説明

電子黒板

【課題】
電子黒板を投影機のスクリーンとして使用し投影した画像とスクリーン上に加筆した文字等を読み取り印字する装置を提供すること。
【解決手段】スクリーンとして使用する電子黒板のボードを半透明にし、スキャナはボードの背面を走行し画像を読み取りする構造とする。電子黒板の正面のプロジェクタにより投影される画像は、半透明なボードで反射および透過しボードの両面に画像が映し出される。マーカ等による加筆文字は投影光の一部を吸収しボードを反射および透過する。透過光を背面走行するスキャナで読み取り印字することにより、プロジェクタ画像と加筆した文字等の合成画像を印字記録する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子黒板のボードをスクリーンとして使用し投影画像と加筆画像を読み取る電子黒板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子黒板と投影機を組み合わせた使用、即ち電子黒板のボードをスクリーン代わりにして、画像を投影した状態でマーカにより加筆する。この場合に、投影画像と加筆画像の両方が読み取れることが望ましい。
【0003】
図5は、特開平5−104895号に示す電子黒板の構成で、ボード20に沿って移動する画像読み取りスキャナ26を、ボード20上の加筆された画像25を共通変換素子30上に結像させる第1の光学系40と、投影機23からの投影画像を共通変換素子30上に結像させる第2の光学系31を独立に配置し、第1の光学系40内に調光手段50、51、52、53を有して構成し、投影画像とボード上の文字の両方を畳重して読み取る方法が考案されている。
【0004】
特開平10−297166号では、投影画像データと電子黒板の手書きデータを、画像データを出力するパソコン内部のメモリ上で合成させ、パソコンに接続してあるプリンタにより印字させる方法が考案されている。
【特許文献1】特開平5−104895号公報
【特許文献2】特開平10−297166号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする問題点は、特開平5−104895号に示す電子黒板の構成の場合スキャナ26がボードの右端から左端まで移動するとき、投光機から光35は、ボード20の上面に対して入射角が変化するため、反射ミラー36に角度調整機構を設けないと投影機から発光される光軸を正確に結像できない。また広角投影の場合には、反射ミラーに角度調整機構を装着しても調整範囲を悦脱して結像できない欠点を持つ。
【0006】
特開平10−297166号の方式では、照射画像と加筆データの位置ズレが課題となる。特に、照射装置とスクリーンの位置関係により、長方形に照射されるべき画像が台形に照射された場合に位置ズレ量が大きくなる。また、電子黒板を操作するパソコンには、電子黒板からのデータ入力やデータ合成行うための専用ソフトウエアを搭載する必要があり、汎用性が悪くなる。
【0007】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、電子黒板のボードをスクリーンとして使用し投影画像と加筆画像の2つの画像の合成を位置ズレのない簡便な方法で提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、 本発明はスクリーンとして使用するボードを半透明にし、ボードに投影された画像とマーカによる加筆画像を、半透明なボードから透過させ、ボード背面に配置したスキャナにより読み取る構造としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の電子黒板は、ボード投影画像と加筆画像を直接スキャナで読み取ることができるため、ズレのない良質な合成画像を簡単な機構で構成できる利点がある。
【0010】
特開平10−297166号の方式のように、パソコンに電子黒板専用ソフトウエアを装備する必要もケーブル接続も不要となり、加筆画像のみ読取印刷処理を行う電子黒板の操作と同じに、印刷開始スイッチを押すだけで投影画像と加筆画像の合成画像を読取印刷処理が可能となり操作性に優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
投影画像と加筆画像の2つの画像の合成を位置ズレのない簡便な方法で提供する目的を、最小の部品点数で実現した。
【実施例1】
【0012】
図1は本発明の実施例を示し、電子黒板1は、半透明な光学的透過特性を持つボード2と、電子黒板1の背面を走行し画像を読み取るスキャナ3と読取画像を印刷するプリンタ6が主な構成となっている。
【0013】
図2は図1のボード2とスキャナ3の断面図を示したもので、ボード2は全体を半透明板としてもよいが、ボード内部で光の拡散を最小に抑えるため透明部2aに乳白色の半透明部2bを重ねた2層構造となっている。
【0014】
スキャナ3はレンズ16とCCD17と光源18がカバー19内部に収納されている。プロジェクタ8からの入射光13はボード2bで反射光14と透過光15に分離され、透過光15はレンズ16によりCCD17に結像する配置となっている。
【0015】
図3は、スキャナ3上部の読取方向切替手段を説明したもので、ヒンジ4は回転軸7を中心に180°回転できる構造となっている。
【0016】
図1の前面に置かれたプロジェクタ8から照射される投影画像11とマーカ等により加筆された画像は、ボード2からの反射光により正面の電子黒板利用者の視覚へ到達すると同時にプロジェクタ8から照射される投影画像11は、透過光により、ボード2の背面にも画像が映し出される。このとき、マーカ等による加筆部分は、透過光を減衰させ背面に到達するため、背面の画像は投影画像と加筆画像の合成画像となっている。
【0017】
電子黒板利用者が電子黒板の内容を印刷したいときは、プリンタ6に設けられた印刷開始スイッチを押すことにより、スキャナ3はボード2の原点位置10に移動してから、中央方向へ背面走行を開始し逐次画像を読み取り、ラインイメージデータをプリンタ6に転送する。
【0018】
スキャナ3がボード全体を走行し画像読み取りを終えプリンタ6により印刷された結果は、プロジェクタ8から照射される投影画像11と、マーカにより追記した加筆画像12の合成画像となる。
読取データを出力する手段をプリンタ6の印字の例で説明したが、出力先をUSBメモリやLANを経由してサーバに保存してもよい。
【実施例2】
【0019】
プロジェクタ8を使用しないで、ボード2上に議事情報が書き込まれたメモを貼り付けるなどして使用した場合、透過画像が背面で読み取れなくなる、このときスキャナ3をボード2の前面を走行し画像読取を行う場合の説明をする。
【0020】
スキャナー3上部には、180°回転できるヒンジ4が設けられ、図1に示す矢印9の位置でスキャナー3を背面から前面へ振り向ける。
【0021】
図4はスキャナ3とボード2の位置関係を示す断面図であって、電子黒板背面に配置されたスキャナ3aは、電子黒板端の矢印9の位置で方向を変換する。電子黒板1の枠5と方向変換中のスキャナ3bは、干渉しないような配置となっている。
【0022】
方向変換を終え電子黒板正面3cの位置となったとき、ボード半透明部2bから正面に位置するCCD17cの距離Lcは、ボード半透明部2bから背面に位置するCCD17aの距離Laと同等なり、ボード半透明部2bの画像は背面と正面で同じ焦点距離となる。このため、スキャナ3は、背面と正面でピントを変更する必要がなく鮮明画像データを読み見取りできる。
【0023】
印刷を開始するときは、印刷開始スイッチを押すことにより、スキャナ3はボード2の原点位置10に移動してから、中央方向へ正面走行を開始し逐次画像を読み取り、ラインイメージデータをプリンタ6に転送し印刷する。
【0024】
ボード2の背面から見る画像と正面から見る全体画像は、左右反転画像になるが、スキャナ3の位置が原点位置10から同じ距離の正面で取得する画像データと背面で取得した画像データは、正面と背面で走査位置が同じ縦方向に1ラインのデータのため、正面走行時と背面走行時の画像データ読み取り転送印字処理手順は同じであり、左右反転画像を修正するための処理を必要としない。
【0025】
プロジェクタ8を使用しない正面走行と、プロジェクタ8を使用する背面走行では、入射する光量に差を生じるため、入射光量不足時は、光源10を点灯しCCD17に入る光量を増加させ、入射光量過多のときは、サンプリング時間時間を短くし、最適な濃淡を得るように制御する。
【0026】
背面と前面に切替える機構を回転ヒンジで説明したが、スキャナ3を着脱できる方式とし背面と前面に切替える機構としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0027】
図1の実施例では、プロジェクタをボード2の前面配置で説明したが、背面から画像を投影しスキャナをボードの前面側を走行させ画像取得する方法にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】電子黒板の実施方法を示した説明図である。
【図2】ボードとスキャナの構造を示した断面図である。
【図3】ヒンジを示した説明図である。
【図4】スキャナ3とボード2の位置関係を示す断面図である。
【図5】従来の電子黒板の説明図
【符号の説明】
【0029】
1 電子黒板
2 ボード
3 スキャナ
4 ヒンジ
5 枠
6 プリンタ
7 回転軸
8 プロジェクタ
9 回転位置
10 原点位置
11 投影画像
12 加筆画像
13 入射光
14 反射光
15 透過光
16 レンズ
17 CCD
18 光源
19 カバー
20 ボード
23 投影機
26 スキャナ
30 共通変換素子
36 反射ミラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロジェクタで投影した画像と筆記用を用いて文字等を書き込みを行うボードと、該ボードに沿って走行する画像を読み取るスキャナと、該スキャナで読取った読取データを出力する手段を持つ電子黒板において、
前記ボードが反射特性と透過特性を備え、前記スキャナが前記ボードからの透過光を読取る配置としたことを特徴とする電子黒板。
【請求項2】
前記スキャナが、前記ボードの背面と前面に配置を切替える読取方向切替手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載の電子黒板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−64470(P2010−64470A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−235800(P2008−235800)
【出願日】平成20年9月15日(2008.9.15)
【出願人】(706002511)
【Fターム(参考)】