説明

電子走査型レーダ装置及びコンピュータプログラム

【課題】上方構造物の検知を判別する電子走査型レーダ装置を提供する。
【解決手段】送信波を送信する送信アンテナ3と、送信波が対象物に反射した受信波を受信する受信アンテナ11から1nと、受信波の強度を算出する受信強度算出部22と、受信波に基づいて前記対象物までの距離を検出する距離検出部24と、距離が狭まるに連れて前記受信波の強度が減少する場合、前記対象物を上方構造物と判定する上方構造物判別処理部28とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検知した対象物が上方構造物か否か判別する電子走査型レーダ装置およびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ミリ波レーダ(以後、レーダ)は、通常、自動車の車体前方に搭載され、車間警報、車速制御などに用いられている。車載レーダとしては、FMCW(Frequency Modulated Continuous Wave)レーダ、多周波CW(Continuous Wave)レーダ、及びパルスレーダ等の方式を利用した電子走査型のレーダが用いられている。レーダを搭載した自車の前方に障害物が存在する場合、レーダは自車と障害物との相対的な距離、方位、速度などの情報を有した物標データを車間警報、車速制御システムに出力する。車間警報、車速制御システムは、その物標の位置情報に応じて、自車と障害物との距離を維持させたり、衝突が予想される場合には警報を発したり、自車を減速させたりといった自車の制御を行う。
【0003】
また、自車の前方に障害物が存在しない場合、レーダは何も検知しないため、レーダは物標データを出力しない。その場合、車間警報、車速制御システムは自車をあらかじめ設定された一定の車速で走行させるよう制御を行う。一方、図7に示すように車71の前方に障害物74は存在しないが、上方に構造物(例えば、看板、陸橋および橋脚など)73が存在する場合には、上方構造物73は、自車の進行を妨げるものではない為、車間警報、車速制御システムは自車をあらかじめ設定された一定の車速で走行させるよう制御を行うべきである。しかし、高さ方向の分解能がない車載レーダ72は、アンテナ特性と上方構造物の反射強度によっては、あたかも前方に障害物があるかのように物標データを出力してしまう場合がある。そうすると、車間警報、車速制御システムは、前方に障害物が存在しないにも関わらず、警報を発したり、減速制御を掛けたりといった問題があった。
【0004】
次に、従来のレーダによる上方構造物の誤検知のメカニズムについて説明する。図8(a)にレーダの受信アンテナの仰角方向(EL方向)の感度のパターンの例を示す。EL角度0degを中心とした最も信号レベルが高いピークを持つ山をメインローブと呼び、それ以降の山を角度が大きくなる毎に、第1サイドローブ、第2サイドローブ、第3サイドローブ、第4サイドローブと呼ぶ。ここで、受信波の強度とは、受信信号の強度を意味し、受信波の強度の山のパターンは、受信アンテナが受信する信号の波長および受信アンテナの指向性によって決まるものである。第1サイドローブの受信波の強度は、メインローブの受信波の強度よりも矢印81で示す分だけ低くなっており、以下第2サイドローブ、第3サイドローブ、第4サイドローブについても、メインローブの受信波の強度よりも低くなっている。
【0005】
図8(b)は、車82に搭載されたレーダ83と上方構造物84との距離および車載レーダ83から見た上方構造物84の仰角度をθと表している。
図8(c)の実線85は反射係数の大きな上方構造物の車載レーダにおける受信波の強度、点線86は反射係数の小さな上方構造物の車載レーダにおける受信波の強度、実線87は閾値を表している。
レーダと上方構造物の高低差は一定のため、自車つまりはレーダが上方構造物に接近するに従って(つまり距離が狭まるに従って)、仰角度θは大きくなり、レーダの受信信号レベルは図8(a)に示すビームパターンに従って低くなる。具体的には、図8(c)に示すように、上方構造物が近づき仰角度が大きくなるに従い、反射信号を検出するローブがメインローブから順に、第1サイドローブ、第2サイドローブ、第3サイドローブ、第4サイドローブへとずれてゆく。
【0006】
図8(c)の点線86で示すように上方構造物の反射係数が小さければ、上方構造物が近距離になり仰角度が大きくなると、サイドローブで反射した信号を検出するので、受信波の強度が閾値87よりも小さくなり、その反射信号を検出できなくなって、誤動作しなくなるから問題がなかった。しかし、図8(c)の実線85で示すように上方構造物の反射係数が大きければ、上方構造物が近距離になり仰角度が大きくなっても、受信波の強度が閾値87よりも大きいので、サイドローブの受信波の強度でも、反射信号を検出できてしまうという問題があった。
【0007】
その問題に対し、上方構造物に対する検知を抑制する目的で、これまでアンテナによる検知抑制方法が採られてきた。その1つとして、仰角方向(EL方向)のサイドローブを低減する方法が提案されている。前述の通り、上方構造物の検知は遠方ではメインローブによるものであるが、距離が近づくに連れてサイドローブによる検知へと移行する。よって、サイドローブの受信波の強度が低減できれば、近場での検知を抑制することが可能である。アンテナのサイドローブの受信波の強度の低減には、複数設けたサブアレーの配置を調整する(特許文献1)など、様々の手法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3942087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、サイドローブの受信波の強度を完全に無くすことは出来ない為、サイドローブの受信波の強度低減分を超えるほど反射係数の大きい上方構造物が存在した場合、検知を抑制することは出来ない。特に、アンテナサイズに制約のある車載用レーダでは、アレー配置も制限される為、サイドローブの受信波の強度低減効果には限界があるという問題がある。
【0010】
また、高さ方向にレーダのアレーを増やすことが提案されている。従来のアンテナは高さ方向の分解能を有していない。そこで、横方向同様に高さ方向にも複数のアレーを設け、ディジタル・ビーム・フォーミング(DBF)等で到来波の角度を算出することが出来れば、上方構造物を受信アンテナが検知しても、前方に存在する障害物ではないことを認識できる。しかし、アンテナが高さ方向に大きくことなることや、アレー数増加に伴う回路の増加、信号処理の複雑化に伴うCPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)及びFPGA(Field Programmable Gate Array)などの演算器の処理負荷増大といった課題がある。以上のように、小型化、低コスト化が求められる車載用レーダにおいては、アンテナによる上方構造物の検知を完全に抑制するのは困難である。
【0011】
そこで本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、アンテナに改変を加えることなく、検知した対象物が上方構造物か否か判別する電子走査型レーダ装置及びコンピュータプログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記の課題を解決するために、以下[1]−[11]の態様を提供するものである。
[1]送信波を送信する送信アンテナと、前記送信波が対象物に反射した受信波を受信する受信アンテナと、前記受信波の強度を算出する受信強度算出部と、前記受信波に基づいて前記対象物までの距離を検出する距離検出部と、前記距離が狭まるに連れて前記受信波の強度が減少する場合、前記対象物を上方構造物と判定する上方構造物判別処理部と、を備えたことを特徴とする電子走査型レーダ装置。
本発明の第1の態様によれば、対象物から電子走査型レーダ装置までの距離が狭まるに連れて、受信波の強度が減少する場合、対象物を上方構造物と判定する電子走査型レーダ装置を提供できる。
【0013】
[2]前記上方構造物判別処理部は、前記距離と前記受信波の強度の複数の組に対して一次関数で近似し、前記一次関数の傾きを算出し、前記傾きが正である場合に前記対象物を上方構造物と判定すること特徴とする上記[1]に記載の電子走査型レーダ装置。
本発明の第2の態様によれば、対象物から電子走査型レーダ装置までの距離と受信波の強度の複数の組を線形近似し、その近似直線の傾きが正である場合に上方構造物と判定することができる。
【0014】
[3]前記上方構造物判別処理部は、前記距離と前記受信波の強度の複数の組に対して一次関数で近似し、前記一次関数の傾きを算出し、前記傾きが閾値より大きい場合に前記対象物を上方構造物と判定することを特徴とする上記[1]に記載の電子走査型レーダ装置。
本発明の第3の態様によれば、対象物から電子走査型レーダ装置までの距離と受信波の強度の複数の組を線形近似し、その近似直線の傾きが閾値より大きい場合に上方構造物と判定することができる。
【0015】
[4]前記上方構造物判別処理部は、前記距離と前記受信波の強度の複数の組に対して近似曲線で近似し、前記距離が狭まるに連れて前記近似曲線の値が減少する場合、ある場合に前記対象物を上方構造物と判定することを特徴とする上記[1]に記載の電子走査型レーダ装置。
本発明の第4の態様によれば、対象物から電子走査型レーダ装置までの距離と受信波の強度の複数の組を曲線で近似し、当該距離が狭まるに連れて近似曲線の値が減少する場合、対象物を上方構造物と判定することができる。
【0016】
[5]送信波を送信する送信アンテナと、前記送信波が対象物に反射した受信波を受信する受信アンテナと、前記受信波の強度を算出する受信強度算出部と、前記受信波に基づいて前記対象物までの距離を検出する距離検出部と、前記上方構造物判別処理部は、前記距離が狭まるに連れて前記受信波の強度が増加または一定の場合、前記対象物を前方構造物と判定することを特徴とする上記[1]に記載の電子走査型レーダ装置。
本発明の第5の態様によれば、対象物から電子走査型レーダ装置までの距離が狭まるに連れて、受信波の強度が増加または一定の場合、対象物を前方構造物と判定することができる。
【0017】
[6]前記上方構造物判別処理部は、前記距離と前記受信波の強度の複数の組に対して一次関数で近似し、前記一次関数の傾きを算出し、前記傾きが負またはゼロの場合に前記対象物を前方構造物と判定することを特徴とする上記[5]に記載の電子走査型レーダ装置。
本発明の第6の態様によれば、対象物から電子走査型レーダ装置までの距離と受信波の強度の複数の組を線形近似し、その近似直線の傾きが負またはゼロである場合に前方構造物と判定することができる。
【0018】
[7]前記上方構造物判別処理部は、前記距離と前記受信波の強度の複数の組に対して一次関数で近似し、前記一次関数の傾きを算出し、前記傾きが閾値以下の場合に前記対象物を前方構造物と判定することを特徴とする上記[5]に記載の電子走査型レーダ装置。
本発明の第7の態様によれば、対象物から電子走査型レーダ装置までの距離と受信波の強度の複数の組を線形近似し、その近似直線の傾きが閾値以下である場合に前方構造物と判定することができる。
【0019】
[8]前記上方構造物判別処理部は、前記距離と前記受信波の強度の複数の組に対して近似曲線で近似し、前記距離が狭まるに連れて前記近似曲線の値が増加または一定の場合、前記対象物を前方構造物と判定することを特徴とする上記[5]に記載の電子走査型レーダ装置。
本発明の第8の態様によれば、対象物から電子走査型レーダ装置までの距離と受信波の強度の複数の組を曲線で近似し、対象物と電子走査型レーダ装置との距離が狭まるに連れて近似曲線の値が増加または一定の場合、対象物を前方構造物と判定することができる。
【0020】
[9]前記上方構造物判別処理部は、前記距離が狭まるに連れて前記受信波の強度が増加または一定の場合、前記対象物を前方構造物と判定することを特徴とする上記[1]に記載の電子走査型レーダ装置。
本発明の第9の態様によれば、対象物から電子走査型レーダ装置までの距離が狭まるに連れて、受信波の強度が減少する場合、対象物を上方構造物と判定し、受信波の強度が増加または一定の場合、対象物を前方構造物と判定することができる。
【0021】
[10]前記受信波の強度から前記対象物の方位を検出する方位検出部と、前記距離と前記方位に基づいて前回のサイクルで検出した前記対象物と今回のサイクルで検出した前記対象物を紐付けする物標引継ぎ処理部と、を備えたことを特徴とする上記[1]から[9]のいずれかに記載の電子走査型レーダ装置。
本発明の第10の態様によれば、対象物から電子走査型レーダ装置までの距離と対象物の方位から前回のサイクルで抽出した対象物と今回のサイクルで抽出した対象物を紐付けすることで複数の対象物を区別でき、対象物毎に、上方構造物であるか前方構造物であるか判定できる。
【0022】
[11]受信アンテナにより受信した受信波の強度を算出する第1のステップと、前記受信波に基づいて前記対象物までの距離を検出する第2のステップと、前記距離が狭まるに連れて前記受信波の強度が減少する場合、前記対象物を上方構造物と判定する第3のステップと、をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
本発明の第11の態様によれば、対象物から電子走査型レーダ装置までの距離が狭まるに連れて受信波の強度が減少する場合、対象物を上方構造物と判定するプログラムを提供できる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、アンテナに改変を加えることなく、検知した対象物が上方構造物か否か判別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施形態である電子走査型レーダ装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】送信波及び受信波により、三角波の上昇領域及び下降領域におけるビート信号の生成を説明する概念図である。
【図3】複数本のアンテナの配列している面に対して垂直方向の軸に対する反射波の到来角度を算出する方法を示した図である。
【図4】前方に存在する障害物の受信波の強度の距離特性と上方構造物の受信波の強度の距離特性を説明する図である。
【図5】物標抽出処理全体のフローチャートである。
【図6】上方構造物判別処理のフローチャートである。
【図7】車から見て水平前方には、障害物が存在しないが、上方に構造物が存在する場合に、車載レーダが水平前方に障害物があると誤検知してしまう例を説明する概念図である。
【図8】車載レーダが上方構造物を検知するという問題点を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態による電子走査型レーダ装置(FMCW方式ミリ波レーダ)について図面を参照して説明する。図1は同実施形態の構成例を示すブロック図である。
この図において、本実施形態による電子走査型レーダ装置は、受信アンテナ11〜1n、ミキサ21〜2n、送信アンテナ3、分配器4、フィルタ51〜5n、SW(スイッチ)6、ADC(A/Dコンバータ)7、制御部8、三角波生成部9、VCO(Voltage Controlled Oscillator)10、信号処理部20を有している。
上記信号処理部20は、メモリ21、受信強度算出部22、DBF検知部23、距離検出部24、速度検出部25、方位確定部26、物標引継ぎ処理部27、上方構造物判別処理部28及び物標出力処理部29を有している。
【0026】
次に、図1を参照して、本実施形態による電子走査型レーダ装置の動作を説明する。
受信アンテナ11〜1nは、送信波が対象物にて反射し、この対象物から到来する反射波、すなわち受信波を受信する。
ミキサ21〜2n各々は、送信アンテナ3から送信される送信波と、各受信アンテナ11〜1nそれぞれにおいて受信された受信波が増幅器により増幅された信号とを混合して、それぞれの周波数差に対応したビート信号を生成する。
上記送信アンテナ3は、三角波生成部9において生成された三角波信号を、VCO10において周波数変調した送信信号を対象物に対して送信波として送信する。
分配器4は、VCO10からの周波数変調された送信信号を、上記ミキサ21〜2nおよび送信アンテナ3に分配する。
【0027】
フィルタ51〜5n各々は、それぞれミキサ21〜2nにおいて生成された各受信アンテナ11〜1nに対応したCh1〜Chnのビート信号に対して帯域制限を行い、SW(スイッチ)6へ帯域制限されたビート信号を出力する。
SW6は、制御部8から入力されるサンプリング信号に対応して、フィルタ51〜5n各々を通過した各受信アンテナ11〜1nに対応したCh1〜Chnのビート信号を、順次切り替えて、ADC(A/Dコンバータ)7に出力する。
ADC7は、上記SW6から上記サンプリング信号に同期して入力される各受信アンテナ11〜1n各々に対応したCh1〜Chnのビート信号を、上記サンプリング信号に同期してA/D変換してデジタル信号に変換し、信号処理部20におけるメモリ21の波形記憶領域に順次記憶させる。
制御部8は、マイクロコンピュータなどにより構成されており、図示しないROMなどに格納された制御プログラムに基づき、図7に示す電子走査型レーダ装置全体の制御を行う。
信号処理部20内のメモリ21は、A/Dコンバータ7においてデジタル変換されたデジタル信号を各受信アンテナ11〜1nに対応したチャンネルごとに格納する。
【0028】
<距離、相対速度、水平角度(方位)を検出する原理>
次に、図2を用いて、本実施形態における信号処理部20において用いられる、電子走査型レーダ装置と対象物との距離、相対速度、角度(方位)を検出する原理について簡単に説明する。
図2は、図1の三角波生成部9において生成された信号をVCO10において、中心周波数f、変調幅Δfで周波数変調した送信信号と、その送信信号が対象物に反射されて受信信号として入力される状態を示す。図2の例は対象物が1つの場合を示している。
図2(a)に示すように、送信する信号に対し、対象物からの反射波である受信信号が、レーダと対象物との距離に応じて右方向(時間遅れ方向)に遅延されて受信される。さらに、ドップラー効果によって対象物との相対速度に応じて、送信信号に対して上下方向(周波数方向)に変動する。
【0029】
受信強度算出部22は、メモリ21に格納された各受信アンテナ11〜1nに対応したチャンネルごとのビート信号(図2(a)の下図)に対して、フーリエ変換を行う。ここで、フーリエ変換後の複素数データの振幅を信号レベルと呼ぶこととする。受信強度算出部22は、何れかのアンテナにおける複素数データまたは、全アンテナの複素数データの加算値を周波数スペクトル化することにより、スペクトルの各ピーク値に対応するビート周波数、すなわち距離に依存した対象物の存在として検出することができる。ここで、全アンテナの複素数データの加算により、ノイズ成分が平均化されてS/N比が向上する。
フーリエ変換の結果、図2(b)に示されるように、対象物が1つの場合、上昇領域及び下降領域にそれぞれに1つのピーク値を有することなる。ここで、図8(b)は横軸が周波数、縦軸が信号強度となっている。
【0030】
そして、受信強度算出部22は、図2(b)に示すビート周波数毎の信号レベルから、予め設定された数値(閾値)を超える信号レベルを検出することによって、対象物が存在していることを判定する。ここで、信号レベルのピーク値を受信波の強度と称す。
受信強度算出部22は、信号レベルのピークを検出した場合、ピーク値のビート周波数(ビート信号の上り部分及び下り部分の双方)を対象物周波数として距離検出部24、速度検出部25へ出力する。受信強度算出部22は、周波数変調幅Δfを距離検出部24へ出力し、中心周波数fを速度検出部25へ出力する。また、受信強度算出部22は、信号レベルの下り部分のピーク値を上方構造物判別処理部28へ出力する。
受信強度算出部22は、信号レベルのピークを検出できなかった場合、物標候補がないという情報を物標出力処理部29に出力する。
なお、ビート信号の上り部分のピーク値、またはビート信号の上り部分のピーク値とビート信号の下り部分のピーク値の平均を信号レベルとして使用してもよい。
【0031】
複数の対象物が存在する場合、フーリエ変換後には、ビート信号の上り部分とビート信号の下り部分のそれぞれに対象物の数と同じ数のピークが表れる。レーダと対象物の距離に比例して、受信信号が遅延し、図2(a)における受信信号は右方向にシフトするので、レーダと対象物との距離が離れるほど、ビート信号の周波数は、小さくなる。
複数の対象物に対応する信号レベルのピークが複数検出された場合には、上りの部分および下りの部分のピーク値ごとに、周波数が小さいものから順番に番号をつけて、上方構造物判別処理部28へ出力する。ここで、上りおよび下りの部分において、同じ番号のピークは、同じ対象物に対応しており、それぞれの識別番号を対象物の番号とする。
【0032】
次に、距離検出部24は、受信強度算出部22から入力される上昇部分の対象物周波数fと、下降部分の対象物周波数fとから、下記式により距離rを算出し、物標引継ぎ処理部27へ出力する。
r={C・T/(2・Δf)}・{(f+f)/2}
また、速度検出部25は、受信強度算出部22から入力される上昇部分の対象物周波数fと、下降部分の対象物周波数fとから、下記式により相対速度vを算出し、物標引継ぎ処理部27へ出力する。
v={C/(2・f)}・{(f−f)/2}
上記距離r及び相対速度vを算出する式において、Cは光速度、Tは変調時間(上昇部分/下降部分)、fは上昇部分における対象物周波数、fは下降部分における対象物周波数である。
【0033】
次に、本実施形態における受信アンテナ11〜1nは、図1に示すように、間隔dにより配置されたアレー状のアンテナである。上記受信アンテナ11〜1nには、アンテナの配列している面に対する垂直方向の軸との角度φ方向から入射される、対象物からの到来波(入射波、すなわち送信アンテナ3から送信した送信波に対する対象物からの反射波)が入力する。このとき、上記到来波は、上記受信アンテナ11〜1nにおいて同一角度φにて受信される。端ともう1端の受信アンテナ間にて発生する受信信号の位相差は、受信信号の周波数f、端ともう1端の受信アンテナ間の間隔dn−1および角度φから、位相差は、2πf・(dn−1・sinφ/C)で算出される。
【0034】
上記位相差を利用して、DBF(デジタルビームフォーミング)処理部23は、入力される各アンテナに対応した時間軸でフーリエ変換された複素データを、アンテナの配列方向にさらにフーリエ変換し、すなわち空間軸フーリエ変換を行う。そして、DBF処理部23は、角度分解能に対応した角度チャネル毎のスペクトルの強度を示す空間複素数データを算出し、ビート周波数毎に方位検出部26に出力する。
方位検出部26は、算出されたビート周波数毎の空間複素数データの値の大きさのうち、一番大きな値を取る角度φを対象物が存在する方位として物標引継ぎ処理部27に出力する。
【0035】
物標引継ぎ処理部27は、今回算出した対象物の距離、相対速度、方位の値と、メモリ21から読み出した1サイクル前に算出された対象物の距離、相対速度、方位の値とのそれぞれの差分の絶対値が、それぞれの値毎に決められた値よりも小さい場合、1サイクル前に検知した対象物と今回検知した対象物を同じものと判定する。その場合、物標引継ぎ処理部27は、メモリ21から読み出したその対象物の物標引継ぎ処理回数を1増やす。そうでない場合には、物標引継ぎ処理部27は、新しい対象物を検知したとみなす。また、物標引継ぎ処理部27は今回の対象物の距離、相対速度、方位およびその対象物の物標引継ぎ処理回数をメモリ21に保存する。また、物標引継ぎ処理部27は、上方構造物判別処理部28へ対象物の識別番号を出力する。
【0036】
<上方構造物の判別アルゴリズム>
次に、上方構造物判別処理部28における、上方構造物の判別アルゴリズムを、図4を用いて説明する。図4(a)の曲線は、車載レーダと前方に存在する障害物の高さがほぼ同等と想定した時における、レーダと前方に存在する障害物の間の距離と信号レベルのピーク値の特性を示し、図4(a)の直線はその曲線の一次近似直線を表している。車載レーダと障害物の高さがほぼ同等のため、障害物からの反射波を、受信アンテナ1nは、常にELビームパターンのメインローブで検知していることになる。反射波が複数回反射して受信アンテナで検知すること(マルチパス)によって、受信波の強度が落ち込むところがあるが、図4(a)の曲線は全体的な傾向としては、送信して対象物に反射して戻ってくる信号の距離減衰によって、遠方では受信波の強度が低く、近距離では受信波の強度が高くなる傾向にある。
【0037】
一方、図4(b)に、上方構造物の距離と受信波の強度の特性曲線とその曲線の一次近似直線を示す。車載レーダの高さに比べて、上部構造物が高い場所に存在するため、車載レーダと前方に存在する障害物の間の距離が離れている場合には、受信アンテナ1nは、ELビームパターンのメインローブで検知する。一方、車が前方に移動し、車載レーダと前方に存在する障害物の間の距離が狭まるに連れて、仰角度θが大きくなるため、図8(a)に示す受信アンテナ1nのELビームパターンに沿って、受信アンテナ1nの受信波の強度が減少する傾向にある。そのため、図4(b)の曲線全体で見ると、車載レーダと前方に存在する障害物の間の距離が離れている場合には受信波の強度が高く、その距離が狭い場合には受信波の強度が低くなる傾向がある。
【0038】
上方構造物判別処理部28は、図4(a)に示すように、車載レーダと対象物間の距離と受信波の強度のデータを一次近似した際の一次近似直線の傾きが負またはゼロであれば、自車がこれから走行する経路上にある障害物(前方構造物)と判別する。一方、図4(b)に示すように、車載レーダと対象物間の距離と受信波の強度のデータを一次近似した際の一次近似直線の傾きが正であれば、上方構造物判別処理部28は、対象物を上方構造物と判別する。
【0039】
上記の傾きを計算するために、上方構造物判別処理部28は、最小二乗法で直線近似する際に使用する中間データを計算する。具体的には、n個のデータ(x1,y1),(x2,y2),...,(xn,yn)が得られた時の、近似直線をy=ax+bとすると、傾きaと切片bは以下の式で求められる。
【0040】
【数1】

【0041】
【数2】

【0042】
ここで、x1,x2,...,xnは、距離検出部24から入力された各サンプル時点での車載レーダから対象物までの距離を示し、y1,y2,...,ynは、受信強度算出部22から入力された各サンプル時点での下りのビート信号をフーリエ変換した信号のピーク値を示している。次に、中間データA、B、C及びDを以下の式で定義する。
【0043】
【数3】

【0044】
【数4】

【0045】
【数5】

【0046】
【数6】

【0047】
そうすると、[数1]はA、B、C及びDを用いて、以下の式で表される。
【0048】
【数7】

【0049】
同様にして、[数2]はA、B、C及びDを用いて、以下の式で表される。
【0050】
【数8】

【0051】
[数7]から、傾きaは、未知数A、B、C及びDと既知数nによって算出されるので、
未知数A、B、C及びDを計算すればよいことになる。未知数A、B、C及びDを計算するには、[数3]から[数6]までのそれぞれの右辺で示されているように、それぞれの右辺第一項のシグマの中身を1からn−1まで総和したもの(前回までにサンプリングした車載レーダと対象物の距離と受信波の強度から算出された値を総和したもの)とn番目の値(今回サンプリングした値)を足すことにより計算することができる。
【0052】
上記の上方構造物の判別アルゴリズムを参照しつつ、上方構造物判別処理部28の具体的な処理について説明する。上方構造物判別処理部28は、対象物の検知開始から1サンプル前までのA、B、C及びDを中間データとしてメモリ21から読み出す。上方構造物判別処理部28は、距離検出部24から入力された対象物と車載レーダ間の距離xでサイクル毎に新たにサンプルした値と受信強度算出部22から入力された信号のピーク値yから、x、y、x、xを算出し、それぞれの算出した値を、それぞれメモリ21から読み出したA、B、C及びDに加えることにより、現在のA、B、C及びDを算出する。その後、上方構造物判別処理部28は、算出された現在のA、B、C及びDを用いて、[数1]の傾きaを計算する。
【0053】
傾きaが正の数の場合、上方構造物判別処理部28は、対象物を上方構造物と判定する。傾きaが負またはゼロの場合、上方構造物判別処理部28は、対象物を前方構造物と判定する。上方構造物判別処理部28は、対象物が上方構造物であるか前方構造物であるかの情報を物標出力処理部29に出力する。また、上方構造物判別処理部28は、現在のA、B、C及びDを新たな中間データとして、メモリ21内に保存されているそれぞれの値を更新する。
【0054】
物標出力処理部29は、対象物が前方構造物である場合に、その対象物の識別番号を物標として出力する。物標出力処理部29は、複数の対象物の判定結果を受け取り、そのどちらもが前方構造物である場合、自車の車線上にある対象物の識別番号を物標として出力する。また、物標出力処理部29は、複数の対象物の判定結果を受け取り、そのどちらもが前方構造物である場合であって、2つ以上の対象物が自車の車線上にある場合、メモリ21から読み出した物標引継ぎ処理回数が多い対象物の識別番号を物標として出力する。
なお、物標出力処理部29は、対象物が上方構造物である場合、または受信強度算出部22から物標候補がないという情報が入力された場合には、物標なしとしてゼロを出力する。
【0055】
次に、物標抽出処理について、図5のフローチャートを参照して説明する。信号処理部20は、AD変換された各受信アンテナ11〜1nに対応したチャンネルごとのビート信号をメモリ21に格納する(ステップS501)。
次に、受信強度算出部22は、各受信アンテナ11〜1nに対応したチャンネルごとのビート信号をフーリエ変換し、信号レベルを算出する(ステップS502)。
受信強度算出部22は、アンテナ毎に時間方向にフーリエ変換した値をDBF処理部23へ出力する。
また、受信強度算出部22は、周波数変調幅Δf、上昇部分の対象物周波数および下降部分の対象物周波数を距離検出部24へ出力する。
また、受信強度算出部22は、中心周波数f、上昇部分の対象物周波数および下降部分の対象物周波数を速度検出部25へ出力する。
また、受信強度算出部22は、信号レベルの下り部分のピーク値を上方構造物判別処理部28へ出力する。
また、受信強度算出部22は、受信波の強度を検出できなかった場合、物標候補がないことを物標出力処理部29に出力する。
【0056】
次に、DBF処理部23は、受信強度算出部22から入力されたアンテナ毎に時間方向にフーリエ変換した値を、アンテナの配列方向にさらにフーリエ変換を行い、角度分解能に対応した角度チャネル毎の空間複素数を計算し、ビート周波数毎に方位検出部26へ出力する(ステップS503)。
【0057】
次に、距離検出部24は、受信強度算出部22から入力される周波数変調幅Δf、上昇部分の対象物周波数および下降部分の対象物周波数から、距離を算出する(ステップS504)。また、速度検出部25は、受信強度算出部22から入力される中心周波数、上昇部分の対象物周波数および下降部分の対象物周波数から、相対速度を算出する(ステップS504)。
【0058】
方位検出部26は、算出されたビート周波数毎の空間複素数のうち、一番振幅が大きな値を取る角度を、対象物が存在する方位として物標引継ぎ処理部27に出力する(ステップS505)。
【0059】
次に、物標引継ぎ処理部27は、今回算出した対象物の距離、相対速度、方位の値と、メモリ21から読み出した1サイクル前に算出された対象物の距離、相対速度、方位の値とのそれぞれの差分の絶対値が、それぞれの値毎に決められた値よりも小さい場合、1サイクル前に検知した対象物と今回検知した対象物を同じものと判定し、メモリ内の対象物の距離、相対速度、方位の値を更新し、上方構造物判別処理部28へ対象物の識別番号を出力する(ステップS506)。
【0060】
次に、上方構造物判別処理部28は、物標引継ぎ処理部27から入力された対象物が上方構造物かどうか判定し、対象物が上方構造物であるか前方構造物であるかの情報を物標出力処理部29へ出力する(ステップS507)。
【0061】
次に、物標出力処理部29は、対象物が前方構造物である場合に、その対象物の識別番号を物標として出力する(ステップS508)。物標出力処理部29は、複数の対象物の判定結果を受け取り、そのどちらもが前方構造物である場合、自車の車線上にある対象物の識別番号を物標として出力する。また、物標出力処理部29は、複数の対象物の判定結果を受け取り、そのどちらもが前方構造物の場合であって、2つ以上の対象物が自車の車線上にある場合、メモリ21から読み出した物標引継ぎ処理回数が多い対象物の識別番号を物標として出力する。
【0062】
次に、上方構造物判別処理の詳細について、図6のフローチャートを参照して説明する。まず、上方構造物判別処理部28は、距離検出部24から入力された対象物と車載レーダ間の距離xの現在の値と受信強度算出部22から入力された受信波の強度yから、x、y、xyおよびxを算出し、それぞれの値をメモリ21から読み出したそれぞれの前サイクルまでの総和であるA、B、C及びDへ加算する(ステップS601)。 次に、上方構造物判別処理部28は、更新した中間データA、B、C及びDから[数7]を用いて、現在までに測定された距離xと受信波の強度の組を、最小二乗法で一次近似した時の近似式の傾きを計算する(ステップS602)。
【0063】
次に、傾きが正(プラス)の場合(ステップS603 YES)、上方構造物判別処理部28は、その対象物を上方構造物と判定し、対象物が上方構造物であるという情報を物標出力処理部29へ出力する(ステップS604)。傾きが負またはゼロの場合(ステップS603 NO)、上方構造物判別処理部28は対象物が前方構造物であるとみなし、対象物が前方構造物であるという情報を物標出力処理部29へ出力する(ステップS605)。次に、上方構造物判別処理部28は、更新した中間データA、B、C及びDをメモリ21に保存する(ステップS606)。
【0064】
なお、ステップS602における近似式は、線形近似だけでなく、2次方程式などの多項式近似、対数近似、指数近似等の近似曲線でもよく、受信波の強度yが対象物と車載レーダ間の距離xが狭まるにつれて、増加するか減少するか分かればよい。この場合、受信波の強度yが対象物と車載レーダ間の距離xが狭まるに連れて減少すれば、上方構造物判別処理部28は対象物を上方構造物と判定する。反対に、受信波の強度yが対象物と車載レーダ間の距離xが狭まるに連れて増加するかまたは一定の場合、上方構造物判別処理部28は対象物を前方構造物と判定する。
また、ステップS603における上方構造物と判定する条件は、近似直線の傾きが所定の閾値よりも大きな値という条件でもよい。一方、近似直線の傾きが所定の閾値以下の場合に、上方構造物判別処理部28は対象物を前方構造物と判定してもよい。
【0065】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0066】
11、1n 受信アンテナ
21、2n ミキサ
3 送信アンテナ
4 分配器
51、5n フィルタ
6 SW
7 ADC
8 制御部
9 三角波生成部
10 VOC
20 信号処理部
21 メモリ
22 受信強度算出部
23 DBF処理部
24 距離検出部
25 速度検出部
26 方位検出部
27 物標引継ぎ処理部
28 上方構造物判別処理部
29 物標出力処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信波を送信する送信アンテナと、
前記送信波が対象物に反射した受信波を受信する受信アンテナと、
前記受信波の強度を算出する受信強度算出部と、
前記受信波に基づいて前記対象物までの距離を検出する距離検出部と、
前記距離が狭まるに連れて前記受信波の強度が減少する場合、前記対象物を上方構造物と判定する上方構造物判別処理部と、
を備えたことを特徴とする電子走査型レーダ装置。
【請求項2】
前記上方構造物判別処理部は、前記距離と前記受信波の強度の複数の組に対して一次関数で近似し、前記一次関数の傾きを算出し、前記傾きが正である場合に前記対象物を上方構造物と判定することを特徴とする請求項1に記載の電子走査型レーダ装置。
【請求項3】
前記上方構造物判別処理部は、前記距離と前記受信波の強度の複数の組に対して一次関数で近似し、前記一次関数の傾きを算出し、前記傾きが閾値より大きい場合に前記対象物を上方構造物と判定することを特徴とする請求項1に記載の電子走査型レーダ装置。
【請求項4】
前記上方構造物判別処理部は、前記距離と前記受信波の強度の複数の組に対して近似曲線で近似し、前記距離が狭まるに連れて前記近似曲線の値が減少する場合、ある場合に前記対象物を上方構造物と判定することを特徴とする請求項1に記載の電子走査型レーダ装置。
【請求項5】
送信波を送信する送信アンテナと、
前記送信波が対象物に反射した受信波を受信する受信アンテナと、
前記受信波の強度を算出する受信強度算出部と、
前記受信波に基づいて前記対象物までの距離を検出する距離検出部と、
前記上方構造物判別処理部は、前記距離が狭まるに連れて前記受信波の強度が増加または一定の場合、前記対象物を前方構造物と判定することを特徴とする電子走査型レーダ装置。
【請求項6】
前記上方構造物判別処理部は、前記距離と前記受信波の強度の複数の組に対して一次関数で近似し、前記一次関数の傾きを算出し、前記傾きが負またはゼロの場合に前記対象物を前方構造物と判定することを特徴とする請求項5に記載の電子走査型レーダ装置。
【請求項7】
前記上方構造物判別処理部は、前記距離と前記受信波の強度の複数の組に対して一次関数で近似し、前記一次関数の傾きを算出し、前記傾きが閾値以下の場合に前記対象物を前方構造物と判定することを特徴とする請求項5に記載の電子走査型レーダ装置。
【請求項8】
前記上方構造物判別処理部は、前記距離と前記受信波の強度の複数の組に対して近似曲線で近似し、前記距離が狭まるに連れて前記近似曲線の値が増加または一定の場合、前記対象物を前方構造物と判定することを特徴とする請求項5に記載の電子走査型レーダ装置。
【請求項9】
前記上方構造物判別処理部は、前記距離が狭まるに連れて前記受信波の強度が増加または一定の場合、前記対象物を前方構造物と判定することを特徴とする請求項1に記載の電子走査型レーダ装置。
【請求項10】
前記受信波の強度から前記対象物の方位を検出する方位検出部と、
前記距離と前記方位に基づいて前回のサイクルで検出した前記対象物と今回のサイクルで検出した前記対象物を紐付けする物標引継ぎ処理部と、
を備えたことを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の電子走査型レーダ装置。
【請求項11】
受信アンテナにより受信した受信波の強度を算出する第1のステップと、
前記受信波に基づいて前記対象物までの距離を検出する第2のステップと、
前記距離が狭まるに連れて前記受信波の強度が減少する場合、前記対象物を上方構造物と判定する第3のステップと、
をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2011−117896(P2011−117896A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−277489(P2009−277489)
【出願日】平成21年12月7日(2009.12.7)
【出願人】(300052246)株式会社ホンダエレシス (105)
【Fターム(参考)】