電子装置
【課題】電子装置に複雑な機能が搭載されるに従って、使用者が設定すべきメニュー項目、参照したいガイド項目の数が膨大となっている。使用者は、表示部に表示されたこれら分類されたメニュー項目、ガイド項目から設定したいメニュー、参照したいガイドを探して階層構造をさまようことがあった。
【解決手段】上記課題を解決するために、電子装置は、処理を行う処理部と、表示を行う表示部と、使用者の生体情報の変化を取得したときに、表示部に、処理部の処理に関する設定画面およびガイド画面の少なくも一方である表示画面を表示させる制御部とを備える。
【解決手段】上記課題を解決するために、電子装置は、処理を行う処理部と、表示を行う表示部と、使用者の生体情報の変化を取得したときに、表示部に、処理部の処理に関する設定画面およびガイド画面の少なくも一方である表示画面を表示させる制御部とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
撮影者の生体情報を検出して撮影者の感情を推定し、推定された感情に基づいて撮影操作を支援する撮像装置が知られている。例えば、感情の高ぶりに応じて手振れ補正ゲインを調整し、補正レンズの追従特性を改善している。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1]特開2009−210992号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
電子装置に複雑な機能が搭載されるに従って、使用者が設定すべきメニュー項目の数が膨大となっている。これらのメニュー項目は、種類に応じて複数に分類され、さらにそれぞれの分類の中でその従属関係からツリー構造状に階層化されて整理されている。使用者は、表示部に表示されたこれら分類されたメニュー項目から設定したいメニューを探して階層構造をさまようことがあった。
【0004】
さらに近時の電子装置においては、それぞれの機能をいかに使用するかについてのユーザガイドが用意されていることも多いが、一般的にはやはりユーザガイドも階層化されて整理されている。すると、メニュー項目と同様に、使用者は参照したいユーザガイドをなかなか見つけることができなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の一つの態様における電子装置は、処理を行う処理部と、表示を行う表示部と、使用者の生体情報の変化を取得したときに、表示部に、処理部の処理に関する設定画面およびガイド画面の少なくも一方である表示画面を表示させる制御部とを備える。
【0006】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】カメラシステムの要部断面図である。
【図2】カメラシステムの上部概観図である。
【図3】撮影レンズを左手により把持した第1の状態を示す図である。
【図4】撮影レンズを左手により把持した第2の状態を示す図である。
【図5】カメラ本体に設けられたカメラ本体側生体センサ部を示す図である。
【図6】心拍数検出装置と脈波検出装置の構成を示す図である。
【図7】カメラシステムのブロック図である。
【図8】カメラシステムの背面概観図である。
【図9】メニュー設定画面の階層構造と表示例を説明する図である。
【図10】ユーザガイド画面の階層構造と表示例を説明する図である。
【図11】一連の撮影動作と、メニュー設定画面およびユーザガイド画面の表示との関連を示す動作フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0009】
図1は、本実施形態に係るカメラシステム1の要部断面図である。本実施形態では、電子装置や携帯装置の一例として、カメラシステム1について説明する。カメラシステム1は、カメラ本体2と交換可能な撮影レンズ3を組み合わせて撮像装置として機能する、レンズ交換式一眼レフカメラである。
【0010】
撮影レンズ3は、フォーカスレンズ、ズームレンズおよび防振レンズを含むレンズ群4、絞り5、カメラシステム1の振れを検出する角速度センサ6、レンズ群4を駆動する不図示の駆動装置等を備える。角速度センサ6は、少なくとも光軸に直交する2軸周りの角速度を検出する。駆動装置は、例えば振動波モータ、VCMにより構成される複数のモータを有し、フォーカスレンズを光軸方向に駆動し、防振レンズを光軸方向とは異なる方向に駆動する。
【0011】
また、撮影レンズ3は、撮影レンズ3の全体を制御すると共に、カメラ本体2と協働するレンズCPU7を有し、撮影者の心拍数、血流量、血圧、発汗量、体温および撮影レンズ3を把持する圧力等を検出するレンズ側生体センサ部8を有する。
【0012】
カメラ本体2は、撮影レンズ3からの光束を反射してファインダー光学系26に導く反射位置と、撮影レンズ3からの光束がCCDまたはCMOSなどから構成される撮像素子27に入射するように退避する退避位置とで揺動するメインミラー28を備える。メインミラー28の一部の領域は半透過領域となっており、カメラ本体2は、この半透過領域を透過した光束を焦点検出センサ29へ反射するサブミラー30を備える。サブミラー30は、メインミラー28に連動して揺動し、メインミラー28が退避位置をとるときには、サブミラー30も光束から退避する。なお、焦点検出センサ29は、位相差方式により入射する光束の焦点状態を検出する。
【0013】
反射位置にあるメインミラー28で反射された光束は、焦点板31、ペンタプリズム32を介してファインダー光学系26へ導かれる。ファインダー光学系26は、複数のレンズから構成されており、撮影者はファインダー光学系26により被写界を確認することができる。
【0014】
ペンタプリズム32を透過する光束の一部は測光センサ40に導かれる。測光センサ40は、撮影レンズ3へ入射する光束を複数の領域ごとに測光することにより、被写界の輝度分布を計測する。また、ペンタプリズム32の上方にはGPS(Global Positioning System:全地球測位システム)モジュール41を備えており、GPS衛星からの信号を受信して、カメラシステム1が存在している位置情報を取得する。さらに、カメラ本体2は、撮影レンズ3のマウント部近傍で撮影レンズ3と干渉しない位置に、被写界の音を取り込むマイク42と、ファインダー光学系26の近傍にスピーカ43を備える。焦点検出センサ29、測光センサ40、GPSモジュール41、マイク42は、カメラシステム1が使用される外界の環境を取得する意味で、これらは環境センサの例と言える。
【0015】
メインミラー28が退避位置にあるときには、撮影レンズ3からの光束は、ローパスフィルタ33を介して撮像素子27に入射する。撮像素子27の近傍には撮像基板34が設けられており、撮像基板34の後方には外部に面して背面モニタ37が設けられている。
【0016】
カメラ本体2には、撮影者の右の手指が触れる位置に、撮影者の心拍数、血流量、血圧、発汗量、体温およびカメラ本体2を把持する圧力などを検出するカメラ本体側生体センサ部16を有している。カメラ本体側生体センサ部16の具体的な構成および配置につては後述する。
【0017】
また、カメラ本体2は、姿勢センサ45を備える。姿勢センサ45は、カメラシステム1の姿勢を検出する。具体的には、カメラシステム1が横向きに構えられているのか、縦向きに構えられているのか、さらには、撮影者が背面モニタ37を視認しやすい姿勢である前傾姿勢であるのか等の姿勢を検出する。
【0018】
図2は、本実施形態に係るカメラシステム1の上部概観図である。具体的には、操作者が右手でカメラ本体2を把持すると共に左手で撮影レンズ3を把持している状態を示す図である。撮影レンズ3は、上述のように、撮影者の心拍数、血流量、血圧、発汗量、体温および撮影レンズ3を把持する圧力等を検出するレンズ側生体センサ部8を有するが、レンズ側生体センサ部8は、撮影者の左手の指または掌が触れる位置に配設されている。
【0019】
図においては、レンズ側生体センサ部8の一部として、心拍数検出装置9と脈波検出装置12が設けられている様子を示す。心拍数検出装置9は、基準電極9aと検出電極9bから構成される互いに分離した複数の電極部を有し、撮影者の心拍数を検出する。脈波検出装置12は、複数の発光部12a(12a1〜12a4)とこれらに対応する受光部12b(12b1〜12b4)が交互に配置されて構成され、撮影者の脈派を検出する。脈波検出装置12は、後述するように撮影者の血流量、血圧を測定するために用いられる。
【0020】
上述のように、カメラ本体2は、撮影者の右の手指が触れる位置にカメラ本体側生体センサ部16を有している。撮影者がカメラ本体2を把持するとき、右手の親指がカメラ本体2の背面に位置し、人差し指がレリーズSW24の近傍に位置するので、グリップ部に位置する他の3本の指と離れてしまう。このため、カメラ本体側生体センサ部16は、右手の親指に対応するカメラ背面位置と、人差し指に対応するレリーズSW24の近傍位置と、他の3本の指に対応するグリップ部近傍のカメラ前面位置とに離間して設けられている。なお、人差し指に対応するカメラ本体側生体センサ部16は、レリーズSW24の表面に設けられていても良い。
【0021】
なお、カメラ本体2においては、右手の親指と人差し指以外の3本の指がカメラ本体2を把持するカメラ前面位置と、右手の親指に対応したカメラ背面位置との少なくとも一方が、カメラ本体2を把持する把持部である。また、カメラ本体2の背面には、いくつかの操作SWが設けられており、これらの操作SWは右手親指で操作される。また、カメラ本体2の上面には撮影モードを設定する撮影モードSW25が設けられている。
【0022】
図3は、撮影レンズ3を左手により把持した第1の状態を示す図である。第1の状態は、左手の甲が下側に位置して撮影レンズ3を把持した状態である。図4は、撮影レンズ3を左手により把持した第2の状態を示す図である。第2の状態は、左手の甲が左側に位置して撮影レンズ3を把持した状態である。
【0023】
撮影者が撮影レンズ3を把持しつつズーム操作、マニュアルフォーカス操作を行う場合においては、左手の親指が他の指とは離れてしまう。また、異なる撮影者、異なる撮影状況(例えば、横位置撮影および縦位置撮影)によっても撮影レンズの把持の仕方は変化する。そこで、撮影レンズ3の円周上には、複数のレンズ側生体センサ部8(8A〜8D)が設けられている。
【0024】
具体的には、レンズ側生体センサ部8は、ズーム操作位置とマニュアルフォーカス操作位置との少なくとも一方の位置で、かつ、左手の親指に対応する位置と、親指以外の指に対応する位置とに離間して設けられる。より具体的には、レンズ側生体センサ部8は、ズーム操作用ゴム、フォーカス操作用ゴムが設けられた位置であって、左手に接触するように、または、左手と対向するように設けられている。
【0025】
レンズ側生体センサ部8Aは、上述の心拍数検出装置9、脈波検出装置12の他に、撮影者の発汗量を検出する発汗センサ13、撮影者の体温を検出する温度センサ14、および撮影者が撮影レンズ3を把持する圧力を検出する圧力センサ15を備える。
【0026】
レンズ側生体センサ部8B〜8Dは、レンズ側生体センサ部8Aと同様に、心拍数検出装置9、脈波検出装置12、発汗センサ13、温度センサ14および圧力センサ15をそれぞれ備える。このように、撮影レンズ3の円周上に複数のレンズ側生体センサ部8(8A〜8D)を設けることにより左手の掌からも生体情報を検出することができる。
【0027】
なお、本実施形態では、ズーム操作位置、マニュアルフォーカス操作位置等に応じて複数のレンズ側生体センサ部8(8A〜8D)を設けているが、撮影者、撮影状態等に応じて撮影レンズ3の把持の仕方が変った場合においても生体情報を検出できる位置であれば、複数のレンズ側生体センサ部8を上述の位置以外の位置に設けてもよい。また、左手の親指が撮影レンズ3を把持する力はあまり大きくないので、レンズ側生体センサ部8B,8Cにおいては、左手の親指に対応する圧力センサ15を省略してもよい。同様に、レンズ側生体センサ部8に高い検出精度が要求されない場合には、左手の親指に対応する位置のセンサを適宜省略することにより、撮影レンズ3の部品点数を抑えることができる。また、レンズCPU7は、脈波検出装置12の発光部12aに手指がかかっているときだけ発光するように制御してもよい。
【0028】
図5は、カメラ本体2のレリーズSW24の近傍に設けられたカメラ本体側生体センサ部16を示す図である。図示すように、カメラ本体側生体センサ部16は、心拍数検出装置9と同様の構成を有する心拍数検出装置17と、脈波検出装置12と同様の構成を有する脈波検出装置20とを有している。また、カメラ本体側生体センサ部16は、撮影者の発汗量を検出する発汗センサ21、撮影者の体温を検出する温度センサ22、および撮影者がカメラ本体2を把持する圧力を検出する圧力センサ23を備えている。なお、上述のように、カメラ本体側生体センサ部16は、図示する右手人差し指に対応する位置以外に、親指に対応するカメラ背面位置と、他の3本の指に対応するカメラ前面位置にも設けられているが、それぞれ同様の構成を有する。
【0029】
図6は、カメラ本体側生体センサ部16が備える心拍数検出装置17と脈波検出装置20の構成を示す図である。図6(a)に示すように、心拍数検出装置17は、基準電極17aと検出電極17bから構成される互いに分離した複数の電極部を有し、撮影者の心拍数を検出する。また、図6(b)に示すように、脈波検出装置20は、複数の発光部20a(20a1〜20a4)とこれらに対応する受光部20b(20b1〜20b4)が交互に配置されて構成され、撮影者の脈派を検出する。
【0030】
図7は、本実施形態に係るカメラシステム1のブロック図である。撮像基板34は、撮像素子27を駆動する駆動回路10、撮像素子27の出力をデジタル信号に変換するA/D変換回路11、ASICで構成される画像処理制御回路18および撮像素子27からの信号の高周波成分を抽出するコントラストAF回路19などを有している。
【0031】
画像処理制御回路18は、デジタル信号に変換された画像信号に対してホワイトバランス調整、シャープネス調整、ガンマ補正、階調調整などの画像処理を施すと共に、JPEGなどの画像圧縮を行って画像ファイルを生成する。生成された画像ファイルは、画像記録媒体35に記憶される。画像記録媒体35は、カメラ本体2に対して着脱可能なフラッシュメモリなどの記録媒体であっても良いし、カメラ本体2に内蔵されるSSD(Solid State Drive)などの記録媒体であっても良い。
【0032】
画像処理を施された画像信号は、背面モニタ制御回路36の制御により、背面モニタ37に表示される。撮影直後に撮影された画像信号を所定時間表示すれば、画像記録媒体35に記録された画像ファイルに対応する画像を撮影者に視認させるレックレビュー表示を実現できる。また、撮像素子27が連続的に光電変換する被写界像を、画像記録媒体35に記録することなく背面モニタ37に逐次表示すればライブビュー表示を実現できる。さらに、撮像素子27が連続的に光電変換する被写界像を、例えばMPEG、H.264などの動画圧縮処理を画像処理制御回路18で施して画像記録媒体35に記録すれば、動画撮影を実現することができる。このとき、マイク42で収集した被写界の音声も圧縮処理して、動画データに同期させて記録する。生成される動画像のフレームレートは、例えば30fpsなど、複数のフレームレートから選択されて設定される。
【0033】
コントラストAF回路19は、撮像素子27からの撮像信号の高周波成分を抽出してAF評価値信号を生成し、これが最大になるフォーカスレンズ位置を検出する。具体的には、画像処理制御回路18から入力される画像信号から、バンドパスフィルタを用いて所定の高周波成分を抽出し、ピークホールド、積分等の検波処理を行ってAF評価値信号を生成する。生成したAF評価値信号は、カメラ本体CPU46に出力する。
【0034】
レンズCPU7は、角速度センサ6で検出した手振れをキャンセルするように、撮影レンズ3内の防振レンズを光軸方向とは異なる方向に駆動して光学式手振れ補正を実現している。手振れ補正はこのような光学式手振れ補正に限らず、撮像素子27に駆動機構を付与して、光軸方向とは異なる方向に駆動して手振れをキャンセルする撮像素子駆動式手振れ補正を採用することもできる。さらには、画像処理制御回路18から出力された複数枚の画像間の動きベクトルを算出し、算出した画像間の動きベクトルをキャンセルするように画像読み出し位置を制御して手振れをキャンセルする電子式手振れ補正を採用することもできる。光学式手振れ補正および撮像素子駆動式手振れ補正は特に静止画撮影に好適であり、動画撮影にも適用される。電子式手振れ補正は動画撮影に好適である。これらの方式は、選択的、追加的に採用され得る。
【0035】
測光センサ40は、上述のように、撮影レンズ3へ入射する光束を複数の領域ごとに測光することにより被写界の輝度分布を計測するが、計測結果はカメラ本体CPU46に出力する。カメラ本体CPU46では、選択された測光モードに応じて露出値を算出する。測光モードとしては、明るい部分と暗い部分のバランスを取る分割測光モード、画面中央を適正露出とする中央重点測光モード、選択したフォーカスポイントの狭領域を適正露出とするスポット測光モードなどが選択され得る。
【0036】
カレンダー部38は、水晶発振子、計時用集積回路等を有しており、年月日時分秒といったカレンダー情報を保持する。カメラ本体CPU46は、カレンダー部38から時間に関する情報を適宜検出することができる。GPSモジュール41は、GPS衛星からの信号を受信してカメラ本体2が存在している緯度、経度、高度情報を取得する。カメラ本体CPU46は、GPSモジュール41からカメラ本体2が存在している位置に関する情報を適宜検出することができる。
【0037】
フラッシュROM39は、EEPROM(登録商標)であり、カメラシステム1を動作させるプログラムのほか、各種調整値、設定値を記憶する記憶装置である。具体的には、AF調整データ、AE調整データ、製造時の年月日時間データ、設定SWの設定履歴などを記憶している。特に、撮影者が設定する各種設定値は、カメラシステム1のメニュー項目として、種類に応じて複数に分類され、さらにそれぞれの分類の中でその従属関係からツリー構造状に階層化されて管理されている。また、カメラシステム1が備える機能について撮影者をガイドするユーザガイドも、メニュー項目と同様に、種類に応じて複数に分類され、さらにそれぞれの分類の中でツリー構造状に階層化されて管理されている。また、フラッシュROM39は、メニュー設定画面およびユーザガイド画面の所定回数分の使用履歴を記憶している。
【0038】
また、フラッシュROM39には、撮影者の平常時の生体情報値も記憶されている。本実施形態においては、フラッシュROM39は生体情報値として心拍数、血流量、血圧、体温、カメラ本体2を把持する圧力、撮影レンズ3を把持する圧力を記憶している。
【0039】
RAM44は、フラッシュROM39に記憶されたプログラムが展開され、カメラ本体CPU46が高速にアクセスできるDRAMなどの高速RAMである。特に頻繁に参照される各種調整値、設定値などもフラッシュROM39からコピーされ、カメラ本体CPU46からのアクセスを容易にする。
【0040】
背面モニタ制御回路36は、上述のように画像処理された画像の他、フラッシュROM39から読み出したメニュー設定画面およびユーザガイド画面を背面モニタ37へ表示する表示制御を行う。また、背面モニタ37の表面にはタッチパネルセンサが積層されており、撮影者が背面モニタ37のメニュー項目等を視認しつつタッチパネルセンサを操作したときには、その座標とその座標に対応して表示されていたメニュー項目をカメラ本体CPU46へ出力する。
【0041】
姿勢センサ45は、上述のように、カメラシステム1の姿勢を検出する。姿勢センサ45は、簡単なものでは、フォトインタラプタの赤外光を、重力によって移動する小球が遮断するかにより一軸方向の姿勢を検出するセンサを組み合わせて構成される。カメラシステム1の姿勢として正確な角度まで検出したい場合には、3軸加速度センサなどが用いられる。特に本実施形態においては、撮影者が背面モニタ37を視認しやすい姿勢である前傾姿勢であるかが検出される構成であれば良い。
【0042】
レリーズSW24は、2段式のスイッチである。撮影者がレリーズSW24を半押しすると、カメラ本体CPU46は、レンズ側生体センサ部8およびカメラ本体側生体センサ部16を用いて撮影者の生体情報の検出を開始すると共にオートフォーカス、測光などの撮影準備動作を行う。さらに撮影者がレリーズSW24を全押しすると、カメラ本体CPU46は、静止画、動画の撮影動作を開始する。
【0043】
カメラ本体CPU46は、レンズCPU7と協働してカメラシステム1の全体を制御する。本実施形態においては、レンズ側生体センサ部8およびカメラ本体側生体センサ部16の出力に基づいて撮影者の生体情報を取得して、カメラシステム1のアシストなどの制御を行う。ここで、レンズ側生体センサ部8およびカメラ本体側生体センサ部16による撮影者の生体情報の取得について説明する。
【0044】
まず、心拍数測定について説明する。上述のように、撮影者が左手で撮影レンズ3を把持する位置には心拍数検出装置9の基準電極9aおよび検出電極9bが設けられており、撮影者が右手でカメラ本体を把持する位置には心拍数検出装置17の基準電極17aおよび検出電極17bが設けられている。検出電極9b、16bからの検出電位は、不図示の差動増幅器で電位差が増幅されてカメラ本体CPU46へ出力される。カメラ本体CPU46は、検出電極9b、16bの電位差に基づいて、撮影者の心拍数を演算する。
【0045】
なお、例えば撮影者が撮影レンズ3を把持していない場合には、撮影者の左手が基準電極9a、検出電極9bに触れていないので、基準電極9aと検出電極9bとの間がオープンとなる。レンズCPU7は、基準電極9aと検出電極9bとの間がオープンの場合には、撮影者が撮影レンズ3を把持していないと判断する。同様に、カメラ本体CPU46は、心拍数検出装置の基準電極17aと検出電極17bとの間がオープンの場合には、撮影者がカメラ本体2を把持していないと判断する。
【0046】
次に、血圧測定について説明する。脈波検出装置12および20は、撮影者の血圧を測定する。なお、脈波検出装置12と脈波検出装置20は同様の構成を有するので、脈波検出装置12を例に説明する。脈波検出装置12は、発光部12aから例えば赤外線を射出し、この赤外線が指の動脈で反射され、反射された赤外線を赤外線センサである受光部12bで受光することにより手の指部の脈波を検出する。つまり、末梢血管の血流量を検出する。カメラ本体CPU46は、脈波検出装置12からの脈波に基づいて撮影者の血圧を演算する。レンズCPU7は、心拍数検出装置9の基準電極9aと検出電極9bとの出力から、例えば小指など撮影者のある指が撮影レンズ3に触れていないと判断した場合に、その指に対応して配置された発光部12aの発光を禁止するようにすれば、無駄な発光を防止すると共に、被写界に迷光を射出することもない。同様に、カメラ本体CPU46は、心拍数検出装置17の基準電極17aと検出電極17bとの出力に基づいて、例えば撮影者の親指がカメラ本体2に触れていないときに、脈波検出装置20の発光部20aの発光を禁止してもよい。
【0047】
次に、発汗測定について説明する。発汗は手のインピーダンスを測定することにより検出できる。発汗センサ13,21は、複数の電極を有して発汗を検出する。なお、複数の電極の一部として基準電極9a、基準電極17aを兼用してもよい。発汗センサ13は、レンズ側生体センサ部8A〜8Dのそれぞれに設けられているが、感動、興奮、緊張といったような精神性発汗は、発汗量が少なく、発汗時間も短いので、指よりも発汗量が多い中手の掌側に位置するレンズ側生体センサ部8B,Cだけに設けてもよい。
【0048】
次に、温度測定について説明する。温度センサ14,22は、熱により抵抗値が変化するサーミスタ方式を用いている。発汗には上述の精神性発汗と、体温調節のための温熱性発汗とがあり、精神性発汗と温熱性発汗とは相互干渉している。このため、カメラ本体CPU46は発汗センサ13,21の出力と、温度センサ14,22の出力とに基づいて撮影者の発汗が精神性発汗か温熱性発汗かを判断することができる。例えば、カメラ本体CPU46は、温度センサ22により検出した温度が高く、発汗センサ21からの発汗信号が常時検出される場合には温熱性発汗と判断することができる。また、カメラ本体CPU46は、発汗センサ21からの発汗信号が不規則に出力される場合に精神性発汗と判断して、撮影者が感動、興奮、緊張といった状態であることを検出できる。なお、温度センサ14、22を省略した場合には、本体CPU44は、GPSモジュール41の位置情報、カレンダー部38からの時間情報などに基づいて、発汗センサ13、21からの発汗信号が精神性発汗か温熱性発汗かを判断してもよい。更に、レンズCPU7が発汗センサ13、温度センサ14の出力に基づいて、左手の汗が精神性発汗か温熱性発汗かを判断することもできる。
【0049】
次に、圧力測定について説明する。圧力センサ15は、静電容量型のセンサであり、撮影者が撮影レンズ3を把持したときの押圧力による変形量を測定する。本実施形態において圧力センサ15は、操作ゴムの下方に設けられている。圧力センサ23も同様の静電容量型のセンサであり、撮影者がカメラ本体2を把持したときの押圧力による変形量を測定する。なお、圧力センサ15,23として歪ゲージ、電歪素子などを用いてもよい。
【0050】
上述のように、カメラ本体CPU46は、レンズCPU7と協働して、レンズ側生体センサ部8およびカメラ本体側生体センサ部16の出力に基づいて撮影者の生体情報を取得し、カメラシステム1のアシストなどの制御を行う。本実施形態においては、撮影者の生体情報を用いて、メニュー設定画面およびユーザガイド画面の少なくとも一方を背面モニタ37へ表示する制御を行う。
【0051】
図8は、カメラシステム1の背面概観図である。特に、背面モニタ37にメニュー設定画面が表示されている様子を示す。図示するように、背面モニタ37の近傍には十字SW47が設けられており、撮影者は十字SW47を操作することで、メニュー設定画面上にハイライトでアクティブ表示される設定対象項目を上下左右に移動させて特定のメニュー項目を選択する。十字SW47の中央には決定ボタンが設けられており、撮影者は決定ボタンを押下げることにより、選択したメニュー項目の実行を指示する。ユーザガイド画面の表示についても、撮影者は同様の操作を行うことにより特定の画面を表示させるが、詳細については、後述する。
【0052】
図9は、メニュー設定画面の階層構造と表示例を説明する図である。通常のメニュー設定画面の階層構造に従えば、図9(a)に示すように、まず、それぞれがタブとして分類される再生タブ51、撮影タブ52、セットアップタブ53およびヘルプタブ54が左端に並べて表示される。再生に関するメニュー項目は再生タブ51に纏められており、同様に、撮影に関するメニュー項目は撮影タブ52に、カメラシステム1の使用環境に関するメニュー項目はセットアップタブ53に纏められている。ヘルプタブ54には、表示されている項目に関連するヘルプ表示があるときに選択できる説明項目が纏められている。
【0053】
撮影者が、再生タブ51、撮影タブ52、セットアップタブ53からひとつを選択すると、そのタブのタイトル55、およびそのタブに纏められている次の階層のメニュー項目一覧56が表示される。タブの選択は、十字SW47の上下ボタンによりアクティブ表示を移動させ、決定ボタンの押下げにより実行される。ひとつのタブが選択されると、アクティブ表示がメニュー項目一覧56のうちのひとつのメニュー項目に移り、同様に十字SW47の操作により選択される。なお、メニュー項目一覧56が表示領域中に収まらない場合はスクロールバー57が表示され、現在アクティブとなっているメニュー項目の位置づけが視認できるように構成されている。
【0054】
図9(a)は、セットアップタブ53が選択され、カメラシステム1の使用環境に関するメニュー項目が羅列されている例を示す。そのうちの例えば背面モニタ37の明るさを調整するメニュー項目である「液晶モニタの明るさ」を選択すると、表示画面が遷移して、図9(b)の画面が表示される。図9(b)は、選択された「液晶モニタの明るさ」のメニュー設定画面である。図示するように、明るさを表現する複数のアイコンと、選択しうる刻み幅に合わせたバーからなるインジケーター58が表示され、撮影者は、十字SW47の左右ボタンによりアクティブ表示を移動させる。そして、上下ボタンで「OK」または「キャンセル」を選択することにより、設定を実行または取消す。
【0055】
以上のように、通常の操作により特定のメニュー項目を設定する場合には、順次階層を下ってメニュー設定画面に辿り着くことが要求される。それぞれのメニュー項目の性質は多岐にわたり、他のメニュー項目の場合は、更に深い階層においてはじめてメニュー設定画面が表示されることもある。上述のように、カメラシステム1が備える機能について撮影者をガイドするユーザガイドも、メニュー項目と同様に、種類に応じて複数に分類され、さらにそれぞれの分類の中でツリー構造状に階層化されて管理されている。以下にユーザガイドについて説明する。
【0056】
図10は、ユーザガイド画面の階層構造と表示例を説明する図である。通常、ユーザガイド画面は、撮影モードSW25の一項目として設けられている「GUIDE」が指標に合わされてガイドモードが選択されたときに表示される。図10(a)は、ガイドメニューのトップ画面である。ガイドメニューは、タイトル61が表示され、その下に、メニュー設定画面のタブに対応するように、撮影関連アイコン62、再生関連アイコン63および設定関連アイコン64に分類されて表示されている。撮影者は、十字SW47を操作することによりこれらから任意のひとつを選択する。例えば、撮影関連アイコン62を選択すると、図10(b)に示すガイド項目一覧表示へ遷移する。
【0057】
ガイド項目一覧表示では、ガイド項目一覧65が表示され、撮影者は、参照したいガイド項目のひとつを十字SW47の操作により選択する。図示するように、例えば「テクニックを使って撮る」を選択すると、図10(c)に示すように、更にポップアップウィンドウが開いて、サブ項目一覧67が表示される。撮影者はそのうちのひとつのガイド項目を選択する。最終的に参照したいガイド項目の選択が完了すれば、図10(d)に示すような画面に遷移して、その項目のガイドが表示される。ここでは例として、「背景をぼかして撮る」のユーザガイド画面を示している。図示するように、タイトル68と共に、その具体的な説明文69が表示される。そして、設定値70が表示され、その設定値に相応するイメージイラスト71が同時に表示される。例えば、設定値70が絞り値F5.6であれば、F5.6に相応する絞り開口の様子をイメージ化する。なお、設定値70は十字SW47を操作することで変更することができ、そのまま実際の設定値として採用することもできる。
【0058】
以上のように、通常の操作により特定のガイド項目を参照する場合には、順次階層を下ってユーザガイド画面に辿り着くことが要求される。それぞれのガイド項目の性質は多岐にわたり、他のガイド項目の場合は、更に深い階層においてはじめてユーザガイド画面が表示されることもある。そこで、本実施形態においては、撮影者の生体情報に基づいて、よりダイレクトにメニュー設定画面およびユーザガイド画面の少なくとも一方を背面モニタ37へ表示する制御を行う。
【0059】
図11は、カメラシステム1の一連の撮影動作と、メニュー設定画面およびユーザガイド画面の表示との関連を示す動作フロー図である。本動作フローにおいては、静止画撮影の撮影動作を例に説明する。
【0060】
撮影者が、カメラシステム1の電源をONにして一連のフローを開始させると、カメラ本体CPU46は、ステップS101で、背面モニタ制御回路36を用いて背面モニタ37に、露出が調整されたライブビュー画像の表示を開始する。カメラ本体CPU46は、背面モニタ制御回路36を用いて背面モニタ37に、露出が調整されたライブビュー画像を表示する。露出の調整は、ライブビュー表示の開始時に得られる撮像素子27からの画像信号を複数用い、例えば一画像全体の平均輝度値が所定の範囲内に収まるように行う。または、ライブビュー表示の開始前に一旦メインミラー28を反射位置とし、測光センサ40からの出力を得てカメラ本体CPU46が測光モードに応じた適正露出を算出しても良い。
【0061】
ライブビュー表示の開始から所定時間が経過したら、ステップS102で、カメラ本体CPU46は、カメラ本体側生体センサ部16およびレンズ側生体センサ部8の少なくとも一方から撮影者の生体情報を取得する。そして、ステップS103で、以前取得した生体情報と比較して、変化が生じたか否かを判断する。特に、撮影者の精神状態が通常状態からイライラ状態に変化したか否かを検出する。
【0062】
撮影者の平常状態における生体情報は、フラッシュROM39に蓄積されている。カメラ本体CPU46は、撮影者がカメラシステム1を使用しているときに、定期的、継続的に撮影者の生体情報を取得し、センサの出力として安定している一定の範囲の生体情報を平常状態における生体情報として蓄積している。したがって、カメラ本体CPU46は、取得した生体情報と、フラッシュROM39に蓄積されている平常状態における生体情報を比較することにより、撮影者の現在の状態が平常状態であるか否かを推測することができる。また、イライラ状態であるか否かも、フラッシュROM39に蓄積されている平常状態における生体情報と比較して判断される。例えば、平常状態に対して、心拍数が高く発汗量が不規則に変化するなどの出力が得られれば、イライラ状態であると判断できる。
【0063】
ステップS103において生体情報に変化が無いことは、ライブビュー画像を視認しつつカメラシステム1を操作する撮影者が、その撮影環境に満足していることを意味すると推定している。換言すれば、撮影者はカメラシステム1を思い通りに操作できていると推定している。逆に、生体情報に変化があることは、ライブビュー画像を視認しつつカメラシステム1を操作する撮影者が、その撮影環境に満足していないことを意味すると推定している。例えば、撮影者は特定の撮影モードに変更したいにも関わらず、設定変更の操作がわからなければ、撮影者はイライラ感等を抱く。カメラ本体CPU46は、レンズ側生体センサ部8およびカメラ本体側生体センサ部16の少なくとも一方から、この精神状態の変化を捉える。なお、撮影環境に対して満足していることを積極的に判断する場合は、生体情報から特定の感情の推定を行っても良い。
【0064】
上述のように、レンズ側生体センサ部8およびカメラ本体側生体センサ部16は、さまざまなセンサの集合体として構成されており、それぞれのセンサが異なる種類の生体情報を出力する。これらの出力を単独で、あるいは組み合わせて判断することにより、撮影者の特定の感情を推定することができる。例えば、高い心拍数および精神性発汗が検出されるときには、撮影者は「焦り」を感じていると推定できる。センサの出力と感情の対応関係は検証的に求められており、対応関係を示すテーブルをフラッシュROM39に記憶させておくことができる。そこで、感情推定においては、取得された生体情報が、テーブルに記述された特定の感情パターンと一致するかを判断すれば良い。
【0065】
なお、動作フローの開始時より撮影者が平常状態で無いと判断される場合は、カメラシステム1の動作制御が原因ではなく、他の要因による感情形成であると考えられる。したがって、このような場合には、生体情報の変化による以下の表示制御を行わないように構成しても良い。または、一旦平常状態に戻ったと判断されてから以下の表示制御を行うように構成しても良い。
【0066】
カメラ本体CPU46は、ステップS103で変化ありと判断すると、ステップS104へ進み、姿勢センサ45の出力を取得してカメラシステム1が傾けられたか否かを判断する。特に、撮影者が背面モニタ37を視認しやすい姿勢である前傾姿勢であるかを判断する。傾けられたと判断したら、ステップS105へ進む。
【0067】
ステップS105の状況は、ステップS103で撮影者の生体情報が変化し、ステップS104でカメラシステム1が前傾姿勢に傾けられたことから、撮影者は背面モニタ37を視認しつつ何らかの設定変更または操作ガイドを求めている状況と推定される。そこで、カメラ本体CPU46は、ステップS105で、メニュー設定画面およびユーザガイド画面の少なくとも一方を背面モニタ37へ表示する制御を行う。メニュー設定画面を表示するか、ユーザガイド画面を表示するか、あるいはシーケンシャルに共に表示するかは、予め設定されていても良いし、ユーザの設定に従うように構成しても良い。特に本実施形態に置いては、カメラシステム1の状況に応じて、カメラ本体CPU46が何を表示するか適宜判断する場合について説明する。
【0068】
カメラシステム1の状況は、さまざまな情報から判断することができる。まず、カメラシステム1が備える環境センサの出力から使用環境を判断できる。例えば、GPSモジュール41の出力として得られる緯度、経度、高度情報と、フラッシュROM39に記憶されている地図情報とから現在の位置情報を取得することができる。位置情報を取得でき、例えば、有名な風景撮影地であることを判断できれば、風景撮影に適した撮影モードを説明するユーザガイド画面、または風景撮影に適した撮影条件を初期値とするメニュー設定画面を表示できる。カレンダー部38からの時間情報も、カメラシステム1の使用環境を推定する情報となる。例えば、現在時刻が夜であれば、夜景撮影に適した撮影モードを説明するユーザガイド画面、または夜景撮影に適した撮影条件を初期値とするメニュー設定画面を表示できる。位置情報と時間情報を組み合わせれば、例えば、夏の日中の海岸に適したユーザガイド画面などを表示することができる。
【0069】
環境センサの出力以外の別の情報からもカメラシステム1の状況を判断することができる。例えば、フラッシュROM39は、上述のようにメニュー設定画面およびユーザガイド画面の所定回数分の使用履歴を記憶しているが、直前にメニュー設定画面、ユーザガイド画面を表示したにも関わらず再度表示を行う場合には、直前の表示と異なる画面を表示することが好ましい。すなわち、メニュー設定画面およびユーザガイド画面の表示履歴は、カメラシステム1の状況を示す材料となる。また、直前に撮影者が行っていた操作も、カメラシステム1の状況を示す材料となる。例えば、撮影者がある操作を行った結果イライラ状態に変化したと判断できれば、その操作結果は撮影者にとって好ましくない結果と想定できるので、他の操作に関するユーザガイド画面などを表示すると良い。
【0070】
また、生体情報が変化した時に前後して表示されていたライブビュー画像の情報からもカメラシステム1の状況を判断することができる。例えば、ライブビュー画像に人物の顔が含まれているにも関わらず焦点が合っていなければ、撮影者は顔認識に関する設定を行いたいと推定できる。この場合、顔認識の設定に関するユーザガイド画面などを表示することができる。カメラ本体CPU46は、ライブビュー画像を分析して撮影者の生体情報が変化した原因を推定し、その推定した結果に合わせてユーザガイド画面などを表示することができる。更に、カメラ本体CPU46は、撮影された画像が削除されたときに撮影者がイライラしていることを検出した場合には、背面モニターに撮影条件を変更するメニューやシーンモードを選択するメニューを表示するようにしてもよい。また、カメラ本体CPU46は、環境センサの出力に基づいて撮影者が設定した撮影条件とは異なる撮影条件で撮影を行うようにしてもよい。
【0071】
さらに、本動作フローは静止画撮影について説明するが、カメラシステム1が静止画撮影に設定されているのか、動画撮影に設定されているのかについても、状況を判断する有用な材料となる。静止画撮影に設定されていれば、例えば、画像モード(高画質、標準、エコノミーなどの記録画素数)、感度、連写枚数などの静止画撮影に関する表示画面を表示対象とすれば良いし、動画に設定されていれば、例えば、フレームレート、ショートムービの時間設定などの動画撮影に関する表示画面を表示対象とすれば良い。このように選択すれば、対象となる表示画面を大きく絞り込むことができる。
【0072】
ステップS105では、上述のように設定されたメニュー設定画面およびユーザガイド画面の少なくとも一方を表示する。ただし、図9および図10で説明した通常の表示形態とは異なる形態で表示する。通常の表示形態によれば、順次階層を下って特定のメニュー設定画面またはユーザガイド画面に辿り着くことが要求されるが、カメラ本体CPU46が上述のようにカメラシステム1の状況を判断すれば、撮影者が求めている表示画面を推定することができる。そこで、カメラ本体CPU46は、メニュー設定画面およびユーザガイド画面の階層構造に関わらず、カメラシステム1の状況に応じてダイレクトに深い階層の表示画面を表示する。なお、通常の操作により深い階層の表示画面から表示されるときには、カメラシステム1の状況に応じて、より浅い階層の表示画面を表示しても良い。
【0073】
さらには、特定の状況を判断できれば、その状況に対して設定項目となる対象機能にふさわしい設定値が想定されるので、通常のメニュー設定項目で選択し得る選択肢の数を異ならせることができる。例えば、通常の絞り値設定表示においては、装着されている撮影レンズ3が設定しうる絞り値のすべてが選択肢として表示されるが、周辺環境が薄暗い状況においては、開放値側から数段分の選択肢のみを制限的に表示させることができる。または、選択させない絞り値をグレーアウトで表示することもできる。
【0074】
ステップS105で表示されるメニュー設定画面、ユーザガイド画面は、切り替えて表示する他に、ライブビュー表示に重畳して、または、ポップアップウィンドウ形式で表示することもできる。撮影者は、ライブビュー表示されている被写体像と共にメニュー設定画面、ユーザガイド画面を視認できれば、より直感的に具体的な操作を理解できる。これらの表示画面をどのように表示させるかについては、撮影者が予め選択できるようにしても良い。また、表示されたメニュー設定画面に対して撮影者が指示を入力するときは、背面モニタ37の表面に積層されているタッチパネルセンサを動作させても良い。
【0075】
ステップS105でメニュー設定画面およびユーザガイド画面の少なくとも一方を背面モニタ37へ表示したら、ライブビュー表示状態へ戻り、所定時間が経過したら再びステップS102で生体情報を取得する。ここでの所定時間は、撮影者の感情が変化し得る程度の時間が定められる。例えば、イライラ状態が通常状態に戻る時間である。撮影者のイライラ状態が続いているときには、さらにメニュー設定画面およびユーザガイド画面の表示内容を変更して表示すべくこの動作を繰り返す。
【0076】
ステップS103で撮影者の生体情報に変化が無い、特に平常状態であると判断された場合、および、ステップS104でカメラシステム1が傾けられたと判断されなかった場合には、ステップS106へ進み、レリーズSW24の半押しであるSW1がONにされたか否かを判断する。ONにされていなければステップS102へ戻り、ライブビュー表示を継続する。SW1が撮影者によりONにされると、カメラ本体CPU46は、ステップS107へ進み、撮影準備動作を実行する。具体的には、測光センサ40の出力により露出値を決定し、焦点検出センサ29を用いた位相差方式によりオートフォーカスを行う。オートフォーカスは、コントラストAF回路19を用いたコントラスト方式であっても良い。
【0077】
ステップS107で撮影準備動作が終了したら、ステップS108へ進み、カメラ本体CPU46はステップS102と同様に、カメラ本体側生体センサ部16およびレンズ側生体センサ部8の少なくとも一方から撮影者の生体情報を取得する。そして、ステップS109で、以前取得した生体情報と比較して、変化が生じたか否かを判断する。特に、撮影者の精神状態が通常状態からイライラ状態に変化したか否かを検出する。
【0078】
カメラ本体CPU46は、ステップS109で変化ありと判断すると、ステップS110へ進み、姿勢センサ45の出力を取得してカメラシステム1が傾けられたか否かを判断する。特に、撮影者が背面モニタ37を視認しやすい姿勢である前傾姿勢であるかを判断する。傾けられたと判断したら、ステップS111へ進む。
【0079】
ステップS110の状況は、ステップS109で撮影者の生体情報が変化し、ステップS110でカメラシステム1が前傾姿勢に傾けられたことから、撮影者はステップ107の撮影準備動作に満足せず、何らかの設定変更または操作ガイドを求めている状況と推定される。そこで、カメラ本体CPU46は、ステップS111で、メニュー設定画面およびユーザガイド画面の少なくとも一方を背面モニタ37へ表示する制御を行う。ここでは特に、撮影準備動作に関するメニュー設定画面、ユーザガイド画面を抽出して表示する。例えば、焦点調節に関するメニュー設定画面、測光モードの違いを説明するユーザガイド画面などである。ステップS111でメニュー設定画面、ユーザガイド画面の表示が完了したら、再びステップS106へ戻ってSW1がONにされたか否かを判断する。
【0080】
ステップS109で撮影者の生体情報に変化が無い、特に平常状態であると判断された場合、および、ステップS110でカメラシステム1が傾けられたと判断されなかった場合には、ステップS112へ進み、レリーズSW24の全押しであるSW2がONにされたか否かを判断する。ONにされていなければステップS102へ戻り、ライブビュー表示を継続する。SW2が撮影者によりONにされると、カメラ本体CPU46は、ステップS113へ進み、本撮影動作を実行する。
【0081】
ステップS113の本撮影動作では、ステップS107で決定された露出値に従って、レンズCPU7は絞り5を動作させ、カメラ本体CPU46はフォーカルプレーンシャッタを走行させて、被写体光束を撮像素子27に導く。さらにカメラ本体CPU46は、決定された撮像感度に従って撮像素子27の出力に所定のゲインを掛けて電荷読み出しを行う。そして、ステップS114へ進み、画像処理制御回路18は、このように生成された画像信号に、画像処理および圧縮処理を施して画像ファイルを生成する。画像ファイルの生成が完了したら、ステップS115へ進み、カメラ本体CPU46は生成した画像ファイルを画像記録媒体35に記録する。画像処理された画像データは、ステップS116で、例えば3秒程度の設定された所定時間の間、背面モニタ制御回路36により背面モニタ37に表示される。撮影者は、撮影直後の画像をレックレビューとして視認することができる。
【0082】
撮影者のレックレビューの視認を受けて、ステップS117で、カメラ本体CPU46は、カメラ本体側生体センサ部16およびレンズ側生体センサ部8の少なくとも一方から撮影者の生体情報を取得する。そして、ステップS118で、以前取得した生体情報と比較して、変化が生じたか否かを判断する。特に、撮影者の精神状態が通常状態からイライラ状態に変化したか否かを検出する。カメラ本体CPU46は、ステップS118で変化ありと判断すると、ステップS119へ進む。
【0083】
ステップS119の状況は、撮影者はステップS113からステップS115の処理によって生成された撮影画像に満足せず、何らかの設定変更または操作ガイドを求めている状況と推定される。そこで、カメラ本体CPU46は、ステップS119で、メニュー設定画面およびユーザガイド画面の少なくとも一方を背面モニタ37へ表示する制御を行う。ここでは特に、本撮影動作、画像処理に関するメニュー設定画面、ユーザガイド画面を抽出して表示する。例えば、フラッシュ、赤目緩和等に関するメニュー設定画面、階調補正処理、色温度補正処理等を説明するユーザガイド画面などである。ステップS119でメニュー設定画面、ユーザガイド画面の表示が完了したら、再びステップS106へ戻ってSW1がONにされたか否かを判断する。
【0084】
なお、ステップS116でレックレビュー表示を行えば、撮影者は背面モニタ37を視認しやすい姿勢にしていると推定されるので、ステップS117の後には姿勢センサ45による検出は行わない。また、ステップS104およびステップS110における姿勢検出も省いても良い。
【0085】
ステップS118で変化がないと判断すると、一連の動作フローを終了する。なお、上記動作フローはライブビュー表示の実行を前提に説明したが、撮影者がファインダー光学系26により被写界を観察する場合であっても同様の概念によりメニュー設定画面、ユーザガイド画面の表示を行うことができる。
【0086】
上述の実施形態では、静止画撮影の撮影動作の例を示した。しかし、動画撮影においても、生体情報の検出結果によりメニュー設定画面、ユーザガイド画面の表示変更を行うことができる。例えば、動画撮影中であっても、定期的に取得する生体情報に変化があったら、動画撮影を続行しつつメニュー設定画面、ユーザガイド画面を表示するような制御を行うこともできる。
【0087】
また、上記実施形態においては、カメラ本体2と撮影レンズ3に、それぞれレンズ側生体センサ部8とカメラ本体側生体センサ部16を備えるように構成した。しかし、生体センサは、より直接的に撮影者の身体に取り付けるように独立させて構成しても良い。例えば、特開2005-270543号公報(米国特許第7538890号)に開示されているような腕時計型の生体センサを用いてもよい。この場合、カメラシステム1は、有線または無線による生体情報取得部を備えることになる。なお、生体センサを複数備える場合に、それぞれの出力が異なる場合がある。このような場合には、いずれの生体センサからの出力を優先するかを予め決めておくこともできるし、出力の平均値を算出するなどの対処を採用することもできる。
【0088】
また、上記実施形態においては、レンズ交換式一眼レフカメラであるカメラシステム1を携帯装置の例として説明したが、当然カメラシステム1への適用に限らない。コンパクトデジタルカメラ、ミラーレス一眼カメラおよびビデオカメラはもちろん、生体情報の検出結果によりメニュー設定画面、ユーザガイド画面の表示変更を実行し得る電子装置(例えば、ノートパソコン、ゲーム機器、携帯電話、ミュージックプレーヤーなど)であれば、上述の概念はいずれも適用できる。
【0089】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0090】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0091】
1 カメラシステム、2 カメラ本体、3 撮影レンズ、4 レンズ群、5 絞り、6 角速度センサ、7 レンズCPU、8 レンズ側生体センサ部、9 心拍数検出装置、10 駆動回路、11 A/D変換回路、12 脈波検出装置、13 発汗センサ、14 温度センサ、15 圧力センサ、16 カメラ本体側生体センサ部、17 心拍数検出装置、18 画像処理制御回路、19 コントラストAF回路、20 脈波検出装置、21 発汗センサ、22 温度センサ、23 圧力センサ、24 レリーズSW、25 撮影モードSW、26 ファインダー光学系、27 撮像素子、28 メインミラー、29 焦点検出センサ、30 サブミラー、31 焦点板、32 ペンタプリズム、33 ローパスフィルタ、34 撮像基板、35 画像記録媒体、36 背面モニタ制御回路、37 背面モニタ、38 カレンダー部、39 フラッシュROM、40 測光センサ、41 GPSモジュール、42 マイク、43 スピーカ、44 RAM、45 姿勢センサ、46 カメラ本体CPU、47 十字SW、51 再生タブ、52 撮影タブ、53 セットアップタブ、54 ヘルプタブ、55 タイトル、56 メニュー項目一覧、57 スクロールバー、58 インジケーター、61 タイトル、62 撮影関連アイコン、63 再生関連アイコン、64 設定関連アイコン、65 ガイド項目一覧、67 サブ項目一覧、68 タイトル、69 説明文、70 設定値、71 イメージイラスト
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
撮影者の生体情報を検出して撮影者の感情を推定し、推定された感情に基づいて撮影操作を支援する撮像装置が知られている。例えば、感情の高ぶりに応じて手振れ補正ゲインを調整し、補正レンズの追従特性を改善している。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1]特開2009−210992号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
電子装置に複雑な機能が搭載されるに従って、使用者が設定すべきメニュー項目の数が膨大となっている。これらのメニュー項目は、種類に応じて複数に分類され、さらにそれぞれの分類の中でその従属関係からツリー構造状に階層化されて整理されている。使用者は、表示部に表示されたこれら分類されたメニュー項目から設定したいメニューを探して階層構造をさまようことがあった。
【0004】
さらに近時の電子装置においては、それぞれの機能をいかに使用するかについてのユーザガイドが用意されていることも多いが、一般的にはやはりユーザガイドも階層化されて整理されている。すると、メニュー項目と同様に、使用者は参照したいユーザガイドをなかなか見つけることができなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の一つの態様における電子装置は、処理を行う処理部と、表示を行う表示部と、使用者の生体情報の変化を取得したときに、表示部に、処理部の処理に関する設定画面およびガイド画面の少なくも一方である表示画面を表示させる制御部とを備える。
【0006】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】カメラシステムの要部断面図である。
【図2】カメラシステムの上部概観図である。
【図3】撮影レンズを左手により把持した第1の状態を示す図である。
【図4】撮影レンズを左手により把持した第2の状態を示す図である。
【図5】カメラ本体に設けられたカメラ本体側生体センサ部を示す図である。
【図6】心拍数検出装置と脈波検出装置の構成を示す図である。
【図7】カメラシステムのブロック図である。
【図8】カメラシステムの背面概観図である。
【図9】メニュー設定画面の階層構造と表示例を説明する図である。
【図10】ユーザガイド画面の階層構造と表示例を説明する図である。
【図11】一連の撮影動作と、メニュー設定画面およびユーザガイド画面の表示との関連を示す動作フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0009】
図1は、本実施形態に係るカメラシステム1の要部断面図である。本実施形態では、電子装置や携帯装置の一例として、カメラシステム1について説明する。カメラシステム1は、カメラ本体2と交換可能な撮影レンズ3を組み合わせて撮像装置として機能する、レンズ交換式一眼レフカメラである。
【0010】
撮影レンズ3は、フォーカスレンズ、ズームレンズおよび防振レンズを含むレンズ群4、絞り5、カメラシステム1の振れを検出する角速度センサ6、レンズ群4を駆動する不図示の駆動装置等を備える。角速度センサ6は、少なくとも光軸に直交する2軸周りの角速度を検出する。駆動装置は、例えば振動波モータ、VCMにより構成される複数のモータを有し、フォーカスレンズを光軸方向に駆動し、防振レンズを光軸方向とは異なる方向に駆動する。
【0011】
また、撮影レンズ3は、撮影レンズ3の全体を制御すると共に、カメラ本体2と協働するレンズCPU7を有し、撮影者の心拍数、血流量、血圧、発汗量、体温および撮影レンズ3を把持する圧力等を検出するレンズ側生体センサ部8を有する。
【0012】
カメラ本体2は、撮影レンズ3からの光束を反射してファインダー光学系26に導く反射位置と、撮影レンズ3からの光束がCCDまたはCMOSなどから構成される撮像素子27に入射するように退避する退避位置とで揺動するメインミラー28を備える。メインミラー28の一部の領域は半透過領域となっており、カメラ本体2は、この半透過領域を透過した光束を焦点検出センサ29へ反射するサブミラー30を備える。サブミラー30は、メインミラー28に連動して揺動し、メインミラー28が退避位置をとるときには、サブミラー30も光束から退避する。なお、焦点検出センサ29は、位相差方式により入射する光束の焦点状態を検出する。
【0013】
反射位置にあるメインミラー28で反射された光束は、焦点板31、ペンタプリズム32を介してファインダー光学系26へ導かれる。ファインダー光学系26は、複数のレンズから構成されており、撮影者はファインダー光学系26により被写界を確認することができる。
【0014】
ペンタプリズム32を透過する光束の一部は測光センサ40に導かれる。測光センサ40は、撮影レンズ3へ入射する光束を複数の領域ごとに測光することにより、被写界の輝度分布を計測する。また、ペンタプリズム32の上方にはGPS(Global Positioning System:全地球測位システム)モジュール41を備えており、GPS衛星からの信号を受信して、カメラシステム1が存在している位置情報を取得する。さらに、カメラ本体2は、撮影レンズ3のマウント部近傍で撮影レンズ3と干渉しない位置に、被写界の音を取り込むマイク42と、ファインダー光学系26の近傍にスピーカ43を備える。焦点検出センサ29、測光センサ40、GPSモジュール41、マイク42は、カメラシステム1が使用される外界の環境を取得する意味で、これらは環境センサの例と言える。
【0015】
メインミラー28が退避位置にあるときには、撮影レンズ3からの光束は、ローパスフィルタ33を介して撮像素子27に入射する。撮像素子27の近傍には撮像基板34が設けられており、撮像基板34の後方には外部に面して背面モニタ37が設けられている。
【0016】
カメラ本体2には、撮影者の右の手指が触れる位置に、撮影者の心拍数、血流量、血圧、発汗量、体温およびカメラ本体2を把持する圧力などを検出するカメラ本体側生体センサ部16を有している。カメラ本体側生体センサ部16の具体的な構成および配置につては後述する。
【0017】
また、カメラ本体2は、姿勢センサ45を備える。姿勢センサ45は、カメラシステム1の姿勢を検出する。具体的には、カメラシステム1が横向きに構えられているのか、縦向きに構えられているのか、さらには、撮影者が背面モニタ37を視認しやすい姿勢である前傾姿勢であるのか等の姿勢を検出する。
【0018】
図2は、本実施形態に係るカメラシステム1の上部概観図である。具体的には、操作者が右手でカメラ本体2を把持すると共に左手で撮影レンズ3を把持している状態を示す図である。撮影レンズ3は、上述のように、撮影者の心拍数、血流量、血圧、発汗量、体温および撮影レンズ3を把持する圧力等を検出するレンズ側生体センサ部8を有するが、レンズ側生体センサ部8は、撮影者の左手の指または掌が触れる位置に配設されている。
【0019】
図においては、レンズ側生体センサ部8の一部として、心拍数検出装置9と脈波検出装置12が設けられている様子を示す。心拍数検出装置9は、基準電極9aと検出電極9bから構成される互いに分離した複数の電極部を有し、撮影者の心拍数を検出する。脈波検出装置12は、複数の発光部12a(12a1〜12a4)とこれらに対応する受光部12b(12b1〜12b4)が交互に配置されて構成され、撮影者の脈派を検出する。脈波検出装置12は、後述するように撮影者の血流量、血圧を測定するために用いられる。
【0020】
上述のように、カメラ本体2は、撮影者の右の手指が触れる位置にカメラ本体側生体センサ部16を有している。撮影者がカメラ本体2を把持するとき、右手の親指がカメラ本体2の背面に位置し、人差し指がレリーズSW24の近傍に位置するので、グリップ部に位置する他の3本の指と離れてしまう。このため、カメラ本体側生体センサ部16は、右手の親指に対応するカメラ背面位置と、人差し指に対応するレリーズSW24の近傍位置と、他の3本の指に対応するグリップ部近傍のカメラ前面位置とに離間して設けられている。なお、人差し指に対応するカメラ本体側生体センサ部16は、レリーズSW24の表面に設けられていても良い。
【0021】
なお、カメラ本体2においては、右手の親指と人差し指以外の3本の指がカメラ本体2を把持するカメラ前面位置と、右手の親指に対応したカメラ背面位置との少なくとも一方が、カメラ本体2を把持する把持部である。また、カメラ本体2の背面には、いくつかの操作SWが設けられており、これらの操作SWは右手親指で操作される。また、カメラ本体2の上面には撮影モードを設定する撮影モードSW25が設けられている。
【0022】
図3は、撮影レンズ3を左手により把持した第1の状態を示す図である。第1の状態は、左手の甲が下側に位置して撮影レンズ3を把持した状態である。図4は、撮影レンズ3を左手により把持した第2の状態を示す図である。第2の状態は、左手の甲が左側に位置して撮影レンズ3を把持した状態である。
【0023】
撮影者が撮影レンズ3を把持しつつズーム操作、マニュアルフォーカス操作を行う場合においては、左手の親指が他の指とは離れてしまう。また、異なる撮影者、異なる撮影状況(例えば、横位置撮影および縦位置撮影)によっても撮影レンズの把持の仕方は変化する。そこで、撮影レンズ3の円周上には、複数のレンズ側生体センサ部8(8A〜8D)が設けられている。
【0024】
具体的には、レンズ側生体センサ部8は、ズーム操作位置とマニュアルフォーカス操作位置との少なくとも一方の位置で、かつ、左手の親指に対応する位置と、親指以外の指に対応する位置とに離間して設けられる。より具体的には、レンズ側生体センサ部8は、ズーム操作用ゴム、フォーカス操作用ゴムが設けられた位置であって、左手に接触するように、または、左手と対向するように設けられている。
【0025】
レンズ側生体センサ部8Aは、上述の心拍数検出装置9、脈波検出装置12の他に、撮影者の発汗量を検出する発汗センサ13、撮影者の体温を検出する温度センサ14、および撮影者が撮影レンズ3を把持する圧力を検出する圧力センサ15を備える。
【0026】
レンズ側生体センサ部8B〜8Dは、レンズ側生体センサ部8Aと同様に、心拍数検出装置9、脈波検出装置12、発汗センサ13、温度センサ14および圧力センサ15をそれぞれ備える。このように、撮影レンズ3の円周上に複数のレンズ側生体センサ部8(8A〜8D)を設けることにより左手の掌からも生体情報を検出することができる。
【0027】
なお、本実施形態では、ズーム操作位置、マニュアルフォーカス操作位置等に応じて複数のレンズ側生体センサ部8(8A〜8D)を設けているが、撮影者、撮影状態等に応じて撮影レンズ3の把持の仕方が変った場合においても生体情報を検出できる位置であれば、複数のレンズ側生体センサ部8を上述の位置以外の位置に設けてもよい。また、左手の親指が撮影レンズ3を把持する力はあまり大きくないので、レンズ側生体センサ部8B,8Cにおいては、左手の親指に対応する圧力センサ15を省略してもよい。同様に、レンズ側生体センサ部8に高い検出精度が要求されない場合には、左手の親指に対応する位置のセンサを適宜省略することにより、撮影レンズ3の部品点数を抑えることができる。また、レンズCPU7は、脈波検出装置12の発光部12aに手指がかかっているときだけ発光するように制御してもよい。
【0028】
図5は、カメラ本体2のレリーズSW24の近傍に設けられたカメラ本体側生体センサ部16を示す図である。図示すように、カメラ本体側生体センサ部16は、心拍数検出装置9と同様の構成を有する心拍数検出装置17と、脈波検出装置12と同様の構成を有する脈波検出装置20とを有している。また、カメラ本体側生体センサ部16は、撮影者の発汗量を検出する発汗センサ21、撮影者の体温を検出する温度センサ22、および撮影者がカメラ本体2を把持する圧力を検出する圧力センサ23を備えている。なお、上述のように、カメラ本体側生体センサ部16は、図示する右手人差し指に対応する位置以外に、親指に対応するカメラ背面位置と、他の3本の指に対応するカメラ前面位置にも設けられているが、それぞれ同様の構成を有する。
【0029】
図6は、カメラ本体側生体センサ部16が備える心拍数検出装置17と脈波検出装置20の構成を示す図である。図6(a)に示すように、心拍数検出装置17は、基準電極17aと検出電極17bから構成される互いに分離した複数の電極部を有し、撮影者の心拍数を検出する。また、図6(b)に示すように、脈波検出装置20は、複数の発光部20a(20a1〜20a4)とこれらに対応する受光部20b(20b1〜20b4)が交互に配置されて構成され、撮影者の脈派を検出する。
【0030】
図7は、本実施形態に係るカメラシステム1のブロック図である。撮像基板34は、撮像素子27を駆動する駆動回路10、撮像素子27の出力をデジタル信号に変換するA/D変換回路11、ASICで構成される画像処理制御回路18および撮像素子27からの信号の高周波成分を抽出するコントラストAF回路19などを有している。
【0031】
画像処理制御回路18は、デジタル信号に変換された画像信号に対してホワイトバランス調整、シャープネス調整、ガンマ補正、階調調整などの画像処理を施すと共に、JPEGなどの画像圧縮を行って画像ファイルを生成する。生成された画像ファイルは、画像記録媒体35に記憶される。画像記録媒体35は、カメラ本体2に対して着脱可能なフラッシュメモリなどの記録媒体であっても良いし、カメラ本体2に内蔵されるSSD(Solid State Drive)などの記録媒体であっても良い。
【0032】
画像処理を施された画像信号は、背面モニタ制御回路36の制御により、背面モニタ37に表示される。撮影直後に撮影された画像信号を所定時間表示すれば、画像記録媒体35に記録された画像ファイルに対応する画像を撮影者に視認させるレックレビュー表示を実現できる。また、撮像素子27が連続的に光電変換する被写界像を、画像記録媒体35に記録することなく背面モニタ37に逐次表示すればライブビュー表示を実現できる。さらに、撮像素子27が連続的に光電変換する被写界像を、例えばMPEG、H.264などの動画圧縮処理を画像処理制御回路18で施して画像記録媒体35に記録すれば、動画撮影を実現することができる。このとき、マイク42で収集した被写界の音声も圧縮処理して、動画データに同期させて記録する。生成される動画像のフレームレートは、例えば30fpsなど、複数のフレームレートから選択されて設定される。
【0033】
コントラストAF回路19は、撮像素子27からの撮像信号の高周波成分を抽出してAF評価値信号を生成し、これが最大になるフォーカスレンズ位置を検出する。具体的には、画像処理制御回路18から入力される画像信号から、バンドパスフィルタを用いて所定の高周波成分を抽出し、ピークホールド、積分等の検波処理を行ってAF評価値信号を生成する。生成したAF評価値信号は、カメラ本体CPU46に出力する。
【0034】
レンズCPU7は、角速度センサ6で検出した手振れをキャンセルするように、撮影レンズ3内の防振レンズを光軸方向とは異なる方向に駆動して光学式手振れ補正を実現している。手振れ補正はこのような光学式手振れ補正に限らず、撮像素子27に駆動機構を付与して、光軸方向とは異なる方向に駆動して手振れをキャンセルする撮像素子駆動式手振れ補正を採用することもできる。さらには、画像処理制御回路18から出力された複数枚の画像間の動きベクトルを算出し、算出した画像間の動きベクトルをキャンセルするように画像読み出し位置を制御して手振れをキャンセルする電子式手振れ補正を採用することもできる。光学式手振れ補正および撮像素子駆動式手振れ補正は特に静止画撮影に好適であり、動画撮影にも適用される。電子式手振れ補正は動画撮影に好適である。これらの方式は、選択的、追加的に採用され得る。
【0035】
測光センサ40は、上述のように、撮影レンズ3へ入射する光束を複数の領域ごとに測光することにより被写界の輝度分布を計測するが、計測結果はカメラ本体CPU46に出力する。カメラ本体CPU46では、選択された測光モードに応じて露出値を算出する。測光モードとしては、明るい部分と暗い部分のバランスを取る分割測光モード、画面中央を適正露出とする中央重点測光モード、選択したフォーカスポイントの狭領域を適正露出とするスポット測光モードなどが選択され得る。
【0036】
カレンダー部38は、水晶発振子、計時用集積回路等を有しており、年月日時分秒といったカレンダー情報を保持する。カメラ本体CPU46は、カレンダー部38から時間に関する情報を適宜検出することができる。GPSモジュール41は、GPS衛星からの信号を受信してカメラ本体2が存在している緯度、経度、高度情報を取得する。カメラ本体CPU46は、GPSモジュール41からカメラ本体2が存在している位置に関する情報を適宜検出することができる。
【0037】
フラッシュROM39は、EEPROM(登録商標)であり、カメラシステム1を動作させるプログラムのほか、各種調整値、設定値を記憶する記憶装置である。具体的には、AF調整データ、AE調整データ、製造時の年月日時間データ、設定SWの設定履歴などを記憶している。特に、撮影者が設定する各種設定値は、カメラシステム1のメニュー項目として、種類に応じて複数に分類され、さらにそれぞれの分類の中でその従属関係からツリー構造状に階層化されて管理されている。また、カメラシステム1が備える機能について撮影者をガイドするユーザガイドも、メニュー項目と同様に、種類に応じて複数に分類され、さらにそれぞれの分類の中でツリー構造状に階層化されて管理されている。また、フラッシュROM39は、メニュー設定画面およびユーザガイド画面の所定回数分の使用履歴を記憶している。
【0038】
また、フラッシュROM39には、撮影者の平常時の生体情報値も記憶されている。本実施形態においては、フラッシュROM39は生体情報値として心拍数、血流量、血圧、体温、カメラ本体2を把持する圧力、撮影レンズ3を把持する圧力を記憶している。
【0039】
RAM44は、フラッシュROM39に記憶されたプログラムが展開され、カメラ本体CPU46が高速にアクセスできるDRAMなどの高速RAMである。特に頻繁に参照される各種調整値、設定値などもフラッシュROM39からコピーされ、カメラ本体CPU46からのアクセスを容易にする。
【0040】
背面モニタ制御回路36は、上述のように画像処理された画像の他、フラッシュROM39から読み出したメニュー設定画面およびユーザガイド画面を背面モニタ37へ表示する表示制御を行う。また、背面モニタ37の表面にはタッチパネルセンサが積層されており、撮影者が背面モニタ37のメニュー項目等を視認しつつタッチパネルセンサを操作したときには、その座標とその座標に対応して表示されていたメニュー項目をカメラ本体CPU46へ出力する。
【0041】
姿勢センサ45は、上述のように、カメラシステム1の姿勢を検出する。姿勢センサ45は、簡単なものでは、フォトインタラプタの赤外光を、重力によって移動する小球が遮断するかにより一軸方向の姿勢を検出するセンサを組み合わせて構成される。カメラシステム1の姿勢として正確な角度まで検出したい場合には、3軸加速度センサなどが用いられる。特に本実施形態においては、撮影者が背面モニタ37を視認しやすい姿勢である前傾姿勢であるかが検出される構成であれば良い。
【0042】
レリーズSW24は、2段式のスイッチである。撮影者がレリーズSW24を半押しすると、カメラ本体CPU46は、レンズ側生体センサ部8およびカメラ本体側生体センサ部16を用いて撮影者の生体情報の検出を開始すると共にオートフォーカス、測光などの撮影準備動作を行う。さらに撮影者がレリーズSW24を全押しすると、カメラ本体CPU46は、静止画、動画の撮影動作を開始する。
【0043】
カメラ本体CPU46は、レンズCPU7と協働してカメラシステム1の全体を制御する。本実施形態においては、レンズ側生体センサ部8およびカメラ本体側生体センサ部16の出力に基づいて撮影者の生体情報を取得して、カメラシステム1のアシストなどの制御を行う。ここで、レンズ側生体センサ部8およびカメラ本体側生体センサ部16による撮影者の生体情報の取得について説明する。
【0044】
まず、心拍数測定について説明する。上述のように、撮影者が左手で撮影レンズ3を把持する位置には心拍数検出装置9の基準電極9aおよび検出電極9bが設けられており、撮影者が右手でカメラ本体を把持する位置には心拍数検出装置17の基準電極17aおよび検出電極17bが設けられている。検出電極9b、16bからの検出電位は、不図示の差動増幅器で電位差が増幅されてカメラ本体CPU46へ出力される。カメラ本体CPU46は、検出電極9b、16bの電位差に基づいて、撮影者の心拍数を演算する。
【0045】
なお、例えば撮影者が撮影レンズ3を把持していない場合には、撮影者の左手が基準電極9a、検出電極9bに触れていないので、基準電極9aと検出電極9bとの間がオープンとなる。レンズCPU7は、基準電極9aと検出電極9bとの間がオープンの場合には、撮影者が撮影レンズ3を把持していないと判断する。同様に、カメラ本体CPU46は、心拍数検出装置の基準電極17aと検出電極17bとの間がオープンの場合には、撮影者がカメラ本体2を把持していないと判断する。
【0046】
次に、血圧測定について説明する。脈波検出装置12および20は、撮影者の血圧を測定する。なお、脈波検出装置12と脈波検出装置20は同様の構成を有するので、脈波検出装置12を例に説明する。脈波検出装置12は、発光部12aから例えば赤外線を射出し、この赤外線が指の動脈で反射され、反射された赤外線を赤外線センサである受光部12bで受光することにより手の指部の脈波を検出する。つまり、末梢血管の血流量を検出する。カメラ本体CPU46は、脈波検出装置12からの脈波に基づいて撮影者の血圧を演算する。レンズCPU7は、心拍数検出装置9の基準電極9aと検出電極9bとの出力から、例えば小指など撮影者のある指が撮影レンズ3に触れていないと判断した場合に、その指に対応して配置された発光部12aの発光を禁止するようにすれば、無駄な発光を防止すると共に、被写界に迷光を射出することもない。同様に、カメラ本体CPU46は、心拍数検出装置17の基準電極17aと検出電極17bとの出力に基づいて、例えば撮影者の親指がカメラ本体2に触れていないときに、脈波検出装置20の発光部20aの発光を禁止してもよい。
【0047】
次に、発汗測定について説明する。発汗は手のインピーダンスを測定することにより検出できる。発汗センサ13,21は、複数の電極を有して発汗を検出する。なお、複数の電極の一部として基準電極9a、基準電極17aを兼用してもよい。発汗センサ13は、レンズ側生体センサ部8A〜8Dのそれぞれに設けられているが、感動、興奮、緊張といったような精神性発汗は、発汗量が少なく、発汗時間も短いので、指よりも発汗量が多い中手の掌側に位置するレンズ側生体センサ部8B,Cだけに設けてもよい。
【0048】
次に、温度測定について説明する。温度センサ14,22は、熱により抵抗値が変化するサーミスタ方式を用いている。発汗には上述の精神性発汗と、体温調節のための温熱性発汗とがあり、精神性発汗と温熱性発汗とは相互干渉している。このため、カメラ本体CPU46は発汗センサ13,21の出力と、温度センサ14,22の出力とに基づいて撮影者の発汗が精神性発汗か温熱性発汗かを判断することができる。例えば、カメラ本体CPU46は、温度センサ22により検出した温度が高く、発汗センサ21からの発汗信号が常時検出される場合には温熱性発汗と判断することができる。また、カメラ本体CPU46は、発汗センサ21からの発汗信号が不規則に出力される場合に精神性発汗と判断して、撮影者が感動、興奮、緊張といった状態であることを検出できる。なお、温度センサ14、22を省略した場合には、本体CPU44は、GPSモジュール41の位置情報、カレンダー部38からの時間情報などに基づいて、発汗センサ13、21からの発汗信号が精神性発汗か温熱性発汗かを判断してもよい。更に、レンズCPU7が発汗センサ13、温度センサ14の出力に基づいて、左手の汗が精神性発汗か温熱性発汗かを判断することもできる。
【0049】
次に、圧力測定について説明する。圧力センサ15は、静電容量型のセンサであり、撮影者が撮影レンズ3を把持したときの押圧力による変形量を測定する。本実施形態において圧力センサ15は、操作ゴムの下方に設けられている。圧力センサ23も同様の静電容量型のセンサであり、撮影者がカメラ本体2を把持したときの押圧力による変形量を測定する。なお、圧力センサ15,23として歪ゲージ、電歪素子などを用いてもよい。
【0050】
上述のように、カメラ本体CPU46は、レンズCPU7と協働して、レンズ側生体センサ部8およびカメラ本体側生体センサ部16の出力に基づいて撮影者の生体情報を取得し、カメラシステム1のアシストなどの制御を行う。本実施形態においては、撮影者の生体情報を用いて、メニュー設定画面およびユーザガイド画面の少なくとも一方を背面モニタ37へ表示する制御を行う。
【0051】
図8は、カメラシステム1の背面概観図である。特に、背面モニタ37にメニュー設定画面が表示されている様子を示す。図示するように、背面モニタ37の近傍には十字SW47が設けられており、撮影者は十字SW47を操作することで、メニュー設定画面上にハイライトでアクティブ表示される設定対象項目を上下左右に移動させて特定のメニュー項目を選択する。十字SW47の中央には決定ボタンが設けられており、撮影者は決定ボタンを押下げることにより、選択したメニュー項目の実行を指示する。ユーザガイド画面の表示についても、撮影者は同様の操作を行うことにより特定の画面を表示させるが、詳細については、後述する。
【0052】
図9は、メニュー設定画面の階層構造と表示例を説明する図である。通常のメニュー設定画面の階層構造に従えば、図9(a)に示すように、まず、それぞれがタブとして分類される再生タブ51、撮影タブ52、セットアップタブ53およびヘルプタブ54が左端に並べて表示される。再生に関するメニュー項目は再生タブ51に纏められており、同様に、撮影に関するメニュー項目は撮影タブ52に、カメラシステム1の使用環境に関するメニュー項目はセットアップタブ53に纏められている。ヘルプタブ54には、表示されている項目に関連するヘルプ表示があるときに選択できる説明項目が纏められている。
【0053】
撮影者が、再生タブ51、撮影タブ52、セットアップタブ53からひとつを選択すると、そのタブのタイトル55、およびそのタブに纏められている次の階層のメニュー項目一覧56が表示される。タブの選択は、十字SW47の上下ボタンによりアクティブ表示を移動させ、決定ボタンの押下げにより実行される。ひとつのタブが選択されると、アクティブ表示がメニュー項目一覧56のうちのひとつのメニュー項目に移り、同様に十字SW47の操作により選択される。なお、メニュー項目一覧56が表示領域中に収まらない場合はスクロールバー57が表示され、現在アクティブとなっているメニュー項目の位置づけが視認できるように構成されている。
【0054】
図9(a)は、セットアップタブ53が選択され、カメラシステム1の使用環境に関するメニュー項目が羅列されている例を示す。そのうちの例えば背面モニタ37の明るさを調整するメニュー項目である「液晶モニタの明るさ」を選択すると、表示画面が遷移して、図9(b)の画面が表示される。図9(b)は、選択された「液晶モニタの明るさ」のメニュー設定画面である。図示するように、明るさを表現する複数のアイコンと、選択しうる刻み幅に合わせたバーからなるインジケーター58が表示され、撮影者は、十字SW47の左右ボタンによりアクティブ表示を移動させる。そして、上下ボタンで「OK」または「キャンセル」を選択することにより、設定を実行または取消す。
【0055】
以上のように、通常の操作により特定のメニュー項目を設定する場合には、順次階層を下ってメニュー設定画面に辿り着くことが要求される。それぞれのメニュー項目の性質は多岐にわたり、他のメニュー項目の場合は、更に深い階層においてはじめてメニュー設定画面が表示されることもある。上述のように、カメラシステム1が備える機能について撮影者をガイドするユーザガイドも、メニュー項目と同様に、種類に応じて複数に分類され、さらにそれぞれの分類の中でツリー構造状に階層化されて管理されている。以下にユーザガイドについて説明する。
【0056】
図10は、ユーザガイド画面の階層構造と表示例を説明する図である。通常、ユーザガイド画面は、撮影モードSW25の一項目として設けられている「GUIDE」が指標に合わされてガイドモードが選択されたときに表示される。図10(a)は、ガイドメニューのトップ画面である。ガイドメニューは、タイトル61が表示され、その下に、メニュー設定画面のタブに対応するように、撮影関連アイコン62、再生関連アイコン63および設定関連アイコン64に分類されて表示されている。撮影者は、十字SW47を操作することによりこれらから任意のひとつを選択する。例えば、撮影関連アイコン62を選択すると、図10(b)に示すガイド項目一覧表示へ遷移する。
【0057】
ガイド項目一覧表示では、ガイド項目一覧65が表示され、撮影者は、参照したいガイド項目のひとつを十字SW47の操作により選択する。図示するように、例えば「テクニックを使って撮る」を選択すると、図10(c)に示すように、更にポップアップウィンドウが開いて、サブ項目一覧67が表示される。撮影者はそのうちのひとつのガイド項目を選択する。最終的に参照したいガイド項目の選択が完了すれば、図10(d)に示すような画面に遷移して、その項目のガイドが表示される。ここでは例として、「背景をぼかして撮る」のユーザガイド画面を示している。図示するように、タイトル68と共に、その具体的な説明文69が表示される。そして、設定値70が表示され、その設定値に相応するイメージイラスト71が同時に表示される。例えば、設定値70が絞り値F5.6であれば、F5.6に相応する絞り開口の様子をイメージ化する。なお、設定値70は十字SW47を操作することで変更することができ、そのまま実際の設定値として採用することもできる。
【0058】
以上のように、通常の操作により特定のガイド項目を参照する場合には、順次階層を下ってユーザガイド画面に辿り着くことが要求される。それぞれのガイド項目の性質は多岐にわたり、他のガイド項目の場合は、更に深い階層においてはじめてユーザガイド画面が表示されることもある。そこで、本実施形態においては、撮影者の生体情報に基づいて、よりダイレクトにメニュー設定画面およびユーザガイド画面の少なくとも一方を背面モニタ37へ表示する制御を行う。
【0059】
図11は、カメラシステム1の一連の撮影動作と、メニュー設定画面およびユーザガイド画面の表示との関連を示す動作フロー図である。本動作フローにおいては、静止画撮影の撮影動作を例に説明する。
【0060】
撮影者が、カメラシステム1の電源をONにして一連のフローを開始させると、カメラ本体CPU46は、ステップS101で、背面モニタ制御回路36を用いて背面モニタ37に、露出が調整されたライブビュー画像の表示を開始する。カメラ本体CPU46は、背面モニタ制御回路36を用いて背面モニタ37に、露出が調整されたライブビュー画像を表示する。露出の調整は、ライブビュー表示の開始時に得られる撮像素子27からの画像信号を複数用い、例えば一画像全体の平均輝度値が所定の範囲内に収まるように行う。または、ライブビュー表示の開始前に一旦メインミラー28を反射位置とし、測光センサ40からの出力を得てカメラ本体CPU46が測光モードに応じた適正露出を算出しても良い。
【0061】
ライブビュー表示の開始から所定時間が経過したら、ステップS102で、カメラ本体CPU46は、カメラ本体側生体センサ部16およびレンズ側生体センサ部8の少なくとも一方から撮影者の生体情報を取得する。そして、ステップS103で、以前取得した生体情報と比較して、変化が生じたか否かを判断する。特に、撮影者の精神状態が通常状態からイライラ状態に変化したか否かを検出する。
【0062】
撮影者の平常状態における生体情報は、フラッシュROM39に蓄積されている。カメラ本体CPU46は、撮影者がカメラシステム1を使用しているときに、定期的、継続的に撮影者の生体情報を取得し、センサの出力として安定している一定の範囲の生体情報を平常状態における生体情報として蓄積している。したがって、カメラ本体CPU46は、取得した生体情報と、フラッシュROM39に蓄積されている平常状態における生体情報を比較することにより、撮影者の現在の状態が平常状態であるか否かを推測することができる。また、イライラ状態であるか否かも、フラッシュROM39に蓄積されている平常状態における生体情報と比較して判断される。例えば、平常状態に対して、心拍数が高く発汗量が不規則に変化するなどの出力が得られれば、イライラ状態であると判断できる。
【0063】
ステップS103において生体情報に変化が無いことは、ライブビュー画像を視認しつつカメラシステム1を操作する撮影者が、その撮影環境に満足していることを意味すると推定している。換言すれば、撮影者はカメラシステム1を思い通りに操作できていると推定している。逆に、生体情報に変化があることは、ライブビュー画像を視認しつつカメラシステム1を操作する撮影者が、その撮影環境に満足していないことを意味すると推定している。例えば、撮影者は特定の撮影モードに変更したいにも関わらず、設定変更の操作がわからなければ、撮影者はイライラ感等を抱く。カメラ本体CPU46は、レンズ側生体センサ部8およびカメラ本体側生体センサ部16の少なくとも一方から、この精神状態の変化を捉える。なお、撮影環境に対して満足していることを積極的に判断する場合は、生体情報から特定の感情の推定を行っても良い。
【0064】
上述のように、レンズ側生体センサ部8およびカメラ本体側生体センサ部16は、さまざまなセンサの集合体として構成されており、それぞれのセンサが異なる種類の生体情報を出力する。これらの出力を単独で、あるいは組み合わせて判断することにより、撮影者の特定の感情を推定することができる。例えば、高い心拍数および精神性発汗が検出されるときには、撮影者は「焦り」を感じていると推定できる。センサの出力と感情の対応関係は検証的に求められており、対応関係を示すテーブルをフラッシュROM39に記憶させておくことができる。そこで、感情推定においては、取得された生体情報が、テーブルに記述された特定の感情パターンと一致するかを判断すれば良い。
【0065】
なお、動作フローの開始時より撮影者が平常状態で無いと判断される場合は、カメラシステム1の動作制御が原因ではなく、他の要因による感情形成であると考えられる。したがって、このような場合には、生体情報の変化による以下の表示制御を行わないように構成しても良い。または、一旦平常状態に戻ったと判断されてから以下の表示制御を行うように構成しても良い。
【0066】
カメラ本体CPU46は、ステップS103で変化ありと判断すると、ステップS104へ進み、姿勢センサ45の出力を取得してカメラシステム1が傾けられたか否かを判断する。特に、撮影者が背面モニタ37を視認しやすい姿勢である前傾姿勢であるかを判断する。傾けられたと判断したら、ステップS105へ進む。
【0067】
ステップS105の状況は、ステップS103で撮影者の生体情報が変化し、ステップS104でカメラシステム1が前傾姿勢に傾けられたことから、撮影者は背面モニタ37を視認しつつ何らかの設定変更または操作ガイドを求めている状況と推定される。そこで、カメラ本体CPU46は、ステップS105で、メニュー設定画面およびユーザガイド画面の少なくとも一方を背面モニタ37へ表示する制御を行う。メニュー設定画面を表示するか、ユーザガイド画面を表示するか、あるいはシーケンシャルに共に表示するかは、予め設定されていても良いし、ユーザの設定に従うように構成しても良い。特に本実施形態に置いては、カメラシステム1の状況に応じて、カメラ本体CPU46が何を表示するか適宜判断する場合について説明する。
【0068】
カメラシステム1の状況は、さまざまな情報から判断することができる。まず、カメラシステム1が備える環境センサの出力から使用環境を判断できる。例えば、GPSモジュール41の出力として得られる緯度、経度、高度情報と、フラッシュROM39に記憶されている地図情報とから現在の位置情報を取得することができる。位置情報を取得でき、例えば、有名な風景撮影地であることを判断できれば、風景撮影に適した撮影モードを説明するユーザガイド画面、または風景撮影に適した撮影条件を初期値とするメニュー設定画面を表示できる。カレンダー部38からの時間情報も、カメラシステム1の使用環境を推定する情報となる。例えば、現在時刻が夜であれば、夜景撮影に適した撮影モードを説明するユーザガイド画面、または夜景撮影に適した撮影条件を初期値とするメニュー設定画面を表示できる。位置情報と時間情報を組み合わせれば、例えば、夏の日中の海岸に適したユーザガイド画面などを表示することができる。
【0069】
環境センサの出力以外の別の情報からもカメラシステム1の状況を判断することができる。例えば、フラッシュROM39は、上述のようにメニュー設定画面およびユーザガイド画面の所定回数分の使用履歴を記憶しているが、直前にメニュー設定画面、ユーザガイド画面を表示したにも関わらず再度表示を行う場合には、直前の表示と異なる画面を表示することが好ましい。すなわち、メニュー設定画面およびユーザガイド画面の表示履歴は、カメラシステム1の状況を示す材料となる。また、直前に撮影者が行っていた操作も、カメラシステム1の状況を示す材料となる。例えば、撮影者がある操作を行った結果イライラ状態に変化したと判断できれば、その操作結果は撮影者にとって好ましくない結果と想定できるので、他の操作に関するユーザガイド画面などを表示すると良い。
【0070】
また、生体情報が変化した時に前後して表示されていたライブビュー画像の情報からもカメラシステム1の状況を判断することができる。例えば、ライブビュー画像に人物の顔が含まれているにも関わらず焦点が合っていなければ、撮影者は顔認識に関する設定を行いたいと推定できる。この場合、顔認識の設定に関するユーザガイド画面などを表示することができる。カメラ本体CPU46は、ライブビュー画像を分析して撮影者の生体情報が変化した原因を推定し、その推定した結果に合わせてユーザガイド画面などを表示することができる。更に、カメラ本体CPU46は、撮影された画像が削除されたときに撮影者がイライラしていることを検出した場合には、背面モニターに撮影条件を変更するメニューやシーンモードを選択するメニューを表示するようにしてもよい。また、カメラ本体CPU46は、環境センサの出力に基づいて撮影者が設定した撮影条件とは異なる撮影条件で撮影を行うようにしてもよい。
【0071】
さらに、本動作フローは静止画撮影について説明するが、カメラシステム1が静止画撮影に設定されているのか、動画撮影に設定されているのかについても、状況を判断する有用な材料となる。静止画撮影に設定されていれば、例えば、画像モード(高画質、標準、エコノミーなどの記録画素数)、感度、連写枚数などの静止画撮影に関する表示画面を表示対象とすれば良いし、動画に設定されていれば、例えば、フレームレート、ショートムービの時間設定などの動画撮影に関する表示画面を表示対象とすれば良い。このように選択すれば、対象となる表示画面を大きく絞り込むことができる。
【0072】
ステップS105では、上述のように設定されたメニュー設定画面およびユーザガイド画面の少なくとも一方を表示する。ただし、図9および図10で説明した通常の表示形態とは異なる形態で表示する。通常の表示形態によれば、順次階層を下って特定のメニュー設定画面またはユーザガイド画面に辿り着くことが要求されるが、カメラ本体CPU46が上述のようにカメラシステム1の状況を判断すれば、撮影者が求めている表示画面を推定することができる。そこで、カメラ本体CPU46は、メニュー設定画面およびユーザガイド画面の階層構造に関わらず、カメラシステム1の状況に応じてダイレクトに深い階層の表示画面を表示する。なお、通常の操作により深い階層の表示画面から表示されるときには、カメラシステム1の状況に応じて、より浅い階層の表示画面を表示しても良い。
【0073】
さらには、特定の状況を判断できれば、その状況に対して設定項目となる対象機能にふさわしい設定値が想定されるので、通常のメニュー設定項目で選択し得る選択肢の数を異ならせることができる。例えば、通常の絞り値設定表示においては、装着されている撮影レンズ3が設定しうる絞り値のすべてが選択肢として表示されるが、周辺環境が薄暗い状況においては、開放値側から数段分の選択肢のみを制限的に表示させることができる。または、選択させない絞り値をグレーアウトで表示することもできる。
【0074】
ステップS105で表示されるメニュー設定画面、ユーザガイド画面は、切り替えて表示する他に、ライブビュー表示に重畳して、または、ポップアップウィンドウ形式で表示することもできる。撮影者は、ライブビュー表示されている被写体像と共にメニュー設定画面、ユーザガイド画面を視認できれば、より直感的に具体的な操作を理解できる。これらの表示画面をどのように表示させるかについては、撮影者が予め選択できるようにしても良い。また、表示されたメニュー設定画面に対して撮影者が指示を入力するときは、背面モニタ37の表面に積層されているタッチパネルセンサを動作させても良い。
【0075】
ステップS105でメニュー設定画面およびユーザガイド画面の少なくとも一方を背面モニタ37へ表示したら、ライブビュー表示状態へ戻り、所定時間が経過したら再びステップS102で生体情報を取得する。ここでの所定時間は、撮影者の感情が変化し得る程度の時間が定められる。例えば、イライラ状態が通常状態に戻る時間である。撮影者のイライラ状態が続いているときには、さらにメニュー設定画面およびユーザガイド画面の表示内容を変更して表示すべくこの動作を繰り返す。
【0076】
ステップS103で撮影者の生体情報に変化が無い、特に平常状態であると判断された場合、および、ステップS104でカメラシステム1が傾けられたと判断されなかった場合には、ステップS106へ進み、レリーズSW24の半押しであるSW1がONにされたか否かを判断する。ONにされていなければステップS102へ戻り、ライブビュー表示を継続する。SW1が撮影者によりONにされると、カメラ本体CPU46は、ステップS107へ進み、撮影準備動作を実行する。具体的には、測光センサ40の出力により露出値を決定し、焦点検出センサ29を用いた位相差方式によりオートフォーカスを行う。オートフォーカスは、コントラストAF回路19を用いたコントラスト方式であっても良い。
【0077】
ステップS107で撮影準備動作が終了したら、ステップS108へ進み、カメラ本体CPU46はステップS102と同様に、カメラ本体側生体センサ部16およびレンズ側生体センサ部8の少なくとも一方から撮影者の生体情報を取得する。そして、ステップS109で、以前取得した生体情報と比較して、変化が生じたか否かを判断する。特に、撮影者の精神状態が通常状態からイライラ状態に変化したか否かを検出する。
【0078】
カメラ本体CPU46は、ステップS109で変化ありと判断すると、ステップS110へ進み、姿勢センサ45の出力を取得してカメラシステム1が傾けられたか否かを判断する。特に、撮影者が背面モニタ37を視認しやすい姿勢である前傾姿勢であるかを判断する。傾けられたと判断したら、ステップS111へ進む。
【0079】
ステップS110の状況は、ステップS109で撮影者の生体情報が変化し、ステップS110でカメラシステム1が前傾姿勢に傾けられたことから、撮影者はステップ107の撮影準備動作に満足せず、何らかの設定変更または操作ガイドを求めている状況と推定される。そこで、カメラ本体CPU46は、ステップS111で、メニュー設定画面およびユーザガイド画面の少なくとも一方を背面モニタ37へ表示する制御を行う。ここでは特に、撮影準備動作に関するメニュー設定画面、ユーザガイド画面を抽出して表示する。例えば、焦点調節に関するメニュー設定画面、測光モードの違いを説明するユーザガイド画面などである。ステップS111でメニュー設定画面、ユーザガイド画面の表示が完了したら、再びステップS106へ戻ってSW1がONにされたか否かを判断する。
【0080】
ステップS109で撮影者の生体情報に変化が無い、特に平常状態であると判断された場合、および、ステップS110でカメラシステム1が傾けられたと判断されなかった場合には、ステップS112へ進み、レリーズSW24の全押しであるSW2がONにされたか否かを判断する。ONにされていなければステップS102へ戻り、ライブビュー表示を継続する。SW2が撮影者によりONにされると、カメラ本体CPU46は、ステップS113へ進み、本撮影動作を実行する。
【0081】
ステップS113の本撮影動作では、ステップS107で決定された露出値に従って、レンズCPU7は絞り5を動作させ、カメラ本体CPU46はフォーカルプレーンシャッタを走行させて、被写体光束を撮像素子27に導く。さらにカメラ本体CPU46は、決定された撮像感度に従って撮像素子27の出力に所定のゲインを掛けて電荷読み出しを行う。そして、ステップS114へ進み、画像処理制御回路18は、このように生成された画像信号に、画像処理および圧縮処理を施して画像ファイルを生成する。画像ファイルの生成が完了したら、ステップS115へ進み、カメラ本体CPU46は生成した画像ファイルを画像記録媒体35に記録する。画像処理された画像データは、ステップS116で、例えば3秒程度の設定された所定時間の間、背面モニタ制御回路36により背面モニタ37に表示される。撮影者は、撮影直後の画像をレックレビューとして視認することができる。
【0082】
撮影者のレックレビューの視認を受けて、ステップS117で、カメラ本体CPU46は、カメラ本体側生体センサ部16およびレンズ側生体センサ部8の少なくとも一方から撮影者の生体情報を取得する。そして、ステップS118で、以前取得した生体情報と比較して、変化が生じたか否かを判断する。特に、撮影者の精神状態が通常状態からイライラ状態に変化したか否かを検出する。カメラ本体CPU46は、ステップS118で変化ありと判断すると、ステップS119へ進む。
【0083】
ステップS119の状況は、撮影者はステップS113からステップS115の処理によって生成された撮影画像に満足せず、何らかの設定変更または操作ガイドを求めている状況と推定される。そこで、カメラ本体CPU46は、ステップS119で、メニュー設定画面およびユーザガイド画面の少なくとも一方を背面モニタ37へ表示する制御を行う。ここでは特に、本撮影動作、画像処理に関するメニュー設定画面、ユーザガイド画面を抽出して表示する。例えば、フラッシュ、赤目緩和等に関するメニュー設定画面、階調補正処理、色温度補正処理等を説明するユーザガイド画面などである。ステップS119でメニュー設定画面、ユーザガイド画面の表示が完了したら、再びステップS106へ戻ってSW1がONにされたか否かを判断する。
【0084】
なお、ステップS116でレックレビュー表示を行えば、撮影者は背面モニタ37を視認しやすい姿勢にしていると推定されるので、ステップS117の後には姿勢センサ45による検出は行わない。また、ステップS104およびステップS110における姿勢検出も省いても良い。
【0085】
ステップS118で変化がないと判断すると、一連の動作フローを終了する。なお、上記動作フローはライブビュー表示の実行を前提に説明したが、撮影者がファインダー光学系26により被写界を観察する場合であっても同様の概念によりメニュー設定画面、ユーザガイド画面の表示を行うことができる。
【0086】
上述の実施形態では、静止画撮影の撮影動作の例を示した。しかし、動画撮影においても、生体情報の検出結果によりメニュー設定画面、ユーザガイド画面の表示変更を行うことができる。例えば、動画撮影中であっても、定期的に取得する生体情報に変化があったら、動画撮影を続行しつつメニュー設定画面、ユーザガイド画面を表示するような制御を行うこともできる。
【0087】
また、上記実施形態においては、カメラ本体2と撮影レンズ3に、それぞれレンズ側生体センサ部8とカメラ本体側生体センサ部16を備えるように構成した。しかし、生体センサは、より直接的に撮影者の身体に取り付けるように独立させて構成しても良い。例えば、特開2005-270543号公報(米国特許第7538890号)に開示されているような腕時計型の生体センサを用いてもよい。この場合、カメラシステム1は、有線または無線による生体情報取得部を備えることになる。なお、生体センサを複数備える場合に、それぞれの出力が異なる場合がある。このような場合には、いずれの生体センサからの出力を優先するかを予め決めておくこともできるし、出力の平均値を算出するなどの対処を採用することもできる。
【0088】
また、上記実施形態においては、レンズ交換式一眼レフカメラであるカメラシステム1を携帯装置の例として説明したが、当然カメラシステム1への適用に限らない。コンパクトデジタルカメラ、ミラーレス一眼カメラおよびビデオカメラはもちろん、生体情報の検出結果によりメニュー設定画面、ユーザガイド画面の表示変更を実行し得る電子装置(例えば、ノートパソコン、ゲーム機器、携帯電話、ミュージックプレーヤーなど)であれば、上述の概念はいずれも適用できる。
【0089】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0090】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0091】
1 カメラシステム、2 カメラ本体、3 撮影レンズ、4 レンズ群、5 絞り、6 角速度センサ、7 レンズCPU、8 レンズ側生体センサ部、9 心拍数検出装置、10 駆動回路、11 A/D変換回路、12 脈波検出装置、13 発汗センサ、14 温度センサ、15 圧力センサ、16 カメラ本体側生体センサ部、17 心拍数検出装置、18 画像処理制御回路、19 コントラストAF回路、20 脈波検出装置、21 発汗センサ、22 温度センサ、23 圧力センサ、24 レリーズSW、25 撮影モードSW、26 ファインダー光学系、27 撮像素子、28 メインミラー、29 焦点検出センサ、30 サブミラー、31 焦点板、32 ペンタプリズム、33 ローパスフィルタ、34 撮像基板、35 画像記録媒体、36 背面モニタ制御回路、37 背面モニタ、38 カレンダー部、39 フラッシュROM、40 測光センサ、41 GPSモジュール、42 マイク、43 スピーカ、44 RAM、45 姿勢センサ、46 カメラ本体CPU、47 十字SW、51 再生タブ、52 撮影タブ、53 セットアップタブ、54 ヘルプタブ、55 タイトル、56 メニュー項目一覧、57 スクロールバー、58 インジケーター、61 タイトル、62 撮影関連アイコン、63 再生関連アイコン、64 設定関連アイコン、65 ガイド項目一覧、67 サブ項目一覧、68 タイトル、69 説明文、70 設定値、71 イメージイラスト
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理を行う処理部と、
表示を行う表示部と、
使用者の生体情報の変化を取得したときに、前記表示部に、前記処理部の処理に関する設定画面およびガイド画面の少なくも一方である表示画面を表示させる制御部と
を備える電子装置。
【請求項2】
前記電子装置の姿勢を検出する姿勢センサを備え、
前記制御部は、前記電子装置が定められた姿勢であることを前記姿勢センサが検出したときに、前記表示部に前記表示画面を表示させる請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記使用者の生体情報の変化を検出したときに前記表示部に表示させる表示と、前記使用者の生体情報の変化を検出しないときに前記表示部に表示させる表示とを異ならせる請求項1または2に記載の電子装置。
【請求項4】
前記ガイド画面は、ガイドする機能の内容に従って階層的に構成されており、
前記制御部は、前記生体情報の変化を検出して前記表示部に前記ガイド画面を表示させる場合に階層を異ならせて表示する請求項3に記載の電子装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記生体情報の変化を検出したときに前記表示部に前記設定画面を表示させる場合に、設定する機能に対する選択肢の数を異ならせて表示させる請求項3または4の記載の電子装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記表示部に前記表示画面を表示させても前記生体情報に再度変化が生じないときに、前記表示画面の表示を変更させる請求項1から5のいずれか1項に記載の電子装置。
【請求項7】
前記電子装置の使用環境を検出する環境センサを備え、
前記制御部は、前記環境センサによって検出された前記使用環境に基づいて、前記表示部に表示させる前記表示画面を変更する請求項1から6のいずれか1項に記載の電子装置。
【請求項8】
入射される光学像を光電変換する撮像部を備え、
前記環境センサは前記電子装置の位置を検出する位置検出部であって、
前記制御部は、前記位置検出部の検出結果に応じて変更される撮影条件について前記表示部に表示させる請求項7に記載の電子装置。
【請求項9】
入射される光学像を光電変換する撮像部を備え、
前記環境センサは時に関する情報を検出する検出部であって、
前記制御部は、前記検出部の検出結果に応じて変更される撮影条件について前記表示部に表示させる請求項7または8に記載の電子装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記変化を検出したときに前記使用者が行っていた操作とは異なる操作に関する前記表示画面を前記表示部に表示させる請求項1から9のいずれか1項に記載の電子装置。
【請求項11】
前記設定画面および前記ガイド画面の使用履歴を記憶する履歴記憶部を備え、
前記制御部は、前記履歴記憶部から読み出される前記使用履歴に基づいて、前記表示部に表示させる前記表示画面を変更する請求項1から10のいずれか1項に記載の電子装置。
【請求項12】
前記表示部に重ねて配置されるタッチセンサを備え、
前記制御部は、前記表示部に表示画面を表示させているときに、前記タッチセンサからの入力を受け付ける請求項1から11のいずれか1項に記載の電子装置。
【請求項13】
入射される光学像を光電変換する撮像部と、
前記撮像部により撮影された撮影画像を分析する分析部と
を備え、
前記制御部は、前記分析部の分析結果に基づいて、前記表示部に表示させる前記表示画面を変更する請求項1から12のいずれか1項に記載の電子装置。
【請求項14】
入射される光学像を光電変換する撮像部を備え、
前記制御部は、前記撮像部による撮影が静止画撮影に設定されているときは、前記表示部に前記静止画撮影に関する前記表示画面を表示させ、前記撮像部による撮影が動画撮影に設定されているときは、前記表示部に前記動画撮影に関する前記表示画面を表示させる請求項1から13のいずれか1項に記載の電子装置。
【請求項15】
前記制御部は、前記撮像部によって撮影されて逐次表示される被写体像と共に、前記表示画面を前記表示部に表示させる請求項14に記載の電子装置。
【請求項1】
処理を行う処理部と、
表示を行う表示部と、
使用者の生体情報の変化を取得したときに、前記表示部に、前記処理部の処理に関する設定画面およびガイド画面の少なくも一方である表示画面を表示させる制御部と
を備える電子装置。
【請求項2】
前記電子装置の姿勢を検出する姿勢センサを備え、
前記制御部は、前記電子装置が定められた姿勢であることを前記姿勢センサが検出したときに、前記表示部に前記表示画面を表示させる請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記使用者の生体情報の変化を検出したときに前記表示部に表示させる表示と、前記使用者の生体情報の変化を検出しないときに前記表示部に表示させる表示とを異ならせる請求項1または2に記載の電子装置。
【請求項4】
前記ガイド画面は、ガイドする機能の内容に従って階層的に構成されており、
前記制御部は、前記生体情報の変化を検出して前記表示部に前記ガイド画面を表示させる場合に階層を異ならせて表示する請求項3に記載の電子装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記生体情報の変化を検出したときに前記表示部に前記設定画面を表示させる場合に、設定する機能に対する選択肢の数を異ならせて表示させる請求項3または4の記載の電子装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記表示部に前記表示画面を表示させても前記生体情報に再度変化が生じないときに、前記表示画面の表示を変更させる請求項1から5のいずれか1項に記載の電子装置。
【請求項7】
前記電子装置の使用環境を検出する環境センサを備え、
前記制御部は、前記環境センサによって検出された前記使用環境に基づいて、前記表示部に表示させる前記表示画面を変更する請求項1から6のいずれか1項に記載の電子装置。
【請求項8】
入射される光学像を光電変換する撮像部を備え、
前記環境センサは前記電子装置の位置を検出する位置検出部であって、
前記制御部は、前記位置検出部の検出結果に応じて変更される撮影条件について前記表示部に表示させる請求項7に記載の電子装置。
【請求項9】
入射される光学像を光電変換する撮像部を備え、
前記環境センサは時に関する情報を検出する検出部であって、
前記制御部は、前記検出部の検出結果に応じて変更される撮影条件について前記表示部に表示させる請求項7または8に記載の電子装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記変化を検出したときに前記使用者が行っていた操作とは異なる操作に関する前記表示画面を前記表示部に表示させる請求項1から9のいずれか1項に記載の電子装置。
【請求項11】
前記設定画面および前記ガイド画面の使用履歴を記憶する履歴記憶部を備え、
前記制御部は、前記履歴記憶部から読み出される前記使用履歴に基づいて、前記表示部に表示させる前記表示画面を変更する請求項1から10のいずれか1項に記載の電子装置。
【請求項12】
前記表示部に重ねて配置されるタッチセンサを備え、
前記制御部は、前記表示部に表示画面を表示させているときに、前記タッチセンサからの入力を受け付ける請求項1から11のいずれか1項に記載の電子装置。
【請求項13】
入射される光学像を光電変換する撮像部と、
前記撮像部により撮影された撮影画像を分析する分析部と
を備え、
前記制御部は、前記分析部の分析結果に基づいて、前記表示部に表示させる前記表示画面を変更する請求項1から12のいずれか1項に記載の電子装置。
【請求項14】
入射される光学像を光電変換する撮像部を備え、
前記制御部は、前記撮像部による撮影が静止画撮影に設定されているときは、前記表示部に前記静止画撮影に関する前記表示画面を表示させ、前記撮像部による撮影が動画撮影に設定されているときは、前記表示部に前記動画撮影に関する前記表示画面を表示させる請求項1から13のいずれか1項に記載の電子装置。
【請求項15】
前記制御部は、前記撮像部によって撮影されて逐次表示される被写体像と共に、前記表示画面を前記表示部に表示させる請求項14に記載の電子装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−192075(P2011−192075A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−58351(P2010−58351)
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
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