説明

電子部品除去方法及び装置

【課題】本発明は、半田等の接合材が溶融したことを容易に検出することができ、且つ接合材が溶融した直後に電子部品を取り除くことができる電子部品除去装置及び方法を提供することを目的とする。
【解決手段】保持部材11は、電子部品1に当接するように構成される。熱線照射装置は、電子部品1に荷重が加えられた状態で、熱硬化性樹脂A及び半田Sに熱線を照射する。熱硬化性樹脂Aは半田Sが溶融する前に硬化して電子部品1は保持部材1に固着される。制御部は、移動検出部が電子部品1の移動を検出したら、駆動機構を駆動して保持部材11を電子部品1から離間する方向に移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子部品除去装置及び方法に係わり、特にプリント基板に実装された電子部品をプリント基板から取り外すための電子部品除去装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器のプリント基板に実装された半導体チップや抵抗あるいはコンデンサ等の電子部品が不良となった場合、不良となった電子部品をプリント基板から取り外して交換する必要がある。抵抗やコンデンサ等の電子部品は、一般的に、熱溶融接合材である半田によりプリント基板の電極に接合されているため、接合した半田を溶融させてから電子部品を取り外す必要がある。
【0003】
通常、半田を溶融させるには、加熱された半田ごてを半田接合部分に押し付けて熱により半田を溶融させる方法が一般的である。半田ごてを押し付けることで半田が溶融した状態で、すばやく電子部品を持ち上げることで、プリント基板から電子部品を取り外す。また、プリント基板上で半田を溶融させる方法として、上述のように半田ごてを用いる方法の他に、熱風を半田接合部に吹き付けて半田を溶融させる方法や、ハロゲンランプ等から熱線を照射して半田を加熱・溶融させる方法も提案されている。
【0004】
また、ICチップ等の電子部品が収容されるような凹部を有する治具を用いて電子部品を回転させることで、半田を溶融させずに電子部品をプリント基板から引きはがすことが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このとき、プリント基板の裏面から赤外線を照射してある程度加熱し、半田を軟化させることで電子部品を容易に取り外すことも提案されている。
【特許文献1】特開平10−70399号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
半田ごてを用いて半田を溶融させる際に、半田を十分に溶融状態とするために電子部品や半田接合部を過度に加熱してしまう場合がある。この場合、プリント基板上の電極や配線も加熱され、剥離しやすくなってしまう。したがって、電子部品を取り外した後に残った半田を半田ごてで掻き取る作業(クリーニング)を行う際に、半田ごてが接触することで電極や配線が容易にプリント基板から剥離してしまうという問題がある。
【0006】
また、熱風を当てたり熱線を照射したりして半田を溶融させる場合、半田が十分に溶融した後に電子装置をプリント基板から取り外す(持ち上げる)必要があるが、半田が溶融したか否かを即時に判定することは困難である。半田が十分に溶融する前に電子部品を持ち上げようとすると、プリント基板の電極や配線も電子部品と共にプリント基板から引き剥がされてしまうおそれがある。したがって、加熱時間を十分にとることで、半田が完全に溶融したものと推測して、電子部品の取り外し動作を開始する。このため、電子部品やプリント基板を必要以上に加熱してしまうこととなり、これに起因した問題が発生する。
【0007】
半田を溶融させずに電子部品を取り外す方法は、プリント基板に熱を加えることなく電子部品を取り外すことができるため、熱によるダメージがないという利点がある。しかし、接合している半田を外部からの力により機械的に切断するため、半田の接合力が強いと、プリント基板の電極や配線まで引き剥がされたり、切断されてしまうという問題がある。また、特に、抵抗やコンデンサ等の小さな電子部品の場合には、外形を利用して電子部品に大きな荷重を作用させることは難しい。
【0008】
本発明は上述の問題に鑑みなされたものであり、半田等の接合材が溶融したことを容易に検出することができ、且つ接合材が溶融した直後に電子部品を取り除くことができる電子部品除去装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の目的を達成するために、本発明によれば、熱溶融接合材を用いて基板に実装された電子部品を、該基板から除去する電子部品除去装置であって、該電子部品に当接するように構成された保持部材と、前記電子部品を前記基板に実装している前記熱溶融接合部材を溶融する溶融装置と、前記電子部品の移動を検出する移動検出部と、前記電子部品に荷重を加える荷重印加機構と、前記保持部材を少なくとも前記基板から離間する方向に移動する駆動機構と、前記移動検出器が前記電子部品の移動を検出したら、前記駆動機構を駆動して前記保持部材を前記電子部品が前記基板から離間する方向に移動させる制御部と を有することを特徴とする電子部品除去装置が提供される。
【0010】
本発明による電子部品除去装置において、前記移動検出部は、前記保持部材を支持するアーム部材の変位を検出する変位センサを含むことが好ましい。また、前記荷重印加機構は、前記保持部材を駆動することにより前記電子部品に荷重を加えることが好ましい。
【0011】
また、本発明によれば、熱溶融接合材を用いて基板に実装された電子部品を、該基板から除去する電子部品除去方法であって、熱硬化性接着剤を介して該電子部品に保持部材を押圧した状態で、該熱硬化性接着剤を加熱硬化させ且つ該熱溶融接合部材を加熱し、該熱溶融接合部材を加熱しながら前記電子部品の移動を検出し、前記電子部品の移動が検出されたら、直ちに前記保持部材を該基板から離間する方向に移動することにより前記電子部品を前記基板から除去することを特徴とする電子部品除去方法が提供される。
【0012】
本発明による電子部品除去方法において、前記熱硬化性接着材として、前記熱溶融接合部材の溶融温度より低い硬化温度の熱硬化性樹脂を用いることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、電子部品の移動を検出することで、熱溶融接合材が溶融したか否かを判定することができる。すなわち、熱溶融接合材が溶融すると電子部品に印加されている荷重により電子部品が僅かに移動するので、電子部品の移動が検出された時点で、熱溶融接合材が溶融したと判定することができる。したがって、電子部品の移動が検出されたら直ちに電子部品を取り外す工程に移ることにより、熱溶融接合材が溶融する前に電子部品を取り外す工程が開始されることはなく、また、熱溶融接合材が溶融した後にも加熱を続けて過度の加熱を行うこともない。これにより、基板上の電極や配線を良好な状態に維持しながら電子部品を基板から取り外すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0015】
図1は本発明の一実施形態による電子部品除去装置の概略側面図である。図1に示す電子部品除去装置は、電子部品1が実装されたプリント基板2から電子部品1を除去するための装置である。また、図2は図1に示すノズル部の正面図である。
【0016】
電子部品1としては、半導体装置のような能動素子や、抵抗素子、コンデンサ素子のような受動素子が含まれる、ここでは、電子部品1は、例えば06−03(長さ6mm、幅3mm、高さ3mm)の受動素子とする。電子部品1の両端には電極1aが形成されており、この電極1aがプリント基板2上のパターン配線(又はパターン電極)2aに熱溶融接合材により接合されている。
【0017】
熱溶融接合材は、例えば、半田、銀ろうなどのろう付け材等、熱により溶融してから個化する際に金属を接合するような接合材である。ここでは、熱溶融接合材として半田が用いられる。半田としては、共晶半田や鉛フリー半田等、いずれの種類の半田であってもよい。また、プリント基板2は、実装面にパターン配線が施された基板であり、フレキシブルプリント基板、リジッドプリント基板、等いずれの種類の基板であってもよい。
【0018】
電子部品1が半田Sにより実装されたプリント基板2は、XYステージ部3の上に載置される。XYステージ部3は水平方向に移動可能であり、プリント基板2を所定の位置に水平移動することができる。XYステージ部3の上方には、加熱源としての熱線照射装置4が配置されている。熱線照射装置4は、熱線としてのソフトビームを発生する、例えばハロゲンランプ5を有する。ハロゲンランプ5からのソフトビームは絞りレンズ6及びマスク7により小さなスポット径に絞られ、プリント基板2に照射される。ソフトビームのスポット径は、電子部品1全体をカバーする大きさか、電子部品1の近傍をカバーする程度の大きさに絞られる。なお、熱線照射装置4は熱線を照射して熱溶融接合材を加熱し溶融する溶融装置として機能するが、溶融装置としては、熱線を照射する以外に、例えば熱風を吹き付けたり、半田ごてのような加熱部材を当接させたりするような他の方法により熱溶融接合材を加熱する装置であってもよい。
【0019】
XYステージ部3と熱線照射装置4との間に、ノズル部10が配置される。ノズル部10は、図2にも示すように、電子部品1を保持するための保持部材であるノズル11を有する。ノズル11は、例えば銅やステンレス鋼でできた棒状、あるいはチューブ状の細長い部材であり、XYステージ部3の載置面に垂直な方向に移動可能なアーム部12の先端に取り付けられる。アーム部12はアーム支持部13から水平方向に延出しており、アーム支持部13がシャフト部14に沿って移動することで、アーム部12はXYステージ部3の載置面に垂直な方向に移動する。
【0020】
図2に示すように、ノズル11の両側にサイドピン15が配置されている。サイドピン15の先端はノズル11の先端より下方に延在しており、ノズル11の先端が電子部品1の上面に当接した状態で、電子部品の側面に沿って延在し、先端が半田Sに当接するように構成されている。また、サイドピン15は垂直方向に僅かに移動可能なように、バネ構造を内蔵している。バネ構造を内蔵することで、サイドピン15の先端が半田Sに当接した後もノズル11を下降させることができ、サイドピン15の先端が半田Sに当接し且つノズルの先端が電子部品1の上面に当接した状態とすることができる。
【0021】
図3は図1に示すアーム部とノズルを示す図である。また、図4はアーム支持部13の構成を示す簡略図である。なお、図3及び図4において、図面の簡素化の目的で、サイドピンの図示は省略されている。
【0022】
アーム部12の先端にノズル11が取り付けられており、ノズル11が取り付けられた先端の反対側にはアーム可動部12aが設けられている。アーム可動部12aに変位センサ16が設けられ、アーム可動部12aの微小な変位を検出することができる。変位センサ16として、図4に示す例では、スピンドルの微小移動を光学的に検出して電気信号を出力するリニアゲージセンサが用いられている。変位センサ16としては、他に、歪みゲージ、マイクロスイッチ等の周知の微小変位検出器を用いることができる。変位センサ16は、後述のように電子部品1が移動した際のアーム可動部12aの変位を検出するために設けられる。
【0023】
図4に示すように、アーム支持部13は駆動機構17によりシャフト部14に沿って移動可能である。駆動機構17としては、駆動源としてモータを用いたギヤ構造やラック・ピニオン構造等の周知の直線移動機構を用いることができる。変位センサからの検出信号(電気信号)は、制御部である駆動コントローラ18に供給される。駆動コントローラ18は、変位センサ16からの出力信号に基づいて、アーム可動部12aが変位したと判定すると、駆動機構17のモータ(図示せず)を駆動して駆動機構17を駆動し、ノズル11が電子部品1から離間する方向(図4では矢印に示す垂直上方)にアーム支持部13を移動させる。アーム可動部12aの変位の判定は、例えば、ある一定の変位量に達したときに変位したと判定したり、単位時間あたりの変位量を算出し、一定量を超えたところで変位したと判定することができる。
【0024】
次に、電子部品に荷重を印加する荷重印加機構について説明する。
【0025】
半田Sが溶融したときに電子部品1を微小移動させるには、電子部品1に予め小さな荷重を加えておく必要がある。例えば、ノズル11による押圧力をそのような荷重とすることができる。アーム支持部13を駆動する駆動機構17を駆動してノズル11により電子部品1の上面を押圧しておくことで、半田Sが溶融すると同時に電子部品が下方あるいは横方向に微小移動する。この微小移動は、ノズル11及びアーム部12を介してアーム可動部13の微小変位となって現れる。そこで、アーム可動部13の変位を変位センサ16で検出することで、電子部品の移動を検出することができる。この場合、ノズル11、アーム部12,アーム可動部12a、アーム支持部13、及び駆動機構17を含む構成が、電子部品1に荷重を印加しておくための荷重印加機構を構成することとなる。
【0026】
図5は、電子部品1への荷重の印加から、電子部品1の取り外しまでの工程を示す図である。
【0027】
図5(a)に示すように、まず駆動機構17を駆動して、ノズル11の先端を電子部品1の上面に当接させる。このとき、電子部品1の上面には、予め熱硬化性接着剤Aが塗布されており、ノズル11の先端は熱硬化性接着剤Aを介して電子部品11の上面に当接する。熱硬化性接着剤Aは、加熱することにより硬化する熱硬化性樹脂である。
【0028】
次に、図5(b)に示すように、ノズル11を電子部品1に押し付けながら、熱線照射装置4からソフトビームを電子部品1全体又は電子部品1の近傍に照射する。熱硬化性接着剤Aと半田Sはソフトビームにより加熱され、その温度は上昇する。熱硬化性接着剤Aの硬化温度(例えば、130℃)は半田Sの溶融温度(例えば、230℃)より低いので、半田Sが溶融する前に熱硬化性接着剤Aは硬化して、電子部品1はノズル11の先端に固着される。熱硬化性接着剤Aが硬化した後もソフトビームの照射は続けられ、半田Sは加熱されて溶融温度に達する。半田Sが溶融すると、半田Sによる電子部品1の固定力がなくなるため、電子部品1に印加されていた荷重により、電子部品1は下方あるいは横方向に微小に移動する。この電子部品1の微小移動は、アーム可動部12aの変位となって現れ、変位センサ16により検出される。
【0029】
上述のように、電子部品1の移動が検出されると、駆動コントローラ18は駆動機構17を駆動し、図5(c)に示すように、アーム部12と共にノズル11を上方に移動させる。ノズル11が上方に移動すると、電子部品1はすでに硬化している熱硬化性接着剤Aによりノズルに固着されているので、電子部品1もノズル11と共に上方に移動し、プリント基板2から除去される。
【0030】
なお、上述の図5を用いた説明では、サイドピン15の動作は省略されている。
【0031】
荷重印加機構は、上述の例に限られることなく、様々な方法で電子部品1に荷重を印加することとしてもよい。例えば、図6に示すように、ノズル11のアーム部12への取り付け部分に、ノズル11に回転力(ひねり)を与えるような機構を設けておくことで、電子部品1を回転させるような荷重を印加することとしてもよい。この場合、ノズル11に加える回転力の反力がアーム部12を介してアーム可動部12aに作用するため、この反力による変位を検出しておき、電子部品1が回転した際に反力が無くなることでアーム可動部12aの変位が無くなる(アーム可動部12aが元の位置にもどる)ことを検出すれば、電子部品1の移動(回転)を検出することができる。なお、ノズル11に加える回転力は、熱硬化性樹脂Aが硬化温度に達して硬化した後に印加する必要がある。
【0032】
あるいは、図7に示すように、ノズル11以外に電子部品1に当接する荷重印加部材20を設けておき、電子部品1を横方向に押圧することでもよい。半田Sが溶融すると、電子部品1は荷重印加部材20による荷重(押圧力)により横方向に移動する。その横方向の移動によるアーム可動部12aの変位を検出することで、電子部品1の移動を検出することができる。
【0033】
上述の電子部品1の移動検出部は、ノズル11及びアーム部12を介してアーム可動部12aに伝わる変位を検出することにより、電子部品1の移動を検出しているが、変位センサをノズル及びアーム部12aから独立して設けておくこともできる。例えば、画像認識用カメラを設けて電子部品1の移動を画像認識して検出することとしてもよい。
【0034】
次に、図1に示す電子部品除去装置により行われる電子部品除去方法につい、図8も参照しながらさらに詳細に説明する。図8は、図1に示す電子部品除去装置を含むリワーク装置30の概要を示す斜視図である。
【0035】
プリント基板2に実装された電子部品1を取り外すには、まず、ステージ移動装置30上のXYステージ部3にプリント基板2を載置し、認識用カメラ32によりプリント基板2上の除去すべき電子部品1を画像認識する。そして、除去すべき電子部品1が接着剤ディスペンサ33の真下に位置するようにXYステージ部3を移動し、熱硬化性接着剤Aを電子部品1の上面に塗布する。なお、熱硬化性接着剤Aを電子部品1の上面に塗布する代わりに、ノズル11の先端に熱硬化性接着剤Aを転写しておくこととしてもよい。
【0036】
次に、ノズル部10の両側に設けられているサイドピン15の先端にポストフラックスFを転写する(ポストフラックスFは図1及び図2に示されている)。そして、XYステージ部3を移動して、除去すべき電子部品1をノズル11の真下に配置する。なお、ポストフラックスFは、ポストフラックスディスペンサ34から供給される。
【0037】
続いて、シャフト部14の駆動機構17を駆動してノズル11を下降させ、ノズル11の先端を電子部品1の上面に当接させる。このとき、ノズル11と共にサイドピン15が下降し、半田Sに当接する。上述のようにサイドピン15にバネ構造が内蔵されているので、半田Sにサイドピン15が当接してから僅かにノズル11が下降することにより、サイドピン15の先端とノズル11の先端を、半田Sと電子部品1の上面にそれぞれ当接させることができる。ノズル11の先端は、電子部品1の上面に当接し且つ押圧され、ノズル11により電子部品1に荷重が印加された状態に維持される。
【0038】
次に、熱線照射装置4からソフトビームを電子部品1に照射することで、ソフトビームが電子部品1上の熱硬化性樹脂Aと半田Sとに照射される。これにより、まず、熱硬化性樹脂Aが加熱されて硬化し、電子部品1はノズル11の先端に固着される。引き続きソフトビームを照射すると、半田Sが溶融温度に達し、溶融する。このとき、ノズル11により電子部品1に荷重が印加されているので、半田Sの溶融と同時に電子部品1は微小に移動する。また、半田Sが溶融すると半田Sは流動状態となり、サイドピン15はバネ構造により更に下降する。このとき、サイドピン15にポストフラックスFが転写されているので、溶融した半田Sはサイドピン15に吸引され付着する。
【0039】
電子部品1が微小移動すると、アーム可動部12aの変位が検出されるため、駆動機構17が駆動されてアーム部12が上方に移動する。これによりノズル11とサイドピン15が上昇し、ノズル11の先端に固着した電子部品1はプリント基板2から除去されると共に、半田Sの大部分もサイドピン15に付着した状態で配線パターン2aから除去される。また、サイドピン15に転写されていたポストフラックスFの一部は配線パターン2aに移行し、配線パターン2a上に残った半田Sは配線パターン2a上で薄いかまぼこ状(半田フィレ状態)になる。
【0040】
また、駆動機構17が駆動を開始してノズル11を上昇させると共に、熱線照射装置4からのソフトビームの照射が停止され、電子部品1の加熱は停止される。
【0041】
以上のように、半田Sが溶融すると直ちに電子部品1が除去され、且つ加熱が停止されるので、プリント基板2が不必要に長時間加熱されることはなく、プリント基板2の配線パターン2aや周辺の電子部品等に与える熱ダメージを極力低減することができる。
【0042】
また、実際に半田Sが溶融したことを判定して電子部品1を除去するため、半田Sが溶融する時間等を最初に調べて加熱時間を予め設定するような前段階を必要とせず、容易に半田Sを溶融させて電子部品1を除去することができる。例えば、半田Sの種類や量によって溶融に要する時間が変化するが、上述の方法によれば、予め半田Sの種類や量がわかっていなくても、容易に半田Sを溶融させて直ちに電子部品1を除去することができる。
【0043】
以上のように、本明細書は以下の発明を開示する。
【0044】
(付記1)
熱溶融接合材を用いて基板に実装された電子部品を、該基板から除去する電子部品除去装置であって、
該電子部品に当接するように構成された保持部材と、
前記電子部品を前記基板に実装している前記熱溶融接合部材を溶融する溶融装置と、
前記電子部品の移動を検出する移動検出部と、
前記電子部品に荷重を加える荷重印加機構と、
前記保持部材を少なくとも前記基板から離間する方向に移動する駆動機構と、
前記移動検出器が前記電子部品の移動を検出したら、前記駆動機構を駆動して前記保持部材を前記電子部品が前記基板から離間する方向に移動させる制御部と
を有することを特徴とする電子部品除去装置。
【0045】
(付記2)
付記1記載の電子部品除去装置であって、
前記移動検出部は、前記保持部材を支持するアーム部材の変位を検出する変位センサを含むことを特徴とする電子部品除去装置。
【0046】
(付記3)
付記2記載の電子部品除去装置であって、
前記変位センサはリニアゲージであることを特徴とする電子部品除去装置。
【0047】
(付記4)
付記1記載の電子部品除去装置であって、
前記荷重印加機構は、前記保持部材を駆動することにより前記電子部品に荷重を加えることを特徴とする電子部品除去装置。
【0048】
(付記5)
付記4記載の電子部品除去装置であって、
前記荷重印加装置は、前記保持部材を駆動する前記駆動機構を含むことを特徴とする電子部品除去装置。
【0049】
(付記6)
付記4記載の電子部品除去装置であって、
前記荷重印加機構は、前記保持部材を長手方向軸を中心に回転させるような荷重を前記電子部品に加えることを特徴とする電子部品除去装置。
【0050】
(付記7)
付記4記載の電子部品除去装置であって、
前記荷重印加機構は、前記保持部材を駆動する前記駆動機構から分離して設けられ、前記電子部品に当接して荷重を加える荷重印加部材部材を含むことを特徴とする電子部品除去装置。
【0051】
(付記8)
付記1記載の電子部品除去装置であって、
前記溶融装置は、前記電子部品又は前記電子部品の近傍に熱線を照射する熱線照射装置であることを特徴とする電子部品除去装置。
【0052】
(付記9)
付記8記載の電子部品除去装置であって、
前記熱線照射装置は、熱線としてソフトビームを発生するハロゲンランプと、ソフトビームを所定のスポット径に絞るレンズ及びマスクを有することを特徴とする電子部品除去装置。
【0053】
(付記10)
熱溶融接合材を用いて基板に実装された電子部品を、該基板から除去する電子部品除去方法であって、
熱硬化性接着剤を介して該電子部品に保持部材を押圧した状態で、該熱硬化性接着剤を加熱硬化させ且つ該熱溶融接合部材を加熱し、
該熱溶融接合部材を加熱しながら前記電子部品の移動を検出し、
前記電子部品の移動が検出されたら、直ちに前記保持部材を該基板から離間する方向に移動することにより前記電子部品を前記基板から除去する
ことを特徴とする電子部品除去方法。
【0054】
(付記11)
付記10記載の電子部品除去方法であって、
前記熱硬化性接着材として、前記熱溶融接合部材の溶融温度より低い硬化温度の熱硬化性樹脂を用いることを特徴とする電子部品除去方法。
【0055】
(付記12)
付記10記載の電子部品除去方法であって、
前記該熱硬化性接着剤の加熱硬化及び前記熱溶融接合部材の加熱は、前記電子部品又は前記電子部品の近傍に熱線を照射することにより行うことを特徴とする電子部品除去方法。
【0056】
(付記13)
付記11記載の電子部品除去方法であって、
該熱線を前記熱硬化性樹脂に照射して硬化させて前記電子部品を前記保持部材に固着させた後、引き続き前記熱溶融接合部材に該熱線を照射して前記熱溶融接合部材を溶融させることを特徴とする電子部品除去方法。
【0057】
(付記14)
付記10記載の電子部品除去方法であって、
前記電子部品の移動が検出されたら直ちに前記保持部材を該基板から離間する方向に移動すると同時に、該熱線の照射を停止することを特徴とする電子部品除去方法。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の一実施形態による電子部品除去装置の概略側面図である。
【図2】図1に示すノズル部の正面図である。
【図3】図1に示すアーム部とノズルを示す図である。
【図4】アーム支持部の構成を示す簡略図である。
【図5】電子部品への荷重の印加から電子部品の取り外しまでの工程を示す図である。
【図6】荷重印加機構の他の例を示す図である。
【図7】荷重印加機構の更に他の例を示す図である。
【図8】図1に示す電子部品除去装置を含むリワーク装置の概要を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0059】
1 電子部品
1a 電極
2 プリント基板
2a パターン配線
3 XYステージ部
4 熱線照射装置
5 ハロゲンランプ
6 絞りレンズ
7 マスク
10 ノズル部
11 ノズル
12 アーム部
12a アーム可動部
13 アーム支持部
14 シャフト部
15 サイドピン
16 変位センサ
17 駆動機構
18 駆動コントローラ
20 荷重印加部材
30 リワーク装置
31 ステージ移動装置
32 認識用カメラ
33 接着剤ディスペンサ
34 ポストフラックスディスペンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱溶融接合材を用いて基板に実装された電子部品を、該基板から除去する電子部品除去装置であって、
該電子部品に当接するように構成された保持部材と、
前記電子部品を前記基板に実装している前記熱溶融接合部材を溶融する溶融装置と、
前記電子部品の移動を検出する移動検出部と、
前記電子部品に荷重を加える荷重印加機構と、
前記保持部材を少なくとも前記基板から離間する方向に移動する駆動機構と、
前記移動検出器が前記電子部品の移動を検出したら、前記駆動機構を駆動して前記保持部材を前記電子部品が前記基板から離間する方向に移動させる制御部と
を有することを特徴とする電子部品除去装置。
【請求項2】
請求項1記載の電子部品除去装置であって、
前記移動検出部は、前記保持部材を支持するアーム部材の変位を検出する変位センサを含むことを特徴とする電子部品除去装置。
【請求項3】
請求項1記載の電子部品除去装置であって、
前記荷重印加機構は、前記保持部材を駆動することにより前記電子部品に荷重を加えることを特徴とする電子部品除去装置。
【請求項4】
熱溶融接合材を用いて基板に実装された電子部品を、該基板から除去する電子部品除去方法であって、
熱硬化性接着剤を介して該電子部品に保持部材を押圧した状態で、該熱硬化性接着剤を加熱硬化させ且つ該熱溶融接合部材を加熱し、
該熱溶融接合部材を加熱しながら前記電子部品の移動を検出し、
前記電子部品の移動が検出されたら、直ちに前記保持部材を該基板から離間する方向に移動することにより前記電子部品を前記基板から除去する
ことを特徴とする電子部品除去方法。
【請求項5】
請求項1記載の電子部品除去方法であって、
前記熱硬化性接着材として、前記熱溶融接合部材の溶融温度より低い硬化温度の熱硬化性樹脂を用いることを特徴とする電子部品除去方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−335447(P2007−335447A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−162135(P2006−162135)
【出願日】平成18年6月12日(2006.6.12)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】