説明

電子銃、電子ビーム描画装置および電子銃の脱ガス処理方法

【課題】装置の動作時においてダウンタイムを短縮できる電子銃、電子ビーム描画装置および電子銃の脱ガス処理方法を提供する。
【解決手段】電子銃20は、電子を放出する電子源4と、電子源4との間で加速電圧が印加されるアノード6と、電子源4とアノード6との間に配置され、電子源4から放出された電子を収束させるウェネルト5と、ウェネルト5に向けて熱電子を放出する電子放出部12とを有する。電子放出部12から放出される熱電子をウェネルト5に衝突させて、ウェネルト5の温度を上昇させる方法に従い、効率の良い電子銃20の脱ガス処理を実現する。電子ビーム描画装置80は電子銃20を用いて構成し、脱ガス処理に伴う装置のダウンタイムを低減する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子銃、電子ビーム描画装置および電子銃の脱ガス処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、大規模集積回路(LSI)の高集積化および大容量化に伴い、半導体素子に要求される回路線幅は益々狭く微細なものとなっている。半導体素子は、回路パターンが形成された原画パターン(マスクまたはレチクルを指す。以下では、マスクと総称する。)を用い、いわゆるステッパと呼ばれる縮小投影露光装置でウェハ上にパターンを露光転写して回路形成することにより製造される。こうした微細な回路パターンをウェハに転写するためのマスクの製造には、電子ビームを使用し、微細パターンの描画が可能な電子ビーム描画装置を用いることができる。また、レーザビームを用いて描画するレーザビーム描画装置の開発も試みられている。
【0003】
電子ビームを用いる電子ビームリソグラフィ技術は、電子ビームが荷電粒子ビームであるために、本質的に優れた解像度を有している。このため、上述のように、ウェハにLSIパターンを転写する際の原版となるマスクまたはレチクルの製造現場において、電子ビームリソグラフィ技術は、広く使わるようになっている。さらに、電子ビームリソグラフィ技術を用いて、ウェハ上にパターンを直接描画する電子ビーム描画装置がDRAMを代表とする最先端デバイスの開発に適用されている他、一部ASICの生産にも用いられている。
【0004】
電子ビームリソグラフィ技術を用いる電子ビーム描画装置では、電子ビームを発する電子銃を有する(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
図7は、従来の電子銃の概略構成を示す図である。
【0006】
図7に示すように、従来の電子銃500は、電子ビームを放出するカソード501と、アース電極を備えるアノード506とを有する。カソード501は、電子を放出する電子源504とウェネルト505とを有する。電子銃500は、真空チャンバ507を有し、カソード501など、電子銃500の各構成部材を収容する。そして、それらの周囲を高真空の状態に保てるようにする。
【0007】
カソード501は、電子源504とウェネルト505とを有する。電子源504は、例えば、六硼化ランタン(LaB)などからなる。電子源504は、カソード加熱ヒータ509、510に挟持され、カソード加熱ヒータ509、510は、カソード加熱ヒータ電源503に接続されている。したがって、電子源504は、カソード加熱ヒータ509およびカソード加熱ヒータ510により加熱され、高温の状態になるよう構成されている。ウェネルト505は、電子源504から放出される電子ビームが通過する開口部分を有する。この開口部分は、電子ビームを収束させるのに好適な径が選択される。そして、ウェネルト505は、電子源504から所望のビーム電流が得られるようバイアス電源502により制御され、電子源504から放出される電子を収束させるよう機能する。
【0008】
電子ビーム描画装置の描画動作時において、真空チャンバ507内のカソード501などの周囲は高真空の状態となる。この状態で、ヒータ509、510を介して、電子源504とアノード506の間に、例えば、50kV程度の高電圧(加速電圧)を、加速電源511を用いて印加する。そして、カソード加熱ヒータ電源503を用いてカソード加熱電流508を供給することにより、カソード加熱ヒータ509、510を通電加熱する。その結果、電子源504は加熱され、電子源504から熱電子が放出される。この熱電子が加速電圧により加速されて、カソード501から電子ビームが放出される。電子ビームは、電子ビーム描画装置の電子光学鏡筒内に設けられた各種レンズ、各種偏向器、ビーム成形用アパーチャ等の光学系により所要の形状に成形される。成形された電子ビームは、所定のタイミングで電子ビーム描画装置の下部に配置された試料室内の試料に照射され、これにより試料にパターンが描画される。
【0009】
以上のように、電子ビーム描画装置において、電子ビームは、真空チャンバ507内の電子銃500のカソード501から放出される。このとき、安定した電子ビーム放出が実現されるよう、カソード501やアノード506等の周囲は、安定した高真空の状態に維持される必要がある。
【0010】
しかしながら、金属材料は、大気中に置かれると水や他の気体の分子など多様な吸着物質が吸着することが知られている。そして、図7に示すように、電子銃500の電子源504やカソード加熱ヒータ509、510やウェネルト505においても、金属材料を使用した部分に水や他の気体等の吸着物質512が吸着している場合がある。このような吸着物質512は、真空チャンバ507内で脱離することがあり、真空チャンバ507内に放出される可能性がある。真空チャンバ507内での吸着物質512の脱離は、カソード501の電子源504およびウェネルト505やアノード506の周囲の真空度に影響する。すなわち、チャンバ507内の高真空状態の形成の妨げとなり、また、描画動作時において電子銃500から放出される電子ビームを不安定にすることがある。
【0011】
従来、電子銃500の吸着物質512の脱離による影響を排除するため、電子ビーム描画装置の描画動作前に、いわゆる電子銃の「脱ガス処理」が行われてきた。電子銃の脱ガス処理は、電子ビーム描画装置の描画動作前に電子銃500の吸着物質512を除去することを目的とする。従来の脱ガス処理では、電子源504を挟持するカソード加熱ヒータ509、510を高真空の条件下で通電加熱する。この加熱によってカソード加熱ヒータ509、510、電子源504およびウェネルト505を加熱して、それらに吸着した吸着物質512の脱離を強制的に行う。そして、真空チャンバ507内の所望の高真空状態を実現することを確認して処理を終了し、電子ビーム描画装置の描画動作を開始するようにしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2008−78103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従来、電子ビーム描画装置では、上述のように、使用開始前に上述の電子銃500の脱ガス処理を行ってきたが、処理の時間に長時間を要し、電子ビーム描画装置の稼働率を低下させるという問題を有していた。
【0014】
上述の電子銃500の脱ガス処理は、高真空の条件下で、カソード加熱ヒータ509、510を通電加熱する。そして、この加熱によってカソード加熱ヒータ509、510、電子源504およびウェネルト505を加熱して、それらに吸着した吸着物質512を放出させてきた。このとき、カソード加熱ヒータ509、510および電子源504では、カソード加熱ヒータ509、510の加熱により短時間で温度が上昇され、それらに吸着した吸着物質512をすばやく脱離させることができた。
【0015】
しかしながら、ウェネルト505は、カソード加熱ヒータ509、510と離れて配置され、カソード加熱ヒータ509、510からの放射と熱伝導により加熱がなされている。加えて、ウェネルト505は体積が大きい場合もあり、すばやく昇温させることは困難であった。そのため、ウェネルト505では、吸着物質512を脱離させる温度に到達するまでに長時間を要し、脱ガス処理に必要な時間を長くしてしまう要因となっていた。
【0016】
こうしたことから、電子ビーム描画装置の電子銃では、脱ガス処理にかかる時間を短縮することが求められている。
【0017】
本発明は、かかる問題に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明の目的は、電子銃の脱ガス処理にかかる時間を短縮し、装置のダウンタイムを短くすることができる電子銃およびこの電子銃を用いた電子ビーム描画装置を提供することにある。
さらに、本発明の目的は、装置のダウンタイムを短くすることができる、効率の良い電子銃の脱ガス処理を可能とする電子銃の脱ガス処理方法を提供することにある。
【0018】
本発明の他の目的および利点は、以下の記載から明らかとなるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の第1の態様は、電子を放出する電子源と、その電子源との間で加速電圧が印加されるアノードと、電子源とアノードとの間に配置され、電子源から放出された電子を収束するウェネルトとを有する電子銃であって、
ウェネルトに向けて熱電子を放出する電子放出部を設けたことを特徴とする電子銃に関する。
【0020】
本発明の第1の態様において、電子源を複数有し、その複数の電子源が、回転自在に配設された回転体上に配置されることが好ましい。
【0021】
本発明の第2の態様は、電子を放出する電子源と、その電子源との間で加速電圧が印加されるアノードと、電子源とアノードとの間に配置され、電子源から放出された電子を収束させるウェネルトとを有する電子銃を備えた電子ビーム描画装置であって、
電子銃は、ウェネルトに向けて熱電子を放出する電子放出部を有することを特徴とする電子ビーム描画装置に関する。
【0022】
本発明の第3の態様は、電子を放出する電子源と、その電子源との間で加速電圧が印加されるアノードと、電子源とアノードとの間に配置され、電子源から放出された電子を収束させるウェネルトとを有する電子銃の吸着物質を除去する電子銃の脱ガス処理方法であって、
ウェネルトに向けて熱電子を放出し、ウェネルトを加熱することを特徴とする電子銃の脱ガス処理方法に関する。
【0023】
本発明の第4の態様は、電子を放出する電子源を複数備えて回転自在に配設された回転体を有する電子銃の吸着物質を除去する電子銃の脱ガス処理方法であって、
回転体を回転させるとともに、その回転体に向けて熱電子を放出し、回転体を加熱することを特徴とする電子銃の脱ガス処理方法に関する。
【発明の効果】
【0024】
本発明の第1の態様によれば、電子銃の脱ガス処理にかかる時間を短縮し、装置のダウンタイムを短くすることができる電子銃が提供される。
【0025】
本発明の第2の態様によれば、脱ガス処理にかかる時間が短縮された電子銃を用い、装置のダウンタイムを短くすることができる電子ビーム描画装置が提供される。
【0026】
本発明の第3の態様によれば、電子銃の脱ガス処理にかかる時間を短縮し、装置のダウンタイムを短くすることができる電子銃の脱ガス処理方法が提供される。
【0027】
本発明の第4の態様によれば、電子銃の脱ガス処理の効率を向上し、処理作業にかかる時間を短縮し、装置のダウンタイムを短くすることができる電子銃が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1の実施形態の電子銃の構造を示す模式的な断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態の電子銃の電子ビーム放出時の状態を示す模式的な断面図である。
【図3】本発明の第2の実施形態の電子銃の正面を一部断面して示す模式的な構造図である。
【図4】本発明の第2の実施形態の電子銃の主要部の模式的な斜視図である。
【図5】本発明の第3の実施形態の電子ビーム描画装置の構成図である。
【図6】本発明における電子ビーム描画方法の説明図である。
【図7】従来の電子銃を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
【0030】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態の電子銃の構造を示す模式的な断面図である。
図1に示す、第1の実施形態の電子銃20は、電子ビームを放出するカソード1と、アース電極を備えるアノード6と、電子放出部12と、それらを収容する真空チャンバ7とを有する。真空チャンバ7は、カソード1、アノード6、および電子放出部12を収容し、それらの周囲を高真空の状態に保てるようにする。
【0031】
カソード1は、電子を放出する電子源4とウェネルト5とを有する。電子源4は、例えば、六硼化ランタン(LaB)などからなる。電子源4は、カソード加熱ヒータ9、10に挟持される。カソード加熱ヒータ9、10は、カソード加熱電流の供給により通電加熱され、高温の状態となることが可能になっている。ウェネルト5は、電子源4から放出される電子ビームが通過する開口部分を有する。この開口部分は、電子ビームを収束させるのに好適な径が選択される。そして、ウェネルト5は、電子源4から所望のビーム電流が得られるようバイアス電源により制御され、電子源4から放出される電子を収束させるよう機能する。
【0032】
電子ビーム描画装置の描画動作時において、真空チャンバ7内の電子銃20の構成各部の周囲は高真空となる。この状態で、カソード加熱ヒータ9、10を介して、電子源4とアノード6の間に、例えば、50kV程度の高電圧(加速電圧)を印加する。併せて、カソード加熱電流を供給することにより、カソード加熱ヒータ9、10を通電加熱する。その結果、電子源4は加熱され、電子源4から熱電子が放出される。この熱電子が加速電圧により加速され、カソード1から電子ビームが放出される。電子ビームは、後述するように、電子ビーム描画装置の電子光学鏡筒内に設けられた各種レンズ、各種偏向器、ビーム成形用アパーチャ等の光学系により所要の形状に成形される。成形された電子ビームは、所定のタイミングで電子ビーム描画装置の下部に配置された試料室内の試料に照射され、これにより試料にパターンが描画される。
【0033】
本実施の形態の電子銃20は、図1に示すように、脱ガス処理のための新たな機構として、電子放出部12を有する。電子放出部12は、脱ガス処理時に、電子銃20の構成部材から吸着物質を効率良く脱離させ、脱ガス処理を効率的に実施するように機能する。以下、電子銃20の電子放出部12について説明する。
【0034】
電子放出部12は、通電加熱によって加熱されたときに熱電子を放出する材料によって構成される。例えば、タングステン、六硼化ランタン(LaB)などの熱電子放出材料が好ましく、他に通電加熱で電子放出可能な材料であれば、これらに限る必要はない。そして、電子放出部12は、電子銃20の真空チャンバ7内の所望の位置に配置される。図1に示す本実施形態の電子銃20では、タングステン製の線材を用い、リング状となるように構成された電子放出部12を有する。この電子放出部12は、ウェネルト5と対向するように、真空チャンバ7の底面のアノード6の周囲に配置されている。
【0035】
そして、電子放出部12は、ケーブル13を介して、電子放出部加熱電源14に接続することができる。そして、スイッチ15を介して、グラウンドに接続可能である。よって、図1に示すように、スイッチ15を開状態にし、電子放出部加熱電源14によって電圧を印加することにより、電子放出部12では電子の放出が可能である。
【0036】
ウェネルト5はウェネルト電圧制御電源16に接続可能であり、正の電圧の印加が可能となっている。電子源4は、カソード加熱ヒータ9、10を介してカソード電圧制御電源11に接続することができる。
電子放出部12は、高真空の条件下、熱電子を放出するとともに、放出した電子をウェネルト5に衝突させ、ウェネルト5の温度を効率良く昇温させる。そうして、ウェネルト5からの吸着物質の脱離を促進し、電子銃20の脱ガス処理の効率を向上させる。
【0037】
電子銃20において電子放出部12を用いて行う脱ガス処理については、以下のようにして行われる。
はじめに、電子銃20のカソード1等が収納された真空チャンバ7内を高真空の状態にする。例えば、真空チャンバ7内を圧力が10−5Pa(パスカル)オーダーとなるように真空引きを行う。次いで、電子放出部加熱電源14を用いて電子銃放出部12を通電加熱する。電子放出部12は、熱電子が放出される温度に到達するまで加熱される。
【0038】
次に、ウェネルト5に、ウェネルト電圧制御電源16を用いて正の電圧(Vw)を印加する。こうして、電子放出部12から放出された熱電子がウェネルト5に衝突するようにする。熱電子の衝突を受けて、ウェネルト5の温度は上昇する。このとき、電子源4とウェネルト5との間で放電が生じないように、電子源4にはカソード加熱ヒータ9、10を介して、カソード電圧制御電源11による正の電圧(Vc)を印加する。ただし、電子放出部12から放出された熱電子が、電子源4に衝突して損傷を与えることがないようにする必要があるため、電子源4に印加する電圧(Vc)は、ウェネルト5に印加する電圧(Vw)より低くなるよう設定する。例えば、VwとVcとの関係が、Vw−Vc≦500V(ボルト)となるように制御する。その場合、一例として、Vwを+800Vとし、Vcを+300Vに制御することなどが可能である。
【0039】
図1に示す電子銃20においては、例えば、電子放出部12を線径0.5mmのタングステン線から構成して直径7mmのリング状とし、20A(アンペア)の加熱電流を流すことにより、数分程度で、ウェネルト5の温度を100℃程度まで昇温させることができる。
以上のように、本実施の形態の電子銃20では、ウェネルト5の脱ガス処理を効率的に行うことが可能となる。
【0040】
そして、本実施の形態の電子放出部12を用いた電子銃20の脱ガス処理方法は、カソード加熱ヒータ9、10を用いた加熱により、電子源4やカソード加熱ヒータ9、10上の吸着物質の脱離を促す脱ガス処理方法と組み合わせることができる。適宜それら方法を組み合わせることにより、本実施の形態の電子銃20では、電子銃20の脱ガス処理を迅速かつ効率的に行うことが可能となる。
【0041】
また、本実施の形態の電子銃20においては、電子放出部12を用いた素早く効率の良い電子銃20の脱ガス処理が可能である。そのため、電子銃20では、電子ビーム描画装置の描画使用の開始前のほか、その後の使用途中において脱ガス処理を行うことを可能とする。描画使用の途中段階での脱ガス処理を可能とすることにより、描画動作中に電子銃の構成部材から吸着物質の脱離があっても、高真空状態を素早く回復でき、電子銃を安定した条件の下で使用することができる。
【0042】
尚、電子放出部12の形状と設置場所は、図1に示した例に限られることは無い。電子放出部12は、電子を効率的にウェネルト5に衝突させることができ、一方、電子源4の損傷を回避できる位置に配置される。例えば、電子放出部12は、ウェネルト5の下方側のより近傍や、側部の周囲や、上部側などに配置することが可能である。電子放出部12の設置位置に従い、ウェネルト5の昇温時間が変化するため、より素早くウェネルトを昇温させることのできる位置を選択して電子放出部を配設することが好ましい。また、電子放出部12は、真空チャンバ7の天井部および底面部や、ウェネルト5の側面部および底面部など、複数を配置し、脱ガス処理の効率をより向上させることも望ましい。
【0043】
次に、本発明の第1の実施形態の電子銃20において、電子放出部12が使用されていない状態について説明する。電子銃20では、脱ガス処理の後、電子放出部12が未使用の状態にされる。その間に、電子銃20からは電子ビームが放出され、電子ビーム描画装置での描画動作が行われる。
【0044】
図2は、本発明の第1の実施形態の電子銃の電子ビーム放出時の状態を示す模式的な断面図である。
【0045】
図2は、電子ビーム描画装置の描画動作のため、電子銃20から電子ビーム18を放出する状態を示している。電子放出部12は使用されない。このとき、電子放出部12に接続する電子放出部加熱電源14の出力を0Vに設定することができる。そして、スイッチ15を閉状態とし、電子放出部12をグラウンドに接続することができる。
【0046】
図2に示すように、電子ビーム描画装置の描画動作時において、真空チャンバ7内の電子銃20のカソード1等の各部の周囲は高真空とされる。この状態で、ヒータ9、10を介して、電子源4とアノード6の間に、例えば、50kV程度の高電圧(加速電圧)を、加速電源19を用いて印加することができる。併せて、カソード加熱ヒータ電源3を用いてカソード加熱電流8を供給することにより、カソード加熱ヒータ9、10を通電加熱することができる。その結果、電子源4は加熱され、電子源4から熱電子が放出される。この熱電子が加速電圧により加速されて、カソード1から電子ビーム18が射出される。ウェネルト5は、電子源4から所望のビーム電流が得られるようバイアス電源2により制御され、電子源4から放出される電子を収束させるよう機能する。電子ビーム18は、電子ビーム描画装置の図示されない電子光学鏡筒内に設けられた各種レンズ、各種偏向器、ビーム成形用アパーチャ等の光学系により所要の形状に成形される。成形された電子ビームは、所定のタイミングで電子ビーム描画装置の下部に配置された、図示されない試料室内の試料に照射され、これにより試料にパターンが描画される。
【0047】
(第2の実施形態)
図3は、本発明の第2の実施形態の電子銃の正面を一部断面して示す模式的な構造図である。
図4は、本発明の第2の実施形態の電子銃の主要部の模式的な斜視図である。
【0048】
図3および図4に示す電子銃100は、タレット型の電子銃である。電子銃100は、複数のカソード113と、複数のカソード113を保持する円筒形状の回転体であるバレル112と、アース電極をもつアノード119と、電子放出部110とを有する。カソード113はそれぞれ、電子を放出する電子源を有する。電子源から出射される電子を収束するためのウェネルトの機能については、バレル112の所定の部分が各カソード113に対して果たすようにされている。したがって、カソード113は、上述した図1の電子銃20のカソード1と同様の構成を有する。
【0049】
一般に、電子銃においては、カソードの電子源に異常や寿命の問題が発生することがある。電子銃にカソードが1個のみ搭載された、所謂シングル型の電子銃では、カソードに異常や寿命の問題が発生すると、電子銃から電子ビームが放出できなくなる。その結果、電子ビーム描画装置の稼働を停止する必要が生じる。
【0050】
そこで、複数のカソードを1個のバレルに搭載して構成されたタレット型の電子銃が用いられている。
タレット型の電子銃では、複数のカソードが、回転可能なバレル上に間隔をあけて設けられている。電子源での異常発生や寿命等の問題によって、現在使用しているカソードを交換する場合には、バレルを回転させることで、未使用のカソードをアノードに対向配置させることができる。
【0051】
タレット型の電子銃によれば、個々のカソードの異常発生頻度や寿命が従来のものと同等であっても、バレルに設けられた複数のカソードを交換しながら使用することが可能である。したがって、長期間にわたって電子銃およびこれを搭載した電子ビーム描画装置を稼動することができる。また、1個のカソードを搭載するシングル型の電子銃に比べて、異常、寿命などに起因する装置の操業効率の低下を改善することができるので、装置の操業効率を向上させることもできる。
【0052】
図3に示す、本実施の形態のタレット型の電子銃100では、真空チャンバ111内に円筒形状の回転体であるバレル112が回転自在に収容され、かつ動力部114に接続された回転軸115と、支持部116によって支持される。バレル112は、ステンレス(SUS)、Ti(チタン)、またはMo(モリブデン)などの材料を用いて構成される。
【0053】
バレル112の外周面には、開口部118が、円周上にほぼ等間隔に複数個設けられている。例えば、図3に示すように、開口部118を4個設けることができる。開口部118の内部には、電子ビームを放出するカソード113が設けられている。バレル112を支持する支持部116には、カソード113に高電圧を印加するための高圧端子(図示されない)が設けられている。
【0054】
タレット型の電子銃100では、放電異常や寿命の問題などにより、カソード113の交換が必要となったときには、動力部114および回転軸115を介してバレル112を回転させる。カソード113の下部には、カソード113と対向するようにアノード119が配置されている。したがって、バレル112を回転させることにより、未使用のカソード113を下部のアノード119に対向配置させることができ、使用済みのカソード113と交換することができる。アノード119には、その中心部にカソード113から放出された電子ビームが通過する開口部分が形成されている。開口部分は、電子ビームを収束させるのに好適な径が選択される。
【0055】
このように、バレル112を回転させるだけの簡単な操作により、バレル112に設けた未使用のカソード113と次々に交換することができる。そのため、個々のカソード113の異常発生頻度や寿命が従来と同等であっても、バレル112に設けられた複数のカソード113を全て使用し終わるまで、長期間にわたって電子銃および電子銃を搭載した装置を稼動できる。その結果、電子銃100を用いた電子ビーム描画装置の操業効率を向上させることができる。また、カソード113を交換する際、真空度を高めた真空チャンバ111を分解する必要がないので、真空チャンバ111内が外気汚染を受ける機会を低減することができる。
【0056】
本実施形態のタレット型の電子銃100では以上の構成を備えるが、効率良い脱ガス処理のために、真空チャンバ111内のバレル112の上部と下部に、それぞれ電子放出部110が設けられている。この電子放出部110は、上述の第1の実施形態の電子銃20の電子放出部12と同様の構成を有し、通電加熱によって電子をバレル112に向けて放出することができる。
【0057】
電子銃100において電子放出部110ガス処理を行う場合、はじめに、電子銃100のバレル112が収納された真空チャンバ111内を高真空の状態にする。例えば、真空チャンバ111内を圧力が10−5Pa(パスカル)オーダーとなるように真空引きを行う。次いで、電子銃放出部110を用いて通電加熱し、熱電子が放出される温度に到達するまで加熱する。
【0058】
次に、ウェネルトの機能を果たすバレル112の部分(図示されない)に、正の電圧(Vw2)を印加する。そして、電子放出部110から放出された熱電子が、バレル112に向かい、バレル112に衝突するようにする。その結果、熱電子の衝突を受けて、バレル112の温度が上昇する。このとき、電子源(図示されない)とバレル112との間で放電が生じないように、電子源にも正の電圧(Vc2)が印加される。ただし、電子放出部110から放出された熱電子が、電子源に衝突してそれに損傷を与えないよう、電子源に印加される電圧(Vc2)は、バレル112に印加される電圧(Vw2)より低く設定される。例えば、Vw2とVc2との関係が、(Vw2)−(Vc2)≦500V(ボルト)となるように制御される。その場合、一例として、Vw2を+800Vとし、Vc2を+300Vに制御することが可能である。
【0059】
図3に示す電子銃100において、例えば、電子放出部110を線径0.5mmのタングステン線から構成して直径7mmのリング状とする。そして、通電加熱により2600K程度まで加熱し、バレル112に1kVの正の電圧を印加する。このとき、電子放出部110から放出された熱電子の約半数をバレル112に衝突させることができれば、5分程度の時間内に、バレル112の温度を室温から100℃程度まで昇温させることができる。
こうして、本実施の形態の電子銃100では、脱ガス処理を効率的に行うことが可能となる。
【0060】
そして、図4に示すように、本実施の形態の電子銃100においては、脱ガス処理時において、バレル112の加熱ムラをなくすよう、バレル112を回転させて脱ガス処理を行うことが可能である。バレル112を回転ながら電子放出部110による熱電子放出を行い、熱電子をバレル112にムラなく衝突させて、バレル112をムラなく昇温させることが可能となる。こうして、ムラない昇温状態を実現して脱ガス処理を行うことにより、素早く、効率の良い脱ガス処理を行うことが可能となる。
【0061】
以上のように、本実施の形態の電子銃100では、バレル112の脱ガス処理を効率的に行うことが可能となる。
そして、カソード加熱ヒータを用いて電子源やカソード加熱ヒータでの脱ガス処理を主に行う脱ガス処理方法と組み合わせることにより、本実施の形態の電子銃100では脱ガス処理を迅速かつ効率的に行うことが可能となる。
【0062】
尚、電子放出部110の形状と設置場所は、図3および図4に示した例に限られることは無い。効率的にバレル112に熱電子を衝突させることができる位置であれば、電子放出部110を、バレル112のより近傍や側面部などに配置することが可能である。電子放出部110の設置位置に従い、ウェネルトの昇温時間が変化するため、より素早くウェネルトを昇温させることのできる位置を選択して電子放出部110を配設することが好ましい。また、電子放出部110は、バレル112の下部または上部のいずれか一方など、配置する数を1個とすることも可能である。逆に、電子放出部110を3個以上設け、より高効率な脱ガス処理を可能とすることも可能である。
【0063】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態として、第1の実施形態の電子銃20を用いた電子ビーム描画装置80について説明する。
【0064】
図5は、本発明の第3の実施形態の電子ビーム描画装置の構成図である。
【0065】
図5において、電子ビーム描画装置80の試料室31内には、試料であるマスク基板32が設置されたステージ33が設けられている。ステージ33は、ステージ駆動回路34によりX方向(紙面における左右方向)とY方向(紙面における垂直方向)に駆動される。ステージ33の移動位置は、レーザ測長計等を用いた位置回路35により測定される。
【0066】
試料室31の上方には、電子ビーム光学系40が設置されている。この光学系40は、上述した第1の実施形態の電子銃20、各種レンズ37、38、39、41、42、ブランキング用偏向器43、成形偏向器44、ビーム走査用の主偏向器45、ビーム走査用の副偏向器46、および、2個のビーム成形用アパーチャ47、48等から構成されている。
【0067】
電子ビーム描画装置80の有する電子銃20は、上述した第1の実施形態の電子銃20である。電子銃20は、図1に示すように、カソード1とアノード6に加え、熱電子をウェネルトに向けて放出可能な電子放出部12を有する。電子ビーム描画装置80では、描画動作開始前および描画動作途中の適当な時期に、電子放出部12を用いて電子銃20における脱ガス処理を行うことが可能である。すなわち、電子銃20の脱ガス処理を効率良く短時間で行うことができる。そして、電子ビーム描画装置80は、描画動作時、電子銃20において安定した所望の高真空の状態を維持することができる。したがって、電子ビーム描画装置80は、描画動作時において、装置のダウンタイムを従来に比べて大幅に短縮することができる。
【0068】
図6は、本発明における電子ビーム描画方法の説明図である。
【0069】
この描画方法は、本発明の第3の実施の形態の電子ビーム描画装置80を使用して実現される。すなわち、図6に示す電子ビーム84は、本実施の形態の電子ビーム描画装置80の電子銃20によって放出された電子ビームである。
【0070】
図6に示すように、マスク基板32上に描画されるパターン81は、短冊状のフレーム領域82に分割されている。電子ビーム描画装置80の電子銃20によって放出される電子ビーム84による描画は、ステージ33が一方向(例えば、X方向)に連続移動しながら、フレーム領域82毎に行われる。フレーム領域82は、さらに副偏向領域83に分割されており、電子ビーム84は、副偏向領域83内の必要な部分のみを描画する。尚、フレーム領域82は、主偏向器45の偏向幅で決まる短冊状の描画領域であり、副偏向領域83は、副偏向器46の偏向幅で決まる単位描画領域である。
【0071】
副偏向領域83内での電子ビーム84の位置決めは、副偏向器46で行われる。副偏向領域83の位置制御は、主偏向器45によってなされる。すなわち、主偏向器45によって、副偏向領域83の位置決めがされ、副偏向器46によって、副偏向領域83内でのビーム位置が決められる。さらに、成形偏向器44とビーム成形用アパーチャ47、48によって、電子ビーム84の形状と寸法が決められる。そして、ステージ33を一方向に連続移動させながら、副偏向領域83内を描画し、1つの副偏向領域83の描画が終了したら、次の副偏向領域83を描画する。フレーム領域82内の全ての副偏向領域83の描画が終了したら、ステージ33を連続移動させる方向と直交する方向(例えば、Y方向)にステップ移動させる。その後、同様の処理を繰り返して、フレーム領域82を順次描画して行く。
【0072】
電子ビーム84による描画を行う際には、まず、CADシステムを用いて設計された半導体集積回路などのパターンデータ(CADデータ)が、電子ビーム描画装置100に入力することのできる形式のデータ(レイアウトデータ)に変換される。次いで、レイアウトデータが変換されて描画データが作成された後、描画データは実際に電子ビーム84がショットされるサイズに分割された後、ショットサイズ毎に描画が行われる。
【0073】
レイアウトデータから変換された描画データは、記憶媒体である入力部51に記録された後、制御計算機50によって読み出され、フレーム領域82毎にパターンメモリ52に一時的に格納される。パターンメモリ52に格納されたフレーム領域82毎のパターンデータ、すなわち、描画位置や描画図形データ等で構成されるフレーム情報は、データ解析部であるパターンデータデコーダ53と描画データデコーダ54に送られる。次いで、これらを介して、副偏向領域偏向量算出部60、ブランキング回路55、ビーム成形器ドライバ56、主偏向器ドライバ57、副偏向器ドライバ58に送られる。
【0074】
また、制御計算機50には、偏向制御部62が接続している。偏向制御部62は、セトリング時間決定部61に接続し、セトリング時間決定部61は、副偏向領域偏向量算出部60に接続し、副偏向領域偏向量算出部60は、パターンデータデコーダ53に接続している。また、偏向制御部62は、ブランキング回路55と、ビーム成形器ドライバ56と、主偏向器ドライバ57と、副偏向器ドライバ58とに接続している。
【0075】
パターンデータデコーダ53からの情報は、ブランキング回路55とビーム成形器ドライバ56に送られる。具体的には、パターンデータデコーダ53で描画データに基づいてブランキングデータが作成され、ブランキング回路55に送られる。また、描画データに基づいて所望とするビーム寸法データも作成されて、副偏向領域偏向量算出部60とビーム成形器ドライバ56に送られる。そして、ビーム成形器ドライバ56から、電子ビーム光学系40の成形偏向器44に所定の偏向信号が印加されて、電子ビーム84の形状と寸法が制御される。
【0076】
副偏向領域偏向量算出部60は、パターンデータデコーダ53で作成したビーム形状データから、副偏向領域83における、1ショット毎の電子ビームの偏向量(移動距離)を算出する。算出された情報は、セトリング時間決定部61に送られ、副偏向による移動距離に対応したセトリング時間が決定される。
【0077】
セトリング時間決定部61で決定されたセトリング時間は、偏向制御部62へ送られた後、パターンの描画のタイミングを計りながら、偏向制御部62より、ブランキング回路55、ビーム成形器ドライバ56、主偏向器ドライバ57、副偏向器ドライバ58のいずれかに適宜送られる。
【0078】
描画データデコーダ54では、描画データに基づいて副偏向領域83の位置決めデータが作成され、このデータは、主偏向器ドライバ57と副偏向器ドライバ58に送られる。そして、主偏向器ドライバ57から、電子光学系40の主偏向器45に所定の偏向信号が印加されて、電子ビーム84が所定の主偏向位置に偏向走査される。また、副偏向器ドライバ58から、副偏向器46に所定の副偏向信号が印加されて、副偏向領域83内での描画が行われる。この描画は、具体的には、設定されたセトリング時間が経過した後、電子ビーム84を繰り返し照射することによって行われる。
【0079】
尚、第3の実施形態の電子ビーム描画装置80では、電子銃に本発明の第1の実施形態の電子銃20を使用するが、第3の実施形態の電子ビーム描画装置の別の例として、電子銃20に代え、本発明の第2に実施形態の電子銃100を使用することが可能である。
【0080】
すなわち、第3の実施形態の電子ビーム描画装置の別の例においては、タレット型の電子銃100を使用する。そして、電子銃100は、電子放出部110を用いた素早いバレル112の加熱が可能であり、電子銃100の脱ガス処理を効率良く短時間で行うことができる。したがって、電子ビーム描画装置の動作時において、装置のダウンタイムを従来に比べて大幅に短縮することができる。そして、上述したのと同様の電子ビーム描画方法を実施することができる。
【0081】
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0082】
1、113、501 カソード
2、502 バイアス電源
3、503 カソード加熱ヒータ電源
4、504 電子源
5、505 ウェネルト
6、119、506 アノード
7、111、507 真空チャンバ
9、10、509、510 カソード加熱ヒータ
11 カソード電圧制御電源
12、110 電子放出部
13 ケーブル
14 電子放出部加熱電源
15 スイッチ
16 ウェネルト電圧制御電源
18、84 電子ビーム
19、511 加速電源
20、100、500 電子銃
31 試料室
32 マスク基板
33 ステージ
34 ステージ駆動回路
35 位置回路
37、38、39、41、42 各種レンズ
40 光学系
43 ブランキング用偏向器
44 成形偏向器
45 主偏向器
46 副偏向器
47 第1のアパーチャ
48 第2のアパーチャ
50 制御計算機
51 入力部
52 パターンメモリ
53 パターンデータデコーダ
54 描画データデコーダ
55 ブランキング回路
56 ビーム成形器ドライバ
57 主偏向器ドライバ
58 副偏向器ドライバ
60 副偏向領域偏向量算出部
61 セトリング時間決定部
62 偏向制御部
80 電子ビーム描画装置
81 描画されるパターン
82 フレーム領域
83 副偏向領域
112 バレル
114 動力部
115 回転軸
116 支持部
118 開口部
508 カソード加熱電流
512 吸着物質

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子を放出する電子源と、前記電子源との間で加速電圧が印加されるアノードと、前記電子源と前記アノードとの間に配置され、前記電子源から放出された電子を収束するウェネルトとを有する電子銃であって、
前記ウェネルトに向けて熱電子を放出する電子放出部を設けたことを特徴とする電子銃。
【請求項2】
前記電子源を複数有し、前記複数の電子源が、回転自在に配設された回転体上に配置されたことを特徴とする請求項1に記載の電子銃。
【請求項3】
電子を放出する電子源と、前記電子源との間で加速電圧が印加されるアノードと、前記電子源と前記アノードとの間に配置され、前記電子源から放出された電子を収束させるウェネルトとを有する電子銃を備えた電子ビーム描画装置であって、
前記電子銃は、前記ウェネルトに向けて熱電子を放出する電子放出部を有することを特徴とする電子ビーム描画装置。
【請求項4】
電子を放出する電子源と、前記電子源との間で加速電圧が印加されるアノードと、前記電子源と前記アノードとの間に配置され、前記電子源から放出された電子を収束させるウェネルトとを有する電子銃の吸着物質を除去する電子銃の脱ガス処理方法であって、
前記ウェネルトに向けて熱電子を放出し、前記ウェネルトを加熱することを特徴とする電子銃の脱ガス処理方法。
【請求項5】
電子を放出する電子源を複数備えて回転自在に配設された回転体を有する電子銃の吸着物質を除去する電子銃の脱ガス処理方法であって、
前記回転体を回転させるとともに、前記回転体に向けて熱電子を放出し、前記回転体を加熱することを特徴とする電子銃の脱ガス処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−204173(P2012−204173A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−68442(P2011−68442)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(504162958)株式会社ニューフレアテクノロジー (669)
【Fターム(参考)】