電子部品モジュール及び電子部品
【課題】本発明は、ハンダを溶融したときに発生する気泡を外部に排出して、端子電極と実装基板とを接合するハンダ内に存在するボイドを減らしてハンダ接合の信頼性を向上させることができる端子電極を有する電子部品モジュール及び電子部品を提供する。
【解決手段】本発明は、ベース基板1と、ベース基板1の一方の面に実装してある複数の電子部品2と、ベース基板1の他方の面に形成してある複数の端子電極3とを備える電子部品モジュール10である。端子電極3は、3層以上の電極層3a〜3cを積層することで形成され、電極層3a〜3cのそれぞれの面積が、ベース基板1側から順に小さくなる。
【解決手段】本発明は、ベース基板1と、ベース基板1の一方の面に実装してある複数の電子部品2と、ベース基板1の他方の面に形成してある複数の端子電極3とを備える電子部品モジュール10である。端子電極3は、3層以上の電極層3a〜3cを積層することで形成され、電極層3a〜3cのそれぞれの面積が、ベース基板1側から順に小さくなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベース基板の一方の面に複数の電子部品を実装し、ベース基板の他方の面に複数の端子電極が形成してある電子部品モジュール及び底面に複数の端子電極を有する電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示してある電子部品モジュールは、電子部品用パッケージである。電子部品用パッケージは、電子部品素子(電子部品)を保持する平面矩形状のベースと、当該電子部品素子を気密封止するキャップとを有している。ベースの底面の対向辺に沿って一対の端子電極が形成されており、当該一対の端子電極は、お互いに対向して電極が形成される領域と、対向せずに一方の端子電極のみが形成される領域とを有している。
【0003】
特許文献2に開示してある電子部品モジュールは、水晶デバイスである。水晶デバイスは、水晶片を搭載し、密閉封入されて外底面に一対の外部端子(端子電極)を有する矩形状をした容器本体を備えている。外部端子は、外底面側から一層目と二層目の二層構造として、二層目は一層目の外周から離間した中央領域として平坦面状とし、二層目の面積を一層目よりも小さくしてある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−108923号公報
【特許文献2】特開2009−100353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示してある電子部品モジュールは、ベースの底面に形成されている端子電極を介して、実装基板に実装される。端子電極の実装基板側の面は、平坦で、実装基板のランド電極と略同じ面積を有している。そのため、端子電極をハンダで実装基板のランド電極に接合する場合、平坦な面同士で、かつ略同じ面積を有している面同士でハンダを挟むことになるので、ハンダを溶融したときに発生する気泡が外部に排出されず、端子電極と実装基板とを接合するハンダ内にボイドが多く存在する状態となる。また、特許文献2に開示してある電子部品モジュールは、容器本体の外底面に形成されている外部端子が二層構造であるが、実装基板側の二層目は、平坦で、実装基板のランド電極と略同じ面積を有している。そのため、外部端子をハンダで実装基板のランド電極に接合する場合、同様に、平坦な面同士で、かつ略同じ面積を有している面同士でハンダを挟むことになるので、ハンダを溶融したときに発生する気泡が外部に排出されず、外部端子(端子電極)と実装基板とを接合するハンダ内にボイドが多く存在する状態となる。
【0006】
端子電極と実装基板とを接合するハンダ内にボイドが多く存在する状態で、電子部品モジュールに対して加熱冷却温度サイクル試験を行った場合、端子電極と実装基板とを接合するハンダ内に存在するボイドが、ハンダに生じる亀裂を促進し、ハンダ接合の信頼性を低下させるという問題があった。
【0007】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、ハンダを溶融したときに発生する気泡を外部に排出して、端子電極と実装基板とを接合するハンダ内に存在するボイドを減らしてハンダ接合の信頼性を向上させることができる端子電極を有する電子部品モジュール及び電子部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために第1発明に係る電子部品モジュールは、ベース基板と、該ベース基板の一方の面に実装してある複数の電子部品と、前記ベース基板の他方の面に形成してある複数の端子電極とを備える電子部品モジュールにおいて、前記端子電極は、3層以上の電極層を積層することで形成され、前記電極層のそれぞれの面積が、前記ベース基板側から順に小さくなる。
【0009】
第1発明では、電子部品モジュールは、ベース基板の他方の面に形成してある複数の端子電極が、3層以上の電極層を積層することで形成され、電極層のそれぞれの面積が、ベース基板側から順に小さくなるので、最も外側の実装基板と接する電極層の面積が、実装基板のランド電極の面積より小さく、端子電極をハンダで実装基板のランド電極に接合する場合に、階段状である端子電極の形状に沿って、ハンダを溶融したときに発生する気泡を外部に排出しやすくすることができ、端子電極と実装基板とを接合するハンダ内に存在するボイドを減らしてハンダ接合の信頼性を向上させることができる。
【0010】
また、第2発明に係る電子部品モジュールは、第1発明において、前記端子電極は、最も外側に積層された前記電極層の面積が、前記ベース基板の他方の面と接する前記電極層の面積の34%以下である。
【0011】
第2発明では、端子電極は、最も外側に積層された電極層の面積が、ベース基板の他方の面と接する電極層の面積の34%以下であるので、最も外側の実装基板と接する電極層と実装基板とを接合するハンダ内に存在するボイドを減らしてハンダ接合の信頼性を向上させることができる。
【0012】
また、第3発明に係る電子部品モジュールは、第1又は第2発明において、前記端子電極は、前記電極層のそれぞれの重心位置が、前記ベース基板の他方の面からの同じ垂線上に存在する。
【0013】
第3発明では、端子電極は、電極層のそれぞれの重心位置が、ベース基板の他方の面からの同じ垂線上に存在するので、階段状である端子電極の形状に偏りがなく、ハンダを溶融したときに発生する気泡を端子電極の両側面から均等に排出しやすくすることができる。
【0014】
また、第4発明に係る電子部品モジュールは、第1乃至第3発明のいずれか一つにおいて、前記端子電極は、隣接する2層の前記電極層で形成される勾配率が一定である。
【0015】
第4発明では、端子電極は、隣接する2層の電極層で形成される勾配率が一定であるので、階段状である端子電極の形状に沿って、ハンダを溶融したときに発生する気泡を外部に排出しやすくすることができる。
【0016】
次に、上記目的を達成するために第5発明に係る電子部品は、電子部品本体と、該電子部品本体の底面に複数の端子電極を有する電子部品において、前記端子電極は、3層以上の電極層を積層することで形成され、前記電極層のそれぞれの面積が、前記電子部品本体の底面側から順に小さくなる。
【0017】
第5発明では、電子部品本体の底面に形成してある複数の端子電極が、3層以上の電極層を積層することで形成され、電極層のそれぞれの面積が、電子部品本体の底面側から順に小さくなるので、最も外側の実装基板と接する電極層の面積が、実装基板のランド電極の面積より小さく、端子電極をハンダで実装基板のランド電極に接合する場合に、階段状である端子電極の形状に沿って、ハンダを溶融したときに発生する気泡を外部に排出しやすくすることができ、端子電極と実装基板とを接合するハンダ内に存在するボイドを減らしてハンダ接合の信頼性を向上させることができる。
【0018】
また、第6発明に係る電子部品は、第5発明において、前記端子電極は、最も外側に積層された前記電極層の面積が、前記電子部品本体の底面と接する前記電極層の面積の34%以下である。
【0019】
第6発明では、端子電極は、最も外側に積層された電極層の面積が、電子部品本体の底面と接する電極層の面積の34%以下であるので、最も外側の実装基板と接する電極層と実装基板とを接合するハンダ内に存在するボイドを減らしてハンダ接合の信頼性を向上させることができる。
【0020】
また、第7発明に係る電子部品は、第5又は第6発明において、前記端子電極は、前記電極層のそれぞれの重心位置が、前記電子部品本体の底面からの同じ垂線上に存在する。
【0021】
第7発明では、端子電極は、電極層のそれぞれの重心位置が、電子部品本体の底面からの同じ垂線上に存在するので、階段状である端子電極の形状に偏りがなく、ハンダを溶融したときに発生する気泡を端子電極の両側面から均等に排出しやすくすることができる。
【0022】
また、第8発明に係る電子部品は、第5乃至第7発明のいずれか一つにおいて、前記端子電極は、隣接する2層の前記電極層で形成される勾配率が一定である。
【0023】
第8発明では、端子電極は、隣接する2層の電極層で形成される勾配率が一定であるので、階段状である端子電極の形状に沿って、ハンダを溶融したときに発生する気泡を外部に排出しやすくすることができる。
【発明の効果】
【0024】
上記構成によれば、電子部品モジュールは、ベース基板の他方の面に形成してある複数の端子電極が、3層以上の電極層を積層することで形成され、電極層のそれぞれの面積が、ベース基板側から順に小さくなるので、最も外側の実装基板と接する電極層の面積が、実装基板のランド電極の面積より小さく、端子電極をハンダで実装基板のランド電極に接合する場合に、階段状である端子電極の形状に沿って、ハンダを溶融したときに発生する気泡を外部に排出しやすくすることができ、端子電極と実装基板とを接合するハンダ内に存在するボイドを減らしてハンダ接合の信頼性を向上させることができる。
【0025】
また、上記構成によれば、電子部品は、電子部品本体の底面に形成してある複数の端子電極が、3層以上の電極層を積層することで形成され、電極層のそれぞれの面積が、電子部品本体の底面側から順に小さくなるので、最も外側の実装基板と接する電極層の面積が、実装基板のランド電極の面積より小さく、端子電極をハンダで実装基板のランド電極に接合する場合に、階段状である端子電極の形状に沿って、ハンダを溶融したときに発生する気泡を外部に排出しやすくすることができ、端子電極と実装基板とを接合するハンダ内に存在するボイドを減らしてハンダ接合の信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施の形態に係る電子部品モジュールを実装基板に実装した構成を示す概略図である。
【図2】電子部品モジュールが端子電極を介して実装基板に実装されている様子を示すX線写真である。
【図3】本発明の実施の形態に係る電子部品モジュールの端子電極の構成を示す平面図である。
【図4】勾配率を説明するための端子電極の概略図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る電子部品モジュールの構成を示す概略図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る電子部品モジュールの他の構成を示す概略図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る電子部品モジュールの他の構成を示す概略図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る電子部品モジュールの他の構成を示す概略図である。
【図9】端子電極の各電極層の面積、及び各電極層の面積比である面積率を示す図表である。
【図10】図3(a)〜図3(e)に示す端子電極をハンダで実装基板のランド電極に接合したときのボイド率を示すグラフである。
【図11】本発明の実施の形態に係る電子部品モジュールに対して加熱冷却温度サイクル試験を行った場合のハンダの亀裂進展率を示すグラフである。
【図12】本発明の実施の形態に係る電子部品の一例である積層コンデンサの構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0028】
図1は、本発明の実施の形態に係る電子部品モジュールを実装基板に実装した構成を示す概略図である。図1に示すように、電子部品モジュール10は、ベース基板1、ベース基板1の上面(一方の面)に実装した複数の電子部品2、ベース基板1の下面(他方の面)に形成してある端子電極3を備えている。電子部品モジュール10は、端子電極3と実装基板20に設けてあるランド電極22とをハンダ21で接合することで、実装基板20に実装してある。
【0029】
ベース基板1としては、LTCC(低温焼成セラミックス:Low Temperature Co−fired Ceramics)基板、有機基板等、特に限定されるものではない。ベース基板1の上面には、電子部品2を実装するための表面電極(図示せず)が形成されている。電子部品2は、ベース基板1の上面に表面実装することが可能な表面実装型電子部品(Surface Mount Device)等である。例えば、電子部品2は、水晶素子等の圧電素子である。端子電極3は、例えばクロムからなり、スクリーン印刷法、蒸着法、インクジェット法等によりベース基板1に形成される。端子電極3の表面には必要に応じてニッケル等のめっき処理を行っても良い。端子電極3と表面電極とはベース基板1の側面を通じて電気的に接続される。
【0030】
端子電極3は、3層の電極層3a〜3cを積層することで形成され、電極層3a〜3cのそれぞれの面積が、ベース基板1側から積層方向の外側に向かって順に小さくなる。つまり、端子電極3の形状は、ベース基板1の下面と接する電極層3aから実装基板20と接する電極層3cへと階段状になっている。そのため、最も外側の実装基板20と接する電極層3cの面積が、実装基板20のランド電極22の面積より小さく、端子電極3をハンダ21で実装基板20のランド電極22に接合する場合に、階段状である端子電極3の形状に沿って、ハンダ21を溶融したときに発生する気泡を外部に排出しやすくすることができ、端子電極3と実装基板20とを接合するハンダ内に存在するボイド23を減らしてハンダ接合の信頼性を向上させることができる。
【0031】
図2は、電子部品モジュールが端子電極を介して実装基板に実装されている様子を示すX線写真である。図2(a)は、従来の電子部品モジュール100が端子電極103を介して実装基板200に実装されている様子を示すX線写真で、端子電極103と実装基板200とを接合するハンダ内にボイド223が多く存在することを示している。一方、図2(b)は、本発明の実施の形態に係る電子部品モジュール10が端子電極3を介して実装基板20に実装されている様子を示すX線写真で、端子電極3と実装基板20とを接合するハンダ内にボイド23が、図2(a)に示すボイド223に比べて小さく、しかも少ないことを示している。具体的に、端子電極3の面積(電極層3aの面積)に対するボイド23の面積比であるボイド率は2.4%で、従来例の端子電極103の面積に対するボイド223の面積比であるボイド率9.6%に比べて小さい値である。
【0032】
図1に戻って、電子部品モジュール10は、電極層3a〜3cのそれぞれの重心位置Ga〜Gcが、ベース基板1の下面からの同じ垂線上に存在する。そのため、電極層3a〜3cを積層した階段状である端子電極3の形状に偏りがなく、電子部品モジュール10は、ハンダ21を溶融したときに発生する気泡を端子電極3の両側面から均等に排出しやすくすることができる。
【0033】
次に、本発明の実施の形態に係る電子部品モジュール10の端子電極3を、3層の電極層3a〜3cを積層する構成とすることで、端子電極3と実装基板20とを接合するハンダ内に存在するボイド23を減らすことができる理由を、具体的な実験に基づいて説明する。まず、実験に用いる電子部品モジュール10の端子電極3の構成を説明する。図3は、本発明の実施の形態に係る電子部品モジュール10の端子電極3の構成を示す平面図である。図3(a)は、ベース基板1の下面に電極層3aの1層を積層して形成した端子電極3の構成を示す平面図である。図3(a)に示す電極層3aは、ベース基板1の下面に四つ形成され、それぞれの大きさが0.75mm×1.5mmである。図3(b)は、ベース基板1の下面に電極層3a、3b1の2層を積層して形成した端子電極3の構成を示す平面図である。図3(b)に示す電極層3b1は、図3(a)に示す電極層3aに積層してあり、それぞれの大きさが0.55mm×1.3mmである。図3(c)は、ベース基板1の下面に電極層3a、3b2の2層を積層して形成した端子電極3の構成を示す平面図である。図3(c)に示す電極層3b2は、図3(a)に示す電極層3aに電極層3b2を積層してあり、それぞれの大きさが0.45mm×1.2mmである。図3(d)は、ベース基板1の下面に電極層3a、3b1、3c1の3層を積層して形成した端子電極3の構成を示す平面図である。図3(d)に示す電極層3c1は、図3(b)に示す電極層3b1に積層してあり、それぞれの大きさが0.35mm×1.1mmである。図3(e)は、ベース基板1の下面に電極層3a、3b2、3c2の3層を積層して形成した端子電極3の構成を示す平面図である。図3(e)に示す電極層3c2は、図3(c)に示す電極層3b2に積層してあり、それぞれの大きさが0.15mm×0.9mmである。
【0034】
なお、図3(d)に示す端子電極3は、隣接する2層の電極層で形成される勾配率が一定である。図4は、勾配率を説明するための端子電極3の概略図である。図4に示す端子電極3は、ベース基板1の下面に3層の電極層3a、3b1、3c1を積層して形成してあり、電極層3aが電極層3b1から張り出した部分の長さb1に対する電極層3b1の高さh1の割合を隣接する2層の電極層3a、3b1で形成される勾配率(h1/b1)とする。また、電極層3b1が電極層3c1から張り出した部分の長さb2に対する電極層3c1の高さh2の割合を隣接する2層の電極層3b1、3c1で形成される勾配率(h2/b2)とする。隣接する2層の電極層3a、3b1で形成される勾配率(h1/b1)と、隣接する2層の電極層3b1、3c1で形成される勾配率(h2/b2)とは同じであり、隣接する2層の電極層で形成される勾配率は一定である。具体的に、図3(d)に示す端子電極3は、b1=0.1mm、h1=0.01mm、b2=0.1mm、h2=0.01mmであり、勾配率(h1/b1)=勾配率(h2/b2)=0.1である。同様に、図3(e)に示す端子電極3は、隣接する2層の電極層3a、3b2、3c2で形成される勾配率が(0.01/0.15)と一定である。端子電極3は、隣接する2層の電極層で形成される勾配率が一定であるので、階段状である端子電極3の形状に沿って、ハンダ21を溶融したときに発生する気泡を外部に排出しやすくすることができる。端子電極3の平面視した形状が長方形である場合、端子電極3の長辺及び短辺での勾配率が共に一定であることが好ましい。これにより、更に気泡を外部に排出しやすくすることができる。
【0035】
図5は、本発明の実施の形態に係る電子部品モジュール10の構成を示す概略図である。図5(a)は、本発明の実施の形態に係る電子部品モジュール10の構成を示す正面図であり、図5(b)は、本発明の実施の形態に係る電子部品モジュール10の構成を示す底面図である。
【0036】
図5に示すように、電子部品モジュール10は、ベース基板1、ベース基板1の上面(一方の面)に実装した複数の電子部品2、ベース基板1の下面(他方の面)に形成してある端子電極3を備えている。端子電極3は、3層の電極層3a〜3cを積層することで形成され、電極層3a〜3cのそれぞれの面積が、ベース基板1側から積層方向の外側に向かって順に小さくなる。つまり、端子電極3の形状は、ベース基板1の下面と接する電極層3aから実装基板20と接する電極層3cへと階段状になっている。
【0037】
図5(b)からもわかるように、電子部品モジュール10は、電極層3a〜3cのそれぞれの重心位置Ga〜Gcが、ベース基板1の下面からの同じ垂線P上に存在する。そのため、電極層3a〜3cを積層した階段状である端子電極3の形状に偏りがない。
【0038】
もちろん、電子部品モジュール10の構成は、これに限定されるものではない。図6は、本発明の実施の形態に係る電子部品モジュールの他の構成を示す概略図である。図6(a)は、本発明の実施の形態に係る電子部品モジュールの他の構成を示す正面図であり、図6(b)は、本発明の実施の形態に係る電子部品モジュールの他の構成を示す底面図である。
【0039】
図6に示す電子部品モジュール10aは、ベース基板1、ベース基板1の上面(一方の面)に実装した複数の電子部品2、ベース基板1の下面(他方の面)に形成してある端子電極3を備えている。端子電極3の3層の電極層3a〜3cのそれぞれの面積が、ベース基板1側から積層方向の外側に向かって順に小さくなる点では図5に示す電子部品モジュール10と共通している。しかし、図6(b)からもわかるように、電子部品モジュール10aは、電極層3a〜3cの勾配率が、ベース基板1の縦方向と横方向とで相違している。すなわち、電極層3a又は3bが電極層3cから張り出した部分の長さが、図6(b)の縦方向と横方向とでは、横方向の方が長くなっている。したがって、電極層3a又は3bが電極層3cから張り出した部分の長さに対する電極層の高さの割合である勾配率は、隣接する2層の電極層間で一致はしているものの、縦方向と横方向とでは相違している。
【0040】
また、図7は、本発明の実施の形態に係る電子部品モジュールの他の構成を示す概略図である。図7(a)は、本発明の実施の形態に係る電子部品モジュールの他の構成を示す正面図であり、図7(b)は、本発明の実施の形態に係る電子部品モジュールの他の構成を示す底面図である。
【0041】
図7に示す電子部品モジュール10bは、ベース基板1、ベース基板1の上面(一方の面)に実装した複数の電子部品2、ベース基板1の下面(他方の面)に形成してある端子電極3を備えている。端子電極3の3層の電極層3a〜3cのそれぞれの面積が、ベース基板1側から積層方向の外側に向かって順に小さくなる点では図5に示す電子部品モジュール10と共通しているものの、端子電極3は2個しか設けられていない。
【0042】
また、図8は、本発明の実施の形態に係る電子部品モジュールの他の構成を示す概略図である。
【0043】
図8に示す電子部品モジュール10cは、ベース基板1、ベース基板1の上面(一方の面)に実装した複数の電子部品2、ベース基板1の下面(他方の面)に形成してある端子電極3を備えている。端子電極3の3層の電極層3a〜3cのそれぞれの面積が、ベース基板1側から積層方向の外側に向かって順に小さくなる点では図5に示す電子部品モジュール10と共通しているものの、端子電極3の各電極層3a〜3cの外縁部はテーパー形状を有しており、より円滑に気泡を外部に排出しやすくなる。
【0044】
次に、図9は、端子電極3の各電極層3a、3b1、3b2、3c1、3c2の面積、及び各電極層3a、3b1、3b2、3c1、3c2の面積比である面積率を示す図表である。図9に示すように、電極層3aの面積は1.125mm2 で、電極層3b1の面積は0.715mm2 で、電極層3b2の面積は0.54mm2 で、電極層3c1の面積は0.385mm2 で、電極層3c2の面積は0.135mm2 である。また、1層目の電極層3aに対する2層目の電極層3b1、3b2の面積比である面積率Aは、電極層3aに対する電極層3b1の面積率が略64%、電極層3aに対する電極層3b2の面積率が略48%である。2層目の電極層3b1、3b2に対する3層目の電極層3c1、3c2の面積比である面積率Bは、電極層3b1に対する電極層3c1の面積率が略54%、電極層3b2に対する電極層3c2の面積率が略25%である。1層目の電極層3aに対する3層目の電極層3c1、3c2の面積比である面積率Cは、電極層3aに対する電極層3c1の面積率が略34%、電極層3aに対する電極層3c2の面積率が略12%である。
【0045】
次に、図3(a)〜図3(e)に示す端子電極3を備える電子部品モジュール10を用いて、端子電極3をハンダ21で実装基板20のランド電極22に接合する実験を行う。図10は、図3(a)〜図3(e)に示す端子電極3をハンダ21で実装基板20のランド電極22に接合したときのボイド率を示すグラフである。図10に示すグラフは、図3(a)〜図3(e)に示す端子電極3をハンダ21で実装基板20のランド電極22に接合したとき、端子電極3の面積(電極層3aの面積)に対するボイド23の面積比であるボイド率を測定した結果を示している。図3(a)〜図3(e)に示す端子電極3のそれぞれに対して5つのサンプルを用意して、ボイド率を測定している。具体的に、図3(a)に示す端子電極3のボイド率の平均値が8.9%、最大値が10.0%、最小値が6.9%である。図3(b)に示す端子電極3のボイド率の平均値が5.6%、最大値が8.0%、最小値が3.8%である。図3(c)に示す端子電極3のボイド率の平均値が5.2%、最大値が6.7%、最小値が3.6%である。図3(d)に示す端子電極3のボイド率の平均値が4.7%、最大値が6.2%、最小値が3.1%である。図3(e)に示す端子電極3のボイド率の平均値が3.7%、最大値が4.4%、最小値が2.4%である。
【0046】
図3(d)に示す端子電極3は、ボイド率の平均値が4.7%と5%以下となり、端子電極3と実装基板20とを接合するハンダ内に存在するボイド23を減らしていることが分かる。つまり、図3(d)に示す端子電極3は、電極層3a、3b1、3c1のそれぞれの面積が、ベース基板1側から積層方向の外側に向かって順に小さくなる。3層の電極層3a、3b1、3c1を積層することで階段状に形成され、端子電極3と実装基板20とを接合するハンダ内に存在するボイド23を減らしている。また、電極層3aに対する電極層3c1の面積比である面積率Cを34%にしてある。つまり、端子電極3は、実装基板20と接する電極層3c1の面積が、ベース基板1の下面と接する電極層3aの面積の34%以下であるので、端子電極3と実装基板20とを接合するハンダ内に存在するボイド23を減らすことができる。
【0047】
さらに、面積率Cを12%にした図3(e)に示す端子電極3は、ボイド率の平均値が3.7%となり、端子電極3と実装基板20とを接合するハンダ内に存在するボイド23をさらに減らすことができる。
【0048】
次に、端子電極3と実装基板20とを接合するハンダ内に存在するボイド23を減らすことで、ハンダ接合の信頼性が向上する理由について説明する。図11は、本発明の実施の形態に係る電子部品モジュール10に対して加熱冷却温度サイクル試験を行った場合のハンダ21の亀裂進展率を示すグラフである。ここで、加熱冷却温度サイクル試験は、例えば、電子部品モジュール10を−40度の槽に15分間入れ、次に125度の槽に15分間入れる試験を1サイクルとした信頼性試験である。また、ハンダ21の亀裂進展率とは、ハンダ21に生じた亀裂の長さと、生じた亀裂方向における端子電極3と実装基板20のランド電極22との接合部分の長さとの比である。
【0049】
図11(a)は、図3(a)及び図3(e)に示す端子電極3について、加熱冷却温度サイクル試験のサイクル数に対する最大亀裂進展率の変化を示しており、図3(a)に示す端子電極3に比べて、図3(e)に示す端子電極3は最大亀裂進展率が略17%低い。また、図11(b)は、図3(a)及び図3(e)に示す端子電極3について、加熱冷却温度サイクル試験のサイクル数に対する平均亀裂進展率の変化を示しており、図3(a)に示す端子電極3に比べて、図3(e)に示す端子電極3は平均亀裂進展率が略15%低い。なお、図3(a)及び図3(e)に示す端子電極3のそれぞれに対して5つのサンプルを用意して、亀裂進展率を測定している。
【0050】
図11に示すように、図3(e)に示す端子電極3は、加熱冷却温度サイクル試験のサイクル数が増加しても、図3(a)に示す端子電極3に比べて亀裂進展率が低いので、ハンダ接合の信頼性が向上していることが分かる。
【0051】
以上のように、本発明の実施の形態に係る電子部品モジュール10は、ベース基板1の下面に形成してある複数の端子電極3が、3層の電極層3a〜3cを積層することで形成され、電極層3a〜3cのそれぞれの面積が、ベース基板1側から積層方向の外側に向かって順に小さくなるので、実装基板20と接する電極層3cの面積が、実装基板20のランド電極22の面積より小さく、端子電極3をハンダ21で実装基板20のランド電極22に接合する場合に、階段状である端子電極3の形状に沿って、ハンダ21を溶融したときに発生する気泡を外部に排出しやすくすることができ、端子電極3と実装基板20とを接合するハンダ内に存在するボイド23を減らしてハンダ接合の信頼性を向上させることができる。
【0052】
なお、端子電極3は、3層の電極層3a〜3cを積層する構成に限定されるものではなく、3層以上であれば4層の電極層を積層する構成であっても良い。また、端子電極3は、電極層3a〜3cのそれぞれの重心位置Ga〜Gcが、ベース基板1の下面からの同じ垂線上に存在する場合に限定されるものではなく、少なくとも電極層3a〜3cのそれぞれの面積が、ベース基板1側から積層方向の外側に向かって順に小さければ、電極層3a〜3cのそれぞれの重心位置Ga〜Gcが、ベース基板1の下面からの同じ垂線上に存在しなくても良い。さらに、端子電極3は、隣接する2層の電極層で形成される勾配率が一定である場合に限定されるものではなく、少なくとも電極層3a〜3cのそれぞれの面積が、ベース基板1側から積層方向の外側に向かって順に小さければ、隣接する2層の電極層で形成される勾配率が一定でなくても良い。
【0053】
また、底面電極の角チップコイル、底面電極の積層セラミックコンデンサ等、ベース基板1を有していない電子部品についても、同様の構成を適用することが可能である。図12は、本発明の実施の形態に係る電子部品の一例である積層コンデンサの構成を示す概略図である。
【0054】
図12に示すように、電子部品11は、端子電極3と接続されている互いに平行な金属板122、123を交互に配置し、両金属板の間を誘電体121で充填することによりコンデンサを形成している。端子電極3は、3層の電極層3a〜3cを積層することで形成され、電極層3a〜3cのそれぞれの面積が、電子部品本体11aの底面側から積層方向の外側に向かって順に小さくなる。つまり、端子電極3の形状は、電子部品本体11aの底面と接する電極層3aから実装基板20と接する電極層3cへと階段状になっている。
【符号の説明】
【0055】
1 ベース基板
2 電子部品
3 端子電極
3a〜3c 電極層
10、10a、10b、10c 電子部品モジュール
11 電子部品
20 実装基板
21 ハンダ
22 ランド電極
23 ボイド
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベース基板の一方の面に複数の電子部品を実装し、ベース基板の他方の面に複数の端子電極が形成してある電子部品モジュール及び底面に複数の端子電極を有する電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示してある電子部品モジュールは、電子部品用パッケージである。電子部品用パッケージは、電子部品素子(電子部品)を保持する平面矩形状のベースと、当該電子部品素子を気密封止するキャップとを有している。ベースの底面の対向辺に沿って一対の端子電極が形成されており、当該一対の端子電極は、お互いに対向して電極が形成される領域と、対向せずに一方の端子電極のみが形成される領域とを有している。
【0003】
特許文献2に開示してある電子部品モジュールは、水晶デバイスである。水晶デバイスは、水晶片を搭載し、密閉封入されて外底面に一対の外部端子(端子電極)を有する矩形状をした容器本体を備えている。外部端子は、外底面側から一層目と二層目の二層構造として、二層目は一層目の外周から離間した中央領域として平坦面状とし、二層目の面積を一層目よりも小さくしてある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−108923号公報
【特許文献2】特開2009−100353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示してある電子部品モジュールは、ベースの底面に形成されている端子電極を介して、実装基板に実装される。端子電極の実装基板側の面は、平坦で、実装基板のランド電極と略同じ面積を有している。そのため、端子電極をハンダで実装基板のランド電極に接合する場合、平坦な面同士で、かつ略同じ面積を有している面同士でハンダを挟むことになるので、ハンダを溶融したときに発生する気泡が外部に排出されず、端子電極と実装基板とを接合するハンダ内にボイドが多く存在する状態となる。また、特許文献2に開示してある電子部品モジュールは、容器本体の外底面に形成されている外部端子が二層構造であるが、実装基板側の二層目は、平坦で、実装基板のランド電極と略同じ面積を有している。そのため、外部端子をハンダで実装基板のランド電極に接合する場合、同様に、平坦な面同士で、かつ略同じ面積を有している面同士でハンダを挟むことになるので、ハンダを溶融したときに発生する気泡が外部に排出されず、外部端子(端子電極)と実装基板とを接合するハンダ内にボイドが多く存在する状態となる。
【0006】
端子電極と実装基板とを接合するハンダ内にボイドが多く存在する状態で、電子部品モジュールに対して加熱冷却温度サイクル試験を行った場合、端子電極と実装基板とを接合するハンダ内に存在するボイドが、ハンダに生じる亀裂を促進し、ハンダ接合の信頼性を低下させるという問題があった。
【0007】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、ハンダを溶融したときに発生する気泡を外部に排出して、端子電極と実装基板とを接合するハンダ内に存在するボイドを減らしてハンダ接合の信頼性を向上させることができる端子電極を有する電子部品モジュール及び電子部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために第1発明に係る電子部品モジュールは、ベース基板と、該ベース基板の一方の面に実装してある複数の電子部品と、前記ベース基板の他方の面に形成してある複数の端子電極とを備える電子部品モジュールにおいて、前記端子電極は、3層以上の電極層を積層することで形成され、前記電極層のそれぞれの面積が、前記ベース基板側から順に小さくなる。
【0009】
第1発明では、電子部品モジュールは、ベース基板の他方の面に形成してある複数の端子電極が、3層以上の電極層を積層することで形成され、電極層のそれぞれの面積が、ベース基板側から順に小さくなるので、最も外側の実装基板と接する電極層の面積が、実装基板のランド電極の面積より小さく、端子電極をハンダで実装基板のランド電極に接合する場合に、階段状である端子電極の形状に沿って、ハンダを溶融したときに発生する気泡を外部に排出しやすくすることができ、端子電極と実装基板とを接合するハンダ内に存在するボイドを減らしてハンダ接合の信頼性を向上させることができる。
【0010】
また、第2発明に係る電子部品モジュールは、第1発明において、前記端子電極は、最も外側に積層された前記電極層の面積が、前記ベース基板の他方の面と接する前記電極層の面積の34%以下である。
【0011】
第2発明では、端子電極は、最も外側に積層された電極層の面積が、ベース基板の他方の面と接する電極層の面積の34%以下であるので、最も外側の実装基板と接する電極層と実装基板とを接合するハンダ内に存在するボイドを減らしてハンダ接合の信頼性を向上させることができる。
【0012】
また、第3発明に係る電子部品モジュールは、第1又は第2発明において、前記端子電極は、前記電極層のそれぞれの重心位置が、前記ベース基板の他方の面からの同じ垂線上に存在する。
【0013】
第3発明では、端子電極は、電極層のそれぞれの重心位置が、ベース基板の他方の面からの同じ垂線上に存在するので、階段状である端子電極の形状に偏りがなく、ハンダを溶融したときに発生する気泡を端子電極の両側面から均等に排出しやすくすることができる。
【0014】
また、第4発明に係る電子部品モジュールは、第1乃至第3発明のいずれか一つにおいて、前記端子電極は、隣接する2層の前記電極層で形成される勾配率が一定である。
【0015】
第4発明では、端子電極は、隣接する2層の電極層で形成される勾配率が一定であるので、階段状である端子電極の形状に沿って、ハンダを溶融したときに発生する気泡を外部に排出しやすくすることができる。
【0016】
次に、上記目的を達成するために第5発明に係る電子部品は、電子部品本体と、該電子部品本体の底面に複数の端子電極を有する電子部品において、前記端子電極は、3層以上の電極層を積層することで形成され、前記電極層のそれぞれの面積が、前記電子部品本体の底面側から順に小さくなる。
【0017】
第5発明では、電子部品本体の底面に形成してある複数の端子電極が、3層以上の電極層を積層することで形成され、電極層のそれぞれの面積が、電子部品本体の底面側から順に小さくなるので、最も外側の実装基板と接する電極層の面積が、実装基板のランド電極の面積より小さく、端子電極をハンダで実装基板のランド電極に接合する場合に、階段状である端子電極の形状に沿って、ハンダを溶融したときに発生する気泡を外部に排出しやすくすることができ、端子電極と実装基板とを接合するハンダ内に存在するボイドを減らしてハンダ接合の信頼性を向上させることができる。
【0018】
また、第6発明に係る電子部品は、第5発明において、前記端子電極は、最も外側に積層された前記電極層の面積が、前記電子部品本体の底面と接する前記電極層の面積の34%以下である。
【0019】
第6発明では、端子電極は、最も外側に積層された電極層の面積が、電子部品本体の底面と接する電極層の面積の34%以下であるので、最も外側の実装基板と接する電極層と実装基板とを接合するハンダ内に存在するボイドを減らしてハンダ接合の信頼性を向上させることができる。
【0020】
また、第7発明に係る電子部品は、第5又は第6発明において、前記端子電極は、前記電極層のそれぞれの重心位置が、前記電子部品本体の底面からの同じ垂線上に存在する。
【0021】
第7発明では、端子電極は、電極層のそれぞれの重心位置が、電子部品本体の底面からの同じ垂線上に存在するので、階段状である端子電極の形状に偏りがなく、ハンダを溶融したときに発生する気泡を端子電極の両側面から均等に排出しやすくすることができる。
【0022】
また、第8発明に係る電子部品は、第5乃至第7発明のいずれか一つにおいて、前記端子電極は、隣接する2層の前記電極層で形成される勾配率が一定である。
【0023】
第8発明では、端子電極は、隣接する2層の電極層で形成される勾配率が一定であるので、階段状である端子電極の形状に沿って、ハンダを溶融したときに発生する気泡を外部に排出しやすくすることができる。
【発明の効果】
【0024】
上記構成によれば、電子部品モジュールは、ベース基板の他方の面に形成してある複数の端子電極が、3層以上の電極層を積層することで形成され、電極層のそれぞれの面積が、ベース基板側から順に小さくなるので、最も外側の実装基板と接する電極層の面積が、実装基板のランド電極の面積より小さく、端子電極をハンダで実装基板のランド電極に接合する場合に、階段状である端子電極の形状に沿って、ハンダを溶融したときに発生する気泡を外部に排出しやすくすることができ、端子電極と実装基板とを接合するハンダ内に存在するボイドを減らしてハンダ接合の信頼性を向上させることができる。
【0025】
また、上記構成によれば、電子部品は、電子部品本体の底面に形成してある複数の端子電極が、3層以上の電極層を積層することで形成され、電極層のそれぞれの面積が、電子部品本体の底面側から順に小さくなるので、最も外側の実装基板と接する電極層の面積が、実装基板のランド電極の面積より小さく、端子電極をハンダで実装基板のランド電極に接合する場合に、階段状である端子電極の形状に沿って、ハンダを溶融したときに発生する気泡を外部に排出しやすくすることができ、端子電極と実装基板とを接合するハンダ内に存在するボイドを減らしてハンダ接合の信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施の形態に係る電子部品モジュールを実装基板に実装した構成を示す概略図である。
【図2】電子部品モジュールが端子電極を介して実装基板に実装されている様子を示すX線写真である。
【図3】本発明の実施の形態に係る電子部品モジュールの端子電極の構成を示す平面図である。
【図4】勾配率を説明するための端子電極の概略図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る電子部品モジュールの構成を示す概略図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る電子部品モジュールの他の構成を示す概略図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る電子部品モジュールの他の構成を示す概略図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る電子部品モジュールの他の構成を示す概略図である。
【図9】端子電極の各電極層の面積、及び各電極層の面積比である面積率を示す図表である。
【図10】図3(a)〜図3(e)に示す端子電極をハンダで実装基板のランド電極に接合したときのボイド率を示すグラフである。
【図11】本発明の実施の形態に係る電子部品モジュールに対して加熱冷却温度サイクル試験を行った場合のハンダの亀裂進展率を示すグラフである。
【図12】本発明の実施の形態に係る電子部品の一例である積層コンデンサの構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0028】
図1は、本発明の実施の形態に係る電子部品モジュールを実装基板に実装した構成を示す概略図である。図1に示すように、電子部品モジュール10は、ベース基板1、ベース基板1の上面(一方の面)に実装した複数の電子部品2、ベース基板1の下面(他方の面)に形成してある端子電極3を備えている。電子部品モジュール10は、端子電極3と実装基板20に設けてあるランド電極22とをハンダ21で接合することで、実装基板20に実装してある。
【0029】
ベース基板1としては、LTCC(低温焼成セラミックス:Low Temperature Co−fired Ceramics)基板、有機基板等、特に限定されるものではない。ベース基板1の上面には、電子部品2を実装するための表面電極(図示せず)が形成されている。電子部品2は、ベース基板1の上面に表面実装することが可能な表面実装型電子部品(Surface Mount Device)等である。例えば、電子部品2は、水晶素子等の圧電素子である。端子電極3は、例えばクロムからなり、スクリーン印刷法、蒸着法、インクジェット法等によりベース基板1に形成される。端子電極3の表面には必要に応じてニッケル等のめっき処理を行っても良い。端子電極3と表面電極とはベース基板1の側面を通じて電気的に接続される。
【0030】
端子電極3は、3層の電極層3a〜3cを積層することで形成され、電極層3a〜3cのそれぞれの面積が、ベース基板1側から積層方向の外側に向かって順に小さくなる。つまり、端子電極3の形状は、ベース基板1の下面と接する電極層3aから実装基板20と接する電極層3cへと階段状になっている。そのため、最も外側の実装基板20と接する電極層3cの面積が、実装基板20のランド電極22の面積より小さく、端子電極3をハンダ21で実装基板20のランド電極22に接合する場合に、階段状である端子電極3の形状に沿って、ハンダ21を溶融したときに発生する気泡を外部に排出しやすくすることができ、端子電極3と実装基板20とを接合するハンダ内に存在するボイド23を減らしてハンダ接合の信頼性を向上させることができる。
【0031】
図2は、電子部品モジュールが端子電極を介して実装基板に実装されている様子を示すX線写真である。図2(a)は、従来の電子部品モジュール100が端子電極103を介して実装基板200に実装されている様子を示すX線写真で、端子電極103と実装基板200とを接合するハンダ内にボイド223が多く存在することを示している。一方、図2(b)は、本発明の実施の形態に係る電子部品モジュール10が端子電極3を介して実装基板20に実装されている様子を示すX線写真で、端子電極3と実装基板20とを接合するハンダ内にボイド23が、図2(a)に示すボイド223に比べて小さく、しかも少ないことを示している。具体的に、端子電極3の面積(電極層3aの面積)に対するボイド23の面積比であるボイド率は2.4%で、従来例の端子電極103の面積に対するボイド223の面積比であるボイド率9.6%に比べて小さい値である。
【0032】
図1に戻って、電子部品モジュール10は、電極層3a〜3cのそれぞれの重心位置Ga〜Gcが、ベース基板1の下面からの同じ垂線上に存在する。そのため、電極層3a〜3cを積層した階段状である端子電極3の形状に偏りがなく、電子部品モジュール10は、ハンダ21を溶融したときに発生する気泡を端子電極3の両側面から均等に排出しやすくすることができる。
【0033】
次に、本発明の実施の形態に係る電子部品モジュール10の端子電極3を、3層の電極層3a〜3cを積層する構成とすることで、端子電極3と実装基板20とを接合するハンダ内に存在するボイド23を減らすことができる理由を、具体的な実験に基づいて説明する。まず、実験に用いる電子部品モジュール10の端子電極3の構成を説明する。図3は、本発明の実施の形態に係る電子部品モジュール10の端子電極3の構成を示す平面図である。図3(a)は、ベース基板1の下面に電極層3aの1層を積層して形成した端子電極3の構成を示す平面図である。図3(a)に示す電極層3aは、ベース基板1の下面に四つ形成され、それぞれの大きさが0.75mm×1.5mmである。図3(b)は、ベース基板1の下面に電極層3a、3b1の2層を積層して形成した端子電極3の構成を示す平面図である。図3(b)に示す電極層3b1は、図3(a)に示す電極層3aに積層してあり、それぞれの大きさが0.55mm×1.3mmである。図3(c)は、ベース基板1の下面に電極層3a、3b2の2層を積層して形成した端子電極3の構成を示す平面図である。図3(c)に示す電極層3b2は、図3(a)に示す電極層3aに電極層3b2を積層してあり、それぞれの大きさが0.45mm×1.2mmである。図3(d)は、ベース基板1の下面に電極層3a、3b1、3c1の3層を積層して形成した端子電極3の構成を示す平面図である。図3(d)に示す電極層3c1は、図3(b)に示す電極層3b1に積層してあり、それぞれの大きさが0.35mm×1.1mmである。図3(e)は、ベース基板1の下面に電極層3a、3b2、3c2の3層を積層して形成した端子電極3の構成を示す平面図である。図3(e)に示す電極層3c2は、図3(c)に示す電極層3b2に積層してあり、それぞれの大きさが0.15mm×0.9mmである。
【0034】
なお、図3(d)に示す端子電極3は、隣接する2層の電極層で形成される勾配率が一定である。図4は、勾配率を説明するための端子電極3の概略図である。図4に示す端子電極3は、ベース基板1の下面に3層の電極層3a、3b1、3c1を積層して形成してあり、電極層3aが電極層3b1から張り出した部分の長さb1に対する電極層3b1の高さh1の割合を隣接する2層の電極層3a、3b1で形成される勾配率(h1/b1)とする。また、電極層3b1が電極層3c1から張り出した部分の長さb2に対する電極層3c1の高さh2の割合を隣接する2層の電極層3b1、3c1で形成される勾配率(h2/b2)とする。隣接する2層の電極層3a、3b1で形成される勾配率(h1/b1)と、隣接する2層の電極層3b1、3c1で形成される勾配率(h2/b2)とは同じであり、隣接する2層の電極層で形成される勾配率は一定である。具体的に、図3(d)に示す端子電極3は、b1=0.1mm、h1=0.01mm、b2=0.1mm、h2=0.01mmであり、勾配率(h1/b1)=勾配率(h2/b2)=0.1である。同様に、図3(e)に示す端子電極3は、隣接する2層の電極層3a、3b2、3c2で形成される勾配率が(0.01/0.15)と一定である。端子電極3は、隣接する2層の電極層で形成される勾配率が一定であるので、階段状である端子電極3の形状に沿って、ハンダ21を溶融したときに発生する気泡を外部に排出しやすくすることができる。端子電極3の平面視した形状が長方形である場合、端子電極3の長辺及び短辺での勾配率が共に一定であることが好ましい。これにより、更に気泡を外部に排出しやすくすることができる。
【0035】
図5は、本発明の実施の形態に係る電子部品モジュール10の構成を示す概略図である。図5(a)は、本発明の実施の形態に係る電子部品モジュール10の構成を示す正面図であり、図5(b)は、本発明の実施の形態に係る電子部品モジュール10の構成を示す底面図である。
【0036】
図5に示すように、電子部品モジュール10は、ベース基板1、ベース基板1の上面(一方の面)に実装した複数の電子部品2、ベース基板1の下面(他方の面)に形成してある端子電極3を備えている。端子電極3は、3層の電極層3a〜3cを積層することで形成され、電極層3a〜3cのそれぞれの面積が、ベース基板1側から積層方向の外側に向かって順に小さくなる。つまり、端子電極3の形状は、ベース基板1の下面と接する電極層3aから実装基板20と接する電極層3cへと階段状になっている。
【0037】
図5(b)からもわかるように、電子部品モジュール10は、電極層3a〜3cのそれぞれの重心位置Ga〜Gcが、ベース基板1の下面からの同じ垂線P上に存在する。そのため、電極層3a〜3cを積層した階段状である端子電極3の形状に偏りがない。
【0038】
もちろん、電子部品モジュール10の構成は、これに限定されるものではない。図6は、本発明の実施の形態に係る電子部品モジュールの他の構成を示す概略図である。図6(a)は、本発明の実施の形態に係る電子部品モジュールの他の構成を示す正面図であり、図6(b)は、本発明の実施の形態に係る電子部品モジュールの他の構成を示す底面図である。
【0039】
図6に示す電子部品モジュール10aは、ベース基板1、ベース基板1の上面(一方の面)に実装した複数の電子部品2、ベース基板1の下面(他方の面)に形成してある端子電極3を備えている。端子電極3の3層の電極層3a〜3cのそれぞれの面積が、ベース基板1側から積層方向の外側に向かって順に小さくなる点では図5に示す電子部品モジュール10と共通している。しかし、図6(b)からもわかるように、電子部品モジュール10aは、電極層3a〜3cの勾配率が、ベース基板1の縦方向と横方向とで相違している。すなわち、電極層3a又は3bが電極層3cから張り出した部分の長さが、図6(b)の縦方向と横方向とでは、横方向の方が長くなっている。したがって、電極層3a又は3bが電極層3cから張り出した部分の長さに対する電極層の高さの割合である勾配率は、隣接する2層の電極層間で一致はしているものの、縦方向と横方向とでは相違している。
【0040】
また、図7は、本発明の実施の形態に係る電子部品モジュールの他の構成を示す概略図である。図7(a)は、本発明の実施の形態に係る電子部品モジュールの他の構成を示す正面図であり、図7(b)は、本発明の実施の形態に係る電子部品モジュールの他の構成を示す底面図である。
【0041】
図7に示す電子部品モジュール10bは、ベース基板1、ベース基板1の上面(一方の面)に実装した複数の電子部品2、ベース基板1の下面(他方の面)に形成してある端子電極3を備えている。端子電極3の3層の電極層3a〜3cのそれぞれの面積が、ベース基板1側から積層方向の外側に向かって順に小さくなる点では図5に示す電子部品モジュール10と共通しているものの、端子電極3は2個しか設けられていない。
【0042】
また、図8は、本発明の実施の形態に係る電子部品モジュールの他の構成を示す概略図である。
【0043】
図8に示す電子部品モジュール10cは、ベース基板1、ベース基板1の上面(一方の面)に実装した複数の電子部品2、ベース基板1の下面(他方の面)に形成してある端子電極3を備えている。端子電極3の3層の電極層3a〜3cのそれぞれの面積が、ベース基板1側から積層方向の外側に向かって順に小さくなる点では図5に示す電子部品モジュール10と共通しているものの、端子電極3の各電極層3a〜3cの外縁部はテーパー形状を有しており、より円滑に気泡を外部に排出しやすくなる。
【0044】
次に、図9は、端子電極3の各電極層3a、3b1、3b2、3c1、3c2の面積、及び各電極層3a、3b1、3b2、3c1、3c2の面積比である面積率を示す図表である。図9に示すように、電極層3aの面積は1.125mm2 で、電極層3b1の面積は0.715mm2 で、電極層3b2の面積は0.54mm2 で、電極層3c1の面積は0.385mm2 で、電極層3c2の面積は0.135mm2 である。また、1層目の電極層3aに対する2層目の電極層3b1、3b2の面積比である面積率Aは、電極層3aに対する電極層3b1の面積率が略64%、電極層3aに対する電極層3b2の面積率が略48%である。2層目の電極層3b1、3b2に対する3層目の電極層3c1、3c2の面積比である面積率Bは、電極層3b1に対する電極層3c1の面積率が略54%、電極層3b2に対する電極層3c2の面積率が略25%である。1層目の電極層3aに対する3層目の電極層3c1、3c2の面積比である面積率Cは、電極層3aに対する電極層3c1の面積率が略34%、電極層3aに対する電極層3c2の面積率が略12%である。
【0045】
次に、図3(a)〜図3(e)に示す端子電極3を備える電子部品モジュール10を用いて、端子電極3をハンダ21で実装基板20のランド電極22に接合する実験を行う。図10は、図3(a)〜図3(e)に示す端子電極3をハンダ21で実装基板20のランド電極22に接合したときのボイド率を示すグラフである。図10に示すグラフは、図3(a)〜図3(e)に示す端子電極3をハンダ21で実装基板20のランド電極22に接合したとき、端子電極3の面積(電極層3aの面積)に対するボイド23の面積比であるボイド率を測定した結果を示している。図3(a)〜図3(e)に示す端子電極3のそれぞれに対して5つのサンプルを用意して、ボイド率を測定している。具体的に、図3(a)に示す端子電極3のボイド率の平均値が8.9%、最大値が10.0%、最小値が6.9%である。図3(b)に示す端子電極3のボイド率の平均値が5.6%、最大値が8.0%、最小値が3.8%である。図3(c)に示す端子電極3のボイド率の平均値が5.2%、最大値が6.7%、最小値が3.6%である。図3(d)に示す端子電極3のボイド率の平均値が4.7%、最大値が6.2%、最小値が3.1%である。図3(e)に示す端子電極3のボイド率の平均値が3.7%、最大値が4.4%、最小値が2.4%である。
【0046】
図3(d)に示す端子電極3は、ボイド率の平均値が4.7%と5%以下となり、端子電極3と実装基板20とを接合するハンダ内に存在するボイド23を減らしていることが分かる。つまり、図3(d)に示す端子電極3は、電極層3a、3b1、3c1のそれぞれの面積が、ベース基板1側から積層方向の外側に向かって順に小さくなる。3層の電極層3a、3b1、3c1を積層することで階段状に形成され、端子電極3と実装基板20とを接合するハンダ内に存在するボイド23を減らしている。また、電極層3aに対する電極層3c1の面積比である面積率Cを34%にしてある。つまり、端子電極3は、実装基板20と接する電極層3c1の面積が、ベース基板1の下面と接する電極層3aの面積の34%以下であるので、端子電極3と実装基板20とを接合するハンダ内に存在するボイド23を減らすことができる。
【0047】
さらに、面積率Cを12%にした図3(e)に示す端子電極3は、ボイド率の平均値が3.7%となり、端子電極3と実装基板20とを接合するハンダ内に存在するボイド23をさらに減らすことができる。
【0048】
次に、端子電極3と実装基板20とを接合するハンダ内に存在するボイド23を減らすことで、ハンダ接合の信頼性が向上する理由について説明する。図11は、本発明の実施の形態に係る電子部品モジュール10に対して加熱冷却温度サイクル試験を行った場合のハンダ21の亀裂進展率を示すグラフである。ここで、加熱冷却温度サイクル試験は、例えば、電子部品モジュール10を−40度の槽に15分間入れ、次に125度の槽に15分間入れる試験を1サイクルとした信頼性試験である。また、ハンダ21の亀裂進展率とは、ハンダ21に生じた亀裂の長さと、生じた亀裂方向における端子電極3と実装基板20のランド電極22との接合部分の長さとの比である。
【0049】
図11(a)は、図3(a)及び図3(e)に示す端子電極3について、加熱冷却温度サイクル試験のサイクル数に対する最大亀裂進展率の変化を示しており、図3(a)に示す端子電極3に比べて、図3(e)に示す端子電極3は最大亀裂進展率が略17%低い。また、図11(b)は、図3(a)及び図3(e)に示す端子電極3について、加熱冷却温度サイクル試験のサイクル数に対する平均亀裂進展率の変化を示しており、図3(a)に示す端子電極3に比べて、図3(e)に示す端子電極3は平均亀裂進展率が略15%低い。なお、図3(a)及び図3(e)に示す端子電極3のそれぞれに対して5つのサンプルを用意して、亀裂進展率を測定している。
【0050】
図11に示すように、図3(e)に示す端子電極3は、加熱冷却温度サイクル試験のサイクル数が増加しても、図3(a)に示す端子電極3に比べて亀裂進展率が低いので、ハンダ接合の信頼性が向上していることが分かる。
【0051】
以上のように、本発明の実施の形態に係る電子部品モジュール10は、ベース基板1の下面に形成してある複数の端子電極3が、3層の電極層3a〜3cを積層することで形成され、電極層3a〜3cのそれぞれの面積が、ベース基板1側から積層方向の外側に向かって順に小さくなるので、実装基板20と接する電極層3cの面積が、実装基板20のランド電極22の面積より小さく、端子電極3をハンダ21で実装基板20のランド電極22に接合する場合に、階段状である端子電極3の形状に沿って、ハンダ21を溶融したときに発生する気泡を外部に排出しやすくすることができ、端子電極3と実装基板20とを接合するハンダ内に存在するボイド23を減らしてハンダ接合の信頼性を向上させることができる。
【0052】
なお、端子電極3は、3層の電極層3a〜3cを積層する構成に限定されるものではなく、3層以上であれば4層の電極層を積層する構成であっても良い。また、端子電極3は、電極層3a〜3cのそれぞれの重心位置Ga〜Gcが、ベース基板1の下面からの同じ垂線上に存在する場合に限定されるものではなく、少なくとも電極層3a〜3cのそれぞれの面積が、ベース基板1側から積層方向の外側に向かって順に小さければ、電極層3a〜3cのそれぞれの重心位置Ga〜Gcが、ベース基板1の下面からの同じ垂線上に存在しなくても良い。さらに、端子電極3は、隣接する2層の電極層で形成される勾配率が一定である場合に限定されるものではなく、少なくとも電極層3a〜3cのそれぞれの面積が、ベース基板1側から積層方向の外側に向かって順に小さければ、隣接する2層の電極層で形成される勾配率が一定でなくても良い。
【0053】
また、底面電極の角チップコイル、底面電極の積層セラミックコンデンサ等、ベース基板1を有していない電子部品についても、同様の構成を適用することが可能である。図12は、本発明の実施の形態に係る電子部品の一例である積層コンデンサの構成を示す概略図である。
【0054】
図12に示すように、電子部品11は、端子電極3と接続されている互いに平行な金属板122、123を交互に配置し、両金属板の間を誘電体121で充填することによりコンデンサを形成している。端子電極3は、3層の電極層3a〜3cを積層することで形成され、電極層3a〜3cのそれぞれの面積が、電子部品本体11aの底面側から積層方向の外側に向かって順に小さくなる。つまり、端子電極3の形状は、電子部品本体11aの底面と接する電極層3aから実装基板20と接する電極層3cへと階段状になっている。
【符号の説明】
【0055】
1 ベース基板
2 電子部品
3 端子電極
3a〜3c 電極層
10、10a、10b、10c 電子部品モジュール
11 電子部品
20 実装基板
21 ハンダ
22 ランド電極
23 ボイド
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース基板と、
該ベース基板の一方の面に実装してある複数の電子部品と、
前記ベース基板の他方の面に形成してある複数の端子電極と
を備える電子部品モジュールにおいて、
前記端子電極は、3層以上の電極層を積層することで形成され、前記電極層のそれぞれの面積が、前記ベース基板側から順に小さくなることを特徴とする電子部品モジュール。
【請求項2】
前記端子電極は、最も外側に積層された前記電極層の面積が、前記ベース基板の他方の面と接する前記電極層の面積の34%以下であることを特徴とする請求項1に記載の電子部品モジュール。
【請求項3】
前記端子電極は、前記電極層のそれぞれの重心位置が、前記ベース基板の他方の面からの同じ垂線上に存在することを特徴とする請求項1又は2に記載の電子部品モジュール。
【請求項4】
前記端子電極は、隣接する2層の前記電極層で形成される勾配率が一定であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電子部品モジュール。
【請求項5】
電子部品本体と、
該電子部品本体の底面に複数の端子電極を有する電子部品において、
前記端子電極は、3層以上の電極層を積層することで形成され、前記電極層のそれぞれの面積が、前記電子部品本体の底面側から順に小さくなることを特徴とする電子部品。
【請求項6】
前記端子電極は、最も外側に積層された前記電極層の面積が、前記電子部品本体の底面と接する前記電極層の面積の34%以下であることを特徴とする請求項5に記載の電子部品。
【請求項7】
前記端子電極は、前記電極層のそれぞれの重心位置が、前記電子部品本体の底面からの同じ垂線上に存在することを特徴とする請求項5又は6に記載の電子部品。
【請求項8】
前記端子電極は、隣接する2層の前記電極層で形成される勾配率が一定であることを特徴とする請求項5乃至7のいずれか一項に記載の電子部品。
【請求項1】
ベース基板と、
該ベース基板の一方の面に実装してある複数の電子部品と、
前記ベース基板の他方の面に形成してある複数の端子電極と
を備える電子部品モジュールにおいて、
前記端子電極は、3層以上の電極層を積層することで形成され、前記電極層のそれぞれの面積が、前記ベース基板側から順に小さくなることを特徴とする電子部品モジュール。
【請求項2】
前記端子電極は、最も外側に積層された前記電極層の面積が、前記ベース基板の他方の面と接する前記電極層の面積の34%以下であることを特徴とする請求項1に記載の電子部品モジュール。
【請求項3】
前記端子電極は、前記電極層のそれぞれの重心位置が、前記ベース基板の他方の面からの同じ垂線上に存在することを特徴とする請求項1又は2に記載の電子部品モジュール。
【請求項4】
前記端子電極は、隣接する2層の前記電極層で形成される勾配率が一定であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電子部品モジュール。
【請求項5】
電子部品本体と、
該電子部品本体の底面に複数の端子電極を有する電子部品において、
前記端子電極は、3層以上の電極層を積層することで形成され、前記電極層のそれぞれの面積が、前記電子部品本体の底面側から順に小さくなることを特徴とする電子部品。
【請求項6】
前記端子電極は、最も外側に積層された前記電極層の面積が、前記電子部品本体の底面と接する前記電極層の面積の34%以下であることを特徴とする請求項5に記載の電子部品。
【請求項7】
前記端子電極は、前記電極層のそれぞれの重心位置が、前記電子部品本体の底面からの同じ垂線上に存在することを特徴とする請求項5又は6に記載の電子部品。
【請求項8】
前記端子電極は、隣接する2層の前記電極層で形成される勾配率が一定であることを特徴とする請求項5乃至7のいずれか一項に記載の電子部品。
【図1】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【公開番号】特開2012−174923(P2012−174923A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−36240(P2011−36240)
【出願日】平成23年2月22日(2011.2.22)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月22日(2011.2.22)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】
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