電子装置
【課題】電子装置において、簡素な構成で水抜きを容易にする。
【解決手段】電子装置は、音響部品(2)と、この音響部品(2)を収容し、この音響部品(2)用の空間(9,10)が内部に形成された筐体3と、空間(9,10)の一部を覆う第1の位置P1、および、この第1の位置P1よりも空間(9,10)の筐体3外部への開口面積を大きくする第2の位置、をとる蓋体(4)と、を備える。
【解決手段】電子装置は、音響部品(2)と、この音響部品(2)を収容し、この音響部品(2)用の空間(9,10)が内部に形成された筐体3と、空間(9,10)の一部を覆う第1の位置P1、および、この第1の位置P1よりも空間(9,10)の筐体3外部への開口面積を大きくする第2の位置、をとる蓋体(4)と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音響部品を備える電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistant)、デジタルカメラ、パーソナルコンピュータ、携帯型デジタル音楽プレーヤー、ラジオ受信機等の電子装置には、マイク、レシーバ、スピーカ等の音響部品が配置される。そのため、電子装置の筐体には、音の通路を確保するための音響用の孔が形成される。しかしながら、音響用の孔からは液体が浸入してしまう。
【0003】
そこで、音響用の孔の内側に配置した発泡性のスリーブによって、浸入する液体を吸収すると共に浸入する液体の圧力を軽減させ、また、スリーブの内部に浸入してしまった液体に対しては、重力の働く方向に排水する手法がとられている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、音響性能を確保しつつ液体の浸入を防ぐために、前気室と音響部品との間に防水紙を配置する手法がとられている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平6−292288号公報
【特許文献2】特開平7−131375号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1のように、スリーブの内部に浸入してしまった液体を重量の働く方向に排水するためには、排水のための流路を形成したり、排水のために水を通す材料を用いたりする必要があるため、構成が制限されるという問題がある。
【0006】
また、上記特許文献2のように、前気室と音響部品との間に防水紙を配置する手法では、前気室に溜まった液体が音響用の孔から抜けにくくなり、目的の音響性能を確保できないという問題がある。
【0007】
本発明の課題は、上記従来の実情に鑑み、簡素な構成で水抜きを容易にすることができる電子装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この電子装置は、音響部品を収容し、この音響部品用の空間が内部に形成された筐体と、上記空間の一部を覆う第1の位置、および、この第1の位置よりも上記空間の上記筐体外部への開口面積を大きくする第2の位置、をとる蓋体と、を備えることを要件とする。
【発明の効果】
【0009】
開示の電子装置では、蓋体は、音響部品用の空間の一部を覆う第1の位置、および、この第1の位置よりも空間の筐体外部への開口面積を大きくする第2の位置、をとる。そのため、蓋体が第2の位置にあるときに、空間に溜まった水の排水作業が容易となる。よって、開示の電子装置によれば、簡素な構成で水抜きを容易にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態に係る電子装置、例えば携帯電話機について、図面を参照しながら説明する。
図1Aは、本発明の一実施の形態に係る携帯電話機1の開放状態を示す平面図である。図1Bは、上記携帯電話機1の開放状態を示す左側面図である。
【0011】
図2Aは、上記携帯電話機1の要部平面図である。図2Bは、図2AのI−I断面図である。図2Cは、図2BのA部拡大図である。
図3Aは、上記携帯電話機1の、キャップ4を取り外した状態の要部平面図である。図3Bは、図3AのII−II断面図である。図3Cは、図3BのB部拡大図である。
【0012】
携帯電話機1は、図2C等に示すように、音響部品としてのマイク部2、このマイク部2を収容する筐体3と、蓋体としてのキャップ4と、を備える。
携帯電話機1は、図1A及び図1Bに示すヒンジ部5を中心に折り畳み可能となっている。ヒンジ部5を挟んだ携帯電話機1の一方、つまり図1Aおよび図1Bにおける手前側には、筐体3外部に開口する音響用孔としてのマイク孔3a、上記キャップ4、テンキーを含む操作部6等が配設され、他方には、矩形の液晶表示部7、図示しないスピーカ用のスピーカ孔3b等が配設されている。
【0013】
マイク部2は、図2Cに示すように、基板8に実装されたSMT(Surface Mount Technology)マイクであり、マイク孔3a、後述する前気室9および後気室10、並びに、基板8の貫通孔8aを介して、筐体3外部の音声を集音する。
【0014】
筐体3の内部には、マイク孔3aとマイク部2との間に、音響部品、例えばマイク部2用の空間としての前気室9および後気室10が形成されている。なお、図2Cに示す状態では、前気室9には、マイク孔3aから水Wが浸入している。
【0015】
前気室9はマイク孔3aに連通し、後気室10は基板8の貫通孔8aに連通している。また、前気室9と後気室10との間には、防水部としての、水を遮断しつつ音を通過させる防水シート11が配設されている。
【0016】
前気室9は、筐体3、キャップ4、防水シート11および円環状の両面テープ12により区画されている。両面テープ12は、筐体3と防水シート11との間に配置され、前気室9の側壁を構成している。
【0017】
後気室10は、マイク部2、基板8、防水シート11および円環状の発泡性緩衝材13により区画されている。発泡性緩衝材13は、防水シート11と基板8との間に配置され、後気室10の側壁を構成している。
【0018】
キャップ4は、図2A、図2B等に示すように、携帯電話機1の正面側、つまり図1Aおよび図1Bにおける手前側に位置する基部4aと、この基部4aの上端中央からマイク孔3aに向かって延びる延出部4bとを有し、平面視T字状を呈する。
【0019】
図2Cに示すように、筐体3には、キャップ4の延出部4bが筐体3の外面から突出しないように、延出部4bを収容する凹部3cが形成されている。また、筐体3には、凹部3dと連続した位置に開口部3dが形成されている。
【0020】
キャップ4は、開口部3dにおいて、延出部4bによって前気室9の一部を覆う第1の位置P1(図2A〜図2C参照)と、この第1の位置P1よりも前気室9の筐体3外部への開口面積を大きくする第2の位置P2(図3A〜図3C参照)とをとる。
【0021】
具体的には、キャップ4は、筐体3に対し着脱自在となっており、筐体3に装着される際は第1の位置P1にあり、取り外された位置が第2の位置P2となる。
キャップ4の延出部4bは、第1の位置P1において、筐体3の開口部3dの一部を覆うことで、前気室9の一部を覆うと共に開口部3dのうち覆われない部分にキャップ孔3aを形成する。
【0022】
また、キャップ4は、第1の位置P1において、携帯電話機1の正面側に位置し外部機器に接続される、インターフェース部としての接続端子14を、基部4aにより覆う。
以上説明した本実施の形態では、キャップ4は、前気室9の一部を覆う第1の位置P1、および、この第1の位置P1よりも筐体3外部への前気室9の開口面積を大きくする第2の位置P2、をとる。そのため、キャップ4が第2の位置P2にあるとき、即ちキャップ4を取り外した際に、前気室9に溜まった水の排水作業が容易となる。よって、本実施の形態によれば、キャップ4を配置するという簡素な構成で、前気室9に溜まった水Wの水抜きを容易にすることができる。
【0023】
また、本実施の形態によれば、キャップ4は、マイク孔3aを形成する第1の位置P1において接続端子14を覆うため、部品点数を増やす必要がなく、したがって、より簡素な構成で、前気室9に溜まった水Wの水抜きを容易にすることができる。更には、接続端子14に外部機器を接続する場合に、キャップ4を開放することで、合わせて水Wの水抜きを行うことができる。
【0024】
また、本実施の形態によれば、キャップ4は、第1の位置P1において、筐体3との間に、筐体3外部に開口するマイク孔3aを形成するため、より簡素な構成で、前気室9に溜まった水Wの水抜きを容易にすることができる。
【0025】
また、本実施の形態によれば、キャップ4は、防水シート11により後気室10と仕切られた前気室9の一部を覆うことでマイク孔3aを形成するため、前気室9および後気室10によって音響性能を確保しつつ前気室9に溜まった水Wの水抜きを容易に行うことができる。
【0026】
また、本実施の形態によれば、キャップ4は、マイク孔3aを形成する第1の位置P1において筐体3に装着され、この筐体3に対し着脱自在であるため、キャップ4を着脱することで水Wの水抜きを簡単に行うことができ、したがって、水Wの水抜きを一層容易にすることができる。
【0027】
なお、以上説明した本実施の形態では、電子装置として携帯電話機1を例に説明したが、電子装置としては、例えば、マイク、レシーバ、スピーカ等の音響部品を備える装置であればよく、例えば、PDA(Personal Digital Assistant)、デジタルカメラ、パーソナルコンピュータ、携帯型デジタル音楽プレーヤー、ラジオ受信機等の他の電子装置を用いてもよい。
【0028】
また、本実施の形態では、音響部品用の空間として前気室9および後気室10の2つの空間を例に説明したが、空間は1つであってもよい。また、音響部品用の空間としては、音響部品、例えばマイク部2専用の前気室9・後気室10(空間)である必要はなく、他の機能を果たす空間であってもよい。
【0029】
また、音響部品用の空間は、マイク孔3aと連続しマイク孔3aと同径の空間であってもよく、その場合には、キャップ4は、当該空間の奥行き方向に延びるように配置し、側方から当該空間の一部を覆うようにするとよい。
【0030】
また、本実施の形態では、音響部品としてマイク部2を例に説明したが、音響部品としては、レシーバ、スピーカ等の他の音響部品を用いてもよい。
また、本実施の形態では、蓋体として、筐体3に着脱自在なキャップ4を例に説明したが、蓋体としては、第1の位置P1と第2の位置P2との間で移動自在な例えばスライド式の蓋体を用いてもよい。その場合、上記移動自在な蓋体は、第2の位置P2において、第1の位置P1よりも前気室9の開口面積を大きくすればよいため、第2の位置P2は、前気室9を覆わない位置に限られず、前気室9の一部を覆う位置であってもよい。
【0031】
このように移動自在な蓋体を用いることでも、着脱自在なキャップ4と同様に、キャップ4を移動させることで水Wの水抜きを簡単に行うことができ、したがって、水Wの水抜きを一層容易にすることができる。
【0032】
また、キャップ4は、第1の位置P1において、必ずしも音響用孔、例えばマイク孔3aを形成する必要はなく、マイク孔3aとは隣接しない位置で前気室9の一部を覆うようにしてもよい。
【0033】
また、キャップ4は、例えば基部4aの一部が筐体3に固定された状態で着脱自在となるもの、基部4a及び延出部4bのうち一方ずつが着脱自在となるもの、他の空間、例えば筐体3に形成された孔などを介して前気室9を覆うもの、などを用いてもよい。
【0034】
また、本実施の形態では、インターフェース部として接続端子14を例に説明したが、インターフェース部としては、外部機器との接続に用いられる接続端子14その他の外部接続部、電源等の操作部、ランプ等の表示部なども含まれ、キャップ4が前気室9の一部を覆う際に、接続端子14以外のインターフェース部を覆うようにしてもよい。
【0035】
図4は、本発明の一実施の形態の変形例に係る携帯電話機1´の開放状態を示す平面図である。
図5Aおよび図5Bは、携帯電話機1´の、キャップ4´を取り外した状態の平面図および左側面図である。
【0036】
本変形例に係る携帯電話機1´のキャップ4´は、基部4a´がインターフェース部、例えば接続端子を覆うものではなく筐体3への取付け部分となっている。そのため、基部4a´を幅方向、つまり図4および図5Aにおける左右方向に延ばす必要がなく、基部4a´の幅は延出部4b´の幅と同等となっている。
【0037】
本変形例のように、基部4a´が接続端子を覆わないキャップ4´を用いても、キャップ4を配置するという簡素な構成で、前気室9に溜まった水Wの水抜きを容易にすることができる。
【0038】
以上説明した一実施の形態およびその変形例に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
音響部品を収容し、該音響部品用の空間が内部に形成された筐体と、
前記空間の一部を覆う第1の位置、および、該第1の位置よりも前記空間の前記筐体外部への開口面積を大きくする第2の位置、をとる蓋体と、
を備えることを特徴とする電子装置。
(付記2)
インターフェース部を更に備え、
前記蓋体は、前記第1の位置において、前記空間の一部を覆うと共に、更に前記インターフェース部を覆う、
ことを特徴とする付記1記載の電子装置。
(付記3)
前記蓋体は、前記第1の位置において、前記筐体との間に、該筐体外部に開口する音響用孔を形成することを特徴とする付記1記載の電子装置。
(付記4)
前記空間は、前気室、および、該前気室と前記音響部品との間に位置する後気室、を含み、
前記電子装置は、前記前気室と前記後気室との間に位置する防水部を更に備え、
前記蓋体は、前記第1の位置において、前記前気室の一部を覆う、
ことを特徴とする付記1記載の電子装置。
(付記5)
前記蓋体は、前記第1の位置において前記筐体に装着され、該筐体に対し着脱自在であることを特徴とする付記1記載の電子装置。
(付記6)
前記蓋体は、前記第1の位置と前記第2の位置との間で移動自在であることを特徴とする付記1記載の電子装置。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1A】本発明の一実施の形態に係る携帯電話機の開放状態を示す平面図である。
【図1B】本発明の一実施の形態に係る携帯電話機の開放状態を示す左側面図である。
【図2A】本発明の一実施の形態に係る携帯電話機の要部平面図である。
【図2B】図2AのI−I断面図である。
【図2C】図2BのA部拡大図である。
【図3A】本発明の一実施の形態に係る携帯電話機の、キャップを取り外した状態の要部平面図である。
【図3B】図3AのII−II断面図である。
【図3C】図3BのB部拡大図である。
【図4】本発明の一実施の形態の変形例に係る携帯電話機の開放状態を示す平面図である。
【図5A】本発明の一実施の形態の変形例に係る携帯電話機の、キャップを取り外した状態の平面図である。
【図5B】本発明の一実施の形態の変形例に係る携帯電話機の、キャップを取り外した状態の左側面図である。
【符号の説明】
【0040】
1 携帯端末
2 マイク部
3 筐体
3a マイク孔
3b スピーカ孔
3c 凹部
3d 開口部
4 キャップ
4a 基部
4b 延出部
5 ヒンジ部
6 操作部
7 液晶表示部
8 基板
8a 貫通孔
9 前気室
10 後気室
11 防水シート
12 両面テープ
13 発泡性緩衝材
14 接続端子
【技術分野】
【0001】
本発明は、音響部品を備える電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistant)、デジタルカメラ、パーソナルコンピュータ、携帯型デジタル音楽プレーヤー、ラジオ受信機等の電子装置には、マイク、レシーバ、スピーカ等の音響部品が配置される。そのため、電子装置の筐体には、音の通路を確保するための音響用の孔が形成される。しかしながら、音響用の孔からは液体が浸入してしまう。
【0003】
そこで、音響用の孔の内側に配置した発泡性のスリーブによって、浸入する液体を吸収すると共に浸入する液体の圧力を軽減させ、また、スリーブの内部に浸入してしまった液体に対しては、重力の働く方向に排水する手法がとられている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、音響性能を確保しつつ液体の浸入を防ぐために、前気室と音響部品との間に防水紙を配置する手法がとられている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平6−292288号公報
【特許文献2】特開平7−131375号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1のように、スリーブの内部に浸入してしまった液体を重量の働く方向に排水するためには、排水のための流路を形成したり、排水のために水を通す材料を用いたりする必要があるため、構成が制限されるという問題がある。
【0006】
また、上記特許文献2のように、前気室と音響部品との間に防水紙を配置する手法では、前気室に溜まった液体が音響用の孔から抜けにくくなり、目的の音響性能を確保できないという問題がある。
【0007】
本発明の課題は、上記従来の実情に鑑み、簡素な構成で水抜きを容易にすることができる電子装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この電子装置は、音響部品を収容し、この音響部品用の空間が内部に形成された筐体と、上記空間の一部を覆う第1の位置、および、この第1の位置よりも上記空間の上記筐体外部への開口面積を大きくする第2の位置、をとる蓋体と、を備えることを要件とする。
【発明の効果】
【0009】
開示の電子装置では、蓋体は、音響部品用の空間の一部を覆う第1の位置、および、この第1の位置よりも空間の筐体外部への開口面積を大きくする第2の位置、をとる。そのため、蓋体が第2の位置にあるときに、空間に溜まった水の排水作業が容易となる。よって、開示の電子装置によれば、簡素な構成で水抜きを容易にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態に係る電子装置、例えば携帯電話機について、図面を参照しながら説明する。
図1Aは、本発明の一実施の形態に係る携帯電話機1の開放状態を示す平面図である。図1Bは、上記携帯電話機1の開放状態を示す左側面図である。
【0011】
図2Aは、上記携帯電話機1の要部平面図である。図2Bは、図2AのI−I断面図である。図2Cは、図2BのA部拡大図である。
図3Aは、上記携帯電話機1の、キャップ4を取り外した状態の要部平面図である。図3Bは、図3AのII−II断面図である。図3Cは、図3BのB部拡大図である。
【0012】
携帯電話機1は、図2C等に示すように、音響部品としてのマイク部2、このマイク部2を収容する筐体3と、蓋体としてのキャップ4と、を備える。
携帯電話機1は、図1A及び図1Bに示すヒンジ部5を中心に折り畳み可能となっている。ヒンジ部5を挟んだ携帯電話機1の一方、つまり図1Aおよび図1Bにおける手前側には、筐体3外部に開口する音響用孔としてのマイク孔3a、上記キャップ4、テンキーを含む操作部6等が配設され、他方には、矩形の液晶表示部7、図示しないスピーカ用のスピーカ孔3b等が配設されている。
【0013】
マイク部2は、図2Cに示すように、基板8に実装されたSMT(Surface Mount Technology)マイクであり、マイク孔3a、後述する前気室9および後気室10、並びに、基板8の貫通孔8aを介して、筐体3外部の音声を集音する。
【0014】
筐体3の内部には、マイク孔3aとマイク部2との間に、音響部品、例えばマイク部2用の空間としての前気室9および後気室10が形成されている。なお、図2Cに示す状態では、前気室9には、マイク孔3aから水Wが浸入している。
【0015】
前気室9はマイク孔3aに連通し、後気室10は基板8の貫通孔8aに連通している。また、前気室9と後気室10との間には、防水部としての、水を遮断しつつ音を通過させる防水シート11が配設されている。
【0016】
前気室9は、筐体3、キャップ4、防水シート11および円環状の両面テープ12により区画されている。両面テープ12は、筐体3と防水シート11との間に配置され、前気室9の側壁を構成している。
【0017】
後気室10は、マイク部2、基板8、防水シート11および円環状の発泡性緩衝材13により区画されている。発泡性緩衝材13は、防水シート11と基板8との間に配置され、後気室10の側壁を構成している。
【0018】
キャップ4は、図2A、図2B等に示すように、携帯電話機1の正面側、つまり図1Aおよび図1Bにおける手前側に位置する基部4aと、この基部4aの上端中央からマイク孔3aに向かって延びる延出部4bとを有し、平面視T字状を呈する。
【0019】
図2Cに示すように、筐体3には、キャップ4の延出部4bが筐体3の外面から突出しないように、延出部4bを収容する凹部3cが形成されている。また、筐体3には、凹部3dと連続した位置に開口部3dが形成されている。
【0020】
キャップ4は、開口部3dにおいて、延出部4bによって前気室9の一部を覆う第1の位置P1(図2A〜図2C参照)と、この第1の位置P1よりも前気室9の筐体3外部への開口面積を大きくする第2の位置P2(図3A〜図3C参照)とをとる。
【0021】
具体的には、キャップ4は、筐体3に対し着脱自在となっており、筐体3に装着される際は第1の位置P1にあり、取り外された位置が第2の位置P2となる。
キャップ4の延出部4bは、第1の位置P1において、筐体3の開口部3dの一部を覆うことで、前気室9の一部を覆うと共に開口部3dのうち覆われない部分にキャップ孔3aを形成する。
【0022】
また、キャップ4は、第1の位置P1において、携帯電話機1の正面側に位置し外部機器に接続される、インターフェース部としての接続端子14を、基部4aにより覆う。
以上説明した本実施の形態では、キャップ4は、前気室9の一部を覆う第1の位置P1、および、この第1の位置P1よりも筐体3外部への前気室9の開口面積を大きくする第2の位置P2、をとる。そのため、キャップ4が第2の位置P2にあるとき、即ちキャップ4を取り外した際に、前気室9に溜まった水の排水作業が容易となる。よって、本実施の形態によれば、キャップ4を配置するという簡素な構成で、前気室9に溜まった水Wの水抜きを容易にすることができる。
【0023】
また、本実施の形態によれば、キャップ4は、マイク孔3aを形成する第1の位置P1において接続端子14を覆うため、部品点数を増やす必要がなく、したがって、より簡素な構成で、前気室9に溜まった水Wの水抜きを容易にすることができる。更には、接続端子14に外部機器を接続する場合に、キャップ4を開放することで、合わせて水Wの水抜きを行うことができる。
【0024】
また、本実施の形態によれば、キャップ4は、第1の位置P1において、筐体3との間に、筐体3外部に開口するマイク孔3aを形成するため、より簡素な構成で、前気室9に溜まった水Wの水抜きを容易にすることができる。
【0025】
また、本実施の形態によれば、キャップ4は、防水シート11により後気室10と仕切られた前気室9の一部を覆うことでマイク孔3aを形成するため、前気室9および後気室10によって音響性能を確保しつつ前気室9に溜まった水Wの水抜きを容易に行うことができる。
【0026】
また、本実施の形態によれば、キャップ4は、マイク孔3aを形成する第1の位置P1において筐体3に装着され、この筐体3に対し着脱自在であるため、キャップ4を着脱することで水Wの水抜きを簡単に行うことができ、したがって、水Wの水抜きを一層容易にすることができる。
【0027】
なお、以上説明した本実施の形態では、電子装置として携帯電話機1を例に説明したが、電子装置としては、例えば、マイク、レシーバ、スピーカ等の音響部品を備える装置であればよく、例えば、PDA(Personal Digital Assistant)、デジタルカメラ、パーソナルコンピュータ、携帯型デジタル音楽プレーヤー、ラジオ受信機等の他の電子装置を用いてもよい。
【0028】
また、本実施の形態では、音響部品用の空間として前気室9および後気室10の2つの空間を例に説明したが、空間は1つであってもよい。また、音響部品用の空間としては、音響部品、例えばマイク部2専用の前気室9・後気室10(空間)である必要はなく、他の機能を果たす空間であってもよい。
【0029】
また、音響部品用の空間は、マイク孔3aと連続しマイク孔3aと同径の空間であってもよく、その場合には、キャップ4は、当該空間の奥行き方向に延びるように配置し、側方から当該空間の一部を覆うようにするとよい。
【0030】
また、本実施の形態では、音響部品としてマイク部2を例に説明したが、音響部品としては、レシーバ、スピーカ等の他の音響部品を用いてもよい。
また、本実施の形態では、蓋体として、筐体3に着脱自在なキャップ4を例に説明したが、蓋体としては、第1の位置P1と第2の位置P2との間で移動自在な例えばスライド式の蓋体を用いてもよい。その場合、上記移動自在な蓋体は、第2の位置P2において、第1の位置P1よりも前気室9の開口面積を大きくすればよいため、第2の位置P2は、前気室9を覆わない位置に限られず、前気室9の一部を覆う位置であってもよい。
【0031】
このように移動自在な蓋体を用いることでも、着脱自在なキャップ4と同様に、キャップ4を移動させることで水Wの水抜きを簡単に行うことができ、したがって、水Wの水抜きを一層容易にすることができる。
【0032】
また、キャップ4は、第1の位置P1において、必ずしも音響用孔、例えばマイク孔3aを形成する必要はなく、マイク孔3aとは隣接しない位置で前気室9の一部を覆うようにしてもよい。
【0033】
また、キャップ4は、例えば基部4aの一部が筐体3に固定された状態で着脱自在となるもの、基部4a及び延出部4bのうち一方ずつが着脱自在となるもの、他の空間、例えば筐体3に形成された孔などを介して前気室9を覆うもの、などを用いてもよい。
【0034】
また、本実施の形態では、インターフェース部として接続端子14を例に説明したが、インターフェース部としては、外部機器との接続に用いられる接続端子14その他の外部接続部、電源等の操作部、ランプ等の表示部なども含まれ、キャップ4が前気室9の一部を覆う際に、接続端子14以外のインターフェース部を覆うようにしてもよい。
【0035】
図4は、本発明の一実施の形態の変形例に係る携帯電話機1´の開放状態を示す平面図である。
図5Aおよび図5Bは、携帯電話機1´の、キャップ4´を取り外した状態の平面図および左側面図である。
【0036】
本変形例に係る携帯電話機1´のキャップ4´は、基部4a´がインターフェース部、例えば接続端子を覆うものではなく筐体3への取付け部分となっている。そのため、基部4a´を幅方向、つまり図4および図5Aにおける左右方向に延ばす必要がなく、基部4a´の幅は延出部4b´の幅と同等となっている。
【0037】
本変形例のように、基部4a´が接続端子を覆わないキャップ4´を用いても、キャップ4を配置するという簡素な構成で、前気室9に溜まった水Wの水抜きを容易にすることができる。
【0038】
以上説明した一実施の形態およびその変形例に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
音響部品を収容し、該音響部品用の空間が内部に形成された筐体と、
前記空間の一部を覆う第1の位置、および、該第1の位置よりも前記空間の前記筐体外部への開口面積を大きくする第2の位置、をとる蓋体と、
を備えることを特徴とする電子装置。
(付記2)
インターフェース部を更に備え、
前記蓋体は、前記第1の位置において、前記空間の一部を覆うと共に、更に前記インターフェース部を覆う、
ことを特徴とする付記1記載の電子装置。
(付記3)
前記蓋体は、前記第1の位置において、前記筐体との間に、該筐体外部に開口する音響用孔を形成することを特徴とする付記1記載の電子装置。
(付記4)
前記空間は、前気室、および、該前気室と前記音響部品との間に位置する後気室、を含み、
前記電子装置は、前記前気室と前記後気室との間に位置する防水部を更に備え、
前記蓋体は、前記第1の位置において、前記前気室の一部を覆う、
ことを特徴とする付記1記載の電子装置。
(付記5)
前記蓋体は、前記第1の位置において前記筐体に装着され、該筐体に対し着脱自在であることを特徴とする付記1記載の電子装置。
(付記6)
前記蓋体は、前記第1の位置と前記第2の位置との間で移動自在であることを特徴とする付記1記載の電子装置。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1A】本発明の一実施の形態に係る携帯電話機の開放状態を示す平面図である。
【図1B】本発明の一実施の形態に係る携帯電話機の開放状態を示す左側面図である。
【図2A】本発明の一実施の形態に係る携帯電話機の要部平面図である。
【図2B】図2AのI−I断面図である。
【図2C】図2BのA部拡大図である。
【図3A】本発明の一実施の形態に係る携帯電話機の、キャップを取り外した状態の要部平面図である。
【図3B】図3AのII−II断面図である。
【図3C】図3BのB部拡大図である。
【図4】本発明の一実施の形態の変形例に係る携帯電話機の開放状態を示す平面図である。
【図5A】本発明の一実施の形態の変形例に係る携帯電話機の、キャップを取り外した状態の平面図である。
【図5B】本発明の一実施の形態の変形例に係る携帯電話機の、キャップを取り外した状態の左側面図である。
【符号の説明】
【0040】
1 携帯端末
2 マイク部
3 筐体
3a マイク孔
3b スピーカ孔
3c 凹部
3d 開口部
4 キャップ
4a 基部
4b 延出部
5 ヒンジ部
6 操作部
7 液晶表示部
8 基板
8a 貫通孔
9 前気室
10 後気室
11 防水シート
12 両面テープ
13 発泡性緩衝材
14 接続端子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
音響部品を収容し、該音響部品用の空間が内部に形成された筐体と、
前記空間の一部を覆う第1の位置、および、該第1の位置よりも前記空間の前記筐体外部への開口面積を大きくする第2の位置、をとる蓋体と、
を備えることを特徴とする電子装置。
【請求項2】
インターフェース部を更に備え、
前記蓋体は、前記第1の位置において、前記空間の一部を覆うと共に、更に前記インターフェース部を覆う、
ことを特徴とする請求項1記載の電子装置。
【請求項3】
前記蓋体は、前記第1の位置において、前記筐体との間に、該筐体外部に開口する音響用孔を形成することを特徴とする請求項1記載の電子装置。
【請求項4】
前記空間は、前気室、および、該前気室と前記音響部品との間に位置する後気室、を含み、
前記電子装置は、前記前気室と前記後気室との間に位置する防水部を更に備え、
前記蓋体は、前記第1の位置において、前記前気室の一部を覆う、
ことを特徴とする請求項1記載の電子装置。
【請求項1】
音響部品を収容し、該音響部品用の空間が内部に形成された筐体と、
前記空間の一部を覆う第1の位置、および、該第1の位置よりも前記空間の前記筐体外部への開口面積を大きくする第2の位置、をとる蓋体と、
を備えることを特徴とする電子装置。
【請求項2】
インターフェース部を更に備え、
前記蓋体は、前記第1の位置において、前記空間の一部を覆うと共に、更に前記インターフェース部を覆う、
ことを特徴とする請求項1記載の電子装置。
【請求項3】
前記蓋体は、前記第1の位置において、前記筐体との間に、該筐体外部に開口する音響用孔を形成することを特徴とする請求項1記載の電子装置。
【請求項4】
前記空間は、前気室、および、該前気室と前記音響部品との間に位置する後気室、を含み、
前記電子装置は、前記前気室と前記後気室との間に位置する防水部を更に備え、
前記蓋体は、前記第1の位置において、前記前気室の一部を覆う、
ことを特徴とする請求項1記載の電子装置。
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【公開番号】特開2010−114548(P2010−114548A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−283942(P2008−283942)
【出願日】平成20年11月5日(2008.11.5)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月5日(2008.11.5)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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