説明

電子署名の認証方法

真偽が問われる電子署名が、意図された署名者の電子署名であるかどうかを判定するための方法であって、(a)意図された署名者の紙にインクで書かれた署名と同一の電子署名とを単一のステップで生成するステップ、(b)紙にインクで書かれた署名が意図された署名者の紙にインクで書かれた周知の署名と一致することを検証するステップ、及び(c)真偽が問われる電子署名を、意図された署名者の上記電子署名と比較することにより、真偽が問われる電子署名が意図された署名者の電子署名であるかどうかを判定するステップを含む方法が開示される。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、「Method For Authenticating an Electronic Signature」という表題で2004年5月26日に出願された米国特許出願第10/855695号の優先権を主張するものであり、この特許文献の内容全体を参照により本明細書に包含する。
【0002】
発明の分野
本発明は、概して署名認証方法に関し、具体的には電子署名の認証方法に関する。
【0003】
発明の背景
電子署名(ディジタル化された署名)は、契約の締結、商業取引の支払い、及び商業のその他多くの局面において益々一般的になりつつある。電子署名の有用性及び受け入れのために必要な1つの要素は、このような署名を認証する能力である。このような認証手順は多数提案されており、例えば米国特許第6307955号に開示されているような手順が挙げられる。この特許文献の内容全体を参照により本明細書に包含する。
しかしながら、従来技術に既知の認証方法は全て、電子形式で確立された参照署名を必要とした。ところが、このような電子形式で確立された参照署名が利用不可能であり且つもはや取得できない場合が多い。したがって、検証済みの署名が利用できない場合に電子署名を認証するための方法が必要とされている。
【0004】
本発明の概要
本発明はこの必要を満たす。本発明は、真偽が問われる電子署名が、意図された署名者の電子署名であるかどうかを判定するための方法である。本方法は、(a)意図された署名者の、紙にインクで書かれた署名及び同一の電子署名を単一のステップで生成するステップ、(b)紙にインクで書かれた署名が意図された署名者による既知の紙にインクで書かれた署名と一致することを検証するステップ、及び(c)真偽が問われる電子署名を、意図された署名者の電子署名と比較することにより、真偽が問われる電子署名が意図された署名者の電子署名であるかどうかを判定するステップを含む。
【0005】
詳細な説明
後述では、本発明の一実施形態及びその実施形態の複数の変更例を詳細に説明する。しかしながら、この説明は、本発明をこれら特定の実施形態に制限するものではない。本技術分野の当業者は、他に多数の実施形態が可能であることを認識するであろう。
【実施例】
【0006】
本発明は、真偽が問われる電子署名が意図された署名者の電子署名であるかどうかを判定するための方法である。本方法は、(a)意図された署名者の、紙にインクで書かれた署名及び同一の電子署名を単一のステップで生成するステップ、(b)紙にインクで書かれた署名が意図された署名者による既知の紙にインクで書かれた署名と一致することを検証するステップ、及び(c)真偽が問われる電子署名を、意図された署名者の上記電子署名と比較することにより、真偽が問われる電子署名が意図された署名者の電子署名であるかどうかを判定するステップを含む。
本発明の一実施形態では、本方法のステップ(a)を1回以上反復し、それぞれが、単一のステップで生成される意図された署名者の紙にインクで書かれた署名及び同一の電子署名からなる複数の署名対を生成する。この実施形態において、ステップ(a)で生成された複数の紙にインクで書かれた署名を、ステップ(b)において、意図された署名者による既知の紙にインクで書かれた署名と比較する。またこの実施形態では、ステップ(a)で生成された複数の電子署名を、ステップ(c)において真偽が問われる電子署名と比較し、よって真偽が問われる電子署名が意図された署名者の電子署名であるかどうかを判定する。この実施形態のステップ(c)は、ディジタルコンピュータプログラムにより行うことができる。このようなプログラムは、ステップ(a)で生成された複数の電子署名を、統計的分析技術を用いて比較するように設計することができる。
【0007】
意図された署名者の紙にインクで書かれた署名及び同一の電子署名の生成は、多くの方法で実施可能である。1つの方法では、1片の普通紙を、コンピュータに接続されたタッチセンサパッド上に置く。署名者は、自身の名前を通常のインクペンで紙に書くことにより署名する。タッチセンサパッドに対するインクペンの圧力により、電子署名が同時に得られる。紙にインクで書かれた署名及び同一の電子署名を生成するための別の方法は、インクカートリッジを内蔵した電子ペンによるものである。1片の普通紙を、電子ペンタブレットの作用領域上に置く。コンピュータ内部のソフトウェアがタブレットから署名データを捕捉する一方、電子ペン内部のインクカートリッジによって紙にインクで書かれた署名が生成される。
電子署名はまた、紙上の微細な座標を読む電子ペン、又は赤外線センサや他の種類のペン先端感知方式等を用いることにより、対応するタブレットを必要とせずに位置を感知する電子ペンによって得ることができる。
【0008】
本発明の一実施例では、本発明の方法を用いることにより、真偽が問われる電子署名が正当とされる署名者の署名かどうかを判定する。紙にインクで書かれた署名及び同一の電子署名の生成を、調停手続きにおける調停者、公判前の証拠開示手続きにおける記録係、又は訴訟手続きにおける裁判官のような中立的な第三者の同席の下で行う。次いで、筆跡に関する既知の科学的技術を使用し、筆跡専門家が、紙にインクで書かれた署名を、署名者であると主張する者が紙にインクで書いた既知の署名と比較する。紙にインクで書かれた署名が、既知の比較手法により署名者であると主張する者が紙にインクで書いた既知の署名と一致することが確認されたら、真偽が問われる電子署名をステップ(a)で生成された電子署名と比較し、真偽が問われる電子署名が意図された署名者の電子署名であるかどうかを判定する。
本発明の本方法は、この場合次のような他の利点を有する。即ち、署名者であると主張する者が、ステップ(a)で紙にインクで書かれた署名及び同一の電子署名を生成する間に自分の署名を偽装しようと企てる場合、ステップ(b)において、ステップ(a)で生成された紙にインクで書かれた署名が、署名者であると主張する者が紙にインクで書いた既知の署名に一致しないことが発見され、このような偽装事実があったという事実が認定される。
【0009】
本発明の別の実施例は、商業的取引又は遺言書等の法的文書作成における電子署名の署名者に関する。署名者は実行時に、ステップ(a)の紙にインクで書かれた署名及び同一の電子署名を準備するよう、別個のステップにおいて求められる。ステップ(a)で生成された紙にインクで書かれた署名及び同一の電子署名の両方をファイルに保持する。その後、商業的取引又は法的文書上の電子署名の正真性が問題になったとき及び問題になった場合、ステップ(a)で生成された紙にインクで書かれた署名及び同一の電子署名をファイルから抽出する。紙にインクで書かれた署名を、既知の紙にインクで書かれた署名と比較することにより、紙にインクで書かれた署名が意図された署名者の署名であることを検証する。
【0010】
以上本発明について述べたが、本明細書及び特許請求の範囲に記載の本発明の範囲及び正当な趣旨から逸脱することなく、多数の構造的改変及び応用が考案可能であることは明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
真偽が問われる電子署名が意図された署名者の電子署名であるかどうかを判定するための方法であって、
(a)意図された署名者の紙にインクで書かれた署名及び同一の電子署名を単一のステップで生成するステップ、
(b)紙にインクで書かれた署名が意図された署名者による既知の紙にインクで書かれた署名と一致することを検証するステップ、及び
(c)真偽が問われる電子署名を意図された署名者の電子署名と比較することにより、真偽が問われる電子署名が意図された署名者の電子署名であるかどうかを判定するステップ
を含む方法。
【請求項2】
ステップ(a)において意図された署名者の紙にインクで書かれた署名及び同一の電子署名を生成することが、ディジタル化タブレット上に置いた一枚の紙に、インク式ディジタルペンを用いて又はインク式スタイラスペンを用いて意図された署名者に自分の署名を書かせることにより行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
真偽が問われる電子署名が意図された署名者の電子署名であるかどうかを判定するための方法であって、
(a)それぞれが、単一のステップで生成される意図された署名者の紙にインクで書かれた署名及び同一の電子署名からなる複数の署名対を生成するステップ、
(b)紙にインクで書かれた署名が意図された署名者による既知の紙にインクで書かれた署名と一致することを検証するステップ、及び
(c)真偽が問われる電子署名を、ステップ(a)の意図された署名者の電子署名と比較することにより、真偽が問われる電子署名が意図された署名者の電子署名であるかどうかを判定するステップ
を含む方法。
【請求項4】
ステップ(c)をディジタルコンピュータプログラムにより実行する、請求項3に記載の方法。

【公表番号】特表2008−500634(P2008−500634A)
【公表日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−515044(P2007−515044)
【出願日】平成17年1月10日(2005.1.10)
【国際出願番号】PCT/US2005/000650
【国際公開番号】WO2005/119579
【国際公開日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【出願人】(506392654)トパーズ システムズ, インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】