説明

電子筆記具

【課題】操作性の良好な電子筆記具を提供する。
【解決手段】操作ボタン611dは、キャップ本体部611の外周面から突出して設けられている。また、この操作ボタン611dは、キャップ本体部611の外周面から離れる方向に付勢されて配置されている。一方、ペン本体部640には、筐体652の外周面から内方に向かう凹部653が形成されている。また、ペン本体部640は、凹部653よりも内方側に操作検知スイッチ654を備える。キャップ検知スイッチ651がオン状態の場合において、操作ボタン611dがユーザにより押圧され操作検知スイッチ654がオン状態とされると、筆跡情報取得モードから特定処理実行モードへと切り替えられるとともに、赤外LED644から赤外光が媒体に対して照射され、また媒体からの反射光が赤外CMOS645にて受光される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体上の符号画像を読み取り可能な電子筆記具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、用紙等の媒体上に筆記された文字や図形等が電子データに変換され、それがパソコンや携帯電話等に転送されて、筆記内容が保存等される技術が注目されている。
例えば特許文献1には、図面データ入力用ペン装置において、ペンを把持する指先位置にデータ入力用の複数のスイッチを設けたことを特徴とする図面データ入力用ペン装置が開示されている。
また、例えば特許文献2には、装置が動かされたときのストロークを記録するための記録装置と、ストロークがコマンドを含んでいるか否かを判断するための解釈手段と、コマンドであるとの判断の上で動作を実行するための処理手段と、によって特徴付けられている装置が開示されている。
さらに、例えば特許文献3には、信号処理装置によって画像の1つで所定の位置符号化パターンが検出されると、入力機能モードからマウス機能モードに切り替えるよう構成されていることを特徴とする入力ユニットが開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開昭56−105588号公報
【特許文献2】特表2003−518687号公報
【特許文献3】特表2003−523572号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、媒体上の符号画像を読み取り可能な電子筆記具では、複数のモードが設けられる場合がある。ところで、モードの切り替えは、例えば電子筆記具の本体部上に操作ボタンを設置することで実現することができるが、操作ボタンの設置位置によってはユーザの筆記操作を阻害するおそれがある。また、電子筆記具の本体部上に操作ボタンを設けた場合、ユーザが現在のモードを把握しにくく操作性が低下する場合がある。
本発明の目的は、操作性の良好な電子筆記具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、媒体への筆記を可能とする筆記部と、当該媒体上の符号画像を読み取る読み取り手段とを備え、複数のモードによって動作する筆記具本体部と、前記筆記具本体部におけるモードの切り替えに際しユーザからの操作を受け付ける操作受付部を備え、当該筆記具本体部に装着されるキャップと、を含む電子筆記具である。
請求項2に記載の発明は、前記キャップは、前記筆記具本体部に装着された場合にも前記読み取り手段による前記符号画像の読み取りが可能なように構成されていることを特徴とする請求項1記載の電子筆記具である。
請求項3に記載の発明は、前記操作受付部は、前記キャップが前記筆記具本体部に装着された状態にてユーザが前記電子筆記具を把持する際にユーザが把持する把持部に位置するように配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子筆記具である。
請求項4に記載の発明は、前記操作受付部は、前記筆記具本体部が挿入されるキャップ本体部の外周面に対向配置されるクリップ片により構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電子筆記具である。
請求項5に記載の発明は、前記筆記具本体部は、前記操作受付部に対するユーザの操作を検知する操作検知部を備え、当該操作検知部は、ユーザによる直接の操作ができない位置に配置されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電子筆記具である。
請求項6に記載の発明は、前記筆記具本体部は、前記操作受付部に対するユーザの操作を検知する操作検知部を内部に備え、当該操作検知部は、当該操作受付部との無線通信により当該ユーザの操作を検知することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電子筆記具である。
【0006】
請求項7に記載の発明は、媒体への筆記を可能とする筆記部と、当該媒体上の符号画像を読み取る読み取り手段と、を有する筆記具本体部と、前記筆記具本体部に対して着脱自在に設けられ、当該筆記具本体部に装着された場合にも前記読み取り手段による前記符号画像の読み取りを可能とするキャップと、を備え、前記筆記具本体部は、前記キャップが装着された場合に、前記読み取り手段が読み取る符号画像に基づく所定の処理が実行される第1のモードから、当該読み取り手段が読み取る符号画像に基づく他の処理を実行可能とする第2のモードへと切り替えられることを特徴とする電子筆記具である。
請求項8に記載の発明は、前記読み取り手段は、前記筆記部に対して圧力が作用した場合に前記媒体上の符号画像の読み取りを行い、前記キャップは、前記筆記具本体部に装着された状態にて前記媒体に対して押圧された場合に、当該媒体からの圧力を前記筆記部に伝達する伝達部材を備えることを特徴とする請求項7記載の電子筆記具である。
請求項9に記載の発明は、前記伝達部材は、キャップ本体部の軸方向に対して傾斜した傾斜面を先端部に有していることを特徴とする請求項8記載の電子筆記具である。
請求項10に記載の発明は、前記筆記具本体部の姿勢を検知する姿勢検知部を更に備え、前記筆記具本体部は、前記第2のモードにおいて前記姿勢検知部にて当該筆記具本体部の所定の姿勢が検知された場合に、当該第2のモードから第3のモードへと切り替えられることを特徴とする請求項7乃至9のいずれかに記載の電子筆記具である。
請求項11に記載の発明は、前記読み取り手段は、前記筆記部に対して圧力が作用した場合に前記媒体上の符号画像の読み取りを行い、前記筆記部に対して前記圧力が作用していない場合にも前記読み取り手段に対して給電を行う給電手段を更に備えることを特徴とする請求項7乃至10のいずれかに記載の電子筆記具である。
請求項12に記載の発明は、前記給電手段は、前記キャップの装着により前記筆記具本体部が前記第1のモードから前記第2のモードへと切り替えられた場合にも前記読み取り手段に対して前記給電を継続して行うことを特徴とする請求項11記載の電子筆記具である。
請求項13に記載の発明は、前記筆記部に作用する媒体からの圧力を検知する圧力検知部を更に備え、前記読み取り手段は、前記圧力検知部にて前記圧力が検知された場合に前記符号画像の読み取りを行い、前記筆記具本体部から前記キャップが外された場合に前記読み取り手段への給電を開始する給電手段と、前記筆記具本体部から前記キャップが外され前記読み取り手段による前記符号画像の読み取りが可能となる前に、前記圧力検知部にて前記圧力が検知された場合に警告を行う警告手段と、を更に備えることを特徴とする請求項7乃至10のいずれかに記載の電子筆記具である。
請求項14に記載の発明は、前記筆記具本体部は、当該筆記具本体部に対する前記キャップの装着又は取り外しを検知する着脱検知部と、前記筆記部に作用する圧力を検知する圧力検知部と、当該圧力検知部にて当該圧力が検知されている状態で当該着脱検知部にて当該キャップの装着または取り外しが検知された場合に警告情報を出力する警告情報出力部と、を更に備えることを特徴とする請求項7乃至13のいずれかに記載の電子筆記具である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の請求項1によれば、例えば操作受付部による筆記操作の阻害を防止でき、操作性の良好な電子筆記具を提供することができる。
本発明の請求項2によれば、キャップが筆記具本体部に装着された場合にも符号画像に基づく処理を行うことが可能となる。
本発明の請求項3によれば、ユーザが操作受付部を操作する際の操作性を良好なものとすることができる。
本発明の請求項4によれば、別途部材を設ける必要がないため構成の簡素化を図ることができる。
本発明の請求項5によれば、例えば操作検知部における誤検知の発生を抑制することができる。
本発明の請求項6によれば、操作検知部の配置の自由度を高めることができ、筆記具本体部におけるレイアウト設計の自由度を高めることができる。
【0008】
本発明の請求項7によれば、例えばユーザがモードを誤認することを低減でき、操作性の良好な電子筆記具を提供することができる。
本発明の請求項8によれば、筆記部がキャップにより覆われる場合でもあっても読み取り手段による符号画像の読み取りが可能となる。
本発明の請求項9によれば、電子筆記具の媒体に対する姿勢を通常の筆記具の姿勢と同様のものとすることができ、電子筆記具の操作性をさらに良好なものとすることができる。
本発明の請求項10によれば、例えば符号画像の読み取りデータを他の装置に送信する処理などを、ユーザに手間をかけさせずに実現することができる。
本発明の請求項11によれば、ユーザによる筆記操作が行われたにも関わらず符号画像の読み取りができないなどの不具合の発生を抑制することができる。
本発明の請求項12によれば、第2のモードにてユーザによる操作が行われたにも関わらず符号画像の読み取り等ができないなどの不具合の発生を抑制することができる。
本発明の請求項13によれば、符号画像の読み取りができない場合にユーザに対して警告を行うことが可能となる。
本発明の請求項14によれば、例えば電子筆記具の故障をユーザに知らせることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態(以下、「実施の形態」という)について詳細に説明する。
―第1の実施形態―
まず、第1の実施形態における筆跡情報管理システムの全体構成について説明する。
図1は、第1の実施形態の筆跡情報管理システムの構成の一例を示した図である。図1に示したように、この筆跡情報管理システムは、端末装置10と、文書サーバ20と、識別情報サーバ30と、画像形成装置40と、端末装置50とがネットワーク80に接続されることにより構成されている。また、端末装置50には、デジタルペン60(電子筆記具の一例)が通信装置70を介して接続されている。
【0010】
本実施の形態の筆跡情報管理システムでは、端末装置10から電子文書の印刷要求が行われると、文書サーバ20は端末装置10からの印刷要求を受け取り、画像形成装置40に対して印刷要求の対象となった電子文書の印刷指示を行う。それにより、画像形成装置40は、この電子文書の文書画像を紙等の媒体に印刷するが、その際に、画像形成装置40は文書画像に加えて符号画像を媒体上に印刷する。
ここでの符号画像とは、識別情報および位置情報を符号化して得られる識別符号および位置符号を画像化したものである。識別情報とは、媒体を一意に特定するための情報であり、本実施の形態では識別情報サーバ30が発行する。また、位置情報は、媒体上の座標位置を特定するための情報であり、本実施の形態では文書サーバ20が生成する。
そして、文書画像と符号画像とが印刷された媒体に対し、ユーザがデジタルペン60を用いて筆記すると、デジタルペン60は符号画像に含まれる位置情報に基づいて手書き情報(筆跡情報)を生成する。またそれと同時に、デジタルペン60は符号画像に含まれる識別情報を認識する。そして、認識された識別情報と筆跡情報とは、端末装置50を介して文書サーバ20に送られる。識別情報と筆跡情報とを受け取った文書サーバ20は、識別情報に基づいて媒体に印刷された電子文書を特定し、この特定された電子文書と筆跡情報とを関連付けて記憶する。
【0011】
なお、本明細書では、媒体に記録する画像の元となる電子データを「電子文書」と表記するが、これは、テキストを含む「文書」を電子化したデータのみを意味するものではない。例えば、絵、写真、図形等の画像データ(ラスタデータかベクターデータかによらない)、データベース管理ソフトウェアや表計算ソフトウェアで記録されるデータ、その他の印刷可能な電子データも含めて「電子文書」としている。
また、本明細書において、「媒体」は、画像を印刷可能な媒体であれば、その材質は問わない。代表例は紙であるが、OHPシート等といったプラスチックシートや金属板等であっても構わない。
さらに、本明細書では、電子文書、媒体、さらにはデジタルペン60やユーザについて、それぞれを一意に識別するための識別情報を用いて処理を行うが、単に「識別情報」という場合には、媒体に関する識別情報を意味するものとする。すなわち、本実施の形態では、媒体に固有に付与される媒体識別情報の一例として、この識別情報を用いる。
【0012】
続いて、本実施の形態の筆跡情報管理システムを構成する各構成要素について詳細に説明する。
端末装置10は、文書サーバ20に対して電子文書の印刷を要求するコンピュータ装置である。ここで、端末装置10としては、例えば、パーソナルコンピュータやワークステーション、その他のコンピュータが用いられる。
文書サーバ20は、電子文書を記憶し管理するコンピュータ装置である。また、端末装置10から電子文書の印刷要求があると、電子文書の画像と、識別情報および位置情報を表す符号画像とを生成し、これらを合成した合成画像を媒体に印刷する印刷命令を画像形成装置40に対して出力する。ここで、文書サーバ20としては、例えば、パーソナルコンピュータやワークステーション、その他のコンピュータが用いられる。
【0013】
識別情報サーバ30は、媒体に付与する識別情報を発行するコンピュータ装置である。そして、発行した識別情報を、その識別情報が付与される媒体に印刷される電子文書と関連付けて記憶する。ここで、識別情報サーバ30としては、例えば、パーソナルコンピュータやワークステーション、その他のコンピュータが用いられる。
画像形成装置40は、媒体に画像を印刷し、印刷文書として出力する装置である。この画像形成装置40は、単体のプリンタや印刷機であってもよいし、他にスキャナや通信の機能を備えた所謂「複合機」であってもよい。ここで、画像形成装置40における画像形成方式としては、例えば、電子写真方式を用いるとよいが、その他の方式を用いてもよい。
【0014】
端末装置50は、印刷文書に対する筆記を電子化した情報(以下、「筆跡情報」という)を、印刷文書に記録された画像の元となる電子文書に反映させるために識別情報サーバ30に送信するコンピュータ装置である。また、筆跡情報を反映する対象の電子文書をディスプレイ(不図示)に表示し、その上に筆跡情報を重ねて表示するようにしてもよい。ここで、端末装置50としては、例えば、パーソナルコンピュータやワークステーション、その他のコンピュータが用いられる。なお、本実施の形態では、筆記の内容を電子化した筆跡情報の一例として、筆跡情報を用いている。また、筆跡情報を主に手書き情報として説明するが、これに限らず、例えば、建築や機械等の図面データを出力する装置であるプロッタ等によって機械的に描画された情報等を含むものである。
【0015】
デジタルペン60は、印刷文書上に文字または図形を筆記するために用いられるペンデバイスである。また、媒体に印刷された符号画像を読み取る撮像素子を備える。そして、撮像素子で読み取った符号画像から位置情報を検出し、筆記した文字または図形をイメージデータ化した筆跡情報をこの位置情報に基づいて生成し記憶する。
通信装置70は、デジタルペン60から筆跡情報を取得して端末装置50に送信する装置である。通信装置70とデジタルペン60との間の通信の方式および通信装置70と端末装置50との間の通信の方式としては、USB(Universal Serial Bus)、Bluetooth(登録商標)、赤外線通信機能等、種々の方式が用いられる。なお、図1では、通信装置70をデジタルペン60と別体のものとして示しているが、必ずしも別体である必要はなく、一体に構成してもよい。
【0016】
引き続いて、筆跡情報管理システムを構成する各構成要素の詳細を説明する。
まず、文書サーバ20の構成について説明する。
図2は、文書サーバ20の機能構成の一例を示したブロック図である。図2に示したように、文書サーバ20は、受信部21と、識別情報取得部22と、電子文書管理部23と、筆跡情報管理部24と、文書/筆跡情報記憶部25とを備える。また、識別符号生成部27aと、位置符号生成部27bと、符号配置部27cと、パターン画像記憶部27dと、符号画像生成部27eとを備える。さらに、文書画像生成部26と、画像合成部28と、送信部29とを備える。
【0017】
受信部21は、端末装置10から印刷要求を受信する。ここで、印刷要求には、電子文書に加えて、印刷対象となる電子文書の識別情報(以下、「文書ID」という)と、印刷される媒体上での電子文書のレイアウトを定めるための各種設定(以下、「印刷設定」という)とが含まれる。文書IDは、端末装置10にて電子文書毎に付与されるが、文書サーバ20にて付与してもよい。また、受信部21は、印刷文書が印刷される媒体に固有に付与される識別情報を識別情報サーバ30から受信する。さらに、印刷文書に対する筆記が行われた際には、識別情報サーバ30から、印刷文書に埋め込まれた識別情報と、印刷文書に対する筆記の内容(筆記画像)を電子化した筆跡情報とを受信する。
識別情報取得部22は、受信部21から文書IDおよび印刷設定を取得し、これを送信部29に渡して識別情報の発行要求の送信を指示し、これを文書画像生成部26に渡して文書画像の生成を指示する。また、受信部21から媒体の識別情報を取得し、これを識別符号生成部27aに渡して識別符号の生成を指示する。
【0018】
電子文書管理部23は、受信部21が受信した識別情報と電子文書とを取得し、文書IDに基づき両者を対応付けて文書/筆跡情報記憶部25に登録する。また、文書/筆跡情報記憶部25に記憶された電子文書についての、印刷設定に従って媒体上に印刷された状態を反映した新たな電子文書(第2の電子文書)を生成し、生成された第2の電子文書を文書/筆跡情報記憶部25に記憶する。さらに、電子文書の表示や印刷が指示された際には、対応する識別情報と電子文書とを、文書/筆跡情報記憶部25から取り出す。
【0019】
筆跡情報管理部24は、受信部21が受信した識別情報と筆跡情報とを取得し、識別情報に基づき筆跡情報を電子文書に対応付けて文書/筆跡情報記憶部25に登録する。また、筆跡情報の表示が指示された際には、対応する識別情報と筆跡情報とを、文書/筆跡情報記憶部25から取り出す。
文書/筆跡情報記憶部25は、電子文書管理部23によって管理される電子文書と、筆跡情報管理部24によって管理される筆跡情報とを記憶する。ここで、本実施の形態では、識別情報と電子文書と筆跡情報とを関連付けて記憶する記憶手段の一例として、文書/筆跡情報記憶部25を設けている。
【0020】
識別符号生成部27aは、媒体を特定する識別情報を符号化して識別符号を生成する。
位置符号生成部27bは、媒体上の座標位置を示す位置情報を符号化して位置符号を生成する。
符号配置部27cは、識別符号生成部27aにて生成された識別符号や、位置符号生成部27bにて生成された位置符号等を所定のレイアウト(後段の図3参照)に従って2次元平面に配置し2次元の符号配列を生成する。
パターン画像記憶部27dは、符号配列に格納される各符号の符号値に対応するパターン画像を記憶する。
符号画像生成部27eは、符号配置部27cが生成した2次元の符号配列を参照し、各符号値に対応したパターン画像を選択して符号画像を生成する。
【0021】
文書画像生成部26は、識別情報取得部22から文書IDおよび印刷設定を取得し、この文書IDで特定される電子文書を文書/筆跡情報記憶部25から読み出す。そして、印刷設定に従ってその電子文書の文書画像を生成する。
画像合成部28は、符号画像生成部27eが生成した符号画像と、文書画像生成部26が生成した文書画像とを合成し、合成画像を生成する。
送信部29は、識別情報サーバ30に対して識別情報の発行要求を送信する。また、画像形成装置40に対して媒体に対する画像の印刷命令を送信する。さらに、筆跡情報の表示が指示された際には、識別情報サーバ30に対して識別情報と筆跡情報とを送信する。
【0022】
ここで、本実施の形態の文書サーバ20で生成される符号画像について説明する。
図3は、符号画像を構成する画像等の一例を示した図である。まず、符号画像を構成する単位パターンについて説明する。図3(a)は、単位パターンの一例を示したものである。
単位パターンとは、情報埋め込みの最小単位である。図3(a)では、黒塗りの領域と斜線の領域をドット配置可能な領域とし、その間にある白色の領域をドット配置不可能な領域としている。そして、ドット配置可能な領域のうち、黒塗りの領域にドットが配置され、斜線の領域にはドットが配置されていないことを示している。すなわち、図3(a)は、ドットを配置可能な9箇所の中から選択した2箇所(黒塗りの領域)にドットを配置することで単位パターンを構成した例を示したものである。ここで、9箇所の中から2箇所を選択する組み合わせは36(=)通りなので、単位パターンは、36種類存在する。このうち、4種類の単位パターンは、同期パターンとして使用される。同期パターンとは、画像の回転を検出したり、識別符号および位置符号の相対的な位置を特定したりするためのパターンである。特に、画像の回転を検出する必要があることから、4種類の同期パターンとしては、そのうちの1つの同期パターンを90度回転するとそのうちの別の同期パターンになるようなものが選ばれる。また、この4種類の単位パターンを除く32種類の単位パターンは、識別符号および位置符号を表現する情報パターンとして使用され、5ビットの情報が表現される。
【0023】
ところで、図3(a)に示したドットは、あくまで情報表現のためのドットであり、画像を構成する最小の点を意味するドットとは必ずしも一致しない。本実施の形態において、情報表現のためのドット(図3(a)の最小の四角)は、600dpiにおける2ドット×2ドットの大きさを有している。600dpiにおける1ドットの大きさは0.0423mmなので、情報表現のためのドット(図3(a)の最小の四角)の一辺は、84.6μm(=0.0423mm×2)である。情報表現のためのドットは、大きくなればなるほど目に付きやすくなるため、できるだけ小さいほうが好ましい。ところが、あまり小さくすると、プリンタで印刷できなくなってしまう。そこで、情報表現のためのドットの大きさとして、50μmより大きく100μmより小さい上記の値を採用している。ただし、上記の値84.6μmは、あくまで計算上の数値であり、実際に印刷されたトナー像では100μm程度になる。なお、本明細書で「ドット」というときは、特に明示しない限り、画像を構成する最小の点を意味するドットではなく、情報表現のためのドットを指すものとする。
【0024】
次に、このような単位パターンから構成される符号ブロックについて説明する。図3(b)に、符号ブロックのレイアウトの一例を示す。なお、ここでは、画像ではなく、パターン画像によって置き換えられる直前の符号配列で示している。すなわち、図3(b)の最小の四角(以下、「単位ブロック」という)に、図3(a)のような単位パターン(36通りの単位パターンのいずれか)が配置され、その画像が媒体に形成されることになる。
図3(b)のレイアウトでは、符号ブロックの左上の1つの単位ブロックに、同期符号が配置されている。また、同期符号が配置された単位ブロックの右側の4つの単位ブロックにX位置符号が配置され、同期符号が配置された単位ブロックの下側の4つの単位ブロックにY位置符号が配置されている。さらに、これらの位置符号が配置された単位ブロックに囲まれた16(=4×4)個の単位ブロックに識別符号が配置されている。
【0025】
ここで、識別情報の符号化について述べる。
識別情報を符号化する場合、識別情報を構成するビット列は、RS符号化を行うために複数のブロックに分割される。符号化には、いくつかの方法があるが、本実施の形態では、RS符号化が適している。RS符号は多値の符号法であり、この場合、単位ブロックで表現される値がRS符号の多値に対応するからである。例えば、1つの単位ブロックで5ビットの情報を表現する場合、60ビットの識別情報は、ブロック長が5ビットの12個のブロックに分割される。そして、2ブロックの誤りを訂正可能なRS符号を採用したとすると、符号長は16ブロックとなり、図3(b)の符号ブロックにおける識別符号が配置される単位ブロックに収まることになる。なお、符号化方式はRS符号に限定するものでなく、その他の符号化方式、例えば、BCH符号等を使用してもよい。
【0026】
引き続いて、位置情報の符号化について述べる。
位置情報の符号化には、擬似乱数系列の一種であるM系列符号が使用される。ここで、M系列とは、ある長さのシフトレジスタとフィードバックによって生成される符号系列とのうち、その周期が最長になる系列をいう。Kをシフトレジスタの段数とすると、M系列の系列長は2−1となる。このM系列から取り出した任意の連続したKビットは、同じM系列中の他の位置に現れない性質を持つ。そこで、この性質を利用して位置情報を符号化する。
ところで、本実施の形態では、符号化すべき位置情報の長さから、必要なM系列の次数を求め、M系列を生成している。しかしながら、符号化する位置情報の長さが予め分かっている場合は、M系列を毎回生成する必要はない。すなわち、固定のM系列を予め生成しておき、それをメモリ等に格納しておけばよい。
例えば、系列長8191のM系列(K=13)を使用したとする。この場合、位置符号も5ビット単位で埋め込むため、系列長8191のM系列から5ビットずつ取り出してブロック化する。
【0027】
なお、本明細書では、説明を簡単にするために、識別情報と位置情報とは明確に区別して用いている。しかしながら、広範な位置情報を用意しておき、媒体ごとに異なる範囲から位置情報を切り出して埋め込み、位置情報の違いによって媒体を識別するという手法もある。そこで、このような手法においては、媒体を識別する機能が位置情報に備わっているものと見て、位置情報を識別情報としても考えるものとする。
【0028】
次に、識別情報サーバ30の構成について説明する。
図4は、識別情報サーバ30の機能構成の一例を示したブロック図である。図4に示したように、識別情報サーバ30は、受信部31と、識別情報管理部32と、識別情報記憶部33と、表示情報生成部34と、送信部39とを備える。
受信部31は、文書サーバ20から識別情報の発行要求を受信する。また、受信部31は、印刷文書に対する筆記が行われた際には、媒体の識別情報と筆跡情報とを端末装置50から受信する。ここで、本実施の形態では、端末装置50から媒体の識別情報と筆跡情報とを受信し、さらに筆跡情報の表示が指示された際に、文書サーバ20から媒体の識別情報と筆跡情報とを受信する受信手段の一例として、受信部31を設けている。
【0029】
識別情報管理部32は、識別情報の発行要求があると、識別情報を重複することなく発行し、その際に指定された文書IDおよび印刷設定を識別情報に関連付けて記憶する。また、識別情報の指定を受けて、その識別情報に対応する文書IDおよび印刷設定を取り出す。
識別情報記憶部33は、識別情報を、その使用/未使用の状態、それが付与された媒体に印刷された電子文書の文書ID、それが付与された媒体に電子文書が印刷された際の印刷設定を関連付けて記憶するデータベースである。
表示情報生成部34は、筆跡情報の表示が指示された際に、文書サーバ20から取得した情報に基づいて、筆跡情報を表示するための表示情報を生成する。この表示情報としては、例えば、端末装置50で表示するイメージを生成する元となるデータを生成する。
【0030】
送信部39は、文書サーバ20からの要求に応じて発行した識別情報を文書サーバ20に送信する。また、印刷文書に対する筆記が行われた際には、媒体の識別情報と筆跡情報とを文書サーバ20に送信する。さらに、筆跡情報の表示が指示された際には、端末装置50に対して表示情報を送信する。ここで、本実施の形態では、媒体の識別情報と筆跡情報とを送信する送信手段の一例として、送信部39を設けている。
【0031】
次に、デジタルペン60について説明する。
図5は、デジタルペン60を説明する図である。詳細には、(a)はデジタルペン60の全体構成を示した図であり、(b)はデジタルペン60のペン本体部640を示した図であり、(c)はデジタルペン60のキャップ部610を示した図である。これらの図に示すように、本実施形態におけるデジタルペン60は、ペン本体部640と、ペン本体部640に対して着脱自在なキャップ部610とで構成されている。
【0032】
ここで、筆記具本体部の一例としてのペン本体部640は、同図(b)に示すように、筐体652の内部に、ペン全体の動作を制御する制御部641を備える。また、制御部641は、読み取った符号画像を処理する画像処理部641aと、画像処理部641aでの処理結果から識別情報および位置情報を抽出するデータ処理部641bと、バッテリ648からペン本体部640に設けられた各部に給電を行う給電手段の一例としての給電部641cとを含む。
また、制御部641には、デジタルペン60による筆記動作をペンチップ642(筆記部)に加わる圧力(筆圧)によって検知し、デジタルペン60を動作状態に設定する筆圧検知スイッチ643(圧力検知部の一例)が接続されている。さらに、媒体上に赤外光を照射する赤外LED644と、反射光を検知することによって符号画像を読み取る読み取り手段の一つしての赤外CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)645も接続されている。
【0033】
さらにまた、制御部641には、識別情報、位置情報等を記憶するための情報メモリ646と、外部装置と通信するための通信回路647と、ペンを駆動するためのバッテリ648と、ペンの識別情報(ペンID)を記憶するペンIDメモリ649とが接続されている。また、制御部641には、外部に対して所定の情報を表示するための表示用LED650と、キャップ部610の有無を検知するキャップ検知スイッチ651とが接続されている。
【0034】
一方、キャップ部610は、同図(c)に示すように、両端部に開口を有し円筒状に形成されたキャップ本体部611と、キャップ本体部611の先端側に取り付けられキャップ本体部611の軸方向に沿ってスライド可能なスライド部612と、キャップ本体部611の外周面に沿って配置されたクリップ片613とから概略構成されている。
【0035】
ここで、キャップ本体部611は、後方側の端部近傍に、内周面から突出した突出部611aを備えている。この突出部611aは、キャップ部610がペン本体部640に取り付けられた際に、ペン本体部640に設けられた上記キャップ検知スイッチ651を押圧する。
一方、伝達部材の一例としてのスライド部612は、貫通孔612aと、フィルタ612bと、ペン先収容部612cとを備えている。
【0036】
ここで、貫通孔612aは、スライド部612のスライド方向に沿って貫通配設されている。そして、この貫通孔612aは、ペン本体部640の赤外LED644からの赤外光を媒体に対して照射可能とし、また媒体からの反射光を赤外CMOS645にて受光可能とする。このため、キャップ部610がペン本体部640に装着された場合でも、赤外CMOS645による符号画像の読み取りが可能となっている。
フィルタ612bは、赤外光を透過可能な材質により構成され、また貫通孔612aを塞ぐようにスライド部612に取り付けられている。このフィルタ612bは、キャップ部610の内部への埃や水分の進入を抑制している。
【0037】
ペン先収容部612cは、キャップ部610がペン本体部640に取り付けられた際に、ペンチップ642の先端近傍に位置するとともに、スライド部612が媒体等により押圧された際にペンチップ642の先端を押圧する。なお、この押圧により、筆圧検知スイッチ643はオン状態となる。
なお、本図では図示を省略しているが、本実施形態におけるキャップ部610には、スライド部612を先端方向に付勢するコイルスプリング等の付勢部材と、スライド部612のキャップ本体部611からの脱落を防止する抜け止め部が設けられている。
【0038】
次に、制御部641において実現される機能構成について詳細に説明する。図6は、制御部641の機能構成の一例を示したブロック図である。なお、図6では、制御部641内の画像処理部641aとデータ処理部641bとに分けて、機能構成例を示している。また、図6では、図5に示した給電部641cの図示を省略している。
図6に示したように、画像処理部641aは、画像取得部681と、ドット配列生成部682とを備える。また、データ処理部641bは、符号配列生成部683と、識別情報取得部684と、位置情報取得部685と、筆跡情報生成部686と、送信部689とを備える。
【0039】
画像取得部681は、赤外CMOS645が印刷文書から読み取った符号画像を取得する。また、必要に応じて、符号画像に含まれるノイズを除去する。
ドット配列生成部682は、符号画像におけるドットの位置を参照して、ドット配列を生成する。すなわち、2次元の配列上で、例えば、ドットがある位置に「1」を、ドットがない位置に「0」を記憶することにより、画像として検出したドットをデジタルデータに置き換える。そして、この2次元の配列をドット配列として出力する。
【0040】
符号配列生成部683は、ドット配列上で、符号ブロック内の単位パターンに対応するブロックを検出する。具体的には、単位パターンが配置されるブロックと同じ形状および大きさの枠をドット配列上で動かし、枠内のドット数が均等になる位置で枠を固定する。例えば、図3(a)の単位パターンを用いる場合であれば、3ドット×3ドットに対応する大きさの枠を動かし、枠内に含まれるドット数が2となる位置で枠を固定する。そして、その枠で区切られた各ブロック内のドット位置から定まる符号値を格納した符号配列を生成する。また、この符号配列が生成されると、予め定められた同期符号の符号値を検索することによって、同期符号の位置が特定される。
【0041】
識別情報取得部684は、符号配列から同期符号の位置を基準にして識別符号を検出する。そして、画像生成時にRS符号化処理で用いたパラメータを用いて識別符号を復号し、識別情報を取得する。
位置情報取得部685は、符号配列から同期符号の位置を基準にして位置符号を検出する。そして、位置符号からM系列の部分系列を取り出し、画像生成時に使用したM系列におけるこの部分系列の位置を参照し、この位置を同期符号によるオフセットで補正した値を位置情報として取得する。なお、オフセットで補正するのは、位置符号の間に同期符号が配置されているためである。
【0042】
筆跡情報生成部686は、位置情報取得部685が取得した位置情報を連結して筆跡情報を生成する。ここで、筆跡情報には、少なくともデジタルペン60のペン先の軌跡を電子化したデータが含まれるが、これ以外の情報を含んでもよい。ペン先の軌跡以外の情報としては、例えば、筆記した時にペンに設定されていた色の情報や、筆圧の情報等がある。
送信部689は、識別情報取得部684が取得した識別情報と、位置情報取得部685が取得した位置情報と、筆跡情報生成部686が生成した筆跡情報とを通信回路647に渡すことで、通信装置70への情報送信を実現する。
【0043】
デジタルペン60では、まず、赤外LED644が媒体に対して赤外光を照射し、赤外CMOS645がその反射光を受光することにより、符号画像を読み取る。そして、画像取得部681がこの読み取った符号画像を取得する。その際に、符号画像にノイズが含まれていれば、これを除去する。次に、ドット配列生成部682が、符号画像に含まれるドット位置をデジタルデータ化し、ドット配列を生成する。そして、符号配列生成部683が、ドット配列からブロックを検出し、ブロックごとの符号値を格納した符号配列を生成する。そして、符号配列において、同期符号の位置を特定する。その後、識別情報取得部684が、同期符号の位置に基づいて識別符号を検出し、これを復号して識別情報を取得する。また、位置情報取得部685が、同期符号の位置に基づいて位置符号を検出し、これを復号して位置情報を取得する。そして、筆跡情報生成部686が、位置情報を連結して筆跡情報を生成する。そして、送信部689が、これらの情報を通信装置70および端末装置50を介して識別情報サーバ30へ送信する。
【0044】
続いて、本実施の形態の筆跡情報管理システムにて電子文書に関して行われる各種処理について説明する。
[印刷文書の生成処理]
図7は、筆跡情報管理システムにて印刷文書が生成される際の動作の一例を示したシーケンス図である。
まず、ユーザは端末装置10から電子文書の印刷指示を文書サーバ20に送信する(ステップ101)。その際には、端末装置10は、印刷対象となる電子文書と、電子文書の識別情報(文書ID)と、ユーザが指定した印刷設定とを送信する。ここで、印刷設定は、印刷の対象とするページ、印刷部数、媒体である用紙のサイズ、拡大縮小率、Nアップ(電子文書のNページを媒体の1ページに割り付ける印刷)、余白領域の大きさ等の設定を含む。
【0045】
文書サーバ20は、端末装置10から電子文書の印刷指示を受信する(ステップ201)。印刷指示に含まれる印刷対象となる電子文書は、電子文書管理部23に送られ、電子文書管理部23が、電子文書を文書IDと関連付けて文書/筆跡情報記憶部25に登録する(ステップ202)。
また、文書サーバ20は、印刷を指示された電子文書の文書IDと印刷設定とを識別情報サーバ30に送信する(ステップ203)。ここで、文書IDとしては、例えば、URL(Uniform Resource Locator)を用いるとよいが、電子文書を一意に特定することができるものであれば他の情報を用いてもよい。
それにより、識別情報サーバ30は、文書IDと印刷設定とを受信する(ステップ301)。そして、媒体識別情報を管理する識別情報管理部32が識別情報記憶部33から未使用の媒体識別情報を取得する(ステップ302)。ここで、取り出す媒体識別情報の数は、印刷設定に応じて決められる。つまり、基本的には、印刷するページ数に印刷部数を乗じて得られる数の媒体識別情報が取り出される。ただし、印刷設定情報の中に、Nアップ印刷の指定等がある場合は、それも考慮される。例えば、10ページの電子文書を2アップ印刷で5部印刷する場合は、25(=10÷2×5)個の媒体識別情報が取り出される。
次に、識別情報サーバ30は、識別情報と文書IDと印刷設定とを関連付けて識別情報記憶部33に登録する(ステップ303)。そして、識別情報サーバ30は、文書サーバ20に対し、識別情報を送信する(ステップ304)。
【0046】
それにより、文書サーバ20は、識別情報を受信する(ステップ204)。そして、識別情報および位置情報を表す符号画像を生成する(ステップ205)。
すなわち、文書サーバ20では、受信部21が媒体識別情報を受信する。そして、受信部21は、受信した媒体識別情報を識別情報取得部22に受け渡す。すると、まず識別情報取得部22が、取得した媒体識別情報を識別符号生成部27aに渡し、識別符号生成部27aが、上記した方法を用いて媒体の識別情報を符号化し、識別符号を生成する。
また、位置符号生成部27bは、受信部21から印刷設定を受け取り、印刷設定に応じた範囲の位置情報を上記した方法を用いて符号化し、位置符号を生成する。
そして、符号配置部27cが、媒体識別符号と位置符号とを所定のレイアウトに従って配置し、これを符号画像生成部27eが、パターン画像記憶部27dに記憶されたパターン画像を用いて画像化することで符号画像を生成する。
【0047】
その後、文書サーバ20では、文書画像生成部26が、電子文書の文書画像を生成する(ステップ206)。その際に、文書画像生成部26は、ステップ201で識別情報取得部22が取得した文書IDを受け取り、文書IDに基づいて印刷対象となる電子文書を文書/筆跡情報記憶部25から読み出す。また、ステップ201で識別情報取得部22が取得した印刷設定を受け取り、これに基づいて文書画像を生成する。
そして、画像合成部28は、ステップ205で生成された符号画像と、ステップ206で生成された文書画像とを合成し、合成画像を生成する(ステップ207)。
その後、合成画像は送信部29に渡され、送信部29が、合成画像の印刷命令を画像形成装置40に送信する(ステップ208)。ここで、合成画像の印刷命令は、例えば、文書画像の印刷命令の列からなるPDL(Page Description Language)ファイルに対し、符号画像として印刷する内容をPDLコマンドとして設定したPDLの形式で送信される。
【0048】
画像形成装置40は、文書サーバ20から合成画像(電子文書の文書画像および符号画像)を受信する(ステップ401)。そして、画像形成装置40は、文書画像をY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)により画像に展開する(ステップ402)。次に、文書画像はC、M、Yのトナーを用いて、符号画像はK(カーボンを含む黒)のトナーを用いて、それぞれ画像形成を行う(ステップ403)。
【0049】
ところで、上述した例では、識別情報サーバ30は識別情報を発行するだけで、文書サーバ20が、識別情報を含む符号画像を生成し、画像形成装置40に画像形成を指示する構成とした。しかしながら、識別情報サーバ30が、符号画像を生成し、画像形成装置40に画像形成を指示する構成としてもよい。
また、符号画像を画像形成装置40で生成する構成を採用してもよい。その場合には、文書サーバ20または識別情報サーバ30が、電子文書から生成したPDLに識別情報を付加して画像形成装置40へ送信し、画像形成装置40が識別情報を含む符号画像を生成することになる。
【0050】
また、上記の例では、識別情報と文書IDと印刷設定とが関連付けられて構成されたデータベース(識別情報記憶部33)を識別情報サーバ30に置く構成について説明した。これは、かかるデータベースを共有可能な装置(識別情報サーバ30)に置くことで、複数ユーザへの対応や、サーバのアクセス制御技術を利用した電子文書のセキュリティ確保が可能となるからである。しかしながら、必ずしもこのような構成を採用する必要はなく、端末装置10や文書サーバ20に上記のデータベースを置く構成を採用してもよい。
【0051】
また、上記した画像形成装置40では、符号画像をK(カーボンを含む黒)のトナーを用いて形成するようにした。これは、Kのトナーが、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)のトナーよりも赤外光の吸収量が多く、デジタルペン60での符号画像の読み取りが容易となるからである。しかしながら、符号画像は、特殊トナーを用いて形成することも可能である。
ここで、特殊トナーとしては、可視光領域(400nm〜700nm)における最大吸収率が7%以下であり、近赤外領域(800nm〜1000nm)における吸収率が30%以上の不可視トナーが例示される。ここで、「可視」および「不可視」は、目視により認識できるかどうかとは関係しない。印刷文書における画像が可視光領域における特定の波長の吸収に起因する発色性の有無により認識できるかどうかで「可視」と「不可視」とを区別している。また、可視光領域における特定の波長の吸収に起因する発色性が若干あるが人間の目で認識し難いものも、「不可視」に含める。
【0052】
なお、ここでは、電子文書の画像に符号画像を合成して印刷することとしたが、白紙(ノートや付箋等)に符号画像を印刷する構成としてもよい。その場合は、ステップ201で受信する印刷要求に文書IDを含めないようにし、ステップ303で識別情報と文書IDおよび印刷設定との関連付けを行わないようにし、ステップ206における文書画像の生成は実行しないようにすればよい。
【0053】
[筆跡情報の登録処理]
次に、デジタルペン60が筆跡情報を生成して文書サーバ20に登録する際の動作について説明する。
上記したように、デジタルペン60では、識別情報取得部684が識別情報を取得する。また、位置情報取得部685が位置情報を取得する。さらに、筆跡情報生成部686が位置情報を相互に連結して筆跡情報を生成する。そして、送信部689が、識別情報および筆跡情報を通信装置70および端末装置50を介して識別情報サーバ30へ送信する。そして、識別情報サーバ30が筆跡情報を文書サーバ20に登録する。
【0054】
図8は、筆跡情報を登録する際の識別情報サーバ30および文書サーバ20の動作の一例を示したシーケンス図である。
識別情報サーバ30では、まず、受信部31が、デジタルペン60からの識別情報および筆跡情報を受信する(ステップ311)。次に、識別情報および筆跡情報は識別情報管理部32に渡され、識別情報管理部32は、渡された識別情報に関連付けられた文書IDを識別情報記憶部33から取り出す。そして、ステップ311で受信した識別情報および筆跡情報の送信先となる文書サーバ20(文書IDで特定される電子文書が存在する文書サーバ20)を決定する(ステップ312)。なお、識別情報記憶部33において識別情報に文書IDが関連付けられていなければ、その識別情報は白紙(ノートや付箋)に割り当てられたものであると考えられる。その場合は、白紙に対する筆跡情報を管理する文書サーバ20を送信先として決定すればよい。
その後、識別情報および筆跡情報は送信部39に渡され、送信部39が、ステップ312で送信先として決定した文書サーバ20に対し、識別情報および筆跡情報を送信する(ステップ313)。
【0055】
これにより、文書サーバ20では、受信部21が、識別情報および筆跡情報を受信する(ステップ211)。そして、受信部21は、受信した識別情報を筆跡情報管理部24に渡す。すると、筆跡情報管理部24は、識別情報と筆跡情報とを対応付けて文書/筆跡情報記憶部25に記憶する(ステップ212)。
【0056】
ところで、本実施の形態の筆跡情報管理システムでは、文書サーバ20が電子文書や筆跡情報を管理し、識別情報サーバ30が媒体を一意に識別するための識別情報を生成/管理するように構成した。しかしながら、これらの処理を如何なる装置で行うかについては種々のバリエーションが考えられる。例えば、識別情報を生成/管理する処理は、文書サーバ20で行ってもよいし、端末装置50や画像形成装置40で行ってもよい。また、符号画像を画像形成装置40で生成してもよい。
そのため、これらの処理を汎用的な装置としてのコンピュータ90で行うものとして一般化できる。そこで、筆跡情報管理システムを構成する端末装置10、文書サーバ20、識別情報サーバ30、画像形成装置40、端末装置50がコンピュータ90で構成されるものとして、コンピュータ90のハードウェア構成について説明しておく。
【0057】
図9は、コンピュータ90のハードウェア構成を示した図である。
図9に示したように、コンピュータ90は、演算手段であるCPU(Central Processing Unit)91と、記憶手段であるメインメモリ92および磁気ディスク装置(HDD:Hard Disk Drive)93とを備える。ここで、CPU91は、OS(Operating System)やアプリケーション等の各種ソフトウェアを実行し、上述した各機能を実現する。また、メインメモリ92は、各種ソフトウェアやその実行に用いるデータ等を記憶する記憶領域であり、磁気ディスク装置93は、各種ソフトウェアに対する入力データや各種ソフトウェアからの出力データ等を記憶する記憶領域である。
さらに、コンピュータ90は、外部との通信を行うための通信I/F94と、ビデオメモリやディスプレイ等からなる表示機構95と、キーボードやマウス等の入力デバイス96とを備える。
なお、本実施の形態を実現するプログラムは、通信手段により提供することはもちろん、CD−ROM等の記録媒体に格納して提供することも可能である。
【0058】
ところで、本実施形態のようなデジタルペン60では、筆跡情報の取得以外を行うことができればその利便性をより増すことができる。例えば、媒体から符号画像を読み取った場合に、この符号画像に基づく特定の処理を実行することができればその利便性をより増すことができる。より具体的には、例えば、媒体上の所定の領域における符号画像に含まれる識別情報および位置情報に対応付けられた所定の情報へのリンクを行い、この所定の情報を例えば端末装置50にて表示することができれば、その利便性をより増すことができる。なお、この所定の情報へのリンクは、例えば、媒体の識別情報と、媒体の位置情報と、所定の情報へリンクするための参照情報とを予め対応づけておくことで実現することができる。
【0059】
そこで、本実施形態におけるデジタルペン60では、上記筆跡情報を取得する「筆跡情報取得モード」(第1のモードの一例)から、読み取った符号画像に基づいた特定処理の実行を可能とする「特定処理実行モード」(第2のモードの一例)への切り替えを可能としている。
ところで、上記特定処理実行モードへの切り替えは、例えば、ペン本体部640の外周面であってユーザにより把持される把持部に操作ボタンを設け、この操作ボタンに対するユーザの操作により行うことができる。しかしながらこの場合、ユーザの筆記動作を操作ボタンが阻害するおそれがある。また、ユーザが意図していないにも関わらず操作ボタンが押圧されるおそれもある。
このため、ユーザにより把持される箇所以外に、操作ボタンを設けることも考えられる。しかしながら、この場合は、把持位置から操作ボタンの設置位置まで指を移動しなければならず、操作性が低下してしまう。また、媒体上の所定の領域を指示した上での操作ボタンの操作性も低下してしまう。
【0060】
また、操作ボタンの位置に関わらず、ペン本体部640を把持しながらの操作ボタンの操作は不安定な動作になりがちである。この結果、ペン本体部640が意図した位置に定まらず、意図した操作を確実に行えなくなったり、エラーが生じたりする場合がある。
さらに、本実施形態のデジタルペン60のように、ペンチップ642を介して筆圧検知スイッチ643をオンとする場合、ペンチップ642が媒体に接触し、媒体を汚損してしまう懸念がある。
さらには、ペン本体部640側に操作ボタンを設ける場合、ペン本体部640におけるデザイン上の制約が多くなり、ペンらしいデザインを行うことが困難となる場合もある。
また、ペン本体部640側に操作ボタンを設ける場合、ペン本体部640に対する操作のみで筆跡情報取得モードと特定処理実行モードとを切り替えることが可能となる。その一方で、この態様の場合、現在のモードをユーザに認知させにくくなり、例えばユーザが筆跡情報取得モードにて筆記動作を行おうとした場合に、特定処理実行モードに設定されている状態が起こりうる。
【0061】
ここで、図5および図10を参照しながら、本実施形態におけるデジタルペン60について再度説明する。なお、図10は、特定処理実行モードにおいて媒体上の符号画像を読み取る際のデジタルペン60の姿勢を示している。
本実施形態におけるデジタルペン60は、キャップ部610がペン本体部640に装着された際に、キャップ検知スイッチ651が突出部611aによって押圧されオン状態となる。これにより、本実施形態におけるデジタルペン60(ペン本体部640)は、筆跡情報取得モードから特定処理実行モードへと切り替えられる。より具体的には、本実施形態におけるキャップ検知スイッチ651は、媒体から読み取られた符号画像に基づく特定処理の実行を指示する信号を出力する。より詳細には、キャップ検知スイッチ651は、符号画像に含まれる識別情報および位置情報に対応付けられた所定の情報源へのリンクを指示する信号を制御部641に対して出力する。なお、本実施形態では機械的なキャップ検知スイッチ651を用いているが、キャップ部610およびペン本体部640の両者に金属の接点を設け、この接点を用い電気的にキャップ部610の有無を検知することもできる。
【0062】
そして、図10に示すようにデジタルペン60の先端部が媒体に対して押圧されると、スライド部612がペン本体部640側へスライドし、スライド部612はペンチップ642を押圧する。換言すれば、スライド部612は、媒体からの圧力をペンチップ642に伝達する。これにより、赤外LED644から赤外光が媒体に対して照射され、また媒体からの反射光が赤外CMOS645にて受光される。即ち、ペンチップ642に対して圧力が作用した場合に、媒体上の符号画像が読み取られる。そして、識別情報取得部684にて識別情報が取得されるとともに位置情報取得部685にて位置情報が取得される。その後、制御部641は、通信装置70等を介して、識別情報、位置情報、およびリンクを指示する信号を、例えば端末装置50に送信する。そして、取得された識別情報および位置情報が所定の情報と対応付けられている場合には、この所定の情報が例えば端末装置50に表示される。
【0063】
このように本実施形態のデジタルペン60では、ペン本体部640へのキャップ部610の装着により筆跡情報取得モードから特定処理実行モードへと切り替えられる。換言すれば、キャップ部610が装着されていない状態では筆跡情報取得モードとなり、キャップ部610が装着された状態では特定処理実行モードとなる。このため、モードの切り替えをシンプルな操作により実現できると同時に、ユーザに対して現在のモードを認知させやすくなる。この結果、筆跡情報取得モードにて筆記動作を行おうとしたにも関わらず特定処理実行モードに設定されているなどの状態を回避でき、デジタルペン60の操作性を向上させることができる。
【0064】
さらに、本実施形態では、ペン本体部640の筐体652の外周面には、ユーザの指により直接操作が可能な操作ボタンが設けられていない。このため、筆跡情報取得モードにおけるユーザの筆記動作を操作ボタンが阻害することがない。また、意図していないにも関わらず操作ボタンが押圧されることも防止される。なお、デジタルペン60には、キャップ検知スイッチ651が設けられているが、このキャップ検知スイッチ651は、デジタルペン60における筐体652の外表面よりも内側に位置しており、ユーザによる直接の操作ができない位置に配置されている。
【0065】
さらに、ペン本体部640を把持しながらの操作ボタンの操作は、上記のとおり不安定なものになりがちであり、ペン本体部640が意図した位置に定まらない場合もある。一方で、本実施形態では、媒体に対してスライド部612を押し付けることにより筆圧検知スイッチ643をオンとする構成を採用している。このため、意図した位置にペン本体部640(デジタルペン60)を位置させることができる。
さらには、本実施形態にて筆圧検知スイッチ643をオンとする場合、媒体とペンチップ642との間にスライド部612が介在する状態となる。このため、媒体の汚損も防止される。また、ペン本体部640には、外部に露出した状態の操作ボタンが存在しないため、ペン本体部640のデザインの自由度を増すことができ、よりペンらしいデザインが可能となる。
【0066】
ここで、本実施形態におけるデジタルペン60の動作状態について詳細に説明する。
図11は、デジタルペン60の動作状態を説明するための図である。なお、同図(a)は、デジタルペン60のモード表であり、同図(b)はデジタルペン60の状態遷移図を示している。なお、本図および図12、図13(後述)では、キャップ検知スイッチ651を「SW1」と、筆圧検知スイッチ643を「SW2」と表示している。また、本図および図12、図13(後述)の説明では、キャップ検知スイッチ651を「SW1」と、筆圧検知スイッチ643を「SW2」と称する場合がある。
【0067】
まず、同図(b)の(1)に示すように、キャップ部610がペン本体部640に装着されていない状態にて(SW1:Off)、ペンチップ642が媒体に対して押し付けられ、筆圧検知スイッチ643がオフ状態からオン状態とされると、給電部641cから赤外LED644、赤外CMOS645等に対する給電が行われ、給電が停止され停止状態にあったデジタルペン60は筆跡情報取得モードにて動作するようになる。また、(2)に示すように、ペンチップ642の媒体への押し付けが解除され(筆記動作が停止され)、筆圧検知スイッチ643がオン状態からオフ状態へと切り替えられると、筆跡情報取得モードにて動作していたデジタルペン60は停止状態へと移行する。これにより、デジタルペン60の各部への給電は停止される。
【0068】
また、(3)に示すように、キャップ部610がペン本体部640に装着された状態にて(SW1:On)、スライド部612が媒体に対して押し付けられ、ペンチップ642を介して筆圧検知スイッチ643がオフ状態からオン状態とされると、停止状態にあったデジタルペン60は特定処理実行モードにて動作するようになる。
さらに、(4)に示すように、キャップ部610がペン本体部640に装着された状態にて(SW1:On)、スライド部612の媒体に対する押し付けが解除され筆圧検知スイッチ643がオン状態からオフ状態とされると、特定処理実行モードにて動作していたデジタルペン60は停止状態へと移行する。
【0069】
ところで、(5)に示すようなモードの移行(筆跡情報取得モードから特定処理実行モードへのモードの移行)は現実的にはあり得ない。また、同様に、(6)に示すようなモードの移行(特定処理実行モードから筆跡情報取得モードへのモードの移行)も現実的にはあり得ない。付言すれば、圧力検知部の一例としての筆圧検知スイッチ643がオン状態のまま、着脱検知部として機能するキャップ検知スイッチ651がオフ状態からオン状態となったり、オン状態からオフ状態となったりすることは現実的にはあり得ない。
なぜなら、特定処理実行モードへ移行する際には、キャップ部610がペン本体部640に装着されることとなり、この際、筆圧検知スイッチ643は必ずオフ状態となるためである。また、筆跡情報取得モードへ移行する際には、キャップ部610がペン本体部640から外されることとなり、この際、筆圧検知スイッチ643は必ずオフ状態となるためである。
【0070】
このため、上記(5)、(6)に示したような、筆圧検知スイッチ643およびキャップ検知スイッチ651のオン、オフ状態が発生した場合、これらを利用してデジタルペン60の故障を検知することができる。例えば、警告情報出力部として機能する制御部641(図5参照)は、上記(5)のように、筆圧検知スイッチ643がオン状態のままキャップ検知スイッチ651がオン状態となった場合、故障が発生したと判断し、例えば、表示用LED650(図5参照)に対して警告情報出力する。これにより、表示用LED650にて警告表示を行うことができる。また、同様に、制御部641は、上記(6)のように、筆圧検知スイッチ643がオン状態のままキャップ検知スイッチ651がオフ状態となった場合、故障が発生したと判断し、例えば、表示用LED650を用いて警告表示を行うことができる。
【0071】
ところで、ユーザによる筆記動作に伴い、筆圧検知スイッチ643がオフとなる状態は頻繁に発生するが、図11に示したシステムでは、筆圧検知スイッチ643がオフ状態となる度に給電が停止されてしまう。換言すれば、筆圧検知スイッチ643がオフ状態となる度に、システムダウンが生じてしまう。そして、このような場合、給電が再開されシステム復帰するまでの間になされたユーザの筆記に関し、筆跡情報を取得できなくなってしまう。そこで、筆圧検知スイッチ643がオフ状態となった場合(ペンチップ642に対して圧力が作用していない場合)にも、赤外LED644、赤外CMOS645等の各部に対して給電を行う待機状態を設けることが好ましい。
【0072】
ここで、図12は、待機状態を説明するための図である。
同図(b)の(21)に示すように、本システムでは、ペン本体部640からキャップ部610が外されキャップ検知スイッチ651がオフ状態とされると、各部への給電が開始されデジタルペン60は待機状態となる。
そして、(22)に示すように、ペンチップ642が媒体に対して押し付けられ、筆圧検知スイッチ643がオフ状態からオン状態とされると、デジタルペン60は筆跡情報取得モードにて動作するようになる。
また、(23)に示すように、ペンチップ642の媒体への押し付けが解除され、筆圧検知スイッチ643がオン状態からオフ状態へと切り替えられると、待機状態へと移行する。
そして、(24)に示すように、ペン本体部640にキャップ部610が装着されると、各部への給電が停止される停止状態へと移行する。
また、(25)に示すように、待機状態が0〜数百秒(所定時間)継続した場合には、各部への給電を停止し停止状態へと移行する。
【0073】
なお、(26)に示すように、ペン本体部640からキャップ部610が外された後すぐに筆記動作がなされ、筆圧検知スイッチ643がオン状態となる場合がある。換言すればシステム復帰がなされていない状態にて、筆記動作がなされ筆圧検知スイッチ643がオン状態となる場合がある。付言すれば、ペン本体部640からキャップ部610が外され赤外CMOS645による符号画像の読み取りが可能となる前に、筆圧検知スイッチ643にてペンチップ642に加わる圧力が検知される場合がある。
そして、この場合は、上記のとおり筆跡情報を取得できなくなってしまう。そこで、システム復帰がなされていない状態にて筆圧検知スイッチ643がオン状態となった場合には、警告手段の一例としての表示用LED650にて警告表示を行い、ユーザに筆跡情報を取得できない旨を通知することが好ましい。なお、警告表示は、ペン本体部640の内部に、振動を発生可能なモータ等の駆動源を設けておき、バイブレーションによって通知することも可能である。
なお、(27)〜(30)については、図11における(3)〜(6)と同様であるため、説明を省略する。
【0074】
ここで、本実施形態におけるデジタルペン60では、i)筆記動作を行った後、ii)キャップ部610をペン本体部640に装着することで特定処理実行モードとし所定の情報へのリンクを行い、iii)その後、キャップ部610をペン本体部640から外し筆記動作を再度行うことが想定される。即ち、筆記動作を一時中断し、キャップ部610をペン本体部640に装着し所定の情報へのリンクを行うことが想定される。
【0075】
ところで、図12に示したシステムでは、(24)に示したように、キャップ部610をペン本体部640に装着すると停止状態へと移行してしまう。この結果、特定処理実行モードにて動作を開始する際のシステム復帰に時間を要するようになってしまう。
また、(28)に示したように、媒体へのスライド部612の押圧が解除され、筆圧検知スイッチ643がオフ状態とされた場合も停止状態へと移行してしまう。この結果、再度筆記動作を行う際のシステム復帰に時間を要するようになってしまう。
【0076】
このため、キャップ部610をペン本体部640に装着した場合にも各部に対して給電を行う待機状態としておくことが好ましい。換言すれば、ペン本体部640に対するキャップ部610の装着により特定処理実行モードへと切り替えられた場合にも赤外LED644、赤外CMOS645等の各部に対し給電を継続して行う待機状態を設けておくことが好ましい。また、媒体へのスライド部612の押圧が解除され、筆圧検知スイッチ643がオフ状態とされた場合にも各部への給電を行う待機状態を設けておくことが好ましい。
【0077】
ここで、図13は、待機状態を説明するための図である。
本図に示すシステムでは、まず、同図(b)の(41)に示すように、キャップ部610がペン本体部640から外されキャップ検知スイッチ651がオフ状態とされると、停止状態から第1の待機状態へと移行する。そして、(42)に示すように、筆圧検知スイッチ643がオン状態とされることで筆跡情報取得モードにて動作がなされ、(43)に示すように、筆圧検知スイッチ643がオフ状態とされることで再び第1の待機状態となる。
そして、(45)に示すように、第1の待機状態にてペン本体部640にキャップ部610が装着されると、キャップ検知スイッチ651がオン状態とされ第2の待機状態へと移行する。なお、第1の待機状態が0〜数百秒継続した場合には、(44)に示すように、各部への給電を停止し停止状態へと移行する。
【0078】
その後、例えば、(48)に示すように、第2の待機状態にて筆圧検知スイッチ643がオン状態とされると、デジタルペン60は、特定処理実行モードにて動作するようになる。そして、筆圧検知スイッチ643がオフ状態とされると、(49)に示すように、第2の待機状態へと移行する。その後、キャップ部610がペン本体部640から外されると、(46)に示すように、キャップ検知スイッチ651がオフ状態となり第1の待機状態へと移行する。なお、第2の待機状態が0〜数百秒継続した場合は、(50)に示すように、停止状態へと移行する。
なお、(47)、(51)、(52)、(53)については、図11における(1)、(3)、(5)、(6)と同様であるため、説明を省略する。
【0079】
ここで、図14は、キャップ部610の変形例を示した図である。
本実施形態におけるキャップ部610は、同図(a)に示すように、例えば、スライド部612に傾斜面612dを設けることができる。ここで、傾斜面612dについて詳細に説明すると、この傾斜面612dは、スライド部612の先端に設けられる。また、傾斜面612dは、キャップ本体部611の軸方向に対して傾斜して配置されている。さらに説明すれば、傾斜面612dは、キャップ本体部611の挿入口(ペン本体部640が挿入される挿入口)に近い側に一端が位置し、挿入口から離れた側に他端が位置するように傾斜して形成されている。
【0080】
本態様の場合、媒体に対してキャップ部610を押し付けた際、傾斜面612dによって、デジタルペン60は媒体に対して傾斜するように配置される。この結果、デジタルペン60を操作する際のデジタルペン60の姿勢を、通常のペンと同様の姿勢とすることができる。この結果、デジタルペン60の操作性を向上させることができる。また、傾斜面612dによって、デジタルペン60を所定の姿勢に規定できるため、媒体上の符号画像の読み取りをより精度良く行うことが可能となる。さらには、デジタルペン60と媒体との接触面積が増加するため、デジタルペン60の姿勢を安定化させることができる。
【0081】
また、本実施形態におけるキャップ部610におけるスライド部612は、同図(b)に示すように、キャップ本体部611の先端部の一部を構成するように設けることもできる。より具体的には、キャップ本体部611の先端部の一部に切り欠きを設け、この切り欠き内にスライド部612を設けることもできる。
【0082】
さらに、ペン本体部640の内部に、ジャイロセンサなどのデジタルペン60の姿勢を検知する姿勢検知部の一例として検知センサ(不図示)を設け、この検知センサの検知結果に応じて異なる処理を実行することもできる。
ここで、図15は、デジタルペン60の姿勢を示したものである。例えば、同図(a)に示すように、キャップ部610側が下方に位置している状態にて、スライド部612が押圧された場合には、特定処理実行モードにおける上記処理を実行することができる。
その一方で、同図(b)に示すように、キャップ部610が上方に位置している場合には、スライド部612の押圧を条件として、例えば情報メモリ646に記憶されている識別情報や位置情報などを端末装置50に送信するモードなど、特定処理実行モード以外のモード(第3のモード)とすることができる。
【0083】
また、スライド部612が押圧された場合、基本的には、識別情報取得部684にて識別情報が取得され位置情報取得部685にて位置情報が取得されるが、その一方で、スライド部612が押圧されたにも関わらず、符号画像の読み取りができない場合がある。
そこで、このような場合には、上記と同様に、情報メモリ646に記憶されている識別情報や位置情報などを端末装置50に送信するなど、符号画像の読み取り以外の他の処理を実行することができる。例えば、同図(b)に示す状態では、スライド部612の押圧によって筆圧検知スイッチ643がオンとなり符号画像の読み取りが試みられるが、当然ながら符号画像の読み取りはできない。このような場合、情報メモリ646に記憶されている識別情報や位置情報などを端末装置50に送信するなど、符号画像の読み取り以外の他の処理を実行することができる。
【0084】
―第2の実施形態、第3の実施形態―
ここで、図16は、第2の実施形態および第3の実施形態を示した図である。詳細には、同図(a)が第2の実施形態におけるデジタルペン60を示し、同図(b)が第3の実施形態におけるデジタルペン60を示している。
【0085】
まず同図(a)を参照し第2の実施形態について説明する。上記第1の実施形態では、筆跡情報取得モードから特定処理実行モードへの切り替えを、ペン本体部640に対するキャップ部610の装着により行ったが、本実施形態では、この切り替えをキャップ部610に設けられた操作ボタン611dに対するユーザの押圧により行うこととしている。このため、本実施形態におけるキャップ検知スイッチ651は、上記リンクを指示する信号の出力は行わず、キャップ部610の有無の検知結果のみを出力している。なお、第1の実施形態と同様に、キャップ検知スイッチ651からリンクを指示する信号を出力させる構成とすることもできる。
【0086】
より詳細に説明すると、第2の実施形態におけるキャップ部610では、キャップ本体部611の挿入口側の端部に、キャップ本体部611の外周面側から内周面側に向かって貫通配設された貫通孔611cが設けられている。そして、この貫通孔611cには、操作ボタン611dが配置されている。
【0087】
操作受付部として機能する操作ボタン611dは、キャップ本体部611の外周面から突出して設けられている。また、この操作ボタン611dは、キャップ本体部611の外周面から離れる方向に付勢されて配置されている。なお、キャップ部610には、操作ボタン611dのキャップ本体部611からの離脱を防止する防止部(不図示)が形成されている。
一方、ペン本体部640には、筐体652の外周面から内方に向かう凹部653が形成されている。なお、この凹部653は、キャップ部610がペン本体部640に装着された際、上記貫通孔611cと対向する位置に配置される。また、ペン本体部640は、凹部653よりも内方側に操作検知部として機能する操作検知スイッチ654を備える。この操作検知スイッチ654は、凹部653よりも内方側に配置される結果、キャップ検知スイッチ651と同様に、ユーザの指による直接の押圧ができないようになっている。
【0088】
ここで、キャップ検知スイッチ651がオン状態の場合において、操作ボタン611dがユーザにより押圧され、操作検知スイッチ654がオン状態とされると、筆跡情報取得モードから特定処理実行モードへと切り替えられるとともに、赤外LED644から赤外光が媒体に対して照射され、また媒体からの反射光が赤外CMOS645にて受光される。そして、識別情報取得部684にて識別情報が取得されるとともに、位置情報取得部685にて位置情報が取得される。その後、第1の実施形態と同様に、制御部641は、通信装置70等を介して、識別情報、位置情報、およびリンクを指示する信号を、例えば端末装置50に送信する。そして、取得された識別情報および位置情報が所定の情報と対応付けられている場合には、この所定の情報が例えば端末装置50に表示される。
【0089】
本実施形態におけるデジタルペン60では、ユーザがデジタルペン60の把持を行う把持部に操作ボタン611dが位置する。このため、把持部以外に操作ボタン611dが設けられた場合のように操作ボタン611dの設置位置まで指を移動する必要がなくなり、その操作性を向上させることができる。なお、本実施形態では把持部に操作ボタン611dが設けられているが、キャップ部610が装着された状態では筆記動作自体が行われないため、操作ボタン611dがユーザの筆記動作を阻害することはない。さらに、本実施形態においてもペンチップ642は媒体に接触しないため、媒体の汚損が防止される。
また、ペン本体部640に操作ボタン611dが設けられる構成ではないため、ペン本体部640におけるデザインの自由度を向上させることができる。さらに、本実施形態においても、モードの切り替えをシンプルな操作により実現できると同時に、ユーザに対して現在のモードを認知させやすくなる。
【0090】
次に、図16(b)を用いて第3の実施形態について説明する。ここで、第3の実施形態では、クリップ片613に対するユーザの操作(押圧)により、筆跡情報取得モードから特定処理実行モードへの切り替えを行うこととしている。
【0091】
詳細に説明すると、キャップ本体部611の外周面に対向配置されたクリップ片613の内面側には、キャップ本体部611側に向かって突出した突起611eが設けられている。なお、この突起611eは、キャップ本体部611に設けられた貫通孔611cの対向位置に配置される。
ここで、クリップ片613がユーザにより押圧されると、突起611eが操作検知スイッチ654を押圧する。これにより操作検知スイッチ654はオン状態とされ、筆跡情報取得モードから特定処理実行モードへと切り替えられるとともに、赤外LED644から赤外光が媒体に対して照射され、また媒体からの反射光が赤外CMOS645にて受光される。その後、第2の実施形態と同様に、制御部641は、通信装置70等を介して、識別情報、位置情報、およびリンクを指示する信号を、例えば端末装置50に送信する。そして、取得された識別情報および位置情報が所定の情報と対応付けられている場合には、この所定の情報が例えば端末装置50に表示される。
【0092】
本実施形態においても、把持部以外に操作ボタンが設けられた場合のように指を移動する必要がなくなり、その操作性を向上させることができる。さらに、媒体上の符号画像を読み取る際、本実施形態においてもペンチップ642が媒体に接触しないため、媒体の汚損が防止される。また、ペン本体部640に操作ボタンが設けられる構成ではないため、ペン本体部640におけるデザインの自由度を向上させることができる。さらに、本実施形態においても、モードの切り替えをシンプルな操作により実現できると同時に、ユーザに対して現在のモードを認知させやすくなる。
【0093】
―第4の実施形態―
ここで、図17は、第4の実施形態におけるデジタルペン60を示したものである。上記第2の実施形態および第3の実施形態においては、機械的に操作検知スイッチ654をオンとする構成であったが、次のような構成を採用することもできる。例えば、同図に示すように、キャップ本体部611の外周面に、ユーザからの操作(押圧)を受け付けるとともに、操作を受け付けた際に所定の信号を発信する発信部611f(操作受付部の他の一例)を設けることができる。また、ペン本体部640の内部に、発信部611fからの信号を無線通信により受信する受信部655(操作検知部の他の一例)を設けることができる。
【0094】
そして、発信部611fからの信号を受信部655にて受信した場合に、筆跡情報取得モードから特定処理実行モードへと切り替えるとともに、媒体に対し赤外LED644から赤外光を照射し、また、赤外CMOS645にて媒体からの反射光を受光することができる。これにより、上記同様、識別情報取得部684にて識別情報が取得されるとともに、位置情報取得部685にて位置情報が取得される。そして、取得された識別情報および位置情報が所定の情報と対応付けられている場合には、この所定の情報が例えば端末装置50に表示される。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】第1の実施形態の筆跡情報管理システムの構成の一例を示した図である。
【図2】文書サーバの機能構成の一例を示したブロック図である。
【図3】符号画像を構成する画像等の一例を示した図である。
【図4】識別情報サーバの機能構成の一例を示したブロック図である。
【図5】デジタルペンを説明する図である。
【図6】制御部の機能構成の一例を示したブロック図である。
【図7】筆跡情報管理システムにて印刷文書が生成される際の動作の一例を示したシーケンス図である。
【図8】筆跡情報を登録する際の識別情報サーバおよび文書サーバの動作の一例を示したシーケンス図である。
【図9】コンピュータのハードウェア構成を示した図である。
【図10】特定処理実行モードにおいて媒体上の符号画像を読み取る際のデジタルペンの姿勢を示している。
【図11】デジタルペンの動作状態を説明するための図である。
【図12】待機状態を説明するための図である。
【図13】待機状態を説明するための図である。
【図14】キャップ部の変形例を示した図である。
【図15】デジタルペンの姿勢を示したものである。
【図16】第2の実施形態および第3の実施形態を示した図である。
【図17】第4の実施形態におけるデジタルペンを示したものである。
【符号の説明】
【0096】
60…デジタルペン、610…キャップ部、611…キャップ本体部、611d…操作ボタン、612…スライド部、612d…傾斜面、613…クリップ片、640…ペン本体部、641…制御部、641c…給電部、642…ペンチップ、643…筆圧検知スイッチ、645…赤外CMOS、650…表示用LED、651…キャップ検知スイッチ、654…操作検知スイッチ、655…受信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体への筆記を可能とする筆記部と、当該媒体上の符号画像を読み取る読み取り手段とを備え、複数のモードによって動作する筆記具本体部と、
前記筆記具本体部におけるモードの切り替えに際しユーザからの操作を受け付ける操作受付部を備え、当該筆記具本体部に装着されるキャップと、
を含む電子筆記具。
【請求項2】
前記キャップは、前記筆記具本体部に装着された場合にも前記読み取り手段による前記符号画像の読み取りが可能なように構成されていることを特徴とする請求項1記載の電子筆記具。
【請求項3】
前記操作受付部は、前記キャップが前記筆記具本体部に装着された状態にてユーザが前記電子筆記具を把持する際にユーザが把持する把持部に位置するように配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子筆記具。
【請求項4】
前記操作受付部は、前記筆記具本体部が挿入されるキャップ本体部の外周面に対向配置されるクリップ片により構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電子筆記具。
【請求項5】
前記筆記具本体部は、前記操作受付部に対するユーザの操作を検知する操作検知部を備え、当該操作検知部は、ユーザによる直接の操作ができない位置に配置されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電子筆記具。
【請求項6】
前記筆記具本体部は、前記操作受付部に対するユーザの操作を検知する操作検知部を内部に備え、当該操作検知部は、当該操作受付部との無線通信により当該ユーザの操作を検知することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電子筆記具。
【請求項7】
媒体への筆記を可能とする筆記部と、当該媒体上の符号画像を読み取る読み取り手段と、を有する筆記具本体部と、
前記筆記具本体部に対して着脱自在に設けられ、当該筆記具本体部に装着された場合にも前記読み取り手段による前記符号画像の読み取りを可能とするキャップと、
を備え、
前記筆記具本体部は、前記キャップが装着された場合に、前記読み取り手段が読み取る符号画像に基づく所定の処理が実行される第1のモードから、当該読み取り手段が読み取る符号画像に基づく他の処理を実行可能とする第2のモードへと切り替えられることを特徴とする電子筆記具。
【請求項8】
前記読み取り手段は、前記筆記部に対して圧力が作用した場合に前記媒体上の符号画像の読み取りを行い、
前記キャップは、前記筆記具本体部に装着された状態にて前記媒体に対して押圧された場合に、当該媒体からの圧力を前記筆記部に伝達する伝達部材を備えることを特徴とする請求項7記載の電子筆記具。
【請求項9】
前記伝達部材は、キャップ本体部の軸方向に対して傾斜した傾斜面を先端部に有していることを特徴とする請求項8記載の電子筆記具。
【請求項10】
前記筆記具本体部の姿勢を検知する姿勢検知部を更に備え、
前記筆記具本体部は、前記第2のモードにおいて前記姿勢検知部にて当該筆記具本体部の所定の姿勢が検知された場合に、当該第2のモードから第3のモードへと切り替えられることを特徴とする請求項7乃至9のいずれかに記載の電子筆記具。
【請求項11】
前記読み取り手段は、前記筆記部に対して圧力が作用した場合に前記媒体上の符号画像の読み取りを行い、
前記筆記部に対して前記圧力が作用していない場合にも前記読み取り手段に対して給電を行う給電手段を更に備えることを特徴とする請求項7乃至10のいずれかに記載の電子筆記具。
【請求項12】
前記給電手段は、前記キャップの装着により前記筆記具本体部が前記第1のモードから前記第2のモードへと切り替えられた場合にも前記読み取り手段に対して前記給電を継続して行うことを特徴とする請求項11記載の電子筆記具。
【請求項13】
前記筆記部に作用する媒体からの圧力を検知する圧力検知部を更に備え、
前記読み取り手段は、前記圧力検知部にて前記圧力が検知された場合に前記符号画像の読み取りを行い、
前記筆記具本体部から前記キャップが外された場合に前記読み取り手段への給電を開始する給電手段と、
前記筆記具本体部から前記キャップが外され前記読み取り手段による前記符号画像の読み取りが可能となる前に、前記圧力検知部にて前記圧力が検知された場合に警告を行う警告手段と、を更に備えることを特徴とする請求項7乃至10のいずれかに記載の電子筆記具。
【請求項14】
前記筆記具本体部は、当該筆記具本体部に対する前記キャップの装着又は取り外しを検知する着脱検知部と、前記筆記部に作用する圧力を検知する圧力検知部と、当該圧力検知部にて当該圧力が検知されている状態で当該着脱検知部にて当該キャップの装着または取り外しが検知された場合に警告情報を出力する警告情報出力部と、を更に備えることを特徴とする請求項7乃至13のいずれかに記載の電子筆記具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−211552(P2009−211552A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−55419(P2008−55419)
【出願日】平成20年3月5日(2008.3.5)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】