実施形態の画像形成装置の主な処理フローを示す。
《判断手段10020について(ステップS1の処理)》
まず、判断手段10020について説明する。上述のように、判断手段10020とは、各CPU102、202、212、222が有する異常信号送受信手段1002をまとめたものをいう。異常信号送受信手段1002は、当該異常信号送受信手段1002が搭載されている処理装置(主処理装置100、副処理装置200、210、220)において、異常であるか否かを検知する。そして、異常信号送受信手段1002が当該異常であることを検知したら、当該異常であることを示す異常信号を、自己の処理装置以外の処理装置に送信する。また、異常信号送受信手段1002は自己の処理装置以外の処理装置から送信された異常信号を受信する。各処理装置は、当該異常信号を受信することで、他の処理装置(自己以外の処理装置)が異常であるか否かを判断することが出来る。
【0026】
つまり、主処理装置100の異常信号送受信手段1002は、当該主処理装置100が異常であるか否かを検知し、当該異常であることが検知されたら、異常信号を、全ての副処理装置に対して送信する。また、主処理装置100の異常信号送受信手段1002は、全ての副処理装置200、210、220から送信された異常信号を受信する。そして、主処理装置100の異常信号送受信手段1002が、異常信号を受信すると、当該異常信号を送信した副処理装置は異常であると判断する。
【0027】
また、副処理装置200の異常信号送受信手段1002は、当該副処理装置200が異常であるか否かを検知し、当該異常であることが検知されたら、異常信号を、主処理装置100、および、自己以外の副処理装置210、220に対して送信する。また、副処理装置200の異常信号送受信手段1002は、主処理装置100、および、自己以外の副処理装置210、220から送信された異常信号を受信する。そして、副処理装置200の異常信号送受信手段1002が、異常信号を受信すると、当該異常信号を送信した主処理装置100または副処理装置が異常であると判断する。また、他の副処理装置210、220の異常信号送受信手段1002の処理についても同様である。このようにして、判断手段10020は、主処理装置、および、複数の副処理装置それぞれが正常か異常かを判断する(ステップS1)。
【0028】
ところで、一般的に、ある処理装置が異常信号を送信した場合には、実際には、当該っ処理装置とは別の処理装置にも異常の原因がある場合がある。例えば、定着処理装置220が有する異常信号送受信手段1002が、定着処理装置220に接続されているヒータ810(図1参照)の異常温度を検出したとする。そして、当該ヒータの異常において、以下の原因があると考えられるとする。
「エンジン処理装置100のCPU102が暴走して制御不可能になっている」
「定着処理装置220の何らかの機能が故障している」
「作像処理装置210が想定外の動作を行なった」
そこで、本実施形態では、全ての異常信号送受信手段1002に、予め、図6に示すようなテーブル表を保持させる。図6に示すテーブル表は、異常信号を送信した処理装置と、異常である可能性のある処理装置とを対応付けた表である。本実施形態1では、異常信号送受信手段1002が異常を検知した場合には、図6のテーブル表を参照して、異常の可能性がある処理装置を認識する。上述のように、定着処理装置220が有する異常信号送受信手段1002が、ヒータ810の異常を検知すると、図6を参照して、当該異常信号送受信手段1002は、エンジン処理装置100(主処理装置100)、作像処理装置210、定着処理装置220、に異常の可能性があると判断し、搬送処理装置100は正常であると判断する。
【0029】
異常であると判断された定着処理装置220の異常信号送受信手段1002は、正常であると判断された搬送処理装置100に対して、異常であることを示す異常信号を送信する。当該異常信号を受信した搬送処理装置200は、エンジン処理装置100、作像処理装置210、定着処理装置220に異常の可能性があることを認識する。このように、本実施形態で、「異常がある処理装置」とは「実際に異常がある処理装置」のみではなく、「異常の可能性がある処理装置」も含むとする。また、この例では、判断手段10020では、搬送処理装置200のみが正常であると判断されている。
《通信遮断手段10040について(ステップS4)》
次に、通信遮断手段10040について説明する。上述のように、通信遮断手段10040とは、各副処理装置のCPUが有する通信遮断信号送信手段1004をまとめたものをいう。判断手段10020が、主処理装置100が異常であり、1以上の副処理装置が正常であると判断した場合に(ステップS2のYes)、主処理装置100の通信手段1001と、EEPROM101との通信を遮断する。(ステップS4)。この例では、エンジン処理装置100(主処理装置)が異常と判断され、作像処理装置210および定着処理装置220(1以上の副処理装置)が異常と判断され、搬送処理装置200(1以上の副処理装置)が正常であると判断されたことから、ステップS2ではYesと判断される。
【0030】
次に、ステップS4による通信を遮断する理由を2つ説明する。1つ目の理由として、後述するステップS7では、異常であると判断された主処理装置100が記憶する保護対象データを、正常であると判断された副処理装置(ここでは、搬送処理装置200)内のFROM201に移行して記憶させる。つまり、搬送処理装置200の記憶制御手段2006が、EEPROM101に保護対象データを要求して(アクセスして)、当該EEPROM101に記憶されている保護対象データを取得する。
【0031】
ここで、異常と判断された主処理装置100の通信手段1001と、EEPROM101との通信を遮断せずに、保護対象データの要求処理を行なうと、主処理装置100の通信手段1001から異常である通信信号が、通信線1100に送信されてしまい、通信線1100がショートする可能性がある。通信線1100がショートすると、搬送処理装置200の記憶制御手段2006が適切に、EEPROM101にアクセスすることが出来なくなるからである。
【0032】
2つ目の理由は、上述のように、主処理装置100の通信手段1001は、当該主処理装置100が取得した保護対象データを、EEPROM101に送信して記憶させるのであるが、異常であると判断された主処理装置100の通信手段1001からは、異常である保護対象データが送信される可能性があるからである。これら2つの理由などにより、主処理装置100が異常であると判断されると、当該主処理装置100内の通信手段1001とEEPROM101との通信を遮断する。
【0033】
次に、通信遮断手段10040による、通信の遮断について、図7を用いて説明する。図7では実施形態1の要部を示したものであり、主処理装置100と正常と判断された副処理装置(搬送処理装置200)を示し、異常と判断された作像処理装置210と定着処理装置220の記載を省略する。図7の例では、CPU102内の通信手段1001がEEPROM101に対し通信するための(保護対象データを送信するための)通信線1100が設けられている。また、CPU202内の通信手段1001が、CPU102内の通信手段1001およびEEPROM101に対して通信するための通信線2001が設けられている。
【0034】
また、図7の例では、主処理装置100には、スイッチ1120が設けられている。スイッチ1120は、通信線1100の途中に設けられている。スイッチ1120は開閉可能になっている。当該スイッチ1120の開閉は、通信遮断信号が送信されることで、開閉される。例えば、送信された通信遮断信号がLow信号である場合には、スイッチ1120は開けられ、通信線は遮断される。また、送信された通信遮断信号がHigh信号である場合には、スイッチ1120は閉じられ、通信線は通信可能な状態となる。
【0035】
また、CPU202の通信遮断信号送信手段1004から送信される通信遮断信号が経由する遮断信号線2002が設けられている。そして、正常であると判断された副処理装置(この例では、搬送処理装置200)が有する通信遮断信号送信手段1004は、通信遮断信号をスイッチ1120に対して送信し、スイッチ1120を開け、CPU102内の通信手段1001とEEPROM101との通信を遮断することが出来る。また、通信遮断信号は、CPU102にも入力され、CPU102は、通信遮断信号が送信したことを認識することが出来る。
【0036】
このように、主処理装置100内にCPU102内の通信手段1001とEEPROM101との通信を強制的に遮断、または非遮断することができるスイッチ1120を設けることで、主処理装置100が異常であると判断された場合でも、CPU102内の通信手段1001とEEPROM101との通信を強制的に遮断できる。当該遮断が行なわれると、正常であると判断された搬送処理装置200の記憶制御手段1008が、EEPROM101へ通信可能な状態となる。
《選択手段10060について(ステップS6)》
次に、選択手段10060について説明する。上述のように、選択手段10060とは、各副処理装置のCPUが有する選択手段1006をまとめたものをいう。選択手段10060は、1以上の正常と判断された副処理装置から記憶対象の副処理装置を選択する(ステップS6)。ここで、正常と判断された副処理装置は、搬送処理装置200のみであることから、選択手段1006は、記憶対象の副処理装置を搬送処理装置200であるとして選択する。正常と判断された副処理装置が2つ以上ある場合については実施形態4で説明する。
《記憶制御手段10080について(ステップS7)》
次に、記憶制御手段10080について説明する。上述のように、記憶制御手段10080は、副処理装置それぞれのCPUが有する記憶制御手段1008からなるものである。本実施例では、記憶制御手段10080は、選択手段10060により選択された記憶対象の副処理装置(正常であると判断された副処理装置)に、主処理装置が記憶している保護対象データを移行して記憶(退避)させる(ステップS7)。この例では、正常であると判断された副処理装置とは、搬送処理装置200のみである。正常であると判断された搬送処理装置200が有する記憶制御手段1008が、EEPROM101へ、保護対象データを要求するための要求信号を送信して、EEPROM101内に記憶されていた保護対象データを取得する。そして、当該記憶制御手段1008は、当該記憶制御手段1008が設けられている処理装置(搬送処理装置200)が有するFROM201に記憶させる。このようにして、記憶制御手段1008の保護対象データの退避処理(保護対象データのバックアップ処理)が完了する。
【0037】
保護対象データの移行記憶処理が終了すると、正常であると判断された搬送処理装置200の通信遮断信号送信手段1004は、遮断された箇所を戻す(ステップS8)。具体的には、通信遮断信号送信手段1004は、開かれたスイッチ1120を閉じる通信遮断信号(High信号)を当該スイッチ1120に送信する。これにより、遮断された箇所を戻すことが出来る。そして、サービスマンなどは、異常が発生した主処理装置100や、副処理装置の交換作業を行なう。
【0038】
この実施形態1の画像形成装置1(電子機器)であれば、主処理装置100の異常などにより(ステップS2のYes)、例えば、CPU102とEEPROM101との通信線1100のショートなどが発生したとしても、CPU102とEEPROM101との通信を適切に遮断することが出来る(ステップS4)。そして、保護対象データを、正常であると判断された副処理装置のFROMに記憶させる(ステップS6、S7)。従って、処理装置100が異常であると判断されても、保護対象データを、適切に退避させ保護することが出来る。また、異常と判断された主処理装置の交換が発生したとしても、当該保護対象データを復元できる可能性が高くすることが出来る。
[実施形態2]
次に、実施形態2の画像形成装置1−2について説明する。実施形態2では、判断手段10020により、異常と判断された副処理装置(実施形態1では、作像処理装置210、定着処理装置220)について説明する。図8に、実施形態2の画像形成装置1−2の要部の機能構成例を示す。図8は、図7と比較して、作像処理装置210、スイッチ2003、2103などが追加されている。作像処理装置210のCPU212からは、通信線2101と、遮断信号線2102が設けられている。CPU212の通信手段1001は、通信線2101を用いて、CPU102やEEPROM101と通信を行なう。
【0039】
また、図8では、スイッチ2003は、通信線2001の途中に設けられており、スイッチ2103は通信線2101の途中に設けられている。それぞれのスイッチ2003、2103はそれぞれ開閉可能になっている。当該スイッチの開閉は、通信遮断信号が送信されることで、開閉される。
【0040】
また、CPU202の通信遮断信号送信手段1004から送信された通信遮断信号が、スイッチ1120、2103に到達し、開閉するための遮断信号線2002が設けられている。また、CPU212の通信遮断信号送信手段1004から送信された通信遮断信号が、スイッチ1120、2003に到達し、開閉するための遮断信号線2102が設けられている。
【0041】
図9に実施形態2の画像形成装置1−2の処理フローを示す。図9の処理フローを図5と比較して、ステップS2、ステップS4がそれぞれ、ステップS11、ステップS12とに代替される。ステップS11では、ステップS1の判断手段10020による判断処理の結果が、主処理装置および1以上の副処理装置が異常であり、1以上の副処理装置が正常であるか否かが判断される。この例では、主処理装置100および2つの副処理装置(作像処理装置210、定着処理装置220)が異常であり、1つの副処理装置(搬送処理装置200)が正常であることから、ステップS11はYesと判断される。
【0042】
次に、通信遮断手段10040は、主処理装置100の通信手段1001とEEPROM101との通信を遮断すると共に、異常と判断された副処理装置(作像処理装置210、定着処理装置220)の通信手段1001とEEPROM101との通信を遮断する(ステップS12)。具体的には、正常であると判断された副処理装置(この例では、搬送処理装置200)が有する通信遮断信号送信手段1004は、スイッチ1120、スイッチ2103に対して、通信遮断信号を送信して、スイッチ1120、スイッチ2103を開ける。スイッチ1120、スイッチ2103を開けることで、主処理装置100の通信手段1001とEEPROM101との通信を遮断すると共に、異常と判断された副処理装置(作像処理装置210、定着処理装置220)の通信手段1001とEEPROM101との通信を遮断することが出来る。また、異常であると判断された副処理装置210、220の通信遮断信号送信手段1004は、異常である通信遮断信号を送信する場合があることから、通信遮断信号を送信しない。
【0043】
次に、ステップS12の通信を遮断する理由を2つ説明する。1つ目の理由として、後述するステップS7では、異常であると判断された主処理装置100が記憶する保護対象データを、正常であると判断された副処理装置(ここでは、搬送処理装置200)内のFROM201に移行して記憶させる。つまり、搬送処理装置200の記憶制御手段2006が、EEPROM101に要求して(アクセスして)、当該EEPROM101に記憶されている保護対象データを取得する。
【0044】
ここで、異常と判断された副処理装置の通信手段1001と、EEPROM101との通信を遮断せずに、保護対象データの要求処理を行なうと、異常と判断された副処理装置の通信手段1001から異常である通信信号(異常である走行履歴情報など)が、通信線1100に送信されてしまい、搬送処理装置200の記憶制御手段2006が適切に、EEPROM101にアクセスすることが出来なくなるからである。
【0045】
2つ目の理由は、上述のように、全ての副処理装置の通信手段1001は、当該主処理装置100が取得した走行履歴情報を、EEPROM101に送信して記憶させるのであるが、異常であると判断された副処理装置の通信手段1001からは、異常である走行履歴情報が送信される可能性があるからである。これら2つの理由などにより、1以上の副処理装置が異常であると判断されると、当該異常と判定された副処理装置210、220内の通信手段1001とEEPROM101との通信を遮断する。
【0046】
このように、各副処理装置200、210内の通信手段1001とEEPROM101との通信を遮断、または非遮断することができるスイッチ2003、2103を設けることで、異常であると判断された副処理装置200、210の通信手段1001とEEPROM101との通信を強制的に遮断できる。つまり、当該通信が遮断されるとは、異常と判定された主処理装置100、副処理装置200、210それぞれの通信手段1001からEEPROM101への通信を遮断することである。当該遮断されると、正常であると判断された搬送処理装置200の記憶制御手段1008のみが、EEPROM101へアクセス可能な状態となる。
【0047】
また、通信遮断信号は、自己以外の全ての副処理装置と主処理装置との通信を遮断するようにしてもよい。
【0048】
ステップS6、S7の処理は実施形態1と同様であることから説明を省略する。また、ステップS8では、正常と判断された副処理装置200の通信遮断信号送信手段1004は、ステップS4で開けたスイッチ2103、1120に対して通信遮断信号を送信することで、当該スイッチ2103、1120のスイッチを閉じる。
【0049】
この実施形態2の画像形成装置1(電子機器)であれば、主処理装置、1以上の副処理装置が異常であり、1以上の副処理装置が正常であると判断された場合には(ステップS11のYes)、主処理装置100の通信手段1001とEEPROM102との通信、及び、異常と判断された1以上の副処理装置の通信手段1001とEEPROM102との通信を遮断する(ステップS12)。その後、保護対象データを、正常であると判断された副処理装置のFROMに記憶させる。従って、1以上の副処理装置が異常であると判断され、例えば、通信線1100、2101、2201がショートしたとしても、適切に保護対象データを保護することが出来る。
[実施形態3]
次に、実施形態3の画像形成装置1−3について説明する。画像形成装置1−3の主処理装置100は電源供給手段(例えば、5V電源)を有し、当該電源供給手段はEEPROM101に対して、電源を供給して、当該EEPROM101を作動させる。もし、主処理装置100が異常になった場合には、例えば、ハーネスが断線する場合がある。この場合には、EEPROM101に適切に電源が供給されず、EEPROM101内の保護対象データが消去されたり、異なるデータに変換される等の誤作動が生じる場合がある。そこで、実施形態3では、主処理装置100が異常になった場合でも、正常な副処理装置が1以上ある場合には、当該正常な副処理装置が有する電源供給手段が、EEPROM101に電源を供給する。
【0050】
図10に、本実施形態3の主処理装置100のCPU102と、副処理装置のCPU202、212、222の機能構成例を示す。図10の例では、主処理装置のCPU102は、実施形態1と同様である。また、図10の例では、副処理装置のCPU202、212、222の機能構成例は、図3と比較して電源遮断信号送信手段1010、電源供給制御手段1012が追加されている点で異なる。また、図11に、実施形態3の画像形成装置1−3の機能構成例について示す。図4と比較して、電源遮断手段10100が追加されている点で異なる。電源遮断手段10100は、副処理装置それぞれのCPUが有する電源遮断信号送信手段1010をまとめたものである。
【0051】
図12に実施形態3の画像形成装置1−3の要部の機能構成例を示す。以下の説明では、判断手段10020の判断結果が、実施形態1、2同様、主処理装置100、作像処理装置210、定着処理装置220が異常であり、搬送処理装置200が正常であると判断された場合について説明する。通信線2001、遮断信号線2002、電源供給線2005、GND線2004は、搬送処理装置200が有するポート230と、主処理装置100が有するポート130と、に接続されている。また、図示していないが、他の副処理装置(作像処理装置210、定着処理装置220)のCPUからも、同様に、通信線2001、遮断信号線2002、電源供給線2005、GND線2004が配線され、ポート130に接続されている。
【0052】
また、主処理装置100には、電源供給手段120と、GND130が設けられている。図12の例では、電源供給手段120は、5V電源120である。5V電源120からの電源は、電源線1102によりEEPROM101に対して供給される。当該電源の供給により、EEPROM101は作動する。また、電源線1102の途中には、スイッチ1122が設けられている。スイッチ1122は、開閉可能であり、スイッチ1122が開いている場合には、5V電源120からEEPROM101への電源の供給は遮断される。また、スイッチ1122が閉じている場合には、5V電源120からの電源は、EEPROM101へ供給される。
【0053】
また、電源コンセント302からの電源は、PSU300に供給される。PSU300からはそれぞれ処理装置に電源が供給されている。図12の例では、図面簡略化のために、PSU300からは、搬送処理装置200と主処理装置100のみに電源供給されているように記載されているが、実際は、他の副処理装置(作像処理装置210や定着処理装置220)などにも電源供給されている。各処理装置において、PSU300からは、5V電源線303で5V電源が供給されており、GND線304で接地されている。
【0054】
図13に、実施形態3の画像形成装置1−2の処理フローを示す。図13に画像形成装置1−2の処理フローを示す。図5と比較すると、ステップS14、ステップS16の処理が追加されている点で異なる。ステップS1、S2の処理が終了すると、ステップS4、ステップS14の処理に移行する。ステップS4の処理は、上述の通りなので説明を省略する。ステップS14では、電源遮断手段10100が、主処理装置100の電源供給制御手段1012からEEPROM101への電源の供給を遮断する(ステップS14)。
【0055】
図12の例では、電源遮断手段10100として、正常であると判断された副処理装置(この例では、搬送処理装置200)の電源遮断信号送信手段1010が、スイッチ1122に対して電源遮断信号を送信する。電源遮断信号とは、5V電源120からEEPROM101への電源供給を遮断、または、非遮断にする信号である。電源遮断信号により、スイッチ1122を開く。そうすると、EEPROM101への5V電源120の供給は遮断される。この遮断により、EEPROM101の誤作動を防ぐことが出来る。また、図12の記載では、図面簡略化のために通信遮断信号(スイッチ1120に入力される信号)と電源遮断信号(スイッチ1122に入力される信号)とは、同一の遮断信号線2002により送信されるように記載されているが、実際は、通信遮断信号用の通信遮断信号線と、電源遮断信号用の電源遮断信号線と、が分けて設けられる。
【0056】
そして、ステップS6により、記憶対象の副処理装置が選択される。そして、当該選択された副処理装置(この例では、搬送処理装置200)が有する電源供給制御手段1012が、EEPROM101に電源を供給する(ステップS16)。当該電源の供給により、EEPROM101には正常な電源が供給されるようになり、EEPROM101は適切作動し、EEPROM101内の保護対象データは適切に保護されることになる。電源供給制御手段1012は、PSUの電源を引用してEEPROM101に供給しても良い。また、各副処理装置に、5V電源120を設置し、電源供給制御手段1012は、当該設置された5V電源120の電源をEEPROM101に供給するようにしてもよい。そして、ステップS7、ステップS8の処理が行なわれる。
【0057】
この実施形態3の画像形成装置1−3によれば、主処理装置100が異常になった場合には、主処理装置100内での、EEPROM101への電源供給を遮断する(ステップS14)。そして、正常であると判断された副処理装置の電源供給手段が、EEPROM101へ電源を供給する。従って主処理装置100が異常になった場合でも、EEPROM101が誤作動を行なわずに、EEPROM101に記憶されている保護対象データを適切に保護することが出来る。
[実施形態4]
次に、実施形態4の画像形成装置1−4について説明する。実施形態1、2では、正常であると判断された副処理装置が1つの場合(つまり、搬送処理装置200のみが正常の場合)、について説明した。しかし、正常であると判断された副処理装置が2つ以上ある場合がある。実施形態4では、正常であると判断された副処理装置が2つ以上ある場合でも、選択手段10060は、適切に記憶対象の副処理装置を選択することが出来る。
【0058】
実施形態4では、予め、複数の副処理装置の優先順位を定めておく。例えば、図14の例では、作像処理装置210、搬送処理装置200、定着処理装置220の優先順位となっている。この優先順位とは、例えば、各々の副処理装置が有するFROMの記憶容量の多さに応じて定めればよい。図14の例では、FROMの記憶容量の多さにおいて、作像処理装置210のFROM211の記憶容量>搬送処理装置200のFROM201の記憶容量>定着処理装置のFROM221の記憶容量、となる。図14に示すテーブル表は、各副処理装置が有するFROMに予め記憶させておく。
【0059】
図3のステップS2において、判断手段10020により、作像処理装置210と、定着処理装置220と、が正常であると判断されるとする。この場合には、選択手段10060は、図14の優先順位を参照して、記憶対象の副処理装置を作像処理装置210であるとして選択する。この優先順位に基づいて、選択手段10060が、記憶対象の副処理装置を選択することで、更に適切に保護対象データを保護することが出来る。
【0060】
また、正常と判断された副処理装置が2以上ある場合には、優先順位を用いずとも、当該2以上の副処理装置からランダムに1つの副処理装置を選択するようにしてもよい。
【0061】
この実施形態4の画像形成装置によれば、正常な副処理装置が複数あると判断された場合でも、適切に、記憶対象の副処理装置を選択することが出来、適切に保護対象データを保護することが出来る。
[実施形態5]
次に、実施形態5の画像形成装置1−5について説明する。実施形態1の判断手段10020は、図4に示すように、主処理装置、副処理装置それぞれが有する異常信号送受信手段1002を含むものであるとして説明した。しかし、主処理装置または副処理装置が極度の異常になった場合には、当該極度の異常になった主処理装置または副処理装置の異常信号送受信手段1002は、異常信号を送信できなくなる場合がある。この実施形態5の画像形成装置1−5では、各処理装置が異常信号を送信できないほど、極度の異常になった場合でも、適切に、異常であると判断された主処理装置100または副処理装置を判断することが出来る。
【0062】
図15に、実施形態5の主処理装置100のCPU102−4の機能構成例と、副処理装置のCPU202−4、212−4、222−4の機能構成例を示す。図3と比較すると、異常信号送受信手段1002が、正常信号送受信手段1020に代替されている点で異なる。また、実施形態5の判断手段10200は、主処理装置100、副処理装置200、210、220のCPUにそれぞれに設けられた正常信号送受信手段1020からなるものである。
【0063】
正常信号送受信手段1020は、当該正常信号送受信手段1020が搭載されている処理装置が正常であると判断された場合には、所定時間ごとに、他の処理装置に対して、正常であることを示す正常信号を送信する。正常信号の送信とは、更に詳細に説明すると、他の処理装置のFROMの任意のレジスタに正常信号を書き込むことであり、当該正常信号とは、例えば、H'20とする。また、他の処理装置が有する正常信号送受信手段1020から送信された正常信号を受信する。
【0064】
つまり、主処理装置100の正常信号送受信手段1020は、当該主処理装置100が正常であると判断された場合には、所定時間ごとに正常信号を全ての副処理装置200、210、220に対して送信する。主処理装置100の正常信号送受信手段1020は、副処理装置200、210、220それぞれから、正常信号を受信する。また、副処理装置200の正常信号送受信手段1020は、当該副処理装置200が正常であると判断された場合には、所定時間ごとに正常信号を主処理装置100、自己以外の副処理装置210、220に正常信号を送信する。また、副処理装置200の正常信号送受信手段1020は、主処理装置100、自己以外の副処理装置210、220から正常信号を受信する。副処理装置210、220の正常信号送受信手段1020についても同様の処理を行なう。
【0065】
そして、主処理装置100、または副処理装置200、210、220それぞれは、正常信号を送信していない処理装置が異常であると判断する。また、当該異常であると判断された処理装置が検出された場合には、図6に示したテーブル表を用いて、異常の可能性がある処理装置を判断するようにしてもよい。
【0066】
この実施形態5の画像形成装置1−5であれば、異常信号を送信できないほどの極度の異常になった場合でも、判断手段10200は、異常であると判断された処理装置を判断することが出来る。
[実施形態6]
次に、実施形態6の画像形成装置1−6について説明する。実施形態4では、正常であると判断された副処理装置が2つ以上ある場合について説明した。また、実施形態1では、通信遮断信号は、正常であると判断された副処理装置の通信遮断信号送信手段1004により送信されることが好ましい、と説明した。実施形態6では、正常であると判断された副処理装置が2つ以上ある場合であっても、当該2つ以上の正常であると判断された副処理装置のうち何れか1つの通信遮断信号送信手段1004が通信遮断信号を送信する。当該何れか1つは、選択手段10060が選択する。
【0067】
もし、正常であると判断された副処理装置が2つ以上ある場合に、当該2つ以上の副処理装置が有する通信遮断信号送信手段1004それぞれが、通信遮断信号を送信した場合には、正常であると判断された副処理装置の記憶制御手段10080は、EEPROM101へアクセスできないという問題が生じる。例えば、正常であると判断された副処置装置が、搬送処理装置200と作像処理装置210である場合に、搬送処理装置200と作像処理装置210それぞれの通信遮断信号送信手段1004が通信遮断信号を送信したとする。この場合には、搬送処理装置200の記憶制御手段1008とEEPROM101との通信、および、作像処理装置210の記憶制御手段1008とEEPROM101との通信の両方が遮断される。その結果、搬送処理装置200と作像処理装置210何れもが、EEPROM101内の保護対象データを取得することが出来ない。
【0068】
従って、実施形態6では、正常であると判断された副処理装置が2つ以上ある場合には、選択手段10060により選択された何れか1つの副処理装置の通信遮断信号送信手段1004が通信遮断信号を送信する。また、副処理装置からの遮断信号線(図8の2002や2102)は、自己以外の副処理装置のCPUに送信できるように、接続されることが好ましい。この構成により、副処理装置のCPUは通信遮断信号を受信すると、自己以外の副処理装置が通信遮断信号を送信したことを認識することが出来る。その結果、自己のCPU内の通信遮断信号送信手段1004から通信遮断信号を送信しないようにすることが出来る。
【0069】
この実施形態6の画像形成装置によれば、正常であると判断された副処理装置が2以上ある場合には、何れか1つの副処理装置の遮断信号1004が送信する。従って、正常と判断された2以上の副処理装置の何れもが、EEPROM101へアクセスできなくなるという問題を回避することが出来る。
[実施形態7]
次に、実施形態7の画像形成装置1−7について説明する。図17に実施形態7の実施形態7の画像形成装置1−7の処理フローを示す。図17は、図3と比較して、ステップS7がステップS30に代替されて、かつ、ステップS31、32、34が付加されている。
【0070】
ステップS6の処理終了後、ステップS30において、搬送処理装置200(正常であると判断された副処理装置)の記憶制御手段10080は、保護対象データを当該搬送処理装置200のFROM201に記憶させるのであるが、当該保護対象データと共に、バックアップ情報も記憶させる。バックアップ情報とは、当該FROM201に記憶させたことを示す情報である。
【0071】
そして、ステップS8の終了後、サービスマンなどにより、異常と判断された主処理装置100や異常と判断された副処理装置を交換するのであるが、当該サービスマンなどは、当該交換後の主処理装置のEEPROM101には、全てH'FF(全てのビットが「1」)を書き込む。つまり、交換前のEEPROM101には、保護対象データとして、「0」「1」が書き込まれているのに対して、交換後のEEPROM101には、全ての「1」が書きこまれている。従って、全ての副処理装置200、210、220のCPUは、当該EEPROM101に通信することで、当該EEPROM101が交換されたか否かを認識することが出来る(ステップS31)。
【0072】
もし、全ての副処理装置200、210、220の記憶制御手段10080は、EEPROM101が交換されたことを認識した場合(ステップS31のYes、つまり、EEPROM101の全てのビットが「1」の場合)、全ての副処理装置の記憶制御手段10080それぞれは、自己のFROMに対して、バックアップ情報が記憶されているか否かを確認する(ステップS32)。上記の例では、全ての副処理装置のうち、バックアップ情報が記憶されているFROMを有するのは、搬送処理装置200である。従って、搬送処理装置200の記憶制御手段10080は、当該搬送処理装置200のFROM201に記憶された(バックアップされた)保護対象データを、EEPROM101に返信し、当該EEPROM101に記憶させる。このようにすることで、退避された保護対象データをEEPROM101に戻すことが出来る。
【0073】
この実施形態7の画像形成装置1−7によれば、退避された保護対象データとともに、バックアップ情報もFROMに記憶させる。従って、当該バックアップ情報が記憶されたFROMが設けられている副処理装置の記憶制御手段1008は、当該FROMに記憶されている(退避された)保護対象データをEEPROM101に記憶させる(EEPROM101に戻す)。従って、退避された保護対象データを、EEPROM101に記憶させることが出来、適切に保護対象データを保護することが出来る。
[実施形態8]
次に、実施形態8の画像形成装置1−8について説明する。実施形態8の画像形成装置1−7では、図12記載の主処理装置100のスイッチ1120、1122と、EEPROM101とのレイアウトについて説明する。実施形態8では、EEPROM101内に記憶されている保護対象データを適切に保護するために、スイッチ1120、1122と、EEPROM101と、の距離を所定値r以下にする。ここで、所定値rとは、EEPROM101に記憶されている保護対象データに対して影響を及ぼす他の配線やモジュールなどを、EEPROM101の周辺に配置させないようにする程度の距離である。このように、スイッチスイッチ1120、1122と、EEPROM101との距離を所定値r以下とすることで、EEPROM101に記憶されている保護対象データに対して影響を及ぼすという問題を回避できる。
【0074】
この実施形態8によれば、EEPROM101内に記憶されている保護対象データに対して影響を及ぼす部材を配置させないことで、更に、当該保護対象データを適切に保護することが出来る。
[その他の実施形態]
その他の実施形態として、図4、図11、図16記載の判断手段10020、通信遮断手段10040、選択手段10060、記憶制御手段10080、電源遮断手段10100、判断手段10200を個別(例えば、図1に示すコントローラ処理装置700)に設けるようにしてもよい。
【0075】
また、図2、図7、図8、図12では、主処理装置100と他の副処理装置との通信手法がシリアル通信である場合について説明した。その他の通信手法として、I2C通信などを用いてもよい。I2C通信とは、SDA信号でデータのやりとりを行い、SCL信号でクロックの受け渡しを行なう通信である。またI2C通信とは別のパラレル通信を用いても良い。
【符号の説明】
【0076】
1 画像形成装置
100 エンジン処理装置
101 EEPROM
102 CPU
200 搬送処理装置
201 FROM
202 CPU
210 作像処理装置
211 FROM
212 CPU
220 定着処理装置
221 FROM
222 CPU
1001 通信手段
1002 異常信号送受信手段
1004 通信遮断信号送信手段
1006 選択手段
1008 記憶制御手段
1010 電源遮断信号送信手段
1012 電源供給手段
1020 正常信号送受信手段
10020 判断手段
10040 通信遮断手段
10060 選択手段
10080 記憶制御手段
10100 電源遮断手段
【先行技術文献】
【特許文献】
【0077】
【特許文献1】特開2006−259869号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
保護対象データを記憶している記憶手段と、当該記憶手段と通信可能な通信手段を有する主処理装置と、
1以上の副処理装置と、を含む電子機器であって、
前記主処理装置および前記1以上の前記副処理装置それぞれが正常か異常かを判断する判断手段と、
前記判断手段により、前記主処理装置が異常であり、前記1以上の前記副処理装置のうち少なくとも1つの前記副処理装置が正常であると判断された場合に、前記通信手段と前記記憶手段との通信を遮断する通信遮断手段と、
前記正常であると判断された前記少なくとも1つの前記副処理装置のうち何れか1つを選択する選択手段と、
前記通信遮断手段により通信が遮断されると、前記選択手段により選択された前記副処理装置に、前記主処理装置が記憶している前記保護対象データを記憶させる記憶制御手段と、を有することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記主処理装置は前記記憶手段へ電源を供給している電源供給手段を有し、
前記1以上の前記副処理装置それぞれは前記記憶手段へ電源供給可能な電源供給手段を有し、
前記電子機器は、前記判断手段により、前記主処理装置が異常であり、前記1以上の前記副処理装置のうち少なくとも1つの前記副処理装置が正常であると判断された場合に、前記主処理装置が有する前記電源供給手段による前記記憶手段への前記電源の供給を遮断する電源遮断手段を有し、
前記電源遮断手段により前記電源の供給が遮断されると、前記選択手段により選択された前記副処理装置が有する前記電源供給手段は、前記記憶手段に対して、前記電源を供給することを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記副処理装置は複数あり、当該複数の前記副処理装置それぞれは、前記記憶手段と通信可能な通信手段を有し、
前記通信遮断手段は、前記判断手段により、前記主処理装置が異常であり、前記複数の前記副処理装置のうち少なくとも1つの前記副処理装置が異常であり、前記複数の前記副処理装置のうち少なくとも1つの前記副処理装置が正常であると判断された場合に、前記異常であると判断された前記1以上の前記副処理装置が有する前記通信手段と前記記憶手段との通信も遮断することを特徴とする請求項1または2記載の電子機器。
【請求項4】
前記記憶手段の周りには、当該記憶手段内に記憶されている前記保護対象データに対して影響を及ぼす部材が配置されないことを特徴とする請求項1〜3何れか1記載の電子機器。
【請求項5】
前記選択手段は、予め定められた前記複数の副処理装置の優先順位に基づいて、前記正常であると判断された前記少なくとも1つの前記副処理装置のうち何れか1つを選択することを特徴とする請求項1〜4何れか1項に記載の電子機器。
【請求項6】
前記判断手段は、
前記主処理装置、および、前記1以上の前記副処理装置それぞれが有する正常信号送受信手段を含み、
前記主処理装置が有する前記正常信号送受信手段は、当該主処理装置が正常である場合には、所定時間ごとに、前記1以上の前記副処理装置に対して正常信号を送信し、
前記1以上の前記副処理装置が有する前記正常信号送受信手段は、当該副処理装置が正常である場合には、所定時間ごとに、前記主処理装置および自己以外の前記副処理装置に送信し、
前記正常信号を送信していない前記主処理装置または前記副処理装置が異常であると判断されることを特徴とする請求項1〜5何れか1項に記載の電子機器。
【請求項7】
前記通信遮断手段は、
前記1以上の副処理装置それぞれが有する遮断信号送信手段を含み、
前記選択手段により選択された前記副処理装置が有する前記遮断信号送信手段は、前記主処理装置に対して遮断信号を送信することで、前記異常であると判断された前記1以上の前記副処理装置と前記主処理装置との通信を遮断することを特徴とする請求項1〜6何れか1項記載の電子機器。
【請求項8】
前記記憶制御手段は、前記保護対象データを記憶させた記憶手段に、当該記憶させたことを示すバックアップ情報も記憶させることを特徴とする請求項1〜7何れか1項記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−71302(P2013−71302A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−211256(P2011−211256)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】