説明

電極、ローラユニット、定着装置、および画像形成装置

【課題】耐久性の向上を図るとともに、回転体に対し大電流での通電を可能とする電極、および、この電極を備えるローラユニット、ならびに、ウォーミングアップ時間の短縮化を図ることができる定着装置、および、このローラユニットを備える画像形成装置を提供すること。
【解決手段】回転可能に配設された定着ローラ91に通電するための軸受93(電極)であって、固定電極93Aと、固定電極93Aに対し間隙を隔てて対向し、定着ローラ91とともに回転する回転電極93Bと、間隙内に形成された充填部93Dに充填され、導電性を有する微小粉末を分散媒に分散した分散液93Fとを有し、分散液93Fを介して固定電極93Aと回転電極93Bとが導通するよう構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極、ローラユニット、定着装置、および画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を採用するプリンタ、複写機、ファクシミリなどの画像形成装置は、露光、現像、転写、定着のプロセスにより、紙などの記録媒体上に、トナーからなる画像を形成する(例えば、特許文献1参照)。
このような画像形成装置には、通電を受けながら回転する様々な回転体、例えば、感光ドラムや転写ローラや定着ローラなどが設けられている。このような回転体にその回転を許容しつつ通電するために、一般に、ブラシ状や小片状の電極を回転体の表面に接触させ、この電極を介して回転体に通電を行う。
【0003】
しかしながら、このような電極は回転体の表面との摺擦により回転体や電極が磨耗し、接触不良を生じたり、磨耗によって生じた導電性の粉体によってショートを生じたりするおそれがある。
一方、前述したような磨耗を低減するものとして、従来では、例えば、特許文献1に記載されているように、金属ボールを有する電極が知られている。このような特許文献1にかかる電極では、定着ローラの回転を許容しつつ、外部から金属ボールを介して、定着ローラの表面付近に設けられた発熱層に通電を行う。
【0004】
しかしながら、特許文献1にかかる電極では、金属ボールと回転体(定着ローラ)との接触面積が比較的小さいため、大電流での通電に不向きである。そのため、例えば、特許文献1の定着装置では、定着ローラの発熱量を小さく抑えなければならず、定着ローラが定着可能な温度に達するまでの時間、いわゆるウォーミングアップ時間が長くなってしまう。
【0005】
【特許文献1】特開平7−140822号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、耐久性の向上を図るとともに、回転体に対し大電流での通電を可能とする電極、および、この電極を備えるローラユニット、ならびに、ウォーミングアップ時間の短縮化を図ることができる定着装置、および、このローラユニットを備える画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の電極は、回転可能に配設された回転体に通電するための電極であって、
固定電極と、
前記固定電極に対し間隙を隔てて対向し、前記回転体とともに回転する回転電極と、
前記間隙内に形成された充填部に充填され、導電性を有する微小粉末を分散媒に分散した分散液とを有し、
前記分散液を介して前記固定電極と前記回転電極とが導通するよう構成されていることを特徴とする。
これにより、回転体の円滑な回転を損なうことなく、固定電極と回転電極との間の導通領域を広範囲にして、回転体に大電流を通電することができる。また、分散液の潤滑性により、回転体の回転を極めて円滑にするとともに、電極の耐久性を優れたものとすることができる。
【0008】
本発明の電極では、前記固定電極と前記回転電極との間には、前記分散液のほかに、前記固定電極および前記回転電極に接触しつつ転動する転動体が複数設けられていることが好ましい。
これにより、回転体の回転をより円滑にしつつ、充填部を大容量化して、分散液の劣化を抑制することができる。
【0009】
本発明の電極では、各転動体は、導電性を有していることが好ましい。
これにより、固定電極と回転電極との導通状態をより良好なものとすることができる。
本発明の電極では、各転動体は、球形をなしていることが好ましい。
これにより、回転体の回転をさらに円滑にすることができる。
本発明の電極では、前記固定電極および前記回転電極は、それぞれ、リング状の部材で構成され、これらが互いに内外に配設されており、前記回転電極は、前記回転体の外周面または内周面に嵌合させるものであることが好ましい。
これにより、電極を回転体の周方向全域に亘って接触させて、電極と回転体との接触面積の拡大化を図ることができる。その結果、より大電流を回転体に対し通電することができる。
【0010】
本発明の電極では、前記分散媒の粘度は、1〜50,000mPa・Sであることが好ましい。
これにより、回転体の回転をより円滑なものとすることができる。
本発明の電極では、前記分散媒は、イオン性液体であることが好ましい。
これにより、固定電極と回転電極との導通状態を良好なものとしつつ、電極が高温となっても、分散媒の蒸発を防止することができる。その結果、長期に亘り、耐久性の向上を図るとともに、回転体に対し大電流での通電を可能とする。
【0011】
本発明の電極では、前記分散液が前記充填部から漏れ出すのを防止するシール部材を有することが好ましい。
これにより、長期に亘り、耐久性の向上を図るとともに、回転体に対し大電流での通電を可能とする。
本発明の電極では、前記微小粉末の平均粒径は、1〜800nmであることが好ましい。
これにより、回転体の回転をより円滑なものとしつつ、回転体への通電をより安定的なものとすることができる。
【0012】
本発明の電極では、前記微小粉末は、炭素を主材料として構成されていることが好ましい。
これにより、回転体の回転をより円滑なものとしつつ、回転体への通電をより安定的なものとすることができる。
本発明の電極では、前記微小粉末は、ナノカーボンで構成されていることが好ましい。
これにより、回転体の回転をさらに円滑なものとしつつ、回転体への通電をさらに安定的なものとすることができる。
【0013】
本発明の電極では、前記分散液中における前記微小粉末の含有率は、10〜70wt%であることが好ましい。
これにより、回転体の回転をより円滑なものとしつつ、回転体への通電をより安定的なものとすることができる。
本発明のローラユニットは、ローラと、
前記ローラの少なくとも一端部に設けられた軸受とを有するローラユニットであって、
前記軸受の少なくとも1つは、本発明の電極であることを特徴とする。
これにより、耐久性の向上を図るとともに、ローラに対し大電流での通電を可能とするローラユニットを提供することができる。
【0014】
本発明のローラユニットでは、前記軸受は、前記ローラの両端部にそれぞれ設けられ、この1対の軸受がそれぞれ前記電極であることが好ましい。
これにより、ローラに対し高電圧を印加することができる。
本発明のローラユニットでは、前記ローラは、その外周面に沿って、前記1対の電極からの通電により発熱する発熱層を有していることが好ましい。
これにより、ローラを迅速に高温状態にすることができる。
【0015】
本発明の定着装置は、本発明のローラユニットと、
前記ローラユニットのローラに対し圧接回転する他のローラを備え、
前記ローラと前記他のローラとの間に、未定着像を担持した記録媒体を通過させ加熱・加圧することにより、前記未定着像を前記記録媒体に定着させることを特徴とする。
これにより、耐久性の向上を図るとともに、ローラに対し大電流での通電を可能とする定着装置を提供することができる。このような定着装置は、ローラを迅速に高温状態とすることができるので、ウォーミングアップ時間の短縮化を図るとともに、安定した温度で定着処理を行って、良好な定着画像を得ることができる。
【0016】
本発明の定着装置では、前記電極は、前記ローラを回転可能に支持するものであることが好ましい。
これにより、部品点数を低減して、定着装置の小型化および低コスト化を図ることができる。
本発明の画像形成装置は、露光・現像・転写・定着の一連の画像形成プロセスにより、記録媒体に画像を形成する画像形成装置であって、
本発明の定着装置を備えることを特徴とする。
これにより、ウォーミングアップ時間の短縮化を図るとともに、安定した温度で定着処理を行って、良好な定着画像を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の電極、ローラユニット、定着装置、および画像形成装置の好適な実施形態を添付図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態を説明する。
<画像形成装置>
まず、本発明の画像形成装置、すなわち本発明の定着装置を備える画像形成装置を簡単に説明する。
【0018】
図1は、本発明の第1実施形態にかかる画像形成装置の全体構成の模式的断面図である。
図1に示す本実施形態の画像形成装置10は、主として露光・現像・転写・定着の一連の画像形成プロセスによって画像を記録媒体に記録するものである。このような画像形成装置10は、図1に示すように、静電的な潜像を担持し図示矢印方向に回転する感光体20を有し、その回転方向に沿って順次、帯電ユニット30、露光ユニット40、現像ユニット50、一次転写ローラ60、クリーニングユニット75が配設されている。また、画像形成装置10は、図1にて下部に、紙などの記録媒体Pを収容する給紙トレイ82が設けられ、その給紙トレイ82に対して記録媒体Pの搬送方向下流に、二次転写ローラ80、定着装置90が記録媒体Pの搬送方向に沿って順次配設されている。また、画像形成装置10には、記録媒体の両面に画像を形成する場合に、定着装置90によって一方の面に定着処理された記録媒体Pを表裏反転させて二次転写ローラ80へ帰還させるための搬送部88が設けられている。
【0019】
感光体20は、円筒状の導電性基材(図示せず)と、その外周面に形成された感光層(図示せず)とを有し、その軸線まわりに図1中矢印方向に回転可能となっている。
帯電ユニット30は、コロナ帯電などにより感光体20の表面を一様に帯電するための装置である。
露光ユニット40は、図示しないパーソナルコンピュータなどのホストコンピュータから画像情報を受けこれに応じて、一様に帯電された感光体20上に、レーザを照射することによって、静電的な潜像を形成する装置である。
【0020】
現像ユニット50は、ブラック現像装置51と、マゼンタ現像装置52と、シアン現像装置53と、イエロー現像装置54との4つの現像装置を有し、これらの現像装置を感光体20上の潜像に対応して選択的に用いて、前記潜像をトナー像として可視化する装置である。ブラック現像装置51はブラック(K)トナー、マゼンタ現像装置52はマゼンタ(M)トナー、シアン現像装置53はシアン(C)トナー、イエロー現像装置54はイエロー(Y)トナーを用いて現像を行う。
【0021】
本実施形態におけるYMCK現像ユニット50は、前述の4つの現像装置51、52、53、54を選択的に感光体20に対向するように、回転可能となっている。具体的には、このYMCK現像ユニット50は、軸50aを中心として回転可能な保持体55の4つの保持部55a、55b、55c、55dにそれぞれ4つの現像装置51、52、53、54が保持されており、保持体55の回転により、4つの現像装置51、52、53、54が相対位置関係を維持したまま、感光体20に選択的に対向するようになっている。
【0022】
中間転写体61は、エンドレスベルト状の中間転写ベルト70を有し、この中間転写ベルト70は、で張架されており、駆動ローラ71の回転により、図1に示す矢印方向に、感光体20とほぼ同じ周速度にて回転駆動される。
一次転写ローラ60は、感光体20に形成された単色のトナー像を中間転写ベルト70に転写するための装置である。
【0023】
中間転写ベルト70上には、ブラック、マゼンタ、シアン、イエローのうちの少なくとも1色のトナー像が担持され、例えばフルカラー画像の形成時に、ブラック、マゼンタ、シアン、イエローの4色のトナー像が順次重ねて転写されて、フルカラーのトナー像が形成される。本実施形態では、駆動ローラ71が、後述する二次転写ローラ80のバックアップローラとしても機能する。また、一次転写ローラ60、駆動ローラ71、従動ローラ72は、基体73によって支持されている。
二次転写ローラ80は、中間転写ベルト70上に形成された単色やフルカラーなどのトナー像を、紙、フィルム、布等の記録媒体Pに転写するための装置である。
【0024】
定着装置90は、前記トナー像の転写を受けた記録媒体Pを加熱および加圧することにより、前記トナー像を記録媒体Pに融着させて永久像として定着させるための装置である。この定着装置90は、本発明のローラユニットを備えるものである。なお、定着装置90については、後に詳述する。
クリーニングユニット75は、一次転写ローラ60と帯電ユニット30との間で感光体20の表面に当接するゴム製のクリーニングブレード76を有し、一次転写ローラ60によって中間転写ベルト70上にトナー像が転写された後に、感光体20上に残存するトナーをクリーニングブレード76により掻き落として除去するための装置である。
【0025】
搬送部88は、定着装置90によって一方の面に定着処理された記録媒体Pを挟持搬送する搬送ローラ対88A、88Bと、搬送ローラ対88A、88Bによって搬送される記録媒体Pを表裏反転しつつレジローラ86へ向け案内する搬送路88Cとを備えている。これにより、記録媒体の両面に画像形成する場合に、定着装置90によって一方の面に定着処理された記録媒体Pを表裏反転して二次転写ローラ80へ帰還させる。
【0026】
次に、このように構成された画像形成装置10の動作を説明する。
まず、図示しないホストコンピュータからの指令により、感光体20、現像ユニット50に設けられた現像ローラ(図示せず)、および中間転写ベルト70が回転を開始する。そして、感光体20は、回転しながら、帯電ユニット30により順次帯電される。
感光体20の帯電された領域は、感光体20の回転に伴って露光位置に至り、露光ユニット40によって、第1色目、例えばイエローYの画像情報に応じた潜像が前記領域に形成される。
【0027】
感光体20上に形成された潜像は、感光体20の回転に伴って現像位置に至り、イエロー現像装置54によってイエロートナーで現像される。これにより、感光体20上にイエロートナー像が形成される。このとき、YMCK現像ユニット50は、イエロー現像装置54が、前記現像位置にて感光体20と対向している。
感光体20上に形成されたイエロートナー像は、感光体20の回転に伴って一次転写位置(すなわち、感光体20と一次転写ローラ60との対向部)に至り、一次転写ローラ60によって、中間転写ベルト70に転写(一次転写)される。このとき、一次転写ローラ60には、トナーの帯電極性とは逆の極性の一次転写電圧(一次転写バイアス)が印加される。なお、この間、二次転写ローラ80は、中間転写ベルト70から離間している。
【0028】
前述の処理と同様の処理が、第2色目、第3色目および第4色目について繰り返して実行されることにより、各画像信号に対応した各色のトナー像が、中間転写ベルト70に重なり合って転写される。これにより、中間転写ベルト70上にはフルカラートナー像が形成される。
一方、記録媒体Pは、給紙トレイ82から、給紙ローラ84、レジローラ86によって二次転写ローラ80へ搬送される。
【0029】
中間転写ベルト70上に形成されたフルカラートナー像は、中間転写ベルト70の回転に伴って二次転写位置(すなわち、二次転写ローラ80と駆動ローラ71との対向部)に至り、二次転写ローラ80によって記録媒体Pに転写(二次転写)される。このとき、二次転写ローラ80は中間転写ベルト70に押圧されるとともに二次転写電圧(二次転写バイアス)が印加される。
【0030】
記録媒体Pに転写されたフルカラートナー像は、定着装置90によって加熱および加圧されて記録媒体Pに融着される。その後、記録媒体Pは、排紙ローラ対87によって画像形成装置10の外部へ排出される。
一方、感光体20は一次転写位置を経過した後に、クリーニングユニット75のクリーニングブレード76によって、その表面に付着しているトナーが掻き落とされ、次の潜像を形成するための帯電に備える。掻き落とされたトナーは、クリーニングユニット75内の残存トナー回収部に回収される。
【0031】
記録媒体の両面に画像形成する場合には、定着装置90によって一方の面に定着処理された記録媒体Pを一旦排紙ローラ対87により挟持した後に、排紙ローラ対87を反転駆動するとともに、搬送ローラ対88A、88Bを駆動して、当該記録媒体Pを搬送路88Cを通じて表裏反転して二次転写ローラ80へ帰還させ、前述と同様の動作により、記録媒体Pの他方の面に画像を形成する。
【0032】
<定着装置>
ここで、本発明のローラユニットを備える定着装置90を図2ないし図4に基づいて詳細に説明する。
図2は、定着装置90の好適な実施形態を示す模式的断面図、図3は、図2におけるA−A線断面図、図4は、図3に示すローラユニットに備えられた電極の拡大横断面図、図5は、図3に示すローラユニットに備えられた電極の拡大縦断面図である。
【0033】
定着装置90は、図2に示すように、互いに圧接回転する1対の定着ローラ91(ローラ)および加圧ローラ92と、定着ローラ91の温度を検知するための温度検知体94と、定着ローラ91および加圧ローラ92のそれぞれの周面の一部を覆うカバー95とを有している。
この定着装置90は、定着ローラ91および加圧ローラ92の圧接により形成されるニップ部Nに対し、図2にて下方から、未定着像を担持する記録媒体がニップ部Nへ搬送され、前記記録媒体を加熱および加圧することにより、前記未定着像を前記記録媒体に定着させる。本実施形態では、ニップ部Nに搬送される記録媒体は定着ローラ91側に未定着像を担持している。
【0034】
定着ローラ91は、円筒状をなし、その軸線まわりに回転可能に設けられた回転体である。
また、定着ローラ91は、図2および図3に示すように、円柱状をなす金属製の基部(芯金)91Aと、基部91Aの外周面を覆う絶縁層91Bと、絶縁層91Bの外周面を覆う発熱層91Cと、発熱層91Cの外周面を覆う弾性層91Dと、弾性層91Dの外周面を覆う離型層91Eとを有している。
【0035】
基部91Aは、円筒状をなし、例えば鉄やアルミニウム合金などの金属で構成されている。このような基部91Aの外周面をその全周に亘って覆うように絶縁層91Bが形成されている。
絶縁層91Bは、例えば、ポリイミド等の耐熱性樹脂、SiO等で構成されている。また、絶縁層91Bの厚さは、特に限定されないが、例えば、1〜100μmであることが好ましく、30〜50μmであることがより好ましい。このような絶縁層91Bの外表面をその全周に亘って覆うように発熱層91Cが形成されている。
【0036】
定着ローラ91の軸線方向において、発熱層91Cの長さは絶縁層91Bの長さよりも短くなっていて、発熱層91Cは絶縁層91Bの形成領域内に収まるようになっている。これにより、基部91Aと発熱層91Cとの間が絶縁されている。
【0037】
発熱層91Cの構成材料は、特に限定されないが、例えば、インジウムティンオキサイド(ITO)、カーボン系材料、チタン酸バリウム系セラミック(BaTiO)、Fe−Cr−Al合金、Ni−Cr合金等が挙げられる。
上述したような材料の中でも、ITO、カーボン系材料、BaTiO等、自己温度調節機能(PTC)を有する材料が好ましい。自己温度調節機能を有する材料を用いることにより、例えばサーモスタット等の温度制御装置等を介することなく温度調節が可能である。また、温度制御装置を省略することができ、よって、定着装置90の小型化、省電力化を図ることが可能になる。
【0038】
また、自己温度調節機能を有する材料は、電圧を印加すると、ジュール熱により、当該材料自体の温度が上昇するが、一旦所定温度に到達すると電気抵抗が急激に高くなり、すなわち、電流が抑えられ、前記所定温度を維持することができる。このように、自己温度調節機能を有する材料は、所定温度以上に発熱することが防止され、安全性にも優れている。
【0039】
発熱層91Cの厚さは、特に限定されないが、例えば、0.01〜3.0μmであるのが好ましく、0.05〜1.0μmであるのがより好ましい。発熱層91Cの厚さが前記下限値よりも薄い(小さい)と、均一な膜形成が難しく、膜欠陥を生じることがある。一方、発熱層91Cの厚さが前記上限値よりも厚い(大きい)と、熱サイクルによりクラックが生じるおそれがある。
【0040】
また、発熱層91Cの形成方法としては、特に限定されず、例えば、スプレー熱分解法、スパッタリング、ディッピング法等を用いることができる。
このような発熱層91Cの外周面をその全周に亘って覆うように弾性層91Dが形成されている。また、定着ローラ91の軸線方向において、弾性層91Dの長さは、発熱層91Cの長さよりも短くなっていて、弾性層91Dは発熱層91Cの形成領域内に収まるようになっている。
【0041】
弾性層91Dの構成材料としては、特に限定されないが、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、アクリルゴム、エチレン−プロピレンゴム、ヒドリンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴムのような各種ゴム材料(特に加硫処理したもの)や、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマーが挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を混合して用いることができる。これらの中でも、弾性層91Dの構成材料としては、例えば、Siゴム、EPDM、フッ素ゴムなどを好適に用いることができる。
【0042】
また、弾性層91Dの厚さは、後述する加圧ローラ91の弾性層92Bの厚さより小さいのが好ましい。より具体的には、弾性層91Dの厚さとしては、特に限定されないが、例えば、0.1〜3mmであるのが好ましく、0.5〜1.5mmであるのがより好ましい。これにより、図2に示すように、加圧ローラ92側が凹湾曲面をなすようなニップ部Nを確実に形成することができる。また、弾性層91Dの耐久性と発熱層91Cから定着ローラ91の外周面への熱伝導性とを優れたものとすることができる。
【0043】
このような弾性層91Dの外周面をその全周に亘って覆うように離型層91Eが形成されている。また、定着ローラ91の軸線方向において、離型層91Eの長さは、弾性層91Dの長さとほぼ同じになっていて、離型層91Eは発熱層91Cの形成領域内に収まるようになっている。これにより、定着ローラ91の両端部にて発熱層91Cを露出させ、発熱層91Cへ電圧を印加することが可能となっている。この電圧の印加は、後述する通電回路96から1対の軸受93を介して行われる。なお、1対の軸受93については、後に詳述する。
【0044】
また、離型層91Eの厚さは、10〜80μmであるのが好ましく、20〜50μmであるのがより好ましい。これにより、離型層91Eに必要な強度を保ちつつ、弾性層91Dの弾性を十分に発揮させることができる。
また、離型層91Eの構成材料としては、例えば、PTFE、PFAなどを好適に用いることができる。
このような定着ローラ91の温度を検知するための温度検知体94は、例えばサーミスタであり、定着ローラ91の周面に接触または近接して設けられている。このような温度検知体94によって検知された温度に基づき、通電回路96により、定着ローラ91の外表面が目標温度となるように、前述した発熱層91Cの駆動が制御される。
【0045】
ここで、図3ないし図5に基づいて1対の軸受93を詳細に説明する。
各軸受93は、図4および図5に示すように、いわゆる深溝玉軸受の形態をなし、その内外輪の間に、導電性を有する微小粉末を分散した分散液が充填されている。このような1対の軸受93は、図3に示すように、前述した発熱層91Cに電気的に接続するように、定着ローラ91の外周面に嵌合し、前述した通電回路96から通電を受けるようになっている。すなわち、各軸受93は、本発明の電極であり、定着ローラ91と1対の軸受93とは、本発明のローラユニットを構成している。また、本実施形態の定着装置90は、本発明のローラユニットを備えるものである。
【0046】
より具体的に説明すると、各軸受93は、図4に示すように、内外に配設されたリング状の固定電極(外輪)93Aおよび回転電極(内輪)93Bと、これらの間に配置された複数の転動体93Cと、複数の転動体93Cを転動可能に保持する保持器93Eと、固定電極93A−可動電極93B間の隙間に形成された充填部93Dに充填され、導電性を有する微小粉末を分散媒に分散した分散液93Fと、この分散液93Fの漏れを防止するシール部材93Gとを有している。
【0047】
1対の軸受93の固定電極93Aは、通電回路96に接続されている。これにより、軸受93を介して、前述した発熱層91Cに電圧が印加される。
回転電極93Bは、その内周面が定着ローラ91の外周面に嵌合し、固定電極93Aに対し間隙を隔てて対向し、定着ローラ91とともに回転するようになっている。
各転動体93Cは球形をなし、複数の転動体93Cは、固定電極93Aと回転電極93Bとの間に、固定電極93Aおよび回転電極93Bに接触しつつ転動するように、保持器93Eに保持されている。
【0048】
このような軸受93(電極)は、分散液93Fを介して固定電極93Aと回転電極93Bとが導通するよう構成されているので、定着ローラ91の円滑な回転を損なうことなく、固定電極93Aと回転電極93Bとの間の導通領域を広範囲にして、定着ローラ91に大電流を通電することができる。また、分散液93Fの潤滑性により、定着ローラ91の回転を極めて円滑にするとともに、電極である軸受93の耐久性を優れたものとすることができる。
【0049】
特に、本発明にかかる軸受93(電極)は、分散液93Fを用いるので、分散液93F中の微小粉末により、固定電極93Aと回転電極93Bとの間の導通状態を優れたものとして、定着ローラ91に大電流を通電することができる。
本実施形態では、固定電極93Aと回転電極93Bとの間に分散液93Fのほかに転動体93Cが複数設けられているので、定着ローラ91の回転をより円滑にしつつ、充填部93Dを大容量化して、分散液93Fの劣化を抑制することができる。
【0050】
また、各転動体93Cの構成材料は、前述した機能を発揮することができるものであれば、特に限定されず、各種金属、セラミック、樹脂などを用いることができる。
また、各転動体93Cは導電性を有しているのが好ましい。これにより、固定電極93Aと回転電極93Bとの導通状態をより良好なものとすることができる。
また、各転動体93Cは球形をなしているので、定着ローラ91の回転をさらに円滑にすることができる。
【0051】
また、各軸受93はラジアル玉軸受の形態であるので、より大電流を定着ローラ91に対し通電することができる。具体的に説明すると、固定電極93Aおよび回転電極93Bは、それぞれ、リング状の部材で構成され、これらが互いに内外に配設されており、回転電極93Bは定着ローラ91の外周面に嵌合させるものである。そのため、電極である軸受93を定着ローラ91の周方向全域に亘って接触させて、軸受93と定着ローラ91との接触面積の拡大化を図ることができる。その結果、より大電流を定着ローラ91に対し通電することができる。
【0052】
また、分散液93F中の分散媒としては、分散液93F全体が導電性を有するものであれば、特に限定されず、各種液体を用いることができるが、導電性を有する液体を用いるのが好ましい。
また、分散液93F中の分散媒の粘度は、1〜50,000mPa・Sであるのが好ましく、1〜20,000mPa・Sであるのがより好ましい。これにより、定着ローラ91の回転をより円滑なものとすることができる。
【0053】
より具体的に説明すると、充填部93Dに充填された分散液93F中の分散媒としては、例えば、LiPF、LiBF、LiCFSO、EtNBF、EtNPFなどの電解液や、EMIm(HF)2.3F系(1−エチル−3−メチルイミダゾリウムフルオハイドロジェネート系)、BMI系(1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム系)、DMPI系(1,2−ヂメチル−3−プロピルイミダゾリウム系)などのイオン性液体などを好適に用いることができる。この中でも、分散液93F中の分散媒としては、イオン性液体を用いるのが好ましい。これにより、固定電極93Aと回転電極93Bとの導通状態を良好なものとしつつ、軸受93(電極)が高温となっても、分散液93F中の分散媒の蒸発を防止することができる。その結果、長期に亘り、軸受93の耐久性の向上を図るとともに、定着ローラ91(回転体)に対し大電流での通電を可能とする。
【0054】
また、転動体93Cの径をAとし、分散液93F中の微小粉末の平均粒径をBとしたときに、B/Aは、1×10−6〜2×10−4であるのが好ましく、5×10−7〜1×10−3であるのがより好ましい。これにより、定格ローラ91の回転をより円滑なものとしつつ、定着ローラ91への通電をより安定的なものとすることができる。
また、分散液93F中の微小粉末の平均粒径は、1〜800nmであるのが好ましく、5〜500nmであるのがより好ましい。これにより、定着ローラ91の回転をより円滑なものとしつつ、定着ローラ91への通電をより安定的なものとすることができる。
【0055】
また、分散液93F中の微小粉末の構成材料としては、導電性を有するものであれば特に限定されないが、Ag、Cu、Fe、Ni、Au、Pt、Al、Mg、Si、Mn、Coなどの金属、ナノカーボンなどの炭素材料などを好適に用いることができる。特に、分散液93F中の微小粉末は、炭素を主材料として構成されているのが好ましい。これにより、定着ローラ91の回転をより円滑なものとしつつ、定着ローラ91への通電をより安定的なものとすることができる。
【0056】
微小粉末を炭素を主材料として構成する場合には、微小粉末が、カーボンブラック、フラーレン、CNTなどのナノカーボン材料で構成されているのが好ましい。これにより、定着ローラ91の回転をさらに円滑なものとしつつ、定着ローラ91への通電をさらに安定的なものとすることができる。
また、分散液93F中における微小粉末の含有率は、10〜70wt%であるのが好ましく、20〜60wt%であるのがより好ましい。これにより、定着ローラ91の回転をより円滑なものとしつつ、定着ローラ91への通電をより安定的なものとすることができる。
【0057】
本実施形態では、シール部材93Gにより分散液93Fが充填部93Dから漏れ出すのを防止しているので、前述したような効果を長期に亘り維持することができる。すなわち、長期にわたり、耐久性の向上を図るとともに、定着ローラ91に対し大電流での通電を可能とする。
加圧ローラ92は、円筒状または円柱状をなし、その軸線まわりに回転可能となっているとともに、定着ローラ91に圧接している。
【0058】
また、加圧ローラ92は、図2および図3に示すように、円柱状をなす金属製の基部(芯金)92Aと、基部92Aの外周面を覆う弾性層92Bと、弾性層92Bの外周面を覆う離型層92Cとを有している。
弾性層92Bの構成材料としては、例えば、Siゴム、EPDM、フッ素ゴムなどを好適に用いることができる。
【0059】
また、弾性層92Bの厚さは、0.3〜10mmであるのが好ましく、0.6〜8mmであるのがより好ましい。これにより、弾性層92Bの耐久性を優れたものとしつつ、ニップ部Nの幅を十分なものとすることができる。
また、離型層92Cの厚さは、10〜80μmであるのが好ましく、20〜50μmであるのがより好ましい。これにより、離型層92Cに必要な強度を保ちつつ、弾性層92Bの弾性を十分に発揮させることができる。
また、離型層92Cの構成材料としては、例えば、PTFE、PFAなどを好適に用いることができる。
【0060】
以上説明したように、本実施形態の定着装置90は、耐久性の向上を図るとともに、定着ローラ91に対し大電流での通電を可能とする。このような定着装置90は、定着ローラ91を迅速に高温状態とすることができるので、ウォーミングアップ時間の短縮化を図るとともに、安定した温度で定着処理を行って、良好な定着画像を得ることができる。
特に、本実施形態では、軸受93は、定着ローラ91の両端部にそれぞれ設けられ、これらの軸受93が互いに極性の異なる1対の電極であるので、定着ローラ91に対し高電圧を印加することができる。
【0061】
そして、定着ローラ91は、その外周面に沿って、1対の電極(1対の軸受93)からの通電により発熱する発熱層91Cを有しているので、定着ローラ91を迅速に高温状態にすることができる。
また、1対の軸受93は定着ローラ91を回転可能に支持するものであるので、部品点数を低減して、定着装置90の小型化および低コスト化を図ることができる。
【0062】
(第2実施形態)
次に、図6に基づいて、本発明の第2実施形態を説明する。
図6は、本発明の第2実施形態にかかる電極の拡大縦断面図である。
以下、第2実施形態の電極について、前述した第1実施形態の電極との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0063】
第2実施形態の電極193は、すべり軸受(流体軸受)のような形態をなしていて、第2実施形態の電極193と第1実施形態の電極93との主な相違点は、図6に示すように、前述した第1実施形態の転動体93Cを省略した点である。
図6に示す電極193は、内外に配設されたリング状の固定電極(外輪)193Aおよび回転電極(内輪)193Bと、これらの間の隙間に形成された充填部193Cに充填され、導電性を有する微小粉末を分散媒に分散した分散液93Fとを有している。
【0064】
固定電極193Aおよび回転電極193Bは、充填部193C内の分散液93Fの漏れを防止するように、互いに軸線方向に微小間隔を隔てて対向するようになっている。すなわち、固定電極193Aの軸線方向での端部と回転電極193Bの軸線方向での端部とが、充填部193Cからの分散液93Fの漏れを防止するシール部材を構成している。
このような軸受193(電極)も、前述した軸受93と同様に、分散液93Fを介して固定電極193Aと回転電極193Bとが導通するよう構成されているので、定着ローラ91の円滑な回転を損なうことなく、固定電極193Aと回転電極193Bとの間の導通領域を広範囲にして、定着ローラ91に大電流を通電することができる。また、分散液93Fの潤滑性により、定着ローラ91の回転を極めて円滑にするとともに、電極である軸受93の耐久性を優れたものとすることができる。
【0065】
特に、本実施形態の軸受193は、転動体を用いていないので、より大きな荷重に耐えることができ、また、耐久性の向上を図ることができる。また、分散液93F中の微小粉末が転動体と同様の機能を果たすため、定着ローラ91の回転を円滑なものとすることができる。
以上、本発明について、好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0066】
例えば、本発明の画像形成装置を構成する各部は、同様の機能を発揮する任意のものと置換、または、その他の構成を追加することもできる。
例えば、前述した実施形態では、回転体として定着ローラを一例に説明したが、回転しつつ通電を受ける回転体であれば、特に限定されず、回転体として、例えば、転写ローラ、現像ローラ、感光ドラムなどを用いることができる。
【0067】
また、前述した実施形態では、電極が軸受の形態をなすものについて説明したが、固定電極と回転電極との間に、前述したような分散液を充填できるものであれば、特に限定されず、例えば、導電性を有する分散液をブラシ電極に含浸させたようなものであってもよい。
また、前述した実施形態では、軸受(電極)が深溝玉軸受の形態をなすものについて説明したが、内輪と外輪との間に、導電性を有する微小粉末を分散媒に分散した分散液を充填することができるものであれば、玉軸受やころ軸受のような各種転がり軸受を用いることができる。
【0068】
また、前述した実施形態では、軸受(電極)がラジアル軸受の形態をなし、定着ローラの外周面に軸受(電極)を嵌合させたものについて説明したが、軸受(電極)を定着ローラの内周面に嵌合させてもよい。また、ローラの端面に接触させるようにしてもよい。この場合、例えば、電極がスラスト軸受の形態をなすようにするのが好ましい。
また、前述した実施形態では軸受(電極)にシール部材を備えるものについて説明したが、充填部に分散液を充填できれば、シール部材は設けなくてもよい。また、シール部材は、固定電極側に取り付けられていても、回転電極側に取り付けられていてもよく、また、シール部材は、固定電極や回転電極に一体的に形成されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる画像形成装置の全体構成の模式的断面図である。
【図2】図1に示す画像形成装置に備えられた定着装置の好適な実施形態を示す模式的断面図である。
【図3】図2におけるA−A線断面図である。
【図4】図3に示すローラユニットに備えられた電極の拡大横断面図である。
【図5】図3に示すローラユニットに備えられた電極の拡大縦断面図である。
【図6】本発明の第2実施形態にかかる電極の拡大縦断面図である。
【符号の説明】
【0070】
10‥‥‥画像形成装置 20‥‥‥感光体 30‥‥‥帯電ユニット 40‥‥‥露光ユニット 50‥‥‥現像ユニット 50a‥‥‥軸 51‥‥‥ブラック現像装置 52‥‥‥マゼンタ現像装置 53‥‥‥シアン現像装置 54‥‥‥イエロー現像装置 55‥‥‥保持体 55a〜55d‥‥‥保持部 60‥‥‥一次転写ローラ 61‥‥‥中間転写体 70‥‥‥中間転写ベルト 71‥‥‥駆動ローラ 72‥‥‥従動ローラ 73‥‥‥基体 75‥‥‥クリーニングユニット 76‥‥‥クリーニングブレード 80‥‥‥二次転写ローラ 82‥‥‥給紙トレイ 84‥‥‥給紙ローラ 86‥‥‥レジローラ 87‥‥‥排紙ローラ対 88‥‥‥搬送部 88A、88B‥‥‥搬送ローラ対 88C‥‥‥搬送路 90‥‥‥定着装置 91‥‥‥定着ローラ 91A‥‥‥基部 91B‥‥‥絶縁層 91C‥‥‥発熱層 91D‥‥‥弾性層 91E‥‥‥離型層 92‥‥‥加圧ローラ 92A‥‥‥基部 92B‥‥‥弾性層 92C‥‥‥離型層 93‥‥‥軸受(電極) 93A‥‥‥固定電極 93B‥‥‥回転電極 93C‥‥‥転動体 93D‥‥‥充填部 93E‥‥‥保持器 93F‥‥‥分散液 93G‥‥‥シール部材 193‥‥‥軸受(電極) 193A‥‥‥固定電極 193B‥‥‥回転電極 193C‥‥‥充填部 94‥‥‥温度検知体 95‥‥‥カバー 96‥‥‥通電回路 P‥‥‥記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能に配設された回転体に通電するための電極であって、
固定電極と、
前記固定電極に対し間隙を隔てて対向し、前記回転体とともに回転する回転電極と、
前記間隙内に形成された充填部に充填され、導電性を有する微小粉末を分散媒に分散した分散液とを有し、
前記分散液を介して前記固定電極と前記回転電極とが導通するよう構成されていることを特徴とする電極。
【請求項2】
前記固定電極と前記回転電極との間には、前記分散液のほかに、前記固定電極および前記回転電極に接触しつつ転動する転動体が複数設けられている請求項1に記載の電極。
【請求項3】
各転動体は、導電性を有している請求項2に記載の電極。
【請求項4】
各転動体は、球形をなしている請求項2または3に記載の電極。
【請求項5】
前記固定電極および前記回転電極は、それぞれ、リング状の部材で構成され、これらが互いに内外に配設されており、前記回転電極は、前記回転体の外周面または内周面に嵌合させるものである請求項1ないし4のいずれかに記載の電極。
【請求項6】
前記分散媒の粘度は、1〜50,000mPa・Sである請求項1ないし5のいずれかに記載の電極。
【請求項7】
前記分散媒は、イオン性液体である請求項1ないし6のいずれかに記載の電極。
【請求項8】
前記分散液が前記充填部から漏れ出すのを防止するシール部材を有する請求項1ないし7のいずれかに記載の電極。
【請求項9】
前記微小粉末の平均粒径は、1〜800nmである請求項1ないし8のいずれかに記載の電極。
【請求項10】
前記微小粉末は、炭素を主材料として構成されている請求項1ないし9のいずれかに記載の電極。
【請求項11】
前記微小粉末は、ナノカーボンで構成されている請求項10に記載の電極。
【請求項12】
前記分散液中における前記微小粉末の含有率は、10〜70wt%である請求項1ないし11のいずれかに記載の電極。
【請求項13】
ローラと、
前記ローラの少なくとも一端部に設けられた軸受とを有するローラユニットであって、
前記軸受の少なくとも1つは、請求項1ないし12のいずれかに記載の電極であることを特徴とするローラユニット。
【請求項14】
前記軸受は、前記ローラの両端部にそれぞれ設けられ、この1対の軸受がそれぞれ前記電極である請求項13に記載のローラユニット。
【請求項15】
前記ローラは、その外周面に沿って、前記1対の電極からの通電により発熱する発熱層を有している請求項14に記載のローラユニット。
【請求項16】
請求項13ないし15のいずれかに記載のローラユニットと、
前記ローラユニットのローラに対し圧接回転する他のローラを備え、
前記ローラと前記他のローラとの間に、未定着像を担持した記録媒体を通過させ加熱・加圧することにより、前記未定着像を前記記録媒体に定着させることを特徴とする定着装置。
【請求項17】
前記電極は、前記ローラを回転可能に支持するものである請求項16に記載の定着装置。
【請求項18】
露光・現像・転写・定着の一連の画像形成プロセスにより、記録媒体に画像を形成する画像形成装置であって、
請求項16または17に記載の定着装置を備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−72219(P2007−72219A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−259952(P2005−259952)
【出願日】平成17年9月7日(2005.9.7)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】