説明

電子装置および省電力方法

【課題】使用頻度の高い時間帯を設定し、使い勝手の良い電子装置および省電力方法を、提供する。
【解決手段】ステップ116において、混雑帯か否かを判断する。ここで、混雑帯は、表示部を常に表示しており連続して打刻し得るので、連続動作モードである。ステップ118において、表示部を点灯させる。従って、データに対するアクセス頻度の高いアクセス時間帯すなわち出退勤の時間に対応する打刻頻度の高い混雑帯を設定し、表示部をタッチ操作し得る状態すなわち表示(点灯)するので、使い勝手が良くなる。また、ステップ100の省電力モードとステップ116の混雑帯すなわち連続動作モードとに切替わるので、人の出入りの少ない時間帯では省電力モードで電力を節約できると共に、出勤時または退勤時の混雑する時間帯では連続動作モードで連続的にアクセスし得るので、使用者のストレスが軽減でき且つ使い勝手が良くなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LCDなどの表示素子を備える電子装置および省電力方法に関するものであり、特に電源を長時間に亘って投入する電子装置および省電力方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子装置の中には、電源を長時間に亘って投入しておくものがある。例えば、タイムレコーダなどは、通常24時間に亘り電源を投入した状態で使用される。そして、タイムレコーダの中には、待機時において、消費電力を軽減するために所定時間操作がない場合、表示画面を無表示(すなわち、消灯)し且つ通信機器またはカードリーダなどの周辺モジュールをも待機させる省電力モードを備えているものがある。
【0003】
なお、従来では、使用されない時には表示装置を節電表示し、使用が予想されるときには自動的に節電表示を解除する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−8080公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した省電力モードを備えるタイムレコーダでは、省電力モード状態でLCDなどの表示素子へタッチすると、画面が表示されて通常の連続動作モードになる。即ち、省電力モードから連続動作モードに切替えて打刻するには、先ずタッチバネルを操作し、この操作によってモードが切替わり、その後打刻することになる。従って、使用者にとっては、タッチパネルの操作およびモード切替時間を待つなどストレスの原因になると共に、使い勝手が悪い。
【0005】
なお、特許文献1に係る技術は、使用が予想されるときには自動的に節電表示を解除するもので、アクセス(使用)頻度を考慮するものではない。
【0006】
そこで、本発明は、使用頻度の高い時間帯を設定し、使い勝手の良い電子装置および省電力方法を、提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る電子装置は、データを表示する表示手段と、上記データに対するアクセス頻度の高いアクセス時間帯を設定すると共に、設定される上記アクセス時間帯には上記表示手段を表示させる制御手段と、を備える。また、本発明に係る省電力方法は、データに対するアクセス頻度の高いアクセス時間帯に、表示手段を表示させる。
【0008】
なお、所定時間内の入力データに基づいてアクセスの程度を時間区分し、最もアクセス数が多い時間区分または閾値以上の時間区分を上記アクセス時間帯に設定しても良い。また、上記表示手段が無表示となる省電力モード、および上記アクセス時間帯において上記表示手段を表示させる連続動作モードを切替設定しても良い。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る電子装置および省電力方法では、データに対するアクセス頻度の高いアクセス時間帯すなわち使用頻度の高い時間帯を設定し、表示手段を使用し得る状態すなわち表示するので、使い勝手が良くなる。
【0010】
なお、本発明に係る電子装置では、過去のデータを参照することにより、アクセス時間帯を自動的に設定し得るので、アクセス時間帯の設定を容易かつ確実にできる。また、本発明に係る電子装置において、省電力モードと連続動作モードとを切替設定し得るので、省電力モードでは電力を節約できると共に、連続動作モードでは連続的にアクセスし得るので、使用者のストレスが軽減でき且つ使い勝手が良くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図1および図2に基づいて、本発明の一実施形態である電子装置および省電力方法について説明する。本実施形態では、電子装置をタイムレコーダとし、このタイムレコーダは非接触ICカードによって打刻データを記録する例として説明する。なお、図1は本実施形態におけるタイムレコーダの斜視図、図2は図1に示すタイムレコーダのブロック図である。
【0012】
(タイムレコーダの概略構成)
図1に示すように、タイムレコーダ10の表面には、LCDタッチパネルなどで構成される表示部12と、一点鎖線で示す非接触ICカード50から打刻者のIDデータを受信するアンテナ16が配置されている。また、タイムレコーダ10の底面には、図2に示すコンピュータPCを接続するためのLANコネクタ22(二点鎖線参照)が配置されている。
【0013】
(タイムレコーダの制御系に関する構成)
図2に示すように、タイムレコーダ10は、CPU30と、不揮発性メモリであるROM32と、揮発性のRAM34と、IDリーダ部36と、インターフェースI/Fと、表示部12と、を備える。制御手段であるCPU30は、タイムレコーダ10の全体的な動作を司り、たとえば後述する操作キー13が操作された場合に、その操作に基づく処理を行う。
【0014】
表示手段である表示部12は、図1に示すように、出勤などを表示する操作キーまたは現在時刻などを表示する。即ち、表示部12は、上述したようにタッチパネルで構成されており、タッチパネル上の操作キー13(図2参照)をタッチ操作することによって各種の次画面へと切替わる。例えば、図1に示す出勤などのタッチキーをタッチすると、「カードを受付中」が表示部12に表示される。
【0015】
記録手段であるROM32は、タイムレコーダ10に各種の処理を制御するプログラムを記憶すると共に、打刻データまたはアクセス時間帯データなども記憶する。このアクセス時間帯データは、例えば打刻データに対するアクセス頻度の高い時間帯を示すものである。具体的には、アクセス時間帯は出勤時または退勤時における打刻で、混雑する時間帯である。RAM34は、各種データの読み書き用の記録域を有し、この記録域にワークメモリなどが記録される。
【0016】
IDリーダ部36は、図1に示すアンテナ16から受信するIDデータを読み出す。インターフェースI/Fは、コンピュータPCが接続される。なお、CPU30には時計カウンタ(RTC)18が接続されており、この時計カウンタ18には発振回路14が接続されている。時計カウンタ18にはメモリ20およびリチウム電池24が接続されている。
【0017】
また、タイムレコーダ10はプラグ40を備え、このプラグ40は商用交流電源となるコンセントに接続される。プラグ40およびCPU30の間には変圧・整流回路38が接続されており、この変圧・整流回路38により交流は直流となる。そして、タイムレコーダ10は、通常24時間に亘って電源が投入されている。
【0018】
(本実施形態の作用)
図3に示すフローチャートに基づき、省電力モードおよび混雑時間帯(以下、混雑帯ともいう)に関する処理を説明する。ここで、なお、図2に示すタイムレコーダ10における処理は、タイムレコーダ10のCPU30によって実行され、図3などのフローチャートで表される。これらのプログラムは、予めタイムレコーダ10のROM32(図2参照)のプログラム領域に記憶されている。
【0019】
(省電力モード)
図3に示すように、ステップ100において、省電力モードか否かを判断する。ここで、省電力モードとは、待機時において、消費電力を軽減するため所定時間操作がない場合、表示画面を消灯して無表示にするモードである。なお、省電力モードは、表示画面を無表示にする他に、アンテナ16または通信機器などの周辺モジュールをも待機させる場合を含む。
【0020】
ステップ100が否定の場合すなわち省電力モードでない場合には、ステップ102において、表示部12が消灯設定されているか否かを判断する。ステップ102が肯定の場合すなわち消灯設定されている場合には、ステップ104において、表示部12を消灯(すでに消灯の場合には消灯を継続)する。この場合、消費電力は軽減する。
【0021】
ステップ106では、タッチパネルにタッチされ入力されたか否かを判断する。ステップ106が否定の場合すなわちタッチパネルにタッチされない場合には、ステップ100に戻り、その後の処理を行う。ステップ106が肯定の場合すなわちタッチパネルにタッチされた場合、またはステップ102が否定の場合すなわち消灯設定されていない場合には、ステップ108において、表示部12を点灯(すなわち表示)させる。なお、すでに表示部12が点灯している場合には、点灯を継続させる。
【0022】
ステップ110において、出勤または退勤などの操作キーがタッチ操作されたか否かを判断する。ステップ110では、操作キーが操作されるのを所定時間が経過するまで待ち、所定時間経過後はステップ100に戻る。ステップ110が肯定の場合すなわち操作キーが操作された場合には、ステップ112において、図1に示すカード50がアンテナ16にかざされカード50を検出したか否かを判断する。
【0023】
ステップ112が肯定の場合すなわちカード50が検出された場合には、ステップ114において、打刻される。即ち、打刻時刻を含む打刻データが図1に示すROM32に記憶される。なお、ステップ114ではカード50が検出されるのを所定時間が経過するまで待ち、所定時間経過後はステップ100に戻る。
【0024】
ステップ100が肯定の場合すなわち省電力モードの場合には、ステップ116において、混雑帯か否かを判断する。ここで、混雑帯は、表示部12を常に表示しており連続して打刻し得るので、連続動作モードである。
【0025】
ステップ116が否定の場合すなわち混雑帯(以下、連続動作モードともいう)ではない場合には、ステップ102に進む。なお、混雑帯の設定については、後述する。ステップ116が肯定の場合すなわち混雑帯の場合には、ステップ118において、表示部12を点灯させる。なお、すでに表示部12が点灯している場合には、点灯を継続させる。
【0026】
ステップ120において、図1に示すカード50がアンテナ16にかざされカード50を検出したか否かを判断する。ステップ120が肯定の場合すなわちカード50が検出された場合には、ステップ122において、打刻される。ステップ120ではカード50が検出されるのを所定時間が経過するまで待ち、所定時間経過後はステップ100に戻る。
【0027】
本実施形態によれば、データに対するアクセス頻度の高いアクセス時間帯すなわち出退勤の時間に対応する打刻(使用)頻度の高い時間帯(混雑帯)を設定し、表示部12をタッチ操作し得る状態すなわち表示(点灯)するので、使い勝手が良くなる。また、本実施形態によれば、ステップ100の省電力モードとステップ116の混雑帯すなわち連続動作モードとに切替わるので、人の出入りの少ない時間帯では省電力モードで電力を節約できると共に、出勤時または退勤時の混雑する時間帯では連続動作モードで連続的にアクセスし得るので、使用者のストレスが軽減でき且つ使い勝手が良くなる。
【0028】
(混雑帯設定モード)
図4に基づき、混雑帯設定モードについて説明する。図4の例は、所定期間の打刻データを集計して混雑帯を自動的に設定するものである。たとえば、1日の全ての出退勤別の打刻データを、時間別に区分し蓄積する。なお、時間区分を30分毎または15分毎など細分化しても良い。また、出退勤をそれぞれ個別にしても良く、出勤のみまたは退勤のみとしても良い。
【0029】
図4に示すステップ130において、たとえば一ヶ月毎(このデータ蓄積期間は任意に変更でき、またデータ蓄積の起点も任意である)に、図2に示すROM32に記憶されている全打刻時刻を所定時間毎に区分する(図5参照)。
【0030】
ステップ132において、区分内の打刻数が最も多いか否かを判断する。ステップ132が肯定の場合すなわち最も打刻数が多い場合には、ステップ134において、その時間区分を混雑帯Aに設定する。即ち、図5に示すように、混雑帯Aにあたる8時から9時までの間は、表示部12(図1参照)を点灯するので、操作キーが表示される。
【0031】
ステップ136において、他の時間区分の打刻数が混雑帯Aに対し閾値以上か否かを判断する。ステップ136は、混雑帯の時間幅に柔軟性を持たせるために、フィルタ機能を付したものである。例えば、閾値は混雑帯Aの50パーセント以上に設定している。なお、この閾値は、管理者などが任意に設定できる。また、時間区分の打刻数カウントは、出退勤を含めて行っても良く、また個別などとしても良い。
【0032】
ステップ136が肯定の場合すなわち閾値以上の場合には、ステップ138において、混雑帯Bに設定する。本例の場合、図5に示すように、7時から8時までの時間区分および17時から18時までの時間区分を、混雑帯Bに設定する。
【0033】
本実施形態によれば、過去のデータを参照することにより、アクセス時間帯を自動的に設定し得るので、アクセス時間帯の設定を容易かつ確実にできる。
【0034】
また、混雑帯の設定は、例えば管理者などが出退勤の時間に対応するように設定しても良い。例えば、始業開始時間が午前9時の場合であれば、管理者などは8時30分から9時を混雑帯としてROM32に記憶させる。
【0035】
なお、本発明はタイムレコーダの他に、LCDなどの表示素子を備え、且つ電源を長時間に亘って投入する電子装置に適用でき、例えば自動販売装置・パーソナルコンピュータ等にも好適である。また、上記実施形態において説明した各プログラムの処理の流れ(図3および図4参照)は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において適宜変更可能である。
【0036】
例えば、図3に示すステップ102乃至106の処理を、ステップ116の処理後に行うように設定しても良い。この場合、表示部消灯の設定をオフにしておけば、カード50をかさすだけで打刻は終了する。また、省電力モードの場合では、表示部12を点灯したままで、その他のモジュールを省電力に設定しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に係る一実施形態のタイムレコーダの斜視図である。
【図2】図1に示すタイムレコーダのブロック図である。
【図3】図2に示すタイムレコーダにおける省電力モードおよび混雑帯に関するフローチャート図である。
【図4】図3に示す混雑帯を設定するための混雑帯設定モードのフローチャート図である。
【図5】図4に示す混雑帯設定モードで参酌する打刻数のテーブル図である。
【符号の説明】
【0038】
10 タイムレコーダ(電子装置)
12 表示部(表示手段)
20 CPU(制御手段)
32 ROM(記録手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データを表示する表示手段と、
上記データに対するアクセス頻度の高いアクセス時間帯を設定すると共に、設定される上記アクセス時間帯には上記表示手段を表示させる制御手段と、
を備えることを特徴とする電子装置。
【請求項2】
所定時間内の入力データに基づいてアクセスの程度を時間区分し、最もアクセス数が多い時間区分または閾値以上の時間区分を上記アクセス時間帯に設定することを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
上記表示手段が無表示となる省電力モード、および上記アクセス時間帯において上記表示手段を表示させる連続動作モードを切替設定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子装置。
【請求項4】
データに対するアクセス頻度の高いアクセス時間帯に、表示手段を表示させることを特徴とする省電力方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−146018(P2009−146018A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−320423(P2007−320423)
【出願日】平成19年12月12日(2007.12.12)
【出願人】(000006301)マックス株式会社 (1,275)
【Fターム(参考)】