電子機械式ロックおよびそのキー
電子機械式ロック、そのキーおよびその作動方法が開示されている。この方法は、キーの第1の挿入フェーズ(818)および第2の挿入フェーズ(820)の間に、キー従動子により発電機に機械的動力を伝えるステップ(802)と、キー従動子によりアクチュエータの機械的な作動をイネーブルするステップ(810)と、前記発電機により機械的動力から電力を発生するステップ(804)と、外部ソースからデータを読み出すステップ(806)と、前記データと所定の基準とを照合するステップ(808)とを備え、前記キーの取り出しフェーズ(826)において、前記キー従動子をスタート位置に復帰させるスタート(815)と、前記アクチュエータをロックされた状態に機械的にリセットするステップとを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機械式ロック、そのキーおよびその作動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の機械式ロック(錠)は、種々のタイプの電子機械式ロックにとって替わられつつある。これら電子機械式ロックは、外部電源と、ロック内部のバッテリーと、キー(鍵)内部のバッテリー、またはロックのユーザーが(機械的動力および電力を含む)パワーを供給するようになっているタイプにするようロック内で電力を発生するための手段とを必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、電子機械式ロックの電力消費量をできるだけ少なくするように更に電子機械式ロックを改善する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、特許請求の範囲の独立請求項に記載されている。
【0005】
以下、添付図面を参照し、単なる例により、本発明の実施形態について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1A】キーの一実施形態を示す。
【図1B】キーの種々の位置を示す。
【図1C】キーの種々の位置を示す。
【0007】
【図2A】キー従動子およびその位置の一実施形態を示す。
【図2B】キー従動子およびその位置の一実施形態を示す。
【図2C】キー従動子およびその位置の一実施形態を示す。
【0008】
【図3A】一体的発電機とアクチュエータデバイスとを有する、ユーザーがパワーを供給する電子機械式ロックの一実施形態を示す。
【図3B】その作動を示す。
【図3C】その作動を示す。
【図3D】その作動を示す。
【図3E】その作動を示す。
【図3F】その作動を示す。
【図3G】その作動を示す。
【図3H】その作動を示す。
【図3I】その作動を示す。
【図3J】その作動を示す。
【0009】
【図4A】電子機械式ロック内の作動のタイミングおよび順序を示す。
【図4B】電子機械式ロック内の作動のタイミングおよび順序を示す。
【0010】
【図5A】ロッキング機構の電子制御および機械式制御の一実施形態を示す。
【図5B】ロッキング機構の電子制御および機械式制御の一実施形態を示す。
【図5C】ロッキング機構の電子制御および機械式制御の一実施形態を示す。
【図5D】ロッキング機構の電子制御および機械式制御の一実施形態を示す。
【図5E】ロッキング機構の電子制御および機械式制御の一実施形態を示す。
【図5F】ロッキング機構の電子制御および機械式制御の一実施形態を示す。
【0011】
【図6A】セパレート式発電機およびアクチュエータデバイスを有する、ユーザーがパワーを供給する電子機械式ロッキングおよびその作動の一実施形態を示す。
【図6B】セパレート式発電機およびアクチュエータデバイスを有する、ユーザーがパワーを供給する電子機械式ロッキングおよびその作動の一実施形態を示す。
【図6C】セパレート式発電機およびアクチュエータデバイスを有する、ユーザーがパワーを供給する電子機械式ロッキングおよびその作動の一実施形態を示す。
【図6D】セパレート式発電機およびアクチュエータデバイスを有する、ユーザーがパワーを供給する電子機械式ロッキングおよびその作動の一実施形態を示す。
【図6E】セパレート式発電機およびアクチュエータデバイスを有する、ユーザーがパワーを供給する電子機械式ロッキングおよびその作動の一実施形態を示す。
【図6F】セパレート式発電機およびアクチュエータデバイスを有する、ユーザーがパワーを供給する電子機械式ロッキングおよびその作動の一実施形態を示す。
【0012】
【図7A】キーおよびスプリングの負荷を受けないで復帰した状態にあるキー従動子の一実施形態を示す。
【図7B】キーおよびスプリングの負荷を受けないで復帰した状態にあるキー従動子の一実施形態を示す。
【図7C】キーおよびスプリングの負荷を受けないで復帰した状態にあるキー従動子の一実施形態を示す。
【0013】
【図8】機械式ロックを作動させるための方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次の実施形態は、例である。本明細書では、いくつかの箇所で「ある」、「1つの」または「一部の」実施形態について言及するが、このことは、同じ実施形態についていちいち言及すること、または単一の実施形態だけに特徴事項が適用されることを必ずしも意味するものではない。別の実施形態の単一特徴事項を組み合わせて別の実施形態とすることも可能である。
【0015】
図3Aを参照し、電子機械式ロック300の構造について説明する。このロック300は、外部ソースからデータを読み出し、この読み出したデータと所定の基準とを照合するようになっている電子回路326を備える。電子回路326は、1つ以上の集積回路、例えばアプリケーション特定集積回路(ASIC)から構成できる。別個のロジック部品から構成された回路またはソフトウェアを有するプロセッサから、別の実施形態を実現することも可能である。これら異なる実施形態のハイブリッドも実現可能である。このような実現方法を選択する際に、当業者であれば、例えばデバイスの電力消費量と、製造コストと、製造量との必要な組み合わせを検討するであろう。
【0016】
外部ソースは、データを記憶するようになっている電子回路とすることができる。この電子回路は、例えばマキシムインテグレーティッドプロダクツ社のiButton(登録商標)(www.ibutton.com)とすることができ、かかる電子回路は、1−Wire(登録商標)プロトコルで読み出すことができる。この電子回路は、例えば1つのキーに設置できるが、別の適当なデバイスまたは物体内に設けてもよい。必要条件は、ロック300の電子回路326が外部電子回路からのデータを読み出しできることだけである。外部電子回路からロック300の電子回路326へのデータの転送は、任意の適当な有線または無線通信技術によって行うことができる。ユーザーがパワーを供給するタイプのロックでは、発生されるエネルギー量により、使用される技術が限定され得る。外部ソースとして、磁気ストライプ技術またはスマートカード技術を使用することもできる。無線技術として、例えばRFID技術またはモバイル電話(携帯電話)技術を使用できる。外部ソースは、トランスポンダ、RFタグまたはデータを記憶できる他の任意の適当な電子回路タイプのものにすることができる。
【0017】
外部ソースから読み出されたデータと所定の基準とを照合することにより、データは認証のために使用される。この認証は、米国国家安全保障局(NSA)によって設計された、SHA−1(安全ハッシュアルゴリズム)を用いて実行できる。このSHA−1では、(メッセージとして知られる)所定の入力データシーケンスから、(メッセージダイジェストとして知られる)短縮されたデジタル表示が計算される。このメッセージダイジェストは、メッセージに対して高度な確率でユニークとなっている。所定のアルゴリズムに対し、所定のメッセージダイジェストに対応するメッセージを見つけたり、同一のメッセージダイジェストを生成する2つの異なるメッセージを探すことは、計算上、実現不能であるので、SHA−1は、「安全」であると称されている。メッセージを探す試みを行っても、極めて高い確率で異なるメッセージダイジェストが生じることになる。セキュリティを高めたい場合、SHAファミリー内の他のハッシュ関数(SHA−224、SHA−256、SHA−384およびSHA−512)(各々は、より長いダイジェストを有し、全体はSHA−2として知られる)も使用できる。当然ながら、外部ソースから読み出されたデータを認証するのに、任意の適当な認証技術も使用できる。どの認証技術を選択するかは、ロック300の所望するセキュリティレベルだけでなく、可能な場合には(特にユーザーがパワーを供給する電子機械式ロック内の)認証のための許容される電気消費量によっても決まる。
【0018】
ロック300は、機械的動力から電力を発生するようになっている発電機330も含む。このロック300は、ユーザーがパワー(動力および電力を含む)供給するようになっているタイプのものである。例えばユーザーは、ロック300を作動させるのに必要な機械的動力および電力のすべてを発生する。発電機330は、例えば永久磁石式発電機とすることができる。発電機330の出力電力は、回転速度、電子回路のターミナル抵抗およびターミナル電圧、および発電機330の定数によって決まる。この発電機330は、例えば発電機として使用されるファウルハーバー(Faulhaber)社のモータ0816N008Sによって構成できる。発電機なる用語は、機械的動力から電力を発生できる任意の発電機/モータを意味する。
【0019】
図3Aは、電力を発生し、この電力を電子回路326へ供給し、その直後(発電された)電力により支持体342を(支点位置へ)移動させるのに1つの発電機330しか使用しない解決方法を示す。かかる解決方法では、発電機330はロックのアクチュエータとしても使用され、このアクチュエータ330は電子回路326の制御によりロック300を機械的に開放可能な状態にすることができる。支持体342は、発電機330のシャフトと結合できる。このシャフトは例えば移動シャフトでもよいし、回転シャフトでもよい。後に図6A〜6Fを参照し、発電機606とアクチュエータ608とが別個のデバイスとなっている一実施形態について説明する。
【0020】
従って、ロック300は、電力が供給されるアクチュエータ330も含む。このアクチュエータ330は、ロック300をロックされた状態から機械的に開放可能な状態にセットするようになっている、本願と同時に出願された欧州特許出願第EP07112673.4号に、より詳細に説明されている。
【0021】
ロック300は、機械的動力によって駆動されるキー従動子200も含む。このキー従動子200は、次のようにキーの挿入に対するロック300のタイミングを定めるようになっている。
−第1の挿入フェーズおよび第2の挿入フェーズの間、キー従動子は機械式動力を発電機330へ伝え、アクチュエータ330の作動を機械式に可能にし、
−キーを抜くフェーズの間、キー従動子はスタート位置に戻り、アクチュエータ330をロックされた状態に機械式にリセットする。
【0022】
更に、キー従動子200は、第3の挿入フェーズの間、データが所定の基準に一致していることを条件に、電子回路326がアクチュエータ330を機械式に制御し、よってロック300を機械式に開放可能な状態にセットできる。
【0023】
この種のタイミングでは、機械式動力によりできるだけ多くのロック300の作動を行い、絶対的に必要な場合に限り、作動のために(ユーザーが発生した)電力を消費するようになっている。
【0024】
作動のタイミングの構成とは別に、キー従動子200はロック300のうちのアクチュエータ330の作動のための単一機械式動力入力インターフェースとして作動する。キー従動子200は、ユーザーがアクチュエータ330のすべての作動を操作したり、作動順序を変更するすべての可能性を防止している。
【0025】
図3A〜3Jのロック300では、例えば発電し、ロック300を作動させるために同じデバイス(発電機330)を使用するようになっているロックでは、第1および第2の挿入フェーズ中の操作の論理的順序は、次のとおりである。すなわち第1の挿入フェーズ中、発電機330に機械式動力が伝えられ、第2の挿入フェーズ中はアクチュエータ330の作動は機械式に可能とされる。
【0026】
しかしながら、特に図6A〜6Fのロックでは、例えば発電機606とアクチュエータ608とが別個となっているロック600では、第1および第2の挿入フェーズ中の作動の論理的順序を逆にできる。すなわち第1の挿入フェーズ中、アクチュエータ608の作動が機械的に可能とされ、第2の挿入フェーズ中、発電機606に機械的動力が伝えられる。第1および第2の挿入フェーズとそれらの作動は、少なくとも部分的にオーバーラップしていてもよい。すなわちこれらは少なくとも部分的に並列に実行してもよい。
【0027】
図1Aを参照し、キー100の構造について説明する。更に図1Bおよび1Cは、ロック300内のキー100の種々の位置を示す。
【0028】
電子機械式ロック300のためのキー100は、キー100を挿入している間にロック300のキー従動子200と係合し、ロック300のユーザーが発生した機械式動力をロック300の発電機330に機械式に伝えるようになっている第1の形状部118を含む。
【0029】
このキー100は、ロック300の外部にあるソースから読み出されたデータが所定の基準に一致することを条件に、電子回路326によりアクチュエータ330を電子的に制御させ、ロック300を機械式に開放可能な状態にセットするようになっている第2の形状部110も含む。
【0030】
このキー100は、ユーザーによりキー100が抜かれているフェーズ中、キー従動子200に係合し、キー従動子200をスタート位置に復帰させると共に、アクチュエータ330をロックされた状態に機械式にリセットするようになっている第3の形状部116も含む。
【0031】
第1の形状118または第2の形状部110のいずれも、キー100を挿入している間、キー従動子200と係合し、アクチュエータ330の作動を機械式に可能にするようにも構成できる。図3A〜3Jのロック300に適合させるため、第2の形状部110は、キー100を挿入中にキー従動子200と係合し、アクチュエータ330の作動を機械的に可能にするようになっている。図6A〜6Fのロック600において、作動順序を逆にした場合、キー100の挿入中に第1の形状部118は、キー従動子200と係合し、アクチュエータ608の作動を機械式に可能にするように構成される。
【0032】
キー100は、キー100が挿入されている間、発電を遅延すると共に、ロック300の電子回路326がロック300の外部のソースからデータを読み出し、データと所定の基準とを照合するように構成された、第1形状118と第2形状部110との間に位置するギャップ114も含むことができる。
【0033】
このキー100はデータを記憶するようになっている電子回路106も含むことができる。前に説明したように、この回路106は、例えばiBotton(登録商標)とすることができる。
【0034】
キー100は、ロックのロックシリンダ120と係合し、ロックシリンダ120と共にキー100の挿入位置からロック開放位置へ回転できるように構成できる。キー挿入位置だけでしかキー100をロック300から抜くことができないよう、ロック300と係合するようになっている第4の形状104、例えば回転位置の形状も含むことができる。これに対応し、ロック300はキー100の挿入位置からロック300の開放位置まで回転自在に構成できるロックシリンダ120を備え、このロック300は、キー100の挿入位置だけでしかキー100を抜くことができないように構成することができる。
【0035】
このキー100は、他の種々の部品も含むことができる。図1Aに示されるように、このキー100は、キーグリップ101および(例えばバー形状をした)キー本体102も含むことができる。更にこのキー100は、スライド接点108およびキー本体102に接続されたキー電子回路106も含むことができる。この電子回路106は上記のように、(ロック300の電子回路326によって読み出された)データを記憶するための電子回路を含むことができる。キー本体102は、位置決め制御をより良好にするための軸方向ガイドも有することができる。
【0036】
図1Bでは、キー100はゼロ位置に示されている。このゼロ位置では、キー通路形状部122を通してキー100をロック300に挿入したり、抜き取りできる。
【0037】
図1Cでは、キー100は、ゼロ位置から外れており、このゼロ位置から外れた位置において、キー本体102とロックのキー通路形状部122は、キー100の抜き取りを防止する。
【0038】
図2A、2Bおよび2Cを参照し、キー従動子200および電子機械式ロック内のキー従動子の位置について説明する。
【0039】
キー従動子200は、図2Aに説明した回転式キー従動子とすることができるが、実施のために他の形状も適す。この回転式キー従動子200は、シャフト208を中心として回転し得る。図2Aのキー従動子200は、ある意味では、2つの歯車を有するギアホイールであり、キー100は一致する歯車を有するので、当業者であれば、キー100およびその従動子200を構成するのに、この原理を適用できよう。
【0040】
キー従動子200は、第1の挿入フェーズ中にキー100と係合するようになっている第1の爪202を含むことができる。
【0041】
キー従動子200は、第2の挿入フェーズ中および第3の挿入フェーズ中にキー100と係合するようになっている第2の爪204も含むことができる。
【0042】
このキー従動子200は、スウィングレバー206も含むことができる。
【0043】
図2Bは、ロック300内にキー100が挿入されているときのキー従動子200の位置および機能を示す。
【0044】
図3Bおよび3Cは、キー100の第1の形状部118による機械的動力の受け入れを更に示している。
【0045】
図3Dは、キーのギャップ114により可能となる作動を更に示す。
【0046】
図3Eおよび3Fは、キー100の第2の形状部110によるアクチュエータの作動を更に示す。
【0047】
図3G、3Hおよび3Iは、キーの第2の形状部110により、位置スイッチ328が操作された後の作動を更に示す。
【0048】
図2Cは、ロック300からキー100が抜かれた後のキー従動子200の位置および機能を示す。キー従動子200は、スプリングによりギャップ114の位置へ復帰し、よって位置スイッチ328は、不作動状態とされ、アクチュエータ330はリセットされる。その後に、キー100の第3の形状部116は、キー従動子200をそのホーム位置へ復帰させることができる。図3Jは、これら動作を更に示す。
【0049】
図3Aは、ロック300の他の多くの可能なコンポーネントを示す。ロック300は、キー通路122、306、電気接点302、支持体342、駆動ピン316、ロッキングピン318、レバー320、アーム314、スプリング322、324、344、スレッシュホールドデバイス332、クラッチ334、メインホイール338、ストッパー340、位置スイッチ328、ロックシリンダ320およびクラッチ開放器336を更に含むことができる。更にこのロックは、ボルト機構321へ結合できる。クラッチ334が閉じられていることを条件に、スレッシュホールドデバイス332が移動している間、発電機330はメインホイール338を介して回転できる。
【0050】
支持体342は、データが所定の基準に一致していることを条件に、例えばデータが認証されたことを条件に、電力により支点位置へ移動するように構成できる。この支持体342は、キーがロック300から抜かれると、機械的動力により、支点位置からリセットされるように構成できる。この機械的動力は、例えばスプリング344により発生できる。
【0051】
ロッキングピン318は、係合状態のときにロック300をロック状態に保持するように構成でき、係合が解除(開放)されると、ロック300を機械的に開放可能な状態に保持するように構成できる。ロッキングピン318は、ロックからキーが取り出されると、機械的動力により係合するように構成できる。この機械的動力は、例えばスプリング322によって発生できる。これについては図3Jを参照して後に説明する。ロッキングピン318は、係合中にこのロッキングピン318がロックシリンダ120を静止状態に保持するようにロック状態となり、更に係合が解除されると、ロッキングピン318が機械的動力によって回転可能なロックシリンダ120を解放するよう、ロックシリンダを機械的に開放可能な状態にするように構成できる。第3クラスのレバーでは、入力する力は出力される負荷よりも大きくなるが、この入力する力は、負荷がかかっている部分よりも短い距離移動するだけである。すなわちロッキングピン318は、ロックシリンダ120の壁内に充分深く進入するので、ロッキングピン318は、かかるレバー320により、所定位置にあるロックシリンダ120をロックされた状態に強固に保持できる。このロッキングピン318のために、ロックシリンダ120内にキャビティ310を形成できる。
【0052】
レバー320は、機械的動力を受けると共に、支持体342が支点位置にあることを条件に、ロッキングピン318との係合を機械的に解除するための機械的動力を出力するように構成できる。
【0053】
駆動ピン316は、レバー320に機械的動力を入力するように構成できる。レバー320は、キーの挿入から生じる機械的動力を受けるように構成できる。図3Aに示されるように、レバー320は、第3のクラスのレバーとし得る。すなわち、支点をレバー320の左側の端部に設け、レバー320の中間に機械的動力を入力し、レバー320の右側端部から機械的動力を出力するようなレバーとすることができる。
【0054】
レバー320とロッキングピン318との間のカップリング321は、別の支点として作動でき、データが所定の基準と一致しないことを条件に、例えば支持体342が支点位置まで移動されないことを条件に、ロックされた位置に静止状態に留まる。
【0055】
図3Bは、ロック300内の第1の爪202に対してキー300の第1の形状部118が挿入されたときのロック状態を示す。キー電子回路106は、電気接点302とスライド接点108との間で一方の電気接続がなされ、キー本体302とロックフレーム300との間に別の電気接続がなされるように、電子回路326に接続できる。
【0056】
図3Cでは、ロック300内のスレッシュホールド位置にキー100が挿入され、キー100の第1の形状部118はまだ第1の爪202に接触状態にある。スレッシュホールドデバイス332には、スウィングレバー206から動力を受け、作動準備状態となっている。キー100がロック内に更に深く挿入されると、スレッシュホールドデバイス332は、作動状態となり、スプリングによってホーム位置へ復帰する。スレッシュホールドデバイス332が移動している際、発電機330によって電子回路326への電力が発生される。このスレッシュホールドデバイス332は、本願出願人による別の特許出願第EP05112272.9号およびPCT/FI/2006/050543号に、より詳細に示されている。
【0057】
図3Dでは、キー100はロック300内に移動し続ける。第2の爪204は、キー100のギャップ114内にあるので、キー従動子202は移動しない。すなわち発電と通信のために遅延が行われる。十分な電圧レベルに達した後に、電子回路326は電気接点302、108を介してキーの電子回路106と通信し、キー100を認証する。
【0058】
図3Eでは、キーの第2の形状部110により、第2の爪204は前方に押されている。スウィングレバー206およびクラッチ開放器330によってクラッチ334を開放することにより、アクチュエータの作動が可能となる。同時に出願された別の欧州特許出願第EP07112677.5号には、クラッチ334がより詳細に記載されている。
【0059】
図3Fでは、発電フェーズが終了する前に、アクチュエータイネーブル動作がスタートされる。すなわちロック330内に過度に速くキー100が挿入されることがあるが、かかる場合、クラッチ334はストッパー340に抗してホームポジションに復帰するときにしか開放(係合を解除)できないので、アクチュエータの動作が不可能とされ、ロック300を開けることはできない。
【0060】
図5Aおよび5Bでは、クラッチ334は閉じており、メインホイール338の回転は形状部504、506によってブロックされる。メインホイール338は、発電機330によっては回転できず、支持体342は、レバー320の下にセットされていない。キー100のユーザーが駆動ピン316を押し下げた場合でも、ロッキングピン318は閉位置に維持される。
【0061】
図3Gでは、クラッチ334は開けられ、キーの第2の爪204および第2形状部110の端部により、位置スイッチ328が作動される。電子回路326は、位置スイッチ328が次のように作動されるときに、発電機330を電動モータとして制御する。すなわちキー100が認証された場合、発電機330は図5Eおよび5Fに示されるように開方向に駆動され、キー100が認証されない場合、キー100は図5Cおよび5Dに示されるように閉位置に維持される。
【0062】
図3Hにおいて、メインホイール338は閉位置に維持される。支持体342は、レバー320の下にはない。アーム314、駆動ピン316およびレバー320は、キーの第1の形状部118によって下方に押されるが、ロッキングピン318はスプリング322により閉位置に維持され、ロック300をかけることはできない。図示するように、キー100が認証されない場合、レバー320は支持体342(従って支点)を失う。ロック300の機構は、不正な操作に対して安全なままである。
【0063】
図3Iでは、電子回路326によりメインホイール338は開放位置へ駆動される。支持体342はレバー320の下にセットされている。アーム314および駆動ピン316は、キー100の第1の形状部118により押し下げられ、ロッキングピン318は駆動ピン316によりレバー326を介して押し下げられる。この結果、ロック300は機械的に開放可能な状態にあり、キー100を回転することによりボルト機構312を移動できる。キー100を回転すると、ロックシリンダ120はキー従動子200の第2の爪204に対する支持体となり、よってロックシリンダ120はその回転中にこの位置を維持する。キー100は、ロック300から抜き出す前に、図1Bに示されるように、ゼロ位置へ復帰しなければならない。
【0064】
この開放は図5Cおよび5Dにも示されている。クラッチ334が開放され、メインホイール338の回転が形状部504、506により可能となる。図5Eおよび5Fに更に示されるように、メインホイール338は、発電機330によりストッパー508まで回転され、支持体342はレバー320の下にセットされ、アーム314、駆動ピン316およびレバー320を介して、キー100のユーザーによりロッキングピン318を開放できる。
【0065】
図3Jでは、キー100の抜き取りが進行中である。ロッキングピン318はスプリング322によって閉位置まで復帰する。駆動ピン316およびアーム314は、スプリング324により初期位置へ復帰する。レバー320は、駆動ピン316およびロッキングピン318と共に初期位置へ復帰する。クラッチ334はスプリング344によって閉じられ、メインホイール338はリセットされる。第2の爪204は、クラッチ開放器336によりギャップ114内に戻る。ロック300からキー100が抜かれると、キー100の第3の形状部116および第2の爪240は、図3Bおよび2Cに示されるようにキー従動子200をスタート位置に戻す。
【0066】
図4Aは、キー100がロック300内に所定の速度で挿入されたときのロックの機能の順序を示す。キー100の挿入から直線状の機械的動力が受け取られ、この受け取られた直線状の機械的動力の一部から、電力が発生される。充分な電圧が発生されると、ロックの電子回路326のプロセッサがスタートし、電圧が充分なレベルよりも低下すると、プロセッサは停止する。発電された電力によりキー100が認証される。アクチュエータは機械的動力によりイネーブルされる。キー100が必要な深さだけ挿入された後に、位置スイッチ328が作動される。このとき、アクチュエータは発電された電力によって制御され、ロック機構は機械的動力によって更に作動される。位置スイッチ328が作動される前に電圧が十分なレベルより低下するよう、キー100の挿入速度が低速である場合、アクチュエータ330は駆動されず、ロック300はロックされた状態のままである。キー100が過度に高速で挿入された場合、キー認証プロセスがレディ状態となる前に位置スイッチ328が作動され、ロック300は閉状態に維持される。最終的に、回転機械的動力が受けとられ、この動力はボルト機構312を作動するのに使用される。
【0067】
図4Bは、キー100がロック300から抜かれるときのロック機能を示す。キー100の抜き取りから直線状の機械的動力が受け取られる。この受け取られた機械的動力により、ロック機構が操作され、位置スイッチ328が不作動とされた後にアクチュエータはリセットされる。この直後、キー従動子200は機械的動力によりスタート位置へ復帰する。
【0068】
図6Aは、発電機606とアクチュエータ608とが別個となっている、ユーザーがパワーを供給する電子機械式ロック600の一実施形態を示す。発電機606は、機械的動力から発電できる任意の適当な技術を用いて構成できる。発電機606として、例えば発電機またはピエゾ電気発電機を使用できる。アクチュエータ608はロックされた状態から機械的に開放可能な状態にロックをセットするよう、電力により操作できる任意の適当な技術を用いて構成できる。アクチュエータ608として、例えば電気ソレノイド、ピエゾ電気アクチュエータまたは電動モータを使用できる。
【0069】
図6Aでは、電動モータタイプのアクチュエータ606がギア616および支持ホイール604を回転させる。発電機606により電力が発電され、この発電機606は、スレッシュホールドデバイス332が移動しているときにギア612、614を介して回転できる。
【0070】
ロック600は、ロックシリンダ120、キー通路122、306、電気接点302、キー従動子200、アーム314、駆動ピン316、ロッキングピン318、レバー320、スプリング322、324、602、電子回路326、位置スイッチ328、支持ホイール604およびバー610を含むことができる。このロック600は更に、ボルト機構312へ結合できる。
【0071】
図6Aは、キー従動子200の第1の爪202に対してキー100が挿入されたときのロック状態を示す。このキー電子回路106は、電気接点302とスライド接点108の間で一方の電気接続がなされ、キー本体102とロック600のフレームとの間で他方の電気接続がなされるように、電子回路326へ接続できる。支持ホイール604はバー610およびそのスプリング602により、ロック位置に維持される。アクチュエータのリセットおよびイネーブル動作は、図5B、5Dおよび5Fに示された形状部506および504に類似するが、図6Aの実施形態ではクラッチ334は形状部504を有するバー610の右側端部に置き換えられている。
【0072】
図6Bでは、キー100は、スレッシュホールド位置を超えるように挿入される。このスレッシュホールド位置よりも前で、スレッシュホールドデバイス332は動力が掛かり、作動準備状態となり、受けた動力により作動する。発電機606によりギア612、614およびスレッシュホールドデバイス332を介して電力が発生される。電子回路326がスタートされ、ロック600とキー100との間の通信が進行する。キー従動子200の第2の爪204は、キー100のギャップ114内にあるので、キー100が移動していても、キー従動子200は移動しない。よって、エネルギーの発生とキー100の認証の時間がアレンジされている。
【0073】
図6Cではキー従動子200の第2の爪204は、キー100の第2の形状部110により前方に押される。スウィングレバー206と共に支持ホイール604からバー610を取り外すことにより、アクチュエータの作動がイネーブルされる。キー100が認証されることを条件に、位置スイッチ328が作動され、アクチュエータ608が制御され、支持ホイール604は開放位置に復帰される。キー100が認証されなければ、アクチュエータ608は閉位置に維持される。
【0074】
図6Dでは、支持ホイール604は閉位置に維持される。支持体342はレバー320の下にセットされていない。アーム314、駆動ピン316およびレバー320は、キーの第1の形状部118により押し下げられるが、ロッキングピン318はスプリング322により閉位置に維持される。ロック600は、開けることはできない。
【0075】
図6Eでは、支持ホイール604は電子回路326により開放位置へ駆動される。支持体342は、レバー320の下にセットされている。アーム314および駆動ピン316は、キーの第1形状部118により押し下げられ、レバー320は、ロックシリンダ120からロッキングピン318を放出する。ロック600は、機械的に開放可能な状態にセットされ、キー100を回転することによりボルト機構324を移動できる。キー100が回転されている間、ロックシリンダ120は、回転中にその位置を維持するようにキー従動子200の第2の爪204に対する支持体となる。キーの形状部104およびキー通路の形状部122は、キーをロック600から引き抜きできるようになる前に、キーが図1Bに示されるようなゼロ位置へ復帰することを保証できる。
【0076】
図6Fでは、キー100の抜き取りが進行中である。ロッキングピン318はスプリング322により閉位置へ戻る。駆動ピン316およびアーム314は、スプリング324により初期位置へ復帰される。レバー320は、駆動ピン316およびロッキングピン318と共に初期位置へ復帰する。スウィングレバー206は、スウィングレバー602により後方に押され、キー従動子200の第2の爪204はキー100のギャップ114へ復帰される。支持ホイール604を介し、スウィングレバー602によりバー610が押され、支持ホイール604はリセットされる。キー100がロック600から抜かれる際に、キー100の第3の形状部116および第2の爪204は、キー従動子200を図6Aおよび2Cに示されるようにスタート位置まで回転させる。
【0077】
図7Aは、キー本体702およびキー電子回路706を含むキー700を示す。キー本体702は、異なる形状部、例えば回転位置形状部704、第1の形状部718、第2の形状部710および第3の形状部716、ギャップ708、リセス703およびガイド712を含むことができる。キーの電子回路706は、ロックと無線で通信できる。
【0078】
図7Bは、キー従動子200の第2の爪204のためのトラック722を含むロックシリンダ720内に完全に挿入されたキー700を示す。このトラック722は、ロックシリンダ720の回転を可能にする。この実施形態は、キー700がロックシリンダ720から取り出されるときにスプリング負荷がなくてもキー従動子700を戻すことができることを示している。キー700がロックシリンダ720内に完全に挿入されているとき、キー従動子200の第2の爪204は、ロックシリンダ720の内側壁から突出するようになっている。第2の形状部716に隣接するリセス703は、キー700の取り出しフェーズ中に、第3の形状部716がキー従動子200(その第2の爪703)と接触し、キー従動子200をスタート位置まで回転させるようにキー従動子200(の第2の爪204)のリセス703への突出を可能にするようになっている。
【0079】
図7Cは、キー700を挿入したときのロックシリンダ720およびキー従動子200の横断面を示す。キーのガイド712は、キー従動子の第1の爪202がギャップ708内に落下できないことを保証している。
【0080】
次に、図8を参照して電子機械式ロックを操作する方法ついて説明する。本願で説明していない別の機能を、これら作動ステップの間、またはこれら作動ステップ中に実施してもよい。この方法は、800にてスタートする。
【0081】
キーの第1の挿入フェーズ818および第2の挿入フェーズ820中に、802にてキー従動子により発電機へ機械的動力が伝えられ、810にて、キー従動子によりアクチュエータの作動が機械的にイネーブルされる。図8に示されるように、第1の挿入フェーズ818と第2の挿入フェーズ820との間で、802と810とを分割できることに留意すべきである。他の分割例として、802の前に810を実行する例がある。すなわち804、806および808の前に第1の挿入フェーズ818で、810および802の双方を実行し、第2の挿入フェーズ820では、実際に810および802のいずれも実行しないようにする。
【0082】
804にて、発電機により機械的動力から電力を発生する。806において、外部ソースからデータを読み出し、808にて、データと所定の基準とを照合し、804における発電を、少なくとも部分的に806と並列に、更に可能な場合には808とも並列に、続けることができる。
【0083】
キーの第3の挿入フェーズ822の間、データは812において、データが所定の基準と一致することを条件に、電力によってロックを機械的に開放可能な状態にセットするように、アクチュエータを電子的に制御できる。
【0084】
その後、814においてキーの第4の挿入フェーズ824でロックを機械的に開放できる。第4の挿入フェーズ824は、ロッキングピンをレバー操作することにより、このロッキングピンを開放すること、およびキーが可能な最大挿入深度に達した後にボルト機構を回転することを含む。
【0085】
キーの取り出しフェーズ826の間、キー従動子はスタート位置まで戻され、アクチュエータは815においてロックされた状態に機械的にリセットされる。
【0086】
この方法は、816で終了する。
【0087】
図8においてこれまで説明した作動は、絶対的な年代的順序ではなく、作動の一部を同時に実行したり、所定のステップと異なる順序で実行することができる。前に説明したように、可能な作動シーケンスは、例えば800−802−804−806−808−810−812−814−815−816、800−810−802−804−806−808−821−814−815−816とすることができる。更に変形も可能である。例えば800−802−810−804−806−808−812−814−815−816および800−802−804−810−806−808−812−814−815−816とすることも可能である。
【0088】
この方法は、前に説明した電子機械式ロックおよびキーの種々の実施形態によって働きを高めることができる。
【0089】
当業者であれば、技術が進歩するにつれ、本発明の原理を種々の方法で実施できることは明らかとなる。本発明およびその実施形態は、これまで説明した例だけに限定されるものではなく、特許請求の範囲で種々の変更が可能である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機械式ロック、そのキーおよびその作動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の機械式ロック(錠)は、種々のタイプの電子機械式ロックにとって替わられつつある。これら電子機械式ロックは、外部電源と、ロック内部のバッテリーと、キー(鍵)内部のバッテリー、またはロックのユーザーが(機械的動力および電力を含む)パワーを供給するようになっているタイプにするようロック内で電力を発生するための手段とを必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、電子機械式ロックの電力消費量をできるだけ少なくするように更に電子機械式ロックを改善する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、特許請求の範囲の独立請求項に記載されている。
【0005】
以下、添付図面を参照し、単なる例により、本発明の実施形態について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1A】キーの一実施形態を示す。
【図1B】キーの種々の位置を示す。
【図1C】キーの種々の位置を示す。
【0007】
【図2A】キー従動子およびその位置の一実施形態を示す。
【図2B】キー従動子およびその位置の一実施形態を示す。
【図2C】キー従動子およびその位置の一実施形態を示す。
【0008】
【図3A】一体的発電機とアクチュエータデバイスとを有する、ユーザーがパワーを供給する電子機械式ロックの一実施形態を示す。
【図3B】その作動を示す。
【図3C】その作動を示す。
【図3D】その作動を示す。
【図3E】その作動を示す。
【図3F】その作動を示す。
【図3G】その作動を示す。
【図3H】その作動を示す。
【図3I】その作動を示す。
【図3J】その作動を示す。
【0009】
【図4A】電子機械式ロック内の作動のタイミングおよび順序を示す。
【図4B】電子機械式ロック内の作動のタイミングおよび順序を示す。
【0010】
【図5A】ロッキング機構の電子制御および機械式制御の一実施形態を示す。
【図5B】ロッキング機構の電子制御および機械式制御の一実施形態を示す。
【図5C】ロッキング機構の電子制御および機械式制御の一実施形態を示す。
【図5D】ロッキング機構の電子制御および機械式制御の一実施形態を示す。
【図5E】ロッキング機構の電子制御および機械式制御の一実施形態を示す。
【図5F】ロッキング機構の電子制御および機械式制御の一実施形態を示す。
【0011】
【図6A】セパレート式発電機およびアクチュエータデバイスを有する、ユーザーがパワーを供給する電子機械式ロッキングおよびその作動の一実施形態を示す。
【図6B】セパレート式発電機およびアクチュエータデバイスを有する、ユーザーがパワーを供給する電子機械式ロッキングおよびその作動の一実施形態を示す。
【図6C】セパレート式発電機およびアクチュエータデバイスを有する、ユーザーがパワーを供給する電子機械式ロッキングおよびその作動の一実施形態を示す。
【図6D】セパレート式発電機およびアクチュエータデバイスを有する、ユーザーがパワーを供給する電子機械式ロッキングおよびその作動の一実施形態を示す。
【図6E】セパレート式発電機およびアクチュエータデバイスを有する、ユーザーがパワーを供給する電子機械式ロッキングおよびその作動の一実施形態を示す。
【図6F】セパレート式発電機およびアクチュエータデバイスを有する、ユーザーがパワーを供給する電子機械式ロッキングおよびその作動の一実施形態を示す。
【0012】
【図7A】キーおよびスプリングの負荷を受けないで復帰した状態にあるキー従動子の一実施形態を示す。
【図7B】キーおよびスプリングの負荷を受けないで復帰した状態にあるキー従動子の一実施形態を示す。
【図7C】キーおよびスプリングの負荷を受けないで復帰した状態にあるキー従動子の一実施形態を示す。
【0013】
【図8】機械式ロックを作動させるための方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次の実施形態は、例である。本明細書では、いくつかの箇所で「ある」、「1つの」または「一部の」実施形態について言及するが、このことは、同じ実施形態についていちいち言及すること、または単一の実施形態だけに特徴事項が適用されることを必ずしも意味するものではない。別の実施形態の単一特徴事項を組み合わせて別の実施形態とすることも可能である。
【0015】
図3Aを参照し、電子機械式ロック300の構造について説明する。このロック300は、外部ソースからデータを読み出し、この読み出したデータと所定の基準とを照合するようになっている電子回路326を備える。電子回路326は、1つ以上の集積回路、例えばアプリケーション特定集積回路(ASIC)から構成できる。別個のロジック部品から構成された回路またはソフトウェアを有するプロセッサから、別の実施形態を実現することも可能である。これら異なる実施形態のハイブリッドも実現可能である。このような実現方法を選択する際に、当業者であれば、例えばデバイスの電力消費量と、製造コストと、製造量との必要な組み合わせを検討するであろう。
【0016】
外部ソースは、データを記憶するようになっている電子回路とすることができる。この電子回路は、例えばマキシムインテグレーティッドプロダクツ社のiButton(登録商標)(www.ibutton.com)とすることができ、かかる電子回路は、1−Wire(登録商標)プロトコルで読み出すことができる。この電子回路は、例えば1つのキーに設置できるが、別の適当なデバイスまたは物体内に設けてもよい。必要条件は、ロック300の電子回路326が外部電子回路からのデータを読み出しできることだけである。外部電子回路からロック300の電子回路326へのデータの転送は、任意の適当な有線または無線通信技術によって行うことができる。ユーザーがパワーを供給するタイプのロックでは、発生されるエネルギー量により、使用される技術が限定され得る。外部ソースとして、磁気ストライプ技術またはスマートカード技術を使用することもできる。無線技術として、例えばRFID技術またはモバイル電話(携帯電話)技術を使用できる。外部ソースは、トランスポンダ、RFタグまたはデータを記憶できる他の任意の適当な電子回路タイプのものにすることができる。
【0017】
外部ソースから読み出されたデータと所定の基準とを照合することにより、データは認証のために使用される。この認証は、米国国家安全保障局(NSA)によって設計された、SHA−1(安全ハッシュアルゴリズム)を用いて実行できる。このSHA−1では、(メッセージとして知られる)所定の入力データシーケンスから、(メッセージダイジェストとして知られる)短縮されたデジタル表示が計算される。このメッセージダイジェストは、メッセージに対して高度な確率でユニークとなっている。所定のアルゴリズムに対し、所定のメッセージダイジェストに対応するメッセージを見つけたり、同一のメッセージダイジェストを生成する2つの異なるメッセージを探すことは、計算上、実現不能であるので、SHA−1は、「安全」であると称されている。メッセージを探す試みを行っても、極めて高い確率で異なるメッセージダイジェストが生じることになる。セキュリティを高めたい場合、SHAファミリー内の他のハッシュ関数(SHA−224、SHA−256、SHA−384およびSHA−512)(各々は、より長いダイジェストを有し、全体はSHA−2として知られる)も使用できる。当然ながら、外部ソースから読み出されたデータを認証するのに、任意の適当な認証技術も使用できる。どの認証技術を選択するかは、ロック300の所望するセキュリティレベルだけでなく、可能な場合には(特にユーザーがパワーを供給する電子機械式ロック内の)認証のための許容される電気消費量によっても決まる。
【0018】
ロック300は、機械的動力から電力を発生するようになっている発電機330も含む。このロック300は、ユーザーがパワー(動力および電力を含む)供給するようになっているタイプのものである。例えばユーザーは、ロック300を作動させるのに必要な機械的動力および電力のすべてを発生する。発電機330は、例えば永久磁石式発電機とすることができる。発電機330の出力電力は、回転速度、電子回路のターミナル抵抗およびターミナル電圧、および発電機330の定数によって決まる。この発電機330は、例えば発電機として使用されるファウルハーバー(Faulhaber)社のモータ0816N008Sによって構成できる。発電機なる用語は、機械的動力から電力を発生できる任意の発電機/モータを意味する。
【0019】
図3Aは、電力を発生し、この電力を電子回路326へ供給し、その直後(発電された)電力により支持体342を(支点位置へ)移動させるのに1つの発電機330しか使用しない解決方法を示す。かかる解決方法では、発電機330はロックのアクチュエータとしても使用され、このアクチュエータ330は電子回路326の制御によりロック300を機械的に開放可能な状態にすることができる。支持体342は、発電機330のシャフトと結合できる。このシャフトは例えば移動シャフトでもよいし、回転シャフトでもよい。後に図6A〜6Fを参照し、発電機606とアクチュエータ608とが別個のデバイスとなっている一実施形態について説明する。
【0020】
従って、ロック300は、電力が供給されるアクチュエータ330も含む。このアクチュエータ330は、ロック300をロックされた状態から機械的に開放可能な状態にセットするようになっている、本願と同時に出願された欧州特許出願第EP07112673.4号に、より詳細に説明されている。
【0021】
ロック300は、機械的動力によって駆動されるキー従動子200も含む。このキー従動子200は、次のようにキーの挿入に対するロック300のタイミングを定めるようになっている。
−第1の挿入フェーズおよび第2の挿入フェーズの間、キー従動子は機械式動力を発電機330へ伝え、アクチュエータ330の作動を機械式に可能にし、
−キーを抜くフェーズの間、キー従動子はスタート位置に戻り、アクチュエータ330をロックされた状態に機械式にリセットする。
【0022】
更に、キー従動子200は、第3の挿入フェーズの間、データが所定の基準に一致していることを条件に、電子回路326がアクチュエータ330を機械式に制御し、よってロック300を機械式に開放可能な状態にセットできる。
【0023】
この種のタイミングでは、機械式動力によりできるだけ多くのロック300の作動を行い、絶対的に必要な場合に限り、作動のために(ユーザーが発生した)電力を消費するようになっている。
【0024】
作動のタイミングの構成とは別に、キー従動子200はロック300のうちのアクチュエータ330の作動のための単一機械式動力入力インターフェースとして作動する。キー従動子200は、ユーザーがアクチュエータ330のすべての作動を操作したり、作動順序を変更するすべての可能性を防止している。
【0025】
図3A〜3Jのロック300では、例えば発電し、ロック300を作動させるために同じデバイス(発電機330)を使用するようになっているロックでは、第1および第2の挿入フェーズ中の操作の論理的順序は、次のとおりである。すなわち第1の挿入フェーズ中、発電機330に機械式動力が伝えられ、第2の挿入フェーズ中はアクチュエータ330の作動は機械式に可能とされる。
【0026】
しかしながら、特に図6A〜6Fのロックでは、例えば発電機606とアクチュエータ608とが別個となっているロック600では、第1および第2の挿入フェーズ中の作動の論理的順序を逆にできる。すなわち第1の挿入フェーズ中、アクチュエータ608の作動が機械的に可能とされ、第2の挿入フェーズ中、発電機606に機械的動力が伝えられる。第1および第2の挿入フェーズとそれらの作動は、少なくとも部分的にオーバーラップしていてもよい。すなわちこれらは少なくとも部分的に並列に実行してもよい。
【0027】
図1Aを参照し、キー100の構造について説明する。更に図1Bおよび1Cは、ロック300内のキー100の種々の位置を示す。
【0028】
電子機械式ロック300のためのキー100は、キー100を挿入している間にロック300のキー従動子200と係合し、ロック300のユーザーが発生した機械式動力をロック300の発電機330に機械式に伝えるようになっている第1の形状部118を含む。
【0029】
このキー100は、ロック300の外部にあるソースから読み出されたデータが所定の基準に一致することを条件に、電子回路326によりアクチュエータ330を電子的に制御させ、ロック300を機械式に開放可能な状態にセットするようになっている第2の形状部110も含む。
【0030】
このキー100は、ユーザーによりキー100が抜かれているフェーズ中、キー従動子200に係合し、キー従動子200をスタート位置に復帰させると共に、アクチュエータ330をロックされた状態に機械式にリセットするようになっている第3の形状部116も含む。
【0031】
第1の形状118または第2の形状部110のいずれも、キー100を挿入している間、キー従動子200と係合し、アクチュエータ330の作動を機械式に可能にするようにも構成できる。図3A〜3Jのロック300に適合させるため、第2の形状部110は、キー100を挿入中にキー従動子200と係合し、アクチュエータ330の作動を機械的に可能にするようになっている。図6A〜6Fのロック600において、作動順序を逆にした場合、キー100の挿入中に第1の形状部118は、キー従動子200と係合し、アクチュエータ608の作動を機械式に可能にするように構成される。
【0032】
キー100は、キー100が挿入されている間、発電を遅延すると共に、ロック300の電子回路326がロック300の外部のソースからデータを読み出し、データと所定の基準とを照合するように構成された、第1形状118と第2形状部110との間に位置するギャップ114も含むことができる。
【0033】
このキー100はデータを記憶するようになっている電子回路106も含むことができる。前に説明したように、この回路106は、例えばiBotton(登録商標)とすることができる。
【0034】
キー100は、ロックのロックシリンダ120と係合し、ロックシリンダ120と共にキー100の挿入位置からロック開放位置へ回転できるように構成できる。キー挿入位置だけでしかキー100をロック300から抜くことができないよう、ロック300と係合するようになっている第4の形状104、例えば回転位置の形状も含むことができる。これに対応し、ロック300はキー100の挿入位置からロック300の開放位置まで回転自在に構成できるロックシリンダ120を備え、このロック300は、キー100の挿入位置だけでしかキー100を抜くことができないように構成することができる。
【0035】
このキー100は、他の種々の部品も含むことができる。図1Aに示されるように、このキー100は、キーグリップ101および(例えばバー形状をした)キー本体102も含むことができる。更にこのキー100は、スライド接点108およびキー本体102に接続されたキー電子回路106も含むことができる。この電子回路106は上記のように、(ロック300の電子回路326によって読み出された)データを記憶するための電子回路を含むことができる。キー本体102は、位置決め制御をより良好にするための軸方向ガイドも有することができる。
【0036】
図1Bでは、キー100はゼロ位置に示されている。このゼロ位置では、キー通路形状部122を通してキー100をロック300に挿入したり、抜き取りできる。
【0037】
図1Cでは、キー100は、ゼロ位置から外れており、このゼロ位置から外れた位置において、キー本体102とロックのキー通路形状部122は、キー100の抜き取りを防止する。
【0038】
図2A、2Bおよび2Cを参照し、キー従動子200および電子機械式ロック内のキー従動子の位置について説明する。
【0039】
キー従動子200は、図2Aに説明した回転式キー従動子とすることができるが、実施のために他の形状も適す。この回転式キー従動子200は、シャフト208を中心として回転し得る。図2Aのキー従動子200は、ある意味では、2つの歯車を有するギアホイールであり、キー100は一致する歯車を有するので、当業者であれば、キー100およびその従動子200を構成するのに、この原理を適用できよう。
【0040】
キー従動子200は、第1の挿入フェーズ中にキー100と係合するようになっている第1の爪202を含むことができる。
【0041】
キー従動子200は、第2の挿入フェーズ中および第3の挿入フェーズ中にキー100と係合するようになっている第2の爪204も含むことができる。
【0042】
このキー従動子200は、スウィングレバー206も含むことができる。
【0043】
図2Bは、ロック300内にキー100が挿入されているときのキー従動子200の位置および機能を示す。
【0044】
図3Bおよび3Cは、キー100の第1の形状部118による機械的動力の受け入れを更に示している。
【0045】
図3Dは、キーのギャップ114により可能となる作動を更に示す。
【0046】
図3Eおよび3Fは、キー100の第2の形状部110によるアクチュエータの作動を更に示す。
【0047】
図3G、3Hおよび3Iは、キーの第2の形状部110により、位置スイッチ328が操作された後の作動を更に示す。
【0048】
図2Cは、ロック300からキー100が抜かれた後のキー従動子200の位置および機能を示す。キー従動子200は、スプリングによりギャップ114の位置へ復帰し、よって位置スイッチ328は、不作動状態とされ、アクチュエータ330はリセットされる。その後に、キー100の第3の形状部116は、キー従動子200をそのホーム位置へ復帰させることができる。図3Jは、これら動作を更に示す。
【0049】
図3Aは、ロック300の他の多くの可能なコンポーネントを示す。ロック300は、キー通路122、306、電気接点302、支持体342、駆動ピン316、ロッキングピン318、レバー320、アーム314、スプリング322、324、344、スレッシュホールドデバイス332、クラッチ334、メインホイール338、ストッパー340、位置スイッチ328、ロックシリンダ320およびクラッチ開放器336を更に含むことができる。更にこのロックは、ボルト機構321へ結合できる。クラッチ334が閉じられていることを条件に、スレッシュホールドデバイス332が移動している間、発電機330はメインホイール338を介して回転できる。
【0050】
支持体342は、データが所定の基準に一致していることを条件に、例えばデータが認証されたことを条件に、電力により支点位置へ移動するように構成できる。この支持体342は、キーがロック300から抜かれると、機械的動力により、支点位置からリセットされるように構成できる。この機械的動力は、例えばスプリング344により発生できる。
【0051】
ロッキングピン318は、係合状態のときにロック300をロック状態に保持するように構成でき、係合が解除(開放)されると、ロック300を機械的に開放可能な状態に保持するように構成できる。ロッキングピン318は、ロックからキーが取り出されると、機械的動力により係合するように構成できる。この機械的動力は、例えばスプリング322によって発生できる。これについては図3Jを参照して後に説明する。ロッキングピン318は、係合中にこのロッキングピン318がロックシリンダ120を静止状態に保持するようにロック状態となり、更に係合が解除されると、ロッキングピン318が機械的動力によって回転可能なロックシリンダ120を解放するよう、ロックシリンダを機械的に開放可能な状態にするように構成できる。第3クラスのレバーでは、入力する力は出力される負荷よりも大きくなるが、この入力する力は、負荷がかかっている部分よりも短い距離移動するだけである。すなわちロッキングピン318は、ロックシリンダ120の壁内に充分深く進入するので、ロッキングピン318は、かかるレバー320により、所定位置にあるロックシリンダ120をロックされた状態に強固に保持できる。このロッキングピン318のために、ロックシリンダ120内にキャビティ310を形成できる。
【0052】
レバー320は、機械的動力を受けると共に、支持体342が支点位置にあることを条件に、ロッキングピン318との係合を機械的に解除するための機械的動力を出力するように構成できる。
【0053】
駆動ピン316は、レバー320に機械的動力を入力するように構成できる。レバー320は、キーの挿入から生じる機械的動力を受けるように構成できる。図3Aに示されるように、レバー320は、第3のクラスのレバーとし得る。すなわち、支点をレバー320の左側の端部に設け、レバー320の中間に機械的動力を入力し、レバー320の右側端部から機械的動力を出力するようなレバーとすることができる。
【0054】
レバー320とロッキングピン318との間のカップリング321は、別の支点として作動でき、データが所定の基準と一致しないことを条件に、例えば支持体342が支点位置まで移動されないことを条件に、ロックされた位置に静止状態に留まる。
【0055】
図3Bは、ロック300内の第1の爪202に対してキー300の第1の形状部118が挿入されたときのロック状態を示す。キー電子回路106は、電気接点302とスライド接点108との間で一方の電気接続がなされ、キー本体302とロックフレーム300との間に別の電気接続がなされるように、電子回路326に接続できる。
【0056】
図3Cでは、ロック300内のスレッシュホールド位置にキー100が挿入され、キー100の第1の形状部118はまだ第1の爪202に接触状態にある。スレッシュホールドデバイス332には、スウィングレバー206から動力を受け、作動準備状態となっている。キー100がロック内に更に深く挿入されると、スレッシュホールドデバイス332は、作動状態となり、スプリングによってホーム位置へ復帰する。スレッシュホールドデバイス332が移動している際、発電機330によって電子回路326への電力が発生される。このスレッシュホールドデバイス332は、本願出願人による別の特許出願第EP05112272.9号およびPCT/FI/2006/050543号に、より詳細に示されている。
【0057】
図3Dでは、キー100はロック300内に移動し続ける。第2の爪204は、キー100のギャップ114内にあるので、キー従動子202は移動しない。すなわち発電と通信のために遅延が行われる。十分な電圧レベルに達した後に、電子回路326は電気接点302、108を介してキーの電子回路106と通信し、キー100を認証する。
【0058】
図3Eでは、キーの第2の形状部110により、第2の爪204は前方に押されている。スウィングレバー206およびクラッチ開放器330によってクラッチ334を開放することにより、アクチュエータの作動が可能となる。同時に出願された別の欧州特許出願第EP07112677.5号には、クラッチ334がより詳細に記載されている。
【0059】
図3Fでは、発電フェーズが終了する前に、アクチュエータイネーブル動作がスタートされる。すなわちロック330内に過度に速くキー100が挿入されることがあるが、かかる場合、クラッチ334はストッパー340に抗してホームポジションに復帰するときにしか開放(係合を解除)できないので、アクチュエータの動作が不可能とされ、ロック300を開けることはできない。
【0060】
図5Aおよび5Bでは、クラッチ334は閉じており、メインホイール338の回転は形状部504、506によってブロックされる。メインホイール338は、発電機330によっては回転できず、支持体342は、レバー320の下にセットされていない。キー100のユーザーが駆動ピン316を押し下げた場合でも、ロッキングピン318は閉位置に維持される。
【0061】
図3Gでは、クラッチ334は開けられ、キーの第2の爪204および第2形状部110の端部により、位置スイッチ328が作動される。電子回路326は、位置スイッチ328が次のように作動されるときに、発電機330を電動モータとして制御する。すなわちキー100が認証された場合、発電機330は図5Eおよび5Fに示されるように開方向に駆動され、キー100が認証されない場合、キー100は図5Cおよび5Dに示されるように閉位置に維持される。
【0062】
図3Hにおいて、メインホイール338は閉位置に維持される。支持体342は、レバー320の下にはない。アーム314、駆動ピン316およびレバー320は、キーの第1の形状部118によって下方に押されるが、ロッキングピン318はスプリング322により閉位置に維持され、ロック300をかけることはできない。図示するように、キー100が認証されない場合、レバー320は支持体342(従って支点)を失う。ロック300の機構は、不正な操作に対して安全なままである。
【0063】
図3Iでは、電子回路326によりメインホイール338は開放位置へ駆動される。支持体342はレバー320の下にセットされている。アーム314および駆動ピン316は、キー100の第1の形状部118により押し下げられ、ロッキングピン318は駆動ピン316によりレバー326を介して押し下げられる。この結果、ロック300は機械的に開放可能な状態にあり、キー100を回転することによりボルト機構312を移動できる。キー100を回転すると、ロックシリンダ120はキー従動子200の第2の爪204に対する支持体となり、よってロックシリンダ120はその回転中にこの位置を維持する。キー100は、ロック300から抜き出す前に、図1Bに示されるように、ゼロ位置へ復帰しなければならない。
【0064】
この開放は図5Cおよび5Dにも示されている。クラッチ334が開放され、メインホイール338の回転が形状部504、506により可能となる。図5Eおよび5Fに更に示されるように、メインホイール338は、発電機330によりストッパー508まで回転され、支持体342はレバー320の下にセットされ、アーム314、駆動ピン316およびレバー320を介して、キー100のユーザーによりロッキングピン318を開放できる。
【0065】
図3Jでは、キー100の抜き取りが進行中である。ロッキングピン318はスプリング322によって閉位置まで復帰する。駆動ピン316およびアーム314は、スプリング324により初期位置へ復帰する。レバー320は、駆動ピン316およびロッキングピン318と共に初期位置へ復帰する。クラッチ334はスプリング344によって閉じられ、メインホイール338はリセットされる。第2の爪204は、クラッチ開放器336によりギャップ114内に戻る。ロック300からキー100が抜かれると、キー100の第3の形状部116および第2の爪240は、図3Bおよび2Cに示されるようにキー従動子200をスタート位置に戻す。
【0066】
図4Aは、キー100がロック300内に所定の速度で挿入されたときのロックの機能の順序を示す。キー100の挿入から直線状の機械的動力が受け取られ、この受け取られた直線状の機械的動力の一部から、電力が発生される。充分な電圧が発生されると、ロックの電子回路326のプロセッサがスタートし、電圧が充分なレベルよりも低下すると、プロセッサは停止する。発電された電力によりキー100が認証される。アクチュエータは機械的動力によりイネーブルされる。キー100が必要な深さだけ挿入された後に、位置スイッチ328が作動される。このとき、アクチュエータは発電された電力によって制御され、ロック機構は機械的動力によって更に作動される。位置スイッチ328が作動される前に電圧が十分なレベルより低下するよう、キー100の挿入速度が低速である場合、アクチュエータ330は駆動されず、ロック300はロックされた状態のままである。キー100が過度に高速で挿入された場合、キー認証プロセスがレディ状態となる前に位置スイッチ328が作動され、ロック300は閉状態に維持される。最終的に、回転機械的動力が受けとられ、この動力はボルト機構312を作動するのに使用される。
【0067】
図4Bは、キー100がロック300から抜かれるときのロック機能を示す。キー100の抜き取りから直線状の機械的動力が受け取られる。この受け取られた機械的動力により、ロック機構が操作され、位置スイッチ328が不作動とされた後にアクチュエータはリセットされる。この直後、キー従動子200は機械的動力によりスタート位置へ復帰する。
【0068】
図6Aは、発電機606とアクチュエータ608とが別個となっている、ユーザーがパワーを供給する電子機械式ロック600の一実施形態を示す。発電機606は、機械的動力から発電できる任意の適当な技術を用いて構成できる。発電機606として、例えば発電機またはピエゾ電気発電機を使用できる。アクチュエータ608はロックされた状態から機械的に開放可能な状態にロックをセットするよう、電力により操作できる任意の適当な技術を用いて構成できる。アクチュエータ608として、例えば電気ソレノイド、ピエゾ電気アクチュエータまたは電動モータを使用できる。
【0069】
図6Aでは、電動モータタイプのアクチュエータ606がギア616および支持ホイール604を回転させる。発電機606により電力が発電され、この発電機606は、スレッシュホールドデバイス332が移動しているときにギア612、614を介して回転できる。
【0070】
ロック600は、ロックシリンダ120、キー通路122、306、電気接点302、キー従動子200、アーム314、駆動ピン316、ロッキングピン318、レバー320、スプリング322、324、602、電子回路326、位置スイッチ328、支持ホイール604およびバー610を含むことができる。このロック600は更に、ボルト機構312へ結合できる。
【0071】
図6Aは、キー従動子200の第1の爪202に対してキー100が挿入されたときのロック状態を示す。このキー電子回路106は、電気接点302とスライド接点108の間で一方の電気接続がなされ、キー本体102とロック600のフレームとの間で他方の電気接続がなされるように、電子回路326へ接続できる。支持ホイール604はバー610およびそのスプリング602により、ロック位置に維持される。アクチュエータのリセットおよびイネーブル動作は、図5B、5Dおよび5Fに示された形状部506および504に類似するが、図6Aの実施形態ではクラッチ334は形状部504を有するバー610の右側端部に置き換えられている。
【0072】
図6Bでは、キー100は、スレッシュホールド位置を超えるように挿入される。このスレッシュホールド位置よりも前で、スレッシュホールドデバイス332は動力が掛かり、作動準備状態となり、受けた動力により作動する。発電機606によりギア612、614およびスレッシュホールドデバイス332を介して電力が発生される。電子回路326がスタートされ、ロック600とキー100との間の通信が進行する。キー従動子200の第2の爪204は、キー100のギャップ114内にあるので、キー100が移動していても、キー従動子200は移動しない。よって、エネルギーの発生とキー100の認証の時間がアレンジされている。
【0073】
図6Cではキー従動子200の第2の爪204は、キー100の第2の形状部110により前方に押される。スウィングレバー206と共に支持ホイール604からバー610を取り外すことにより、アクチュエータの作動がイネーブルされる。キー100が認証されることを条件に、位置スイッチ328が作動され、アクチュエータ608が制御され、支持ホイール604は開放位置に復帰される。キー100が認証されなければ、アクチュエータ608は閉位置に維持される。
【0074】
図6Dでは、支持ホイール604は閉位置に維持される。支持体342はレバー320の下にセットされていない。アーム314、駆動ピン316およびレバー320は、キーの第1の形状部118により押し下げられるが、ロッキングピン318はスプリング322により閉位置に維持される。ロック600は、開けることはできない。
【0075】
図6Eでは、支持ホイール604は電子回路326により開放位置へ駆動される。支持体342は、レバー320の下にセットされている。アーム314および駆動ピン316は、キーの第1形状部118により押し下げられ、レバー320は、ロックシリンダ120からロッキングピン318を放出する。ロック600は、機械的に開放可能な状態にセットされ、キー100を回転することによりボルト機構324を移動できる。キー100が回転されている間、ロックシリンダ120は、回転中にその位置を維持するようにキー従動子200の第2の爪204に対する支持体となる。キーの形状部104およびキー通路の形状部122は、キーをロック600から引き抜きできるようになる前に、キーが図1Bに示されるようなゼロ位置へ復帰することを保証できる。
【0076】
図6Fでは、キー100の抜き取りが進行中である。ロッキングピン318はスプリング322により閉位置へ戻る。駆動ピン316およびアーム314は、スプリング324により初期位置へ復帰される。レバー320は、駆動ピン316およびロッキングピン318と共に初期位置へ復帰する。スウィングレバー206は、スウィングレバー602により後方に押され、キー従動子200の第2の爪204はキー100のギャップ114へ復帰される。支持ホイール604を介し、スウィングレバー602によりバー610が押され、支持ホイール604はリセットされる。キー100がロック600から抜かれる際に、キー100の第3の形状部116および第2の爪204は、キー従動子200を図6Aおよび2Cに示されるようにスタート位置まで回転させる。
【0077】
図7Aは、キー本体702およびキー電子回路706を含むキー700を示す。キー本体702は、異なる形状部、例えば回転位置形状部704、第1の形状部718、第2の形状部710および第3の形状部716、ギャップ708、リセス703およびガイド712を含むことができる。キーの電子回路706は、ロックと無線で通信できる。
【0078】
図7Bは、キー従動子200の第2の爪204のためのトラック722を含むロックシリンダ720内に完全に挿入されたキー700を示す。このトラック722は、ロックシリンダ720の回転を可能にする。この実施形態は、キー700がロックシリンダ720から取り出されるときにスプリング負荷がなくてもキー従動子700を戻すことができることを示している。キー700がロックシリンダ720内に完全に挿入されているとき、キー従動子200の第2の爪204は、ロックシリンダ720の内側壁から突出するようになっている。第2の形状部716に隣接するリセス703は、キー700の取り出しフェーズ中に、第3の形状部716がキー従動子200(その第2の爪703)と接触し、キー従動子200をスタート位置まで回転させるようにキー従動子200(の第2の爪204)のリセス703への突出を可能にするようになっている。
【0079】
図7Cは、キー700を挿入したときのロックシリンダ720およびキー従動子200の横断面を示す。キーのガイド712は、キー従動子の第1の爪202がギャップ708内に落下できないことを保証している。
【0080】
次に、図8を参照して電子機械式ロックを操作する方法ついて説明する。本願で説明していない別の機能を、これら作動ステップの間、またはこれら作動ステップ中に実施してもよい。この方法は、800にてスタートする。
【0081】
キーの第1の挿入フェーズ818および第2の挿入フェーズ820中に、802にてキー従動子により発電機へ機械的動力が伝えられ、810にて、キー従動子によりアクチュエータの作動が機械的にイネーブルされる。図8に示されるように、第1の挿入フェーズ818と第2の挿入フェーズ820との間で、802と810とを分割できることに留意すべきである。他の分割例として、802の前に810を実行する例がある。すなわち804、806および808の前に第1の挿入フェーズ818で、810および802の双方を実行し、第2の挿入フェーズ820では、実際に810および802のいずれも実行しないようにする。
【0082】
804にて、発電機により機械的動力から電力を発生する。806において、外部ソースからデータを読み出し、808にて、データと所定の基準とを照合し、804における発電を、少なくとも部分的に806と並列に、更に可能な場合には808とも並列に、続けることができる。
【0083】
キーの第3の挿入フェーズ822の間、データは812において、データが所定の基準と一致することを条件に、電力によってロックを機械的に開放可能な状態にセットするように、アクチュエータを電子的に制御できる。
【0084】
その後、814においてキーの第4の挿入フェーズ824でロックを機械的に開放できる。第4の挿入フェーズ824は、ロッキングピンをレバー操作することにより、このロッキングピンを開放すること、およびキーが可能な最大挿入深度に達した後にボルト機構を回転することを含む。
【0085】
キーの取り出しフェーズ826の間、キー従動子はスタート位置まで戻され、アクチュエータは815においてロックされた状態に機械的にリセットされる。
【0086】
この方法は、816で終了する。
【0087】
図8においてこれまで説明した作動は、絶対的な年代的順序ではなく、作動の一部を同時に実行したり、所定のステップと異なる順序で実行することができる。前に説明したように、可能な作動シーケンスは、例えば800−802−804−806−808−810−812−814−815−816、800−810−802−804−806−808−821−814−815−816とすることができる。更に変形も可能である。例えば800−802−810−804−806−808−812−814−815−816および800−802−804−810−806−808−812−814−815−816とすることも可能である。
【0088】
この方法は、前に説明した電子機械式ロックおよびキーの種々の実施形態によって働きを高めることができる。
【0089】
当業者であれば、技術が進歩するにつれ、本発明の原理を種々の方法で実施できることは明らかとなる。本発明およびその実施形態は、これまで説明した例だけに限定されるものではなく、特許請求の範囲で種々の変更が可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械的動力から電力を発生するようになっている発電機と、
外部ソースからデータを読み出し、このデータと所定の基準とを照合するようになっており、前記電力が供給される電子回路と、
ロックをロック状態から機械的に開放可能な状態にセットするようになっており、前記電力が供給されるアクチュエータと、
第1の挿入フェーズ中、および第2の挿入フェーズ中、前記機械的動力を前記発電機に伝え、前記アクチュエータの作動を機械的にイネーブルし、
前記キーの取り出しフェーズ中に、スタート位置に戻り、前記アクチュエータをロックされた状態に機械的リセットするよう、
前記キーの運動に対する前記ロックのタイミングを定めるようになっており、前記機械的動力が供給されるキー従動子とを備える電子機械式ロック。
【請求項2】
前記キー従動子は、更に前記データと前記所定の基準とが一致していることを条件に、第3の挿入フェーズ中に前記電子回路に前記アクチュエータの電子制御をさせ、前記ロックを機械的に開放可能な状態にセットするようになっている、請求項1に記載のロック。
【請求項3】
前記ロックは、キー挿入位置からロック開放位置まで回転可能となっているロックシリンダを更に備え、前記ロックはキーをキー挿入位置においてしか取り外しできないように構成されている、請求項1または2のいずれか1項に記載のロック。
【請求項4】
前記キー従動子は、回転するキー従動子を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のロック。
【請求項5】
前記キー従動子は、前記第1の挿入フェーズ中に前記キーと係合するようになっている第1の爪を含む、請求項1〜4のうちのいずれか1項に記載のロック。
【請求項6】
前記キー従動子は、前記第2の挿入フェーズおよび前記第3の挿入フェーズ中に前記キーと係合するようになっている第2の爪を更に含む、請求項5に記載のロック。
【請求項7】
前記ロックは更にロックシリンダを含み、前記第2の爪は、前記キーが前記ロックシリンダ内に完全に挿入されたときに、前記ロックシリンダの内壁から突出するようになっている、請求項6に記載のロック。
【請求項8】
前記キーの挿入中に前記ロックのキー従動子と係合し、前記ロックのユーザーによって発生された機械的動力を前記ロックの前記発電機に機械的に伝達するようになっている第1の形状部と、
前記ロックの外部のソースから読み出されたデータと所定の基準とが一致することを条件に、前記ロックの電子回路に前記ロックのアクチュエータを電子的に制御させ、前記ロックを機械的に開放可能な状態にセットするようになっている第2の形状部と、
前記ユーザーによる前記キーの取り出しフェーズ中に、前記キー従動子に係合し、前記キー従動子をスタート位置に復帰させると共に、前記アクチュエータをロックされた状態に機械的にリセットするようになっている第3の形状部とを含む、電子機械式ロックのためのキー。
【請求項9】
前記第1の形状部または前記第2の形状部のいずれかは、更に前記キーの挿入中に前記キー従動子と係合し、前記アクチュエータの作動を機械的に可能にするようになっている、請求項8に記載のキー。
【請求項10】
前記キーは、前記取り出しフェーズ中に前記第3の形状部が前記キー従動子と接触し、前記キー従動子を前記スタート位置まで回転するよう、前記キー従動子のリセスへの突出を可能にするようになっている、前記第3の形状部に隣接するリセスを更に含む、請求項8または9に記載のキー。
【請求項11】
前記キーは、前記データを記憶するようになっている電子回路を更に含む、請求項8〜10のうちのいずれか1項に記載のキー。
【請求項12】
前記キーは、前記ロックのロックシリンダに係合し、前記ロックシリンダと共にキー挿入位置からロック開放位置まで回転自在となっており、前記キーは、更に前記キー挿入位置でしか前記キーを前記ロックから取り外せないよう前記ロックと係合するようになっている第4の形状部を更に含む、請求項8〜11のいずれか1項に記載のキー。
【請求項13】
前記キーは、前記キーの挿入中に前記ロックの電子回路が前記ロックの外部のソースからの前記データを読み出し、前記データと前記所定の基準との照合をするために遅延を生じさせるようになっている、前記第1の形状部と前記第2の形状部の間に位置するギャップを更に含む、請求項8〜12のいずれか1項に記載のロック。
【請求項14】
キーの第1の挿入および第2の挿入フェーズ中に、キー従動子により機械的動力を発電機に伝え、前記キー従動子によるアクチュエータの作動を機械的に可能にするステップと、
前記発電機により、機械的動力から電力を発生するステップと、
外部ソースからデータを読み出すステップと、
前記データと所定の基準とを照合するステップと、
前記基準の取り外しフェーズ中に前記キー従動子をスタート位置に復帰させ、前記アクチュエータをロックされた状態に機械的にリセットするステップとを備える、電子機械式ロックを操作するための方法。
【請求項15】
前記機械的にの第3の挿入フェーズ中に、前記データと前記所定の基準とが一致していることを条件に、前記アクチュエータを電子的に制御し、電力により前記ロックを機械的に開放可能な状態にセットするステップを更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
機械的動力から電力を発生するための発電手段と、
外部ソースからデータを読み出すための、前記電力が給電される手段と、
前記データと所定の基準とを照合するための、前記電力が給電される照合手段と、
前記ロックをロックされた状態から機械的に開放可能な状態にセットするための、前記電力が給電される作動手段と、
第1の挿入フェーズおよび第2の挿入フェーズ中に、前記発電手段に機械的動力を伝え、前記作動手段の作動を機械的にイネーブルし、
前記キーの取り外しフェーズ中に、タイミングを定める手段をスタート位置に復帰させ、前記作動手段をロックされた状態に機械的にリセットするよう、キーの挿入に対する前記ロックのタイミングを定めるための、前記機械的動力が供給される手段とを備える電子機械式ロック。
【請求項17】
前記タイミングを定めるための前記手段は、前記データと前記所定の基準とが一致していることを条件に、第3の挿入フェーズ中に前記照合手段に前記作動手段を電子的に制御させ、前記ロックを機械的に開放可能な状態にセットする、請求項16に記載のロック。
【請求項18】
キーの挿入中に、ロックのキー従動子に係合し、該ロックのユーザーが発生した機械的動力を該ロックの発電機に機械的に伝える手段と、
前記ロックの外部のソースから読み出されたデータが、所定の基準に一致していることを条件に、前記ロックの電子回路に前記ロックのアクチュエータを電子的に制御させ、前記ロックを機械的に開放可能な状態にセットするための手段と、
前記ユーザーによる前記キーの取り外しフェーズ中に、前記キー従動子に係合し、前記キー従動子をスタート位置に復帰させ、前記アクチュエータをロックされた状態に機械的にリセットするための手段を備える、電子機械式ロックのためのキー。
【請求項19】
前記キーは、このキーの挿入中に前記キー従動子に係合し、前記ロックのアクチュエータの作動を機械的にイネーブルするための手段を更に備える、請求項18に記載のキー。
【請求項1】
機械的動力から電力を発生するようになっている発電機と、
外部ソースからデータを読み出し、このデータと所定の基準とを照合するようになっており、前記電力が供給される電子回路と、
ロックをロック状態から機械的に開放可能な状態にセットするようになっており、前記電力が供給されるアクチュエータと、
第1の挿入フェーズ中、および第2の挿入フェーズ中、前記機械的動力を前記発電機に伝え、前記アクチュエータの作動を機械的にイネーブルし、
前記キーの取り出しフェーズ中に、スタート位置に戻り、前記アクチュエータをロックされた状態に機械的リセットするよう、
前記キーの運動に対する前記ロックのタイミングを定めるようになっており、前記機械的動力が供給されるキー従動子とを備える電子機械式ロック。
【請求項2】
前記キー従動子は、更に前記データと前記所定の基準とが一致していることを条件に、第3の挿入フェーズ中に前記電子回路に前記アクチュエータの電子制御をさせ、前記ロックを機械的に開放可能な状態にセットするようになっている、請求項1に記載のロック。
【請求項3】
前記ロックは、キー挿入位置からロック開放位置まで回転可能となっているロックシリンダを更に備え、前記ロックはキーをキー挿入位置においてしか取り外しできないように構成されている、請求項1または2のいずれか1項に記載のロック。
【請求項4】
前記キー従動子は、回転するキー従動子を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のロック。
【請求項5】
前記キー従動子は、前記第1の挿入フェーズ中に前記キーと係合するようになっている第1の爪を含む、請求項1〜4のうちのいずれか1項に記載のロック。
【請求項6】
前記キー従動子は、前記第2の挿入フェーズおよび前記第3の挿入フェーズ中に前記キーと係合するようになっている第2の爪を更に含む、請求項5に記載のロック。
【請求項7】
前記ロックは更にロックシリンダを含み、前記第2の爪は、前記キーが前記ロックシリンダ内に完全に挿入されたときに、前記ロックシリンダの内壁から突出するようになっている、請求項6に記載のロック。
【請求項8】
前記キーの挿入中に前記ロックのキー従動子と係合し、前記ロックのユーザーによって発生された機械的動力を前記ロックの前記発電機に機械的に伝達するようになっている第1の形状部と、
前記ロックの外部のソースから読み出されたデータと所定の基準とが一致することを条件に、前記ロックの電子回路に前記ロックのアクチュエータを電子的に制御させ、前記ロックを機械的に開放可能な状態にセットするようになっている第2の形状部と、
前記ユーザーによる前記キーの取り出しフェーズ中に、前記キー従動子に係合し、前記キー従動子をスタート位置に復帰させると共に、前記アクチュエータをロックされた状態に機械的にリセットするようになっている第3の形状部とを含む、電子機械式ロックのためのキー。
【請求項9】
前記第1の形状部または前記第2の形状部のいずれかは、更に前記キーの挿入中に前記キー従動子と係合し、前記アクチュエータの作動を機械的に可能にするようになっている、請求項8に記載のキー。
【請求項10】
前記キーは、前記取り出しフェーズ中に前記第3の形状部が前記キー従動子と接触し、前記キー従動子を前記スタート位置まで回転するよう、前記キー従動子のリセスへの突出を可能にするようになっている、前記第3の形状部に隣接するリセスを更に含む、請求項8または9に記載のキー。
【請求項11】
前記キーは、前記データを記憶するようになっている電子回路を更に含む、請求項8〜10のうちのいずれか1項に記載のキー。
【請求項12】
前記キーは、前記ロックのロックシリンダに係合し、前記ロックシリンダと共にキー挿入位置からロック開放位置まで回転自在となっており、前記キーは、更に前記キー挿入位置でしか前記キーを前記ロックから取り外せないよう前記ロックと係合するようになっている第4の形状部を更に含む、請求項8〜11のいずれか1項に記載のキー。
【請求項13】
前記キーは、前記キーの挿入中に前記ロックの電子回路が前記ロックの外部のソースからの前記データを読み出し、前記データと前記所定の基準との照合をするために遅延を生じさせるようになっている、前記第1の形状部と前記第2の形状部の間に位置するギャップを更に含む、請求項8〜12のいずれか1項に記載のロック。
【請求項14】
キーの第1の挿入および第2の挿入フェーズ中に、キー従動子により機械的動力を発電機に伝え、前記キー従動子によるアクチュエータの作動を機械的に可能にするステップと、
前記発電機により、機械的動力から電力を発生するステップと、
外部ソースからデータを読み出すステップと、
前記データと所定の基準とを照合するステップと、
前記基準の取り外しフェーズ中に前記キー従動子をスタート位置に復帰させ、前記アクチュエータをロックされた状態に機械的にリセットするステップとを備える、電子機械式ロックを操作するための方法。
【請求項15】
前記機械的にの第3の挿入フェーズ中に、前記データと前記所定の基準とが一致していることを条件に、前記アクチュエータを電子的に制御し、電力により前記ロックを機械的に開放可能な状態にセットするステップを更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
機械的動力から電力を発生するための発電手段と、
外部ソースからデータを読み出すための、前記電力が給電される手段と、
前記データと所定の基準とを照合するための、前記電力が給電される照合手段と、
前記ロックをロックされた状態から機械的に開放可能な状態にセットするための、前記電力が給電される作動手段と、
第1の挿入フェーズおよび第2の挿入フェーズ中に、前記発電手段に機械的動力を伝え、前記作動手段の作動を機械的にイネーブルし、
前記キーの取り外しフェーズ中に、タイミングを定める手段をスタート位置に復帰させ、前記作動手段をロックされた状態に機械的にリセットするよう、キーの挿入に対する前記ロックのタイミングを定めるための、前記機械的動力が供給される手段とを備える電子機械式ロック。
【請求項17】
前記タイミングを定めるための前記手段は、前記データと前記所定の基準とが一致していることを条件に、第3の挿入フェーズ中に前記照合手段に前記作動手段を電子的に制御させ、前記ロックを機械的に開放可能な状態にセットする、請求項16に記載のロック。
【請求項18】
キーの挿入中に、ロックのキー従動子に係合し、該ロックのユーザーが発生した機械的動力を該ロックの発電機に機械的に伝える手段と、
前記ロックの外部のソースから読み出されたデータが、所定の基準に一致していることを条件に、前記ロックの電子回路に前記ロックのアクチュエータを電子的に制御させ、前記ロックを機械的に開放可能な状態にセットするための手段と、
前記ユーザーによる前記キーの取り外しフェーズ中に、前記キー従動子に係合し、前記キー従動子をスタート位置に復帰させ、前記アクチュエータをロックされた状態に機械的にリセットするための手段を備える、電子機械式ロックのためのキー。
【請求項19】
前記キーは、このキーの挿入中に前記キー従動子に係合し、前記ロックのアクチュエータの作動を機械的にイネーブルするための手段を更に備える、請求項18に記載のキー。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図3F】
【図3G】
【図3H】
【図3I】
【図3J】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図5E】
【図5F】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図6E】
【図6F】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8】
【図1B】
【図1C】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図3F】
【図3G】
【図3H】
【図3I】
【図3J】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図5E】
【図5F】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図6E】
【図6F】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8】
【公表番号】特表2010−533807(P2010−533807A)
【公表日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−516532(P2010−516532)
【出願日】平成20年7月16日(2008.7.16)
【国際出願番号】PCT/FI2008/050435
【国際公開番号】WO2009/010638
【国際公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【出願人】(509234744)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月16日(2008.7.16)
【国際出願番号】PCT/FI2008/050435
【国際公開番号】WO2009/010638
【国際公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【出願人】(509234744)
【Fターム(参考)】
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