説明

電子部品の取外し方法及び電子機器

【課題】プリント基板の熱履歴の回数を抑制してプリント基板から複数の電子部品を取外すことができる電子部品の取外し方法及び電子機器を提供することを課題とする。
【解決手段】本実施例の取外し方法は、プリント基板10の第1面に実装された複数の電子部品20a、20bとプリント基板10とを接合するはんだバンプ26を加熱し、複数の電子部品20a、20bを連結した連結板40をプリント基板10から引き離すことにより複数の電子部品20a、20bを同時にプリント基板10から取外す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品の取外し方法及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント基板に実装された電子部品の取外しは、プリント基板と電子部品とを接合するはんだを加熱して溶解させてから行なわれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−244621号公報
【特許文献2】特開2008−60176号公報
【特許文献3】特開平7−86336号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
はんだへの加熱は、電子部品毎に行なわれる。また、はんだへの加熱の際には、取外し対象の電子部品と共に、電子部品が実装されたプリント基板をも加熱される。このため、プリント基板から複数の電子部品を取外す場合には、取外しの対象となる電子部品の数だけプリント基板の熱履歴の回数が増えることになる。
【0005】
本発明は、プリント基板の熱履歴の回数を抑制してプリント基板から複数の電子部品を取外すことができる電子部品の取外し方法及び電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に開示の電子部品の取外し方法は、プリント基板の同一面に実装された複数の電子部品と前記プリント基板とを接合するはんだを加熱し、吸着ノズルが吸着する吸着領域を有し前記複数の電子部品を連結した連結部材を前記プリント基板から引き離すことにより前記複数の電子部品を同時に前記プリント基板から取外す。
【0007】
本明細書に開示の電子機器は、プリント基板と、前記プリント基板の同一面に実装された複数の電子部品と、吸着ノズルが吸着する吸着領域を有し前記複数の電子部品を連結した連結部材と、を備えている。
【発明の効果】
【0008】
プリント基板の熱履歴の回数を抑制してプリント基板から複数の電子部品を取外すことができる電子部品の取外し方法及び電子機器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本実施例の取外し方法の説明図。
【図2】図2A、2Bは、本実施例の取外し方法の説明図。
【図3】図3A、3Bは、本実施例とは異なる取外し方法の説明図。
【図4】図4A、4Bは、本実施例とは異なる取外し方法の説明図。
【図5】図5A、5Bは、本実施例とは異なる取外し方法の説明図。
【図6】図6A〜6Eは、本実施例の取外し方法を実行した場合の熱履歴の説明図。
【図7】図7A〜7Fは、本実施例とは異なる取外し方法を実行した場合での熱履歴の説明図。
【図8】図8A〜8Fは、本実施例とは異なる取外し方法を実行した場合での熱履歴の説明図。
【図9】図9A、9Bは、連結板の放熱作用の説明図。
【図10】図10A、10Bは、連結板の変形例の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本実施例態について図面を参照して説明する。
【0011】
図1は、本実施例の取外し方法の説明図である。本実施例の取外し方法では、プリント基板の同一面側に実装された複数の電子部品を同時に取外す。以下に説明する本実施例の取外し方法は、リワーク工程中に実行される。リワーク工程は、取外しの対象となる電子部品を加熱してプリント基板から取外し、プリント基板を整地した後、再度プリント基板にはんだペーストを印刷して電子部品をプリント基板に実装することにより行われる。図1は、プリント基板10に実装済みの複数の電子部品20a、20bを取外す場合の例示図である。
【0012】
プリント基板10の第1面12側には、複数の電子部品20a、20bが実装されている。即ち、複数の電子部品20a、20bは、プリント基板10の同一面側に実装されている。電子部品20aは、半導体チップが樹脂封止された本体部22、本体部22の第1面12への取付面に設けられた複数のはんだバンプ26、を含む。
【0013】
電子部品20aは、いわゆるBGA(Ball Grid Array)タイプの電子部品である。電子部品20aとしては、表面実装型のものであればよく、例えばQFP(Quad Flat Package)やPLCC(Plastic Leaded Chip Carrier)、SOP(Small Outline Package)であってもよい。また、電子部品20aは、半導体チップが樹脂封止されたものに限定されず、例えば、半導体チップが金属性の筐体で覆われているものであってもよい。はんだバンプ26は、プリント基板10の第1面12側に設けられたフットパターンと接合されている。これにより、プリント基板10と電子部品20aとは電気的に接続されている。電子部品20bも電子部品20aと同様の構造を有している。
【0014】
図1に示すように、電子部品20a、20bの上面には単一の連結板40が固定されている。連結板40は、平板状である。連結板40は、連結部材に相当する。連結板40により、電子部品20a、20bは連結されている。連結板40は、金属製であり、例えば銅、アルミ又はステンレス等である。連結板40は、複数の電子部品20a、20bを連結している。連結板40は、吸着ノズル88に吸着される吸着領域を有している。吸着領域が上側を向くようにして連結板40は、複数の電子部品20a、20bに固定されている。連結板40は、耐熱性を有した両面テープにより電子部品20a、20bに固定されている。両面テープは、約250℃までの耐熱性を有している。尚、図1では、連結板40により連結された電子部品を2つ示しているが、実際は4つの電子部品を連結している。詳しくは後述する。
【0015】
支持部材60により、電子部品20a、20bを挟むようにしてプリント基板10が支持されている。支持部材60は、加熱に伴ってプリント基板10に反りが発生するのを抑制している。支持部材60は、電子部品20a、20bの位置に応じて移動可能に設けられている。パネルヒータ70により、プリント基板10を加熱する。支持部材60、パネルヒータ70、リペア装置80は、リワーク装置に備えられているものである。リワーク装置とは、プリント基板に実装された電子部品を、プリント基板から取外して交換するための装置である。
【0016】
また、リペア装置80により、リペアの対象である電子部品20a、20b周辺を加熱する。リペア装置80は、電子部品をプリント基板から取外す際に用いられる。リペア装置80は、筒状のシールド82と、シールド82内に設けられたヒータブロック(不図示)とを含む。ヒータブロック内にはカートリッジ式のヒータが内蔵されており、このヒータからの輻射熱により、電子部品20a、20b周辺が加熱される。シールド82は、電子部品20a、20b周辺を囲う。
【0017】
ヒータブロックからの熱とパネルヒータ70からの熱により、電子部品20a、20bのそれぞれのはんだバンプ26が溶解する。はんだバンプ26が溶解すると、吸着ノズル88により連結板40を吸着する。吸着ノズル88は、鉛直方向に昇降可能に設けられている。吸着ノズル88には、連結板40を吸着するためのポンプ(不図示)が連結されている。
【0018】
吸着ノズル88を連結板40の位置までに下降させ連結板40を吸着する。連結板40を吸着した状態で吸着ノズル88上昇させることにより、連結板40はプリント基板10からひき離れされる。これに伴って、複数の電子部品20a、20bはプリント基板10から同時に取外される。以上のように、本実施例の取外し方法は、複数の電子部品20a、20bとプリント基板10とを接合するはんだを加熱する。次に、複数の電子部品20a。20bを連結するように予め複数の電子部品20a、20bに固定された連結板40をプリント基板10から引き離すことにより複数の電子部品20a、20bを同時にプリント基板10から取外す。また、連結板40は平板状であり、吸着領域を有しているため、吸着ノズル88による吸着が容易である。
【0019】
図2Aは、連結板40を固定する前の複数の電子部品20a〜20dの正面を例示している。隣接する電子部品間の隙間は約0.2mmに設定されている。図2Bに示すように、4つの電子部品20a〜20dの上面に連結板40を固定することにより、複数の電子部品20a〜20dを一つの部品として取外すことができる。これにより、リワーク工程におけるプリント基板10の熱履歴の回数を抑制することができる。詳しくは後述する。
【0020】
本実施例とは異なる取外し方法について、図3A〜5Bを参照して説明する。本実施例と異なる取外し方法においては、複数の電子部品を取外し交換する場合を想定して説明する。
【0021】
図3Aに示すように、電子部品20bのはんだバンプ26を溶解させて、吸着ノズル88により電子部品20bをプリント基板10から取外す。次に、新しい電子部品20b1をプリント基板10上の所定位置に配置し、再度電子部品20b1のはんだバンプ26を加熱して溶解させる。その後プリント基板10を冷却することにより、プリント基板10に電子部品20b1が実装される。
【0022】
次に、図3Bに示すように、電子部品20b1に隣接した電子部品20aのはんだバンプ26を溶解させて吸着ノズル88により、電子部品20aをプリント基板10から取外す。次に、新たな電子部品をプリント基板10の所定位置に配し、再度新たな電子部品のはんだバンプを加熱し溶解させる。その後にプリント基板10を冷却することにより、プリント基板10に新たな電子部品が実装される。このように、本実施例と異なる取外し方法においては、電子部品毎に、取外しを行う。
【0023】
図4Aは、本実施例とは異なる取外し方法が行なわれる電子部品の正面を例示している。図4Aに示すように、本実施例とは異なる取外し方法が行なわれる複数の電子部品においては、隣接する電子部品の隙間は約10mmに設定されている。この理由は、図3A、3B、4Bに示すように、シールド82により電子部品ごとに加熱するからである。即ち、隣接する電子部品の間に、シールド82の側壁が挿入可能な分の間隔を設ける必要があるからである。図4Bに示すように、シールド82の側壁の厚さは、一般的に約5mmである。また、電子部品とシールド82との干渉を防ぐために、シールド82により囲まれる電子部品とシールド82との間隔は、約2mmに設定されている。このため、隣接する電子部品の隙間は、約10mm程度は必要となる。
【0024】
吸着ノズル88は単一の電子部品を取外すことを想定して設計されている。このため、図5Aに示すように、単一の吸着ノズル88のみにより複数の電子部品20a、20bを同時に取外すことはできない。
【0025】
また、図5Bに示すように、上述した電子部品と大きさが異なる電子部品20iであっても、シールド82の側壁との隙間は約2mmは必要である。従って、このような電子部品20iを複数プリント基板10に実装する場合であっても、接近して実装することはできない。
【0026】
しかしながら、本実施例の取外し方法では、図1、2A、2Bに示したように、連結板40を用いることにより複数の電子部品を同時に取外すことができる。これにより、複数の電子部品間の隙間を小さくして実装できる。よって、プリント基板10に実装される部品の実装密度が向上する。また、これら複数の電子部品間を接続するプリント基板10上のパターン長を短くすることができる。これにより、電子部品間で送受信される信号のノイズや信号の遅延などが防止される。
【0027】
また、本実施例の取外し方法によれば、吸着ノズル88に特別な工夫をすることなく、複数の電子部品20a、20bをプリント基板10から取外すことができる。即ち、本実施例の取外し方法によれば、吸着ノズルが単一の電子部品を取外すことを想定した既存の物であっても、複数の電子部品をプリント基板から取外すことができる。
【0028】
次に熱履歴について説明する。
図6A〜6Eは、本実施例の取外し方法を実行した場合の熱履歴の説明図である。尚、図6A〜6Eは、プリント基板10に電子部品を実装する工程から、リワークが終了するまでの工程を例示している。
【0029】
図6Aに示すように、プリント基板10の第2面14に電子部品20xを配置し、リフロー炉内にてプリント基板10、電子部品20xを加熱し、プリント基板10と電子部品20xとを接続するためのはんだを溶解させる。その後にプリント基板10を冷却することにより、電子部品20xがプリント基板10に実装される。電子部品20xをプリント基板10xに実装するためにプリント基板10が加熱されるので、プリント基板10の熱履歴回数は1回となる。
【0030】
次に、図6Bに示すように、プリント基板10を反転させ、第1面12の所定の位置に電子部品20a、20bを配置し、リフロー炉内にてプリント基板10、電子部品20a、20bを加熱し、はんだバンプ26を溶解させる。その後にプリント基板10を冷却することにより電子部品20a、20bがプリント基板10に実装される。この時点でプリント基板10、電子部品20a、20bの熱履歴回数は、それぞれ2回、1回、1回となる。
【0031】
次に、図6Cに示すようにリワーク工程を行なう。詳細には、上述したように、電子部品20a、20bに連結板40を固定して、シールド82を用いてはんだバンプ26を溶解させる。そして、吸着ノズル88により連結板40と共に電子部品20a、20bをプリント基板10から引き離す。これにより、プリント基板10、電子部品20a、20bの熱履歴回数は、それぞれ3回、2回、2回となる。
【0032】
次に、図6Dに示すように、電子部品20a、20bを第1面12の所定位置に配置して、再度リフロー炉内にてプリント基板10、電子部品20a、20bを加熱して、電子部品20a、20bをプリント基板10へ実装する。リワークにより取外された電子部品を再利用する場合、電子部品20a、20bの熱履歴回数は、それぞれ3回となる。従って、本実施例のリワーク工程においては、3回の熱履歴回数に耐え得る電子部品であれば再利用できる。また、プリント基板の熱履歴回数は4となる。このため、4回の熱履歴に耐え得るプリント基板であれば、本実施例のリワーク方法を行うことができる。このように、本実施例の取外し方法によれば、プリント基板10の熱履歴の回数を抑制してプリント基板10から複数の電子部品20a、20bを取外すことができる。
【0033】
尚、電子部品を再利用せずに新しい電子部品を実装する場合、新しい電子部品は加熱されてプリント基板10に実装されるので熱履歴回数は1回となる。
【0034】
次に、本実施例とは異なる取外し方法を行なった場合での熱履歴について説明する。図7A〜7F、及び図8A〜8Fは、本実施例とは異なる取外し方法を実行した場合での熱履歴の説明図である。尚、図7A〜7Fにおいても、プリント基板10に電子部品を実装する工程から、リワークが終了するまでの工程を例示している。図8A〜8Fについても同様である。図7A〜7Fは、プリント基板の同一面側に複数の電子部品が実装される場合、図8A〜8Fは、プリント基板の両面に電子部品がそれぞれ実装される場合について例示している。
【0035】
図7A、7Bに示すように、プリント基板10に電子部品20x、20a、20bを実装した時点で、プリント基板10、電子部品20a、20bの熱履歴回数は、それぞれ2回、1回、1回である。
【0036】
次に、図7Cに示すように、プリント基板10及び電子部品20b周辺を加熱して電子部品20bをプリント基板10から取外す。これにより、プリント基板10、電子部品20a、20bの熱履歴回数は、それぞれ3回、2回、2回となる。
【0037】
次に、図7Dに示すように、プリント基板10及び電子部品20a周辺を加熱して電子部品20aをプリント基板10から取外す。これにより、プリント基板10、電子部品20a、20bの熱履歴回数は、それぞれ4回、3回、2回となる。
【0038】
次に、図7Eに示すように、プリント基板10に電子部品20aを実装すると、プリント基板10、電子部品20a、20bの熱履歴回数は、それぞれ5回、4回、2回となる。
【0039】
次に、プリント基板10に電子部品20bを実装すると、プリント基板10、電子部品20a、20bの熱履歴回数は、それぞれ6回、5回、3回となる。
【0040】
以上のように、本実施例と異なる取外し方法を実行すると、プリント基板は6回の熱履歴回数に、電子部品20aは5回の熱履歴回数に耐え得る必要がある。従って、本実施例と異なる取外し方法は、本実施例の取外し方法と比較し、多くの熱履歴回数に耐え得るプリント基板や電子部品にのみしか行うことができない。
【0041】
図7Eにおいて、取外された電子部品20bを先に実装する場合、電子部品20a、20bの双方が実装されるまでに、電子部品20a、20bの熱履歴回数はそれぞれ4回となる。この点においても、本実施例と異なる取外し方法は、本実施例の取外し方法と比較し、多くの熱履歴回数に耐え得る電子部品にのみしか行うことができない。
【0042】
また、上記の本実施例とは異なる取外し方法により、複数の電子部品を新しい電子部品に交換する場合、新しい電子部品の実装後での熱履歴回数は一方が2回、他方が1回となる。このように、本実施例とは異なる取外し方法では、何れかの電子部品の熱履歴回数は複数となる。一方、本実施例の取外し方法においては、新しい電子部品に交換した場合であっても、交換後の電子部品の熱履歴回数は1回で済む。これにより、本実施例の取外しでは電子部品への熱履歴回数も抑制されている。
【0043】
次に、プリント基板の両面に電子部品が実装されている場合での熱履歴について説明する。プリント基板10の第2面14が上方を向くように、第2面14の所定位置に電子部品20x、20aを配置して実装する。その後、図8Aに示すようにプリント基板10を反転させる。この時点でプリント基板10、電子部品20aの熱履歴回数は、それぞれ1回である。
【0044】
次に、図8Bに示すように、プリント基板10の第1面12に電子部品20bを実装する。これにより、プリント基板10、電子部品20a、20bの熱履歴回数は、それぞれ2回、2回、1回である。尚、第1面12に電子部品20bを実装する際には、プリント基板10が加熱され、電子部品20aのはんだバンプ26や電子部品20xのはんだも溶解する。しかしながら、これらはんだの表面張力により、電子部品20a、20xはプリント基板10から落下しない。
【0045】
次に、リワーク工程を行なう。詳細には、第2面14が上方を向くようにプリント基板10を反転させ、電子部品20aを第2面14から取外す。その後、図8Cに示すように、第1面12が上方を向くようにプリント基板10を反転させる。この時点で、プリント基板10、電子部品20a、20bの熱履歴回数は、それぞれ3回、3回、2回である。
【0046】
次に、図8Dに示すようにプリント基板10から電子部品20bを取外す。この時点で、プリント基板10、電子部品20a、20bの熱履歴回数は、それぞれ4回、3回、3回である。
【0047】
次に、第2面14が上方を向くようにプリント基板10を反転させて第2面14に電子部品20aを実装する。その後、図8Eに示すように、第2面14が下方を向くようにプリント基板10を反転させる。この時点で、プリント基板10、電子部品20a、20bの熱履歴回数は、それぞれ5回、4回、3回である。
【0048】
次に、図8Fに示すように、第1面12に電子部品20bを実装する。この時点でプリント基板10、電子部品20a、20bの熱履歴回数は、それぞれ6回、5回、4回である。このように、プリント基板の両面に電子部品が実装されている場合においても、上記の取外し方法は多くの熱履歴回数に耐え得るプリント基板や電子部品にのみしか行うことができない。尚、電子部品を新しい電子部品に交換する場合であっても、プリント基板10の両面に実装された電子部品のうち一方の熱履歴回数は2回となる。
【0049】
次に、連結板の放熱作用について説明する。図9A、9Bは、連結板の放熱作用の説明図である。
図9Aに示すように、上述した取外し方法の実行の有無に関わらずに、電子部品20a、20bには連結板40が固定されている。連結板40は、電子部品20a、20bがプリント基板10に実装する際に、あわせて電子部品20a、20bに貼り付けられたものである。このようなプリント基板10が電子機器に搭載されて電子部品20a、20bが駆動すると、電子部品20a、20bは熱を発する。連結板40は金属製であるので、電子部品20a、20bの熱が連結板40へ伝達して電子部品20a、20bの放熱が促進される。これにより、電子部品20a、20bの高温化を防止することができる。
【0050】
尚、連結板40は、前述したように、銅、アルミ又はステンレスなどの金属である。これらの金属は熱伝導率が相違する。従って、連結板40の材料を選別する際には、電子部品20a、20bの放熱量を考慮して、連結板40の材料を決定することができる。例えば、電子部品20a、20bの放熱量が比較的大きい場合には、連結板40の材料として熱伝導率の高い金属を採用する。電子部品20a、20bの放熱量が比較的小さい場合には、連結板40の材料として熱伝達率の小さい金属を採用する。
【0051】
また、図9Bに示すように、プリント基板10の第1面12に電子部品20a、20bが実装され、第2面14に電子部品20e、20fが実装されている。電子部品20a、20bには連結板40が固定され、電子部品20e、20fにも連結板40が固定されている。このようにプリント基板10の各面に実装された複数の電子部品に連結板を固定することにより、プリント基板10の両面に実装された電子部品の放熱を促進することができる。
【0052】
図10A、10Bは、連結板の変形例の説明図である。図10Bは、変形例である連結板40aの正面図である。
図10A、10Bに示すように、連結板40aの上面には複数のフィン44が設けられている。複数のフィン44は同一方向に沿うように延在している。フィン44は、連結板40aの表面積を確保することにより連結板40aの放熱効率を向上させる。また、図10Bに示すように、フィン44は、連結板40aの縁に沿うように設けられており、連結板40aの中央部にはフィン44は設けられていない。連結板40aの中央部は、吸着ノズル88が吸着するための吸着領域に相当する。従って、フィン44は、吸着領域から退避した位置に設けられている。これにより、電子部品20a、20bの取外し工程において、吸着ノズル88により連結板40aを吸着して取外すことができる。
【0053】
以上本発明の好ましい一実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0054】
尚、本実施例の取外しが実行される複数の電子部品の隙間は約0.2mmに設定されているが、これに限定されない。例えば、隣接する電子部品間の隙間は、5mm以下であってもよい。隙間が5mm以下の場合には、隣接する電子部品間にシールド82の側壁を挿入することは困難であり、本実施例の取外し方法が有効だからである。
【0055】
図9A〜10Bに示したプリント基板10、電子部品20a、20b、連結板40は、電子機器に搭載される。電子機器とは、例えば、デスクトップパソコンやサーバなどの据え置き型の情報処理装置、ノートパソコンや携帯電話などの携帯型の情報処理装置、その他ネットワーク通信装置、携帯用基地局、電化製品等である。
【0056】
(付記1)
プリント基板の同一面に実装された複数の電子部品と前記プリント基板とを接合するはんだを加熱し、
吸着ノズルが吸着する吸着領域を有し前記複数の電子部品を連結した連結部材を前記プリント基板から引き離すことにより前記複数の電子部品を同時に前記プリント基板から取外す、電子部品の取外し方法。
(付記2)
プリント基板と、
前記プリント基板の同一面に実装された複数の電子部品と、
吸着ノズルが吸着する吸着領域を有し前記複数の電子部品を連結した連結部材と、を備えた電子機器。
(付記3)
前記連結部材は、金属製であり前記複数の電子部品の放熱を促進する、付記2の電子機器
(付記4)
前記連結部材は、フィンを有している、付記3の電子機器。
(付記5)
前記連結部材は、平板状である、付記2乃至4の何れかの電子機器。
(付記6)
前記フィンは、前記吸着面から退避した位置に設けられている、付記4の電子機器。
(付記7)
隣接する前記複数の電子部品の隙間は、5mm以下である、付記2乃至6の電子機器。
【符号の説明】
【0057】
10 プリント基板
20a〜20f、20x 電子部品
40、40a 連結板(連結部材)
44 フィン
80 リペア装置
88 吸着ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント基板の同一面に実装された複数の電子部品と前記プリント基板とを接合するはんだを加熱し、
吸着ノズルが吸着する吸着領域を有し前記複数の電子部品を連結した連結部材を前記プリント基板から引き離すことにより前記複数の電子部品を同時に前記プリント基板から取外す、電子部品の取外し方法。
【請求項2】
プリント基板と、
前記プリント基板の同一面に実装された複数の電子部品と、
吸着ノズルが吸着する吸着領域を有し前記複数の電子部品を連結した連結部材と、を備えた電子機器。
【請求項3】
前記連結部材は、金属製であり前記複数の電子部品の放熱を促進する、請求項2の電子機器。
【請求項4】
前記連結部材は、フィンを有している、請求項3の電子機器。
【請求項5】
前記フィンは、前記吸着領域から退避した位置に設けられている、請求項4の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−49439(P2011−49439A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−198009(P2009−198009)
【出願日】平成21年8月28日(2009.8.28)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】