電子部品の実装方法
【課題】電子部品の機械的な接続強度を向上し信頼性の向上した電子部品の実装方法および実装装置を提供する。
【解決手段】電子部品の実装方法であって、プリント回路基板10の配線パターン上に電子部品16を実装し、少なくともプリント回路基板と電子部品との間および電子部品の周囲に、熱硬化性樹脂および磁性体粉末22を含む接合材20を充填し、接合材を加熱し硬化させて、電子部品を接合材によりプリント回路基板に接合し、加熱による接合材の硬化の間に、電子部品が実装されたプリント回路基板を、対向配置された電磁石52a、52bの間に配置して接合材に磁力を印加し、磁力により接合材内における磁性体粉末の分散状態を制御する電子部品の実装方法。
【解決手段】電子部品の実装方法であって、プリント回路基板10の配線パターン上に電子部品16を実装し、少なくともプリント回路基板と電子部品との間および電子部品の周囲に、熱硬化性樹脂および磁性体粉末22を含む接合材20を充填し、接合材を加熱し硬化させて、電子部品を接合材によりプリント回路基板に接合し、加熱による接合材の硬化の間に、電子部品が実装されたプリント回路基板を、対向配置された電磁石52a、52bの間に配置して接合材に磁力を印加し、磁力により接合材内における磁性体粉末の分散状態を制御する電子部品の実装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は実装面にハンダボール等の接続部を有する電子部品を回路基板上に実装する実装方法および実装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プリント回路基板の回路パターンにベアチップのような半導体チップの電極をはんだバンプなどで接続するフェイスダウン、例えばBGA(Ball Grid Allay)またはCPS(Chip Scale Package)で実装した半導体チップの実装構造が知られている。フェイスダウンによる実装は、半導体チップの実装占有面積を狭くできる利点を有する。しかしながら、フェイスダウンの実装は、プリント回路基板の材料(例えばガラス・エポキシ樹脂)と半導体チップの材料(シリコン)との間の熱膨張係数の差により、接合部であるはんだに応力が発生して接合部が破壊される虞がある。あるいは、プリント回路基板等に外力が作用した場合、電子部品の接合部に負荷が作用し、接合部が剥がれてしまう虞がある。
【0003】
このようなことから半導体チップの電極をはんだバンプなどで接続するフェイスダウン実装後、プリント回路基板と半導体チップとの間に熱硬化性樹脂溶液(アンダーフィル)を充填し、硬化させて接合材を形成し、プリント回路基板に半導体チップを固定することによって、ヒートサイクルなどの熱的応力に対するプリント回路基板と半導体チップとの間の接続信頼性の向上が図られている。
【0004】
また、特許文献1には、熱硬化性樹脂とこの樹脂よりも比誘電率が小さいフィラー、例えばシリカフィラーとを含む充填材をプリント回路基板と半導体チップとの間に充填し、かつ、プリント回路基板側にシリカフィラーを位置させることにより、配線間のクロストークを低減する電子部品の実装体が開示されている。また、同特許文献1の段落[0029]には「樹脂組成物3に含有されたフィラー2を予め磁性体が内蔵されたもの、例えば金属粉末の周囲をテフロン(登録商標)でコーティングしてなるものとしておき、磁石によってフィラー2が引き付けられる性質を利用して樹脂組成物3中の回路基板14側または半導体装置11側に位置させることも可能である。」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−294601号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1にはフィラーの分散によるプリント回路基板と電子部品との機械的な接続強度を向上させることに関しては着目していない。
【0007】
本発明は、以上の点に鑑みなされたもので、その目的は、プリント回路基板と電子部品との間および電子部品の側面に接合材を充填して電子部品をプリント回路基板に固定する電子部品の実装方法であって、電子部品の機械的な接続強度を向上させることのできる実装方法および実装装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の態様に係る電子部品の実装方法は、プリント回路基板の配線パターン上に電子部品を実装し、少なくとも前記プリント回路基板と電子部品との間および電子部品の周囲に、熱硬化性樹脂および磁性体粉末を含む接合材を充填し、前記接合材を加熱して硬化させて、前記電子部品を前記接合材によりプリント回路基板に接合し、前記加熱による前記接合材の硬化の間に、前記電子部品が実装された前記プリント回路基板を、電磁石と対向配置し、前記電磁石から前記接合材に磁力を印加し、前記磁力により前記接合材内における前記磁性体粉末の分散状態を制御することを特徴としている。
【0009】
この発明の他の態様に係る電子部品の実装装置は、隙間を置いて対向配置された2つの電磁石と、配線パターン上に電子部品が実装されたプリント回路基板であって、少なくとも前記プリント回路基板と電子部品との間および電子部品の周囲に、熱硬化性樹脂および磁性体粉末を含む接合材が充填されたプリント回路基板を、その面方向に沿って搬送し、前記2つの電磁石間の磁力線中に前記電子部品および接合材を配置する搬送機構と、前記接合材を加熱して硬化させる加熱機構と、を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
この発明の態様によれば、プリント回路基板と電子部品との間および電子部品の側面に接合材を充填して電子部品をプリント回路基板に固定する電子部品の実装方法であって、電子部品の機械的な接続強度を向上し信頼性の向上した実装方法および実装装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、電子部品が実装されたプリント回路基板を示す斜視図。
【図2】図2は、図1の線A−Aに沿った電子部品実装部分の断面図。
【図3】図3は、電子部品の実装部を概略的に示す平面図。
【図4】図4は、この発明の第1の実施形態に係る電子部品の実装装置を概略的に示す斜視図。
【図5】図5は、前記実装装置における搬送機構のステージおよび支持機構を示す分解斜視図。
【図6】図6は、前記実装装置のステージおよび支持機構を示す斜視図。
【図7】図7は、前記磁界印加装置の磁力線の流れを概略的に示す断面図。
【図8】図8は、前記磁界印加装置および搬送機構により、プリント回路基板に磁力を印加する工程を示す断面図。
【図9】図9は、他の遮蔽部材を用いて、前記磁界印加装置および搬送機構により、プリント回路基板に磁力を印加する工程を示す断面図。
【図10】図10は、前記他の遮蔽部材を用いて磁力を印加することにより形成された接合材の磁性体粉末の分散状態を概略的に示す平面図。
【図11】図11は、他の遮蔽部材を示す斜視図。
【図12】図12は、前記磁界印加装置により、磁力を異なる方向から印加する状態を示す磁界印加装置の断面図。
【図13】図13は、他の実施形態に係る遮蔽部材の支持機構を示す斜視図。
【図14】図14は、更に他の実施形態に遮蔽部材の支持機構を示す斜視図。
【図15】図15は、他の実施形態に係る実装装置の加熱機構を示す側面図。
【図16】図16は、他の実施形態に係る実装装置の加熱機構を示す側面図。
【図17】図17は、この発明の第2の実施形態に係る実装装置を示す斜視図。
【図18】図18は、他の実施形態に係る実装装置の磁力印加装置を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、この発明の実施形態について詳細に説明する。
【0013】
初めに、実施形態に係る実装方法および実装装置により、プリント回路基板上に実装された電子部品について説明する。図1は、電子部品として、BGA(ボールグリッドアレイ)実装されたシリコンベアチップを示す斜視図、図2は、図1の線A−Aに沿った実装部分の断面図である。
【0014】
図1および図2に示すように、プリント回路基板10は実装面10aを有し、この実装面には、例えば銅箔からなる配線パターン12およびその一部により複数の接続パッド14が形成されている。プリント回路基板10の実装面10aに電子部品、例えば、矩形状のベアチップ16が実装されている。ベアチップ16の下面に形成された複数の電極17は、複数のはんだボール18を介してプリント回路基板10の接続パッド14にハンダ接続され、BGA実装されている。
【0015】
熱硬化性樹脂および磁性体粉末22を含む接合材20が、プリント回路基板10とベアチップ16との間およびベアチップ16の周囲に充填され、硬化することにより、ベアチップ16をプリント回路基板10の実装面10aに固定している。磁性体粉末22は、図2および図3に示すように、接合材20においてベアチップ16の周囲に位置する部分に集まって局在している。
【0016】
接合材20を構成する熱硬化性樹脂は、例えばエポキシ樹脂を用いることができる。具体的なエポキシ樹脂は、熱硬化型一液性エポキシ樹脂を用いることができる。
【0017】
接合材の熱硬化性樹脂に分散される磁性体粉末22は、フェライト(Fe2O3)粉末、ネオジ系磁石粉末、コバルト系磁石粉末、アルコニア系磁石粉末、フェライト系磁石粉末、ケイ素鋼粉末、鉄粉末、パーマロイ粉末、磁性ステンレス鋼粉末を用いることができる。磁性体粉末の中で、特に絶縁性のフェライトが好ましい。
【0018】
磁性体粉末22は、後述する磁力作用による熱硬化性樹脂内で容易に移動可能な球形であることが好ましい。磁性体粉末22は、0.01〜10μmの平均粒径を有することが好ましい。磁性体粉末22は、接合材20中に30〜90重量%で充填されていること好ましい。
【0019】
なお、「磁性体粉末22がベアチップ16の周囲部分に対応する接合材20の箇所に局在している」とは、例えば、前記平均粒径を有する磁性体粉末22がベアチップ16の周囲部分に対応する接合材20の箇所に60〜95重量%の密度で存在することを意味している。このような接合材20において、ベアチップ16の周囲に位置する領域以外の領域では、磁性体粉末22は20〜40重量%の密度で存在する。
【0020】
次に、電子部品を上記のように実装するための、実施形態に係る電子部品の実装方法および実装装置について説明する。図4は、第1の実施形態に係る実装装置全体を概略的に示している。
【0021】
図4に示すように、実装装置は、電子部品が実装され熱硬化性樹脂および磁性体粉末を含む接合材が充填されたプリント回路基板10を、支持しその面方向に沿って搬送する搬送機構30と、接合材20を所定温度に加熱して硬化させる加熱機構40と、搬送機構30により搬送されたプリント回路基板10の接合材20に磁力を印加する磁力印加装置50と、接合材20が硬化した後、接合材を消磁する消磁機70と、を備えている。
【0022】
図4、図5、および図6に示すように、搬送機構30は、プリント回路基板10が載置される矩形板状の可動ステージ32を有している。可動ステージ32は非磁性材料で形成され、その上面の複数個所、例えば、4箇所には、位置決めリブ33が突設されている。プリント回路基板10は、4つの角をそれぞれ位置決めリブ33によって位置決めした状態で、可動ステージ32上に載置される。可動ステージ32の両側面からガイドアーム34が水平に突出している。これらのガイドアーム34は、水平に伸びる2本のガイドレール36上に移動自在に支持されている。そして、図示しない駆動機構により、可動ステージ32は、水平な状態で、ガイドレール36に沿って所望の位置に搬送される。
【0023】
接合材20を加熱する加熱機構40は、可動ステージ32の下面に固定された矩形板状のヒートパネル42と、ヒートパネル42の加熱温度を制御する制御部44と、を有している。加熱機構40は、接合材20をキューリ点よりも低い、所望の温度、例えば、120〜150℃に加熱し、硬化させる。
【0024】
また、可動ステージ32には、後述する遮蔽部材61を支持する支持機構60が設けられている。すなわち、可動ステージ32の上面には、位置決めリブ33の外側に4本の支持ポスト62が立設されている。例えば、ガラス板からなる矩形状の透明な支持板64が支持ポスト62上に載置され、プリント回路基板10と平行に、かつ、隙間を置いて対向している。支持板64は、4つの固定ねじ65により支持ポスト62にねじ止めされている。
【0025】
そして、この支持板64上に、遮蔽部材61が載置され、電子部品16の上方に対向して配置されている。遮蔽部材61は、パーマロイ、珪素鋼板等の磁界を通す磁性合金で形成されている。本実施形態において、遮蔽部材61は、電子部品16よりも僅かに大きな寸法を有する矩形枠状に形成されている。そして、遮蔽部材61は、電子部品16の外周部と重なる位置に配置されている。
【0026】
図7は、磁力印加装置の断面図である。図4および図7に示すように、磁力印加装置50は、隙間を置いて対向配置された第1電磁石52aおよび第2電磁石52bを有している。第1電磁石52aは、鉛直方向に延びるポールピース54a、ポールピースの周囲に設けられたコイルボビン55aに、ポールピースを中心として捲回された励磁コイル56aと、ポールピースに固定され水平に延びるリターンヨーク(天板)58aと、を有している。励磁コイル56aは、電子部品16および接合材20の充填領域よりも広い面積に形成され、広範囲に亘って磁力線を印加可能となっている。
【0027】
同様に、第2電磁石52bは、鉛直方向に延びるポールピース54b、ポールピースの周囲に設けられたコイルボビン55bに、ポールピースを中心として捲回された励磁コイル56bと、ポールピースに固定され水平に延びるリターンヨーク(底板)58bと、を有している。励磁コイル56bは、電子部品16および接合材20の充填領域よりも広い面積に形成され、広範囲に亘って磁力線を印加可能となっている。
【0028】
第1電磁石52aおよび第2電磁石52bは、可動ステージ32の移動路を間に挟んで励磁コイル56a、56bが対向するように配置され、第1電磁石が移動路の上方に、第2電磁石が移動路の下方にそれぞれ位置している。第1電磁石52aのリターンヨーク58bと第2電磁石52bのリターンヨーク58bとは、側壁を構成する一対のリターンヨーク59a、59bによって互いに連結され、閉磁路を形成している。
【0029】
第1電磁石52aの励磁コイル56aは電源57aに接続され、また、第2電磁石52bの励磁コイル56bは電源57bに接続されている。これらの電源57a、57bは制御部44に接続されている。制御部44は、励磁コイル56a、56bに供給する電圧、電流、あるいは駆動周波数を制御し、励磁コイル56a、56bから発生する磁力の向きおよび強度を調整する。
【0030】
電源57a、57bから励磁コイル56a、56bに通電されると、励磁コイルは磁力を発生する。発生した磁力は、ポールピース54a、54bによって強められる。また、リターンヨーク58a、58b、59a、59bは、閉磁路を形成し、励磁コイル56a、56bから発生した磁力が外部に漏れないように規制する。
【0031】
図4に示すように、消磁機70は、磁力印加装置50に対して、プリント回路基板10の搬送方向、下流側に配置され、プリント回路基板10の移動路と対向している。消磁機70は、後述するように、接合材20が硬化した後、磁化された接合材20および電子部品16を消磁処理する。
【0032】
次に、上記のように構成された実装装置により電子部品をプリント回路基板10上に実装する実装方法について説明する。
まず、図2で示したように、プリント回路基板10の接続パッド14上にハンダボール18を介してベアチップ16を位置決め載置した後、加熱によりハンダボール18を溶融させることにより、ベアチップ16をハンダによりBGA実装する。続いて、プリント回路基板10とベアチップ16との間およびベアチップ16の周囲に、熱硬化性樹脂および磁性体粉末22を含む接合材20、例えば50重量%の磁性体粉末22を含む液相状態の熱硬化型一液性エポキシ樹脂溶液を充填し、磁性体粉末含有エポキシ樹脂の充填物を形成する。
【0033】
図5および図6に示すように、このプリント回路基板10を搬送機構30の可動ステージ32上に載置し、角部を位置決めリブ33に合わせることにより、所定位置に位置決めする。更に、可動ステージ32の支持ポスト62上に支持板64を載置し、固定ねじ65によって固定した後、支持板64上に、遮蔽部材61を載置する。この際、遮蔽部材61は、充填された接合材20の内、ベアチップ16の周囲に位置する部分と対向するように位置決めする。
【0034】
次いで、加熱機構40のヒートパネル42に通電して加熱を開始し、プリント回路基板10を通して接合材20を加熱する。ここでは、制御部44によりヒートパネル42の加熱温度をキューリ点よりも低い120〜150℃に制御する。これにより、接合材20は、加熱されて徐々に温度上昇し、60〜80℃に加熱された時点で軟化し始める。
【0035】
接合材20が軟化した時点で、搬送機構30の駆動部を駆動して、可動ステージ32を磁力印加装置50の第1電磁石52aと第2電磁石52bとの間に移動させ、停止保持する。この際、図8に示すように、ベアチップ16の中心と第1電磁石52aの中心とがほぼ整列するように、可動ステージ32を位置決めする。これにより、ベアチップ16および接合材20は、第1電磁石52aと第2電磁石52bとの間に位置し、かつ、第1電磁石52aと対向する。また、遮蔽部材61は、接合材20と第1電磁石52aとの間に保持される。
【0036】
この状態で、電源57aから第1電磁石52aの励磁コイル56aに通電し、励磁コイル56aからプリント回路基板10へ向かう磁力を発生させ、接合材20に印加する。接合材20中の磁性体粉末22は、この磁力作用により吸引されて接合材内を移動する。この際、制御部44によって電源57aから励磁コイル56aに供給する電流、電圧、あるいは駆動周波数を制御することにより、励磁コイル56aから発生する磁力の強度を調整し、プリント回路基板10の実装面と直交する方向の磁性体粉末22の分散状態を制御する。
【0037】
また、磁性合金で形成された枠状の遮蔽部材61を第1電磁石52aと接合材20との間に配置することにより、励磁コイル56aから発生した磁力は、遮蔽部材61に引っ張られ、大部分が遮蔽部材61を透過して接合材20の周縁部、つまり、ベアチップ16の周囲に位置する領域に印加される。これにより、接合材20中の磁性体粉末22は、この磁力作用により吸引されて接合材20の外周領域、つまり、ベアチップ16の周囲の領域に移動し集中する。このように、第1電磁石52aと接合材20との間に、磁性合金で形成され磁界を流す遮蔽部材61を介在させ、この遮蔽部材により磁力を部分的に遮断し、所望の領域に集約することにより、プリント回路基板10の実装面の方向に沿った磁性体粉末22の分散状態を制御する。
【0038】
上述した磁力を5〜30分程度、接合材20に印加することにより、接合材20中の磁性体粉末22は、接合材20の外周領域、つまり、ベアチップ16の周囲に、かつ、プリント回路基板10の実装面とベアチップ16の側面との間に分散して局在する。その後、ヒートパネル42により、接合材20を120〜150℃まで加熱し、30〜60程度この温度に保持することにより、接合材20を硬化させる。これにより、ベアチップ16は、接合材20によりプリント回路基板10に強固に接合される。
【0039】
なお、上記実施形態では、接合材20を軟化温度まで加熱した後に、磁力印加装置50に搬送し、磁力を印加する構成としたが、初めから、プリント回路基板10を磁力印加装置50内に搬送し、磁力印加装置内で、接合材を加熱しながら、磁力印加を同時に開始する構成としてもよい。
【0040】
磁力を加えた後の接合材20中の磁性体粉末22は磁化され、この状態で製品として出荷すると、ベアチップ16周辺の機器に磁気的な悪影響を及ぼすおそれがある。そのため、磁力印加装置50により磁力印加した後、可動ステージ32を消磁機70の下方に移動し、消磁機70により接合材20に消磁処理を施し、磁化された磁性体粉末22を消磁する。
【0041】
以上の実装方法および実装装置により、ベアチップ16が接合材20によりプリント回路基板10に強固に接合され、更に、接合材中の磁性体粉末22が所望の領域、ここでは、ベアチップ16の周囲の領域に局在した電子部品実装体が得られる。このように、磁性体粉末22をベアチップ16の周囲の領域に局在させることにより、接合材20のベアチップ周囲でのヤング率および硬度を向上することができるとともに、ベアチップとプリント回路基板との熱膨張差を低減することができる。そのため、プリント回路基板10に外力が作用した場合でも、ベアチップ16の周囲部分で耐衝撃性を向上でき、接合材20の亀裂、破損を防止することができる。また、プリント回路基板10およびベアチップ16が加熱された場合でも、これらの熱膨張差に起因する接合材20の剥離、破損を防止することが可能となる。更に、磁性体粉末22は、外部電磁波に対して、シールドとして作用するため、磁性体粉末22をベアチップの周囲に集中させることにより、外部電磁波に対してベアチップを保護することができるとともに、あるいは、ベアチップ自体が発生する電磁波が外部に漏洩することを防止できる。
【0042】
前述したように、本実装方法および実装装置によれば、第1および第2電磁石52a、52bに供給する電流、電圧、駆動周波数を制御することにより、プリント回路基板10の実装面と垂直な方向の磁性体粉末分布を制御することができるとともに、電磁石と接合材との間に遮蔽部材61を配置することにより、プリント回路基板10の面方向に沿った磁性体粉末分布を制御することができる。遮蔽部材61の形状を種々変更することにより、接合材内の任意の領域へ磁性体粉末を集約することができる。
【0043】
図9および図10に示す実施形態によれば、遮蔽部材61は、ほぼU字形状に形成され、ベアチップ16とプリント回路基板10との間およびベアチップの周囲に充填された接合材20の内、片側の外周の外側と対向するように配置されている。この状態で、第1電磁石52aから磁力を印加すると、ベアチップ16の左側、すなわち、遮蔽部材61が対向配置されている側では、磁力が遮蔽部材61に引っ張られて接合材20の外側に印加され、ベアチップ16の右側においてのみ、接合材20に磁力が印加される。これにより、接合材20中の磁性体粉末22は、磁力に吸引されてベアチップ16の右側に移動し、図9および図11に示すように、接合材20においてベアチップ16の右側の周囲に位置する領域に集中し局在する。
【0044】
その後、接合材20を加熱硬化することにより、ベアチップ16は、プリント回路基板10とベアチップ16との間およびベアチップの周囲に充填された熱硬化性樹脂および磁性体粉末22を含む接合材20によって接合され、更に、磁性体粉末22が、電磁波発生源の側、つまり、ベアチップの右側の領域に局在する接合材が得られる。このような構造の実装体とすることにより、電磁波発生源からの電磁波の干渉を接合材20の右側面に局在させた磁性体粉末22によりシールドすることができ、ベアチップ16を電磁波から保護することができる。同時に、ベアチップとプリント回路基板との接続強度を高め、隔離、損傷を防止することができる。
その他、遮蔽部材は、磁性体粉末を集約する部位に合わせて、任意の形状とすることができる。
【0045】
図12に示す実施形態のように、磁力印加装置50において、遮蔽部材を用いることなく、制御部44の制御の下、第1電磁石52aおよび第2電磁石52bを交互に所定の周期でオン、オフ制御することにより、接合材20に対して、磁力を上方からおよび下方から交互に印加してもよい。この場合、磁力作用により、接合材20中の磁性体粉末22を移動させ、プリント回路基板10の実装面10aに対して垂直な方向に沿って均一に分散させることができる。
【0046】
図13は、他の実施形態に係る実装装置の搬送機構および支持機構を示している。他の実施形態によれば、遮蔽部材61を支持する支持機構60は、可動ステージ32上に載置されたモータ66と、モータによって回動される回転子67と、この回転子から可動ステージ32と平行に延びる支持アーム68とを有し、遮蔽部材61は、支持アーム68の延出端に固定されている。支持アーム68は、樹脂、セラミック等の非磁性材料により形成されている。そして、モータ66によって回転子67および支持アーム68を回動することにより、遮蔽部材61はプリント回路基板10上のベアチップ16と対向する所定位置に移動および配置される。
【0047】
図14は、更に他の実施形態に係る実装装置の搬送機構および支持機構を示している。本実施形態によれば、遮蔽部材61を支持する支持機構60は、可動ステージ32上に設けられたX−Yアーム72を備えている。Xアーム72aは、可動ステージ32に支持され、X方向、ここでは、可動ステージ32の移動方向に延びている。Yアーム72bは、Xアーム72aからY方向、ここでは、可動ステージ32の移動方向と直交する方向に、延出しているとともに、Xアーム72aに沿って移動自在に支持されている。Xアーム72aおよびYアーム72bはそれぞれ樹脂、セラミック等の非磁性材料で形成されている。遮蔽部材61は、Yアーム72bに支持され、このYアームに沿って移動可能に支持されている。
【0048】
図示しない駆動部により、Yアーム72bをXアーム72aに沿って移動させるとともに、遮蔽部材61をYアーム72bに沿って移動させることにより、遮蔽部材61はプリント回路基板10上のベアチップ16と対向する所定位置に移動および配置される。
【0049】
実装装置の加熱機構は、ヒートパネルに限らず、他の加熱手段を用いても良い。図15に示す実施形態によれば、実装装置の加熱機構40は、可動ステージ32上に設けられた複数の赤外線ランプ76を備えている。これらの赤外線ランプ76は、プリント回路基板10上のベアチップ16の周囲に充填された接合材20の両側に配置され、接合材20に向けて赤外線を放射する。
図16に示す実施形態によれば、実装装置の加熱機構40は、可動ステージ32の下に設けられた電磁誘導加熱用の電磁コイル78およびコア79を備えている。
【0050】
図17に示す実施形態によれば、実装装置の加熱機構40は、リフロー炉80を備えている。リフロー炉80内には、図示しない複数の電熱線等が配設され、図示しない制御部により、リフロー炉内は所定の温度に加熱されている。
【0051】
磁力印加装置50は、リフロー炉80内に配置されている。搬送機構30のガイドレール36は、リフロー炉80内を貫通して延びている。そして、ベアチップ16が実装されたプリント回路基板10を載置する可動ステージ32は、ガイドレール36に沿ってリフロー炉80内へ移動され、リフロー炉内で加熱されながら、磁力印加装置50へ搬送される。磁力印加装置により接合材20へ磁力を印加した後、接合材20は120〜150℃で所定時間加熱され、硬化する。その後、可動ステージ32は、リフロー炉80から出て、消磁機70と対向する位置へ搬送され、この消磁機70により接合材20に対して消磁処理を行う。
【0052】
図18に示す実施形態によれば、磁力印加装置50は、ベアチップ16の周囲に充填された接合材の所望領域に対向して配置された1つあるいは複数の永久磁石82を有している。本実施形態によれば、プリント回路基板10が載置された可動ステージ32上に、プリント回路基板10と隙間をおいて支持板84が対向配置され、この支持板上に4つの棒磁石82が載置されている。これらの棒磁石82は、枠状に並べて配置され、接合材20の外周部に対向して位置している。これらの棒磁石82から接合材20の外周部に磁力が印加され、接合材中の磁性体粉末22が外周部に移動し、局在される。プリント回路基板10および棒磁石82が載置された可動ステージ32は、加熱機構、例えば、リフロー炉80内に搬送され、このリフロー炉内で所定の温度に加熱され、接合材20が軟化した後に硬化される。
【0053】
上述した種々の他の実施形態において、実装装置の他の構成は前述した第1実施形態と同一であり、同一の部分には、同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略した。そして、種々の他の実施形態においても、前述した第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0054】
本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0055】
例えば、接合材は、電子部品とプリント回路基板との間、および電子部品の周囲のみに限らず、電子部品の上に被せて充填してもよい。この発明は、BGAベアチップに限らず、他の電子部品の実装にも適用可能である。
【符号の説明】
【0056】
10…プリント回路基板、12…配線パターン、14…接続パッド、16…ベアチップ、18…ハンダボール、20…接合材、22…磁性体粉末、30…搬送機構、32…可動ステージ、36…ガイドレール、40…加熱機構、42…ヒートパネル、44…制御部、50…磁力印加装置、52a…第1電磁石、52b…第2電磁石、56a、56b…励磁コイル、57a、57b…電源、60…支持機構、61…遮蔽部材、64…支持板、68…支持アーム、80…リフロー炉、82…永久磁石
【技術分野】
【0001】
本発明は実装面にハンダボール等の接続部を有する電子部品を回路基板上に実装する実装方法および実装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プリント回路基板の回路パターンにベアチップのような半導体チップの電極をはんだバンプなどで接続するフェイスダウン、例えばBGA(Ball Grid Allay)またはCPS(Chip Scale Package)で実装した半導体チップの実装構造が知られている。フェイスダウンによる実装は、半導体チップの実装占有面積を狭くできる利点を有する。しかしながら、フェイスダウンの実装は、プリント回路基板の材料(例えばガラス・エポキシ樹脂)と半導体チップの材料(シリコン)との間の熱膨張係数の差により、接合部であるはんだに応力が発生して接合部が破壊される虞がある。あるいは、プリント回路基板等に外力が作用した場合、電子部品の接合部に負荷が作用し、接合部が剥がれてしまう虞がある。
【0003】
このようなことから半導体チップの電極をはんだバンプなどで接続するフェイスダウン実装後、プリント回路基板と半導体チップとの間に熱硬化性樹脂溶液(アンダーフィル)を充填し、硬化させて接合材を形成し、プリント回路基板に半導体チップを固定することによって、ヒートサイクルなどの熱的応力に対するプリント回路基板と半導体チップとの間の接続信頼性の向上が図られている。
【0004】
また、特許文献1には、熱硬化性樹脂とこの樹脂よりも比誘電率が小さいフィラー、例えばシリカフィラーとを含む充填材をプリント回路基板と半導体チップとの間に充填し、かつ、プリント回路基板側にシリカフィラーを位置させることにより、配線間のクロストークを低減する電子部品の実装体が開示されている。また、同特許文献1の段落[0029]には「樹脂組成物3に含有されたフィラー2を予め磁性体が内蔵されたもの、例えば金属粉末の周囲をテフロン(登録商標)でコーティングしてなるものとしておき、磁石によってフィラー2が引き付けられる性質を利用して樹脂組成物3中の回路基板14側または半導体装置11側に位置させることも可能である。」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−294601号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1にはフィラーの分散によるプリント回路基板と電子部品との機械的な接続強度を向上させることに関しては着目していない。
【0007】
本発明は、以上の点に鑑みなされたもので、その目的は、プリント回路基板と電子部品との間および電子部品の側面に接合材を充填して電子部品をプリント回路基板に固定する電子部品の実装方法であって、電子部品の機械的な接続強度を向上させることのできる実装方法および実装装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の態様に係る電子部品の実装方法は、プリント回路基板の配線パターン上に電子部品を実装し、少なくとも前記プリント回路基板と電子部品との間および電子部品の周囲に、熱硬化性樹脂および磁性体粉末を含む接合材を充填し、前記接合材を加熱して硬化させて、前記電子部品を前記接合材によりプリント回路基板に接合し、前記加熱による前記接合材の硬化の間に、前記電子部品が実装された前記プリント回路基板を、電磁石と対向配置し、前記電磁石から前記接合材に磁力を印加し、前記磁力により前記接合材内における前記磁性体粉末の分散状態を制御することを特徴としている。
【0009】
この発明の他の態様に係る電子部品の実装装置は、隙間を置いて対向配置された2つの電磁石と、配線パターン上に電子部品が実装されたプリント回路基板であって、少なくとも前記プリント回路基板と電子部品との間および電子部品の周囲に、熱硬化性樹脂および磁性体粉末を含む接合材が充填されたプリント回路基板を、その面方向に沿って搬送し、前記2つの電磁石間の磁力線中に前記電子部品および接合材を配置する搬送機構と、前記接合材を加熱して硬化させる加熱機構と、を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
この発明の態様によれば、プリント回路基板と電子部品との間および電子部品の側面に接合材を充填して電子部品をプリント回路基板に固定する電子部品の実装方法であって、電子部品の機械的な接続強度を向上し信頼性の向上した実装方法および実装装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、電子部品が実装されたプリント回路基板を示す斜視図。
【図2】図2は、図1の線A−Aに沿った電子部品実装部分の断面図。
【図3】図3は、電子部品の実装部を概略的に示す平面図。
【図4】図4は、この発明の第1の実施形態に係る電子部品の実装装置を概略的に示す斜視図。
【図5】図5は、前記実装装置における搬送機構のステージおよび支持機構を示す分解斜視図。
【図6】図6は、前記実装装置のステージおよび支持機構を示す斜視図。
【図7】図7は、前記磁界印加装置の磁力線の流れを概略的に示す断面図。
【図8】図8は、前記磁界印加装置および搬送機構により、プリント回路基板に磁力を印加する工程を示す断面図。
【図9】図9は、他の遮蔽部材を用いて、前記磁界印加装置および搬送機構により、プリント回路基板に磁力を印加する工程を示す断面図。
【図10】図10は、前記他の遮蔽部材を用いて磁力を印加することにより形成された接合材の磁性体粉末の分散状態を概略的に示す平面図。
【図11】図11は、他の遮蔽部材を示す斜視図。
【図12】図12は、前記磁界印加装置により、磁力を異なる方向から印加する状態を示す磁界印加装置の断面図。
【図13】図13は、他の実施形態に係る遮蔽部材の支持機構を示す斜視図。
【図14】図14は、更に他の実施形態に遮蔽部材の支持機構を示す斜視図。
【図15】図15は、他の実施形態に係る実装装置の加熱機構を示す側面図。
【図16】図16は、他の実施形態に係る実装装置の加熱機構を示す側面図。
【図17】図17は、この発明の第2の実施形態に係る実装装置を示す斜視図。
【図18】図18は、他の実施形態に係る実装装置の磁力印加装置を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、この発明の実施形態について詳細に説明する。
【0013】
初めに、実施形態に係る実装方法および実装装置により、プリント回路基板上に実装された電子部品について説明する。図1は、電子部品として、BGA(ボールグリッドアレイ)実装されたシリコンベアチップを示す斜視図、図2は、図1の線A−Aに沿った実装部分の断面図である。
【0014】
図1および図2に示すように、プリント回路基板10は実装面10aを有し、この実装面には、例えば銅箔からなる配線パターン12およびその一部により複数の接続パッド14が形成されている。プリント回路基板10の実装面10aに電子部品、例えば、矩形状のベアチップ16が実装されている。ベアチップ16の下面に形成された複数の電極17は、複数のはんだボール18を介してプリント回路基板10の接続パッド14にハンダ接続され、BGA実装されている。
【0015】
熱硬化性樹脂および磁性体粉末22を含む接合材20が、プリント回路基板10とベアチップ16との間およびベアチップ16の周囲に充填され、硬化することにより、ベアチップ16をプリント回路基板10の実装面10aに固定している。磁性体粉末22は、図2および図3に示すように、接合材20においてベアチップ16の周囲に位置する部分に集まって局在している。
【0016】
接合材20を構成する熱硬化性樹脂は、例えばエポキシ樹脂を用いることができる。具体的なエポキシ樹脂は、熱硬化型一液性エポキシ樹脂を用いることができる。
【0017】
接合材の熱硬化性樹脂に分散される磁性体粉末22は、フェライト(Fe2O3)粉末、ネオジ系磁石粉末、コバルト系磁石粉末、アルコニア系磁石粉末、フェライト系磁石粉末、ケイ素鋼粉末、鉄粉末、パーマロイ粉末、磁性ステンレス鋼粉末を用いることができる。磁性体粉末の中で、特に絶縁性のフェライトが好ましい。
【0018】
磁性体粉末22は、後述する磁力作用による熱硬化性樹脂内で容易に移動可能な球形であることが好ましい。磁性体粉末22は、0.01〜10μmの平均粒径を有することが好ましい。磁性体粉末22は、接合材20中に30〜90重量%で充填されていること好ましい。
【0019】
なお、「磁性体粉末22がベアチップ16の周囲部分に対応する接合材20の箇所に局在している」とは、例えば、前記平均粒径を有する磁性体粉末22がベアチップ16の周囲部分に対応する接合材20の箇所に60〜95重量%の密度で存在することを意味している。このような接合材20において、ベアチップ16の周囲に位置する領域以外の領域では、磁性体粉末22は20〜40重量%の密度で存在する。
【0020】
次に、電子部品を上記のように実装するための、実施形態に係る電子部品の実装方法および実装装置について説明する。図4は、第1の実施形態に係る実装装置全体を概略的に示している。
【0021】
図4に示すように、実装装置は、電子部品が実装され熱硬化性樹脂および磁性体粉末を含む接合材が充填されたプリント回路基板10を、支持しその面方向に沿って搬送する搬送機構30と、接合材20を所定温度に加熱して硬化させる加熱機構40と、搬送機構30により搬送されたプリント回路基板10の接合材20に磁力を印加する磁力印加装置50と、接合材20が硬化した後、接合材を消磁する消磁機70と、を備えている。
【0022】
図4、図5、および図6に示すように、搬送機構30は、プリント回路基板10が載置される矩形板状の可動ステージ32を有している。可動ステージ32は非磁性材料で形成され、その上面の複数個所、例えば、4箇所には、位置決めリブ33が突設されている。プリント回路基板10は、4つの角をそれぞれ位置決めリブ33によって位置決めした状態で、可動ステージ32上に載置される。可動ステージ32の両側面からガイドアーム34が水平に突出している。これらのガイドアーム34は、水平に伸びる2本のガイドレール36上に移動自在に支持されている。そして、図示しない駆動機構により、可動ステージ32は、水平な状態で、ガイドレール36に沿って所望の位置に搬送される。
【0023】
接合材20を加熱する加熱機構40は、可動ステージ32の下面に固定された矩形板状のヒートパネル42と、ヒートパネル42の加熱温度を制御する制御部44と、を有している。加熱機構40は、接合材20をキューリ点よりも低い、所望の温度、例えば、120〜150℃に加熱し、硬化させる。
【0024】
また、可動ステージ32には、後述する遮蔽部材61を支持する支持機構60が設けられている。すなわち、可動ステージ32の上面には、位置決めリブ33の外側に4本の支持ポスト62が立設されている。例えば、ガラス板からなる矩形状の透明な支持板64が支持ポスト62上に載置され、プリント回路基板10と平行に、かつ、隙間を置いて対向している。支持板64は、4つの固定ねじ65により支持ポスト62にねじ止めされている。
【0025】
そして、この支持板64上に、遮蔽部材61が載置され、電子部品16の上方に対向して配置されている。遮蔽部材61は、パーマロイ、珪素鋼板等の磁界を通す磁性合金で形成されている。本実施形態において、遮蔽部材61は、電子部品16よりも僅かに大きな寸法を有する矩形枠状に形成されている。そして、遮蔽部材61は、電子部品16の外周部と重なる位置に配置されている。
【0026】
図7は、磁力印加装置の断面図である。図4および図7に示すように、磁力印加装置50は、隙間を置いて対向配置された第1電磁石52aおよび第2電磁石52bを有している。第1電磁石52aは、鉛直方向に延びるポールピース54a、ポールピースの周囲に設けられたコイルボビン55aに、ポールピースを中心として捲回された励磁コイル56aと、ポールピースに固定され水平に延びるリターンヨーク(天板)58aと、を有している。励磁コイル56aは、電子部品16および接合材20の充填領域よりも広い面積に形成され、広範囲に亘って磁力線を印加可能となっている。
【0027】
同様に、第2電磁石52bは、鉛直方向に延びるポールピース54b、ポールピースの周囲に設けられたコイルボビン55bに、ポールピースを中心として捲回された励磁コイル56bと、ポールピースに固定され水平に延びるリターンヨーク(底板)58bと、を有している。励磁コイル56bは、電子部品16および接合材20の充填領域よりも広い面積に形成され、広範囲に亘って磁力線を印加可能となっている。
【0028】
第1電磁石52aおよび第2電磁石52bは、可動ステージ32の移動路を間に挟んで励磁コイル56a、56bが対向するように配置され、第1電磁石が移動路の上方に、第2電磁石が移動路の下方にそれぞれ位置している。第1電磁石52aのリターンヨーク58bと第2電磁石52bのリターンヨーク58bとは、側壁を構成する一対のリターンヨーク59a、59bによって互いに連結され、閉磁路を形成している。
【0029】
第1電磁石52aの励磁コイル56aは電源57aに接続され、また、第2電磁石52bの励磁コイル56bは電源57bに接続されている。これらの電源57a、57bは制御部44に接続されている。制御部44は、励磁コイル56a、56bに供給する電圧、電流、あるいは駆動周波数を制御し、励磁コイル56a、56bから発生する磁力の向きおよび強度を調整する。
【0030】
電源57a、57bから励磁コイル56a、56bに通電されると、励磁コイルは磁力を発生する。発生した磁力は、ポールピース54a、54bによって強められる。また、リターンヨーク58a、58b、59a、59bは、閉磁路を形成し、励磁コイル56a、56bから発生した磁力が外部に漏れないように規制する。
【0031】
図4に示すように、消磁機70は、磁力印加装置50に対して、プリント回路基板10の搬送方向、下流側に配置され、プリント回路基板10の移動路と対向している。消磁機70は、後述するように、接合材20が硬化した後、磁化された接合材20および電子部品16を消磁処理する。
【0032】
次に、上記のように構成された実装装置により電子部品をプリント回路基板10上に実装する実装方法について説明する。
まず、図2で示したように、プリント回路基板10の接続パッド14上にハンダボール18を介してベアチップ16を位置決め載置した後、加熱によりハンダボール18を溶融させることにより、ベアチップ16をハンダによりBGA実装する。続いて、プリント回路基板10とベアチップ16との間およびベアチップ16の周囲に、熱硬化性樹脂および磁性体粉末22を含む接合材20、例えば50重量%の磁性体粉末22を含む液相状態の熱硬化型一液性エポキシ樹脂溶液を充填し、磁性体粉末含有エポキシ樹脂の充填物を形成する。
【0033】
図5および図6に示すように、このプリント回路基板10を搬送機構30の可動ステージ32上に載置し、角部を位置決めリブ33に合わせることにより、所定位置に位置決めする。更に、可動ステージ32の支持ポスト62上に支持板64を載置し、固定ねじ65によって固定した後、支持板64上に、遮蔽部材61を載置する。この際、遮蔽部材61は、充填された接合材20の内、ベアチップ16の周囲に位置する部分と対向するように位置決めする。
【0034】
次いで、加熱機構40のヒートパネル42に通電して加熱を開始し、プリント回路基板10を通して接合材20を加熱する。ここでは、制御部44によりヒートパネル42の加熱温度をキューリ点よりも低い120〜150℃に制御する。これにより、接合材20は、加熱されて徐々に温度上昇し、60〜80℃に加熱された時点で軟化し始める。
【0035】
接合材20が軟化した時点で、搬送機構30の駆動部を駆動して、可動ステージ32を磁力印加装置50の第1電磁石52aと第2電磁石52bとの間に移動させ、停止保持する。この際、図8に示すように、ベアチップ16の中心と第1電磁石52aの中心とがほぼ整列するように、可動ステージ32を位置決めする。これにより、ベアチップ16および接合材20は、第1電磁石52aと第2電磁石52bとの間に位置し、かつ、第1電磁石52aと対向する。また、遮蔽部材61は、接合材20と第1電磁石52aとの間に保持される。
【0036】
この状態で、電源57aから第1電磁石52aの励磁コイル56aに通電し、励磁コイル56aからプリント回路基板10へ向かう磁力を発生させ、接合材20に印加する。接合材20中の磁性体粉末22は、この磁力作用により吸引されて接合材内を移動する。この際、制御部44によって電源57aから励磁コイル56aに供給する電流、電圧、あるいは駆動周波数を制御することにより、励磁コイル56aから発生する磁力の強度を調整し、プリント回路基板10の実装面と直交する方向の磁性体粉末22の分散状態を制御する。
【0037】
また、磁性合金で形成された枠状の遮蔽部材61を第1電磁石52aと接合材20との間に配置することにより、励磁コイル56aから発生した磁力は、遮蔽部材61に引っ張られ、大部分が遮蔽部材61を透過して接合材20の周縁部、つまり、ベアチップ16の周囲に位置する領域に印加される。これにより、接合材20中の磁性体粉末22は、この磁力作用により吸引されて接合材20の外周領域、つまり、ベアチップ16の周囲の領域に移動し集中する。このように、第1電磁石52aと接合材20との間に、磁性合金で形成され磁界を流す遮蔽部材61を介在させ、この遮蔽部材により磁力を部分的に遮断し、所望の領域に集約することにより、プリント回路基板10の実装面の方向に沿った磁性体粉末22の分散状態を制御する。
【0038】
上述した磁力を5〜30分程度、接合材20に印加することにより、接合材20中の磁性体粉末22は、接合材20の外周領域、つまり、ベアチップ16の周囲に、かつ、プリント回路基板10の実装面とベアチップ16の側面との間に分散して局在する。その後、ヒートパネル42により、接合材20を120〜150℃まで加熱し、30〜60程度この温度に保持することにより、接合材20を硬化させる。これにより、ベアチップ16は、接合材20によりプリント回路基板10に強固に接合される。
【0039】
なお、上記実施形態では、接合材20を軟化温度まで加熱した後に、磁力印加装置50に搬送し、磁力を印加する構成としたが、初めから、プリント回路基板10を磁力印加装置50内に搬送し、磁力印加装置内で、接合材を加熱しながら、磁力印加を同時に開始する構成としてもよい。
【0040】
磁力を加えた後の接合材20中の磁性体粉末22は磁化され、この状態で製品として出荷すると、ベアチップ16周辺の機器に磁気的な悪影響を及ぼすおそれがある。そのため、磁力印加装置50により磁力印加した後、可動ステージ32を消磁機70の下方に移動し、消磁機70により接合材20に消磁処理を施し、磁化された磁性体粉末22を消磁する。
【0041】
以上の実装方法および実装装置により、ベアチップ16が接合材20によりプリント回路基板10に強固に接合され、更に、接合材中の磁性体粉末22が所望の領域、ここでは、ベアチップ16の周囲の領域に局在した電子部品実装体が得られる。このように、磁性体粉末22をベアチップ16の周囲の領域に局在させることにより、接合材20のベアチップ周囲でのヤング率および硬度を向上することができるとともに、ベアチップとプリント回路基板との熱膨張差を低減することができる。そのため、プリント回路基板10に外力が作用した場合でも、ベアチップ16の周囲部分で耐衝撃性を向上でき、接合材20の亀裂、破損を防止することができる。また、プリント回路基板10およびベアチップ16が加熱された場合でも、これらの熱膨張差に起因する接合材20の剥離、破損を防止することが可能となる。更に、磁性体粉末22は、外部電磁波に対して、シールドとして作用するため、磁性体粉末22をベアチップの周囲に集中させることにより、外部電磁波に対してベアチップを保護することができるとともに、あるいは、ベアチップ自体が発生する電磁波が外部に漏洩することを防止できる。
【0042】
前述したように、本実装方法および実装装置によれば、第1および第2電磁石52a、52bに供給する電流、電圧、駆動周波数を制御することにより、プリント回路基板10の実装面と垂直な方向の磁性体粉末分布を制御することができるとともに、電磁石と接合材との間に遮蔽部材61を配置することにより、プリント回路基板10の面方向に沿った磁性体粉末分布を制御することができる。遮蔽部材61の形状を種々変更することにより、接合材内の任意の領域へ磁性体粉末を集約することができる。
【0043】
図9および図10に示す実施形態によれば、遮蔽部材61は、ほぼU字形状に形成され、ベアチップ16とプリント回路基板10との間およびベアチップの周囲に充填された接合材20の内、片側の外周の外側と対向するように配置されている。この状態で、第1電磁石52aから磁力を印加すると、ベアチップ16の左側、すなわち、遮蔽部材61が対向配置されている側では、磁力が遮蔽部材61に引っ張られて接合材20の外側に印加され、ベアチップ16の右側においてのみ、接合材20に磁力が印加される。これにより、接合材20中の磁性体粉末22は、磁力に吸引されてベアチップ16の右側に移動し、図9および図11に示すように、接合材20においてベアチップ16の右側の周囲に位置する領域に集中し局在する。
【0044】
その後、接合材20を加熱硬化することにより、ベアチップ16は、プリント回路基板10とベアチップ16との間およびベアチップの周囲に充填された熱硬化性樹脂および磁性体粉末22を含む接合材20によって接合され、更に、磁性体粉末22が、電磁波発生源の側、つまり、ベアチップの右側の領域に局在する接合材が得られる。このような構造の実装体とすることにより、電磁波発生源からの電磁波の干渉を接合材20の右側面に局在させた磁性体粉末22によりシールドすることができ、ベアチップ16を電磁波から保護することができる。同時に、ベアチップとプリント回路基板との接続強度を高め、隔離、損傷を防止することができる。
その他、遮蔽部材は、磁性体粉末を集約する部位に合わせて、任意の形状とすることができる。
【0045】
図12に示す実施形態のように、磁力印加装置50において、遮蔽部材を用いることなく、制御部44の制御の下、第1電磁石52aおよび第2電磁石52bを交互に所定の周期でオン、オフ制御することにより、接合材20に対して、磁力を上方からおよび下方から交互に印加してもよい。この場合、磁力作用により、接合材20中の磁性体粉末22を移動させ、プリント回路基板10の実装面10aに対して垂直な方向に沿って均一に分散させることができる。
【0046】
図13は、他の実施形態に係る実装装置の搬送機構および支持機構を示している。他の実施形態によれば、遮蔽部材61を支持する支持機構60は、可動ステージ32上に載置されたモータ66と、モータによって回動される回転子67と、この回転子から可動ステージ32と平行に延びる支持アーム68とを有し、遮蔽部材61は、支持アーム68の延出端に固定されている。支持アーム68は、樹脂、セラミック等の非磁性材料により形成されている。そして、モータ66によって回転子67および支持アーム68を回動することにより、遮蔽部材61はプリント回路基板10上のベアチップ16と対向する所定位置に移動および配置される。
【0047】
図14は、更に他の実施形態に係る実装装置の搬送機構および支持機構を示している。本実施形態によれば、遮蔽部材61を支持する支持機構60は、可動ステージ32上に設けられたX−Yアーム72を備えている。Xアーム72aは、可動ステージ32に支持され、X方向、ここでは、可動ステージ32の移動方向に延びている。Yアーム72bは、Xアーム72aからY方向、ここでは、可動ステージ32の移動方向と直交する方向に、延出しているとともに、Xアーム72aに沿って移動自在に支持されている。Xアーム72aおよびYアーム72bはそれぞれ樹脂、セラミック等の非磁性材料で形成されている。遮蔽部材61は、Yアーム72bに支持され、このYアームに沿って移動可能に支持されている。
【0048】
図示しない駆動部により、Yアーム72bをXアーム72aに沿って移動させるとともに、遮蔽部材61をYアーム72bに沿って移動させることにより、遮蔽部材61はプリント回路基板10上のベアチップ16と対向する所定位置に移動および配置される。
【0049】
実装装置の加熱機構は、ヒートパネルに限らず、他の加熱手段を用いても良い。図15に示す実施形態によれば、実装装置の加熱機構40は、可動ステージ32上に設けられた複数の赤外線ランプ76を備えている。これらの赤外線ランプ76は、プリント回路基板10上のベアチップ16の周囲に充填された接合材20の両側に配置され、接合材20に向けて赤外線を放射する。
図16に示す実施形態によれば、実装装置の加熱機構40は、可動ステージ32の下に設けられた電磁誘導加熱用の電磁コイル78およびコア79を備えている。
【0050】
図17に示す実施形態によれば、実装装置の加熱機構40は、リフロー炉80を備えている。リフロー炉80内には、図示しない複数の電熱線等が配設され、図示しない制御部により、リフロー炉内は所定の温度に加熱されている。
【0051】
磁力印加装置50は、リフロー炉80内に配置されている。搬送機構30のガイドレール36は、リフロー炉80内を貫通して延びている。そして、ベアチップ16が実装されたプリント回路基板10を載置する可動ステージ32は、ガイドレール36に沿ってリフロー炉80内へ移動され、リフロー炉内で加熱されながら、磁力印加装置50へ搬送される。磁力印加装置により接合材20へ磁力を印加した後、接合材20は120〜150℃で所定時間加熱され、硬化する。その後、可動ステージ32は、リフロー炉80から出て、消磁機70と対向する位置へ搬送され、この消磁機70により接合材20に対して消磁処理を行う。
【0052】
図18に示す実施形態によれば、磁力印加装置50は、ベアチップ16の周囲に充填された接合材の所望領域に対向して配置された1つあるいは複数の永久磁石82を有している。本実施形態によれば、プリント回路基板10が載置された可動ステージ32上に、プリント回路基板10と隙間をおいて支持板84が対向配置され、この支持板上に4つの棒磁石82が載置されている。これらの棒磁石82は、枠状に並べて配置され、接合材20の外周部に対向して位置している。これらの棒磁石82から接合材20の外周部に磁力が印加され、接合材中の磁性体粉末22が外周部に移動し、局在される。プリント回路基板10および棒磁石82が載置された可動ステージ32は、加熱機構、例えば、リフロー炉80内に搬送され、このリフロー炉内で所定の温度に加熱され、接合材20が軟化した後に硬化される。
【0053】
上述した種々の他の実施形態において、実装装置の他の構成は前述した第1実施形態と同一であり、同一の部分には、同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略した。そして、種々の他の実施形態においても、前述した第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0054】
本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0055】
例えば、接合材は、電子部品とプリント回路基板との間、および電子部品の周囲のみに限らず、電子部品の上に被せて充填してもよい。この発明は、BGAベアチップに限らず、他の電子部品の実装にも適用可能である。
【符号の説明】
【0056】
10…プリント回路基板、12…配線パターン、14…接続パッド、16…ベアチップ、18…ハンダボール、20…接合材、22…磁性体粉末、30…搬送機構、32…可動ステージ、36…ガイドレール、40…加熱機構、42…ヒートパネル、44…制御部、50…磁力印加装置、52a…第1電磁石、52b…第2電磁石、56a、56b…励磁コイル、57a、57b…電源、60…支持機構、61…遮蔽部材、64…支持板、68…支持アーム、80…リフロー炉、82…永久磁石
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント回路基板の配線パターン上に電子部品を実装し、
少なくとも前記プリント回路基板と電子部品との間および電子部品の周囲に、熱硬化性樹脂および磁性体粉末を含む接合材を充填し、
前記接合材を加熱して硬化させて、前記電子部品を前記接合材によりプリント回路基板に接合し、
前記加熱による前記接合材の硬化の間に、前記電子部品が実装された前記プリント回路基板を、電磁石と対向配置し、前記電磁石から前記接合材に磁力を印加し、前記磁力により前記接合材内における前記磁性体粉末の分散状態を制御する、
電子部品の実装方法。
【請求項2】
前記電磁石に供給する電流、電圧、あるいは、駆動周波数を調整して前記磁力を変化させ、前記プリント回路基板の実装面と直交する方向の前記磁性体粉末の分散状態を制御する請求項1に記載の電子部品の実装方法。
【請求項3】
前記電磁石と前記接合材との間に、磁性合金で形成され磁界を流す遮蔽部材を介在させ、この遮蔽部材により前記磁力を部分的に遮断することにより、前記プリント回路基板の実装面の方向に沿った前記磁性体粉末の分散状態を制御する請求項1に記載の電子部品の実装方法。
【請求項4】
前記プリント回路基板を通して前記接合材をヒートパネル、赤外線ランプ、あるいは電磁誘導加熱により加熱する請求項1に記載の電子部品の実装方法。
【請求項5】
前記電子部品が実装され、前記接合材が充填されたプリント回路基板をリフロー炉を通して搬送し、前記リフロー炉により前記接合材を加熱する請求項1に記載の電子部品の実装方法。
【請求項6】
前記接合材が硬化した後、前記電子部品およびプリント回路基板を消磁する請求項1に記載の電子部品の実装方法。
【請求項7】
隙間を置いて対向配置された2つの電磁石を有し、接合材に磁力を印加する磁力印加装置と、
配線パターン上に電子部品が実装されたプリント回路基板であって、少なくとも前記プリント回路基板と電子部品との間および電子部品の周囲に、熱硬化性樹脂および磁性体粉末を含む接合材が充填されたプリント回路基板を、その面方向に沿って搬送し、前記2つの電磁石間の磁力線中に前記電子部品および接合材を配置する搬送機構と、
前記接合材を加熱して硬化させる加熱機構と、
を備える電子部品の実装装置。
【請求項8】
前記電磁石に供給する電流、電圧、あるいは、駆動周波数を調整して前記磁力を変化させ、前記プリント回路基板の実装面と直交する方向の前記磁性体粉末の分散状態を制御する制御部を備えている請求項7に記載の電子部品の実装装置。
【請求項9】
一方の前記電磁石と前記接合材との間に介在されているともに磁性合金で形成され、前記磁力線を部分的に遮断することにより、前記プリント回路基板の実装面の方向に沿った前記磁性体粉末の分散状態を制御する遮蔽部材を備えている請求項7に記載の電子部品の実装装置。
【請求項10】
前記遮蔽部材を前記電子部品に対して任意の位置に支持する支持機構を備えている請求項9に記載の電子部品の実装装置。
【請求項11】
前記加熱機構は、前記プリント回路基板が載置さるヒートパネルを有している請求項7に記載の電子部品の実装装置。
【請求項12】
前記加熱機構は、赤外線ランプを備えている請求項7に記載の電子部品の実装装置。
【請求項13】
前記加熱機構は、電磁誘導加熱する電磁コイルおよびコアを備えている請求項7に記載の電子部品の実装装置。
【請求項14】
前記加熱機構は、所定の温度に加熱されたリフロー炉を備え、
前記搬送機構は、前記リフロー炉内を通して前記プリント回路基板を搬送する請求項7に記載の電子部品の実装装置。
【請求項15】
前記接合材が硬化した後、前記電子部品およびプリント回路基板を消磁する消磁機を備えている請求項7に記載の電子部品の実装装置。
【請求項1】
プリント回路基板の配線パターン上に電子部品を実装し、
少なくとも前記プリント回路基板と電子部品との間および電子部品の周囲に、熱硬化性樹脂および磁性体粉末を含む接合材を充填し、
前記接合材を加熱して硬化させて、前記電子部品を前記接合材によりプリント回路基板に接合し、
前記加熱による前記接合材の硬化の間に、前記電子部品が実装された前記プリント回路基板を、電磁石と対向配置し、前記電磁石から前記接合材に磁力を印加し、前記磁力により前記接合材内における前記磁性体粉末の分散状態を制御する、
電子部品の実装方法。
【請求項2】
前記電磁石に供給する電流、電圧、あるいは、駆動周波数を調整して前記磁力を変化させ、前記プリント回路基板の実装面と直交する方向の前記磁性体粉末の分散状態を制御する請求項1に記載の電子部品の実装方法。
【請求項3】
前記電磁石と前記接合材との間に、磁性合金で形成され磁界を流す遮蔽部材を介在させ、この遮蔽部材により前記磁力を部分的に遮断することにより、前記プリント回路基板の実装面の方向に沿った前記磁性体粉末の分散状態を制御する請求項1に記載の電子部品の実装方法。
【請求項4】
前記プリント回路基板を通して前記接合材をヒートパネル、赤外線ランプ、あるいは電磁誘導加熱により加熱する請求項1に記載の電子部品の実装方法。
【請求項5】
前記電子部品が実装され、前記接合材が充填されたプリント回路基板をリフロー炉を通して搬送し、前記リフロー炉により前記接合材を加熱する請求項1に記載の電子部品の実装方法。
【請求項6】
前記接合材が硬化した後、前記電子部品およびプリント回路基板を消磁する請求項1に記載の電子部品の実装方法。
【請求項7】
隙間を置いて対向配置された2つの電磁石を有し、接合材に磁力を印加する磁力印加装置と、
配線パターン上に電子部品が実装されたプリント回路基板であって、少なくとも前記プリント回路基板と電子部品との間および電子部品の周囲に、熱硬化性樹脂および磁性体粉末を含む接合材が充填されたプリント回路基板を、その面方向に沿って搬送し、前記2つの電磁石間の磁力線中に前記電子部品および接合材を配置する搬送機構と、
前記接合材を加熱して硬化させる加熱機構と、
を備える電子部品の実装装置。
【請求項8】
前記電磁石に供給する電流、電圧、あるいは、駆動周波数を調整して前記磁力を変化させ、前記プリント回路基板の実装面と直交する方向の前記磁性体粉末の分散状態を制御する制御部を備えている請求項7に記載の電子部品の実装装置。
【請求項9】
一方の前記電磁石と前記接合材との間に介在されているともに磁性合金で形成され、前記磁力線を部分的に遮断することにより、前記プリント回路基板の実装面の方向に沿った前記磁性体粉末の分散状態を制御する遮蔽部材を備えている請求項7に記載の電子部品の実装装置。
【請求項10】
前記遮蔽部材を前記電子部品に対して任意の位置に支持する支持機構を備えている請求項9に記載の電子部品の実装装置。
【請求項11】
前記加熱機構は、前記プリント回路基板が載置さるヒートパネルを有している請求項7に記載の電子部品の実装装置。
【請求項12】
前記加熱機構は、赤外線ランプを備えている請求項7に記載の電子部品の実装装置。
【請求項13】
前記加熱機構は、電磁誘導加熱する電磁コイルおよびコアを備えている請求項7に記載の電子部品の実装装置。
【請求項14】
前記加熱機構は、所定の温度に加熱されたリフロー炉を備え、
前記搬送機構は、前記リフロー炉内を通して前記プリント回路基板を搬送する請求項7に記載の電子部品の実装装置。
【請求項15】
前記接合材が硬化した後、前記電子部品およびプリント回路基板を消磁する消磁機を備えている請求項7に記載の電子部品の実装装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2011−77167(P2011−77167A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−225028(P2009−225028)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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