説明

電子表示システム及び電子表示器

【課題】表示画面とは別に設けられた操作ボタンを有する電子表示器において、操作ボタンが操作された際に適切な動作を行うことが可能な技術を提案する。
【解決手段】電子表示システム100は、電子表示器1と、情報配信装置3とを備えている。電子表示器1は、表示画面と、当該表示画面とは別に設けられた操作ボタンとを有する。電子表示システム100には、電子表示器1の位置を特定する位置特定部と、位置特定部で特定される電子表示器1の位置に応じて、当該電子表示器1の操作ボタンが操作された際の当該電子表示器1の動作を変更する動作変更部とが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作ボタンが表示画面とは別に設けられた電子表示器と、当該電子表示器を備える電子表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から電子表示器に関して様々な技術が提案されている。例えば特許文献1には、電子表示器として、移動体の現在位置を地図上に表示する、当該移動体に搭載された現在位置表示装置が開示されている。特許文献1の現在位置表示装置では、表示画面の一部がタッチスイッチとして機能している。
【0003】
また特許文献2には、電子表示器として、作業内容を表示することによって作業者に作業指示を与える作業指示装置が開示されている。特許文献2の作業指示装置では、表示画面とは別に操作ボタンが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−141597号公報
【特許文献2】特開2005−335004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
さて、操作ボタンを有する電子表示器においては、操作ボタンが操作された際に適切な動作を行うことが望まれる。
【0006】
そこで、本発明は上記の点に鑑みて成されたものであり、表示画面とは別に設けられた操作ボタンを有する電子表示器において、操作ボタンが操作された際に適切な動作を行うことが可能な技術を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、表示画面と、当該表示画面とは別に設けられた操作ボタンとを有する電子表示器と、前記電子表示器が表示する情報を当該電子表示器に配信する情報配信装置とを備える電子表示システムであって、前記電子表示器の位置を特定する位置特定部と、前記位置特定部で特定される前記電子表示器の位置に応じて、前記操作ボタンが操作された際の前記電子表示器の動作を変更する動作変更部とを備える。
【0008】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の電子表示システムであって、前記動作変更部は、前記情報配信装置に設けられている。
【0009】
また、請求項3の発明は、表示画面と、当該表示画面とは別に設けられた操作ボタンとを有する電子表示器と、前記電子表示器が表示する情報を当該電子表示器に配信する情報配信装置とを備える電子表示システムであって、現在時刻を計測する計時部と、前記計時部で計測される現在時刻に応じて、前記操作ボタンが操作された際の前記電子表示器の動作を変更する動作変更部とを備える。
【0010】
また、請求項4の発明は、請求項3に記載の電子表示システムであって、前記計時部及び前記動作変更部は、前記情報配信装置に設けられている。
【0011】
また、請求項5の発明は、表示画面と、当該表示画面とは別に設けられた操作ボタンとを備える電子表示器であって、前記電子表示器の位置を特定する位置特定部と、前記位置特定部で特定される前記電子表示器の位置に応じて、前記操作ボタンが操作された際の前記電子表示器の動作を変更する動作変更部とを備える。
【0012】
また、請求項6の発明は、表示画面と、当該表示画面とは別に設けられた操作ボタンとを備える電子表示器であって、現在時刻を計測する計時部と、前記計時部で計測される現在時刻に応じて、前記操作ボタンが操作された際の前記電子表示器の動作を変更する動作変更部とを備える。
【発明の効果】
【0013】
請求項1、請求項2及び請求項5の発明によれば、電子表示器の位置に応じて、当該電子表示器が有する操作ボタンが操作された際の当該電子表示器の動作が自動的に変更される。そのため、電子表示器の位置に応じて、当該電子表示器の操作ボタンに適切な動作を自動的に割り当てることができる。よって、電子表示器は、操作ボタンが操作された際に、当該電子表示器の位置に応じた適切な動作を行うことができる。
【0014】
特に、請求項2の発明によれば、電子表示器での処理が簡素化される。
【0015】
また、請求項3、請求項4及び請求項6の発明によれば、現在時刻に応じて、電子表示器が有する操作ボタンが操作された際の当該電子表示器の動作が自動的に変更される。そのため、現在時刻に応じて、電子表示器の操作ボタンに適切な動作を自動的に割り当てることができる。よって、電子表示器は、操作ボタンが操作された際に、現在時刻に応じた適切な動作を行うことができる。
【0016】
特に、請求項4の発明によれば、電子表示器での処理が簡素化される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態1に係る電子表示システムの構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る電子表示器の構成を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る工程管理サーバの構成を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る電子表示システムの動作を説明するためのフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態1に係る電子表示システムの動作を説明するためのフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態1に係る電子表示器でのデフォルト動作と変更先動作の組合せの一例を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態1に係る電子表示システムの動作を説明するためのフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態1に係る電子表示システムの動作を説明するためのフローチャートである。
【図9】本発明の実施の形態1に係る電子表示器でのデフォルト動作と変更先動作の組合せの他の例を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態1に係る電子表示器でのデフォルト動作と変更先動作の組合せの他の例を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態1に係る電子表示器でのデフォルト動作と変更先動作の組合せの他の例を示す図である。
【図12】本発明の実施の形態1に係る電子表示器でのデフォルト動作と変更先動作の組合せの他の例を示す図である。
【図13】本発明の実施の形態1に係る電子表示器でのデフォルト動作と変更先動作の組合せの他の例を示す図である。
【図14】本発明の実施の形態1に係る電子表示器でのデフォルト動作と変更先動作の組合せの他の例を示す図である。
【図15】本発明の実施の形態1に係る電子表示器でのデフォルト動作と変更先動作の組合せの他の例を示す図である。
【図16】本発明の実施の形態1に係る電子表示システムの変形例の動作を説明するためのフローチャートである。
【図17】本発明の実施の形態2に係る電子表示システムの構成を示す図である。
【図18】本発明の実施の形態2に係る電子表示器の構成を示す図である。
【図19】本発明の実施の形態2に係る工程管理サーバの構成を示す図である。
【図20】本発明の実施の形態2に係る電子表示システムの動作を説明するためのフローチャートである。
【図21】本発明の実施の形態2に係る電子表示システムの動作を説明するためのフローチャートである。
【図22】本発明の実施の形態2に係る電子表示システムの動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1に係る電子表示システム100の構成を示す図である。本実施の形態1に係る電子表示システム100は、例えば、物品の製造工場に導入されるシステムであって、具体的には、製造工場において各作業工程での作業を電子表示器を用いて支援する作業支援システムである。
【0019】
図1に示されるように、本実施の形態1に係る電子表示システム100は、複数の電子表示器1と、複数のタグリーダ2と、情報配信装置3とを備えている。情報配信装置3は、工程管理サーバ4と通信装置5とで構成されており、複数の電子表示器1が表示する情報を当該複数の電子表示器1に配信する。工程管理サーバ4と複数のタグリーダ2とは、LAN等のネットワーク6を通じて相互に接続されている。
【0020】
図2は各電子表示器1の構成を示す図である。図2に示されるように、電子表示器1は、表示部10と、ICタグ11と、上側操作ボタン12と、下側操作ボタン13と、通信部14と、制御部15とを備えている。
【0021】
表示部10は、例えば、ドットマトリクス方式の不揮発性表示部であって、電子ペーパで構成されている。表示部10は、その表示画面10aが電子表示器1の前面から露出するように当該電子表示器1内に収納されている。
【0022】
ICタグ11は、電子表示器1の前面に設けられており、自身が属する電子表示器1を識別するための識別情報を記憶している。本電子表示システム100では、複数の電子表示器1のそれぞれには固有の識別情報が割り当てられており、各電子表示器1は、自身に割り当てられている識別情報を表示器識別情報としてICタグ11に記憶している。ICタグ11は、通信対象のタグリーダ2に対して、自身が記憶する表示器識別情報を送信する。
【0023】
制御部15は、電子表示器1内に収納されており、CPUやメモリなどで構成されている。制御部15は、電子表示器1の各要素を制御することによって電子表示器1全体の動作を管理する。制御部15は、ICタグ11と同様に、自身が属する電子表示器1に割り当てられた表示器識別情報を記憶している。
【0024】
上側操作ボタン12及び下側操作ボタン13は、表示部10の表示画面10aとは別に電子表示器1の前面に設けられており、作業者20(図1参照)が電子表示器1に対して指示を入力するための操作部として機能する。そして、上側操作ボタン12及び下側操作ボタン13のそれぞれについての電子表示器1の前面での位置は固定である。したがって、上側操作ボタン12及び下側操作ボタン13のそれぞれは、タッチパネルに形成された、表示画面の一部としても機能する操作ボタンとは相違する。作業者20によって上側操作ボタン12,13が操作されると、その操作情報は制御部15に入力される。制御部15は、入力された操作情報に応じた処理を行う。以後、上側操作ボタン12及び下側操作ボタン13を総称して「操作ボタン」と呼ぶことがある。
【0025】
通信部14は、電子表示器1内に収納されており、情報配信装置3が備える通信装置5との間で、電波方式や赤外線方式等の無線通信を行う。通信部14が、通信装置5からデータを受信すると、そのデータは制御部15に入力される。制御部15は、入力されたデータに応じて、例えば表示部10の表示変更を行う。制御部15で生成されたデータは、通信部14を通じて通信装置5に送信される。
【0026】
なお、電子表示器1には、図示しない複数の電池が設けられている。表示部10や制御部15等の各構成要素は、これらの電池から供給される電力によって動作を行うことができる。
【0027】
本実施の形態に係る電子表示システム100は、各電子表示器1が、複数の作業場所30(図1参照)を順に移動するように構成されている。そして、各電子表示器1は、現在位置する作業場所30で行われる作業工程についての作業内容を表示部10に表示し、その作業工程が終了し、次の作業場所30に移動すると、移動先の作業場所30に応じた作業内容を表示部10に表示する。これにより、各作業場所30に位置する作業者20は、移動してきた電子表示器1によって作業指示が与えられることになり、当該電子表示器1に表示された作業内容に従って作業を行うことになる。各電子表示器1は、例えば、加工対象の物品等の作業対象物が搭載された容器に取り付けられ、当該容器がコンベア等によって作業場所30に搬送されることによって、複数の作業場所30を順に移動する。ある作業対象物が載置された容器に取り付けられた電子表示器1が、ある作業場所30から次の作業場所30に移動すると、当該ある作業場所30には、次の作業対象物が搭載された容器に取り付けられた電子表示器1が移動することになる。なお、電子表示器1を作業対象物に直接取り付けても良い。
【0028】
図1を参照して、複数のタグリーダ2は、複数の作業場所30と一対一で対応しており、各タグリーダ2は、対応する作業場所30に配置されている。電子表示器1がある作業場所30まで移動すると、当該電子表示器1のICタグ11は、その作業場所30に位置するタグリーダ2と通信して、当該タグリーダ2に対して、自身が記憶する表示器識別情報を送信する。
【0029】
本実施の形態1では、電子表示器1と同様に、複数のタグリーダ2のそれぞれにも固有の識別情報(以後、「タグリーダ識別情報」と呼ぶ)が割り当てられており、各タグリーダ2は、割り当てられているタグリーダ識別情報を記憶している。各タグリーダ2は、通信対象のICタグ11から表示器識別情報を受信すると、当該表示器識別情報と、自身が記憶するタグリーダ識別情報とをネットワーク6を通じて工程管理サーバ4に送信する。
【0030】
工程管理サーバ4のハードウェアとしての構成は一般的なコンピュータと同様である。図3は工程管理サーバ4の構成を示す図である。図3に示されるように、工程管理サーバ4は、各種演算処理を行うCPU40と、ブートプログラム等を記憶するROM41と、演算処理の作業領域となるRAM42と、プログラムや各種のデータファイルなどを記憶するハードディスク43と、現在時刻を計測する計時部44と、各種表示を行う表示部45と、キーボード及びマウスなどで構成された操作部46と、ネットワーク6を介したデータ通信機能を有するデータ通信部47と、通信装置5と通信するためのインターフェイス48とを備えている。
【0031】
工程管理サーバ4のハードディスク43には、動作プログラムが予め記憶されており、この動作プログラムに従ってCPU40が演算処理を行うことにより、工程管理サーバ4としての各種機能が実現される。また、ハードディスク43には、各作業場所30で行われる作業工程についての作業内容を示す管理ファイル43aが記憶されている。管理ファイル43aには、各作業場所30について、作業場所30と、当該作業場所30での作業工程についての作業内容を示す作業指示情報と、当該作業場所30に配置されたタグリーダ2を識別するためのタグリーダ識別情報とが互いに対応付けられて記述されている。したがって、あるタグリーダ2を識別するためのタグリーダ識別情報が明らかになれば、管理ファイル43aを参照することによって、当該タグリーダ2が配置された作業場所30で行われる作業工程についての作業内容を取得することができる。
【0032】
また、工程管理サーバ4では、CPU40が、データ通信部47を通じて、あるタグリーダ2から、タグリーダ識別情報と表示器識別情報とを受け取ると、受け取った表示器識別情報を、それと同時に受け取ったタグリーダ識別情報と一致する、管理ファイル43a内のタグリーダ識別情報に対応付けて記憶する。これにより、管理ファイル43aでは、作業場所30と、作業指示情報と、タグリーダ識別情報と、表示器識別情報とが互いに対応付けられて記憶されることになる。よって、管理ファイル43aを参照すると、製造ラインに投入された各電子表示器1について、電子表示器1が位置する作業場所30と、当該作業場所30での作業工程についての作業内容とを取得することができる。
【0033】
なお、CPU40は、受け取った表示器識別情報を管理ファイル43a内のタグリーダ識別情報に対応付けようとした際に、当該タグリーダ識別情報にすでに表示器識別情報が対応付けられている場合には、そのすでに対応付けられている表示器識別情報を、対応付けようとしている新たな表示器識別情報に置き換える。
【0034】
また、工程管理サーバ4では、CPU40が、受け取ったタグリーダ識別情報によって特定されるタグリーダ2が配置された作業場所30での作業工程についての作業指示情報を管理ファイル43aから取得し、取得した作業指示情報と、タグリーダ2から受信した表示器識別情報とを含む送信信号を生成して通信装置5に出力する。
【0035】
通信装置5は、各電子表示器1の通信部14と無線通信が可能である。通信装置5は、工程管理サーバ4から入力された送信信号を各電子表示器1に送信する。また、通信装置5は、電子表示器1からの送信信号を受信して工程管理サーバ4に出力する。
【0036】
電子表示器1では、制御部15が、自身が記憶する表示器識別情報と、通信部14で受信された送信信号に含まれる表示器識別情報とを比較する。制御部15は、両方の表示器識別情報が一致する場合には、通信部14が受信した送信信号が自装置向けの信号であると判断し、当該送信信号に含まれる作業指示情報をメモリに記憶する。一方で、制御部15は、両方の表示器識別情報が一致しない場合には、通信部14が受信した送信信号が他の電子表示器1向けの信号であると判断し、当該送信信号を破棄する。制御部15は、作業指示情報をメモリに記憶すると、表示部10を制御して、メモリ内の作業指示情報を表示部10に表示する。これにより、電子表示器1の表示画面10aには、当該電子表示器1が位置する作業場所30に応じた作業内容が表示されるようになる。したがって、作業者20は、近くに存在する電子表示器1に表示された作業内容に基づいて容易に作業を行うことができる。
【0037】
ここで、情報配信装置3から配信される作業指示情報の情報量が多くて当該作業指示情報が複数のページに及ぶ場合には、作業者20は、下側操作ボタン13だけを短時間押下することによって(いわゆる「短押し」)、電子表示器1の表示部10に作業指示情報を1ページずつ表示することができる。制御部15は、下側操作ボタン13だけが押下されるたびに、メモリに記憶されている作業指示情報から次ページ分の情報を取り出して、それを表示部10に表示させる。このように、下側操作ボタン13は、表示画面10aでの表示ページの切り替えボタンとして機能する。
【0038】
また、本電子表示器1では、上側操作ボタン12と下側操作ボタン13とが同時に長時間押されると(いわゆる「長押し」)、表示部10及び通信部14に対する電源の供給が停止し、本電子表示器1は、電源ON状態から電源OFF状態に変化する。また、本電子表示器1では、電源OFF状態において、上側操作ボタン12と下側操作ボタン13とが同時に長時間押されると、表示部10及び通信部14に電源が供給されるようになり、本電子表示器1は、電源OFF状態から電源ON状態となる。表示部10及び通信部14に対する電源の供給は、制御部15によって制御される。
【0039】
また、本実施の形態1に係る電子表示システム100では、正常動作を行う限りにおいては、電子表示器1が新たな作業場所30に移動すると、当該電子表示器1には、当該新たな作業場所30に応じた作業内容が表示されて、当該電子表示器1の表示は自動的に更新されるようになる。しかしながら、通信装置5と電子表示器1との間に通信不良が生じる等によって、本電子表示システム100が誤動作した場合には、電子表示器1が新たな作業場所30に搬送された場合であっても、その表示が自動的に更新されないことがある。
【0040】
そこで、本実施の形態1に係る電子表示システム100では、作業者20は、電子表示器1の上側操作ボタン12だけを短時間押下することによって、当該電子表示器1の表示を手動で更新することが可能となっている。このときの本電子表示システム100の動作については後で詳細に説明する。
【0041】
なお、上述の説明からも理解できるように、複数の作業場所30のそれぞれにタグリーダ2を設けて、電子表示器1にICタグ11を設けて、さらに、工程管理サーバ4が管理ファイル43aを管理することによって、電子表示器1が存在する位置(より正確には作業場所30)を特定することができる。よって、電子表示器1に設けたICタグ11と、複数のタグリーダ2と、工程管理サーバ4とは、当該電子表示器1の位置を特定する位置特定部として機能する。
【0042】
<本電子表示システムの基本動作>
次に、新たな作業場所30に移動した電子表示器1の表示が更新される際の本電子表示システム100の動作について説明する。図4は当該動作を説明するためのフローチャートである。以下では、説明の対象となる電子表示器1を「対象電子表示器1」と呼ぶ。
【0043】
図4に示されるように、ステップs1において、トレー等の容器に取り付けられた対象電子表示器1が、当該容器とともにコンベア等の搬送手段によって、新たな作業場所30まで搬送されると、ステップs2において、対象電子表示器1に新たに表示させる作業指示情報が工程管理サーバ4において管理ファイル43aから取得される。ステップs2では、まず、対象電子表示器1のICタグ11から、その近傍のタグリーダ2に対して対象電子表示器1を識別するための表示器識別情報が送信される。次に、タグリーダ2は、受信した表示器識別情報と、自身が記憶するタグリーダ識別情報とを工程管理サーバ4に出力する。工程管理サーバ4は、入力されたタグリーダ識別情報で特定されるタグリーダ2が配置された作業場所30に対応する作業指示情報を管理ファイル43aから取得する。ここで取得された作業指示情報が示す作業内容が、対象電子表示器1に新たに表示すべき作業内容である。
【0044】
次にステップs3において、ステップs2で取得された作業指示情報が対象電子表示器1に送信される。ステップs3では、まず、工程管理サーバ4が、取得した作業指示情報と、タグリーダ2から受け取った表示器識別情報とを含む送信信号を通信装置5に出力する。通信装置5は入力された送信信号を対象電子表示器1に送信する。
【0045】
次にステップs4において、対象電子表示器1は、受信した送信信号に含まれる表示器識別情報と、予め記憶する表示器識別情報とが一致すると、当該送信信号に含まれる作業指示情報を記憶する。そして、対象電子表示器1は、記憶した作業指示情報を表示部10に表示する。これにより、対象電子表示器1の表示部10の表示内容は、前の作業場所30に応じた作業内容から、新たな作業場所30に応じた作業内容に変更されるようになる。
【0046】
ステップs4において対象電子表示器1の表示が変更されると、ステップs5において、作業者20は、対象電子表示器1に表示された作業内容に従って作業を開始する。その後、ステップs6において作業が終了すると、再度ステップs1が実行されて、対象電子表示器1は次の新たな作業場所30に搬送される。以後、同様の処理が行われる。
【0047】
<電子表示器の表示の手動更新>
上述のように、本電子表示システム100が誤動作した場合には、電子表示器1が新たな作業場所30に搬送された場合であっても、その表示が自動的に更新されないことがある。本実施の形態1に係る電子表示システム100では、電子表示器1の上側操作ボタン12を操作することによって、当該電子表示器1の表示を手動で更新できるようになっている。以下に、電子表示器1の表示を手動で更新する場合の本電子表示システム100の動作について図5を参照して説明する。
【0048】
図5に示されるように、ステップs11において、対象電子表示器1が新たな作業場所30に移動しても、対象電子表示器1において表示される作業指示情報が更新されない場合には、作業者20は、ステップs12において、対象電子表示器1の表示変更を手動で行うために、対象電子表示器1の前面の上側操作ボタン12だけを短時間押下する。対象電子表示器1では、上側操作ボタン12だけが短時間押下されると、ステップs13において、その操作情報が制御部15に入力され、制御部15は、作業指示情報の再送の要求を示す再送要求信号を生成する。そして、制御部15は、生成した再送要求信号に、自装置の表示器識別情報を含めて、当該再送要求信号を通信部14に送信させる。
【0049】
対象電子表示器1から送信された再送要求信号は、通信装置5を通じて工程管理サーバ4のCPU40に入力される。CPU40は、入力された再送要求信号に含まれる表示器識別情報に対応する作業指示情報を管理ファイル43aから取得する。ここで取得された作業指示情報は、対象電子表示器1が表示できなかった情報である。CPU40は、取得した作業指示情報と、入力された再送要求信号に含まれる表示器識別情報とを含む送信信号を生成して通信装置5に出力する。通信装置5は、入力された送信信号を送信する。これにより、ステップs14において、対象電子表示器1が表示できなかった作業指示情報が再送される。
【0050】
対象電子表示器1は、受信した送信信号に含まれる表示器識別情報と、自身が記憶する表示器識別情報とが一致すると、ステップs15において、当該送信信号に含まれる作業指示情報を表示部10に表示する。これにより、対象電子表示器1の表示が更新される。
【0051】
<操作ボタンに割り当てる動作の変更>
上述のように、電子表示器1は、上側操作ボタン12だけが操作されると再送要求信号を送信し、下側操作ボタン13だけが操作されると表示ページを次ページに変更する。さらに、電子表示器1は、電源ON状態において上側操作ボタン12及び下側操作ボタン13が同時に長押しされると電源OFF状態となり、電源OFF状態において上側操作ボタン12及び下側操作ボタン13が同時に長押しされると電源ON状態となる。本実施の形態に係る電子表示器1では、操作ボタンが操作された際の動作が、このようなデフォルト動作から他の動作に変更するようになっている。つまり、電子表示器1では、操作ボタンに割り当てられる動作がデフォルト動作から他の動作に変更するようになっている。具体的には、電子表示器1では、その位置に応じて、操作ボタンが操作された際の動作が変更し、さらに、現在時刻に応じて、操作ボタンが操作された際の動作が変更するようになっている。
【0052】
例えば、電子表示器1が、コンベア等の搬送手段によって、作業場所30から作業終了場所に搬送されると、当該電子表示器1では、操作ボタンが操作された際の動作がデフォルト動作から変化する。そして、電子表示器1が作業終了場所から作業場所30に搬送されると、当該電子表示器1では、操作ボタンが操作された際の動作がデフォルト動作に戻るようになる。ここで、作業終了場所とは、すべての作業工程が実行された作業対象物、つまり完成品が集められる場所である。完成品が搭載された容器に取り付けられた電子表示器1は、完成品とともに作業終了場所に搬送される。その後、容器から完成品が取り除かれて、当該容器に新たな作業対象物が搭載されると、この新たな作業対象物とともに電子表示器1は、作業終了場所から最初の作業工程が行われる作業場所30に搬送されるようになる。このように、電子表示器1では、その位置が作業終了場所に存在する場合には、操作ボタンが操作された際の動作がデフォルト動作とは異なったものとなる。
【0053】
また、本実施の形態では、現在時刻が休憩開始時刻になると、電子表示器1では、操作ボタンが操作された際の動作がデフォルト動作から変化する。そして、現在時刻が休憩終了時刻になると、電子表示器1では、操作ボタンが操作された際の動作がデフォルト動作に戻るようになる。このように、電子表示器1では、休憩開始時刻から休憩終了時刻までの休憩時間においては、操作ボタンが操作された際の動作がデフォルト動作とは異なったものとなる。
【0054】
さらに、現在時刻が一日の作業終了時刻になると、電子表示器1では、操作ボタンが操作された際の動作がデフォルト動作から変化する。そして、現在時刻が次の日の作業開始時刻になると、電子表示器1では、操作ボタンが操作された際の動作がデフォルト動作に戻るようになる。このように、電子表示器1では、作業終了時刻から作業開始時刻までの作業終了時間においては、操作ボタンが操作された際の動作がデフォルト動作とは異なったものとなる。
【0055】
以後、操作ボタンが操作された際に電子表示器1が行うデフォルト動作の変更先の動作を単に「変更先動作」と呼ぶことがある。
【0056】
図6は、電子表示器1において、操作ボタンが操作された際のデフォルト動作と、作業終了場所、休憩時間及び作業終了時間において操作ボタンが操作された際の動作(変更先動作)とを示す図である。図6に示されるように、作業終了場所、休憩時間及び作業終了時間においては、電子表示器1は、電源ON状態において、上側操作ボタン12だけが短時間押下されると電源OFF状態となり、電源OFF状態において、上側操作ボタン12だけが短時間押下されると電源ON状態となる。また、作業終了場所、休憩時間及び作業終了時間において、電子表示器1は、下側操作ボタン13だけが操作されると、短押し及び長押しにかかわらず、制御部15はその操作を無視する動作を行うようになっている。
【0057】
本実施の形態1に係る電子表示システム100では、電子表示器1が作業場所30に存在する場合には、電子表示器1が不用意に電源OFF状態とならないように、デフォルト動作では、上側操作ボタン12と下側操作ボタン13が同時に長押しされたときに、電子表示器1を電源ON状態から電源OFF状態に変化させている。
【0058】
一方で、電子表示器1が作業終了場所に存在する場合には、電子表示器1が使用されない場合が多いため、簡単な操作で電子表示器1を電源OFF状態にできるために、上側操作ボタン12だけの短押しで電子表示器1を電源ON状態から電源OFF状態に変化させている。さらに、電子表示器1の使用を再開する際には、簡単な操作で電子表示器1を電源ON状態にできるために、上側操作ボタン12だけの短押しで電子表示器1を電源OFF状態から電源ON状態に変化させている。
【0059】
次に、電子表示器1が作業終了場所に搬送されて当該電子表示器1の操作ボタンに割り当てられる動作が変更される際の本電子表示システム100の動作については説明する。図7は当該動作を示すフローチャートである。本実施の形態1では、作業終了場所にもタグリーダ2が配置されており、工程管理サーバ4が記憶する管理ファイル43aには、作業終了場所と、作業終了場所に配置されたタグリーダ2のタグリーダ識別情報とが対応付けられて記述されている。これにより、工程管理サーバ4において、電子表示器1が作業終了場所に位置することが検出できるようになっている。
【0060】
図7に示されるように、ステップs21において、搬送手段によって対象電子表示器1が作業終了場所に搬送されると、対象電子表示器1のICタグ11から、作業終了場所に配置されたタグリーダ2に対して対象電子表示器1を識別するための表示器識別情報が送信される。そして、タグリーダ2は、受信した表示器識別情報と、自身が記憶するタグリーダ識別情報とを工程管理サーバ4に出力する。工程管理サーバ4では、CPU40が、管理ファイル43aを参照して、入力されたタグリーダ識別情報に作業終了場所が対応付けられていることを確認する。これにより、工程管理サーバ4では、入力された表示器識別情報で特定される電子表示器1が作業終了場所に存在することが認識される。
【0061】
次にステップs22において、工程管理サーバ4のCPU40は、電子表示器1に対して操作ボタンに割り当てる動作を変更することを指示する動作変更指示情報と、入力された表示器識別情報(対象電子表示器1の表示器識別情報)とを含む送信信号を生成する。この送信信号は通信装置5から送信される。
【0062】
次にステップs23において、対象電子表示器1が動作変更指示情報を含む送信信号を受信すると、制御部15は、当該送信信号に含まれる表示器識別情報と、自身が記憶する表示器識別情報とを比較する。制御部15は、両識別情報が一致すると、ステップs24において、操作ボタンに割り当てる動作を、デフォルト動作から、上述の作業終了場所での動作に変更する。つまり、対象電子表示器1は、操作ボタンが操作された際に実行する動作を、デフォルト動作から、作業終了場所での動作に変更する。その後、作業終了場所に存在する対象電子表示器1は、操作ボタンが操作されると、変更後の動作を実行する。
【0063】
次にステップs25において、搬送手段によって対象電子表示器1が再び作業場所30に搬送されると、対象電子表示器1のICタグ11から、その近傍のタグリーダ2に対して表示器識別情報が送信される。タグリーダ2は、受信した表示器識別情報と、自身が記憶するタグリーダ識別情報とを工程管理サーバ4に出力する。工程管理サーバ4では、CPU40が、入力されたタグリーダ識別情報で特定されるタグリーダ2が配置された作業場所30に対応する作業指示情報を管理ファイル43aから取得する。そして、CPU40は、取得した作業指示情報と、動作変更指示情報と、入力された表示器識別情報とを含む送信信号を生成する。この送信信号はステップs26において通信装置5から送信される。
【0064】
次にステップs27において、対象電子表示器1が情報配信装置3からの送信信号を受信すると、制御部15は、当該送信信号に含まれる表示器識別情報と、自身が記憶する表示器識別情報とを比較する。制御部15は、両識別情報が一致すると、入力された送信信号に含まれる作業指示情報を表示部10に表示するとともに、ステップs28において、操作ボタンに割り当てる動作をデフォルト動作に戻す。その後、作業場所30に存在する対象電子表示器1は、操作ボタンが操作されると、デフォルト動作を実行する。
【0065】
次に、現在時刻が休憩開始時刻あるいは作業終了時刻になって電子表示器1の操作ボタンに割り当てられる動作が変更される際の本電子表示システム100の動作について説明する。図8は当該動作を示すフローチャートである。
【0066】
図8に示されるように、ステップs31において、工程管理サーバ4の計時部44は、自身が計測する現在時刻が、自身に予め設定されている休憩開始時刻及び作業終了時刻のどちらか一方と一致すると、CPU40に対してその旨を通知する。CPU40は、計時部44から、現在時刻が休憩開始時刻及び作業終了時刻のどちらか一方と一致した旨が通知されると、ステップs32において、動作変更指示情報と、当該動作変更指示情報の送信対象の電子表示器1についての表示器識別情報とを含む送信信号を生成し、当該送信信号をインターフェイス48及び通信装置5を通じて送信する。このとき、CPU40は、複数の作業場所30に存在する複数の電子表示器1のそれぞれを、動作変更指示情報の送信対象とする。そして、CPU40は、当該複数の電子表示器1のそれぞれについて、表示器識別情報と動作変更指示情報とを含む送信信号を生成する。これらの送信信号は、通信装置5から順に送信される。なお、複数の作業場所30に存在する複数の電子表示器1についての表示器識別情報は管理ファイル43aから取得できる。
【0067】
次にステップs33において、電子表示器1が動作変更指示情報を含む送信信号を受信すると、当該電子表示器1の制御部15は、当該送信信号に含まれる表示器識別情報と、自身が記憶する表示器識別情報とを比較する。制御部15は、両識別情報が一致すると、ステップs34において、操作ボタンに割り当てる動作を、デフォルト動作から、上述の図6に示される変更先動作に変更する。その後、電子表示器1は、操作ボタンが操作されると、変更後の動作を実行する。
【0068】
次にステップs35において、工程管理サーバ4の計時部44は、自身が計測する現在時刻が、自身に予め設定されている休憩終了時刻及び作業開始時刻のどちらか一方と一致すると、CPU40に対してその旨を通知する。CPU40は、計時部44から、現在時刻が休憩終了時刻及び作業開始時刻のどちらか一方と一致した旨が通知されると、ステップs36において、動作変更指示情報と、当該動作変更指示情報の送信対象の電子表示器1の表示器識別情報とを含む送信信号を生成し、当該送信信号をインターフェイス48及び通信装置5を通じて送信する。このときも、CPU40は、複数の作業場所30に存在する複数の電子表示器1のそれぞれを、動作変更指示情報の送信対象とする。そして、CPU40は、当該複数の電子表示器1のそれぞれについて、表示器識別情報と動作変更指示情報とを含む送信信号を生成する。これらの送信信号は通信装置5から順に送信される。
【0069】
次にステップs37において、電子表示器1が動作変更指示情報を含む送信信号を受信すると、当該電子表示器1の制御部15は、当該送信信号に含まれる表示器識別情報と、自身が記憶する表示器識別情報とを比較する。制御部15は、両識別情報が一致すると、ステップs38において、操作ボタンに割り当てる動作をデフォルト動作に戻す。その後、電子表示器1は、操作ボタンが操作されるとデフォルト動作を実行する。
【0070】
以上のように、本実施の形態1に係る電子表示システム100では、電子表示器1の位置に応じて、当該電子表示器1が有する操作ボタンが操作された際の当該電子表示器1の動作が自動的に変更される。そのため、電子表示器1の位置に応じて、当該電子表示器1の操作ボタンに適切な動作を自動的に割り当てることができる。よって、電子表示器1は、操作ボタンが操作された際に、当該電子表示器1の位置に応じた適切な動作を行うことができる。
【0071】
また、本実施の形態1では、現在時刻に応じて、電子表示器1が有する操作ボタンが操作された際の当該電子表示器1の動作が自動的に変更される。そのため、現在時刻に応じて、電子表示器1の操作ボタンに適切な動作を自動的に割り当てることができる。よって、電子表示器1は、操作ボタンが操作された際に、現在時刻に応じた適切な動作を行うことができる。
【0072】
<第1の変形例>
上述の図6では、操作ボタンが操作された際の電子表示器1でのデフォルト動作と変更先動作との組合せの一例を示したが、デフォルト動作と変更先動作との組合せについては他のものでも良い。図9は電子表示器1でのデフォルト動作と変更先動作の組合せの他の例を示す図である。図9の例では、図6の例と比較して変更先動作が異なっている。図9の例では、作業終了場所、休憩時間及び作業終了時間において、電子表示器1の上側操作ボタン12及び下側操作ボタン13が操作された際には、短押し及び長押しにかかわらず、制御部15がその操作を無視している。これにより、電子表示器1が使用されない場合において、操作ボタンが操作されたとしても、電子表示器1が無駄な動作を行うことを防止できる。その結果、電子表示器1での消費電力を低減できる。これは、本実施の形態1のように電子表示器1が電池駆動する場合に特に有効である。
【0073】
<第2の変形例>
図10は電子表示器1でのデフォルト動作と変更先動作の組合せの他の例を示す図である。図10の例では、図6の例と比較してデフォルト動作が異なっている。本例は、作業指示情報が示す作業内容が複数の作業指示で構成されている場合の例である。図10のデフォルト動作では、電子表示器1の上側操作ボタン12だけが短時間押下されると、制御部15は、メモリに記憶されている作業指示情報から、表示部10が現在表示している作業指示の次の作業指示を示す情報を取り出して、それを表示部10に表示させる。一方で、電子表示器1の下側操作ボタン13だけが短時間押下されると、制御部15は、メモリに記憶されている作業指示情報から、表示部10が現在表示している作業指示の前の作業指示を示す情報を取り出して、それを表示部10に表示させる。これより、操作ボタンを操作することによって、作業内容を構成する複数の作業指示を一つずつ順番に表示することができる。
【0074】
なお、図10のデフォルト動作では、上側操作ボタン12と下側操作ボタン13が同時に長時間押された場合の電子表示器1の動作については、図6のデフォルト動作と同じである。
【0075】
<第3の変形例>
図11は電子表示器1でのデフォルト動作と変更先動作の組合せの他の例を示す図である。図11の例では、図6の例と比較してデフォルト動作が異なっている。本例は、作業指示情報が示す作業内容が多くて、当該作業内容を電子表示器1において一度に表示できない場合の例である。図11のデフォルト動作では、制御部15がメモリに記憶されている作業指示情報に基づいて表示部10を制御することによって、上側操作ボタン12が押下された時間に応じて、表示部10の表示が上方向にスクロールするようになっている。また、制御部15がメモリに記憶されている作業指示情報に基づいて表示部10を制御することによって、下側操作ボタン13が押下された時間に応じて、表示部10の表示が下方向にスクロールするようになっている。これより、操作ボタンを操作することによって、作業内容のすべてを簡単に表示することができる。
【0076】
なお、図11のデフォルト動作では、上側操作ボタン12と下側操作ボタン13が同時に長時間押された場合の電子表示器1の動作については、図6のデフォルト動作と同じである。
【0077】
<第4の変形例>
図12は電子表示器1でのデフォルト動作と変更先動作の組合せの他の例を示す図である。図12の例では、図6の例と比較して変更先動作が異なっている。本例は、複数の作業場所30の少なくとも一つが品質検査場所に設定されている場合の例である。電子表示器1が品質検査場所に搬送されると、情報配信装置3からは、作業指示情報として、作業対象物に対して行う品質検査の検査内容が当該電子表示器1に送られる。電子表示器1は送られてきた検査内容を表示する。作業者20は、電子表示器1が表示する検査内容に従って作業対象物に対して品質検査を行う。その後、作業者20は、品質検査の結果が合格であれば、上側操作ボタン12だけを短時間押下する。そうすると、制御部15は、品質検査結果が合格である旨を示すOK信号を生成して通信部14を通じて送信する。電子表示器1から送信されたOK信号は通信装置5を通じて工程管理サーバ4のCPU40に入力される。CPU40は、OK信号を受けると、ハードディスク43に対して品質検査結果が合格である旨を記録する。
【0078】
一方で、作業者20は、品質検査の結果が不合格であれば、下側操作ボタン13だけを短時間押下する。そうすると、制御部15は、品質検査結果が不合格である旨を示すNG信号を生成して通信部14を通じて送信する。電子表示器1から送信されたNG信号は通信装置5を通じて工程管理サーバ4のCPU40に入力される。CPU40は、NG信号を受けると、ハードディスク43に対して品質検査結果が不合格である旨を記録する。
【0079】
なお、電子表示器1が品質検査場所に存在する場合であっても、上側操作ボタン12と下側操作ボタン13が同時に長時間押された場合の電子表示器1の動作は変化せず、デフォルト動作と同じである。
【0080】
このように、電子表示器1が品質検査場所に存在する場合には、品質検査結果の合格/不合格を操作ボタンを操作することによって工程管理サーバ4に通知できるようにすることによって、品質検査結果を簡単に工程管理サーバ4に蓄積することができる。
【0081】
<第5の変形例>
図13は電子表示器1でのデフォルト動作と変更先動作の組合せの他の例を示す図である。図13の例では、図6の例と比較して変更先動作が異なっている。本例は、情報配信装置3が電子表示器1に対して裏画面情報を配信する場合の例である。ここで裏画面情報とは、本電子表示システム100が導入される製造工場での物品の製造に関する、作業指示情報以外の情報である。裏画面情報としては、例えば、作業対象物の出来高及び歩留り、作業温度等の各作業場20での作業環境条件などがある。本例では、工程管理サーバ4のハードディスク43に裏画面情報が記憶されており、工程管理サーバ4は電子表示器1からの送信要求があると、通信装置5を通じて裏画面情報を当該電子表示器1に対して送信する。工程管理サーバ4への裏画面情報の入力は、例えば、作業管理者が操作部46を操作することによって行われる。以下に本例での電子表示システム100の動作について説明する。
【0082】
作業終了場所、休憩時間及び作業終了時間において、例えば作業管理者が、電子表示器1の上側操作ボタン12を短時間押下すると、当該電子表示器1の制御部15は、裏画面情報の送信要求を示す送信要求信号を生成し、これを通信部14を通じて送信する。この送信要求信号には、当該電子表示器1の表示器識別情報が含まれている。
【0083】
電子表示器1から送信された送信要求信号は、通信装置5を通じて工程管理サーバ4にCPU40に入力される。CPU40は、送信要求信号を受け取ると、ハードディスク43から裏画面情報を読み出して、当該裏画面情報と、受け取った送信要求信号に含まれる表示器識別情報とを含む送信信号を生成して、通信装置5を通じて送信する。
【0084】
電子表示器1では、通信部14が情報配信装置3からの送信信号を受信すると、制御部15は、当該送信信号に含まれる表示器識別情報と、自身が記憶する表示器識別情報とを比較する。制御部15は、両識別情報が一致すると、通信部14が受信した送信信号に含まれる裏画面情報を表示部10に表示させる。裏画面情報が複数のページで構成されている場合には、電子表示器1では、作業指示情報を表示する場合と同様に、下側操作ボタン13が短時間押下されると、表示部10が裏画面情報の次ページを表示する。
【0085】
このように、電子表示器1が作業終了場所に存在する場合や、現在時刻が休憩時間及び作業終了時間にある場合には、電子表示器1の上側操作ボタン12が操作されることによって、当該電子表示器1には裏画面情報が表示される。したがって、作業管理者は、作業終了場所、休憩時間及び作業終了時間において、電子表示器1を利用して裏画面情報を確認することができる。
【0086】
なお、本例での変動先動作では、上側操作ボタン12と下側操作ボタン13が同時に長時間押された場合の電子表示器1の動作については、図6のデフォルト動作と同じである。
【0087】
<第6の変形例>
図14は電子表示器1でのデフォルト動作と変更先動作の組合せの他の例を示す図である。図14の例では、図6の例と比較して、デフォルト動作及び変更先動作が異なっている。本例は、情報配信装置3が電子表示器1に対して作業者用裏画面情報と管理者用裏画面情報とを配信することが可能な場合の例である。ここで作業者用裏画面情報とは、作業者に向けた裏画面情報であって、例えば、作業者が行っている作業についての出来高や歩留りなどである。また、管理者用裏画面情報とは、作業管理者に向けた裏画面情報であって、例えば、完成品の出来高や歩留りなどである。作業者用裏画面情報と管理者用裏画面情報とは工程管理サーバ4のハードディスク43に記憶されている。以下に本例での電子表示システム100の動作について説明する。
【0088】
本例の電子表示器1のデフォルト動作は、図6のデフォルト動作に対して、上側操作ボタン12が長時間押下された際に、電子表示器1が、作業者用裏画面情報の送信要求を示す送信要求信号を送信する動作を加えたものである。作業者によって対象電子表示器1の上側操作ボタン12が長押しされると、対象電子表示器1の制御部15は、作業者用裏画面情報の送信要求を示す送信要求信号を生成し、これを通信部14を通じて送信する。この送信要求信号には、対象電子表示器1の表示器識別情報が含まれている。
【0089】
対象電子表示器1が送信要求信号を送信した後の本電子表示システム100の動作は、上述の図13の例と同様であり、最終的には、対象電子表示器1は、情報配信装置3からの作業者用裏画面情報を表示するようになる。そして、作業者裏画面情報が複数のページに及ぶ場合には、電子表示器1では、下側操作ボタン13が短時間押下されると、表示部10が作業者用裏画面情報の次ページを表示する。
【0090】
なお、電子表示器1の上側操作ボタン12が短押しされると、当該電子表示器1からは作業指示情報の再送要求が情報配信装置3に対して行われるため、作業者は、上側操作ボタン12を短押しすることによって、電子表示器1の表示内容を、作業者用裏画面情報から作業指示情報に戻すことができる。
【0091】
また、本例の変更先動作では、作業終了場所、休憩時間及び作業終了時間において、作業管理者が、対象電子表示器1の上側操作ボタン12を短時間押下すると、対象電子表示器1の制御部15は、管理者用裏画面情報の送信要求を示す送信要求信号を生成し、これを通信部14を通じて送信する。この送信要求信号には、対象電子表示器1の表示器識別情報が含まれている。これ以後の電子表示システム100の動作も、上述の図13の例と同様であり、最終的には、対象電子表示器1は、情報配信装置3からの管理者用裏画面情報を表示するようになる。そして、管理者用裏画面情報が複数のページに及ぶ場合には、電子表示器1では、下側操作ボタン13が短時間押下されると、表示部10が管理者用裏画面情報の次ページを表示する。
【0092】
なお、本例でのデフォルト動作及び変動先動作では、上側操作ボタン12と下側操作ボタン13が同時に長時間押された場合の電子表示器1の動作については、図6のデフォルト動作と同じである。
【0093】
このように、電子表示器1のデフォルト動作では、上側操作ボタン12が長押しされることによって、電子表示器1には作業者用裏画面情報が表示されるため、作業者は、作業場所30において作業時間中に作業者用裏画面情報を確認することができる。
【0094】
一方で、電子表示器1の変更先動作では、上側操作ボタン12が短押しされることによって、電子表示器1には管理者用裏画面情報が表示されるため、作業管理者は、作業終了場所や休憩時間あるいは作業終了時間において管理者用裏画面情報を確認することができる。
【0095】
<第7の変形例>
図15は電子表示器1でのデフォルト動作と変更先動作の組合せの他の例を示す図である。図15の例では、図6の例と比較して、デフォルト動作及び変更先動作が異なっている。本例は、電子表示器1が取り付けられた容器が、搬送手段ではなく人によって搬送される場合の例である。本例では、電子表示器1には、その搬送先を示す搬送先情報が表示され、搬送者は、電子表示器1に表示された搬送先情報を確認して、当該電子表示器1が取り付けられた容器を次の作業場所30に搬送する。また本例では、電子表示器1が作業場所30に搬送されると、当該電子表示器1では、操作ボタンに割り当てられる動作がデフォルト動作から変更するようになっている。以下に本例での電子表示システム100の動作について説明する。
【0096】
本例の電子表示器1のデフォルト動作では、上側操作ボタン12だけが操作された際には、短押し及び長押しにかかわらず、制御部15がその操作を無視する。また、下側操作ボタン13が操作された際には、短押し及び長押しにかかわらず、制御部15がその操作を無視する。上側操作ボタン12及び下側操作ボタン13が同時に長時間押下された際の電子表示器1の動作は、図6のデフォルト動作と同様である。
【0097】
これに対して、本例の電子表示器1の変更先動作では、上側操作ボタン12だけが短時間押下されると、電子表示器1は情報配信装置3に対して作業が完了したことを示す作業完了信号を送信する。下側操作ボタン13だけが短時間押下された際の電子表示器1の動作と、上側操作ボタン12及び下側操作ボタン13が同時に長時間押下された際の電子表示器1の動作は、図6のデフォルト動作と同じである。
【0098】
図16は本例の電子表示システム100の動作を説明するためのフローチャートである。図16に示されるように、ステップs41において、対象電子表示器1が取り付けられた容器が搬送者によって作業場所30に搬送されて、その後、当該容器が作業位置に配置されると、対象電子表示器1のICタグ11から、当該作業場所30に配置されたタグリーダ2に対して対象電子表示器1を識別するための表示器識別情報が送信される。そして、タグリーダ2は、受信した表示器識別情報と、自身が記憶するタグリーダ識別情報とを工程管理サーバ4に出力する。工程管理サーバ4では、CPU40が、管理ファイル43aから、入力されたタグリーダ識別情報に対応する作業指示情報を取得する。
【0099】
次にステップs42において、工程管理サーバ4のCPU40は、取得した作業指示情報と、動作変更指示情報と、入力された表示器識別情報(対象電子表示器1の表示器識別情報)とを含む送信信号を生成する。この送信信号は通信装置5から送信される。
【0100】
次にステップs43において、対象電子表示器1が通信装置5からの送信信号を受信すると、制御部15は、当該送信信号に含まれる表示器識別情報と、自身が記憶する表示器識別情報とを比較する。制御部15は、両識別情報が一致すると、通信部14が受信した送信信号に含まれる作業指示情報を表示部10に表示させる。その後、制御部15は、ステップs44において、操作ボタンに割り当てる動作を、デフォルト動作から図15の変更先動作に変更する。これにより、対象電子表示器1の上側操作ボタン12は、情報配信装置3に作業終了通知を行うための操作ボタンとなる。
【0101】
ステップs45において、対象電子表示器1が存在する作業場所30での作業が終了すると、ステップs46において、対象電子表示器1の上側操作ボタン12が作業者によって短押しされる。そうすると、ステップs47において、制御部15は、自装置の表示器識別情報を含む作業完了信号を生成して通信部14を通じて送信する。
【0102】
対象電子表示器1から送信された作業完了信号は、通信装置5を通じて工程管理サーバ4のCPU40に入力される。CPU40は、作業完了信号が入力されると、ステップs48において、対象電子表示器1の次の搬送先の作業場所30を特定する。ここで、ハードディスク43が記憶する管理ファイル43aには、複数の作業場所30のそれぞれについての電子表示器1が搬送される順序も記述されている。CPU40は、管理ファイル43aを参照して、作業完了信号に含まれる表示器識別情報、つまり対象電子表示器1の表示器識別情報に対応する作業場所30を特定し、その作業場所30の次に対象電子表示器1が搬送される作業場所30を特定する。そして、CPU40は、対象電子表示器1の次の搬送先の作業場所30を特定するための情報を搬送先情報として、当該搬送先情報と、動作変更指示情報と、対象電子表示器1の表示器識別情報とを含む送信信号を生成する。この送信信号は通信装置5から送信される。
【0103】
次にステップs49において、対象電子表示器1が通信装置5からの送信信号を受信すると、制御部15は、当該送信信号に含まれる表示器識別情報と、自身が記憶する表示器識別情報とを比較する。制御部15は、両識別情報が一致すると、通信部14が受信した送信信号に含まれる搬送先情報を表示部10に表示させる。その後、制御部15は、ステップs50において、操作ボタンに割り当てる動作を、変更先動作からデフォルト動作に戻す。
【0104】
その後、搬送者は、対象電子表示器1に表示されている搬送先情報を確認して、対象電子表示器1を次の作業場所30まで搬送する。以後、電子表示システム100では同様の動作が行われる。
【0105】
このように、電子表示器1が作業場所30に搬送されると、当該電子表示器1の操作ボタンを、情報配信装置3に対して作業完了通知を行うための操作ボタンに変更することによって、情報配信装置3から、作業完了後に、当該電子表示器1の搬送先を示す情報を配信して当該電子表示器1に表示させることができる。よって、搬送者は、電子表示器1に表示される情報を確認することによって、当該電子表示器1を次の搬送先まで簡単に搬送することができる。
【0106】
実施の形態2.
図17は本発明の実施の形態2に係る電子表示システム200の構成を示す図である。本実施の形態2に係る電子表示システム200の構成は、上述の実施の形態1に係る電子表示システム100の構成において、情報配信装置3及び電子表示器1の替わりに情報配信装置130及び電子表示器110を設けるとともに、複数のタグリーダ2及びネットワーク6を除去したものである。そして、情報配信装置130の構成は、上述の情報配信装置3の構成において、工程管理サーバ4の替わりに工程管理サーバ140を設けたものである。以下に、上述の電子表示システム100との相違点を中心に、本電子表示システム200について説明する。
【0107】
図18は各電子表示器110の構成を示す図である。図18に示されるように、電子表示器110の構成は、上述の図2に示される電子表示器1の構成において、ICタグ11を除去するとともに、位置特定部16及び計時部17をさらに設けたものである。位置特定部16は、自身が属する電子表示器1の位置を特定する。位置特定部16は、例えばGPS(Global Positioning System)受信機であって、GPS衛星からの受信信号に基づいて自装置の位置を緯度経度で特定する。計時部17は現在時刻を計測する。なお、上側操作ボタン12及び下側操作ボタン13に割り当てられるデフォルト動作及び変更先動作は上述の図6と同様である。
【0108】
図19は工程管理サーバ140の構成を示す図である。図19に示されるように、工程管理サーバ140の構成は、上述の図3に示される工程管理サーバ4の構成において、計時部44を除去したものである。本実施の形態2に係る工程管理サーバ140のハードディスク43は管理ファイル43aの替わりに管理ファイル143aを記憶している。管理ファイル143aには、各作業場所30について、作業場所30と、当該作業場所30での作業工程についての作業内容を示す作業指示情報とが対応付けられて記述されている。
【0109】
<本電子表示システムの基本動作>
次に、新たな作業場所30に移動した電子表示器110の表示が変更される際の本電子表示システム200の動作について説明する。図20は当該動作を説明するためのフローチャートである。以下では、説明の対象となる電子表示器110を「対象電子表示器110」と呼ぶ。
【0110】
図20に示されるように、ステップs61において、容器に取り付けられた対象電子表示器110が、当該容器とともに搬送手段によって新たな作業場所30まで搬送されると、ステップs62において、対象電子表示器110では、自装置が新たな作業場所30に搬送されたことが認識される。制御部15のメモリには各作業場所30の位置が登録されていることから、制御部15は、位置特定部16で特定される自装置の位置を定期的に確認することによって、自装置が新たな作業場所30に移動したことを認識することができる。制御部15は、自装置が新たな作業場所30に移動したことを認識すると、当該作業場所30を示す情報を位置情報として、当該位置情報と自装置の表示器識別情報とを含む送信信号を生成し、通信部14を通じて送信する。
【0111】
対象電子表示器110からの送信信号は通信装置5を通じて工程管理サーバ140のCPU40に入力される。CPU40は、対象電子表示器110からの送信信号が入力されると、ステップs63において、当該送信信号に含まれる位置情報が示す作業場所30に対応する作業指示情報を管理ファイル143aから取得する。そして、ステップs64において、CPU40は、取得した作業指示情報と、入力された表示器識別情報とを含む送信信号を生成する。この送信信号は通信装置5から送信される。
【0112】
対象電子表示器110では、通信部14において通信装置5からの送信信号が受信されると、制御部15は、当該送信信号に含まれる表示器識別情報と、予め記憶する表示器識別情報とを比較する。制御部15は、両識別情報が一致すると、通信部14が受信した送信信号に含まれる作業指示情報を記憶するとともに、当該作業指示情報を表示部10に表示させる。これにより、対象電子表示器110の表示が更新される。
【0113】
対象電子表示器110の表示が更新されると、ステップs66において、作業者20は、対象電子表示器110に表示されている作業指示情報に従って作業を開始する。その後、ステップs67において作業が終了すると、再度ステップs61が実行されて、対象電子表示器110は次の新たな作業場所30に搬送される。以後、同様の処理が行われる。
【0114】
なお、電子表示器110が新たな作業場所30に搬送されたとしても、本電子表示システム200が誤動作した場合には、当該電子表示器110の表示が更新されないことがある。この場合には、上述の実施の形態1と同様に、電子表示器110の上側操作ボタン12が短押しされると、当該電子表示器110から作業指示情報の再送要求が情報配信装置130に通知される。電子表示器110から再送要求が通知された情報配信装置130は、当該電子表示器110に対して作業指示情報を再送する。電子表示器110は、再送された作業指示情報を受信すると、当該作業指示情報を表示する。
【0115】
<操作ボタンに割り当てる動作の変更>
次に、電子表示器110が作業終了場所に搬送されて当該電子表示器110の操作ボタンに割り当てられる動作が変更される際の本電子表示システム200の動作については説明する。図21は当該動作を示すフローチャートである。本実施の形態2に係る電子表示器110では、作業終了場所の位置も制御部15のメモリに登録されており、制御部15は、位置特定部16で特定される自装置の位置を定期的に確認することによって、自装置が作業終了場所に移動したことを認識できる。
【0116】
図21に示されるように、ステップs71において、搬送手段によって対象電子表示器110が作業終了場所に搬送されると、対象電子表示器110では、制御部15が、自装置が作業終了場所に移動したことを認識する。制御部15は、自装置が作業終了場所に移動したと認識すると、ステップs72において、操作ボタンに割り当てる動作を、デフォルト動作から変更先動作に変更する。
【0117】
その後、ステップs73において、搬送手段によって対象電子表示器110が再び作業場所30に搬送されると、対象電子表示器110では、制御部15が、自装置が作業場所30に移動したことを認識する。制御部15は、自装置が作業場所30に移動したと認識すると、ステップs74において、操作ボタンに割り当てる動作にデフォルト動作に戻す。
【0118】
次に、現在時刻が休憩開始時刻あるいは作業終了時刻になって電子表示器110の操作ボタンに割り当てられる動作が変更される際の本電子表示システム200の動作について説明する。図22は当該動作を示すフローチャートである。
【0119】
図22に示されるように、ステップs81において、対象電子表示器110の計時部17は、自身が計測する現在時刻が、自身に予め設定されている休憩開始時刻及び作業終了時刻のどちらか一方と一致すると、制御部15に対してその旨を通知する。制御部15は、計時部17から、現在時刻が休憩開始時刻及び作業終了時刻のどちらか一方と一致した旨が通知されると、ステップs82において、操作ボタンに割り当てる動作を、デフォルト動作から変更先動作に変更する。
【0120】
ステップs83において、計時部17は、自身が計測する現在時刻が、自身に予め設定されている休憩終了時刻及び作業開始時刻のどちらか一方と一致すると、制御部15に対してその旨を通知する。制御部15は、計時部17から、現在時刻が休憩終了時刻及び作業開始時刻のどちらか一方と一致した旨が通知されると、ステップs84において、操作ボタンに割り当てる動作にデフォルト動作に戻す。
【0121】
以上のように、本実施の形態2では、実施の形態1と同様に、電子表示器110の位置に応じて、操作ボタンが操作された際の動作が自動的に変更される。そのため、電子表示器110の位置に応じて、当該電子表示器110の操作ボタンに適切な動作を自動的に割り当てることができる。よって、電子表示器110は、操作ボタンが操作された際に、当該電子表示器110の位置に応じた適切な動作を行うことができる。
【0122】
また、本実施の形態2では、実施の形態1と同様に、現在時刻に応じて、電子表示器110が有する操作ボタンが操作された際の当該電子表示器110の動作が自動的に変更される。そのため、現在時刻に応じて、電子表示器110の操作ボタンに適切な動作を自動的に割り当てることができる。よって、電子表示器110は、操作ボタンが操作された際に、現在時刻に応じた適切な動作を行うことができる。
【0123】
なお、本実施の形態2に係る電子表示システム200では、電子表示器110の位置に応じて、当該電子表示器110が自ら、操作ボタンが操作された際の動作を変更している。具体的には、電子表示器110の制御部15が、当該電子表示器110の位置に応じて、当該電子表示器110の操作ボタンが操作された際の当該電子表示器110の動作を変更している。このように、本電子表示システム200では、電子表示器110の位置に応じて、当該電子表示器110の操作ボタンが操作された際の当該電子表示器110の動作の変更を行う動作変更部が当該電子表示器110に設けられている。
【0124】
これに対して、上述の実施の形態1に係る電子表示システム100では、電子表示器1の位置に応じて、情報配信装置3が、当該電子表示器1の操作ボタンが操作された際の当該電子表示器1の動作の変更を行っている。具体的には、情報配信装置3における工程管理サーバ4のCPU40が、電子表示器110の位置に応じて、当該電子表示器110の操作ボタンが操作された際の当該電子表示器110の動作を変更している。このように、電子表示器1の位置に応じて、当該電子表示器1の操作ボタンが操作された際の当該電子表示器1の動作の変更を行う動作変更部を情報配信装置3に設けることによって、電子表示器1での処理が簡素化される。よって、電子表示器1での消費電力が低減される。これは、電池で駆動する電子表示器1では特に有効である。
【0125】
また、本電子表示システム200では、現在時刻に応じて、電子表示器110が自ら、操作ボタンが操作された際の動作を変更している。具体的には、電子表示器110の制御部15が、現在時刻に応じて、当該電子表示器110の操作ボタンが操作された際の当該電子表示器110の動作を変更している。このように、本電子表示システム200では、現在時刻に応じて、電子表示器110の操作ボタンが操作された際の当該電子表示器110の動作の変更を行う動作変更部が当該電子表示器110に設けられている。さらに、本電子表示システム200では、現在時刻を計測する計時部17が電子表示器110に設けられている。
【0126】
これに対して、上述の実施の形態1に係る電子表示システム100では、現在時刻に応じて、情報配信装置3が、当該電子表示器1の操作ボタンが操作された際の当該電子表示器1の動作の変更を行っている。具体的には、情報配信装置3における工程管理サーバ4のCPU40が、現在時刻に応じて、電子表示器110の操作ボタンが操作された際の当該電子表示器110の動作を変更している。このように、現在時刻に応じて、電子表示器1の操作ボタンが操作された際の当該電子表示器1の動作の変更を行う動作変更部を情報配信装置3に設けることによって、電子表示器1での処理が簡素化される。その結果、電子表示器1での消費電力を低減できる。さらに、実施の形態1のように、現在時刻を計測する計時部44を情報配信装置3に設けることによって、電子表示器1での処理がさらに簡素化され、電子表示器1での消費電力がさらに低減する。
【符号の説明】
【0127】
1,110 電子表示器
2 タグリーダ
3,130 情報配信装置
4 工程管理サーバ
10a 表示画面
11 ICタグ
12 上側操作ボタン
13 下側操作ボタン
15 制御部
16 位置特定部
40 CPU
17,44 計時部
100,200 電子表示システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示画面と、当該表示画面とは別に設けられた操作ボタンとを有する電子表示器と、前記電子表示器が表示する情報を当該電子表示器に配信する情報配信装置とを備える電子表示システムであって、
前記電子表示器の位置を特定する位置特定部と、
前記位置特定部で特定される前記電子表示器の位置に応じて、前記操作ボタンが操作された際の前記電子表示器の動作を変更する動作変更部と
を備える、電子表示システム。
【請求項2】
請求項1に記載の電子表示システムであって、
前記動作変更部は、前記情報配信装置に設けられている、電子表示システム。
【請求項3】
表示画面と、当該表示画面とは別に設けられた操作ボタンとを有する電子表示器と、前記電子表示器が表示する情報を当該電子表示器に配信する情報配信装置とを備える電子表示システムであって、
現在時刻を計測する計時部と、
前記計時部で計測される現在時刻に応じて、前記操作ボタンが操作された際の前記電子表示器の動作を変更する動作変更部と
を備える、電子表示システム。
【請求項4】
請求項3に記載の電子表示システムであって、
前記計時部及び前記動作変更部は、前記情報配信装置に設けられている、電子表示システム。
【請求項5】
表示画面と、当該表示画面とは別に設けられた操作ボタンとを備える電子表示器であって、
前記電子表示器の位置を特定する位置特定部と、
前記位置特定部で特定される前記電子表示器の位置に応じて、前記操作ボタンが操作された際の前記電子表示器の動作を変更する動作変更部と
を備える、電子表示器。
【請求項6】
表示画面と、当該表示画面とは別に設けられた操作ボタンとを備える電子表示器であって、
現在時刻を計測する計時部と、
前記計時部で計測される現在時刻に応じて、前記操作ボタンが操作された際の前記電子表示器の動作を変更する動作変更部と
を備える、電子表示器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2010−243672(P2010−243672A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−90467(P2009−90467)
【出願日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】