説明

電極およびそれを有する電池

【課題】電気化学デバイスに用いた場合に、デンドライトの発生をより抑制することのできる電極を提供する。
【解決手段】酸化還元可能なナノ粒子と、該ナノ粒子を被覆する炭素材料とからなるナノ複合材料を有する電極。
前記ナノ複合材料が、以下の(A)の要件を有する前記の電極。
(A)ナノ複合材料における炭素材料が層を形成している。
前記ナノ複合材料が、以下の(B)、(C)および(D)の要件を有する前記の電極。
(B)炭素材料が形成する層の数が、2〜1000である。
(C)炭素材料が形成する層の総厚みが、1nm〜200nmの範囲である。
(D)ナノ粒子の径が、0.5nm〜900nmの範囲である。
前記の電極を有する空気電池。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極およびそれを有する電池に関する。
【背景技術】
【0002】
電極は、空気電池、リチウムイオン二次電池、ナトリウムイオン二次電池などの各種電池、キャパシター等の電気化学デバイスに用いられている。通常、電池は正極および負極を有するが、特に空気電池においては、正極活物質として空気中の酸素を使用する場合が多いことから、デバイス内に正極活物質を充填させる必要はなく、これにより高エネルギー密度の電池を達成することに期待が寄せられている。
【0003】
空気電池として、例えば、特許文献1には、空気極(正極)と、金網などの基板に亜鉛を電着した亜鉛極(負極)とを備える空気二次電池が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭50−28640号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記空気二次電池においては、充電時の負極におけるデンドライトの発生を十分に抑制できるものとはいえず、未だ改良の余地がある。本発明の目的は、電気化学デバイスに用いた場合に、デンドライトの発生をより抑制することのできる電極を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、種々検討した結果、下記の発明が上記目的に合致することを見出し、本発明に至った。すなわち本発明は、下記の発明を提供する。
<1>酸化還元可能なナノ粒子と、該ナノ粒子を被覆する炭素材料とからなるナノ複合材料を有する電極。
<2>前記ナノ複合材料が、以下の(A)の要件を有する前記<1>記載の電極。
(A)ナノ複合材料における炭素材料が層を形成している。
<3>前記ナノ複合材料が、以下の(B)、(C)および(D)の要件を有する前記<2>記載の電極。
(B)炭素材料が形成する層の数が、2〜1000である。
(C)炭素材料が形成する層の総厚みが、1nm〜200nmの範囲である。
(D)ナノ粒子の径が、0.5nm〜900nmの範囲である。
<4>以下の(1)および(2)の工程をこの順で含む製造方法により得られるナノ複合材料を有する前記<1>〜<3>のいずれかに記載の電極。
(1)酸化還元可能なナノ粒子の存在下、炭素材料前駆体を重合させ、前記ナノ粒子の表面に炭素材料中間体を形成させる工程。
(2)前記炭素材料中間体を炭化して、前記ナノ粒子を被覆する炭素材料を形成し、ナノ複合材料を製造する工程。
<5>前記<1>〜<4>のいずれかに記載の電極を有する電池。
<6>前記<1>〜<4>のいずれかに記載の電極を有する空気電池。
<7>前記<1>〜<4>のいずれかに記載の電極を負極として有し、正極活物質として空気中の酸素を使用する空気電池。
<8>充放電することのできる前記<7>記載の空気電池。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、電気化学デバイスに用いた場合に、デンドライトの発生をより抑制することのできる電極を提供することができ、しかも、本発明の電極は、充放電することのできる電池に用いた場合には、放電容量のサイクル特性を高めることもでき、特に、空気二次電池などに好適に使用できる。また、リチウムイオン二次電池、ナトリウムイオン二次電池などの各種電池、キャパシター等の電気化学デバイスにも使用でき、工業的に極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】空気電池の一例を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の電極は、酸化還元可能なナノ粒子と、該ナノ粒子を被覆する炭素材料とからなるナノ複合材料を有することを特徴とする。本発明におけるナノ複合材料は、ナノサイズ(0.5nm〜1μm程度)であり、粒状であることが好ましい。電極に好適に用いる意味で、本発明におけるナノ複合材料は、以下の(A)の要件を有することが好ましく、さらに以下の(B)、(C)および(D)の要件を有することがより好ましい。
(A)ナノ複合材料における炭素材料が層を形成している。
(B)炭素材料が形成する層の数が、2〜1000である。
(C)炭素材料が形成する層の総厚みが、1nm〜200nmの範囲である。
(D)ナノ粒子の径が、0.5nm〜900nmの範囲である。本明細書では、ナノ粒子の径はその直径を意味する。
【0010】
また、本発明において、ナノ複合材料は、以下の(1)および(2)工程をこの順で含む製造方法により得ることができ、これにより得られるナノ複合材料を有する電極は、好ましい実施形態である。
(1)酸化還元可能なナノ粒子の存在下、炭素材料前駆体を重合させ、前記ナノ粒子の表面に炭素材料中間体を形成させる工程。
(2)前記炭素材料中間体を炭化して、前記ナノ粒子を被覆する炭素材料を形成し、ナノ複合材料を製造する工程。
【0011】
以下、ナノ複合材料の製造につき、具体的に説明する。
まず、工程(1)において、酸化還元可能なナノ粒子(以下、ナノ粒子と略すことがある。)は、次のようにして製造される。すなわち、一つもしくは複数のナノ粒子前駆体と一つもしくは複数の分散剤を用い、次にナノ粒子前駆体と分散剤を反応もしくは結合させ前駆体複合体を形成させる。一般的には、ナノ粒子前駆体と分散剤とを適当な溶媒に溶解(このとき得られるものを複合体溶液とする。)または分散(このとき得られるものを複合体懸濁液とする。)させ、ナノ粒子前駆体と分散剤が結合することによりこの前駆体複合体は形成される。
【0012】
ナノ粒子前駆体としては、後述の炭素材料前駆体の重合および/または炭素材料中間体の炭化を促進するものであれば特に限定されないが、具体的には、構成元素として、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属元素、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属元素、チタン、ジルコニウム等の第4族元素、バナジウム、ニオブ等の第5族元素、クロム、モリブデン、タングステン等の第6族元素、銅、銀、金等の第11族元素、亜鉛、カドミウム等の第12族元素、アルミニウム、ガリウム、インジウム等の第13族元素、シリコン、ゲルマニウム、錫、鉛等の第14族元素のほか、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、パラジウム、白金等の遷移金属元素を挙げることができ、ナノ粒子前駆体としては、これらの元素からなる金属単体、これらの元素を2つ以上含む合金、これらの元素を1つ以上含む金属化合物、または、これらの混合物を挙げることをできる。ナノ粒子前駆体は、マンガン、鉄、コバルトおよびニッケルからなる1種以上の元素を含むことが好ましく、より好ましくは鉄を含むことである。
【0013】
前駆体複合体は一つもしくは複数の分散剤を含む。この分散剤は、目的とする安定性、大きさ、均一性を有するナノ粒子の生成を促進されるものから選ばれる。分散剤とは種々の有機分子、高分子、オリゴマー等である。この分散剤は、適当な溶媒に溶解もしくは分散させて用いる。
【0014】
溶媒としては、水や有機溶媒を含む種々の溶媒を利用してよい。ナノ粒子前駆体と分散剤の相互作用のため、溶媒を用いる。また、単なる溶媒としてだけではなく、分散剤として作用してもよい。溶媒はナノ粒子前駆体を懸濁液にすることもできる。好ましい溶媒としては、水、メタノール、エタノール、n―プロパノール、イソプロピルアルコール、アセトニトリル、アセトン、テトラヒドロフラン、エチレングリコール、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルフォキシド、メチレンクロライド等が挙げられ、これらを混合して用いてもよい。
【0015】
前駆体複合体は溶媒分子によって囲まれた、ナノ粒子前駆体と分散剤とから得られる複合体であると考えられる。前駆体複合体は、複合体溶液または複合体懸濁液中で生成したのち、溶媒を乾燥等により除去することにより、乾燥された前駆体複合体を得ることができる。またこの乾燥された前駆体複合体は適当な溶媒を加えることで懸濁液に戻すこともできる。
【0016】
上記においては、複合体溶液または複合体懸濁液の中で、分散剤とナノ粒子前駆体とのモル比を制御できるという特徴がある。好ましくは、分散剤の官能基に対するナノ粒子原子の割合としては0.01:1〜100:1程度であり、さらに好ましくは0.05:1〜50:1程度である。
【0017】
上記において、分散剤は、非常に小さくかつ均一な粒径のナノ粒子の形成を促進させることができる。一般的に、分散剤存在下でナノ粒子前駆体は1μm以下の大きさとして形成される。好ましくは500nm以下であり、より好ましくは50nm以下である。
【0018】
上記の複合体溶液または複合体懸濁液においては、ナノ粒子の形成を促進させるための添加物を含んでもよい。添加物としては、例えば、無機酸や塩基化合物を加えることができる。無機酸としては例えば、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸などであり、無機塩基化合物としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化アンモニウムなどである。塩基性物質(例えば、アンモニア水溶液)をpHを8〜13に調整するため、加えてもよい。より好ましくは10〜11に調整する。高いpH値でナノ粒子前駆体が微細に分離し、ナノ粒子の粒径に影響を与える。
【0019】
また、ナノ粒子の形成を促進させるための固体物質を加えてもよい。例えば、イオン交換樹脂をナノ粒子形成時に加えることができる。固体物質は、最終的な複合体溶液もしくは複合体懸濁液から簡単な操作によって除去することができる。
【0020】
典型的には、上記の複合体溶液または複合体懸濁液は、0.5時間〜14日間混合されることにより、ナノ粒子は得られる。また混合温度は0℃〜200℃程度である。混合温度は、ナノ粒子の粒径に影響を与える重要な因子である。
【0021】
ナノ粒子前駆体として鉄を用いた場合には、典型的には、塩化鉄、硝酸鉄、硫酸鉄などの鉄化合物となり、分散剤と反応もしくは結合することにより、ナノ粒子となる。これらの化合物は水系の溶媒に溶解する場合が多い。金属塩を用いたナノ粒子の形成によって、副生成物が生成する。典型的な副生成物としては、金属を用いてナノ粒子を調整したときに出る水素ガスである。典型的な実施様態としては、ナノ粒子は混合工程で活性化されるかもしくは、さらには水素を用いてより還元を行う。
【0022】
好ましくは、ナノ粒子は、安定的に活性なナノ粒子の懸濁液として形成されることである。ナノ粒子の安定性により粒子同士の凝集を抑制する。一部もしくはすべてのナノ粒子が沈降したとしても、混合することによって容易に再懸濁化する。生成するナノ粒子の径は、通常、0.5nm〜900nmの範囲であり、電極に好適に用いる意味で、好ましくは0.5nm〜500nmの範囲、より好ましくは0.5nm〜50nmの範囲である。ここで、本発明におけるナノ粒子は、略球状を含む等軸(アスペクト比が約1)の粒子に限らず、棒状、円筒状、角柱状等で長径と短径を有するものも含まれる。ナノ粒子が長径と短径を有する場合は、少なくとも短径が上記範囲に入っていればよい。本発明におけるナノ粒子としては、略球状を含む等軸の粒子が好ましい。
【0023】
本発明において、ナノ粒子は酸化還元可能であり、具体的には、本発明におけるナノ粒子を有する電極につき、電解質存在下で、外部から電圧を印加したときに、電気化学的に酸化還元することができる。電極自身は、充電時には電気化学的に還元し、還元状態の電極は、放電時には電気化学的に酸化する。
【0024】
上記において得られるナノ粒子は、工程(1)における炭素材料前駆体の重合および/または炭素材料中間体を促進する触媒としての役割を担うこともできる。
【0025】
工程(1)において、炭素材料前駆体としては、ナノ粒子を分散できるものであることが好ましく、ナノ粒子を分散させて、その存在下、炭素材料前駆体を重合させることにより、ナノ粒子の表面に炭素材料中間体が形成する。炭素材料前駆体として、好適な有機材料としては、分子中に芳香族環を1つもしくは複数有し重合化のための官能基を有するベンゼンやナフタレン誘導体が挙げられる。重合化のための官能基としては、COOH、C=O、OH、C=C、SO3、NH2、SOH、N=C=Oなどが例示される。
【0026】
好ましい炭素材料前駆体としては、レゾルシノール、フェノール樹脂、メラニン−ホルムアルデヒドゲル、ポリフルフリルアルコール、ポリアクリロニトリル、砂糖、石油ピッチ等が挙げられる。
【0027】
ナノ粒子は、その表面で炭素材料前駆体が重合化するように、炭素材料前駆体と混合される。ナノ粒子は触媒活性である場合には、その粒子近傍で炭素材料前駆体の重合の開始および/または促進の役割を担うことができる。
【0028】
炭素材料前駆体に対するナノ粒子の量は、炭素材料前駆体が、均一に炭素材料中間体を最大量形成するように設定してもよい。ナノ粒子の量は、用いる炭素材料前駆体の種類にも依存する。実施様態の例としては、炭素材料前駆体とナノ粒子とのモル比は、0.1:1〜100:1程度であり、好ましくは1:1〜30:1である。このモル比、ナノ粒子の種類、粒径は、得られるナノ複合材料における炭素材料の厚みなどに影響を与える。
【0029】
ナノ粒子および炭素材料前駆体の混合物は、ナノ粒子の表面に炭素材料中間体が十分に形成されるまで、十分熟成させる。炭素材料中間体を形成させるのに必要な時間は、温度、ナノ粒子の種類、ナノ粒子の濃度、溶液のpH、用いる炭素材料前駆体の種類に依存する。
【0030】
pH調整のためにアンモニアを加えることで、重合の速度を速め、炭素材料前駆体同士の架橋量が増え、効果的に重合できることがある。
【0031】
熱により重合可能な炭素材料前駆体については、通常、温度が上昇するほど重合が進む。好ましくは0〜200℃であり、さらに好ましくは25℃〜120℃である。
【0032】
レゾルシノール−ホルムアルデヒドゲル(鉄粒子を用いる場合で、懸濁液pHが1−14の場合)の最適な重合条件は、0〜90℃であり、熟成時間は1〜72時間である。
【0033】
工程(2)において、炭素材料中間体を炭化して炭素材料を形成し、ナノ複合材料を得る。炭化は、通常焼成により行う。典型的には、焼成は、500〜2500℃、好ましくは1000〜2500℃の温度で行う。焼成時には、炭素材料中間体における酸素原子、窒素原子が放出され、炭素原子の再配列が起こり、炭素材料が形成される。好ましくは、炭素材料は、グラファイト様の層状(多層状)であり、層の総厚みが1〜200nmの範囲、より好ましくは1〜20nmの範囲である。層数は、炭素材料中間体の種類、厚み、焼成温度により制御できる。例えば、焼成温度を高くすれば、炭素の成長速度が大きくなり、層数が増える。炭素中間体の厚みを大きくすれば、層数が増える。また、炭素材料中間体の芳香族濃度(炭素材料前駆体の芳香族化合物の量)を高くすれば、層数が増える。また、ナノ複合材料における炭素材料の厚み(層の厚み)は、炭素材料前駆体の重合および/または炭素材料中間体の炭化の進行度の調整によっても制御できる。本発明において、炭素材料とは、主に炭素から構成されている材料であり、例えば、炭素材料における炭素の割合が90重量%以上の材料をいう。
【0034】
本発明において、ナノ複合材料は、炭素材料がナノ粒子の一部または全部を被覆しており、形状、大きさ、電気的特性において特異的である。ナノ複合材料の典型的な形状としては、粒状(特に略球状)、もしくは少なくともその一部が粒状である。ナノ複合材料の形状、粒径は、製造時に用いたナノ粒子の形状、径に依存する部分が大きい。ナノ粒子の周囲に炭素材料が形成されることから、ナノ複合材料の形状、径にも影響を与える。ナノ複合材料は、ナノ粒子が炭素材料により袋状に被覆された構造、もしくはその一部の構造であるか、またはこれらの集合体であってもよい。
【0035】
上記のナノ複合材料において、その形状や、炭素材料が層を形成している場合の層数、炭素層の総厚み、ナノ粒子の径は、透過型電子顕微鏡(TEM)によって、測定することができる。また、炭素材料が層を形成している場合には、層は、ナノ粒子の表面に沿って、湾曲あるいは屈曲していてもよい。
【0036】
本発明の電極は、上記のナノ複合材料を用いて、該材料と、必要に応じて結着剤、溶媒とを混合して得られる電極剤を、電極集電体に担持させて得ることができる。また、ナノ複合材料を導電剤として用いて、該材料と、必要に応じて電極活物質、結着剤、溶媒とを混合して得られる電極剤を、電極集電体に担持させて電極を得てもよい。前記混合は、湿式混合など、公知の方法によればよい。
【0037】
次に、本発明の電極を有する電池として、本発明の電極を空気電池用の負極として用いる場合を例に挙げて説明する。空気電池は、正極活物質として空気中の酸素、負極活物質として金属を用いる電池のことを意味し、通常は、空気中の酸素を電池内に取り込むための空気極には触媒作用を有する多孔質炭素材料、多孔質金属材料、もしくは両者の複合材料が使用され、負極活物質には各種金属、そして電解液には、水酸化カリウム水溶液等の水溶液が使用されている。空気電池の放電では、空気中の酸素(O2)は空気極の触媒作用でOH-として電解液に溶け込み負極活物質と反応し起電力を発生する。
【0038】
図1は本発明の実施の一形態である空気電池の模式図である。この空気電池は、空気孔1を設けたセル上蓋2に、空気拡散層3と、触媒作用を有する多孔質の触媒層4、集電体5を設けた空気極、セパレータ6、負極活物質を有する負極7、セル下蓋8を重ね合わせ、セル上蓋2とセル下蓋8との間をガスケット9で封止した構成となっている。
【0039】
セパレータ6としては、クラフト紙、ビニロン混抄紙、合成パルプ混抄紙等の紙、セロハン、ポリエチレングラフト膜、ポリプロピレンメルトブロー不織布等のポリオレフィン不織布、ポリアミド不織布、ガラス繊維不織布を挙げることができる。
【0040】
負極7における負極活物質には、上記のナノ複合材料を使用する。負極7は、電解液10と接触している。電解液10は、負極7、セパレータ6、触媒層4に担持されていてもよい。また、負極7は、必要に応じて、添加剤を有していてもよい。触媒層4としては、白金などを担持させたカーボンが好適に用いられ、これとポリテトラフルオロエチレン等の結着剤とを混合、圧延したシートを所定の大きさに加工するなどして用いればよい。このとき、触媒層4は、電解液の漏液を防止することもできる。集電体5としては、ステンレス製の金網などが用いられる。また、空気拡散層3は、空気中の酸素(O2)を触媒層全体に均一に供給する役割も担う。
【0041】
電解液10としては、水溶性電解液を挙げることができ、具体的には、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物の水溶液、塩化リチウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム等のアルカリ金属ハロゲン化物の水溶液、塩酸、シュウ酸、硫酸等の酸性水溶液を挙げることができる。また、水溶性電解液に、増粘剤を加え、ゲルタイプにすることもできる。増粘剤としては、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルアルコールなどを挙げることができる。
【0042】
次に、本発明の電極を有する電池として、本発明の電極を非水電解質二次電池(リチウムイオン二次電池、ナトリウムイオン二次電池など)用の電極(正極、負極)として用いる場合について、説明する。
【0043】
非水電解質二次電池は、正極、セパレータおよび負極を、積層させ、巻回することにより得られる電極群を、電池缶内に収納した後、電解質を含有する有機溶媒からなる電解液を含浸させて製造することができる。
【0044】
前記の電極群の形状としては、例えば、該電極群を前記巻回の軸に対して垂直方向に切断したときの断面が、円、楕円、長方形、角がとれたような長方形等となるような形状を挙げることができる。また、電池の形状としては、例えば、ペーパー型、コイン型、円筒型、角型などの形状を挙げることができる。
【0045】
非水電解質二次電池用正極は、正極活物質、導電剤および結着剤を含む正極合剤を正極集電体に担持させて製造される。前記導電剤としては炭素材料を用いることができ、炭素材料として黒鉛粉末、カーボンブラック、アセチレンブラックなどを挙げることができる。通常、正極合剤中の導電剤の割合は、1重量%以上30重量%以下である。ここで、ナノ複合材料は、前記の導電剤として用いることができる。
【0046】
前記結着剤としては通常は熱可塑性樹脂が用いられ、具体的には、ポリフッ化ビニリデン(以下、PVDFということがある。)、ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEということがある。)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン・フッ化ビニリデン系共重合体、六フッ化プロピレン・フッ化ビニリデン系共重合体、四フッ化エチレン・パーフルオロビニルエーテル系共重合体などが挙げられる。これらをそれぞれ単独で用いてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。結着剤のその他の例示としては、例えば、デンプン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、ニトロセルロースなどの多糖類及びその誘導体などが挙げられる。また、結着剤として、無機の微粒子、例えばコロイダルシリカなどを挙げることもできる。
【0047】
また、正極集電体としては、Al、Ni、ステンレスなどを用いることができるが、薄膜に加工しやすく、安価であるという点でAlが好ましい。正極集電体に正極合剤を担持させる方法としては、加圧成型する方法、または溶媒などを用いてペースト化し、正極集電体上に塗布し乾燥した後プレスするなどして固着する方法が挙げられる。また、必要に応じ、複数の正極活物質を正極に混合してもよい。
【0048】
正極活物質としては、ナトリウムイオン二次電池用の正極として用いる場合には、ナトリウムイオンをドープ・脱ドープ可能な材料を用いればよく、また、リチウムイオン二次電池用の正極として用いる場合には、リチウムイオンをドープ・脱ドープ可能な材料を用いればよい。
【0049】
前記ナトリウムイオンをドープ・脱ドープ可能な材料としては、NaFeO2、NaNiO2、NaCoO2、NaMnO2、NaFe1-x1x2、NaNi1-x1x2、NaCo1-x1x2、NaMn1-x1x2(M1は3価金属からなる群より選ばれる1種以上の元素であり、通常、0≦x<0.5である。)で示される化合物を挙げることができる。なかでも、Na−Fe系の複合酸化物であって、六方晶の結晶構造を有する複合酸化物を正極活物質として用いることにより、高い放電電圧を得ることができ、よりエネルギー密度の高いナトリウムイオン二次電池を得ることができる。さらに好ましくは、該複合酸化物のX線回折分析において、面間隔2.20Åのピークの強度を面間隔5.36Åのピークの強度で除した値が2以下である複合酸化物である。また、該複合酸化物は、ナトリウム化合物と鉄化合物とを含有する金属化合物混合物を、400℃以上900℃以下の温度範囲で加熱して得られ、ここで、温度上昇中の100℃未満の温度範囲においては、雰囲気を不活性雰囲気として加熱することが好ましい。
【0050】
前記リチウムイオンをドープ・脱ドープ可能な材料としては、LiNiO2、LiCoO2、Li(Ni,Co)O2、Li(Ni,Mn)O2、Li(Ni,Co,Mn)O2、LiMn24、Li2MnO3などを挙げることができる。これらを正極活物質として用いることにより、リチウムイオン二次電池を得ることができる。
【0051】
非水電解質二次電池用負極は、負極活物質、導電剤および結着剤を含む負極合剤を負極集電体に担持させて製造する。前記負極活物質および/または導電剤として、炭素材料を用いることができ、炭素材料として黒鉛粉末、カーボンブラック、アセチレンブラックなどを挙げることができる。通常、負極合剤中の導電剤の割合は、1重量%以上30重量%以下である。ここで、ナノ複合材料は、前記の負極活物質および/または導電剤として用いることができる。
【0052】
負極集電体としては、Cu、Ni、ステンレスなどを用いることができるが、特にリチウムやナトリウムと合金を作り難く、かつ薄膜に加工しやすいという点でCuが好ましい。負極集電体に負極合剤を担持させる方法としては、加圧成型する方法、または溶媒などを用いてペースト化し、負極集電体上に塗布し、乾燥した後プレスするなどして固着させる方法が挙げられる。
【0053】
前記導電剤として、さらに詳しく例示すれば、グラファイト、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、活性炭等の導電性カーボン;天然黒鉛、熱膨張黒鉛、鱗状黒鉛、膨張黒鉛等の黒鉛系導電剤;気相成長炭素繊維等の炭素繊維;アルミニウム、ニッケル、銅、銀、金、白金等の金属微粒子あるいは金属繊維;酸化ルテニウムあるいは酸化チタン等の導電性金属酸化物;ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリアセン等の導電性高分子が挙げられる。少量で効果的に導電性が向上する点で、カーボンブラック、アセチレンブラック及びケッチェンブラックが好ましい。
【0054】
結着剤としては、例えば、フッ素化合物の重合体が挙げられ、フッ素化オレフィン、テトラフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレンなどが挙げられる。結着剤のその他の例示としては、例えば、デンプン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、ニトロセルロースなどの多糖類及びその誘導体などが挙げられる。さらに結着剤としては、無機の微粒子、例えばコロイダルシリカなどを挙げることもできる。結着剤は、上記を複数種使用してもよい。負極における結着剤の配合量としては、炭素材料100重量部に対し、通常、0.5〜30重量部程度、好ましくは2〜30重量部程度である。
【0055】
前記セパレータとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂、含窒素芳香族重合体などの材質からなる、多孔質膜、不織布、織布などの形態を有する材料を用いることができる。また、これらの材質を2種以上用いたセパレータとしてもよいし、異なる材質からなる2層以上の層を積層した積層セパレータとしてもよい。積層する場合には、それぞれの層の空孔率が異なっていてもよい。積層セパレータとしては、含窒素芳香族重合体層およびポリエチレン層を積層した積層セパレータが、二次電池用セパレータとして耐熱性の面、シャットダウンの性能面で好適である。セパレータとしては、例えば特開2000−30686号公報、特開平10−324758号公報等に記載のセパレータを挙げることができる。セパレータの厚みは電池のエネルギー密度が上がり、内部抵抗が小さくなるという点で、機械的強度が保たれる限り薄くした方がよく、通常10〜200μm程度、好ましくは10〜30μm程度、より好ましくは、10〜20μm程度である。
【0056】
前記電解液において、電解質としては、リチウムイオン二次電池の場合には、例えばLiClO4、LiPF6、LiBF4、LiCF3SO3、LiN(SO2CF32、LiN(C25SO22、LiC(SO2CF33等のリチウム塩を挙げることができ、ナトリウムイオン二次電池の場合には、NaClO4、NaPF6、NaBF4、NaCF3SO3、NaN(SO2CF32、NaN(C25SO22、NaC(SO2CF33等のナトリウム塩を挙げることができる。これらは2種以上用いてもよい。
【0057】
また前記電解液において、有機溶媒としては、例えばプロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、4−トリフルオロメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、1,2−ジ(メトキシカルボニルオキシ)エタン、ビニレンカーボネート(VC)などのカーボネート類;1,2−ジメトキシエタン、1,3−ジメトキシプロパン、ペンタフルオロプロピルメチルエーテル、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルジフルオロメチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフランなどのエーテル類;ギ酸メチル、酢酸メチル、γ−ブチロラクトンなどのエステル類;アセトニトリル、ブチロニトリルなどのニトリル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類;3−メチル−2−オキサゾリドンなどのカーバメート類;スルホラン、ジメチルスルホキシド、1,3−プロパンサルトンなどの含硫黄化合物、または上記の有機溶媒にさらにフッ素置換基を導入したものを用いることができるが、通常はこれらのうちの二種以上を混合して用いる。中でもカーボネート類を含む混合溶媒が好ましく、環状カーボネートと非環状カーボネート、または環状カーボネートとエーテル類の混合溶媒がさらに好ましい。環状カーボネートと非環状カーボネートの混合溶媒としては、動作温度範囲が広く、負荷特性に優れ、かつ負極の活物質として天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛材料を用いた場合でも難分解性であるという点で、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネートおよびエチルメチルカーボネートを含む混合溶媒が好ましい。また、特に優れた安全性向上効果が得られる点で、電解質としてフッ素を含む塩およびフッ素置換基を有する有機溶媒を含む電解液を用いることが好ましい。ペンタフルオロプロピルメチルエーテル、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルジフルオロメチルエーテル等のフッ素置換基を有するエーテル類とジメチルカーボネートとを含む混合溶媒は、大電流放電特性にも優れており、さらに好ましい。
【0058】
上記の電解液の代わりに固体電解質を用いてもよい。固体電解質としては、例えばポリエチレンオキサイド系の高分子化合物、ポリオルガノシロキサン鎖もしくはポリオキシアルキレン鎖の少なくとも一種以上を含む高分子化合物などの高分子電解質を用いることができる。また、高分子に非水電解質溶液を保持させた、いわゆるゲルタイプのものを用いることもできる。また、Li2S−SiS2、Li2S−GeS2、Li2S−P25、Li2S−B23などの硫化物電解質、またはLi2S−SiS2−Li3PO4、Li2S−SiS2−Li2SO4などの硫化物を含む無機化合物電解質を用いると、安全性をより高めることができることがある。
【0059】
上述においては、ナノ複合材料を有する電極として、空気電池用電極、リチウムイオン二次電池、ナトリウムイオン二次電池に代表される非水電解質二次電池用電極の例を示しているが、他の電極の例としては、ニッケル・カドミウム二次電池、ニッケル・金属水素化物二次電池、などの水系電解液二次電池用の電極、キャパシター用の電極にも用いることができる。これらの電極は、公知の技術を用いて製造すればよい。より具体的には、水系電解液二次電池用の電極としては、特開平8−315810号公報、特開2004−014427号公報に開示されているような技術、キャパシター用の電極としては、特開2000−106327号公報に開示されているような技術を用いることにより、製造することができる。
【実施例】
【0060】
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
【0061】
実施例1
(1)ナノ複合材料の製造
2.24gの鉄粉末と7.70gのクエン酸と400mlの水で0.1Mの鉄混合液を調整し、密閉容器に入れ、卓上震盪機で7日間混合して、ナノ粒子を生成させた。混合期間中、適宜発生した水素ガスを容器から排出させ、ナノ粒子懸濁液を得た。6.10gのレゾルシノールと9.0gのホルムアルデヒドの混合溶液に、上記ナノ粒子懸濁液100mlを加え、激しく撹拌しながら30mlのアンモニア水溶液を滴下し、得られた懸濁液のpHは10.26であった。上記懸濁液をオイルバス上で80〜90℃に加熱して3.5時間熟成させ、炭素材料中間体を形成させた。炭素材料中間体をろ過により回収し、一晩オーブン中で乾燥させたのち、窒素雰囲気中、1150℃、3時間焼成して、ナノ複合材料を得た。ナノ複合材料におけるナノ粒子の径は、30nm、炭素材料の層数は60層、層の総厚みは20nmであった。ナノ粒子の径、炭素材料の層数及び総厚みは、ナノ複合材料をエタノール中で超音波分散させ、Cuスリットメッシュに適量を滴下、乾燥して試料を調製した後、透過型電子顕微鏡(商品名:JEM2200FS、日本電子株式会社製)を使用し加速電圧200kVの条件で試料を観察することにより求めた。
【0062】
(2)空気電池の作製
上記(1)で得られたナノ複合材料0.3629gを30%KOH水溶液1.2378gと混合した。この混合品を0.3239g分取し、コインセルの下蓋8にセットして、負極7として用いた。セパレータ6として濾紙(東洋濾紙製No.5C)を用い、電解液10として30%KOH水溶液を用いた。また、触媒層4として、白金担持カーボン粉末(エヌ・イーケムキャット製 SA50BK)0.0988gと結着剤(ダイキン製 F−201)0.0060gとをメノウ乳鉢で混合し、シート状に圧延して、19mmφの大きさに打ち抜いたものを用いた。空気拡散層3としてメンブランフィルター(ミリポア製GVHP04700)を、集電体5としてステンレス製金網(ニラコ製100メッシュ)を用い、空気拡散層3、触媒層4および集電体5をこの順に重ねて、一軸プレスを用いて圧着させてセットし、上蓋2を重ねて、ポリプロピレン製のガスケット9で封止して、空気電池を得た。
【0063】
(3)充放電試験
得られた空気電池について、次の条件で充電を行った。
充電条件:レストポテンシャルから1.1Vまで0.056mA/cm2でCC(コンスタントカレント:定電流)充電を行った。1サイクル目の充電容量は32mAh/gであった。)
充電の際に、負極によるデンドライトの発生は確認されなかった。また、充電された電池について、次の条件により放電を行うことにより、この空気電池は、充放電することのできる電池であることがわかる。
放電条件:0.056mA/cm2でCC(コンスタントカレント:定電流)放電を行う。
また、上記充電、放電を繰り返すことにより、放電容量のサイクル特性を確認することができる。この空気電池は充放電が可能であり、放電容量のサイクル特性、大電流放電特性に優れる。
【符号の説明】
【0064】
1・・・空気孔
2・・・上蓋
3・・・空気拡散層
4・・・触媒層
5・・・集電体
6・・・セパレータ
7・・・負極
8・・・下蓋
9・・・ガスケット
10・・・電解液

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化還元可能なナノ粒子と、該ナノ粒子を被覆する炭素材料とからなるナノ複合材料を有する電極。
【請求項2】
前記ナノ複合材料が、以下の(A)の要件を有する請求項1記載の電極。
(A)ナノ複合材料における炭素材料が層を形成している。
【請求項3】
前記ナノ複合材料が、以下の(B)、(C)および(D)の要件を有する請求項2記載の電極。
(B)炭素材料が形成する層の数が、2〜1000である。
(C)炭素材料が形成する層の総厚みが、1nm〜200nmの範囲である。
(D)ナノ粒子の径が、0.5nm〜900nmの範囲である。
【請求項4】
以下の(1)および(2)の工程をこの順で含む製造方法により得られるナノ複合材料を有する請求項1〜3のいずれかに記載の電極。
(1)酸化還元可能なナノ粒子の存在下、炭素材料前駆体を重合させ、前記ナノ粒子の表面に炭素材料中間体を形成させる工程。
(2)前記炭素材料中間体を炭化して、前記ナノ粒子を被覆する炭素材料を形成し、ナノ複合材料を製造する工程。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の電極を有する電池。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれかに記載の電極を有する空気電池。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれかに記載の電極を負極として有し、正極活物質として空気中の酸素を使用する空気電池。
【請求項8】
充放電することのできる請求項7記載の空気電池。

【図1】
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【公開番号】特開2009−259791(P2009−259791A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−62527(P2009−62527)
【出願日】平成21年3月16日(2009.3.16)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】