説明

電子装置

【課題】電子装置に関し、装置の小型化を可能にすることを目的とする。
【解決手段】ケース1内の光源2からの照射光が透過する発光部3をケース1外表面の一部に形成した電子装置であって、
透光性を有する材料により形成され、光導入部4から導入した光源2からの照射光を外部に透過可能な透光性ケース外殻構成部5を有し、
前記透光性ケース外殻構成部5の一部を遮光マスキング部6により遮光し、残余の部分を発光部3とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ケース外殻に発光部を配置した電子装置としては、特許文献1に記載されたものが知られている。この従来例において、ケース外殻を構成するフィルムキーは透光性を有する材料により形成される。フィルムキーの裏面には反射層が形成されており、ケース内に配置される光源からの照射光は、反射層に開設した導光孔からフィルムキー内の侵入し、ケース外部に放射される。
【特許文献1】特開2006-216364号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上述した従来例において、外殻構成部材であるフィルムキーは導光孔により選別された光軸方向の照射光を透過するだけの機能を有し、導光、光散乱による光量低下を防止する機能を有しない。このため、ケース内には別途光源からの照射光を乱反射させて導光孔に導くために、上記反射層とベースフィルムとにより形成される導光領域を設定する必要が生じ、装置が大型化するという問題がある。
【0004】
本発明は、以上の欠点を解消すべくなされたものであって、装置の小型化が可能な電子装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明において、電子装置のケース外殻を構成する外殻構成部材の一部、または全部は、透光性を有する材料により形成され、ケース1内に収容された光源2からの照射光は、この透光性ケース外殻構成部5内に導入される。
【0006】
透光性ケース外殻構成部5は、導入した光をケース1外部に放射できる位置に配置され、その一部が遮光マスキング部6により遮光される。透光性ケース外殻構成部5の遮光マスキング部6により覆われなかった部分を発光部3とする本発明において、発光部3ごとではなく、透光性ケース外殻構成部5単位で光源2を用意すればよい。この結果、光源2の数を減少させることができ、装置の小型化が可能になる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、装置を小型化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1に携帯電話として構成された本発明の実施の形態を示す。携帯電話は、可動側ケース1Aと固定側ケース1Bとをヒンジ1a周りに回転自在に連結して形成され、可動側ケース1Aのキートップ1b対向面にはディスプレイ面1cが形成される。可動側ケース1Aのディスプレイ面1cに対向する面には、携帯電話の模様を形成するための発光部3が配置される。
【0009】
図2に示すように、双方のケース1A、1Bは、上下ケース半体7、8を積層、固定して形成され、固定側ケース1B内には、公衆回線網との通信用回路1dが収容される。また、可動側ケース1A内に配置される実装基板13には、液晶表示パネル14が実装され、この液晶表示パネル14を下ケース半体8から露出させてディスプレイ面1cが構成される。
【0010】
上記固定側ケース1Bの上下ケース半体7、8、および可動側ケース1Aの下ケース半体8が不透明材料により形成されるのに対し、可動側ケース1Aの上ケース半体7は透明、あるいは半透明な合成樹脂材により形成され、この上ケース半体7の外表面の一部に遮光マスキング部6が形成される。遮光マスキング部6は、上ケース半体7の一部を遮光して残部を透光性を有する発光部3とするために設けられ、上ケース半体7表面に塗装をし、または不透明シートを貼着することにより形成される。また、遮光マスキング部6は、図3に示すように、下ケース半体8を射出成型する際に、不透明合成樹脂材により形成された遮光マスキング部6を2色成型して形成することもできる。
【0011】
前記発光部3からの照射光を供給するために、可動側ケース1A内部にはLED2(光源2)が収容されるとともに、上ケース半体7には、LED2からの照射光を上ケース半体7内に導入するための光導入部4が形成される。LED2は、液晶表示パネル14を支持する実装基板13上で、可動側ケース1A外部から直接見えないように、遮光マスキング部6により覆われる領域に配置される。
【0012】
上ケース半体7の下方スペースを有効に利用して装置の小型化を図るために、LED2は、光軸が上ケース半体7外表面に対してほぼ平行となる姿勢で保持されるとともに、光導入部4は上ケース半体7下面に形成される。光導入部4は、上ケース半体7の上面に対する直交面として形成され、LED2に正対する。
【0013】
また、光導入部4は、上ケース半体7の底壁に膨隆され、ヒンジ1a側辺縁が高く、反対縁に行く従って漸次高さが低くなる直角三角形状の断面形状を有する導光膨隆部9の前端面として形成され、LED2を点灯すると、LED2からの照射光は、光導入部4から上ケース半体7内に導入され、外部への透光開口である発光部3から照射される。
【0014】
なお、以上においては、可動側ケース1Aの上ケース半体7全体を、可動側ケース1Aの外殻を構成し、かつ、LED2からの照射光の導光体としても機能する透光性ケース外殻構成部5とする場合を示したが、上ケース半体7の一部を透光性ケース外殻構成部5により形成することもでき、さらに、下ケース半体8の一部に透光性ケース外殻構成部5を配置して発光部3を形成することもできる。
【0015】
図4に本発明の第2の実施の形態を示す。なお、以下の実施の形態の説明において、上述した実施の形態と実質的に同一の構成要素は図中に同一符号を付して説明を省略する。
【0016】
この実施の形態において、上記上ケース半体7の導光膨隆部9の底壁面には、適数の反射面10が形成される。反射面10は、導光膨隆部9の底壁にシボ加工、あるいは印刷等を施し、さらには、反射シートを貼り付けて形成され、発光部3の概ね直下位置に配置される。LED2の発光により上ケース半体7内に導かれた導入光は、反射面10において乱反射して発光部3から照射される。
【0017】
なお、反射面10は導光膨隆部9の底壁面の全面にわたって形成することも可能であり、さらに、LED2からの照射光の光軸を直角方向に折り曲げる鏡面として形成することもできる。反射面10を鏡面として形成する場合には、反射光が発光部3側を向く角度に反射面10が形成され、望ましくは、LED2の光軸を上ケース半体7表面に平行とするとともに、反射面10を発光部3の直下に配置して45°に傾けて形成される。
【0018】
図5に本発明の第3の実施の形態を示す。この実施の形態において、可動側ケース1Aの上ケース半体7は、発光部3に対応する透光性合成樹脂部分11と、残余の不透明合成樹脂材部分12とを2色成型して形成される。また、可動側ケース1A内には、反射部材15が配置され、上面に乱反射面15aが形成される。
【0019】
LED2からの照射光は、乱反射面15aにおいて乱反射して上ケース半体7側に向かい、透光性樹脂材部分からのみ透過する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明を示す図で、(a)は携帯電話の斜視図、(b)は折畳状態を示す斜視図である。
【図2】本発明の要部を示す図で、(a)は平面図、(b)は(a)の2B-2B線断面図である。
【図3】図2の変形例を示す図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態を示す図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態を示す図である。
【符号の説明】
【0021】
1 ケース
2 光源
3 発光部
4 光導入部
5 透光性ケース外殻構成部
6 遮光マスキング部
7、8 上下ケース半体
9 導光膨隆部
10 反射面
11 透光性合成樹脂材部分
12 不透明合成樹脂材部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース内の光源からの照射光が透過する発光部をケース外表面の一部に形成した電子装置であって、
透光性を有する材料により形成され、光導入部から導入した光源からの照射光を外部に透過可能な透光性ケース外殻構成部を有し、
前記透光性ケース外殻構成部の一部を遮光マスキング部により遮光し、残余の部分を発光部とした電子装置。
【請求項2】
前記ケースは、上下ケース半体を連結して形成されるとともに、
いずれか一方のケース半体全体が透光性ケース外殻構成部として使用される請求項1記載の電子装置。
【請求項3】
前記遮光マスキング部は、透光性ケース外殻構成部の成型時に2色成型される請求項1または2記載の電子装置。
【請求項4】
前記光源は、光軸がケース外表面に対してほぼ平行となる姿勢で保持されるとともに、
透光性ケース外殻構成部の裏面には、光源に正対する光導入部を備え、光源から遠ざかるにつれて漸次外表面に近接する斜面を底壁とする導光膨隆部が形成される請求項1、2または3記載の電子装置。
【請求項5】
前記透光性ケース外殻構成部の底壁には、光導入部から導入した導入光を発光部側に乱反射させる反射面が形成される請求項4記載の電子装置。
【請求項6】
ケース外表面の一部に発光部を配置した電子装置であって、
前記ケースの発光部形成部は、ケース内の光源からの照射光を透過して発光部となる透光性合成樹脂材部分と、残余の不透明合成樹脂材部分とを2色成型して形成される電子装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−185604(P2008−185604A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−16286(P2007−16286)
【出願日】平成19年1月26日(2007.1.26)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】