説明

電子装置

【課題】
回路基板からの空間伝播する電磁ノイズの影響を抑え、寄生インダクタンスを低減したフィルタ回路を備え、十分にノイズ低減された電圧を出力することができる電子装置を提供する。
【解決手段】
上記課題を解決するために、本発明は、筐体101と、筐体内に設けられた回路基板132と、筐体に設けられた貫通孔を貫通し、回路基板の出力を外部に出力する出力端子122と、を備えた電子装置において、フィルタコンデンサ142aを有するフィルタ手段142と、出力端子と、筐体と、それらを接続する配線142b、142cで構成されるループを構成し、筐体に接続する配線142cを、出力端子に近い位置に接続することで、ループが小さくなるような構造とする。また、フィルタ手段と回路基板との間に、シールド102を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換などを行う電子装置におけるノイズフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やプラグインハイブリッド車は、動力駆動用の高電圧蓄電池でモータ駆動するためのインバータ装置と、車両のライトやラジオなどの補機を作動させるための低電圧蓄電池を搭載している。このような車両においては、高電圧蓄電池から低電圧蓄電池への電力変換または低電圧蓄電池から高電圧蓄電池への電力変換を行うDCDCコンバータ装置(電力変換装置)を搭載している。
【0003】
電力変換装置には、電力変換装置外に配置される電子機器等へ混入するノイズの低減を目的の1つとして、電力変換回路の入力側に入力フィルタ回路、電力変換回路の出力側に出力フィルタ回路などのフィルタ回路が接続されているものがある。(例えば、特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特願2004―368388号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電力変換装置に接続される入力フィルタ回路および出力フィルタ回路において、フィルタ回路の寄生インダクタンスが増大し、また、フィルタ回路に電力変換回路から放射され空間伝播するノイズや筐体を流れる渦電流に起因して発生する電磁ノイズが重畳し、電磁誘導作用によりフィルタ性能を低下させる恐れがある。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであって、その目的は、回路から放射されるノイズ重畳を低減し、フィルタのノイズ低減効果を確保した電子装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は特許請求の範囲に記載に構成をとる。その一例を挙げれば、本発明は、筐体と、筐体内に設けられた回路基板と、筐体に設けられた貫通孔を貫通し、回路基板の出力を外部に出力または入力する外部端子と、を備えた電子装置において、フィルタコンデンサを有するフィルタ手段と、外部端子と、筐体と、それらを接続する配線で構成されるループを構成し、筐体に接続する配線を、外部端子に近い位置に接続することで、ループが小さくなるような構造とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、回路基板からのノイズがフィルタ手段等に空間結合することを抑制し、フィルタのノイズ低減効果を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施例にかかるDCDCコンバータ装置の外観斜視図である。
【図2】本発明の実施例にかかるDCDCコンバータ装置の回路構成を示す図である。
【図3】本発明の実施例にかかるDCDCコンバータ装置における部品配置を示す分解図である。
【図4】本発明の実施例にかかるDCDCコンバータ装置の筐体内の部品配置を示す斜視図である。
【図5】本発明の実施例にかかるDCDCコンバータ装置の筐体内の部品配置と、昇圧回路基板の出力を外部に出力する出力バスバーと出力端子およびフェライトとコンデンサ基板から成るフィルタ回路の外観を示す斜視図である。
【図6】本発明の実施例にかかる昇圧回路部の部品配置を表す図である。
【図7】本発明の実施例にかかる出力フィルタの部品配置を表す斜視図である。
【図8】本発明の実施例にかかる出力フィルタの部品配置を表す斜視図である。
【図9】本発明の実施例にかかる出力フィルタと、出力端子の接続を表す断面図である。
【図10】本発明の他の実施例にかかる出力フィルタと出力端子122の接続を表す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図を参照して本発明を実施するための形態について説明する。
【0011】
図1はDCDCコンバータ装置100の外観を示す斜視図である。このDCDCコンバータ装置は電気自動車等に適用され、高電圧蓄電池から低電圧蓄電池への電力変換または低電圧蓄電池から高電圧蓄電池への電力変換を行う装置である。
【0012】
このDCDCコンバータ装置100について説明する。図2はDCDCコンバータ装置100の回路構成を示す図である。図2に示すように、本実施の形態のDCDCコンバータ装置100では、双方向DCDC対応としている。そのために、降圧回路、昇圧回路は、ダイオード整流ではなく同期整流構成としている。また、HV(High Voltage)/LV(Low Voltage)変換で高出力とするために、スイッチング素子への大電流部品を採用し、平滑コイルの大型化を図っている。
【0013】
具体的には、HV側LV側共に、リカバリーダイオードを持つMOSFETを利用したHブリッジ型・同期整流スイッチング回路構成(H1〜H4)とした。スイッチング制御にあっては、LC直列共振回路(Cr,Lr)を用いて高スイッチング周波数(100kHz)でゼロクロススイッチングさせ、変換効率を向上させて熱損失を低減するようにした。加えて、アクティブクランプ回路を設けて、降圧動作時の循環電流による損失を低減させ、ならびに、スイッチング時のサージ電圧発生を抑制してスイッチング素子の耐圧を低減させることで、回路部品の低耐圧化を図ることで装置を小型化している。
【0014】
さらに、LV側の高出力を確保するために、全波整流型の倍電流(カレントダブラー)方式とした。なお、高出力化にあたり、複数のスイッチング素子を並列同時作動させることで高出力を確保している。図2の例では、スイッチング素子をSWA1〜SWA4、SWB1〜SWB4のように4素子並列とした。また、スイッチング素子および平滑リアクトルの小型リアクトル(L1,L2)を、対称性を持たせるように2回路並列配置とすることで高出力化している。このように、小型リアクトルを2回路配置とすることで、大型リアクトル1台を配置させる場合に比べて、DCDCコンバータ装置全体の小型化が可能となる。
【0015】
図3,4および5は、DCDCコンバータ装置100における部品配置を説明する図である。図3はDCDCコンバータ装置100の分解斜視図である。
【0016】
図3に示すように、DCDCコンバータ装置100の回路部品は、金属製(例えば、アルミダイカスト製)の筐体101内に収納されている。筐体101の開口部にはケースカバー111がボルトにより固定される。筐体101内の底面部分には、主トランス133、インダクタ素子134、スイッチング素子H1〜H4が搭載された降圧回路部131、スイッチング素子136が搭載されている昇圧回路部132等が載置されている。
【0017】
なお、図2の回路図との対応を記載すると、主トランス133はトランスTrに、インダクタ素子134はカレントダブラーのリアクトルL1,L2に、スイッチング素子136はスイッチング素子SWA1〜SWA4,SAWB1〜SWB4にそれぞれ対応している。昇圧回路部132には、図2のスイッチング素子S1,S2等も搭載されている。
【0018】
スイッチング素子H1〜H4は降圧回路部131内に設けられている。スイッチング素子H1〜H4は、パターンが形成された金属基板139上に実装されており、金属基板の裏面側は筐体底面に密着するように固定されている。スイッチング素子136が実装される昇圧回路部132も、同様に金属基板で構成されている。
【0019】
制御回路基板130には、昇圧回路部132や降圧回路部131に設けられたスイッチング素子を制御する制御回路が実装されている。制御回路基板130は金属製のベース板137上に固定されている。ベース板137は筐体101の底面部から上方に突出した複数の支持部101aにより固定されている。これにより、制御回路基板130は、筐体底面部に配置された発熱部品(主トランス133、インダクタ素子134など)の上方に、ベース板137を介して配置されることになる。
【0020】
ベース板137は金属で形成されているので、制御回路基板130で発生した熱は支持部101aおよび筐体101へと伝達される。また、ベース板137は、筐体底面部に設けられた発熱部品からの輻射熱の遮蔽部材として機能するとともに、銅材等を用いることでスイッチング素子からのスイッチング放射ノイズを遮蔽するシールドとしても機能する。
【0021】
図4はDCDCコンバータ装置100における昇圧回路部132の部品配置および筐体(ケース)101外観を示す斜視図であり,図5はDCDCコンバータ装置100における昇圧回路部132の部品配置と、昇圧回路部132の出力を外部に出力する出力バスバー121と出力端子122およびフェライトコア141と出力フィルタ142から成るLCフィルタ回路の外観を示す斜視図であり、図6は昇圧回路部132の平面図である。
【0022】
フェライトコア141と出力フィルタ142は、DCDCコンバータ装置100の出力ノイズを低減するために設置されたLCフィルタ回路を構成し、昇圧回路部132の基板上に搭載された平滑化コンデンサ138と合わせてπ型のLCフィルタ回路を構成している。なお、回路構成は出力のノイズを低減することを目的とするため、π型のLCフィルタ回路に限らない。出力端子122は、HV側からLV側へ電力変換する場合は出力端子として機能するが、LV側からHV側へ電力変換する場合には、入力端子として機能する。本実施例のコンバータでは、HV側とLV側の両方向への電力変換が可能であるが、一方向のみ電力変換を行うコンバータもある。
【0023】
LCフィルタ回路と昇圧回路部132との間には筐体101と一体に形成されたシールド壁102が形成されており、出力バスバー121がこのシールド壁102を迂回して、昇圧回路部132と、フェライトコア141、出力フィルタ142及び出力端子122を電気的に接続している。このシールド壁102により、図5に示すように、LCフィルタ回路と降圧回路部131及び昇圧回路部132は筐体101の同一筐体内にあっても、降圧回路部131および昇圧回路部132のスイッチング素子によるスイッチング放射ノイズがLCフィルタ回路に重畳し、フィルタのノイズ低減効果が得られなくなることを防ぐことができ、LCフィルタ回路用に別の筐体を用意する必要がなくなる。
【0024】
少なくとも、LCフィルタ回路によりノイズを除去された電流が流れる出力端子122が、昇圧回路部132などからシールド壁102により隔離されていれば、シールド効果を奏するが、望ましくは出力フィルタ142やフェライトコア141もシールド壁102によりシールドした方が、出力端子122付近でシールドする距離が長くなり、シールドの効果が高くなる。なお、本実施例では、平滑化コンデンサ138は、昇圧回路部132から出力端子122までの経路から分岐した位置にありシールドしてもその効果が小さく、また、昇圧回路部122の基板上に設けられていることから、シールド壁102によりシールドする対象にしていない。
【0025】
また、シールド壁102とケースカバー111との隙間を埋めるため、導電性のシール材を用いて、さらにシールド効果を高めることができる。
【0026】
なお、シールド壁102はベース板137と一体に形成してもよい。この時、ベース板137は筐体101とねじ(図示せず)で固定されるため、ねじの位置がベース板137において最も電位的に安定する位置となる。そのため、ベース板137からシールド壁102を形成する場合、シールド壁102の近くにねじ穴を設置することが望ましい。
【0027】
また、シールド壁102は筐体101とベース板137両方から形成されることが望ましい。筐体から102のシールド壁とベース板107のシールド壁とが交差するように設置することにより、ノイズ源である降圧回路部131および昇圧回路部132からLCフィルタ回路の距離を遠くすることができ、混入するノイズを低減してシールド効果を高めることができる。
【0028】
なお、図4に示すように、本実施形態では、筐体101から設けられた貫通孔103を貫通し、昇圧回路部132の出力を外部に出力する出力端子122を有している。貫通孔103の周囲には出力端子を覆うように突出部104が形成され、筐体が厚くなっている。これにより,フィルタ回路から貫通孔103までの間にノイズが空間的に重畳しても、外部に漏洩することを防ぐことができる。
【0029】
また、図4、5、6に示すように、昇圧回路部132の中心には、GNDボス105及び、GNDボス設置孔105aが配置されている。これにより、二つの電圧変換用インダクタ素子134から平滑化コンデンサ138までに配置される昇圧回路部132の基板上のバスバー123を対称に配置することができ、バスバー123の寄生インダクタンスの値を等しくできるため、損失を低減することができる。
【0030】
また、一般的に自動車のシャーシが自動車の中で最も大きい導体であるため、DCDCコンバータの中では、シャーシに接続される筐体101が最も電位的に安定する。そのため、平滑化コンデンサ138は一端をGND(接地)に接続されるが、その間近にGNDボス105を設置することにより、平滑化コンデンサ138とGNDとの間の寄生インダクタンスを小さくできる。これにより、平滑化コンデンサ138のノイズ低減効果を確保することができる。
【0031】
また、GNDボス105を平滑化コンデンサ138に近接して設置することにより、平滑化コンデンサ138とGNDボス105とを接続するGNDバスバー124がバスバー123と並走して設置される必要がなくなる。そのため、バスバー123からのスイッチングノイズがGNDバスバー124へ電磁結合することを防ぐことができるため、筐体101の電位変動を防ぐことができ、DCDCコンバータ装置100のノイズレベルを低減することができる。
【0032】
図7と図8は、出力フィルタ142の外観を示す斜視図である。フィルタ基板142d上にはセラミックコンデンサ142aが実装され,コンデンサ142aと出力端子122とを電気的に接続するためのフィルタ出力バスバー142bと、コンデンサ142aと筐体101とを電気的に接続するGNDバスバー142cと、フィルタ基板142dを筐体101に機械的に固定する取付具142eとを備える。
【0033】
図9はコンデンサ基板142と、出力端子122の接続を表す断面図である。また、図の矢印はフィルタ回路に流れるノイズ電流の流れる向きを表す。
【0034】
図9に示すように、フィルタ出力バスバー142bとGNDバスバー142cは互いに近接して対向するように配置されている。これにより、フィルタ出力バスバー142bとフィルタ基板142とGNDバスバー142cで形成されるループ面積を小さくできるため、降圧回路部131や昇圧回路部132からのスイッチングノイズの重畳を低減することができる。
【0035】
図9に示すように、出力端子122とフィルタ基板142dとの接続はフィルタ出力バスバー142bとGNDバスバー142cを介して接続されている。また、出力端子122と出力端子122と接続されるフィルタ出力バスバー142bとを筐体101に固定するため、バスバー142bを挟んで大ネジ144を締め付けて出力端子上部122aを筐体101に固定された出力端子下部122bに固定することにより、出力端子122とフィルタ出力バスバーを絶縁体143を介して突出部104に固定している。DCDCコンバータ装置からの大電流出力のため、大ネジ144は、昇圧回路部などを筐体に固定するネジよりも径が大きい。この大ネジによってトルクが生じることになるが、バスバーはこのトルクに耐えることができる。
【0036】
コンデンサ142a性能を確保するために、ある程度の大きさが必要であり、また、複数のコンデンサを用いることがある。また、両側に端子があるコンデンサが多い。そのようなコンデンサを用いて出力端子122及び筐体101に接続した場合、筐体との接続位置が出力端子から遠い位置となりやすく、出力端子、コンデンサ、筐体及び配線がつくるループの面積が大きくなってしまう。そして、フィルタ回路の寄生インダクタンスが増大し、また、フィルタ回路に電力変換回路から放射され空間伝播するノイズや筐体を流れる渦電流に起因して発生する電磁ノイズが重畳し、電磁誘導作用によりフィルタ性能を低下させる恐れがある。
【0037】
本実施例では、GNDバスバー142cと筐体101との接続位置を、コンデンサ142aや基板142dよりも出力端子122に近い位置とすることにより、ループが小さくなり、寄生インダクタンスや電磁誘導作用を低減して、フィルタ機能を確保することができる。ここで出力端子122に近い位置とは、立体的に見て、出力端子122のいずれかの部分までの最短距離が小さいことをいう。
【0038】
また、フィルタ出力バスバー142bとGNDバスバー142cは互いに対向するように配置されることにより、フィルタ回路に流れるノイズ電流は対向して流れるため、フィルタ出力バスバーとGNDバスバーとの間でUターン電流が形成される。したがって、フィルタ出力バスバー周りに発生する磁束とGNDバスバーの周りに発生する磁束が打ち消し合うため、寄生インダクタンスの低減を図ることができる。
【0039】
なお、図9に示すように、フィルタ出力バスバー142bとGNDバスバー142cはフィルタ基板142dとの接続位置は同じ側で接続されている。これにより、基板と接続するまでバスバー同士は対向して実装されることになる。このため、ノイズの重畳及びインダクタンスの増加を防ぐことができる。
【0040】
また、フィルタ基板142dは2層で構成され、基板の内層配線も、コンデンサ142aよりフィルタ出力バスバー142bと接続される出力側とGNDバスバー142cと接続されるGND側についても対向するようにして実装される。これにより、フィルタ基板142dの基板パターンの寄生インダクタンスについても増加を防ぐことができる。
【0041】
なお、フィルタ基板142dは2層ではなく、さらに多層の基板を用いてもよい。多層基板を用いることにより、層間の距離が短くなり、出力側とGND側の結合を強くすることができるため、さらに寄生インダクタンスの増加を防ぐことができる。
【0042】
出力フィルタの基板142dは、その面方向が出力端子122の長手方向に沿うように配置されている。基板142dを昇圧回路部132などの基板と異なる方向を向かせて配置した方が、省スペースであるからである。特に、本実施例のように、出力端子122に沿うように、昇圧回路部132などの基板と垂直に配置するとよい。
【0043】
筐体101が、内側に突出する突出部104を有する場合には、GNDバスバー142cは、突出部104の上面に接続するとよい。突出部104は出力端子122か通る貫通孔103を有しているため、出力端子122に近い位置に接続することができるとともに、図9のように基板142dを縦置きするのに適している。
【0044】
また、図9に示すように、ベース板137には、出力フィルタ142と昇圧回路部32との間に形成されるシールド壁102以外に、出力フィルタ142と出力端子122および出力バスバー121との分離を目的にシールド壁137aが形成される。これにより、出力フィルタ142は別筐体を用意することなく、降圧回路部131や昇圧回路部132と別部屋に近い構造にできるため、フィルタ基板142dへのノイズの重畳を低減することができ、十分にノイズ低減された電圧をDCDCコンバータ装置から出力することができる。
【0045】
(他の実施例)
本発明のDCDCコンバータ装置は、様々な実施形態に変形可能である。例えば、図10に示す通り,フィルタ基板142dは、筐体のスペースに応じて筐体底面に対して平行に実装しても良い。この場合も、GNDバスバー142dと筐体101との接続部は、出力端子122にコンデンサ142aよりも近くなり、ループも小さくなる。
【0046】
また、フィルタ基板142dと出力端子122との接続は、フィルタ出力バスバー142bとGNDバスバー142cを介さず、直接接続しても良い。フィルタ出力バスバーとGNDバスバー分のインダクタンスを低減でき、フィルタ基板142dを実装することができる。
【0047】
なお、基板上にセラミックコンデンサを実装するのではなく、バスバーと一体化されたフィルタコンデンサを使用しても良い。フィルタ出力バスバーとGNDバスバーを対向させ、フィルタコンデンサと一体化して実装することにより,ノイズの重畳を防ぎ,インダクタンスの増加も防ぐことができ、セラミックコンデンサを使用した時と同様の効果を得ることができる。
【0048】
また、DCDCコンバータ装置の出力が小さく、フィルタ基板142dが出力の大ネジのトルクに耐えられる場合、出力端子とコンデンサ基板142を一体化できるため、フィルタ出力バスバー142bおよびGNDバスバー142cを省いて実装しても良い。
バスバーを省くことにより、寄生インダクタンスをさらに低減することができる。
【0049】
なお、以上の説明は一例であり、発明を解釈する際、上記実施の形態の記載事項と特許請求の範囲の記載事項の対応関係に何ら限定も拘束もされない。例えば、上述した実施の形態では、DCDCコンバータのLV側を用いて説明したが、HV側に適用してもよい。また、PHEVあるいはEV等の車両に搭載される電力変換装置を例に説明したが、本発明はこれらに限らず建設機械等や鉄道の車両に用いられる電力変換装置にも適用することができ、また、電力変換装置以外の電子装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0050】
100:DCDCコンバータ装置、101:筐体、102:シールド壁、103:貫通孔、104:突出部、105:GNDボス、105a:GNDボス設置孔、111:トップカバー、121:出力バスバー、122:出力端子、123:バスバー、124:GNDバスバー、130:制御回路基板、131:降圧回路部、132:昇圧回路部、133:主トランス、134:電圧変換用インダクタ素子、135:パワー半導体モジュール、136:H1〜H4:スイッチング素子、137:ベース板、137a:シールド壁、141:フェライトコア、142:出力フィルタ、142a:セラミックコンデンサ、142b:フィルタ出力バスバー、142c:GNDバスバー、142d:出力フィルタ基板、143:絶縁体、144:大ネジ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体内に設けられた回路基板と、
前記筐体に設けられた貫通孔を貫通し、前記回路基板の出力を外部に出力するまたは外部から前記回路基板に入力するための外部端子と、
を備えた電子装置において、
フィルタコンデンサを有するフィルタ手段と、
前記外部端子と前記フィルタ手段とを接続する第1の配線と、
前記フィルタ手段よりも前記外部端子に近い位置で前記筐体に接続され、前記筐体と前記フィルタ手段とを接続する第2の配線と、
を備えたことを特徴とする電子装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電子装置おいて、
前記第1の配線と前記第2の配線とは、少なくとも一部が対向して配置されることを特徴とする電子装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電子装置において、
前記フィルタ手段は、配線を有する基板と、当該基板に搭載され、前記配線に電気的に接続されるフィルタコンデンサを有し、
前記第1の配線及び前記第2の配線は、前記基板の面方向において前記フィルタコンデンサに対し同じ側で前記基板の配線に接続されていることを特徴とする。
【請求項4】
請求項3に記載の電子装置において、
前記第1の配線及び前記第2の配線の一部が前記基板の配線と対向するように配線されていることを特徴とする電子装置。
【請求項5】
請求項3または4に記載の電子装置において、
前記基板の配線は、前記フィルタコンデンサと前記第1の配線とを接続する配線と、前記フィルタコンデンサと前記第2の配線とを接続する配線とが、対向するように設けられていることを特徴とする電子装置。
【請求項6】
請求項3乃至5のいずれかに記載の電子装置において、
前記回路基板と、前記フィルタ手段の基板とは、その面が異なる方向を向いていることを特徴とする電子装置。
【請求項7】
筐体と、
前記筐体内に設けられた回路基板と、
前記筐体に設けられた貫通孔を貫通し、前記回路基板の出力を外部に出力するまたは外部から前記回路基板に入力するための外部端子と、
を備えた電子装置において、
コンデンサを含むフィルタ手段と、
前記外部端子と前記フィルタ手段とを接続する第1の配線と、
前記筐体と前記フィルタ手段とを接続する第2の配線と、
を有し、
前記貫通孔の周囲の筐体は、前記筐体の前記回路基板が設置された面より前記筐体内部側に向かって突出する突出部を形成し、前記第2の配線は当該突出部に接続されていることを特徴とする電子装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載の電子装置において、
前記第1の配線は、フィルタ出力バスバーであり、前記第2の配線は、GNDバスバーであることを特徴とする電子装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載の電子装置において、
前記フィルタ手段と前記回路基板との間にシールド手段を設けたことを特徴とする電子装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれかに記載の電子装置において、
前記外部端子は、前記回路基板を筐体に固定するネジよりも大きい径を有するネジによって前記筐体に固定されており、前記第1の配線及び前記第2の配線はバスバーであることを特徴とする電子装置。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれかにおいて、
前記回路基板は、電力を変換する電力変換回路を有してることを特徴とする電子装置。
【請求項12】
筐体と、
回路基板と、
前記筐体に設けられた貫通孔を貫通し、前記回路基板の出力を外部に出力するまたは外部から前記回路基板に入力するための外部端子と、
フィルタコンデンサを有し、前記外部端子とGNDとに接続されたフィルタ手段と、
を備えた電子装置において、
前記回路基板と前記フィルタ手段とは、前記筐体内に設けられるとともに、
前記回路基板と、前記外部端子及び前記フィルタ手段との間に設けられ、電磁波をシールドするシールド手段と、
前記シールド手段を迂回して、前記回路基板と、前記外部端子及び前記フィルタ手段とを電気的に接続する配線と、
を備えたことを特徴とする電子装置。
【請求項13】
請求項12に記載の電子装置において、
前記回路基板は、電力を変換する電力変換基板であることを特徴とする電子装置。
【請求項14】
請求項13に記載の電子装置において、
前記電力変換基板は、スイッチング素子とダイオードとを有することを特徴とする電子装置。
【請求項15】
請求項12乃至14のいずれかに記載の電子装置において、
前記配線上に、フェライトコアを有し、
前記フェライトコアと前記回路基板との間に、前記シールド手段が設けられていることを特徴とする電子装置。
【請求項16】
請求項15に記載の電子装置において、
前記回路基板上に、GNDに接続された平滑化コンデンサを有し、
前記平滑化コンデンサ、前記フェライトコア及び前記フィルタ手段とによりπ型のLCフィルタを構成することを特徴とする電子装置。
【請求項17】
請求項12乃至16のいずれかに記載の電子装置において、
前記シールド手段は、前記筐体と一体に形成されたシールド壁であることを特徴とする電子装置。
【請求項18】
請求項12乃至17のいずれかに記載の電子装置において、
ベース基板を有し、
前記回路基板及び前記外部端子は、前記筐体と前記ベース板との間に設けられ、
前記シールド手段は、前記ベース板と一体に形成されたシールド壁であることを特徴とする電子装置。
【請求項19】
請求項12乃至18のいずれかに記載の電子装置において、
前記外部端子と前記フィルタ手段との間に、シールド手段を備えたことを特徴とする電子装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2013−99057(P2013−99057A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−238187(P2011−238187)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(509186579)日立オートモティブシステムズ株式会社 (2,205)
【Fターム(参考)】