説明

電子部品の接続方法

【課題】電子部品と基板との電気的接続を簡易かつ歩留まりよく行うことが可能な新規な方法を提供する。
【解決方法】接続用の第1の電極を有する基板と、接続用の第2の電極を有する電子部品とを、前記第1の電極及び前記第2の電極を介して電気的に接続する方法であって、前記基板の前記第1の電極上に導電性ペーストを配置する工程と、前記基板の前記第1の電極の非形成領域において、熱硬化性樹脂シートを配置する工程と、前記電子部品を、前記第2の電極と前記基板の前記第1の電極とが接触するようにして前記基板上に搭載し、0.1Pa以下の圧力下において、80〜150℃の温度で加熱し、前記導電性ペースト及び前記熱硬化性樹脂シートを同時に加熱硬化させて、前記電子部品を前記基板に電気的に接続する工程と、を具える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品の接続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品の組立工程におけるダイアタッチ工程では、基板に液状接着剤を塗布して電子部品を搭載した後に、液状接着剤を加熱硬化することで電子部品を基板に接続していた。しかしながら、ダイアタッチ工程による電子部品の組み立てにおいては、電子部品の表面や基板のパッドに液状接着剤が付着したり、基板の電極部へのしみだしによって、基板電極部と電子部品のパッドとを接続するための導電ペーストの、接合領域の面積や幅寸法が変動したりして、電子部品と基板との電気的接続の信頼性に劣るという問題が生じていた。
【0003】
このような問題に鑑みて、例えば、半導体チップを搭載したインターポーザと基板とを接続する際に、最初に、インターポーザと基板との間に熱硬化性樹脂シートを介在させ、この熱硬化性樹脂シートに150℃程度の熱を加えて一旦溶融した後硬化させ、インターポーザと基板とを機械的に接続した後、インターポーザの下部に形成した導電性バンプを230℃程度で加熱して溶融させ、インターポーザと基板とを電気的に接続する方法等が提案されている(特許文献1)。
【0004】
また、最初に、半導体素子の導電性バンプと基板の電極部とを電気的に接続した後、半導体素子と基板との間にエポキシ樹脂を充填し、一定の温度に加熱してエポキシ樹脂を硬化させることにより、半導体素子と基板とを機械的に接続する方法等も提案されている(特許文献2)。
【0005】
しかしながら、上述した技術においては、少なくとも2段階の加熱工程が必要となり、さらに必要に応じて加圧工程も含まれることになるので、工程数の増加に伴うコスト高の問題が生じ、さらに加圧工程を含む場合は、電子部品が脆い場合は破損等が生じて好ましくない。
【0006】
一方、半導体チップを実装する前に、予め実装する基板の半導体素子搭載領域にエポキシ樹脂をベースレジンとして導電粒子を添加したペーストを塗布あるいは導電性フィルムを配置し、その後、上記ペーストあるいは導電性フィルムを介して半導体チップを実装することにより、半導体チップと基板との機械的接続と電気的接続とを同時に行う方法が提案されている(特許文献3)。
【0007】
しかしながら、この方法の場合、電気的接続部以外にも導電粒子等が分散するため、半導体チップと基板との間で電気的絶縁を取らなければならないような箇所が導通してしまったり、導電粒子が高価であるので、電気的接続部以外にも導電粒子等が分散することにより、コストが増大してしまうなどの問題が生じていた。また、加圧工程が必須の工程となるので、上述のように、半導体チップが脆い場合は半導体チップが破損してしまうなどの問題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許2002−343828号
【特許文献2】特開平9−181122号
【特許文献3】特開2001−326245号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、電子部品と基板との電気的接続及び機械的接続を簡易かつ歩留まりよく行うことが可能な新規な方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成すべく、本発明は、
接続用の第1の電極を有する基板と、接続用の第2の電極を有する電子部品とを、前記第1の電極及び前記第2の電極を介して電気的に接続する方法であって、
前記基板の前記第1の電極上に導電性ペーストを配置する工程と、
前記基板の前記第1の電極の非形成領域において、熱硬化性樹脂シートを配置する工程と、
前記電子部品を、前記第2の電極と前記基板の前記第1の電極とが接触するようにして前記基板上に搭載し、0.1Pa以下の圧力下において、80〜150℃の温度で加熱し、前記導電性ペースト及び前記熱硬化性樹脂シートを同時に加熱硬化させて、前記電子部品を前記基板に電気的に接続する工程と、
を具えることを特徴とする、電子部品の接続方法に関する。
【発明の効果】
【0011】
以上より、本発明によれば、電子部品と基板との電気的接続を簡易かつ歩留まりよく行うことが可能な新規な方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施形態における電子部品の接続方法を説明するための工程図である。
【図2】実施形態における電子部品の接続方法を説明するための工程図である。
【図3】実施形態における電子部品の接続方法を説明するための工程図である。
【図4】実施形態における電子部品の接続方法を説明するための工程図である。
【図5】実施形態における電子部品の接続方法を説明するための工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明のその他の特徴及び利点について、発明を実施するための形態に基づいて詳細に説明する。
【0014】
図1〜図5は、本実施形態における電子部品の接続方法を説明するための工程図である。
最初に、図1に示すように、第1の電極としてのランド部12が形成された基板11を準備する。基板11は、例えばガラス基板、セラミック基板、樹脂基板(BT、PET等)、ガラスエポキシ基板(FR−4、FR−5)、金属酸化物を表面に被覆した金属板等から構成することができる。
【0015】
次いで、図2に示すように、基板11のランド部12上に導電性ペースト13を塗布する。この導電性ペースト13は、樹脂をベースレジンとし、導電粒子を添加したものを用いることができる。ここで用いられる導電粒子としては金、銀、ニッケル等の金属粒子が挙げられる。また、樹脂としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂等様々な材料が利用可能であるが、これらを単独あるいは2種以上組み合わせて用いることもできる。なかでも、粘性、耐熱性等の面に優れるエポキシ樹脂が好適に用いられる。樹脂は、25℃の室温において液状であることが望ましい。樹脂には接続信頼性確保に必要な樹脂物性を得る等の目的で無機フィラー、例えばシリカ等を添加してもよい。
【0016】
なお、市販の導電性ペーストとして、例えば、エポキシ樹脂をベースレジンとし、銀を導電粒子とする京セラケミカル製ケミタイトCT265Lが好適に用いられる。熱硬化の条件は、100℃下、1.5時間である。
【0017】
導電性ペースト13は、例えばディスペンサーを用いる手法や、スクリーン印刷の手法などによって塗布することができる。なお、塗布方法は特に限定されるものではない。
【0018】
次いで、図3に示すように、基板11上の、ランド部12及び導電性ペースト13の非形成領域において、熱硬化性樹脂シート14を配置する。この熱硬化性樹脂シート14は、例えば、硬化前の100℃における溶融粘度が0.4〜100Pa・s、ゲルタイムが20〜300分であるようなものであることが好ましい。
【0019】
硬化前の100℃における溶融粘度が0.4Pa・s未満であると、熱硬化性樹脂シート14の加熱硬化時における流動性が高くなり、基板11上のランド部12及び導電性ペースト13へ溶融樹脂が侵入及び混入して、後の工程における電子部品との接続の際に、電気的接続性に不具合が生じる場合がある。一方、硬化前の100℃における溶融粘度が100Pa・sを超えると、熱硬化性樹脂シート14の加熱硬化時における流動性が低くなり、硬化後の熱硬化性樹脂シート14中にボイドが発生する場合がある。したがって、基板11と電子部品とを機械的に強固に接続できない場合がある。
【0020】
なお、上述した作用効果をより顕著に奏するためには、硬化前の100℃における溶融粘度が0.5 〜20 Pa・sであることが好ましく、 0.7〜 5.0 Pa・sであることがより好ましい。
【0021】
また、100℃でのゲルタイムが前記範囲外であると、以下の工程で示すように、導電性ペースト13及び熱硬化性樹脂シート14を一括して硬化させるのが困難になる。なお、ゲルタイムは、特に60分以内であることが好ましい。
【0022】
上述した溶融粘度は、熱硬化性樹脂シート14を、レオメーター(Rhenemetric Scientific社製、ARES)において、25mmφのパラレルプレートを使用して、100℃定温下、歪み50%(最大)、角速度50rad/sの下で、3分後の粘度を求めたものである。また、ゲルタイムは100℃のオイルバス中で熱硬化性樹脂シート14がゲルになるまでの時間を測定することにより求めた(試験管法、JISC2105)。
【0023】
上述した特性を満足する熱硬化性樹脂シート14は、例えば(A)液状ビスフェノール型エポキシ樹脂、(B)軟化点が70℃以下の固形状多官能エポキシ樹脂、(C)エポキシ樹脂用硬化剤、(D)無機フィラー及び(E)難燃剤を含み、(A)液状ビスフェノール型エポキシ樹脂と(B)軟化点が70℃以下の固形状多官能エポキシ樹脂との質量比(A)/(B)が10/90〜30/70であり、(D)無機フィラーの含有量が全体の10質量%〜80質量%であるような熱硬化性樹脂から構成することができる。
【0024】
(A)成分として用いられる液状ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、一分子中に2個以上のエポキシ基を有する液状のビスフェノール型化合物であればよく、特に制限はないが、例えばビスフェノールA型及びビスフェノールF型が好適である。このうち、液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂が好ましく用いられ、その具体例としては、ダウケミカル社製の「DER383J」、三菱化学社製の「807」(エポキシ当量170)、三井化学社製の「R140P」(エポキシ当量188)などが使用される。
【0025】
なお、本実施形態において、液状ビスフェノール型エポキシ樹脂とは、25℃において液状を呈するビスフェノール型エポキシ樹脂を指す。
【0026】
(B)成分として用いられる軟化点が70℃以下の固形状多官能エポキシ樹脂としては、例えば、ビフェニル骨格含有アラルキル型エポキシ樹脂の混合物やジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂の混合物などが挙げられる。軟化点が70℃以下の固形状多官能エポキシ樹脂の市販品としては、日本化薬社製の「NC3000(軟化点57℃)」、「NC3000H(軟化点70℃)」、東都化成社製の「YDCN704(軟化点90℃)」などが好ましく使用される。
【0027】
本実施形態では、(A)液状ビスフェノール型エポキシ樹脂と、(B)軟化点が70℃以下の固形状多官能エポキシ樹脂とを併用する、すなわち融点の異なる2種類のエポキシ樹脂を配合した熱硬化性樹脂を用いることによって、室温でシート状、高温で液状の挙動を示す上記熱硬化性樹脂シート14を得ることができる。
【0028】
上記熱硬化性樹脂組成物において、(A)液状ビスフェノール型エポキシ樹脂と(B)軟化点が70℃以下の固形状多官能エポキシ樹脂との質量比(A)/(B)は、10/90〜30/70の範囲にあることを要する。液状エポキシ樹脂が、上記範囲より少ないか又は固形状エポキシ樹脂の軟化点が70℃を超えると、上記熱硬化性樹脂組成物から熱硬化性樹脂シート14を製造した際に、割れまたは欠けが発生し好ましくない。
【0029】
また、液状エポキシ樹脂が上記範囲より多いか又は固形状エポキシ樹脂の軟化点が低すぎると、上記熱硬化性樹脂組成物から、熱硬化性樹脂シート14を製造するのが困難となる。
【0030】
なお、上述した作用効果をより顕著に奏するようにするためには、質量比(A)/(B)は15/85〜25/75の範囲であることがより好ましく、また固形状エポキシ樹脂の軟化点の下限は、通常40℃程度であることが好ましい。
【0031】
(C)成分として用いられるエポキシ樹脂用硬化剤としては、特に制限はなく、従来エポキシ樹脂の硬化剤として使用されているものの中から、任意のものを適宜選択して用いることができ、例えばアミン系、フェノール系、酸無水物系などが挙げられる。アミン系硬化剤としては、例えばジシアンジアミドや、m−フェニレンジアミンなどの芳香族ジアミン等が好ましく挙げられる。
【0032】
なお、上記熱硬化性樹脂組成物には、必要に応じて、エポキシ樹脂用硬化促進剤を含有させることができる。このエポキシ樹脂用硬化促進剤としては、特に制限はなく、従来エポキシ樹脂の硬化促進剤として使用されているものの中から、任意のものを適宜選択して用いることができる。例えば、芳香族ジメチルウレア、脂肪族ジメチルウレア等のウレア類などを例示することができる。
【0033】
(D)成分として用いられる無機フィラーとしては特に制限はなく、例えば溶融シリカ、球状シリカなどのシリカ類;アルミナなど、通常用いられているものを使用することができる他、難燃効果も有する水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムも用いることができる。水酸化アルミニウム化合物としては、例えば昭和電工社製の「H42M」を好ましく使用することができる。
【0034】
無機フィラーの質量平均粒子径は、製造時の作業性および充填効率の観点から、1〜30μmの範囲にあることが好ましい。なお、この質量平均粒子径は、レーザ回折散乱方式(たとえば、島津製作所製、装置名:SALD-3100)により測定された値である。
【0035】
無機フィラーとしては、水酸化アルミニウム化合物や球状シリカが好ましく、前者のものは、例えば、昭和電工社製の「H42M」が好ましく、後者のものは、例えば、電気化学工業社製の「FB−959(質量平均粒子径:25μm)」などが好適である。
【0036】
無機フィラーの含有量は、上記熱硬化性樹脂組成物の全量に対し、10〜80質量%であることを要する。この含有量が10質量%未満では、上記熱硬化性樹脂組成物から熱硬化性樹脂シート14を製造するに際し、以下に説明するようにシート14を用いて電子部品を固定する際、溶融した樹脂の流動性が高くなって導電ペースト13と混じり、硬化物に反りや、ねじれが発生しやすい。一方80質量%を超えると、熱硬化性樹脂シート14に割れや欠けが発生し、さらには溶融時の流動性が低下して、熱硬化性樹脂シート14の接着性の低下等の問題が起きやすくなるため好ましくない。
【0037】
上記熱硬化性樹脂組成物から熱硬化性樹脂シート14を製造する場合は、例えば以下のようにして行う。すなわち、熱硬化性樹脂組成物を構成する各成分を、ニーダー、二本ロール、連続混練装置などで50〜110℃程度の混練温度で十分混練した後、得られた上記熱硬化性樹脂組成物を冷却し、成形機にて50〜100℃程度の温度、圧力0.5〜1.5MPaの条件でプレスして、熱硬化性樹脂シート14を製造する。
【0038】
なお、熱硬化性樹脂シート14の厚さは20〜100μmが好ましい。20μm未満の場合には、熱硬化性樹脂シート14単体での取り扱い作業性 の観点から好ましくない。一方100μmを超える場合は、基板11に対する電子部品の接合厚さが増大し、得られた電子部品アセンブリが厚くなってしまう。
【0039】
次いで、図4に示すように、電子部品15を準備する。この電子部品15の下面には第2の電極としての電極パッド16が形成されている。電極パッド16上には、Cr−Cu、Ti−Pd等のバリアメタル膜を介して、電解メッキ法により金属バンプ電極17が形成されている。金属電極バンプ17は、例えばAu、Ag、Cuから構成することができる。
【0040】
また、金属バンプ電極17の代わりに、はんだ材を供給し、リフローすることによってはんだバンプとすることもできる。
【0041】
金属バンプ電極17の高さ(厚さ)は、例えば3〜30μmとすることができる。
【0042】
なお、本実施形態においては、導電性ペースト13を基板11のランド部12上に設けたが、金属バンプ電極17上に設けるようにすることもできる。
【0043】
その後、電子部品15の金属バンプ電極17と基板11の導電性ペースト13との位置が一致するようにして電子部品15を基板11上に配置し、0〜0.1Paの圧力下、80〜150℃程度の温度に加熱する。そして、導電性ペースト13及び熱硬化性樹脂シート14を同時に溶融させた後、冷却して、導電性ペースト13及び熱硬化性樹脂シート14を一括して硬化させる。これによって、図5に示すように、基板11と電子部品15とは、導電性ペースト13等の硬化物である電気的接続体18によって電気的に接続されるとともに、熱硬化性樹脂シート14の硬化物19によって機械的に接続される。
【0044】
このように、本実施形態では、導電性ペースト13及び熱硬化性樹脂シート14を一括して溶融及び硬化させて、基板11及び電子部品15を電気的及び機械的に接続するので、従来に比し、1段の加熱工程を実施するのみで足りる。また、上述した加熱処理によって導電性ペースト13及び熱硬化性樹脂シート14が同時に流動化するようになるので、電子部品15に加える圧力は最大でも0.1Paとすることができる。したがって、電子部品15が脆い場合においても電子部品15を破壊してしまうようなことがない。
【実施例】
【0045】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。なお、各例における諸特性は、以下に示す方法に従って求めた。
【0046】
(1)溶融粘度
熱硬化性樹脂シートをレオメーター(RhenemetricScientific社製、ARES)にて測定(100℃)した。すなわち該熱硬化性樹脂シート片について、レオメーターにおいて、25mmφのパラレルプレートを使用して、100℃定温下、歪み50%(最大)、角速度50rad/sの下で、3分後の粘度を求めたものである。
【0047】
(2)ゲルタイム
JIS C 2105の試験管法に準拠して、100℃のオイルバス中でシート状樹脂組成物がゲルになるまでの時間を測定した。
【0048】
(3)電極部への染み出し
接続後の電子部品を切断し電極部を目視により観察し、以下の基準で評価した。
○:樹脂の染み出し面積が電極面積の5%未満
△:樹脂の染み出し面積が電極面積の5%以上15%未満
×:樹脂の染み出し面積が電極面積の15%以上
【0049】
(4)導通性
テスターで抵抗値を測り、以下の基準で評価した。
○:抵抗値が100Ω未満
×:抵抗値が100Ω以上
【0050】
(5)電子部品の状態
導電ペーストと熱硬化性樹脂シートの両者を硬化後、目視による電子部品の外観を調べ、以下の基準で評価した。
○:電子部品の変形、割れ、欠けなし
×:電子部品の変形、割れ、欠けあり
【0051】
(熱硬化性樹脂シートの製造:実施例1〜5)
表1に示す配合組成の各原料をニーダーに仕込み、75℃で1時間撹拌混合して、各樹脂組成物を調製した。次いで、各樹脂組成物それぞれを30℃に冷却後、成形機により、70℃、1.0MPaの条件でプレス成形して厚さ0.5mmの熱硬化性樹脂シートとした。各例における諸特性の評価結果を表1に示す。
【0052】
(電子部品の接続)
(実施例1〜5)
基板上に予め形成された電極部上に、ディスペンサーを用いて導電ペーストを塗布後、導電ペースト塗布部に隣接して、表1の各実施例に対応する特性を有する熱硬化性樹脂シートを配置した。その後、導電ペースト、熱硬化性樹脂シート両者を覆うようにして電子部品をマウント後、加圧せずに、80℃〜150℃の温度に2時間加熱して熱硬化性樹脂シートを溶融するとともに、導電ペーストを溶融し、その後硬化させて、電子部品と基板との電気的接続と共に物理的固定を行った。結果を表1示す。
【0053】
(比較例1)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂のエピコート828(ジャパンエポキシレジン社製、商品名)90質量部、ジシアンジアミド1質量部、及びイミダゾール2E4MZ(四国化成工業製)0.5質量部を混合して得た熱硬化性樹脂中に、無機フィラーとして平均粒径3.4μmのシリカのFB3LDX(電気化学工業社製、商品名)及び平均粒径0.6μmのシリカのSE2100(アドマテックス社製、商品名)とを質量比で3:1の割合で予備混合した混合シリカを10質量部加え、分散させて接着剤を得た。
【0054】
得られた接着剤を、基板電極上の導電ペースト付与部に隣接して塗布したが、両者が混じり硬化後の導通性が良好でなかった。
【0055】
(比較例2)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂のエピコート828(ジャパンエポキシレジン社製、商品名)2.9質量部、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂のEPPN−501HY(日本化薬社製、商品名)2.9質量部、ノボラック型フェノール樹脂のDL−65(明和化成社製、商品名)3.5質量部、アクリル共重合樹脂のテイサンレジンSG−P3(ナガセケムテックス社製、商品名)9.5質量部、トリフェニルホスフィンのPP−200(北興化学社製、商品名)0.13質量部、球状溶融シリカ(平均粒径:5.5μm)のFB−7SDC(電気化学工業社製、商品名)47.0質量部、メチルエチルケトン66質量部を加えて樹脂組成物を調製した。次に、上記組成物をポリエステルフィルム上にコーターにて塗工し、乾燥させて熱硬化型樹脂シートを得た。
【0056】
得られた熱硬化型樹脂シートを、実施例1と同様の操作により基板上に配置した後、実施例と同様、導電ペースト、熱硬化性樹脂シート両者を覆うようにして電子部品をマウント後、100℃,圧力300kPaの条件にて1分間真空プレスした。大気開放後、基板を175℃のオーブンに1時間投入することにより熱硬化型樹脂シートを加熱硬化させた。しかしながら、この方法では、電子部品の変形が生じた。
【0057】
(比較例3)
EVA系ホットメルトシートのエルファンOH (日本マタイ社製、商品名)を用いた以外は、比較例2と同様の操作を行ったが、比較例1と同様に溶融樹脂と導電ペーストが混じり導通性が良好でなかった。
【0058】
本実施例で使用した各成分は以下の通りである。
1.液状エポキシ樹脂
DER383J:ダウケミカル社製のビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量:190)
2.固形状エポキシ樹脂
NC3000:日本化薬社製のビフェニル骨格含有多官能型エポキシ樹脂(エポキシ当量:285、軟化点:57℃)
3.硬化剤
DICY:日本カーバイド社製のジシアンジアミド
4.硬化促進剤
U−CAT3502T:サンアプロ社製の芳香族ジメチルウレア
5.無機フィラー
H42M:昭和電工社製の水酸化アルミニウム(粒子径:1.5μm)
6.導電ペースト
CT265L:京セラケミカル社製の銀ペースト
【0059】
【表1】

【0060】
表1から明らかなように、実施例では、いずれも電子部品の変形がなく、かつ、導通性、接着性の結果も良好であった。これに対し、液状接着剤を用いた比較例1では、導電ペーストと液状接着剤が混じることに起因する導通不良が発生した。比較例2では実施例と成分の異なる熱硬化性樹脂シートを用いたものであるが導通性は良好であったものの、物理的固定にあたっては高圧を要したため電子部品の変形が生じた。また、熱可塑性樹脂シートを用いた比較例3では、比較例1と同様の結果となったばかりか接着力の低下も大きかった。
【0061】
以上、本発明を上記具体例に基づいて詳細に説明したが、本発明は上記具体例に限定されるものではなく、本発明の範疇を逸脱しない限りにおいて、あらゆる変形や変更が可能である。
【符号の説明】
【0062】
11 基板
12 ランド部(第1の電極)
13 導電性ペースト
14 熱硬化性樹脂シート
15 電子部品
16 電極パッド(第2の電極)
17 金属バンプ電極
18 電気的接続体
19 熱硬化性樹脂シートの硬化物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続用の第1の電極を有する基板と、接続用の第2の電極を有する電子部品とを、前記第1の電極及び前記第2の電極を介して電気的に接続する方法であって、
前記基板の前記第1の電極上に導電性ペーストを配置する工程と、
前記基板の前記第1の電極の非形成領域において、熱硬化性樹脂シートを配置する工程と、
前記電子部品を、前記第2の電極と前記基板の前記第1の電極とが接触するようにして前記基板上に搭載し、0.1Pa以下の圧力下において、80〜150℃の温度で加熱し、前記導電性ペースト及び前記熱硬化性樹脂シートを同時に加熱硬化させて、前記電子部品を前記基板に電気的に接続する工程と、
を具えることを特徴とする、電子部品の接続方法。
【請求項2】
前記熱硬化性樹脂シートの、硬化前の100℃における溶融粘度が0.4〜100Pa・Sであり、100℃におけるゲルタイムが20分〜300分であることを特徴とする、請求項1に記載の電子部品の接続方法。
【請求項3】
前記熱硬化性樹脂シートが、(A)液状ビスフェノール型エポキシ樹脂、(B)軟化点が70℃以下の固形状多官能エポキシ樹脂、(C)エポキシ樹脂用硬化剤、(D)無機フィラー及び(E)難燃剤を含む熱硬化性樹脂組成物からなり、
(A)液状ビスフェノール型エポキシ樹脂と(B)軟化点が70℃以下の固形状多官能エポキシ樹脂との質量比(A)/(B)が10/90〜30/70であり、(D)無機フィラーの含有量が前記熱硬化性樹脂組成物の10質量%〜80質量%であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の電子部品の接続方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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