説明

電子線殺菌装置

【課題】小型かつ軽量な電子線を用いた殺菌装置を提供する。
【解決手段】容器収容チャンバ20は、殺菌対象である一つのペットボトルPBを収容するキャビティ24と、ペットボトルPBに電子線を照射する際に生ずるオゾンを排気する排気経路28とを備える。容器収容チャンバ20は、ペットボトルPBの挿入及び排出に開放状態をなし、殺菌処理を行う際には閉塞状態をなす。電子線照射銃40は、電子線を生成する銃本体41と、銃本体41に連なるノズル42からなる。ノズル42は、銃本体41で生成される電子線が通る電子線通路52と、電子線通路52を通ってきた電子線を外部に出射する出射口51とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料などの容器を殺菌する殺菌装置に係り、特に、電子線を照射することにより容器を殺菌する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ポリエチレンテレフタレート製のボトル(以下、ペットボトル)を殺菌する殺菌装置として、ペットボトルに対して電子線を照射するようにしたものが知られている(特許文献1〜特許文献3等)。
例えば、特許文献1の図1には、略円形通路を有する放射線遮蔽トンネルと、曲線状通路に沿って沿設させた被照射体の搬送コンベアと、放射線遮蔽トンネルの通路途中に設けた電子線照射室とを具える殺菌装置が記載されている。そして、この殺菌装置は、電子線照射室内の電子線照射により発生した放射線を遮蔽トンネル内の曲線状通路内で反射変向させながら散乱減衰させ、遮蔽トンネルの出入口部からの漏洩放射線を許容レベル以下に減衰させるとともに、遮蔽トンネルの少なくとも一部に前記通路が開放される開閉扉を設けたことを特徴としている。
【0003】
特許文献1の殺菌装置は複数本のペットボトルを一度に殺菌処理することを念頭においている。したがって、特許文献1の殺菌装置は、高エネルギの電子線を照射することになるが、電子線照射により二次的に発生するX線を外部に漏洩させないための遮蔽構造が大きくかつ重くなるという問題がある。また、特許文献2、特許文献3も同様であるが、特許文献1は、遮蔽構造の内部にペットボトルを搬送するコンベア装置の一部が通過するため、遮蔽構造の容積が殺菌処理されるペットボトルのそれを大きく超える。このことも、遮蔽構造が大きくかつ重くなるのを助長する要因となっている。
また、電子線をペットボトルに照射する殺菌装置は、電子線照射によってオゾンが生じるので、それを排気する装置が必要であるが、このオゾンの回収装置も大がかりなものになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−214300号公報
【特許文献2】特開2003−245061号公報
【特許文献3】特許第3402150号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本発明は、電子線を用いた殺菌装置をより小型かつ軽量で作製することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電子線殺菌装置は、容器収容チャンバと、電子線照射手段と、から構成される。
容器収容チャンバは、殺菌対象である一つの容器を収容するキャビティを有する。また、容器収容チャンバは、容器に電子線を照射する際に生ずるオゾンを排気する排気経路を備えている。この容器収容チャンバは、容器の挿入及び排出に開放状態をなし、殺菌処理を行う際には閉塞状態をなす。
電子線照射手段は、電子線を生成する電子線生成部と、電子線生成部に連なるノズルと、を備える。ノズルは、電子線生成部で生成される電子線が通る電子線通路と、電子線通路を通ってきた電子線を外部に出射する出射口と、を備えている。ノズルは、殺菌処理時にキャビティに収容される容器の内部に挿入されている。
【0007】
本発明の電子線殺菌装置において、電子線照射手段は一つの容器に対して殺菌に必要な電子線を与えるものであるから、低エネルギの電子線を生成するもので足りる。したがって、本発明の電子線殺菌装置は、小型の電子線照射手段を用いることができる。また、容器収容チャンバはキャビティ(容器)内に導入される電子線、電子線照射により二次的に発生するX線を外部に漏洩するのを防ぐ遮蔽構造を必要とするが、低エネルギの電子線であるために、従来の電子線殺菌装置に比べると軽微な遮蔽構造にすることができる。加えて本発明の電子線殺菌装置は、容器収容チャンバのキャビティは、実質的には容器を収容できる容積を備えれば足りるので、容器収容チャンバを最小限の大きさに抑えることができる。以上より、本発明の電子線殺菌装置は小型かつ軽量にできる。
【0008】
ところで、電子線照射による殺菌処理は発熱を伴う。したがって、本発明は冷却構造を付加することが好ましい。そこで、キャビティに繋がる冷却ガス供給路を容器収容チャンバが備え、電子線による殺菌処理が行われている間に、冷却ガス供給源から冷却ガス供給路を介してキャビティに冷却ガスを供給することが好ましい。
【0009】
冷却構造は、容器収容チャンバの周囲を取り囲む水冷ジャケットを備え、電子線による殺菌処理が行われている間に、冷却水供給源から水冷ジャケットに冷却水を供給するものであってもよい。
【0010】
次に、容器収容チャンバは、電子線、X線及びオゾンの漏洩を防止することが前提となるが、この漏洩防止効果を向上するために、本発明の容器収容チャンバは、複数のチャンバ要素を組合せて構成される場合には、隣接するチャンバ要素の境界は段差面同士を突合せることが好ましい。
また、オゾンの発生を防止することを目的として、本発明の電子線殺菌装置は、容器収容チャンバのキャビティ内の酸素を排除する酸素排除部を備えることができる。この酸素排除部は、殺菌処理が行われる前に、キャビティ内の酸素を排除する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、小型かつ軽量な電子線を用いた殺菌装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施の形態における電子線殺菌システムの構成を示す図である。
【図2】本実施の形態における容器収容チャンバの部分断面図である。
【図3】(a)が容器収容チャンバを開放した状態を、(b)がペットボトルPBを収容後に容器収容チャンバを閉塞した状態を、(c)は電子線照射銃を引き上げる過程を、各々示している。
【図4】電子線照射銃の概略構成を示す断面図である。
【図5】冷却構造としてエア供給を加えた電子線殺菌システムの構成を(a)に、容器収容チャンバの構成を(b)に示す。
【図6】冷却構造として水冷ジャケットを加えた電子線殺菌システムの構成を(a)に、容器収容チャンバの構成を(b)に示す。
【図7】容器収容チャンバの他の形態を示す部分断面図である。
【図8】容器収容チャンバにおける突合せ面の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
第1実施形態における電子線殺菌システム10は、図1に示されるように、複数の容器収容チャンバ20と、容器収容チャンバ20に対応して設けられる電子線照射銃40と、を備えており、図示を省略した手段で搬送されるペットボトルPBの内面を殺菌処理するものである。
電子線殺菌システム10は、電子線照射による殺菌処理時にオゾンが発生するのを防止するための酸素排除部60を備えている。酸素排除部60は、酸素排除配管L1を介して各容器収容チャンバ20の排気経路28と連通されている。また、電子線殺菌システム10は、各電子線照射銃40で電子線を生成するための電力を供給する電源80を備えている。電源80は、電力線L2を介して各電子線照射銃40と電気的に接続されている。
なお、図1は複数の容器収容チャンバ20(電子線照射銃40)が直線上に並んで固定されている例を示しているが、本発明はこの配置に限ることはなく、円周上に容器収容チャンバ20(電子線照射銃40)を配置し、かつ相対的に回転可能にする、などの種々の配置を採用することができる。
【0014】
<容器収容チャンバ20>
容器収容チャンバ20は、図1、2に示すように、下部21と、本体22と、上部23という複数の要素から構成される。下部21と本体22の境界部、また、本体22と上部23の境界部には、電子線、X線及びオゾンの漏洩を防止するためのOリングなどの封止体ORを介在させている。容器収容チャンバ20の外観は円筒状をなしている。容器収容チャンバ20は、電子線、X線が外部に漏洩するのを阻止するために、主要部分は鉛から構成されている。
下部21と本体22は、殺菌処理をこれから行うペットボトルPBを容器収容チャンバ20に挿入し、又は、殺菌処理が終了したペットボトルPBを容器収容チャンバ20からペットボトルPBを排出する際には、図3(a)に示すように、容器収容チャンバ20が開放状態となるように、下部21を降下させることで本体22から分離する。このとき、電子線照射銃40はキャビティ24から退避した上方に位置する。ペットボトルPBを殺菌処理する際には、下部21と本体22とを密着させることで、容器収容チャンバ20を閉塞状態とする。上部23は、メンテナンスなどの場合を除き、本体22に密着される。また、後述(図7)するように、上部23と本体22とを一体で作製することもできる。電子線、X線及びオゾンの漏洩防止の観点から好ましい形態である。
【0015】
容器収容チャンバ20は、ペットボトルPBを収容するキャビティ24を備えている。
キャビティ24は、容器収容チャンバ20が閉塞状態において、ペットボトルPBを十分に収容できるサイズの円筒状の空隙である。サイズの異なるペットボトルPBを処理するには、キャビティ24は、電子線殺菌システム10で処理される最大のサイズのペットボトルPBを収容できるサイズを有していることが好ましい。
キャビティ24は下部21及び本体22に亘って形成されるものであり、そのために、下部21には第1空隙25が、また、本体22には第2空隙26が形成される。キャビティ24にペットボトルPBが収容されたときに、ペットボトルPBの底面を除いて、ペットボトルPBの外面と容器収容チャンバ20の内面の間にクリアランスが設けられる。ペットボトルPBに傷が着くのを防ぐためである。第1空隙25及び第2空隙26は、このクリアランスを考慮して形成される。
【0016】
本体22の上部には、キャビティ24の上部開口と繋がるノズル挿入路27が形成されている。電子線照射銃40のノズル42は、このノズル挿入路27を介してキャビティ24内に配置される。
上部23には、ノズル挿入路27を介してキャビティ24と繋がる排気経路28が形成されている。排気経路28は、酸素排除配管L1を介して酸素排除部60に繋がっている。電子線による殺菌処理中にキャビティ24(ペットボトルPB)でオゾンが発生するのを防止することを目的として、酸素排除部60は真空ポンプを備えている。殺菌処理する前にキャビティ24を真空引きすることで、オゾン発生の要因である酸素をキャビティ24から排除する。真空引きは、殺菌処理中も継続して行うことが好ましい。
酸素排除部60として真空引きするものを示したが、オゾンの発生防止のためには、キャビティ24内の大気を窒素ガス、アルゴンガスなどの不活性ガスで置換することで、殺菌処理前にキャビティ24内の酸素を排除することもできる。もちろん、真空引きした後に不活性ガスをキャビティ24に充填することもできる。
【0017】
<電子線照射銃40>
電子線照射銃40は、図4に示すように、電子線を生成する銃本体41と、銃本体41に連なるノズル42と、から構成される。銃本体41及びノズル42はともに中空円筒状の形態をなし、銃本体41の下端とノズル42の上端が繋がっている。
銃本体41は、外筒43内の上部に電子生成器44が設けられている。電子生成器44は、ケース45を有している。ケース45は、その外面が外筒43の内面から所定の距離を離して設けられているので、外筒43とケース45の間に高電圧ギャップを作り出すことができる。
ケース45の内部には、電子発生用のフィラメント46が配置されている。このフィラメント46には、絶縁体47及び電力線L2を介して電源80から電力が供給される。フィラメント46は、供給される電力によって加熱され、自由電子(e)を生成させる。生成された電子は、静電レンズ48に形成された開口部49及びケース45先端に形成された開口部50を通過してノズル42に向けて出射される。
【0018】
電子生成器44のケース45とノズル42の先端にある出射口51との間に、電源80から高電圧が印加される。なお、出射口51は、接地されている。電子生成器44と出射口51との間の電位差によって、フィラメント46で生成した電子が、ノズル42内の電子線通路52を出射口51に向けて通過しながら加速され、さらに出射口51を通過して外部に出射される。このように、キャビティ24に収容されているペットボトルPBの内面に電子線が照射されることで、当該面を殺菌処理することができる。
電子線照射銃40は、例えば以下のように動作してペットボトルPBを殺菌することができる。
図3(a)に示すように、ペットボトルPBが容器収容チャンバ20に収容されるまでは、キャビティ24から上方に退避した初期位置にあるする。ペットボトルPBが容器収容チャンバ20に収容されると、下部21と本体22とを密着させることで、容器収容チャンバ20を閉塞状態とする。そうすると、電子線照射銃40は、ペットボトルPB内を図3(b)に示す最下端まで降下しながら電子線を出射する。電子線照射銃40は、最下端まで降下した後に、図3(c)に示すように、初期位置に向けて上昇する。この上昇の過程で電子線を出射することもできる。電子線照射銃40が初期位置に戻ると殺菌処理が終了し、その後に容器収容チャンバ20を開放状態(図3(a))としてペットボトルPBを取り出す。
以上の動作は一例であり、初期位置に上昇する過程のみに電子線を出射することができるし、また、電子線を偏向する手段を設けることで電子線照射銃40の位置を固定にすることもできる。
また、ここで示した電子線照射銃40は、ノズル42の先端にある出射口51から電子線が出射されるが、本発明はこれに限定されない。例えば、ノズル42の側面から電子線が出射されるものであってもよい。
【0019】
電子線殺菌システム10は、以上説明したように、電子線照射銃40は一つの容器収容チャンバ20に対して殺菌に必要な電子線を与えるものであるから、低エネルギの電子線を生成するもので足りる。したがって、電子線殺菌システム10は、小型の電子線照射銃40を用いることができる。また、容器収容チャンバ20はキャビティ24(容器)内に導入される電子線、X線を外部に漏洩するのを防ぐ遮蔽構造を必要とするが、導入されるのが低エネルギの電子線であるために、従来の電子線殺菌装置に比べると軽微な遮蔽構造にすることができる。加えて電子線殺菌システム10は、容器収容チャンバ20のキャビティ24が、実質的にはペットボトルPBを収容できる容積を備えれば足りるので、容器収容チャンバを最小限の大きさに抑えることができる。
また、電子線殺菌システム10は、容器収容チャンバ20に排気経路28を設け、殺菌処理を行う前に酸素排除部60により真空引きあるいは不活性ガスの置換をするので、殺菌処理時にオゾンが発生するのを防止することができきる。したがって、人体あるいは飲料の安全性が確保される。また、微量のオゾンが発生したとしても、殺菌処理中にも酸素排除部60から真空引きをしてそれを回収すれば、より確実に安全性が確保される。さらに、容器収容チャンバ20内に大気があるとその中の水素、窒素と反応して硝酸を生成させ、容器収容チャンバ20を構成する金属部材を腐食させるおそれがある。したがって、オゾンの発生を防止することで、金属部材の腐食低減にも効果を発揮する。さらにまた、真空引きを行うことで、他の異物の除去にも有効である。
【0020】
<冷却構造>
電子線照射による殺菌処理は発熱を伴う。したがって、本発明は冷却構造を付加することが好ましい。以下、その例を説明する。
冷却構造としては、空冷と水冷を代表例として掲げることができる。
図5は、空冷を採用した電子線殺菌システム100を示している。なお、図1と同じ要素については図1と同じ符号を付すことで説明を省略する。以下に説明する図6、図7も同様である。
電子線殺菌システム100は、エア供給源85を備えている。少なくとも殺菌処理を行う間には、このエア供給源85からエア供給配管L3を介して各容器収容チャンバ120に冷却媒体としてのエアを供給する。
各容器収容チャンバ120には、一方端がエア供給配管L3に繋がり他端がキャビティ24に繋がるエア供給路29が本体22に形成されており、エア供給配管L3を介してエア供給源85から供給されたエアがエア供給路29を通ってキャビティ24に導入される。キャビティ24に導入されたエアは排気経路28を通って容器収容チャンバ120の外に排出されるが、その過程で容器収容チャンバ120を冷却する。
【0021】
図6は、水冷を採用した電子線殺菌システム200を示している。
電子線殺菌システム200は、循環装置90を備えている。少なくとも殺菌処理を行う間に、この循環装置90から冷却水供給配管L41を介して各容器収容チャンバ220に冷却水を供給し、また、各容器収容チャンバ220から冷却水回収配管L42を介して冷却水を循環装置90で回収する。
各容器収容チャンバ220には、下部21及び本体22の周囲を取り囲む水冷ジャケット30が設けられている。水冷ジャケット30には、冷却水供給配管L41と繋がる導入管31と、冷却水回収配管L42と繋がる排出管32が設けられている。冷却水供給配管L41を介して循環装置90から供給された冷却水は導入管31を通って水冷ジャケット30に供給される。冷却水は水冷ジャケット30を通って各容器収容チャンバ220を冷却した後に排出管32から排出され、冷却水回収配管L42を介して循環装置90に戻される。循環装置90に戻った冷却水は所定の温度まで冷やされた後、また、冷却水供給配管L41を介して水冷ジャケット30に供給される、という手順が繰り返される。
【0022】
以上では、空冷の例と水冷の例を個別に示したが、空冷と水冷の両方を適用することもできる。
また、空冷の冷却媒体はエアに限るものではなく、窒素などの不活性ガス、その他のガスを用いることができることは言うまでもない。また、水冷ジャケット30の具体的な構造は公知のものを適宜採用することができるとともに、水冷ジャケット30を各容器収容チャンバ220に設ける位置も適宜設定することができる。
【0023】
<容器収容チャンバ320>
以上説明した容器収容チャンバ20(120,220)は、下部21、本体22及び上部23の3つの要素から構成され、かつキャビティ24は円筒状の空隙を有しているが、これは本発明の一例である。図7に示すように、本体22と上部23とを一体化した本体122と下部21との2つの要素から構成できるとともに、キャビティ24をペットボトルPBと相似形にした容器収容チャンバ320にすることもできる。そうすることで、殺菌処理前に真空引きする際の排気容量最小化、または不活性ガスを充填する際の充填容量を最小化できる。
<接合構造>
次に、各容器収容チャンバ20は、電子線、X線及びオゾンの漏洩を防止するための封止体ORを、下部21と本体22の境界部、また、本体22と上部23の境界部に介在させている。この漏洩防止効果を向上するために、平坦面同士を突合せるのではなく、図8に示すように、段差面を突合せることが好ましい。そうすると、電子線、X線及びオゾンが通過する境界部の延長距離を、平坦面同士を突合せる場合よりも長くなるので、電子線、X線及びオゾンが漏洩しにくくなる。
【0024】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択し、あるいは高知の他の構成に適宜変更することが可能である。例えば、容器収容チャンバ20は、開放状態の一形態として下部21を降下させることで本体22から分離する構造としたが、観音開きする構造を採用することで、開放状態と閉塞状態をなすこともできる。
また、オゾンの発生をそもそも起こさせないために、キャビティ内に予め窒素を充填しておくこともできる。
【符号の説明】
【0025】
10,100,200…電子線殺菌システム
20,120,220,320…容器収容チャンバ
21…下部、22…本体、23…上部
24…キャビティ、28…排気経路、29…エア供給路、30…水冷ジャケット
40…電子線照射銃
41…銃本体、42…ノズル、44…電子生成器、51…出射口、52…電子線通路
60…酸素排除部、80…電源、85…エア供給源、90…循環装置
PB…ペットボトル
L1…酸素排除配管、L2…電力線、L3…エア供給配管
L41…冷却水供給配管、L42…冷却水回収配管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器収容チャンバと、電子線照射手段と、を備え、
前記容器収容チャンバは、
殺菌対象である一つの容器を収容するキャビティと、
前記容器に電子線を照射する際に生ずるオゾンを排気する排気経路と、を備え、
前記容器の挿入及び排出に開放状態をなし、殺菌処理を行う際には閉塞状態をなし、
前記電子線照射手段は、
電子線を生成する電子線生成部と、
前記電子線生成部に連なり、前記電子線生成部で生成される電子線が通る電子線通路と、前記電子線通路を通ってきた前記電子線を外部に出射する出射口と、を有し、殺菌処理時に前記キャビティに収容される前記容器の内部に挿入されているノズルと、を備える、
ことを特徴とする電子線殺菌装置。
【請求項2】
前記容器収容チャンバは、前記キャビティに繋がる冷却ガス供給路を備え、
前記電子線による殺菌処理が行われている間に、
冷却ガス供給源から前記冷却ガス供給路を介して前記キャビティに冷却ガスを供給する、
請求項1に記載の電子線殺菌装置。
【請求項3】
前記容器収容チャンバの周囲を取り囲む水冷ジャケットを備え、
前記電子線による殺菌処理が行われている間に、
冷却水供給源から前記水冷ジャケットに冷却水を供給する、
請求項1又は2に記載の電子線殺菌装置。
【請求項4】
前記容器収容チャンバは、複数のチャンバ要素を組合せて構成され、隣接するチャンバ要素の境界は段差面同士を突合せる、
請求項1〜3のいずれか一項に記載の電子線殺菌装置。
【請求項5】
前記容器収容チャンバの前記キャビティ内の酸素を排除する酸素排除部を備え、
前記酸素排除部は、前記殺菌処理が行われる前に、キャビティ内の酸素を排除する、
請求項1〜4のいずれか一項に記載の電子線殺菌装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−45252(P2012−45252A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−191735(P2010−191735)
【出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】