説明

電子部品内蔵ユニット及びその仮止め機構

【課題】電子部品内蔵ユニットを支持体に対して概ね正しい向きに仮止めすることを可能とし、さらに、仮止め後において、支持体に対する電子部品内蔵ユニットの取付位置の微調整を可能とし、加えて、ネジからアース端子部に伝わったトルクが樹脂製のケースに加わることによるケースの変形を防止できること。
【解決手段】金属製のアース部材20の基部22に突設され、支持体の第1の孔に遊びを有して挿入される金属軸部23と、ケース11に突設され、支持体の第2の孔に遊びを有して挿入される樹脂突起部12と、金属軸部23に形成され、第1の孔の縁部に引っ掛かる掛かり部24とを備える。ネジが通されるアース端子部21のネジ通し孔211の位置を中心として金属軸部23が回動する方向における金属軸部23と第1の孔との間の遊びは、同様に樹脂突起部12が回動する方向における樹脂突起部12と第2の孔との間の遊びよりも小さい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線に取り付けられる電子部品内蔵ユニット及びそれを支持体に仮止めする仮止め機構に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車に代表される車両に搭載される電子部品は、電力供給用の電線及び信号電線用の電線に接続される。また、車両に搭載される電子部品は、ノイズによる誤動作の防止のため、非導電性の樹脂製のケースに収容されるとともに、金属製のアース端子部を通じて、車両の一部をなす金属製の支持体に対して電気的に接続されることにより、フレーム接地が施される。このように、車両に搭載される電子部品は、それを収容する樹脂製のケースと、金属製のアース端子部とともに、電子部品内蔵ユニットとしてユニット化される。
【0003】
一般に、アース端子部は、支持体に螺着されるネジが挿入される貫通孔が設けられており、その貫通孔に挿入されたネジが支持体のネジ穴に螺着されることにより、アース端子部は、支持体に固定され、電子部品は、アース端子部を通じて支持体に対して電気的に接続される。
【0004】
また、電子部品内蔵ユニットを支持体に固定する作業、即ち、ネジをアース端子部の貫通孔に通し、そのネジを支持体のネジ穴に螺着する作業を容易化するため、電子部品内蔵ユニットは、支持体する仮止めの機構を備えている。
【0005】
例えば、特許文献1に示される電子部品内蔵ユニットは、ネジが挿入される貫通孔が設けられているアース端子部とケースに固定された基部とが一体となった金属製の部材と、その部材の基部に設けられたクランプとを備えている。そのクランプは、支持体に形成された孔に挿入されることにより、支持体の孔の縁部に固定される。これにより、電子部品内蔵ユニットは、クランプを通じて支持体に仮止めされる。
【0006】
また、アース端子部が支持体にネジ止めされる際に、ネジに加わるトルクの一部がアース端子部に伝わり、アース端子部とともに電子部品内蔵ユニット全体が、ネジの回転につられて回ろうとするが、クランプが、電子部品内蔵ユニットの回転を規制する回り止めとして機能する。
【0007】
また、特許文献1に示される電子部品内蔵ユニットにおいては、クランプは、樹脂製のケースに設けられるのではなく、アース端子部と一体に形成された金属製の基部に設けられている。そのため、ネジからアース端子部に伝わったトルクは、クランプを介して金属製の基部で受けられる。その結果、ネジからアース端子部に伝わったトルクが、クランプを介して樹脂製のケースに加わることによるケースの変形を防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−306839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、電子部品内蔵ユニットを支持体に取り付ける作業において、電子部品内蔵ユニットが支持体に仮止めされた後、電子部品内蔵ユニットの位置の微調整が必要となる場合がある。その微調整は、電子部品内蔵ユニット自体の寸法公差、及び支持体に設けられたクランプ挿入用の孔及びネジ穴の位置の寸法公差などに起因して必要となる。
【0010】
しかしながら、特許文献1等に示される従来の電子部品内蔵ユニットは、クランプによって支持体に仮止めされることによって支持体に固定される。そのため、従来の電子部品内蔵ユニットは、それが支持体へ仮止めされた後、支持体に対する取付位置の微調整ができないという問題点を有していた。また、仮に、クランプとクランプが挿入される孔との間に遊びが設けられた場合、電子部品内蔵ユニットは、仮止め後において、クランプを中心に回転自在となる。その場合、仮止めされた電子部品内蔵ユニットを正しい向きに向けるための作業が必要となり、電子部品内蔵ユニットの取り付けの作業効率が悪化するという問題が生じる。
【0011】
本発明は、電子部品内蔵ユニットを支持体に対して概ね正しい向きに仮止めすることを可能とし、さらに、仮止め後において、支持体に対する電子部品内蔵ユニットの取付位置の微調整を可能とし、加えて、ネジからアース端子部に伝わったトルクが樹脂製のケースに加わることによるケースの変形を防止できることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る電子部品内蔵ユニットは、以下に示す各構成要素を備える。
(1)第1の構成要素は、電子部品を内蔵し、電線に取り付けられる樹脂製のケースである。
(2)第2の構成要素は、前記ケースから張り出しているとともに支持体に螺着されるネジが挿入される貫通孔が設けられているアース端子部と、前記ケースに固定された基部とが形成された金属製の一の部材であるアース部材である。
(3)第3の構成要素は、前記アース部材の前記基部における前記支持体に対向する面に突設され、前記支持体に形成された第1の孔に遊びを有して挿入される第1の突起部である。
(4)第4の構成要素は、前記ケースにおける前記支持体に対向する面に突設され、前記支持体に形成された第2の孔に遊びを有して挿入される第2の突起部である。
(5)第5の構成要素は、前記第1の突起部又は前記第2の突起部に形成され、前記第1の孔又は前記第2の孔の縁部に引っ掛かる掛かり部である。
【0013】
また、本発明に係る電子部品内蔵ユニットにおいて、前記掛かり部は、前記第1の突起部における先端側で折り曲げられた部分であることが考えられる。
【0014】
さらに、本発明に係る電子部品内蔵ユニットにおいて、前記第1の突起部及び前記掛かり部は、前記基部の一部が折り曲げられて形成された部分であることも考えられる。
【0015】
一方、本発明に係る電子部品内蔵ユニットにおいて、前記掛かり部は前記第2の突起部に形成され、前記第2の突起部及び前記掛かり部は、前記ケースとともに一体に成型された部分であることが考えられる。
【0016】
また、本発明に係る電子部品内蔵ユニットの仮止め機構は、前述した本発明に係る電子部品内蔵ユニットの構成に加え、さらに以下に示される構成を備えている。即ち、本発明に係る電子部品内蔵ユニットの仮止め機構において、前記貫通孔の位置を中心として前記第1の突起部が回動する方向における前記第1の突起部と前記第1の孔との間の遊びは、前記貫通孔の位置を中心として前記第2の突起部が回動する方向における前記第2の突起部と前記第2の孔との間の遊びよりも小さい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、電子部品内蔵ユニットにおける2つの突起部各々が、それらに対応して支持体に設けられた2つの孔各々に挿入されるだけで、電子部品内蔵ユニットは、支持体に対して概ね正しい向きに配置され、さらに、掛かり部の作用により、支持体に対して仮止めされる。また、2つの突起部各々と2つの孔各々との間の遊びが設けられることにより、仮止め後において、支持体に対する電子部品内蔵ユニットの取付位置の微調整が可能である。
【0018】
さらに、2つの突起部と2つの孔との間の遊びの大きさの関係が適切に設定されることにより、ネジからアース端子部に伝わったトルクは、金属製の基部に設けられた第1の突起部によって受け止められる。その結果、ネジからアース端子部に伝わったトルクが、樹脂製のケースに加わることによるケースの変形を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施形態に係る電子部品内蔵ユニット1の斜視図である。
【図2】電子部品内蔵ユニット1の平面図である。
【図3】支持体に仮止めされた電子部品内蔵ユニット1の側面図である。
【図4】支持体に仮止めされる途中における電子部品内蔵ユニット1の側面図である。
【図5】電子部品内蔵ユニット1と支持体における仮止め用の孔との位置関係を示す図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る電子部品内蔵ユニット1の斜視図である。
【図7】支持体に仮止めされた電子部品内蔵ユニット2の側面図である。
【図8】電子部品内蔵ユニット2と支持体における仮止め用の孔との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であり、本発明の技術的範囲を限定する性格は有さない。
【0021】
<第1実施形態>
まず、図1(斜視図)及び図2(平面図)を参照しつつ、本発明の第1実施形態に係る電子部品内蔵ユニット1の構成について説明する。図1に示されるように、電子部品内蔵ユニット1は、絶縁性のユニット本体部10と、金属製のアース部材20とを備える。電子部品内蔵ユニット1は、アース部材20の部分が車両本体のパネルなどの、導電性の支持体に固定されることによって支持体に保持される。
【0022】
ユニット本体部10は、樹脂製の一体成形品であり、内側に形成された空間に不図示の電子部品を内蔵するケース11と、そのケース11の外側の一面に突設された突起部12とを有している。即ち、突起部12は、ケース11とともに一体に成型された部分である。ユニット本体部10は、例えば、ABS樹脂、ポリプロピレン(PP)又はポリアミド(PA)などの合成樹脂からなる部材である。以下、突起部12のことを樹脂突起部12と称する。ケース11は、電線9の途中に取り付けられ、ケース11内の電子部品は、電線9から電力が供給される。
【0023】
ケース11における樹脂突起部12が形成された面、即ち、図1において上方側の面は、当該電子部品内蔵ユニット1が導電性の支持体に取り付けられる際に支持体に対向する面である。後述するように、電子部品内蔵ユニット1が支持体に仮止めされる際、樹脂突起部12は、支持体に形成された位置決め用の2つの孔の一方に遊びを有して挿入される。
【0024】
アース部材20は、ケース11から張り出しているアース端子部21と、ケース11に固定された基部22とが一体に形成された金属製の一つの部材である。アース部材20は、例えば、鉄、銅又はステンレスなどの金属からなる板状の部材である。アース端子部21には、車両本体のパネルなどの支持体に螺着されるネジが挿入される貫通孔であるネジ通し孔211が設けられている。また、基部22における支持体に対向する面には、支持体に形成された 突起部25が突設されている。以下、この突起部25のことを金属突起部25と称する。後述するように、電子部品内蔵ユニット1が支持体に仮止めされる際、金属突起部25は、支持体に形成された位置決め用の2つの孔のうちの残りの一方に遊びを有して挿入される。
【0025】
また、金属突起部25の先端側の一部の範囲の部分は折り曲げられた状態に形成されている。この金属突起部25における先端側で折り曲げられた部分24は、支持体における仮止め用の孔の縁部に引っ掛かる部分である。以下、この折り曲げられた部分24のことを掛かり部24と称する。また、金属突起部25における掛かり部24を除いた残りの部分、即ち、基部22から突出して伸びた部分を金属軸部23と称する。そして、金属軸部23及び掛かり部24は、板状の基部22の一部が折り曲げられて形成された部分である。掛かり部24が支持体の仮止め用の孔の縁部に引っ掛かることにより、電子部品内蔵ユニット1が支持体に仮止めされる。
【0026】
板状の基部22の一部の折り曲げにより形成される金属突起部25(金属軸部23及び掛かり部24)は、溶接などによって別部材が取り付けられることによって設けられる突起部よりも、簡易かつ低コストで作製可能である。
【0027】
図2において、一点鎖線の矢印で示される方向R1,R2は、電子部品内蔵ユニット1が、ネジ通し孔211の中心位置212を中心として回動する場合における、金属軸部23及び樹脂突起部12各々の回動方向を示す。以下、金属軸部23の回動方向を第1回動方向R1、樹脂突起部12の回動方向を第2回動方向R2と称する。
【0028】
図3は、導電性のパネルである支持体8に仮止めされた電子部品内蔵ユニット1の側面図である。また、図5は、電子部品内蔵ユニット1と支持体8に設けられた仮止め用の2つの孔81,82との位置関係を示す図である。以下、仮止め用の2つの孔81,82のうち、金属軸部23に対応する孔を第1仮止め孔81と称し、樹脂突起部12に対応する孔を第2仮止め孔82と称する。
【0029】
図3に示されるように、金属軸部23及び樹脂突起部12の各々が、第1仮止め孔81及び第2仮止め孔82の各々に挿入された状態で、掛かり部24が支持体8における第1仮止め孔81の縁部に引っ掛かることにより、電子部品内蔵ユニット1は支持体に仮止めされる。この状態において、2箇所に設けられた金属軸部23及び樹脂突起部12の各々の位置と、支持体8における第1仮止め孔81及び第2仮止め孔82の各々の位置とが概ね合致することにより、電子部品内蔵ユニット1は、支持体8に対して概ね正しい向きに配置される。
【0030】
また、断面形状が矩形である金属軸部23に対応する第1仮止め孔81の形状が矩形であり、断面形状が円形である樹脂突起部12に対応する第2仮止め孔82の形状が円形である。このように、金属軸部23と樹脂突起部12との断面形状が異なり、それらに合わせて2つの仮止め用の孔81,82の形状も異なる。そのため、仮止め作業において、電子部品内蔵ユニット1の配置方向の間違いが生じにくい。
【0031】
図3及び図5に示されるように、第1仮止め孔81は、金属軸部23の横断面の大きさよりも大きく形成されている。また、第2仮止め孔82は、樹脂突起部12の横断面の大きさよりも大きく形成されている。そのため、金属軸部23及び樹脂突起部12の各々が、第1仮止め孔81及び第2仮止め孔82の各々に挿入された状態において、金属軸部23及び樹脂突起部12各々の外周面と第1仮止め孔81及び第2仮止め孔82各々の内周面との間に隙間(遊び)が形成される。
【0032】
金属軸部23及び樹脂突起部12の各々と、第1仮止め孔81及び第2仮止め孔82の各々との間に遊びが設けられていることにより、仮止め後において、支持体8に対する電子部品内蔵ユニット1の取付位置の微調整が可能である。
【0033】
また、図5に示されるように、第1回動方向R1における金属軸部23と第1仮止め孔81との間の遊び(隙間)の大きさW1は、第2回動方向R2における樹脂突起部12と第2仮止め孔82との間の遊び(隙間)の大きさW2よりも小さい。なお、電子部品内蔵ユニット1と、支持体8における第1仮止め孔81及び第2仮止め孔82の各々が設けられた部分とにより、本発明の第1実施形態に係る電子部品内蔵ユニットの仮止め機構が構成されている。
【0034】
アース端子部21が支持体8に対してネジ7で固定される際、ネジ7に加わるトルクの一部がアース端子部21に伝わり、アース端子部21とともに電子部品内蔵ユニット1全体が、ネジ7の回転につられて回動し始める。その際、金属軸部23は、第1回動方向R1へ回動し始めるが、第1仮止め孔81の縁に当接することにより、電子部品内蔵ユニット1全体の回動が止められる。
【0035】
一方、電子部品内蔵ユニット1全体が、ネジ7の回転につられて回動し始めた際、樹脂突起部12は第2回動方向R2へ回動し始める。しかしながら、樹脂突起部12と第2仮止め孔82との間の遊びの大きさW2が、金属軸部23と第1仮止め孔81との間の遊びの大きさW1よりも大きいため、樹脂突起部12が第2仮止め孔82の縁に到達する前に、電子部品内蔵ユニット1全体の回動は止まる。即ち、金属軸部23は回り止めとして機能するが、樹脂突起部12は、ネジ7の締め付けに伴う応力を受けない。従って、ネジ7からアース端子部21に伝わったトルクが、樹脂突起部12を介して樹脂製のケース11に加わることによるケース11の変形は回避される。なお、アース部材20は、金属製の部材であるため、応力が加わることによる変形の問題は生じない。
【0036】
ところで、金属突起部25における掛かり部24は可撓性を有さないため、第1仮止め孔81は、掛かり部24の平面形状の大きさよりも大きく形成されている必要がある。しかも、金属軸部23と第1仮止め孔81との間の遊びの大きさW1は、樹脂突起部12と第2仮止め孔82との間の遊びの大きさW2よりも小さく設定される必要がある。
【0037】
そこで、図5に示されるように、第1仮止め孔81は、第1回動方向R1に対して交差する方向を長手方向とする長孔状に形成されている。長孔状の第1仮止め孔81の長手方向の長さ及びそれに直交する方向の幅は、それぞれ掛かり部24の長手方向の長さ及び幅各々よりも長く形成されている。これにより、可撓性を有さない掛かり部24を第1仮止め孔81に通すことができる。
【0038】
また、第1仮止め孔81の長手方向は、第1回動方向R1に対して交差する方向である。そのため、金属軸部23と第1仮止め孔81との間の遊びの大きさW1を、樹脂突起部12と第2仮止め孔82との間の遊びの大きさW2よりも小さく設定することが可能である。
【0039】
図4は、支持体8に仮止めされる途中における電子部品内蔵ユニット1の側面図である。図4に示されるように、電子部品内蔵ユニット1が支持体8に仮止めされる際、まず、樹脂突起部12が未だ第2仮止め孔82に挿入されない状態で、金属突起部25における掛かり部24が、第1仮止め孔81に挿入される。その後、電子部品内蔵ユニット1が、第1仮止め孔81の長手方向に沿って移動される。これにより、図3に示されるように、掛かり部24が第1仮止め孔81の縁部に引っ掛かる状態となるとともに、樹脂突起部12が、第2仮止め孔82に挿入される状態となる。その結果、電子部品内蔵ユニット1が、支持体8に仮止めされる。
【0040】
以上に示したように、電子部品内蔵ユニット1は、2箇所に設けられた金属突起部25及び樹脂突起部12の各々が、それらに対応して支持体8に設けられた2つの仮止め用の孔81,82各々に挿入されるだけで、支持体8に対し、概ね正しい向きに配置された状態で仮止めされる。しかも、ネジ7からアース端子部21に伝わったトルクは、金属製の基部22に設けられた金属軸部23によって受け止められるため、樹脂製のケース11の変形は回避される。
【0041】
なお、第1仮止め孔81及び第2仮止め孔82は、それらの遊びの大きさW1,W2が以上に示した関係を満たしていればよく、以上に示した形状と異なる形状であってもよい。例えば、金属軸部23に対応する第1仮止め孔81の形状は、楕円形状のように、金属軸部23の断面形状と異なる形状であることも考えられる。同様に、樹脂突起部12に対応する第2仮止め孔82の形状は、例えば、正方形状のように、樹脂突起部12の断面形状と異なる形状であることも考えられる。
【0042】
<第2実施形態>
次に、図6〜図8を参照しつつ、本発明の第2実施形態に係る電子部品内蔵ユニット2について説明する。この電子部品内蔵ユニット2は、図1に示された電子部品内蔵ユニット1と比較して、一部の構成の変更のみが加えられた構成を有している。図6〜図8において、図1〜図5に示される構成要素と同じ構成要素は、同じ参照符号が付されている。以下、電子部品内蔵ユニット2における電子部品内蔵ユニット1と異なる点についてのみ説明する。
【0043】
電子部品内蔵ユニット2は、支持体8の仮止め孔の縁部に引っ掛かる部分として、金属軸部23の先端の掛かり部24の代わりに、樹脂突起部12の先端部に樹脂製の掛かり部13が設けられている点において、電子部品内蔵ユニット1と異なる。電子部品内蔵ユニット2のその他の構成は、電子部品内蔵ユニット1の構成と同じである。
【0044】
図6に示されるように、掛かり部13は、樹脂突起部12の先端側に形成され、樹脂突起部12及び掛かり部13は、ケース11とともに一体に成型された部分である。掛かり部13は、樹脂突起部12の両側に張り出した張り出し部131が形成されている。
【0045】
図7は、支持体8に仮止めされた電子部品内蔵ユニット2の側面図である。図7に示されるように、掛かり部13の幅は、第2仮止め孔82の幅よりも大きい。この張り出し部131は、可撓性を有しており、その可撓性により樹脂突起部12の側(内側)へ収縮可能である。従って、掛かり部13は、第2仮止め孔82に押し入れられることにより、張り出し部131が収縮し、第2仮止め孔82の裏側へ挿入される。そして、収縮前の元の形状に復帰した掛かり部13は、張り出し部131の部分において、第2仮止め孔82の縁部に引っ掛かる。これにより、電子部品内蔵ユニット2は、支持体8に仮止めされる。
【0046】
図8は、電子部品内蔵ユニット2と支持体8における第1仮止め孔81及び第2仮止め孔82との位置関係を示す図である。この位置関係は、電子部品内蔵ユニット1と2つの仮止め用の孔81,82との位置関係と同様である。
【0047】
即ち、図8に示されるように、第1仮止め孔81は、金属軸部23の横断面の大きさよりも大きく形成されている。また、第2仮止め孔82は、樹脂突起部12の横断面の大きさよりも大きく形成されている。そのため、金属軸部23及び樹脂突起部12の各々が、第1仮止め孔81及び第2仮止め孔82の各々に挿入された状態において、金属軸部23及び樹脂突起部12各々の外周面と第1仮止め孔81及び第2仮止め孔82各々の内周面との間に隙間(遊び)が形成される。
【0048】
また、第1回動方向R1における金属軸部23と第1仮止め孔81との間の遊び(隙間)の大きさW1は、第2回動方向R2における樹脂突起部12と第2仮止め孔82との間の遊び(隙間)の大きさW2よりも小さい。但し、電子部品内蔵ユニット2においては、金属軸部23の先端側の掛かり部24は存在しないため、第1仮止め孔81は、金属軸部23の外周に沿った形状を有している。なお、電子部品内蔵ユニット2と、支持体8における第1仮止め孔81及び第2仮止め孔82の各々が設けられた部分とにより、本発明の第2実施形態に係る電子部品内蔵ユニットの仮止め機構が構成されている。
【0049】
以上に示した電子部品内蔵ユニット2が採用されることにより、電子部品内蔵ユニット1が採用された場合と同様の作用及び効果が得られる。
【符号の説明】
【0050】
1,2 電子部品内蔵ユニット
7 ネジ
8 支持体
9 電線
10 ユニット本体部
11 ケース
12 突起部(樹脂突起部)
13 掛かり部
20 アース部材
21 アース端子部
22 基部
23 金属軸部
24 掛かり部
25 突起部(金属突起部)
81 第1仮止め孔
82 第2仮止め孔
131 張り出し部
211 ネジ通し孔
R1 第1回動方向
R2 第2回動方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を内蔵し、電線に取り付けられる樹脂製のケースと、
前記ケースから張り出しているとともに支持体に螺着されるネジが挿入される貫通孔が設けられているアース端子部と前記ケースに固定された基部とが形成された金属製の一の部材であるアース部材と、を備えた電子部品内蔵ユニットであって、
前記アース部材の前記基部における前記支持体に対向する面に突設され、前記支持体に形成された第1の孔に遊びを有して挿入される第1の突起部と、
前記ケースにおける前記支持体に対向する面に突設され、前記支持体に形成された第2の孔に遊びを有して挿入される第2の突起部と、
前記第1の突起部又は前記第2の突起部に形成され、前記第1の孔又は前記第2の孔の縁部に引っ掛かる掛かり部と、を備えることを特徴とする電子部品内蔵ユニット。
【請求項2】
前記掛かり部は、前記第1の突起部における先端側で折り曲げられた部分である、請求項1に記載の電子部品内蔵ユニット。
【請求項3】
前記第1の突起部及び前記掛かり部は、前記基部の一部が折り曲げられて形成された部分である、請求項2に記載の電子部品内蔵ユニット。
【請求項4】
前記掛かり部は前記第2の突起部に形成され、
前記第2の突起部及び前記掛かり部は、前記ケースとともに一体に成型された部分である、請求項1に記載の電子部品内蔵ユニット。
【請求項5】
電子部品を内蔵し、電線に取り付けられる樹脂製のケースと、
前記ケースから張り出しているとともに支持体に螺着されるネジが挿入される貫通孔が設けられているアース端子部と前記ケースに固定された基部とが形成された金属製の一の部材であるアース部材と、を備えた電子部品内蔵ユニットを、前記支持体に仮止めする電子部品内蔵ユニットの仮止め機構であって、
前記支持体における第1の孔が形成された部分と、
前記支持体における第2の孔が形成された部分と、
前記アース部材の前記基部における前記支持体に対向する面に突設され、前記第1の孔に遊びを有して挿入される第1の突起部と、
前記ケースにおける前記支持体に対向する面に突設され、前記第2の孔に遊びを有して挿入される第2の突起部と、
前記第1の突起部又は前記第2の突起部に形成され、前記第1の孔又は前記第2の孔の縁部に引っ掛かる掛かり部と、を有し、
前記貫通孔の位置を中心として前記第1の突起部が回動する方向における前記第1の突起部と前記第1の孔との間の遊びは、前記貫通孔の位置を中心として前記第2の突起部が回動する方向における前記第2の突起部と前記第2の孔との間の遊びよりも小さいことを特徴とする電子部品内蔵ユニットの仮止め機構。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−19615(P2012−19615A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−155592(P2010−155592)
【出願日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】