説明

電子管楽器

【課題】 フルートなど横笛に類する形態を有し、演奏者の下唇など身体の個人差に関わり無く、横笛の固有の演奏形態に応じた適切な音高の楽音を発生する。
【解決手段】 CPU21は、キースイッチ31、32の各々の操作状態を示すキースイッチパターンに基づいて、発音すべき楽音の基本音高情報を特定する。また、周波数特性取得部25は、電子管楽器10の中空の本体に内部に配置されたマイク34により取得された音信号の周波数特性を取得する。CPU21は、周波数特性取得部25において取得された周波数特性に基づいて、キースイッチパターンに基づく基本音高情報より所定量(たとえば1オクターブ)高い音高の楽音を発生させるべく、音源部27を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フルートなどを含む横笛に類する形態をとる電子管楽器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、サックスやクラリネットに類する形態をとる電子管楽器が提案されている。たとえば、特許文献1には、通常の管楽器としても、電子管楽器としても使用可能な楽器が開示されている。特許文献1に開示された電子管楽器は、マウスピースに、光学式のタンギングセンサ、感圧センサであるリップセンサおよびブレス圧を検出するウィンドセンサ(ブレスセンサ)とが設けられている。タンギングセンサは、演奏者の舌が接近したことを検知する。リップセンサは、演奏者の唇がリード部を押さえつけたときの圧力を検知する。また、ウィンドセンサは、演奏者がマウスピース内部に吹き付けた息の圧力(息圧)を検知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−15551号公報
【特許文献2】特開2007−171477号公報
【特許文献3】特開2007−193100号公報
【特許文献4】特開2009−3077号公報
【特許文献5】特開2009−3112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
横笛の形態を有する管楽器では、複数のキーのパターンが同一であっても異なる音高の楽音を発することができる。電子管楽器において、上記音高の異なる楽音の発生のためにいくつかの提案がなされている。特許文献2、3では、マウスピースにおいて、演奏者の下唇と接触させる部材を有するリッププレートにセンサを設け、センサによる下唇の接触圧を検出して、音高を変化させる電子管楽器が提案されている。また、特許文献4、5では、演奏者の下あごの動作を検出して、音高を変化させる電子管楽器が提案されている。
【0005】
特許文献2、3に記載されたように、リッププレートのセンサにより下唇の接触圧を検出することは、演奏者がフルートのような管楽器に強く下唇を押し当てて、マウスピースの孔部(吹き込み口)の上側に息を吹き当てて、音高の1オクターブアップを行なうことを検出する試みである。しかしながら、唇の形は個人差があり、上記センサの感度などを演奏者ごとに調整する必要があった。また、実際の演奏の際には、演奏者の上体の揺れや楽器をもつ手の揺れなどがあり、接触圧の検出が困難になる場合もあるという問題点があった。同様に、特許文献4、5に提案された下あごの動作の検出についても、演奏者ごとの下あごの形状に合致するように装置を調整する必要があった。
【0006】
本発明は、フルートなど横笛に類する形態を有し、演奏者の下唇など身体の個人差に関わり無く、横笛の固有の演奏形態に応じた適切な音高の楽音を発生することが可能な電子管楽器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的は、
長手方向に延びる本体と、
前記本体の中空となっている一端に設けられたマウスピースであって、中空の内部と連通する孔部が設けられたマウスピースと、
前記本体に設けられ、オン状態およびオフ状態の何れかの状態をとる複数の演奏操作子と、
前記本体の中空の内部に配置された、前記孔部から吹き込まれた息による音信号を取得する音信号取得手段と、
所定の音高の楽音の発音を発生する楽音発生手段に対して、前記複数の演奏操作子の操作状態に基づいて発音すべき楽音の基準音高を特定して、特定された基準音高の楽音を発音するように指示を与える制御手段と、
前記音信号取得手段により取得された音信号の周波数特性を取得する周波数特性取得手段を備え、
前記制御手段が、前記周波数特性に基づいて、演奏操作子の操作状態に基づいた基準音高より所定量だけ高い音高の楽音を発生するように、前記楽音発生手段に指示を与えるように構成されたことを特徴とする電子管楽器により達成される。
【0008】
好ましい実施態様においては、前記制御手段が、前記周波数特性において、所定の第1の周波数帯域における第1の信号レベルが、前記第1の周波数帯域より低域側の、所定の第2の周波数帯域における第2の信号レベルより、所定の比率以上大きい場合に、前記基準音高より所定量だけ高い音高の楽音を発生するように、前記楽音発生手段に指示を与える。
【0009】
また、好ましい実施態様においては、前記制御手段が、前記音信号手段により取得された音信号の信号レベルにしたがって、前記楽音の音量を制御する。
【0010】
より好ましい実施態様においては、前記制御手段が、前記第1の信号レベルおよび前記第2の信号レベルに基づいて、第3の信号レベルを生成し、前記第3の信号レベルにしたがって、前記音量を制御する。
【0011】
別の好ましい実施態様においては、前記制御手段が、前記複数の演奏操作子の操作状態に基づく基準音高が、所定の範囲内であるときに、前記周波数特性に基づく音高の判断を行なう。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、フルートなど横笛に類する形態を有し、演奏者の下唇など身体の個人差に関わり無く、横笛の固有の演奏形態に応じた適切な音高の楽音を発生することが可能な電子管楽器を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明の実施の形態にかかる電子管楽器の外観を示す図である。
【図2】図2は、本実施の形態にかかる電子管楽器のハードウェア構成を示すブロックダイヤグラムである。
【図3】図3は、本実施の形態にかかる電子管楽器のヘッドジョイントの略縦断面図である。
【図4】図4は、本実施の形態にかかる電子管楽器の内部構成を示すブロックダイヤグラムである。
【図5】図5は、本実施の形態にかかる電子管楽器において実行される処理の例を示すフローチャートである。
【図6】図6は、本実施の形態にかかるスイッチ処理の例を示すフローチャートである。
【図7】図7は、フルートおよびピッコロの運指を示す図である。
【図8】図8は、フルートおよびピッコロの運指を示す図である。
【図9】図9(a)、(b)は、フルートの管内部に吹き込まれた息による音信号の周波数特性を示す図である。
【図10】図10は、本実施の形態にかかる周波数特性取得部の例を示すブロックダイヤグラムである。
【図11】図11は、本実施の形態にかかる発音処理の例を示すフローチャートである。
【図12】図12は、本実施の形態にかかる発音処理の例を示すフローチャートである。
【図13】。図13(a)は、本発明の第2の実施の形態にかかる周波数特性取得部の例を示すブロックダイヤグラム、図13(b)は、帯域通過フィルタの例を示す図である。
【図14】図14は、第3の実施の形態にかかる電子管楽器のヘッドジョイントの略横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明の実施の形態にかかる電子管楽器の外観を示す図である。図1に示すように、本実施の形態にかかる電子管楽器10は、フルートに類する形態を有しており、中空のヘッドジョイント11、ミドルジョイント12およびフットジョイント13を有する。ヘッドジョイント11の中央部にはリッププレートないしマウスピース(歌口)14が設けられる。本明細書では、これを「マウスピース」と称する。マウスピース14には、中空の内部に貫通した孔部16が設けられている。孔部16と連通したヘッドジョイント11の内部にはマイク34(図1では図示せず)が配置されている。
【0015】
演奏者は、マウスピース14に唇を接触させ、孔部16から内部に息を吹き込むことができる。ミドルジョイント12およびフットジョイント13には、複数のキースイッチ部24が設けられ、演奏者は、右手および左手を用いて、これらキースイッチ部24を構成するキースイッチ(たとえば、符号31、32参照)のそれぞれのオン・オフを行なうことができる。
【0016】
アコースティック楽器のフルートは、キーのオン・オフにより、実際に、ミドルジョイント或いはフットジョイントに設けられた孔を塞ぎ、或いは、開放して、これにより発生する楽音の音高を調整している。本実施の形態にかかる電子管楽器10においては、キースイッチのオン・オフ状態のパターンであるキースイッチパターンを検出して、キースイッチパターンに基づいてCPU21により音高が決定され、その音高の楽音の楽音データが音源部27において生成される。したがって、キースイッチは、単にオン・オフが検出できれば足りる。
【0017】
図2は、本実施の形態にかかる電子管楽器のハードウェア構成を示すブロックダイヤグラムである。図2に示すように、本実施の形態にかかる電子管楽器10は、CPU21、ROM22、RAM23、キースイッチ部24、周波数特性取得部25およびサウンドシステム26を有している。
【0018】
キースイッチ部24は、電子管楽器10のキースイッチ(たとえば、符号31、32参照)を含むが、本実施の形態にかかる電子管楽器10は、キースイッチ部24を構成する複数のキースイッチのほか、音色指定などのための他のスイッチも有する。後述するように、マイク34により得られた、電子管楽器10の管内に吹き込まれた息による音信号に基づき、当該音信号の周波数特性を取得する。
【0019】
CPU21は、電子管楽器10全体の制御、キースイッチ部24を構成するキースイッチ(たとえば、符号31、32参照)や他のスイッチの操作の検出、取得された周波数特性およびキースイッチの操作にしたがった楽音データ生成の指示など種々の処理を実行する。
【0020】
ROM22は、キースイッチ部24を構成するキースイッチや他のスイッチの操作の検出、周波数特性およびキースイッチの操作にしたがった楽音データ生成の指示などの処理プログラムを格納する。また、ROM22は、フルート、ピッコロ、サックス、クラリネットなど種々の音色の楽音データを生成するための波形データを記憶する波形データエリアを備えている。本実施の形態においては、ROM22の波形データエリアには、フルートなど主として管楽器の音色の波形データが格納されるが、これに限定されるものではなく、ピアノなど鍵盤楽器、ギターなど弦楽器、打楽器などの音色の波形データが格納されていても良い。
【0021】
RAM23は、ROM22から読み出されたプログラムや、処理の過程で生じたデータを記憶する。処理の過程で生じたデータには、スイッチ部34を構成するキースイッチの操作状態(キースイッチパターン)、周波数特性取得部25により取得された周波数特性データ、電子管楽器における楽音の発音状態を示す発音ステータスなどが含まれる。
【0022】
サウンドシステム26は、音源部27、オーディオ回路28およびスピーカ29を備える。音源部27は、CPU21からの指示にしたがって、ROM22の波形データエリアから波形データを読み出して、楽音データを生成して出力する。オーディオ回路28は、音源部27から出力された楽音データをアナログ信号に変換し、変換されたアナログ信号を増幅してスピーカ29に出力する。これによりスピーカ29から音響信号が出力される。
【0023】
キースイッチ部24は、電子管楽器10のミドルジョイント12およびフットジョイント13に配置されたキースイッチ(たとえば、符号31、32参照)を有する。また、図示しないが、本実施の形態にかかる電子管楽器10は、音色指定スイッチなど他のスイッチを含む。キースイッチのそれぞれの操作状態(オン・オフ)により、キースイッチパターンを得ることができる(たとえば、B♭キー:オン、Bキー:オフ、Cキー:オン・・・など)。CPU21は、後述する発音処理において、キースイッチパターンおよび周波数特性データに基づいて、発音すべき音高を特定して、サウンドシステム26の音源部27に対して発音を指示する。
【0024】
周波数特性取得部は、A/D(アナログ/ディジタル)変換部35および周波数分析部36を有する。A/D変換部35にはマイク34が接続され、マイク34からの音信号がディジタル変換され、音データとして周波数分析部36に出力される。周波数分析部36は、後述するように、音データの所定範囲の周波数信号を取得し、かつ、その信号レベルの時系列変化を示すデータを抽出する。
【0025】
図3は、本実施の形態にかかる電子管楽器のヘッドジョイントの略縦断面図である。図3に示すように、ヘッドジョイト11の孔部16に連通している管内部37において、孔16より、電子管楽器10の長手方向、ミドルジョイントの側の所定位置にマイク34が配置される。マイク34は、孔部16を介して管内部37に吹き込まれる演奏者の息による音信号を取得することができる。
【0026】
図4は、本実施の形態にかかる電子管楽器の内部構成を示すブロックダイヤグラムである。図4に示すように、電子管楽器10は、周波数特性判定部43、キースイッチ状態検出部44および音源処理部45を有する。周波数特性判定部43は、周波数特性取得部25からの周波数特性データを受理し、周波数データに基づき音高決定のための指標値を算出する。キースイッチ部24を構成するキースイッチのそれぞれの操作状態(オン・オフ)を検出し、キースイッチパターンを生成する。
【0027】
音源処理部45は、周波数特性判定部43により算出された指標値と、キースイッチ状態検出部44により得られたキースイッチパターンとに基づいて、所定の音高の楽音データの生成を、サウンドシステム26の音源部27に指示する。周波数特性取得部25により得られた周波数特性データ、周波数特性判定部43により得られた指標値、キースイッチパターン、フィルタ特性を示すデータは、それぞれ、RAM23に格納される。
【0028】
本実施の形態において、周波数特性判定部43、キースイッチ状態検出部44は、主としてCPU21により実現される。音源処理部45は、CPU21およびサウンドシステム26により実現される。
【0029】
このように構成された電子管楽器10において実行される処理について説明する。図5は、本実施の形態にかかる電子管楽器において実行される処理の例を示すフローチャートである。電子管楽器10のCPU21は、RAM23に一時的に記憶された各種パラメータ、指標値、キースイッチパターンなどのクリアを含むイニシャライズ処理を実行する(ステップ501)。
【0030】
次いで、CPU21(キースイッチ状態検出部44)は、スイッチ処理を実行する(ステップ502)。図6は、本実施の形態にかかるスイッチ処理の例を示すフローチャートである。図6に示すように、CPU21は、キースイッチ部24を構成するキースイッチを走査して、各キースイッチの操作状態(オン状態或いはオフ状態)を検出する(ステップ601)。CPU21は、キースイッチパターンを特定して、RAM23に格納する(ステップ602)。その後、CPU21は、前回の処理において特定されRAM23に格納されていたキースイッチパターンと比較して、キースイッチパターンに変化があったかを判断する(ステップ603)。
【0031】
ステップ603でYesと判断された場合には、CPU21は、キースイッチパターンに基づく楽音の基本音高情報KeyPを特定する(ステップ604)。たとえば、キースイッチパターンごとに発生すべき楽音の音高を対応付けた音高テーブルをROM22に格納しておき、CPU21は、ROM22の音高テーブルを参照して、キースイッチパターンに対応付けられた音高を特定すれば良い。
【0032】
図7および図8は、フルートおよびピッコロの運指を示す図である。図7および図8では、フルートおよびピッコロのキーの運指によるパターン(キーパターン)と、キーパターンに対応付けられた音高とが示されている。ピッコロは、D4から開始される(図7の矢印A参照)。また、E4〜C♯5(D♭5)(図7の矢印Bで示す範囲参照)のキーパターンと、E5〜C♯6(D♭6)のキーパターン(図8の矢印Cで示す範囲参照)とは、それぞれ一致している。すなわち、同じキーパターンで、1オクターブ高い音高の楽音を奏でることができる。本実施の形態にかかるキースイッチパターンでは、上記E4〜C♯5(D♭5)(図7の矢印B参照)の運指によるパターンに関しては、E4〜C♯5(D♭5)を基本音高情報として与えるように値を格納しておく。そして、上記キーパターンの場合には、後述する周波数特性データに基づいて、基本音高情報より1オクターブ高い音高の楽音を生成可能としている。
【0033】
CPU21は、基本音高情報KeyPに関するキーイベントを生成して、当該キーイベントをRAM23に格納する(ステップ605)。なお、本実施の形態においては、音高KeyPとして、MIDI(Musical Instrument Digital Interface)のノートナンバーを使用している。
【0034】
ステップ603でNoと判断された場合、或いは、ステップ605が実行された後に、CPU21は他のスイッチ処理(たとえば、音色指定スイッチの操作に応答した処理など)を実行して(ステップ606)、スイッチ処理を終了する。
【0035】
スイッチ処理の後、CPU21(周波数特性判定部32)は、周波数特性取得部25からの周波数特性データを得て、周波数特性データに基づく所定の指標値を生成する(ステップ503)。以下、フルートの内部に吹き込まれる息による音信号について説明する。フルートを演奏する際に、演奏者は、マウスピース14の下側に下唇を当て、孔部(吹き込み口)に息を吹き込むことで楽音を発生させる。また、上述したように同一の運指で1オクターブ上の音高の楽音を発生させることもできる。音高を1オクターブ上げるためには、一般に演奏者は以下のように動作する。
(1)吹き込み口の上側に息を吹き付ける。
(2)唇の開きを狭くした状態で息を吹く。
(3)吹き出す息のスピードを高める。
【0036】
本実施の形態においては、特に(2)、(3)が行なわれた際の、フルートの管内部に生じる現象に着目している。図9(a)、(b)は、フルートの管内部に吹き込まれた息による音信号の周波数特性を示す図である。図9(a)は、音高を1オクターブ上げるために、上記(2)、(3)を意識した状態で演奏者が息を吹き込んだ場合を示す。図9(b)は、通常の音高の楽音を出すために演奏者が息を吹き込んだ状態を示す。図9(b)と比較すると、図9(a)では、高域側、特に、10KHz以上の高周波成分の割合が明らかに大きい。これは、唇の開きを狭くすることにより、小さな隙間を速く空気が動くことによると考えられる。その一方、低域側、特に1KHzより小さな帯域での周波数成分は、図9(a)と図9(b)とではそれほど相違がない。
【0037】
そこで、本実施の形態においては、マイク34により取得された音信号に基づいて、10KHz以上の第1の所定帯域(たとえば、12KHz〜13KHz)の周波数成分の時系列変化を示す第1の信号レベル値と、1KHz以下の第2の所定帯域(たとえば、700Hz〜800Hz)の周波数成分の時系列変化を示す第2の信号レベル値とを算出し、これらの比に基づいて、発音すべき楽音の音高を判定する。
【0038】
図10は、本実施の形態にかかる周波数特性取得部の例を示すブロックダイヤグラムである。図10に示すように、本実施の形態にかかる周波数特性取得部25は、第1の所定帯域の周波数成分を抽出する第1の所定帯域抽出部51、第1の所定帯域の周波数成分について、その時系列信号の値である第1の信号レベル値En1を出力する第1の信号レベル抽出部生成部52、第2の所定帯域の周波数成分を抽出する第2の所定帯域抽出部53、第2の所定帯域の周波数成分について、その時系列信号の値である第2の信号レベル値En2を出力する第2の信号レベル抽出部54、および、第1の信号レベル値En1および第2の信号レベル値En2を加算して第3の信号レベル値En3を出力する加算演算部55を有する。
【0039】
第1の所定帯域抽出部51および第2の所定帯域抽出部53は、それぞれ、ディジタル帯域通過フィルタにより実現できる。たとえば、第1の信号レベル抽出部52は、第1の所定帯域抽出部51から出力されたフィルタ値の極大値を算出し、極大値を算出した時刻tにおける第1の信号レベル値En1(t)として出力する。また、たとえば、第2の信号レベル抽出部54は、第2の所定帯域抽出部51から出力されたフィルタ値の極大値を算出し、極大値を算出した時刻tにおける第2の信号レベル値En2(t)として出力する。以下、同一の時刻における第1の信号レベル値および第2の信号レベル値を参照するため、時刻tは省略し、単に第1の信号レベル値En1、第2の信号レベル値En2と表す。
【0040】
なお、第1の信号レベル抽出部52および第2の信号レベル抽出部54は、それぞれ、出力されたフィルタ値の包絡線を得て、包絡線上の値を第1の信号レベル値En1、第2の信号レベル値En2として出力しても良い。或いは、第1の信号レベル抽出部52および第2の信号レベル抽出部54は、所定の時間間隔Δtごとに、周波数成分の絶対値のΔtにおける積算値を算出して、得られた積算値を、それぞれ第1の信号レベル値En1、第2の信号レベル値En2として出力しても良い。
【0041】
演奏者による唇の開きや吹き出す息のスピードの変化によって、第1の信号レベル値En1や第2の信号レベル値En2の信号レベルは時系的に変化する。本実施の形態においては、第1の信号レベル値En1の、第2の信号レベル値En2に対する比「En1/En2」が、所定の値(たとえば「2」)以上であるときに、基本音高情報KeyPより1オクターブ高い音高の楽音を発生するようにしている。
【0042】
周波数特性取得・判定処理503では、CPU21は、周波数特性取得部25から周波数特性データである第1〜第3の信号レベル値En1〜En3を取得し、指標値として、第1の信号レベル値En1の、第2の信号レベル値En2に対する比を得る。第1の信号レベル値En1〜第3の信号レベル値En3および指標値En1/En2は、RAM23の所定の領域に格納される。
【0043】
周波数特性取得・判定処理(ステップ503)が終了すると、CPU21は、発音処理を実行する(ステップ504)。図11および図12は、本実施の形態にかかる発音処理の例を示すフローチャートである。図11に示すように、CPU21(発音処理部45)は、RAM23を参照して、キーイベントが存在するかを判断する(ステップ1101)。ステップ1101でYesと判断された場合には、CPU21は、RAM23中に格納された第3の信号レベル値En3を参照して、第3の信号レベル値En3が所定の閾値Eth以上であるかを判断する(ステップ1102)。ステップ1102でNoと判断された場合には発音処理が終了される。
【0044】
ステップ1102でYesと判断された場合には、CPU21は、基本音高情報KeyPが、E4以上C♯5以下の範囲(E4≦KeyP≦C♯5)であるかを判断する(ステップ1103)。ステップ1103でYesと判断された場合には、CPU21(周波数特性判定部43)は、さらに、RAM23中に格納された指標値En1/En2が、「2」以上であるかを判断する(ステップ1104)。
【0045】
ステップ1103でNo、或いは、ステップ1104でNoと判断された場合には、CPU21は、音高KeyPの楽音を、第3の信号レベル値En3に基づく音量レベルで発音するように、サウンドシステム26の音源部27に指示する(ステップ1105)。音源部27は、指示にしたがって、ROM22から音高KeyPに応じて波形データを読み出して、第3の信号レベル値En3に基づく音量レベルを乗じて楽音データを生成して、オーディオ回路28に出力する。その後、CPU21は、RAM23中のオクターブフラグOctを「0」にリセットする(ステップ1106)。
【0046】
その一方、ステップ1104でYesと判断された場合には、CPU21は、音高(KeyP+12)の楽音、つまり、キースイッチパターンに基づいて特定された基本音高情報KeyPより1オクターブ高い音高の楽音を、第3の信号レベル値En3に基づく音量レベルで発音するように、サウンドシステム26の音源部27に指示する(ステップ1107)。音源部27は、指示にしたがって、ROM22から音高(KeyP+12)に応じて波形データを読み出して、第3の信号レベル値En3に基づく音量レベルを乗じて楽音データを生成し、オーディオ回路に出力する。その後、CPU21は、RAM23中のオクターブフラグOctを「1」にセットする(ステップ1108)。
【0047】
このように、本実施の形態においては、高域側である第1の所定帯域の周波数成分に基づく第1の信号レベル値En1の、低域側である第2の所定帯域の周波数成分に基づく第2の信号レベル値En2対する比が所定値以上である場合に、演奏者の運指によるキースイッチパターンにより特定される音高の、1オクターブ上の音高の楽音が発音される。これにより、演奏者が、唇の開きを狭くした状態で息を吹き、また、吹き出す息のスピードを高めている状況を適切に判断し、所望の音高の楽音を発生させることが可能となる。
【0048】
ステップ1106或いは1108が実行された後、CPU21は、発音ステータスを「発音中」に設定して、RAM23に格納する(ステップ1109)とともに、音量データとして第3の信号レベル値En3をRAM23に格納する(ステップ1110)。その後、CPU21は、RAM23中のキーイベントをクリアする(ステップ1111)。
【0049】
ステップ1101でNoと判断された場合には、CPU21は、RAM23中の発音ステータスが「発音中」であるかを判断する(ステップ1201)。ステップ1201でNoと判断された場合には、CPU21は、第3の信号レベル値En3が所定の閾値Eth以上であるかを判断する(ステップ1202)。
【0050】
演奏者により何れかのキースイッチがオンされ、楽音が発音されていた状態で、演奏者がマウスピース14の孔部16への息の吹き込みを中止すると、ステップ1201、1204を経て、消音処理(ステップ1205)が実行され、発音ステータスが「消音中」となる。
【0051】
ステップ1202でYesと判断されたことは、発音ステータスが消音中である状態で、演奏者がキースイッチをオン状態で維持しつつ、新たにマウスピース14の孔部16への息を吹き込んだ場合に相当する。この場合には、CPU21は、再度、RAM23に格納された音高KeyPを取得して(ステップ1203)、ステップ1103に進む。
【0052】
ステップ1201でYesと判断された場合には、CPU21は、第3の信号レベル値En3が所定の閾値Eth以上であるかを判断する(ステップ1204)。ステップ1204でNo、つまり、第3の信号レベル値En3が閾値Ethより小さい場合には、CPU21は、楽音の消音を音源部27に指示する(ステップ1205)。音源部27は、発音中の楽音データに、所定のリリースエンベロープを乗じて、楽音を消音させる。また、ステップ1205において、CPU21は、RAM23中の発音ステータスを「消音中」とする。
【0053】
ステップ1204でYesと判断された場合には、CPU21は、基本音高情報KeyPが、E4以上C♯5以下の範囲(E4≦KeyP≦C♯5)であるかを判断する(ステップ1206)。ステップ1206でYesと判断された場合には、CPU21は、RAM23中に格納された指標値En1/En2が、「2」以上であるかを判断する(ステップ1207)。
【0054】
ステップ1207でYesと判断された場合には、CPU21は、RAM23に格納されたオクターブフラグOctが「0」であるかを判断する(ステップ1208)。ステップ1208でYesと判断された場合には、CPU21は、音高(KeyP+12)の楽音、すなわち、現在発音中の楽音の音高より1オクターブ高い音高の楽音を、第3の信号レベル値En3に基づく音量レベルで発音するように、サウンドシステム26の音源部27に指示する(ステップ1209)。音源部27は、指示にしたがって、現在発音中の音高KeyPの楽音を高速に消音するとともに、ROM22から音高(KeyP+12)に応じて波形データを読み出して、第3の信号レベル値En3に基づく音量レベルを乗じて楽音データを生成し、オーディオ回路28に出力する。
【0055】
その後、CPU21は、RAM23中のオクターブフラグOctを「1」にセットする(ステップ1210)。次いで、CPU21は、音量データとして第3の信号レベル値En3をRAM23に格納する(ステップ1211)。
【0056】
ステップ1207および1208でYesと判断された場合は、音高KeyPの楽音を発音中に、演奏者が、唇の開きを狭くした状態で、吹き出す息のスピードを高めて息を吹き込んだ場合に相当する。この場合には、発音される楽音の音高が、基本音高情報KeyPの1オクターブ上に変更される。
【0057】
ステップ1207でNoと判断された場合には、オクターブフラグOctが「1」であるかを判断する(ステップ1213)。ステップ1213でYesと判断された場合には、CPU21は、音高(KeyP)の楽音、すなわち、現在発音中の楽音の音高(KeyP+12)より1オクターブ低い音高の楽音を、第3の信号レベル値En3に基づく音量レベルで発音するように、サウンドシステム26の音源部27に指示する(ステップ1214)。音源部27は、指示にしたがって、現在発音中の音高(KeyP+12)の楽音を高速に消音するとともに、ROM22から音高(KeyP)に応じて波形データを読み出して、第3の信号レベル値En3に基づく音量レベルを乗じて楽音データを生成し、オーディオ回路28に出力する。
【0058】
その後、CPU21は、RAM23中のオクターブフラグOctを「0」にセットする(ステップ1215)。次いで、CPU21は、音量データとして、第3の信号レベル値En3をRAM23に格納する(ステップ1211)。
【0059】
ステップ1207でNo、かつ、1213でYesと判断された場合は、音高(KeyP+12)の楽音を発音中に、演奏者が、唇の開きを大きくして吹き出す息のスピードを低くして、息を吹き込んだ場合に相当する。この場合には、発音される楽音の音高が、基本音高情報(KeyP)、つまり、(KeyP+12)の1オクターブ下に変更される。
【0060】
ステップ1206でNoと判断された場合、ステップ1208でNoと判断された場合、或いは、ステップ1213でNoと判断された場合には、CPU21は、現在発音中の楽音について、その音量を、第3の信号レベル値En3とするように音源部27に指示する(ステップ1212)。音源部27は、指示にしたがって、現在発音中の楽音の音高は変更せず、音量レベルのみを第3の信号レベル値En3に基づくような楽音データを生成して、ディジタルフィルタ28に出力する。その後、CPU21は、音量データとして第3の信号レベル値En3をRAM23に格納する(ステップ1211)。
【0061】
発音処理(ステップ504)の後、CPU21は、他の処理を実行して(ステップ505)、ステップ502に戻る。
【0062】
本実施の形態においては、CPU21は、キースイッチの各々の操作状態を示すキースイッチパターンに基づいて、発音すべき楽音の基本音高情報KeyPを特定する。また、周波数特性取得部25は、電子管楽器10の中空の本体に内部に配置されたマイク34により取得された音信号の周波数特性を取得する。CPU21は、周波数特性取得部25において取得された周波数特性に基づいて、キースイッチパターンに基づく基本音高情報より所定量(たとえば1オクターブ)高い音高の楽音を発生させるべく、音源部27を制御する。これにより、演奏者は、電子管楽器10のマウスピース14内に吹き込む際の唇に開き具合および息の吹き込むスピードを変更することで、楽音の音高を変化させることができる。特に、本実施の形態では、接触式のセンサを用いていないため、接触部を演奏者ごとに調整する必要が無い。
【0063】
特に、本実施の形態においては、CPU21は、所定の第1の周波数帯域(10KHz以上の帯域、たとえば、12KHz〜13KHz)における第1の信号レベルEn1が、第1の周波数帯域より低域側の、所定の第2の周波数帯域(1KHz以下の帯域、たとえば、700Hz〜800Hz)における第2の信号レベルEn1より、所定の比率以上大きい(たとえば、En1/En2≧2)場合に、基本音高情報より所定量だけ高い音高の楽音を発生させるべく音源部27を制御する。いわゆるオクターブアップさせるときのフルートの奏法において、演奏者は、唇の開きを狭くした状態で息を吹き、また、吹き出す息のスピードを高めている。この場合に、管内部に吹き込まれた息による音信号では、低域側の所定帯域の周波数成分の信号レベルは、通常の奏法のときと変化しないにもかかわらず、高域側の所定帯域の周波数成分の信号レベルは、通常の奏法のときと比較して相当量増大する。そこで、本実施の形態では、この高域側の所定帯域の周波数レベルの増大を検出することで、演奏者が音高を変化させようとする動作を適切に検出する。
【0064】
また、本実施の形態においては、CPU21は、取得された音信号の信号レベルにしたがって、発音すべき楽音の音量を制御する。したがって、別途、息圧センサなどを設けることなく、演奏者の管内部に吹き込む息の量にしたがった音量で楽音を発音させることができる。
【0065】
特に、本実施の形態においては、CPU21は、第1の信号レベルEn1および第2の信号レベルEn2に基づいて、第3の信号レベルEn3を生成し、第3の信号レベルEn3にしたがって音量を制御する。これにより、ノイズの影響を排除して、所望の音量で楽音を発音させることが可能となる。
【0066】
また、前記実施の形態においては、CPU21は、キースイッチパターンに基づく基本音高情報が、所定の範囲内であるときに、周波数特性に基づく音高の判断を行なう。フルートにおいては、E4〜C♯5の音高のキーパターン(運指)が、それぞれ、E5〜C♯6と同一である。したがって、CPU21は、たとえば、キースイッチパターンに基づく基本音高情報が、E4〜C♯5であるときに、音高の変化の必要性を、周波数特性に基づいて判断する。これにより、演奏者は、フルートなどの管楽器と同様の運指で、かつ、同様の息の吹き込み具合で所望の音高の楽音で演奏することが可能となる。
【0067】
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
【0068】
たとえば、第1の実施の形態においては、マイク34により取得された音信号を、A/D変換器35においてディジタル信号に変換し、変換されたディジタルデータから、第1の所定帯域の周波数成分、および、第2の所定帯域の周波数成分を抽出している。しかしこれに限定されるものではない。図13(a)は、本発明の第2の実施の形態にかかる周波数特性取得部の例を示すブロックダイヤグラムである。図13(a)に示すように、第2の実施の形態にかかる周波数特性取得部125は、第1の所定帯域通過フィルタ151および第2の所定帯域通過フィルタ153を有する周波数分析部136およびA/D変換部135を有する。第1の所定帯域は、たとえば、12KHz〜13KHz、第2の所定帯域は、たとえば、700Hz〜800Hzであり、第1の実施の形態と同様で良い。
【0069】
図13(b)は、帯域通過フィルタの例を示す図である。図13(b)に示すように、帯域通過フィルタは、第1のキャパシタ101および第1のコイル102により構成される低域周波数遮断フィルタ100と、第2のキャパシタ111および第2のコイル112により構成される高域周波数遮断フィルタ110と、整流器121とを有する。低域周波数遮断フィルタ100において、第1のキャパシタ101および第1のコイル112の定数を適当に調整することによって、所望の低域遮断周波数とすることができ、また、高域周波数遮断フィルタ110において、第2のキャパシタ111および第2のコイル112を調整することによって、所望の高域遮断周波数とすることができる。また、整流器121によって、所定帯域の周波数成分の絶対値に相当する信号が出力される。
【0070】
第2の実施の形態においては、A/D変換器135からのデータに基づいて、CPU21が、第1の信号レベル値En1および第2の信号レベル値En2を生成し、かつ、これらを加算することにより第3の信号レベル値En3を生成する。第2の実施の形態では、簡便なアナログフィルタを用いて、第1の所定帯域の周波数成分および第2の所定帯域の周波数成分を得ることができる。
【0071】
また、上記第1の実施の形態においては、第1の信号レベル値En1と第2の信号レベル値En2とを加算して得た第3の信号レベル値En3を音量情報として、楽音を発音させているがこれに限定されるものではない。たとえば、図2において、A/D変換部35から出力された音データの信号レベル値(たとえば、極大値)を取得して、これを、第3の信号レベル値としても良い。
【0072】
さらに、A/D変換器35から出力された音データ以外の信号に基づいて、第3の信号レベル値を取得しても良い。図14は、第3の実施の形態にかかる電子管楽器のヘッドジョイントの略横断面図である。図14に示すように、孔部16の長手方向の一方の端面に、半径方向にブレスセンサ141が配置されている。孔部16の端面は、演奏者の唇(図14において符号Lで示す)に対向する面であり、唇から吹き出された息(矢印参照)がブレスセンサ141の表面に当たるようになっている。ブレスセンサ141は、ヘッドジョイント11の本体を形成するリング部材140の上側に取り付けられたマウスピース14の端面およびリング部材140端面上に、リング部材140の半径方向に沿って取り付けられる。第3の実施の形態においては、ブレスセンサ141が、演奏者の吹き込む息の息圧を検出し、息圧に基づくセンサ値BSを第3の信号レベル値として利用する。
【0073】
また、前記実施の形態においては、周波数特性データに基づいて、所定量だけ高い音高として、1オクターブ高い楽音を発生させているが、所定量は1オクターブに限定されるものではない。
【0074】
また、本実施の形態においては、高域側の第1の周波数帯域として、10KHz以上の帯域、特に、12KHz〜13KHzを採用し、低域側の第2の周波数帯域として、1KHz以下の帯域、特に、700Hz〜800Hzの周波数成分をそれぞれ取得している。しかしながら、周波数帯域は上述したものが望ましいが、これらに限定されるものではない。さらに、第1の信号レベル値En1の、第2の信号レベル値En2に対する比「En1/En2」が「2」より大きいときに、基本音高情報の1オクターブ高い音高の楽音を発生させるように構成しているが、音高の変化を判断する際の比の値は上述したものに限定されない。
【符号の説明】
【0075】
10 電子管楽器
11 ヘッドジョイント
12 ミドルジョイント
13 フットジョイント
14 マウスピース
21 CPU
22 ROM
23 RAM
24 スイッチ部
25 周波数特性取得部
26 サウンドシステム
27 音源部
28 オーディオ回路
30 スピーカ
31、32 キースイッチ
34 マイク
35 A/D変換部
36 周波数分析部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に延びる本体と、
前記本体の中空となっている一端に設けられたマウスピースであって、中空の内部と連通する孔部が設けられたマウスピースと、
前記本体に設けられ、オン状態およびオフ状態の何れかの状態をとる複数の演奏操作子と、
前記本体の中空の内部に配置された、前記孔部から吹き込まれた息による音信号を取得する音信号取得手段と、
所定の音高の楽音の発音を発生する楽音発生手段に対して、前記複数の演奏操作子の操作状態に基づいて発音すべき楽音の基準音高を特定して、特定された基準音高の楽音を発音するように指示を与える制御手段と、
前記音信号取得手段により取得された音信号の周波数特性を取得する周波数特性取得手段を備え、
前記制御手段が、前記周波数特性に基づいて、演奏操作子の操作状態に基づいた基準音高より所定量だけ高い音高の楽音を発生するように、前記楽音発生手段に指示を与えるように構成されたことを特徴とする電子管楽器。
【請求項2】
前記制御手段が、前記周波数特性において、所定の第1の周波数帯域における第1の信号レベルが、前記第1の周波数帯域より低域側の、所定の第2の周波数帯域における第2の信号レベルより、所定の比率以上大きい場合に、前記基準音高より所定量だけ高い音高の楽音を発生するように、前記楽音発生手段に指示を与えることを特徴とする請求項1に記載の電子管楽器。
【請求項3】
前記制御手段が、前記取得された音信号の信号レベルにしたがって、前記楽音の音量を制御することを特徴とする請求項1または2に記載の電子管楽器。
【請求項4】
前記制御手段が、前記第1の信号レベルおよび前記第2の信号レベルに基づいて、第3の信号レベルを生成し、前記第3の信号レベルにしたがって、前記音量を制御することを特徴とする請求項3に記載の電子管楽器。
【請求項5】
前記制御手段が、前記複数の演奏操作子の操作状態に基づく基準音高が、所定の範囲内であるときに、前記周波数特性に基づく音高の判断を行なうことを特徴とする請求項1ないし4の何れか一項に記載の電子管楽器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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