説明

電子表示装置、およびこのような表示装置を有する流体ディスペンサ装置

電子表示装置、およびこのような表示装置を有する流体ディスペンサ装置
電子表示装置(20)であって、表示部材(21)を有し、特徴となるのは、
前記表示部材(21)は恒久的であって、表示を変化させずに維持する場合にはエネルギーを必要とせず、前記表示装置(20)はバッテリなしで動作し、表示を変化させるために必要となるエネルギーは摩擦または衝突などによる2つの部品間の相互作用によって生成され、それによって電気パルスが生成され、前記パルスは、電気回路(25)によって処理された後、表示を変化させるため表示部材(21)に入力されることである、という前記装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子表示装置、およびこうした表示装置を有する流体ディスペンサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子表示装置は多くの技術分野において広く使用されている。具体的な使用分野として、特に医薬品の分野で流体ディスペンサ装置と共に使用されるドーズインジケータがある。具体的に言えば、こうしたドーズインジケータは、ユーザが投与済みのドーズ数や未投与で残っている分のドーズ数を知ることを可能にする。一般的に、こうした用途においては、1ドーズ分が投与されている間、すなわちディスペンサの駆動中に電子信号が発生され、この電子信号はその後電子処理され、表示を変化させるため(すなわち、1ドーズ分カウントを増やしたり減らしたりするため)電子表示に転換される。一般的に、表示は液晶ディスプレイ(LCD)で構成されている。こうしたインジケータ、あるいはさらに一般的には電子表示装置を作動するためには、電力源を使用する必要があり、一般的に、当該電力源は再充電可能な(必至ではない)バッテリとするか、または電源接続としてもよい。そうした種類の電力源は設置および実装が比較的高コストであるため、結果として投薬用ディスペンサの製造および使用のコストが増加する。特に、それら電力源を制御および管理するために、同様に高コストな制御電子機器が必要となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上記の問題が生じない電子表示装置を提供することを目的とする。
また、本発明は、上記の問題が生じないドーズインジケータを有する流体ディスペンサを提供することを目的とする。
また、さらに具体的に言えば、本発明は、製造および組み立てが簡単かつ低コストである、という電子表示装置を提供することを目的とする。
【0004】
また、本発明は、コンパクトで、既存の流体ディスペンサ装置の寸法を実質的に変更する必要なく、それらいずれにも容易に適応できる、という電子表示装置を提供することを目的とする。
また、本発明は、装置が使用または保管された期間の長さに関わらず、確実に動作し、しかも前記装置を動作させるために電力供給源を必要としない、という表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、本発明は電子表示装置であって、表示部材を有し、特徴となるのは、前記表示部材は恒久的であって、表示を変化させずに維持する場合にはエネルギーを必要とせず、前記表示装置はバッテリなしで動作し、表示を変化させるために必要となるエネルギーは摩擦または衝突などによる2つの部品間の相互作用によって生成され、それによって電気パルスが生成され、前記パルスは、電気回路によって処理された後、表示を変化させるため表示部材に入力されることである、という前記装置を提供する。
【発明の効果】
【0006】
効果的な構成として、前記表示部材は、液晶ディスプレイ(LCD)型であることとする。
また、効果的な構成として、前記表示部材は、双安定ネマチック液晶を有することとする。
また、効果的な構成として、前記表示装置は、流体ディスペンサ装置のためのドーズインジケータまたはドーズカウンタの一部を形成していることとする。
また、本発明は、流体ディスペンサ装置であって、本体、流体容器、ポンプまたは弁といったディスペンサ部材、そして、投与済みのドーズ数や未投与で容器に残っている分のドーズ数を数えるためのドーズカウンタを有し、特徴となるのは、前記ドーズカウンタは、上記に記載の表示装置を有することである、という前記装置を提供する。
また、装置の駆動中に互いに対して移動する前記装置の2つの部分の間の相互作用は、効果的な構成として電気機械変換器によって変換され、表示を変化させるために使用される電気パルスになることとする。
また、効果的な構成として、表示を変化させるために必要となる電気パルスは、ディスペンサ装置の駆動中に移動して接触器2と接する形になるストライカピンによって生成されることとする。
また、効果的な構成として、前記接触器は、本体に対して静止した状態で保持されており、前記ストライカピンはスプリングと協働することとする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明に関する他の特徴および効果については、添付図面を参照しながら、非限定的な例として示す本発明の具体的な実施の形態に関する以下の詳細な説明を読めば、さらに明らかになるだろう。
本発明の主な目的の1つは、できるだけ消費エネルギーが少なく、電力供給源を必要とせず、そのため、特に保管期間または使用期間が極めて長い場合にバッテリ(再充電可能か否かを問わず)に起こるように、前記供給源が空になる、という事態が生じる危険がない、という表示部材を提供することである。さらに、エネルギー源を制御または管理するための電子機器も必要ない。
【0008】
したがって、本発明の電子表示装置は、恒久型、すなわち表示を変化しない状態に保つ場合にはエネルギーが不要であり、表示を変化させる場合には極めて少量のエネルギーのみ必要となる、という型の表示部材21を使用する。こうした型の表示部材は、LCD型、そしてさらに詳しく言えば、好ましい構成として双安定ネマチック液晶を有する表示部材21とすることができる。
【0009】
表示部材21の表示を変化させるために必要とされるエネルギーを生成するため、本発明は、互いに対して移動する2つの部品間の相互作用を利用すること、とする。こうした相互作用は、たとえば2つの部品を相互にこすり合わせたり突き合わせたりすることで実現できる。好ましい構成として、電気機械変換器が、前記相互作用を電気パルスに変化するために使用される。適当な電気機械変換器としては、圧電式の発電機または駆動機、電磁石コイル、または本業者に知られた他のいずれかの電気機械変換装置がある。さらに具体的に言えば、本発明においては、フリント型システムまたはガスライターに使用される型の圧電セラミックを使用することができる。
【0010】
また、2つの移動部品の間の相互作用は電気パルスの生成を可能にし、一般的に、前記電気パルスは、1ミリセカンド(ms)から50msの範囲の幅を有し、10000ボルト(V)から50000Vに達する。また、電気パルスを処理し、表示を変化させるよう表示部材21に電力を供給するため、電気回路25が設けられている。
図2は、表示装置の動作を示す図である。発電機G(電気機械変換器)は電気パルスを生成し、当該電気パルスは電気回路25によって処理された後、表示部材21に送り出される。発電機は、バッテリ(さらに一般的に言えば、恒久的な外部電源供給源)を全く必要とすることなく動作し、電気パルスを生成するために必要となるエネルギーは、力または力学的変位を電子記号に変換することによって生じる。
【0011】
図1は、本発明の表示装置に特に適応させた適用例を示す。この例において、表示装置21は流体ディスペンサ用のドーズインジケータあるいはカウンタと共に使用される。「流体」という語は、気体、液体、ペースト、または粉末を指す。この実施の形態は、バッテリなどのエネルギー源がないことでインジケータの製造コストが大きく下がると共に、前記インジケータの信頼性がさらに高まるため、特に効果的である。図示された例において、ディスペンサは本体1を有し、当該本体の中には流体を格納している容器10が設置されている。ディスペンサ部材15は図示された例においては絞り弁であるが、同様にポンプとすることもでき、前記容器の中身を選択的に投与するため容器10に設けられている。図1に示す装置は、マウスピース5を有する経口吸入器であり、当該マウスピースを通って内容物が投与される。当然のことながら、他のいかなる種類のディスペンサであっても本発明に組み合わせることができる。ディスペンサの駆動中に、一般的に容器10は本体1の内部で軸方向に移動され、それによって弁15が駆動される。このような移動は、表示部材21を変化させるために必要な電気パルスを生成するために利用することができる。
【0012】
図1は、フリント型のパルス発電機の実施の形態を示す。このように、スプリング12と協働するストライカピン11は、ディスペンサの駆動中に、たとえばアンビル13に固定された圧電式のセラミック2などの接触器2を突くように設計されている。効果的な構成として、接触器2は本体に対して静止した状態で保持されているが、当然のことながら、他のいかなる同等または類似のシステムを使用してもよい。また、摩擦または他の何らかの種類の衝撃を電子信号に変換する、という構成も考えられる。そのようにすれば、電子信号は、電力供給ワイヤ26を介して電気回路25に転送され、当該電気回路は、表示部材21と協働してこれを制御し、表示を変化させ、ディスペンサが駆動されるたびに、これに応じて投与済みのドーズ数を1ずつカウントする。図1から見てとれるように、ドーズカウンタの寸法は比較的小さいため、カウンターを既存のディスペンサに適用する場合も、寸法を実質的に変化させることなく、簡単に行うことができる。恒久表示部材の使用は、エネルギー消費量を大きく制限し、表示部材に電力を供給するためのバッテリまたは他のあらゆる恒久エネルギー源を省くことができる、という点において特に効果的である。
【0013】
ここまで、本発明の表示装置に関して、特定の使用法を参照しながら示してきたが、当然のことながら、本発明の適用範囲ははるかに広いものであり、ここに示した実施の形態に限定されるものではない。それどころか、当業者であれば、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲を逸脱しない形でいかなる変形でも施すことができるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の流体ディスペンサ装置の概略側面断面図である。
【図2】本発明の実施の形態を構成する表示装置のブロック図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子表示装置(20)であって、表示部材(21)を有し、
特徴となるのは、
前記表示部材(21)は恒久的であって、表示を変化させずに維持する場合にはエネルギーを必要とせず、前記表示装置(20)はバッテリなしで動作し、表示を変化させるために必要となるエネルギーは摩擦または衝突などによる2つの部品間の相互作用によって生成され、それによって電気パルスが生成され、前記パルスは、電気回路(25)によって処理された後、表示を変化させるため表示部材(21)に入力されることである、
という前記装置。
【請求項2】
前記表示部材(21)は、液晶ディスプレイ(LCD)型であること、
を特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記表示部材(21)は、双安定ネマチック液晶を有すること、
を特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記表示装置(20)は、流体ディスペンサ装置のためのドーズインジケータまたはドーズカウンタの一部を形成していること、
を特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
流体ディスペンサ装置であって、本体(1)、流体容器(10)、ポンプまたは弁といったディスペンサ部材(15)、そして、投与済みのドーズ数や未投与で容器(10)に残っている分のドーズ数を数えるためのドーズカウンタを有し、
特徴となるのは、
前記ドーズカウンタは、請求項1乃至4に記載のいずれかに記載の表示装置(20)を有することである、
という前記装置。
【請求項6】
装置の駆動中に互いに対して移動する前記装置の2つの部分(10、11;1、2)の間の相互作用は、電気機械変換器によって変換され、表示を変化させるために使用される電気パルスになること、
を特徴とする請求項5に記載のディスペンサ装置。
【請求項7】
表示を変化させるために必要となる電気パルスは、ディスペンサ装置の駆動中に移動して接触器2と接する形になるストライカピン(11)によって生成されること、
を特徴とする請求項5または6に記載のディスペンサ装置。
【請求項8】
前記接触器(2)は、本体(1)に対して静止した状態で保持されており、前記ストライカピン(11)はスプリング(12)と協働すること、
を特徴とする請求項7に記載のディスペンサ装置。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2006−504143(P2006−504143A)
【公表日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−547708(P2004−547708)
【出願日】平成15年10月24日(2003.10.24)
【国際出願番号】PCT/FR2003/003159
【国際公開番号】WO2004/040536
【国際公開日】平成16年5月13日(2004.5.13)
【出願人】(502343252)バルワー エス.アー.エス. (144)
【Fターム(参考)】