説明

電子装置

【課題】筐体に対する止水構造及び表示手段の設置構造の簡略化を図るとともに、着信等の表示機能の利便性を向上させる。
【解決手段】光源(LED44)から発した光を外部に照光する構成であって、筐体部(可動フロントケース10)に設置する止水部材(エラストマ16)と導光部材(32)を利用する。筐体部は、光源を包囲し、この光源の光を通過させる窓部(30)を備えている。止水部材は、筐体部の内部側の周囲に沿わせ、かつ筐体部の窓部内に挿入して筐体部を止水するとともに、窓部内で光を透過させる。導光部材は、筐体部の外部側に配置され、窓部からの光を導光する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イルミネーション構造を有する電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話機等の電子装置において、例えば、電話機能による着信通知やメールの受信表示、その他、アプリケーションの実行に応じて筐体部や表示部の一部を発光させるものがある。
【0003】
このような発光表示機構に関し、特許文献1には、筐体の一部にパネルを係合させる凹部を設け、着信により発光する発光体の光を導光するレンズを筐体とパネルとの間に挟み付けるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−196719号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来の電子機器では、外装ケースに着色した樹脂を利用しており、そのままでは光を透過させるのが困難であった。そのため、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)表示器の一部から発光させる手段があるが、発光させる範囲が限られるとともに、LCD表示器からの光により、発光状態の視認性が落ちる。
【0006】
また、筐体部側に発光手段を設置する場合、携帯電話機等の小型化等により、例えば、発光手段の保護や所定の方向に光を導くためのイルミネーションホルダ等や、筐体部の広い範囲に発光させるための構成を別途設置するのは困難となっている。さらに、筐体部に新たに構成部品を設置した場合、その設置した部分に対して止水する必要があるが、止水部品の設置スペースを設けるのも困難となっている。
【0007】
斯かる要求や課題について、特許文献1にはその開示や示唆はなく、それを解決する構成等についての開示や示唆はない。
【0008】
そこで、本開示の電子装置の目的は、筐体に対する止水構造及び表示手段の設置構造の簡略化を図ることにある。
【0009】
また、本開示の電子装置の他の目的は、着信等を示す表示機能の視認性を確保し、利便性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本開示の電子装置は、光源から発した光を外部に照光する構成であって、筐体部に設置する止水部材と導光部材を利用する。筐体部は、光源を包囲し、この光源の光を通過させる窓部を備えている。止水部材は、筐体部の内部側の周囲に沿わせ、かつ筐体部の窓部内に挿入して筐体部を止水するとともに、窓部内で光を透過させる。導光部材は、筐体部の外部側に配置され、窓部からの光を導光する。
【発明の効果】
【0011】
本開示の電子装置によれば、次のいずれかの効果が得られる。
【0012】
(1) 止水手段の一部を光の透光手段に利用することで、止水機能を維持しつつ、光源の光を筐体部の導光手段側に導くことができる。
【0013】
(2) 電子装置の筐体部と止水部材により光源を包囲するイルミネーションホルダを構成することで、発光手段の部品数を削減することができる。
【0014】
(3) 筐体の外部側で光を導光させることで、広い範囲で発光させることができ、光の視認性を高められる。
【0015】
そして、本発明の他の目的、特徴及び利点は、添付図面及び各実施の形態を参照することにより、一層明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1の実施の形態に係る携帯電話機の構成例を示す図である。
【図2】携帯電話機の外観構成例を示す図である。
【図3】可動フロントケース及びその搭載部品の構成例を示す図である。
【図4】可動フロントケースの構成例を示す図である。
【図5】エラストマの表面側の構成例を示す図である。
【図6】エラストマの裏面側の構成例を示す図である。
【図7】可動フロントケースにエラストマを設置した状態の一例を示す図である。
【図8】導光部材の表面側の外観構成例を示す図である。
【図9】導光部材の裏面側の構成例を示す図である。
【図10】導光部材の背面側の構成例を示す図である。
【図11】光の導光及び照光状態例を示す図である。
【図12】フロントカバーの外観構成例を示す図である。
【図13】図2のLED周辺のA−A断面を示す図である。
【図14】図2のB−B断面を示す図である。
【図15】図2のC−C断面を示す図である。
【図16】第2の実施の形態に係る可動フロントケース及びその搭載部品の構成例を示す図である。
【図17】LED周辺の断面の一例を示す図である。
【図18】光の導光状態例を示す断面図である。
【図19】他の実施の形態に係るPCの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
〔第1の実施の形態〕
【0018】
第1の実施の形態について、図1及び図2を参照する。図1は、第1の実施の形態に係る携帯電話機の構成例を示す図、図2は、携帯電話機の外観構成例を示す図である。図1、図2に示す構成は一例であって、これに限定されない。
【0019】
この携帯電話機2は、本開示の電子装置の一例であって、例えば、第1の筐体部4と第2の筐体部6を備えており、筐体部4が筐体部6に対して長手方向にスライド可能に積層されている。この筐体部4は、例えば、主に表示機能部を構成しており、また、筐体部6は、主に操作機能部を構成している。
【0020】
筐体部4は、例えば、筐体部6に対してスライドする可動側筐体部を構成している。筐体部4は、例えば、フロントカバー8、可動フロントケース10、可動リアケース12、基板部14で構成されており、基板部14は、可動フロントケース10と可動リアケース12との間に挟み込まれている。また、可動フロントケース10には、内側にエラストマ(elastomer )16が設置されている。これらのフロントカバー8、可動フロントケース10や可動リアケース12は、例えば、樹脂材料の成形体である。また、筐体部4は、筐体部6に対して例えば、ケーブルにより電気的に接続されている。
【0021】
フロントカバー8は、本開示のケース部の一例であって、携帯電話機2の筐体部4の外装部品を構成しており、例えば、光透過性材料で構成されている。このフロントカバー8には、例えば、表示窓部18が形成されており、基板部12に設置している液晶表示パネル34を配置させて画面表示を行っている。また、この表示窓部18は、例えば、タッチパネルモジュールを設置して、操作入力手段として機能させてもよい。また、例えば、フロントカバー8の長手方向の前後端部側には、携帯電話機2の通話に利用する放音孔20や吸音孔22が形成されている。
【0022】
このフロントカバー8の表面側又は裏面側は、例えば、着色され、若しくは着色した部材を設置することで、携帯電話機2を着色している。これらの着色材料や着色された部材は、例えば、光を遮光し又は減衰させることができ、筐体部4の内部側から導かれた光を外部に照光させない。また、フロントカバー8の一部又は全部には、後述するように、筐体部4の内部側から導光された光を筐体部4の外部側に照光させる照光窓が形成されている。
【0023】
可動フロントケース10は、本開示の筐体部の一例であって、例えば、放音孔24、吸音孔26が形成されている。この放音孔24は、基板部14のレシーバ42からの音を通過させ、フロントカバー8の放音孔20から放音させる。また、吸音孔26は、フロントカバー8の吸音孔22からの音を通過させ、基板部14のマイクロフォン46に吸音させる。
【0024】
可動フロントケース10には、表示窓部28が形成されており、基板部14に設置している液晶表示パネル34を配置させて画面表示を行っている。また、可動フロントケース10の長手方向の前後端部には、それぞれ単数又は複数の窓部30が形成され、窓部30を覆うように導光部材32が設置されている。この可動フロントケース8は、例えば、基板部14側に設置された発光手段を上側から包囲しており、この発光手段が発した光を窓部30で通過させている。そして、この窓部30を通過した光は、導光部材32により、フロントカバー8側に導光される。導光部材32は、光拡散によって光を発する発光手段の一例であって、例えば、平板部材で構成されたアクリル等が用いる。その他、導光材料として、アクリル以外の合成樹脂や硝子を用いてもよい。
【0025】
可動リアケース12は、基板部14を載置して保持し、可動フロントケース10と接合することで筐体部4を構成している。可動リアケース12には、例えば、筐体部4を筐体部6に対してスライドさせる図示しないスライドガイドや筐体部4と筐体部6とを電気的に接続するケーブルを内部に挿通させるケーブル挿通孔等が形成されている。
【0026】
可動フロントケース10は、例えば、可動リアケース12との接合するための係止爪等が形成されている。また、可動リアケース12には、例えば、基板部14を保持するための係止手段や、可動フロントケース10と係止するための係止爪等が形成されている。
【0027】
基板部14は、筐体部4に搭載される機能構成部の一例であって、1又は複数の機能部品が実装されている。この基板部14には、例えば、液晶表示パネル34、カメラ36、アンテナ機能部品等が実装されている。また、液晶表示パネル34前後両端側には、例えば、フレキ基板38、40が実装されている。この基板部14は、例えば、長手方向の両端側に貫通孔を備え、可動リアケース12に対してフレキ基板38、40を介してネジやボルト等の固定部品を貫通させて固定される。
【0028】
フレキ基板38は、例えば、面状のフレキシブルな配線導体で構成され、筐体部4のトップ側に配置された回路ユニット又はフレキシブル基板の一例である。このフレキ基板38は、通話音声等を放音するレシーバ42や携帯電話機2の表面側を光らせるLED(Light Emitting Diode)素子44が実装されている。
【0029】
フレキ基板40は、筐体部4の回路ユニット又はフレキシブル基板の一例であって、筐体部4のボトム側の内部の端部と液晶表示部である液晶表示パネル34との間に形成された空間部内に配置されている。このフレキ基板38、40は、例えば、樹脂材料で構成され、折り曲げ等の変形が可能な面状のフレキシブルな配線導体で構成している。このフレキ基板40には、例えば、LED素子44やマイクロフォン46、その他アンテナ等が実装されている。
【0030】
エラストマ16は、筐体部4の内部に対する止水部材の一例であって、筐体部4の内部側の周囲及び可動フロントケース10に形成された窓部30側に配置させている。エラストマ16は、例えば、可動フロントケース10の周囲に這わせて配置する周壁部48と可動フロントケース10の窓部30内に挿入させて密閉する窓封止部50が形成されている。このエラストマ16は、例えば、ポリエステル等の熱可塑性の樹脂材料で形成され、また、光透過性のある材質及び着色がされており、LED44が発した光を透過する。
【0031】
図2に示す携帯電話機2は、筐体部4が筐体部6の上側に積層されており、閉状態では筐体部6の上面側が筐体部4によって覆われ、接触操作を行わせないように構成されている。この携帯電話機2は、例えば、閉状態においても通話機能やWebサイトやメール等の表示機能の閲覧等を利用できる。また、表示窓部18に設置したタッチパネルにより、携帯電話機2の操作を行うこともできる。筐体部4の端部側には、例えば、フロントカバー8(図1)に照光窓部54、56が形成されており、電話機能の着信状態や携帯電話機2の起動状態、メールの受信状態等を報知し、又はイルミネーションとして照光することができる。
【0032】
携帯電話機2に対して入力操作機能を利用する場合には、例えば、筐体部4を長手方向にスライドさせることで、筐体部6の上面側が露出する。筐体部6は、携帯電話機2の操作側筐体部の一例であって、スライドする筐体部4に対し、固定側筐体部を構成する。この筐体部6には、例えば、キーパッドを備えており、テンキーや決定キー、カーソルキー等が配置されている。また、この筐体部6には、先端側の側面部に、例えばテレビ放送信号やデータ信号を送受信するアンテナ58が設置されている。その他、携帯電話機2は、例えば、筐体部4が筐体部6に対して、長手方向にスライドした後に、左右方向スライドすることができ、例えば、テレビジョン放送の視聴等、横長の画面表示をすることもできる。
【0033】
次に、可動フロントケースの構成について、図3及び図4を参照する。図3は、可動フロントケース及びその搭載部品の構成例を示す図、図4は、可動フロントケースの構成例を示す図である。図3、図4に示す構成は一例であって、これに限定されない。
【0034】
図3に示す可動フロントケース10には、例えば、長手方向の前後端部に溝部60が形成されており、この溝部60に対して導光部材32を設置させている。導光部材32は、溝部60に対して収納可能な形状に成形されており、例えば、導光部材32が溝部60に対して隙間や突出部が生じないように密着させている。
【0035】
なお、導光部材32は、溝部60に収納可能であればよく、例えば、光を導光させたい範囲に合わせて大きさを設定してもよい。
【0036】
この溝部60は、図4に示すように、筐体部4の内部から発せられた光を通過させる窓部30とその周辺部分に形成されている。また、溝部60は、例えば、可動フロントケース10の端部側において、短手方向に直線状に形成されている。これにより、溝部60は、複数の窓部30間を連結している。
【0037】
また、可動フロントケース10の裏面側の周囲には、例えば、止水溝部62が形成されている。止水溝部62は、エラストマ16を挿入させて保持する溝を備えている。
【0038】
次に、止水手段の構成例について、図5、図6、図7を参照する。図5は、エラストマの表面側の構成例を示す図、図6は、エラストマの裏面側の構成例を示す図、図7は、可動フロントケースにエラストマを設置した状態の一例を示す図である。図5〜図7に示す構成は一例であって、これに限定されない。
【0039】
図5に示すエラストマ16は、周壁部48に対して、可動フロントケース10の窓部30に合わせて窓封止部50が設置されている。この周壁部48と窓封止部50とは、例えば、一体に成形されればよい。窓封止部50は、例えば、窓部30内に挿入させて可動フロントケース10の溝部60と同一の高さ又は溝部60から突出させる高さに形成されている。また、この窓封止部50の表面側には、中央部分に凹部64が形成されており、例えば、導光部材32と接触するのを回避している。
【0040】
図6に示すように、エラストマ16の裏面側において、周壁部48と窓封止部50とには、例えば、可動フロントケース10の裏面側と接触する封止リブ66が形成されている。また、窓封止部50には、例えば、中央部に凹部68が形成されてLED44と接触するのを防止している。
【0041】
エラストマ16を可動フロントケース10側に設置すると、図7に示すように、封止リブ66を可動フロントケース10の裏面側に配置させ、周壁部48を可動フロントケース10の側壁側に配置する。この状態において、窓封止部50を窓部30内に挿入させる。後述するように、窓部30は、例えばLED44の直上又はその周辺に形成されている。そこで、エラストマ16の周壁部48や窓部30に設置した窓封止部50及び可動フロントケース10は、LED44に対するイルミホルダを構成している。
【0042】
次に、導光部材の構成について図8、図9、図10及び図11を参照する。図8は、導光部材の表面側の外観構成例を示す図、図9は、導光部材の裏面側の構成例を示す図、図10は、導光部材の背面側構成例を示す図、図11は、光の導光及び照光状態例を示す図である。図8〜図11に示す構成は一例であって、これに限定されない。
【0043】
導光部材32は、例えば、可動フロントケース10の溝部60側の形状に合わせて設置可能に構成されており、窓部30を通過した光を取り込む取込部70、照光部72が形成されている。取込部70は、例えば、可動フロントケース10の窓部30及びその周辺部上に配置されて光を取り込み、取り込んだ光を内部で反射、拡散させて照光部72側に導光する。照光部72は、取込部70から導光された光を受けて、その内部を導光するとともに外部に向けて光を照光させる。この導光部材32は、例えば1つの照光部72に対して複数の取込部70から光を取込んで導光させている。
【0044】
その他、この取込部70には、例えば、後部側の一部に可動フロントケース10に係止させる係止爪74を形成しており、溝部60内において、導光部材32が移動したり、脱落したりするのを防止できる。
【0045】
また、図9に示すように、導光部材32は、取込部70の裏面側の一部又は全部に斜光拡散部76を備えている。斜光拡散部76は、窓部30の開口面側に向けて配置され、窓部30側からの光の入射面部であり、この入射された光を斜光させる手段の一例である。この斜光拡散部76は、例えば、所定の間隔で切り込まれて、照光部72側に向けてV字状に凹凸が形成されている。この斜光拡散部76は、例えば、窓部30側から入射した光を凹凸に接触させることで、取込部70の内部に対して取り込む角度を変更させる。これにより、斜光拡散部76は、例えば、取込部70に対して垂直方向又は垂直に近い角度で入射した光を斜光させて取込部70内での拡散・反射を行わせることができ、照光範囲を拡大し、照光量を増やすことができる。
【0046】
図10に示すように、導光部材32は、例えば、照光部72の高さh2 側から取込部70の高さh1 に向けて徐々に高さを増して形成されている。また、導光部材32の底面側は例えば、取込部70と照光部72とで高さを面一にしており、可動フロントケース10と導光部材32との設置部分に隙間などを生じさせない。これにより、導光部材32から意図しない方向に光が洩れるのを防止している。
【0047】
図11に示す可動フロントケース10には、溝部60に対して導光部材32が設置されている。そして、窓部30を通過した光78は、例えば、照光部72内において反射・拡散して、導光部材32の全体に導光される。そして、この光78は、例えば、導光部材32の照光部72が配置された可動フロントケース10の端部側から外部に向けて照光する。
【0048】
次に、フロントカバーの構成について、図12を参照する。図12は、フロントカバーの外観構成例を示す図である。図12に示す構成は一例であって、これに限定されない。
【0049】
このフロントカバー8に形成した照光窓部54、56には、導光部材32の照光部72が配置され、照光された光をフロントカバー8の外部に拡散させる。この照光窓部54、56は、例えば、フロントカバー8に対して着色しない、又は着色した部材を設置しないことで形成している。これにより、照光窓部54、56から照光させることができる。
【0050】
次に、筐体部の構成について、図13、図14及び図15を参照する。図13は、図2のLED周辺のA−A断面を示す図、図14は、図2のB−B断面を示す図、図15は、図2のC−C断面を示す図である。図13〜図15に示す構成は一例であって、これに限定されない。
【0051】
可動リアケース12に対して、エラストマ16を設置した可動フロントケース10を設置すると、フレキ基板38、40に実装されたLED44の位置に可動フロントケース10の窓部30が配置される。この窓部30には、既述のようにエラストマ16の一部である窓封止部50が設置されており、LED44の上面側に配置される。この窓封止部50は、可動フロントケース10と可動リアケース12との接合部分を止水する周壁部48とを連結させて一体に構成している。また、この窓封止部50は、例えば、筐体部4に搭載された液晶表示パネル34側の可動フロントケース10に対して密着させている。
【0052】
窓封止部50に形成された凹部68は、LED44を覆うように配置されている。これにより、可動フロントケース10及び窓封止部50は、LED44のイルミホルダとして機能している。
【0053】
エラストマ16の周壁部48は、可動フロントケース10に対して密着するとともに、その先端側の一部又は全部を可動フロントケース10から離して突出させている。この周壁部48の先端部は、例えば、可動リアケース12に対して圧着することで密着させ、又は可動リアケース12内に挿入される。これにより、可動フロントケース10と可動リアケース12との接合部分にエラストマ16の周壁部48が強固に固定されるので、筐体部4の内部に対して止水することで、防水機能を高めることができる。
【0054】
エラストマ16の窓封止部50は、窓部30内に圧着し、又は接着材等により密着させているとともに、封止リブ66により窓部30の周囲を覆っている。これにより、例えば、可動フロントケース10と導光部材32との間から進入した水等を窓部30において止水することができ、携帯電話機2の防水機能を高められる。
【0055】
図13に示すエラストマ16に形成された凹部64は、可動フロントケース10の溝部60に設置された導光部材32とエラストマ16との間に空間部を形成して離間させている。これにより、導光部材32に形成された斜光拡散部76がエラストマ16に接触して変形するのを防止できるので、例えば、LED44から取り込む光の入射角度が変わってしまうのを防止できる。また、斜光拡散部76や凹部64が損傷するのを防止することができる。
【0056】
図14に示すように、筐体部4のレシーバ42側において、フレキ基板38上に実装されたLED44が発光すると、その光78は、エラストマ16の窓封止部50を透過し、導光部材32内において反射、拡散して導光する。この導光部材32は、筐体部4の短手方向の両端側に向けて長く設定され、また、設置された2つのLED44の間を繋いでいる。これにより、LED44が発した光78は、導光部材32の内部を導光していき、フロントカバー8の照光窓部56から筐体部4の外部側に向けて光80が照光する。
【0057】
これにより、少ない発光手段で発光した光78を筐体部4の広い範囲に導光させることで、照光面積を広げることができる。また、LED44間を繋ぐように導光部材32が形成されているので、発光される光の形状を例えば線状にでき、筐体部4の広い範囲に照光させることで、利用者の視認性を上げることができる。
【0058】
また、筐体部4の内部には、レシーバ42やカメラ36等、多数の実装部品が実装されるが、発光手段の設置数を少なくし、また、その光を可動フロントケース10の外部側に設置した導光部材で導光することで、携帯電話機2の実装部品の効率的な実装が行える。
【0059】
また、図15に示すマイクロフォン46側の筐体部4では、レシーバ側と同様に、フレキ基板40のLED44から発した光78が導光され、フロントカバー8の照光窓部54から光80が照光される。そして、筐体部4の短手側の広い範囲を光らせることができる。
【0060】
斯かる構成によれば、エラストマの一部を光の透光手段に利用することで、止水機能を維持しつつ、光源の光を筐体部の導光手段側に導くことができる。また、携帯電話機の筐体部とエラストマとにより光源を包囲するイルミネーションホルダを構成することで、発光手段の部品数を削減することができる。可動フロントケースの外部側で光を導光させることで、筐体部の内部の機能部品の実装スペースに影響を与えることがなく、かつ広い範囲で発光させるので光の視認性がよく、携帯電話機の利便性を高められる。
【0061】
〔第2の実施の形態〕
【0062】
次に、第2の実施の形態について図16、図17及び図18を参照する。図16は、第2の実施の形態に係る可動フロントケース及びその搭載部品の構成例を示す図、図17は、LED周辺の断面の一例を示す図、図18は、光の導光状態例を示す図である。図16〜図18に示す構成は一例であって、これに限定されない。
【0063】
図16に示す可動フロントケース10には、既述のように、長手方向の両端部側に溝部60が形成され、導光部材32が設置される。この導光部材32は、窓部30を通過した光を筐体部4(図2)の照光窓部54、56(図2)側に導光する。
【0064】
この可動フロントケース10には、導光部材32の上面側に、遮光部材90を設置している。この遮光部材90は、光を透過させず又は光を減衰若しくは吸収するものであればよく、例えば、黒色に塗装されたテープ等を利用してもよい。
【0065】
図17に示す筐体部4では、エラストマ16の窓封止部50を透過した光が導光部材32内に入射し、例えば、導光部材32の内部において反射、拡散を繰り返してフロントカバー8の照光窓部54、56側に導光される。このとき、導光部材32の上部側に到達した光の一部が導光部材32の外部に透過した場合、この透過光は遮光部材90によって反射、又は減衰される。
【0066】
導光部材32を覆うフロントカバー8は、既述のように、例えば、着色し、又は着色した部材を設置することで導光部材32を透過した光を反射させ、又は減衰させて、フロントカバー8を透過させない。しかし、着色された色の種類等又は光の強さ等によりその斜光能力が異なる。また、例えば、色の種類や模様等が限られることになる。そこで、図18に示すように、遮光部材90を設置することで、例えばフロントケース8の表面側からの照光を防止でき、斜光窓部54、56からのみ照光を行うことができる。
【0067】
斯かる構成によれば、止水手段の一部を光の透光手段に利用することで、止水機能を維持しつつ、光源の光を筐体部の導光手段側に導くことができ、また、発光手段の部品数を削減することができる。着信ランプ等の視認性を向上させることができる。さらに、斜光手段を備えることにより、フロントケースにおいて、意図しない範囲に照光するのを防止できるとともに、フロントケースから発光手段が、所謂目玉状に視覚されるのを防止することができる。
【0068】
ここで、第1の実施の形態及び第2の実施の形態について、以下に特徴事項や利点を列挙する。
【0069】
(1) 本発明の電子装置のイルミネーション構造では、止水エラストマの一部を延長して止水機能と筐体部に形成した導光窓を両立させることで、表示部の上下部分を広範囲に発光させることができる。
【0070】
(2) この電子装置によれば、外装ケースから光を照光させ、また、広い範囲を光らせることができるので、着信表示やメール受信等の発光状態の視認性が高められる。
【0071】
(3) この電子装置では、例えば、2色成型のケースにおいて、防水用のエラストマの一部を延長し、その端部の樹脂部にLED発光用の窓を設け、その上に導光パーツを組み付ける。防水用エラストマを半透明色で構成すればよい。
【0072】
(4) このイルミネーション構造によれば、防水性能を保持したまま、外装ケース上部や下部を広範囲に発光させることができ、着信ランプ等の視認性や、イルミネーションによる商品力を向上させることができる。
【0073】
〔その他の実施の形態〕
【0074】
(1) 上記実施の形態では、電子装置の一例として携帯電話機の構成を示したが、これに限られず、例えば、図19に示すように、第1の筐体部202と第2の筐体部204とを備えたPC(Personal Computer )200を利用してもよい。この筐体部202は、例えば、表示部206や照光窓部208を備えている。また、筐体部204には、例えば、キーボード等の入力操作部210を備えている。そして、この筐体部202の内部には、既述のような止水エラストマや導光部材を利用して照光窓部208側を光らせればよい。
【0075】
その他、電子装置の他の例として、複数の筐体部がスライド可能に接続される携帯ゲーム機や携帯情報端末機(PDA:Personal Digital Assistant)等であってもよい。
【0076】
(2) 上記実施の形態では、導光部材32とエラストマ16との間の空間部について、エラストマ16の窓封止部50に凹部68を設けたがこれに限られず、例えば、導光部材32の斜光拡散部76側に凹部を設けてもよい。また、導光部材32とエラストマ16との双方に凹部を設けてもよい。
【0077】
(3) 上記実施の形態では、止水部材であるエラストマ16や、導光部材32を備えたイルミネーション構造を筐体部4に備えた場合を示したが、これに限られず、筐体部6内に構成してもよい。
【0078】
次に、以上述べた実施例を含む実施の形態に関し、更に以下の付記を開示する。以下の付記に本発明が限定されるものではない。
【0079】
(付記1)光源と、
前記光源を包囲し、前記光源の光を通過させる窓部を備えた筐体部と、
前記筐体部の内部側の周囲に沿わせ、かつ前記窓部内に挿入して前記筐体部を止水するとともに、前記窓部内で前記光を透過させる止水部材と、
前記筐体部の外部側に配置され、前記窓部からの前記光を導光する導光部材と、
を備えることを特徴とする、電子装置。
【0080】
(付記2)さらに、光透過材料で構成され、前記導光部材を介在させて前記筐体部を覆うケース部を備え、
該ケース部は、前記導光部材により導光された前記光を外部に照光させる照光窓部を形成したことを特徴とする、付記1に記載の電子装置。
【0081】
(付記3)さらに、前記導光部材の周囲の一部に、前記光を遮光する遮光部材を備えることを特徴とする、付記1又は2に記載の電子装置。
【0082】
(付記4)前記導光部材は、前記窓部を透過した前記光の入射面部の一部又は全部に凹凸部を形成したことを特徴とする、付記1ないし3のいずれかに記載の電子装置。
【0083】
(付記5)少なくとも前記窓部側に配置した前記止水部材の一部又は前記導光部材の一部のいずれか又は双方に凹部を形成し、前記導光部材と前記止水部材との間に空間部を形成することを特徴とする、付記1ないし4のいずれかに記載の電子装置。
【0084】
(付記6)前記筐体部は、外部側に前記導光部材を配置させる溝部を形成したことを特徴とする、付記1ないし5のいずれかに記載の電子装置。
【0085】
(付記7)前記筐体部は、複数の窓部が形成されて前記光を透光し、
前記導光部材は、複数の前記窓部を介して配置され、
少なくとも複数の前記窓部間に照光させることを特徴とする、付記1ないし6のいずれかに記載の電子装置。
【0086】
以上説明したように、本開示の電子装置の好ましい実施の形態等について説明したが、本発明は、上記記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載され、又は発明を実施するための形態に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能であることは勿論であり、斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0087】
2 携帯電話機
4、6 筐体部
8 フロントカバー
10 可動フロントケース
12 可動リアケース
14 基板部
16 エラストマ
18 表示窓部
20、24 放音孔
22、26 吸音孔
28 表示窓部
30 窓部
32 導光部材
34 液晶表示パネル
38、40 フレキ基板
42 レシーバ
44 LED
46 マイクロフォン
48 周壁部
50 窓封止部
54、56 照光窓部
60 溝部
62 止水溝部
64、68 凹部
66 封止リブ
70 取込部
72 照光部
74 係止爪
76 斜光拡散部
78、80 光
90 遮光部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源を包囲し、前記光源の光を通過させる窓部を備えた筐体部と、
前記筐体部の内部側の周囲に沿わせ、かつ前記窓部内に挿入して前記筐体部を止水するとともに、前記窓部内で前記光を透過させる止水部材と、
前記筐体部の外部側に配置され、前記窓部からの前記光を導光する導光部材と、
を備えることを特徴とする、電子装置。
【請求項2】
さらに、光透過材料で構成され、前記導光部材を介在させて前記筐体部を覆うケース部を備え、
該ケース部は、前記導光部材により導光された前記光を外部に照光させる照光窓部を形成したことを特徴とする、請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
さらに、前記導光部材の周囲の一部に、前記光を遮光する遮光部材を備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載の電子装置。
【請求項4】
少なくとも前記窓部側に配置した前記止水部材の一部又は前記導光部材の一部のいずれか又は双方に凹部を形成し、前記導光部材と前記止水部材との間に空間部を形成することを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の電子装置。
【請求項5】
前記筐体部は、複数の窓部が形成されて前記光を透光し、
前記導光部材は、複数の前記窓部を介して配置され、
少なくとも複数の前記窓部間に照光させることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の電子装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−213022(P2012−213022A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−77400(P2011−77400)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】