説明

電子部品および電子部品の製造方法

【課題】Auの割合が多い金属間化合物の抑制を図ること。
【解決手段】電子部品100は、金属端子の最表面に金メッキが施された電気端子103と、アルミニウムワイヤ104とがワイヤボンディングにより電気的に接続されている。金メッキは、無電解Auメッキを施すことにより形成されている。この金メッキとアルミニウムワイヤ104との接合により生成される金属間化合物はAuAlあるいはAuAlとAuAl2である。また、無電解金メッキは、純度99.99%以上の金メッキである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子部品および電子部品の製造方法に関し、特に、電気端子と半導体素子との電気的接続にワイヤボンディングが施されている電子部品および電子部品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パワーデバイスなどの分野において、電子部品などに使用される半導体チップと銅合金製リード端子を接続する方法として、アルミニウムワイヤボンディングが知られている。図6−1は、従来の電子部品の一例を示す説明図である。図6−1において、電子部品600は、パッケージ601の内部に半導体チップ602が収容されている。
【0003】
半導体チップ602は、リード端子である電気端子603とアルミニウム合金(Al−1%Si)ワイヤ(以下、Alワイヤと記す)604により電気的に接続されている。また、パッケージ601の内部は、半導体チップ602などの電子部品600を保護するため、ポッティングゲル605などの保護樹脂が満たされている。電気端子603とAlワイヤ604は、接合部606においてAlワイヤボンディングにより接合されている。
【0004】
つぎに、電気端子603および接合部606の構成について説明する。図6−2は、図6−1に示した接合部の構成について示す説明図である。図6−2において、電気端子603は、りん青銅あるいは銅などにより構成されている金属端子610の表面に無電解ニッケル(Ni)メッキ611と電解金(Au)メッキ(硬質メッキあるいはAuCoメッキ)612が施されている。
【0005】
この電気端子603は、半導体チップ602の図示しないAlパッドとの間を、Alワイヤ604を用いてAlワイヤボンディングにより電気的に接続されている。図6−1に示した電子部品600は、Alワイヤボンディングを施した後に、ポッティングゲル605を満たし140℃で2時間の熱処理または電子部品600の図示しない外装部品との接着などの高温下での処理工程を経て製造されている。
【0006】
上述した従来技術における電子部品600では、ポッティングゲル605充填後の熱処理後に接合部606において、電解Auメッキ612がAl内部に拡散し、Au−Alによる金属間化合物が生成される。その後、さらに熱履歴が累積されることにより、Auの割合を多く含むAu−Alによる金属間化合物が生成され、電気的接続部において、断線に至る場合がある。
【0007】
図7は、Au−Al間に生成される金属間化合物の種類を示す説明図である。図7に示すように、Au−Al間に生成される金属間化合物には、AuAl、AuAl2、Au2Al、Au5Al2、Au4Alの5種類があり、金属間化合物ごとに、格子定数、比抵抗、硬さ、熱膨張係数、成長する際の拡散係数が異なっている。
【0008】
つぎに、金属間化合物が生成するメカニズムについて説明する。図8−1〜図8−5は、金属間化合物が生成するメカニズムを示す説明図である。図8−1に示すように、電解金メッキ612が施された電気端子603の表面にAlワイヤ604を用いて超音波によるAlワイヤボンディングを施すと、電解Auメッキ612とAlワイヤ604との間にわずかな金属間化合物AuAl801が生成される。
【0009】
AuAl801が生成された後に熱履歴を加えると、図8−2に示すように、金属間化合物AuAl2802が生成される。さらに、熱履歴を加えた場合には、図8−3に示すように、金属間化合物AuAl801やAuAl2802よりもややAuの成分が多い金属間化合物Au2Al803が生成され、続いて、図8−4に示すように、Au5Al2804が順次生成される。
【0010】
また、従来のワイヤボンディングの技術として、ワイヤボンディングによって結合される金属ワイヤと配線パターンとの接合部分において、その接触する面積を金属同士の接触面積とし、ワイヤボンディングにおける電気的接続を確実に行う技術が知られている(たとえば、下記特許文献1参照。)。
【0011】
また、絶縁基板上のアルミニウム配線パターンに半導体素子がバンプを介して良好に接続された高信頼性の半導体素子の実装構造を提供する技術が知られている(たとえば、下記特許文献2参照。)。
【0012】
【特許文献1】特開平5−166868号公報
【特許文献2】特許第3437687号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、上述した従来技術では、図8−4に示される金属間化合物Au5Al2804が生成された後に、さらに熱履歴が加わると、Au5Al2804がAu2Al803へ拡散(固層拡散)する速さが極端に速いため(図7参照)、図8−5に示すように、Au5Al2804の厚さが急激に厚くなってしまい、Au2Al803との間に大きな歪みが発生してしまう。その歪みが発生した部分からクラック805が生じ、電気的接続が断線してしまうという問題点があった。
【0014】
また、従来では、金属間化合物を抑制するために、金属間化合物が成長する際のAuの供給源となっているAuメッキの厚さを0.03〜0.06μm以下に抑制していた。これは、Au5Al2が生成される前に、金属間化合物が生成する部分に対するAuの供給源を低減し、Au5Al2の生成を抑制するためであるが、上記のような電解メッキにより金メッキを形成する場合、金メッキの厚さを上述した精度で製造することは困難であり、コストが高くなるという問題点があった。
【0015】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、ワイヤボンディング強度を劣化させる要因となる、Auの割合が多い金属間化合物(具体的には、Au5Al2やAu4Alなど)の生成を抑制することができる電子部品および電子部品の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1の発明にかかる電子部品は、金属端子の最表面に金メッキが施された電気端子と、アルミニウムワイヤまたはアルミニウム合金ワイヤとがワイヤボンディングにより電気的に接続されている電子部品において、前記金メッキは、無電解金メッキを施すことにより形成されており、前記金メッキと前記アルミニウムワイヤまたは前記アルミニウム合金ワイヤとの接合により、金とアルミニウムとにより生成される金属間化合物がAuAlあるいはAuAlとAuAl2とであることを特徴とする。
【0017】
また、請求項2の発明にかかる電子部品は、請求項1に記載の発明において、前記金メッキは、純度99.99%以上の金メッキであることを特徴とする。
【0018】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項3の発明にかかる電子部品の製造方法は、金属端子の表面にニッケルメッキを施すニッケルメッキ工程と、前記ニッケルメッキ工程によって前記ニッケルメッキが施された前記金属端子の表面に、無電解金メッキを施す無電解金メッキ工程と、アルミニウムワイヤまたはアルミニウム合金ワイヤを前記金属端子にワイヤボンディングする工程と、を含むことを特徴とする。
【0019】
また、請求項4の発明にかかる電子部品の製造方法は、請求項3に記載の発明において、前記無電解金メッキ工程は、前記ニッケルメッキ工程によって前記ニッケルメッキが施された前記金属端子の表面に置換型メッキを施す第1置換型メッキ工程と、前記第1置換型メッキ工程によって前記第1置換型メッキが施された前記金属端子の表面に、別の置換型メッキを施す第2置換型メッキ工程と、を含むことを特徴とする。
【0020】
また、請求項5の発明にかかる電子部品の製造方法は、請求項4に記載の発明において、前記第1置換型メッキ工程は、酢酸タリウムを主成分とする建浴剤と、酢酸タリウムを主成分とする錯化剤と、亜硫酸カリウムからなる還元剤と、を用いて行い、前記第2置換型メッキ工程は、アンモニウム塩とカルボン酸を主成分とする建浴剤と、アンモニウム塩とカルボン酸を主成分とする錯化剤と、亜硫酸塩を主成分とする還元剤と、を用いて行うことを特徴とする。
【0021】
この請求項1または2の発明によれば、ワイヤボンディングを施した際に、金とアルミニウム間に生成される金属間化合物において、金の割合が多い金属間化合物の生成を抑制することができる。そのため、金属間化合物にクラックが発生するのを防ぐことができる。
【0022】
この請求項3〜5の発明によれば、ワイヤボンディングを施した際に、金とアルミニウム間に生成される金属間化合物において、金の割合が多い金属間化合物の生成を抑制することができる。そのため、金属間化合物にクラックが発生するのを防ぐことができる。また、ワイヤボンディング後に熱処理をしても、熱処理前とほぼ同等のワイヤボンディング強度を確保することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明にかかる電子部品および電子部品の製造方法によれば、Auメッキが施された電気端子にAlワイヤを用いてワイヤボンディングが施された電子部品において、ワイヤボンディング強度を劣化させる要因となる、Auの割合が多い金属間化合物(Au5Al2やAu4Alなど)の生成を抑制することができる。そのため、電子部品の高い信頼性を確保することができる。また、従来技術に示したように、高精度にAuメッキの厚さを制御する必要がないため、低コストで電子部品を作成することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる電子部品および電子部品の製造方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0025】
(実施の形態)
まず、この発明の実施の形態にかかる電子部品の構成について説明する。図1−1は、この発明の実施の形態にかかる電子部品を示す断面図である。図1−1において、電子部品100は、パッケージ101と、半導体チップ102と、電気端子103と、アルミニウム合金(Al−1%Si)ワイヤ(以下、Alワイヤと記す)104と、により構成されている。また、パッケージ101の内部には、保護樹脂としてポッティングゲル105が満たされている。また、パッケージ101は、その一方の端部側に凹部106を有する。また、この実施の形態では、一例としてアルミニウム合金(Al−1%Si)ワイヤを用いて説明するが、アルミニウム合金(Al−1%Si)ワイヤのかわりにアルミニウムワイヤを用いることもできる。
【0026】
この凹部106には、半導体チップ102が収容されている。半導体チップ102には、具体的には、たとえば、シリコン(Si)チップなどが用いられる。電気端子103は、パッケージ101を貫通するリード端子である。半導体チップ102と電気端子103は、Alワイヤ104を介して電気的に接続されている。
【0027】
電気端子103とAlワイヤ104は、接合部107においてAlワイヤボンディングにより接合されている。ポッティングゲル105は、パッケージ101の凹部106の半導体チップ102、電気端子103、Alワイヤ104などの電子部品を保護している。つぎに、電気端子103および接合部107の構成について説明する。
【0028】
図1−2は、電気端子と接合部の構成について示す説明図である。図1−2において、金属端子103aには、たとえば、りん青銅や銅などを用いることができる。この金属端子103aの表面に電気ニッケル(Ni)メッキ110あるいは無電解Niメッキ(Ni−P)110を施す。そして、電気Niメッキ110あるいは無電解Niメッキ110が施された金属端子103aの表面に無電解Auメッキ111を施す。上述した無電解Auメッキ111の材料には、99.99%以上の純Auを用いる。
【0029】
つぎに、無電解Auメッキ111を施す工程について説明する。無電解Auメッキ111は、まず、Niメッキ110の最表面に対して置換型Auメッキを施す。つぎに、Auメッキの厚さが必要な場合は、更に別の置換型の無電解Auメッキを施して、厚膜の無電解Auメッキ111を生成する。つぎに、置換型Auメッキおよび厚膜の置換型Auメッキの処理条件について説明する。
【0030】
置換型メッキは、たとえば、小島化学薬品株式会社の以下に示すメッキ液1を使用して、82℃で1分間メッキ処理をする。本メッキ処理により生成される無電解Auメッキ111の厚さは、0.01〜0.03μmであることが好ましい。
【0031】
<メッキ液1>
建浴剤 :ディップ G200 建浴剤
酢酸タリウム、クエン酸(危険有害成分0.13%)
CAS No 563−68−8,866−84−2
還元剤 DMAB:ディップ G200 アディティブ
亜硫酸カリウム(危険有害成分0.2%)
錯化剤 :ディップ G200 補充液
酢酸タリウム、クエン酸(危険有害成分0.03%)
CAS No 563−68−8,866−84−2
【0032】
つぎに、厚膜用の置換型Auメッキの処理条件について説明する。厚膜用の置換型Auは、たとえば、上村工業株式会社の以下に示すメッキ液2を使用して、85℃で4〜18分間メッキ処理をする。本処理により生成される無電解Auメッキ111の厚さは、0.04〜0.2μmであることが好ましい。
【0033】
<メッキ液2>
建浴剤 :ゴブライト(登録商標) TSK−25−M2
アンモニウム塩 7%
オキシカルボン酸、アミノカルボン酸
還元剤 DMAB:ゴブライト(登録商標) TSK−25−A
亜硫酸塩[Na3Au(SO32
水酸化カリウム(5%PH調整用)
錯化剤 :ゴブライト TSK−25−B
アミノカルボン酸塩 9.6%
【0034】
上述した処理によって無電解Auメッキ111が施された電気端子103と、半導体チップ102とをAlワイヤ104を用いてAlワイヤボンディングを施し電気的に接続する。また、電気端子103とAlワイヤ104とを接合することにより、接合部107には、金属間化合物が生成される。
【0035】
図2−1〜図2−4は、Alワイヤボンディングにより生成される金属間化合物について示す説明図である。図2−1に示す電子部品100において、無電解Auメッキ111が生成された電気端子103の表面に超音波によりAlワイヤボンディングを施すと、無電解Auメッキ111と、Alワイヤ104と、の間に金属間化合物AuAl201が生成される。金属間化合物AuAl201が生成された後に熱履歴が加わると、図2−2に示すように、金属間化合物AuAl201と、Alワイヤ104と、の間に金属間化合物AuAl2202が生成される。
【0036】
そして、金属間化合物AuAl2202が生成された後、さらに熱履歴が加わると、図2−3あるいは図2−4に示すように、金属間化合物AuAl201あるいはAuAl2202が拡散されていく。具体的には、図2−3では、金属間化合物AuAl201が拡散している。また、図2−4では、金属間化合物AuAl201、金属間化合物AuAl2202が拡散されている。
【0037】
上述したように、無電解Auメッキ111によって表面が覆われた電気端子103を用いてAlワイヤボンディングを施すと、従来例のように、クラック805が発生する主要因となるAuの割合が多い金属間化合物Au5Al2804あるいはAu4Alの生成を抑制する効果がある。
【0038】
図3は、従来技術の電子部品の金属間化合物の断面を分析した結果を示す説明図である。この図は、Auメッキ表面にAlワイヤボンディングを施した後に、150℃で20時間の熱処理をした後の従来技術の電子部品のAlワイヤとAuメッキとの界面に生成された金属間化合物の断面を分析透過電子顕微鏡(TEM−EDX)により分析した結果を示す説明図である。図3において、縦軸は、金属間化合物に含まれている原子の割合(図3中では、「原子(%)」)を示しており、横軸は、Alワイヤ604の表面からの距離(図3中では、「距離(μm)」)を示している。
【0039】
図3に示す領域301は、AuとAlが、Au:Al=0.5:1の割合で含まれており、金属間化合物AuAl2802が生成された領域である。また、領域302は、AuとAlが、Au:Al=1:1の割合で含まれており、金属間化合物AuAl801が生成された領域である。また、領域303は、AuとAlが、Au:Al=2.5:1の割合で含まれており、金属間化合物Au5Al2804が生成された領域である。このように、従来技術によるAlワイヤボンディングでは、Auの割合が多い金属間化合物Au5Al2804が生成されている。
【0040】
つぎに、本発明の電子部品100の金属間化合物の断面の分析結果について示す。図4は、本発明の電子部品の金属間化合物の断面を分析した結果を示す説明図である。この図は、Auメッキ表面にAlワイヤボンディングを施した後に、150℃で20時間の熱処理をした後の本発明の電子部品のAlワイヤとAuメッキとの界面に生成された金属間化合物の断面をTEM−EDXにより分析した結果を示す説明図である。図4において、縦軸は、金属間化合物に含まれている原子の割合(図4中では、「原子(%)」)を示しており、横軸は、Alワイヤ104の表面からの距離(図4中では、「距離(μm)」)を示している。
【0041】
また、図4中の領域401および領域402は、AuとAlが、Au:Al=0.5:1の割合で含まれており、金属間化合物AuAl2202が生成された領域である。また、領域403および404は、AuとAlが、Au:Al=1:1の割合で含まれており、金属間化合物AuAl201が生成された領域である。図4に示すように、本発明におけるAlワイヤボンディングでは、金属間化合物AuAl201またはAuAl2202のみが生成されており、クラックが発生する主要因となる、Auの割合が多い金属間化合物Au5Al2は生成されていないことが確認できる。
【0042】
つぎに、ワイヤボンディング強度について示す。図5は、ワイヤボンディング強度を示す説明図である。図5において、縦軸は、Alワイヤ104をAuメッキ表面にワイヤボンディングした際のワイヤボンディング強度(gf)を示している。また、横軸は、ワイヤボンディング強度が初期の値であるか、熱処理後の値であるかを示している。ここで、初期の値とは、Auメッキ表面にAlワイヤボンディングを施した直後のワイヤ引張り強度データである。また、熱処理後とは、Auメッキ表面にAlワイヤボンディングを施した後に、150℃で20時間の熱処理をした後のワイヤ引張り強度データである。
【0043】
また、符号501の領域内にプロットされているデータは、従来の電解Auメッキ612の表面にAlワイヤボンディングを施した場合のワイヤ引張り強度データである。また、符号502の領域内にプロットされているデータは、無電解Auメッキ111の表面にAlワイヤボンディングを施した場合のワイヤ引張り強度データである。また、符号503の領域内にプロットされているデータは、無電解Niメッキ110の表面にAlワイヤボンディングを施した場合のワイヤ引張り強度データである。
【0044】
領域501内に示すように、従来技術では、熱処理後のワイヤボンディング強度は、初期の値から顕著に低下していることが確認できる。この結果に対して、領域502内に示すように、本発明では、熱処理後のワイヤボンディング強度は、初期の強度とほぼ同等の強度が確保されていることが確認できる。また、領域502および領域503に示す結果を比較してみると、本発明では、無電解Niメッキの表面にAlワイヤボンディングを施した場合のワイヤボンディング強度とほぼ同等の強度が確保されていることが確認できる。
【0045】
以上説明したように、電子部品および電子部品の製造方法によれば、Auメッキが施された電気端子にAlワイヤを用いてワイヤボンディングが施された電子部品において、ワイヤボンディング強度を劣化させる要因となるAuの割合が多い金属間化合物(具体的には、Au5Al2やAu4Alなど)の生成を抑制することができる。そのため、電子部品の高い信頼性を確保することができる。また、従来技術に示したように、高精度にAuメッキの厚さを制御する必要がないため、低コストで電子部品を作成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
以上のように、本発明にかかる電子部品および電子部品の製造方法は、金メッキが施されたメッキ表面にアルミニウムワイヤまたはアルミニウム合金を用いてワイヤボンディングする場合に有用であり、特に、パワーデバイスに適している。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1−1】この発明の実施の形態にかかる電子部品を示す断面図である。
【図1−2】電気端子と接合部の構成について示す説明図である。
【図2−1】Alワイヤボンディングにより生成される金属間化合物について示す説明図(その1)である。
【図2−2】Alワイヤボンディングにより生成される金属間化合物について示す説明図(その2)である。
【図2−3】Alワイヤボンディングにより生成される金属間化合物について示す説明図(その3)である。
【図2−4】Alワイヤボンディングにより生成される金属間化合物について示す説明図(その4)である。
【図3】従来技術の電子部品の金属間化合物の断面を分析した結果を示す説明図である。
【図4】本発明の電子部品の金属間化合物の断面を分析した結果を示す説明図である。
【図5】ワイヤボンディング強度を示す説明図である。
【図6−1】従来の電子部品の一例を示す説明図である。
【図6−2】図6−1に示した接合部の構成について示す説明図である。
【図7】Au−Al間に生成される金属間化合物の種類を示す説明図である。
【図8−1】金属間化合物が生成するメカニズムを示す説明図(その1)である。
【図8−2】金属間化合物が生成するメカニズムを示す説明図(その2)である。
【図8−3】金属間化合物が生成するメカニズムを示す説明図(その3)である。
【図8−4】金属間化合物が生成するメカニズムを示す説明図(その4)である。
【図8−5】金属間化合物が生成するメカニズムを示す説明図(その5)である。
【符号の説明】
【0048】
100 電子部品
101 パッケージ
102 半導体チップ
103 電気端子
103a 金属端子
104 アルミニウムワイヤ
105 ポッティングゲル
106 凹部
107 接合部
110 ニッケルメッキ
111 無電解金メッキ



【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属端子の最表面に金メッキが施された電気端子と、アルミニウムワイヤまたはアルミニウム合金ワイヤとがワイヤボンディングにより電気的に接続されている電子部品において、
前記金メッキは、無電解金メッキを施すことにより形成されており、前記金メッキと前記アルミニウムワイヤまたは前記アルミニウム合金ワイヤとの接合により、金とアルミニウムとにより生成される金属間化合物がAuAlあるいはAuAlとAuAl2とであることを特徴とする電子部品。
【請求項2】
前記金メッキは、純度99.99%以上の金メッキであることを特徴とする請求項1に記載の電子部品。
【請求項3】
金属端子の表面にニッケルメッキを施すニッケルメッキ工程と、
前記ニッケルメッキ工程によって前記ニッケルメッキが施された前記金属端子の表面に、無電解金メッキを施す無電解金メッキ工程と、
アルミニウムワイヤまたはアルミニウム合金ワイヤを前記金属端子にワイヤボンディングする工程と、
を含むことを特徴とする電子部品の製造方法。
【請求項4】
前記無電解金メッキ工程は、前記ニッケルメッキ工程によって前記ニッケルメッキが施された前記金属端子の表面に置換型メッキを施す第1置換型メッキ工程と、
前記第1置換型メッキ工程によって前記第1置換型メッキが施された前記金属端子の表面に、別の置換型メッキを施す第2置換型メッキ工程と、
を含むことを特徴とする請求項3に記載の電子部品の製造方法。
【請求項5】
前記第1置換型メッキ工程は、酢酸タリウムを主成分とする建浴剤と、酢酸タリウムを主成分とする錯化剤と、亜硫酸カリウムからなる還元剤と、を用いて行い、
前記第2置換型メッキ工程は、アンモニウム塩とカルボン酸を主成分とする建浴剤と、アンモニウム塩とカルボン酸を主成分とする錯化剤と、亜硫酸塩を主成分とする還元剤と、を用いて行うことを特徴とする請求項4に記載の電子部品の製造方法。


【図1−1】
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【図1−2】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図2−3】
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【図2−4】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【図7】
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【図8−1】
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【図8−2】
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【図8−3】
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【図8−4】
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【図8−5】
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