説明

電子決済システム

【課題】多様な電子決済を取り込み易くするシステムを開発する。
【解決手段】サーバと、前記サーバと接続された端末とを備える電子決済システムであって、前記端末は、前記記憶媒体の種類を示す物理メディア識別子を決定し、前記サーバは、前記決定された物理メディア識別子に従って、この決済の第1の処理をする物理メディア処理部を選択し、前記選択された物理メディア処理部は、前記第1の処理として、前記送られた記憶媒体から読み取ったデータを用いて、当該決済を処理するアプリケーションの選択肢を前記端末に提供し、前記端末は、前記提供されたアプリケーションの選択肢から、起動すべきアプリケーションを選択し、前記選択されたアプリケーションに対応する決済メディア識別子を前記サーバに送り、前記サーバは、前記送られた決済メディア識別子に従って、この決済の第2の処理をする決済メディア処理部を選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子決済システムに関し、特に、クレジットカード、電子マネー等によって、店舗の売り上げ等を電子的に決済するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
クレジットカード決済等の電子決済を利用する場合、加盟店で安価なブロードバンド通信環境の利用が困難であったため、電話回線等のナローバンドによるオフライン処理が多く用いられていた。
【0003】
また、今日のコンピュータ技術、ネットワーク技術の進歩によって、電子決済の様々なサービス(電子マネー等)が電子決済事業者によって提供されている。また、電子決済事業者によって提供される新しいサービスを安価に、速く、加盟店で利用できるようにすることが、電子決済事業者及び加盟店の双方から求められている。
【0004】
例えば、安価な決済手段を提供する試みとして、ICクレジットカードのみ、又は、非接触ICカードのみに対応する決済端末が提案されている。また、複数の電子決済事業者によって提供されるが、同じ方式の非接触ICカードを用いた電子決済用の複合端末も提案されている。
【0005】
また、入力されたデータの送信先である運用サーバを、サービス識別子に基づいて選択する電子決済サービスが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−15660号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、加盟店において、安価なブロードバンド通信環境が利用しやすくなっていることから、ブロードバンド環境を前提として、従来はオフラインで処理していたものをセンタで処理するセンタ集中型処理のニーズがある。このセンター集中型処理において、多様な電子決済を取り込み易くするシステムを開発することが求められている。
【0008】
さらに、様々なサービスが電子決済事業者によって提供されているにもかかわらず、安価で、複数の電子決済に対応するシステムは存在しておらず、サービス毎に専用端末が必要となっていた。このため、例えば、複数の記憶素子(物理メディア)が搭載されたカードを用いる決済では、決済の種類毎に処理する端末を変える必要があり、不便であった。
【0009】
また、多数の電子決済事業者によって提供される様々なサービス毎に、加盟店で利用される端末に専用アプリケーションを開発する必要があり、多くの開発コスト及び時間が必要であった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、サーバと、前記サーバと接続された端末とを備え、記憶媒体に記録されたデータに基づいて決済をする電子決済システムであって、前記端末は、前記記憶媒体からデータを読み取る際に、前記記憶媒体の種類を示す物理メディア識別子を決定し、前記決定された物理メディア識別子及び前記記憶媒体から読み取ったデータを前記サーバに送り、前記サーバは、前記送信された物理メディア識別子に従って、この決済の第1の処理をする物理メディア処理部を選択し、前記選択された物理メディア処理部は、前記第1の処理として、前記送られた記憶媒体から読み取ったデータを用いて、当該決済を処理するアプリケーションの選択肢を前記端末に提供し、前記端末は、前記提供されたアプリケーションの選択肢から、起動すべきアプリケーションを選択し、前記選択されたアプリケーションに対応する決済メディア識別子を前記サーバに送り、前記サーバは、前記送られた決済メディア識別子に従って、この決済の第2の処理をする決済メディア処理部を選択し、前記選択された決済メディア処理部は、前記第2の処理として、前記端末に入力された取引内容のデータを取得し、前記第2の処理の結果を前記端末に送ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、電子決済のセンター集中型処理において、電子決済に利用するメディアを、物理メディアと決済メディアとの二つの概念に分けることによって、単純に物理メディアと決済メディアとを組み合わせでサービスを構築することを可能とし、多様な電子決済のためのビジネスプロセスを制御することができる。このため、既存の決済メディアから、異なる物理メディアを用いたサービスを容易に開発することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態の電子決済システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態の電子決済システムのカード決済端末2の論理的な構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態の電子決済システムのセンタサーバ1の論理的な構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態の物理メディアテーブル30を示す説明図である。
【図5】本発明の実施の形態の決済メディアテーブル40を示す説明図である。
【図6A】本発明の実施の形態の電子決済システムの処理を示すシーケンス図である。
【図6B】本発明の実施の形態の電子決済システムの処理を示すシーケンス図である。
【図7】本発明の実施の形態のアプリケーションリストテーブルを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
まず、本発明の実施の形態の概要について説明する。
【0014】
センター集中型の電子決済システムにおいて、電子決済に利用されるメディアを、業務のビジネスプロセスから切り離す。そして、電子決済に利用するメディアを、物理メディアと決済メディアとの二つの概念に分けることによって、電子決済のためのビジネスプロセスを単純化し、物理メディアと決済メディアとを組み合わせによってサービスを構築する。そして、各物理メディア及び各決済メディアに識別子を設定し、メディア制御層において識別子によって、各メディア処理サーバに処理を振り分ける。
【0015】
図1は、本発明の実施の形態の電子決済システムの構成を示すブロック図である。
【0016】
本実施の形態の電子決済システムは、センタサーバ1、カード決済端末(CCT:Credit Center Terminal)2、及び、センタサーバ1とカード決済端末2とを接続するネットワーク3によって構成されている。
【0017】
センタサーバ1は、プロセッサ、メモリ、外部記憶装置及びインターフェース等を備えるコンピュータである。
【0018】
カード決済端末2は、プロセッサ、メモリ及びインターフェース等を備える端末装置であって、PIN入力パッド20、ICカードリーダ・ライタ21、磁気カードリーダ22及び非接触式ICカードリーダ・ライタ23が接続されている。
【0019】
PIN入力パッド20は、電子決済を希望する利用者が使用する入力装置であって、利用者を認証する数字又は文字等(暗証番号)を入力するためのキーボードである。
【0020】
ICカードリーダ・ライタ21は、電子決済を希望する利用者が使用するICカードに記録されたデータを読み書きする装置であって、例えば、JIS X 6303(ISO/IEC 7816)に規定される外部端子付ICカードを読み書きすることができる。なお、ICカードリーダ・ライタ装置21は、PIN入力パッド20に一体に実装されてもよい。
【0021】
磁気カードリーダ22は、電子決済を希望する利用者が使用するカードに備わる磁気ストライプに記録されたデータを読み取る装置であって、例えば、JIS B 9560、JIS X 6303に規定されるカードの磁気ストライプからデータを読むことができる。
【0022】
非接触式ICカードリーダ・ライタ23は、電子決済を希望する利用者が使用する非接触ICカードに記録されたデータを読み書きする装置であって、例えば、JIS X 6319に規定される外部端子なし近接型ICカードのデータを読み書きすることができる。
【0023】
図1に示すシステムでは、PIN入力パッド20、ICカードリーダ・ライタ21、磁気カードリーダ22及び非接触式ICカードリーダ・ライタ23は、カード決済端末2と別体に設けられているが、これらはカード決済端末2と一体に設けられてもよい。
【0024】
図2は、本発明の実施の形態の電子決済システムのカード決済端末2の論理的な構成を示すブロック図である。
【0025】
カード決済端末2は、デバイスドライバ201、ブラウザ202及びThinClientコントローラ203を備える。
【0026】
デバイスドライバ201は、ICカードリーダ・ライタ21、磁気カードリーダ22及び非接触式ICカードリーダ・ライタ23によるデータの読み書きを制御するドライバである。ブラウザ202は、センタサーバから送られたデータを表示するためのプログラムである。ThinClientコントローラ203は、センタサーバ1との間の通信プロトコルを制御するプログラムであって、例えば、Ajaxを用いてHTTP通信機能を提供する。
【0027】
例えば、ICカードリーダ・ライタ21によって読み取られたデータは、ThinClientコントローラ203によって、センタサーバ1へ送られる。また、決済メディアを特定するために表示される画面のデータは、センタサーバ1から送られ、ブラウザ202によってディスプレイに表示される。さらに、電子決済される売上等のデータ(例えば、売上金額)は、ブラウザ202に入力され、ThinClientコントローラ203によって、センタサーバ1へ送られる。
【0028】
図3は、本発明の実施の形態の電子決済システムのセンタサーバ1の論理的な構成を示すブロック図である。
【0029】
センタサーバ1は、Webサービス層110、アプリケーション層120、メディア制御層130、メディア処理層140及びDB層150を含む。各層110〜150は、物理メディア処理機能と決済メディア処理機能とに分けられる。
【0030】
Webサービス層110は、決済メディア確定処理サービス部111及び売上処理サービス部116を含む。決済メディア確定処理サービス部111は、物理メディア処理機能の一部であって、この電子決済に使用される物理メディア及び決済メディアを特定するためのインターフェースをカード決済端末2に提供し、カード決済端末2から取得したデータを決済メディア確定処理部121に送る。売上処理サービス部116は、決済メディア処理機能の一部であって、売上データを処理するためのインターフェースをカード決済端末2に提供し、カード決済端末2から取得したデータを売上処理部126に送る。
【0031】
アプリケーション層120は、決済メディア確定処理部121及び売上処理部126を含む。決済メディア確定処理部121は、物理メディア処理機能の一部であって、この電子決済に使用される決済メディアを特定する。すなわち、決済メディア確定処理部121は、アプリケーションテーブル153及び物理メディア識別子に基づいて、この電子決済に使用される決済メディアが、例えば、クレジット、ポイント、電子マネーのいずれから選択可能かを特定し、カード決済端末2に送る。売上処理部126は、決済メディア処理機能の一部であって、カード決済端末2から送られた売上データを処理し、メディア制御層130に送る。
【0032】
メディア制御層130は、物理メディア制御層131及び決済メディア制御層136に分かれる。物理メディア制御層131は、物理メディア処理機能の一部であって、受信した物理メディア識別子から、物理メディアに対応するメディア処理サーバを特定し、カードから読み取られたデータを特定された物理メディア処理サーバに送る。決済メディア制御部136は、決済メディア処理機能の一部であって、受信した決済メディア識別子から、決済メディアに対応するメディア処理サーバを特定し、カード決済端末2に入力されたデータを特定された決済メディア処理サーバに送る。
【0033】
メディア処理層140は、各メディアごとに処理を行うサーバを含む。具体的には、物理メディア処理をする物理メディア処理サーバ(具体的には、磁気処理サーバ141、接触IC処理サーバ142、非接触IC処理サーバ(ICAS)143)と、決済メディア処理をする決済メディア処理サーバ(具体的には、クレジット処理サーバ146、ポイント処理サーバ147、電子マネー処理サーバ148)とを含む。各物理メディア及び各決済メディアに異なる識別子(物理メディアID、決済メディアID)が割り当てられており、物理メディアID及び決済メディアIDによって異なるサーバで処理が実行される。
【0034】
磁気処理サーバ141は、磁気カードの処理をする。接触IC処理サーバ142は、接触ICカードの処理をする。非接触IC処理サーバ(ICAS)143は、非接触ICカードの処理をする。
【0035】
クレジット処理サーバ146は、クレジットカードを用いた決済処理をする。ポイント処理サーバ147は、加盟店や航空会社によって付与されたポイントを用いた決済処理をする。電子マネー処理サーバ148は、電子マネーを用いた決済処理をする。
【0036】
DB層150は、物理メディア処理のためのデータを格納する物理メディアテーブル151、決済メディア処理のためのデータを格納する決済メディアテーブル152及びアプリケーションテーブル153を含む。また、DB層150は、決済メディア処理のためのデータを格納する加盟店メタデータ156、アクワイアラメタデータ157及び売上データを登録するためのクレジット売上データ158を含む。
【0037】
図4は、本発明の実施の形態の物理メディアテーブル151の説明図である。
【0038】
物理メディアテーブル151は、物理メディア識別子31、対応する物理メディア処理サーバのIPアドレス32及び対応する物理メディア処理サーバのポート番号33を含む。
【0039】
物理メディア識別子31は、決済に用いられる物理メディアを一意に識別するために割り当てられた識別子であって、例えば、磁気ストライプカードは”01”、接触式ICカードは”02”、非接触ICカードは”03”のように割り当てられている。
【0040】
IPアドレス32は、物理メディア識別子31に対応する物理メディアを処理する物理メディア処理サーバのIPアドレスである。ポート番号33は、物理メディア識別子31に対応する物理メディアを処理する物理メディア処理サーバのポート番号である。
【0041】
物理メディアテーブル151は、物理メディア制御部131が物理メディアを特定する処理において使用される。具体的には、カード決済端末2は、附属のICカードリーダ・ライタ21、磁気カードリーダ22及び非接触式ICカードリーダ・ライタ23のいずれでカードのデータを読み取ったか(すなわち、いずれの読取装置からカードのデータを取得したか)によって、取引毎に物理メディア識別子を設定する。そして、物理メディア制御部131は、設定された物理メディア識別子をパラメータとして物理メディアテーブル151を検索することによって、物理メディア識別子に対応する物理メディア処理サーバのアドレス及びポートを得ることができる。
【0042】
図5は、本発明の実施の形態の決済メディアテーブル152の説明図である。
【0043】
決済メディアテーブル152は、決済メディア識別子41、対応するメディア処理サーバのIPアドレス42及び対応するメディア処理サーバのポート番号43を含む。
【0044】
決済メディア識別子41は、決済に用いられる決済メディアを一意に識別するために割り当てられた識別子であって、例えば、クレジットは”10”、ポイントは”20”、電子マネーは”30”のように割り当てられている。
【0045】
IPアドレス42は、決済メディア識別子41に対応する決済を処理するメディア処理サーバのIPアドレスである。ポート番号43は、決済メディア識別子41に対応する決済を処理するメディア処理サーバのポート番号である。決済メディアテーブル152は、決済メディア制御部136が決済メディアを特定する処理において使用される。具体的には、カード決済端末2において決済方法が選択されると、決済メディア識別子が定められる。そして、決済メディア制御部136は、定められた決済メディア識別子をパラメータとして決済メディアテーブル152を検索することによって、決済メディア識別子に対応する決済メディア処理サーバのアドレス及びポートを得ることができる。
【0046】
図6A、図6Bは、本発明の実施の形態の電子決済処理を示すシーケンス図である。なお、図6Aに示す処理(301〜314)に続けて、図6Bに示す処理(315〜343)が実行される。
【0047】
まず、店員が、いずれかのカード読取装置に決済に用いるカードを装着する。例えば、磁気カードが決済に用いられる場合は、磁気カードリーダ22を用いて磁気カードをスワイプする。また、接触式ICカードが決済に用いられる場合は、ICカードをICカードリーダ・ライタ21に挿入する。また、非接触ICカードが決済に用いられる場合は、ICカードを非接触ICカードリーダ・ライタ23上に置く。これらの読取装置にカードを装着することによって、カードに記録されたデータが読み取られる(301)。
【0048】
このとき、カード決済端末2は、どの読取装置によってカードのデータが読み取られたかによって、決済に用いられる物理メディアを特定し、物理メディア識別子を定める。
【0049】
なお、カードに記録されたデータを読み取る前に、店員が決済に用いるカードの種類を選択する操作をしてもよい。この場合、この選択時点で物理メディア識別子が定められ、選択された物理メディアに対応する読取装置を起動すればよい。
【0050】
読み取られたカードのデータは、センタサーバ1に送られる(302)。センタサーバ1では、Webサービス層110及びアプリケーション層120を介して、メディア制御層130が読み取られたカードのデータを受け取る。メディア制御層130では、物理メディア制御部131が、カード決済端末2において定められた物理メディア識別子をパラメータとして、物理メディアテーブル151を参照し(303)、対応する物理メディア処理サーバ(磁気処理サーバ141、接触IC処理サーバ142、非接触IC処理サーバ143のいずれか)を特定し、特定されたサーバのIPアドレス及びポート番号を取得する(304)。メディア処理層140に含まれるサーバでは、物理メディアに対応した物理メディア処理をする。
【0051】
例えば、決済に用いられるカードが磁気カードであれば、物理メディア識別子は”01”なので、磁気処理サーバ141が選択される。そして、磁気カードから読み取られたデータを選択された磁気処理サーバ141に送る(305)。
【0052】
その後、物理メディア処理サーバ(磁気処理サーバ141)は、磁気カードから読みられたデータ(JIS2データ)を用いて、アプリケーションテーブル153を参照して、このカードで使用可能なアプリケーションを検索する(306)。なお、アプリケーションテーブル153には、アプリケーションの識別子、アプリケーション名が格納されている。そして、磁気処理サーバ141は、このカードで使用可能なアプリケーションのリストを取得し(307)、取得したアプリケーションリストを、Webサービス層110を介して、カード決済端末2に送る(308、309)。
【0053】
一方、決済に用いられるカードが接触式ICカードであれば、物理メディア識別子は”02”なので、接触IC処理サーバ142が選択される。そして、物理メディア識別子とICカードから読み取ったデータを選択された接触IC処理サーバ142に送る(310)。
【0054】
その後、接触IC処理サーバ142は、接触式ICカードから読み取ったデータ(JIS2相当データ)を用いて、アプリケーションテーブル153を参照して、このカードを処理可能なアプリケーションを検索し(311)、このカードを処理可能なアプリケーションのリストを取得する(312)。取得したアプリケーションリストは、Webサービス層110を介して、カード決済端末2に送られる(313、314)。
【0055】
その後、カード決済端末2は、受信したアプリケーションリストに基づいて、このカードで利用可能な決済メディアを表示して、利用者(又は、店員)による選択を待つ。この選択によって、どのメディアでこの取引を決済するのか(すなわち、決済メディア識別子)が定められる(315)。
【0056】
入力された決済メディアはセンタサーバ1に送られる。センタサーバ1では、Webサービス層110及びアプリケーション層120を介して、メディア制御層130が入力された決済メディア情報を受け取る(316)。メディア制御層130では、決済メディア制御部136が、カード決済端末2において定められた決済メディア識別子をパラメータとして、決済メディアテーブル152を参照し、対応する決済メディア処理サーバ(クレジット処理サーバ146、ポイントサーバ147、電子マネー処理サーバ148のいずれか)を特定し、特定されたサーバのIPアドレス及びポート番号を取得する(317、318)。メディア処理層130に含まれるサーバでは、決済メディアに対応した決済メディア処理をする。この特定された決済メディアは、カード決済端末2に送られる(319)。
【0057】
そして、カード決済端末2は、決済メディアが確定した後、業務(例えば、売上、取消、返品等)を選択するための業務画面を表示する。カード決済端末2は、業務が選択された後、選択された業務を実行するための決済データ(金額、税、商品コード、支払い方法等)の入力を受け付ける(320)。決済データの入力後、確定操作がされると(例えば、送信ボタンが押されると)、売上処理を開始し、入力されたデータをメディア制御層130に送る(321)。メディア制御層130は、保持された物理メディア識別子、決済メディア識別子及び入力された決済データを、物理メディア処理サーバに送る(322、332)。すなわち、メディア制御層130で保持された物理メディアが”02”であれば、物理メディアは接触式ICカードなので、接触IC処理サーバ142が選択される(322)。接触IC処理サーバ142ではカードのデータ認証処理を実行し(323)、認証結果が「正常」であれば、認証結果にPIN入力要求を付加して、カード決済端末2に送る(324、325)。
【0058】
カード決済端末2は、PIN入力要求を受け取ると、カード決済端末2に接続されたPIN入力パッド20へのPIN(暗証番号)の入力を促し、PIN入力待ち状態となる(326)。その後、PIN入力パッド20は、PINが入力されると(327)、入力されたPINとカードから読み取ったデータとを照合する(328)。PIN入力パッド20は、照合の結果をカード決済端末2に送る(329)。
【0059】
カード決済端末2は、PIN入力パッド20から照合の結果を受け取ると、受け取った照合の結果が成功であれば、PIN照合の結果をセンタサーバ1に送る(330)。
【0060】
センタサーバ1では、メディア制御層130が、カード決済端末2から照合の結果を受け取ると、保持していた決済メディアに対応した決済メディア処理をする。
【0061】
メディア制御層で保持された物理メディアが磁気カードであれば、PIN認証は実行されない(331)。
【0062】
メディア制御層130は保持された決済メディア識別子が“10”であれば、決済メディアはクレジットなので、クレジット処理サーバ146が選択される。クレジット処理サーバでは、この決済への与信の可否を判定するオーソリ判定処理を行う。具体的には、加盟店メタデータ156を参照して(333、334)、この加盟店における取引が可能かを判定し(335)、判定結果をクレジット処理サーバ146に送信する(336)。
【0063】
このオーソ判定処理によって、与信が必要と判定された場合、クレジット処理サーバ146は、カード会社のセンタにオーソリ要求を送信する(337)。その後、カード会社のセンタにて処理されたオーソリ処理の結果をカード決済端末2に送る(338、339、340)。
【0064】
カード決済端末2は、受け取ったオーソリ処理の結果が成功であれば、伝票を印刷し(341)、取引データをデータベース層150に送り、タンキング処理を要求する(342)。
【0065】
データベースは、カード決済端末2から受け取った取引データをクレジット売上データ158登録するタンキング処理の完了後、取引データの登録処理の結果をカード決済端末2に送る(343)。
【0066】
なお、上述したシーケンスではクレジットカードのみについて説明したが、電子マネーによる取引を処理する電子マネーサーバ、ポイントによる取引を処理するポイント処理サーバにおいても、クレジットカードによる取引と同様のシーケンスで処理が行われる。この場合、何れも物理メディア処理サーバは非接触IC処理サーバ143となり、非接触ICカードを用いた決済処理が行われる。
【0067】
本発明の実施の形態では、物理メディアの種類によって異なる物理メディア処理サーバと、決済メディアの種類によって異なる決済メディア処理サーバとを設け、各サーバ間及び各サーバとカード決済端末2との間で、物理メディア識別子及び決済メディア識別子をやりとりすることによって、物理メディアと決済メディアとを分離して処理することができ、電子決済システムの開発効率を向上させることができる。
【0068】
ステップ318で送られる情報は、業務識別子、物理メディア識別子、決済メディア識別子、オンライン電文、伝票番号、処理通番、タンキング情報、端末番号及び端末設定などを含む。なお、これら以外の情報(例えば、カード決済端末2と決済メディア処理サーバと間の通信に関する指定)を含んでもよい。
【0069】
業務IDは、この取引処理メッセージによって起動される処理の種類を示し、「売上」、「取消」、「返品」、「カードチェック」、「その他」のいずれかから選択される。物理メディアIDは、この取引処理に使用される物理メディアの種類を示し、「磁気ストライプカード」、「接触式ICカード」、「非接触ICカード」、「指定なし」のいずれかから選択される。決済メディアIDこの取引処理に使用される決済メディアの種類を示し、「クレジット」、「ポイント」、「電子マネー」、「指定なし」のいずれかから選択される。
【0070】
以上説明した本発明の実施の形態の処理のポイントをまとめると以下の通りである。
【0071】
まず、カードのデータを読み取った際に物理メディア識別子が決定した後(301)、決定された物理メディア識別子によって物理メディア処理サーバが選択される(303、304)。選択された物理メディア処理サーバは、カードから読み取ったデータを用いて、このカードで可能な決済方法(すなわち、このカードを用いた電子決済を処理するアプリケーションのリスト)を取得する(306、307)。その後、カード決済端末2は、物理メディア処理サーバから取得した決済方法から、ユーザが希望する決済方法を選択し、決済メディアIDを確定する(315)。
【0072】
物理メディア識別子及び決済メディア識別子が確定した後、業務が選択される(320)。業務が選択をされると、カード決済端末2は、取引処理に必要なデータをセンタサーバ1に送る(321)。
【0073】
センタサーバ1は、定義されたビジネスプロセスにおいて、物理メディア識別子及び決済メディア識別子に従って、物理メディア処理サーバ及び決済メディア処理サーバを選択して、各処理を行う。
【0074】
以上、電子決済の専用端末を例として本発明について説明したが、センター集中型のPOS、自動販売機、セルフ型給油機等の電子決済をするシステムに適用することができる。
【0075】
以上説明したように本発明の実施の形態によると、電子決済のセンター集中型処理において、電子決済に利用するメディアを、物理メディアと決済メディアとの二つの概念に分けて構築する。このため、単純に物理メディアと決済メディアとを組み合わせでサービスを構築することを可能とし、多様な電子決済のためのビジネスプロセスを制御することができる。
【0076】
例えば、新しい物理メディアを加える場合であっても、新たに加わった物理メディアの部分を開発すればよく、その物理メディアに対応する決済メディアの部分は開発する必要がなく、物理メディアが異なるサービスを容易に開発することができる。具体的には、物理メディアとして接触式ICカードを使用したクレジット決済の既存の処理プロセスの物理メディア部分を変更することによって、非接触ICカードを使用したクレジット決済の処理プロセスを開発することができる。
【0077】
また、新しい決済メディアを加える場合であっても、新たに加わった決済メディアの部分を開発すればよく、その決済メディアに対応する物理メディアの部分は開発する必要がなく、決済メディアが異なるサービスを容易に開発することができる。具体的には、接触式ICカードを使用したクレジット決済の既存の処理プロセスの決済メディア部分を変更することによって、接触式ICカードを使用したポイント決済の処理プロセスを開発することができる。
【符号の説明】
【0078】
1 センタサーバ
2 カード決済端末(CCT)
3 ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバと、前記サーバと接続された端末とを備え、記憶媒体に記録されたデータに基づいて決済をする電子決済システムであって、
前記端末は、前記記憶媒体からデータを読み取る際に、前記記憶媒体の種類を示す物理メディア識別子を決定し、前記決定された物理メディア識別子及び前記記憶媒体から読み取ったデータを前記サーバに送り、
前記サーバは、前記送られた物理メディア識別子に従って、この決済の第1の処理をする物理メディア処理部を選択し、
前記選択された物理メディア処理部は、前記第1の処理として、前記送られた記憶媒体から読み取ったデータを用いて、当該決済を処理するアプリケーションの選択肢を前記端末に提供し、
前記端末は、前記提供されたアプリケーションの選択肢から、起動すべきアプリケーションを選択し、前記選択されたアプリケーションに対応する決済メディア識別子を前記サーバに送り、
前記サーバは、前記送られた決済メディア識別子に従って、この決済の第2の処理をする決済メディア処理部を選択し、
前記選択された決済メディア処理部は、前記第2の処理として、前記端末に入力された取引内容のデータを取得し、前記第2の処理の結果を前記端末に送ることを特徴とする電子決済システム。
【請求項2】
前記物理メディア識別子は、前記端末が前記記憶媒体からデータを読み取る方式によって定まるものであって、
前記決済メディア識別子は、前記決済の方法によって定められることを特徴とする請求項1に記載の電子決済システム。
【請求項3】
前記決済メディア処理部は、
前記端末に入力された取引内容のデータを、前記物理メディア処理部を介さずに前記端末から取得し、
前記第2の処理の結果を、前記物理メディア処理部を介して前記端末に送ることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子決済システム。
【請求項4】
前記決済メディア処理部は、前記第2の処理の結果と共に、この取引の前記物理メディア識別子によって特定される物理メディア処理部に送り、
前記物理メディア処理部は、前記物理メディア処理部によって定められた処理要求を、前記第2の処理の結果と共に前記端末に送ることを特徴とする請求項3に記載の電子決済システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−272048(P2010−272048A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−125081(P2009−125081)
【出願日】平成21年5月25日(2009.5.25)
【出願人】(391002409)株式会社 日立システムアンドサービス (205)
【Fターム(参考)】