説明

電極におけるリチウム金属の分散

アノードおよびカソードなどの電極は、プレリチウム化されたか又は電池内に電解質を導入した際にリチウム化がなされる母材を含むことができる。母材のリチウム化は、リチウム金属と母材とを撹拌するか、リチウム金属粉末と母材との撹拌を室温より高温で行うか、リチウム金属と母材との混合物に圧力を加るか、母材を溶融リチウム金属と接触させるか、母材を含む電極上にリチウム箔もしくはリチウムのメッシュを積層するか、または電極上にリチウム金属もしくはメッシュを高温で積層するかによって行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2004年7月28日に出願された「LITHUM METAL DISPERSION IN ELECTRODES」という題名の米国特許出願と、2003年7月29日に出願された米国仮出願第60/490,685号と、2003年7月31日に出願された米国仮出願第60/491,513号の利益を要求し、これらはここに引用することで本明細書の記載の一部をなすものとする。
【0002】
本発明は、大きな比容量を有する二次電池に関し、詳しくは、母材とこの母材に分散したリチウム金属とを含む電極に関する。
【背景技術】
【0003】
リチウム電池およびリチウムイオン二次電池すなわち再充電可能な電池が、携帯電話、ビデオカメラおよびラップトップ型コンピュータなどの特定の用途において用いられていることが知られており、さらにごく最近では、より大出力の用途、例えば電気自動車およびハイブリッド型電気自動車において用いられていることが知られている。これらの用途においては、その後の再充電および放電サイクルにおいて大きな比容量が維持できるように、二次電池が考えられる最大の比容量を有するが、なお安全な操作条件および良好なサイクルアビリティを提供するものが好ましい。
【0004】
二次電池のための構築物には種々のものがあるが、それぞれの構築物は、陽極(すなわちカソード)、陰極(すなわちアノード)、カソードとアノードとを分離するセパレーターおよびカソードとアノードとを電気化学的に連絡する電解質を含む。リチウム二次電池としては、二次電池が放電する時、すなわちその具体的な用途のために用いられる時に、リチウムイオンは電解質を介してアノードからカソードに移動する。放電プロセスの間に、アノードから電子が集められ、外部回路を介してカソードに移動する。二次電池を充電または再充電する時は、リチウムイオンは電解質を介してカソードからアノードに移動する。
【0005】
歴史的には、大きな比容量を有するリチウム化されていない化合物、例えばTiS2、MoS2、MnO2およびV25をカソード活物質として用いて、リチウム二次電池を製造した。これらのカソード活物質はリチウム金属のアノードと結合した。二次電池が放電した時、リチウムイオンは電解質を介してリチウム金属アノードからカソードに移動した。残念なことに、循環の際に、リチウム金属は、電池において不安定な条件を最終的に引き起こす樹枝状結晶に成長した。結果として、1990年代の初めにはリチウムイオン電池が選択され、これらのタイプの二次電池の製造は終了した。
【0006】
典型的には、リチウムイオン電池は、炭素系のアノードに結合するカソード活物質として、リチウム金属の酸化物、例えばLiCoO2およびLiNiO2を用いている。これらの電池においては、アノード上でのリチウムの樹枝状結晶の形成が避けられ、それによって電池がより安全になる。しかしながら、その量が電池の容量を決定するリチウムの全てがカソードから供給される。このことが、カソード活物質の選択を制限している。というのは、活物質は移動可能なリチウムを含まなければならないからである。さらに、充電の間に形成される、LiCoO2およびLiNiO2に対応する脱リチウム化された生成物(例えばLixCoO2およびLixNiO2であり、ここで0.4<x<1.0)、ならびに過充電で形成されるもの(すなわちLixCoO2およびLixNiO2であり、ここでx<0.4)は安定なものではない。特に、これらの脱リチウム化された生成物は電解質と反応する傾向および発熱する傾向があり、このことによって安全上の懸念が生じる。
【0007】
さらに、新しいリチウムイオン電池すなわち電池は、当初は放電状態にある。リチウムイオン電池を最初に充電する間に、リチウムが電極間、例えばLiCoO2またはLiNiO2などのカソード材料から黒鉛などのアノード材料に移動する。カソードからアノードに移動するリチウムは電池中の電解質と反応し、アノード上に保護膜を形成させる。アノード上に形成するこの保護膜が、固体電解質界面すなわちSEIである。SEIの形成によって消費されるリチウムは、その後の放電の際にはカソードに戻らない。この結果、初期の充電容量よりも容量の小さいリチウムイオン電池となる。というのは、リチウムのいくらかがSEIの形成によって消費されるからである。利用可能なリチウムの消費によって、リチウムイオン電池の容量が低減する。この現象は不可逆容量と呼ばれており、リチウムイオン電池の容量の約10%〜20%が消費されることが知られている。このようにして、リチウムイオン電池の初充電の後、リチウムイオン電池はその容量の約10%〜20%を失う。
【発明の開示】
【0008】
本発明は、電気化学システムにおけるリチウムの吸収と脱離に関し、特にこのようなシステムと共に用いるための電極に関する。本発明はさらに、リチウム金属を有する電極を含む電池または電気化学セルに関し、ここで、このリチウム金属は、電気化学システムにおけるリチウムの吸収と脱離が可能な母材において分散している。本発明の実施形態に従うところの電極を用いる電池および/または電気化学セルは、大きな比容量、良好なサイクルアビリティおよび改善された操作安全性を発揮することができる。
【0009】
「電池」という用語は、一つの電気化学セルすなわちユニセルおよび/または当業者が知るような直列でおよび/または並列で結合された一つまたは複数の電気化学セルを意味および包含してもよいことが、本発明の目的のために理解される。さらに、「電池」という用語は、再充電可能な電池および/または二次電池および/または電気化学セルを包含するが、これらに限定されるわけではない。
【0010】
本発明の実施形態に従うところの電池は、活物質を含む陽極(カソード)、電気化学システムにおいてリチウムの吸収と脱離が可能な母材を含む陰極(アノード)、およびこの母材において分散したリチウム金属、カソードとアノードとを分離するセパレーター、ならびにカソードとアノードとを連絡する電解質を含むことができる。カソード活物質は、リチウムに対して2.0V〜5.0Vの電気化学ポテンシャルにてリチウム化され得る化合物であることが好ましい。例えば、カソード活物質は、マンガン、バナジウム、チタンまたはモリブデンに基づくものであり得、例えば、MnO2、V25、V613、LiV38、MoO3、TiS2もしくはMoS2またはその混合物である。カソード活物質としては、リチウム粉末などのリチウム金属を挙げることができ、MnO2、V25、V613、LiV38、MoO3、TiS2もしくはMoS2またはその混合物などのリチウム化可能なカソード活物質が組み込まれる。アノードの母材には、炭素系材料、Si、炭素中にケイ素が分散したものなどのケイ素含有材料、酸化ケイ素、Sn、酸化スズ、スズ合金と合金の複合体、遷移金属の酸化物、リチウム金属の窒化物およびリチウム金属の酸化物からなる群より選択される一つ以上の材料が含まれ得る。アノード母材としては、炭素系材料を含むものが好ましく、黒鉛を含むものがより好ましい。母材において分散したリチウム金属の少なくとも一部が微細なリチウム粉末であることが好ましく、その他の実施形態においては、微細なリチウム粉末は約20ミクロン未満の平均粒子サイズを有する。アノードにおいて分散したリチウム金属の量は、アノードにおける母材に挿入する、母材と合金化する、および/または母材によって吸収されるのに十分な量の最大量を超えないことが好ましい。例えば、母材が炭素である場合、母材において分散したリチウムの量が、LiC6を形成するのに必要な量を超えないことが好ましい。しかしながら、電極またはアノードの形成前に、更なるリチウムを母材に分散させることができ、それによって母材のプレリチウム化を促進することができる。電解質およびセパレーターは、別個の材料、例えば多孔性セパレーターおよび流動性の電解質であってもよく、または単一の構造もしくは材料、例えばセパレーターおよび電解質の両方の機能を果たすゲル状ポリマーを含んでもよい。
【0011】
本発明の実施形態には、母材に、電気化学システムにおいてリチウムの吸収と脱離を可能にさせる工程、母材にリチウム金属を分散させる工程、およびリチウム金属とその中に分散した母材とで電極、例えばアノードを形成する工程を含む、電池のための電極を作製する方法も挙げられる。いくつかの実施形態においては、母材をリチウム金属粉末と混合することによって母材をプレリチウム化することができ、それによって、混合によっておよび/または熱および/または圧力を利用することによる母材のリチウム化を促進する。リチウム金属および母材を、バインダーポリマーおよび少なくとも一種の溶媒と混合してスラリーを製造することが好ましい。このスラリーをカレントコレクタに添加し、乾燥させて電極を形成させる。あるいは、リチウム金属の非水性液体での懸濁液に母材を浸漬する工程、次いでその母材を電極に形成する工程による化学的な手段によって、電極を形成することができる。
【0012】
本発明のその他の実施形態においては、電極に形成して用いる前に、母材を溶融リチウム金属中でリチウム化することができる。母材を、リチウム化がなされる溶融リチウム金属に分散させる。リチウム化された固体の母材を、この溶融リチウム金属から分離することができ、そして本発明の実施形態に従って用いて電極に形成する。
【0013】
本発明のその他の実施形態に従えば、リチウム金属粉末が、電極を形成するために用いる母材の範囲に必ずしも含まれるわけではない。リチウム箔またはリチウムのメッシュを、既に組み立てられた電極に積層、アニーリングまたはその他の取り付けもしくは埋め込むことによって、リチウム化および脱リチウム化が可能な電極を形成することができる。リチウム金属の箔またはメッシュに取り付ける前の電極は、リチウム金属を含んでいてもよく、または含んでいなくてもよい。
【0014】
本発明は、電池を操作する方法をさらに含む。本発明のいくつかの実施形態に従うところの電池は、充電された状態で提供される。この電池は、電池に存在する移動可能なリチウムの全てが電池のアノードに存在するという、完全に充電された状態であることが好ましい。リチウムイオンが電解質または電解質/セパレーターの組み合わせを介してアノードからカソードに送られることによって、この電池は放電する。リチウムイオンが電解質を介してカソードからアノードに送られることによって、この電池を充電または再充電することができ、次いで、リチウムイオンがアノードからカソードに送られることによって、再度放電が行われる。カソード活物質の大きな比容量を維持し、安全な操作条件を維持すると同時に、多数回サイクルさせるための充電工程および放電工程が生じてもよい。
【0015】
その他の実施形態においては、従来のリチウムイオン電池と共に知られているような充電されていない状態で、電池を提供することができる。リチウム金属をアノードおよびカソードに付与することができる。例えば、従来のリチウムイオン電池のアノードを、リチウムおよび/または本発明の実施形態に従うところの部分的にもしくは完全にリチウム化された母材を含むアノードで置換することができる。電池内に電解質を導入することによって、アノードにおける電解質とリチウム金属との間の反応が促進されて、固体電解質界面(SEI)がアノードで形成される。最初に電池を充電することによって、SEIの形成を加速させることができる。カソードからのリチウムのSEIでの消費によって引き起こされる不可逆容量の損失に起因する電池における容量損失を、アノードにおけるリチウム金属からSEIを形成することによって、低減および/または解消することができる。
【0016】
本発明のこれらのおよびその他の特徴は、本発明の好ましい実施形態および補助的な実施形態の両方を記述する次の詳細な説明および添付の図面を考慮することによって、当業者にはより簡単に明らかとなるだろう。
【0017】
添付の図面を参照して以下の本発明の説明を読むことで、本発明をより容易に確認することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図面および次の詳細な説明においては、本発明の実施形態を、本発明を実施できるように詳細に説明する。本発明はこれらの具体的な実施形態を参照して説明されるが、本発明がこれらの実施形態に限定されるわけではないことは理解される。本発明は、次の詳細な説明および添付の図面を考慮することから自明となるような多数の代替物、改変物および均等物を含む。
【0019】
図1に示すように、本発明の実施形態は、陽極すなわちカソード12と、陰極すなわちアノード14と、材料16とを含む電池10に関する。材料16は、カソード12とアノード14とを分離するためのセパレーターを含んでもよい。材料16はさらに、カソード12とアノード14とを電気化学的に連絡する電解質を含んでもよい。電池10はさらに、カソード12と電気的に連絡するカレントコレクタ(集電体)20、およびアノード14と電気的に連絡するカレントコレクタ22を含む。カレントコレクタ20および22は、外部回路(図示省略)を介して相互に電気的に連絡してもよい。電池10は、当分野において公知の任意の構築物、例えば、「ゼリーロール」が積層した構築物などを有してもよい。本発明の種々の実施形態は、アノードおよびカソードに関連して説明するが、本発明の実施形態が一般的な電極に適用され、アノードまたはカソードのいずれか一方には制限されないことが理解される。
【0020】
カソード12は活物質から形成され、この活物質は通常、炭素系材料およびバインダーポリマーと結合している。カソード12の活物質は、都合の良い電位差(例えばリチウムに対して2.0V〜5.0V)でリチウム化および/または脱リチウム化され得る材料であることが好ましい。リチウム化されていない材料としては、マンガン、バナジウム、チタンまたはモリブデンに基づくものが好ましく、例えば、MnO2、V25、V613、MoO3、TiS2もしくはMoS2またはその混合物を、活物質として用いることができる。MnO2をカソード活物質として用いることがより好ましい。しかしながら、リチウム化された材料、例えばLiMn24またはLiV38を用いてカソード12を形成することもできる。さらに、活物質が、リチウムと混合した材料であってもよい。例えば、活物質をリチウム粉末と混合することができる。
【0021】
リチウム化されていない活物質は、カソード12の活物質として好ましい。というのは、これらは一般的に、リチウム化された活物質よりも大きな比容量を有し、リチウム化された活物質を含む電池よりも大きな出力を供給することができるからである。さらに、アノード14はリチウムを含むので、操作する電池10のために、リチウム化された材料をカソード12が含む必要はない。カソード12によって供給される活物質の量は、アノード14に存在する移動可能なリチウムを受け入れるのに十分な量であることが好ましい。例えば、MnO2がカソード12の活物質である場合、アノード14における1モルのリチウムあたり、カソード12において1モルのMnO2が存在することが好ましく、放電の際にカソード12においてLiMnO2が生産される。
【0022】
電池において循環する移動可能なリチウムをアノード14によって供給することができ、完全に充電された状態でこの電池を組み立てるかまたは作製することができる。完全に充電された状態で電池を作製することによって、カソード12を形成するためにリチウム化され得る、リチウム化されていない活物質を利用することが可能となる。その他の実施形態においては、リチウム粉末を、カソード12を形成するためにリチウム化され得る、リチウム化されていない活物質と混合することができ、それによって、電池において放電されたカソードが提供される。それにも関わらず、カソード12は、2.0V〜5.0Vの間の電圧ではリチウムをさらに吸収できない、リチウム化された一つ以上の活物質(例えばLiCoO2またはLiNiO2)を微量含むこともでき、最初に充電された状態のままでこの電池を提供することができる。カソード12は、リチウム金属(例えばリチウム粉末)を含んでもよい。カソードは、活物質としてのリチウム化された材料(例えばLiCoO2、LiNiO2またはリチウム粉末)を50%(モル濃度)未満有することが好ましく、10%(モル濃度)未満有することがより好ましい。2.0Vを超える状態では、LiCoO2およびLiNiO2はリチウムをさらに吸収できないので、カソード12においてこれらの材料が存在することで、アノード14から、移動可能なリチウムを受け入れるのに必要なカソードの活物質の量が減少することはない。
【0023】
母材に分散したリチウム金属26と共に、電気化学システムにおいてリチウムの吸収と脱離が可能な母材24から、アノード14を形成することができる。例えば、アノード14に存在するリチウムは、電池(特にアノード14)を再充電した時に、母材24に挿入したり、合金化したりまたは吸収されることができる。母材24としては、電気化学システムにおいてリチウムの吸収と脱離が可能な材料が挙げられ、例えば、炭素系材料;Si、Sn、酸化スズを含む材料またはスズ合金と合金の複合体;CoOなどの遷移金属の酸化物;Li3-xCoxNであって、0<x<0.5であるものなどのリチウム金属の窒化物、ならびにLi4Ti512などのリチウム金属の酸化物がある。母材24としては、黒鉛を含むものが好ましい。さらに、母材24は、導電性物質としてカーボンブラックを少量(例えば5重量%未満)含んでもよい。リチウム金属26は、微細なリチウム粉末として、アノード14に供給されることが好ましい。リチウム金属26の平均粒子サイズは、約20ミクロン未満であることがより好ましく、約10ミクロン未満であることがさらに好ましいが、より大きな粒子サイズのものを用いることもできる。自然発火性の粉末として、または例えばCO2でリチウム金属粉末を処理することで安定化させた自然発火性が小さい粉末として、リチウム金属を供給することができる。
【0024】
アノード14は、リチウム金属に比べて0.0Vよりも大きく1.5V以下の電気化学ポテンシャルにおいて、リチウム化および脱リチウム化を可逆的に実施する能力を有する。電気化学ポテンシャルがリチウムに対して0.0V以下である場合、充電の間に、リチウム金属がアノード14に再度入ることはないだろう。あるいは、電気化学ポテンシャルがリチウムに対して1.5を超える場合、電池の電圧は不適切に低下するだろう。アノード14において存在するリチウム金属26の量としては、電池を再充電した時に、アノード14における母材24に挿入する、それと合金化する、またはそれによって吸収されるのに十分な量の最大量を超えないことが好ましい。例えば、母材24が黒鉛である場合、リチウム26の量はLiC6が形成されるのに十分な量を超えないことが好ましい。換言すれば、アノードにおける炭素に対するリチウムのモル比が1:6を超えないことが好ましい。しかしながら、その他の実施形態においては、炭素または母材24に対するリチウムの総割合が1:6を超えるように、アノード14における母材24をプレリチウム化させることができる。
【0025】
本発明の実施形態に従えば、電気化学システムにおけるリチウムの吸収と脱離が可能な母材24を提供する工程、リチウム金属26を母材24に分散させる工程、および母材24とその中に分散したリチウム金属26とでアノード14を形成する工程によって、アノード14を作製することができる。アノード14の形成前に、母材24をプレリチウム化することもできる。リチウム金属26および母材24を、非水性液体およびバインダーと混合し、スラリーを形成することが好ましい。次いで、例えば、カレントコレクタ22をこのスラリーでコーティングし、次いでこのスラリーを乾燥させることによって、このスラリーを用いてアノード14を形成する。
【0026】
本発明の実施形態に従って、リチウム金属粉末、母材の微粒子、バインダーポリマーおよび溶媒を混合してスラリーを形成することによって、アノード14またはその他のタイプの電極の形成が実施できる。カレントコレクタ上でスラリーをコーティングし、乾燥させてアノード14を形成することができる。例えば、リチウム金属粉末を、母材の微粒子、例えばメソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、黒鉛、カーボンブラックまたはその他のリチウムイオンのアノード材料と混合して、混合物を形成することができる。バインダーポリマーおよび溶媒をこの混合物と混合して、所望のスラリーを形成することができる。アノード14を形成するために、銅の箔またはメッシュなどのカレントコレクタ上でスラリーをコーティングして乾燥させる。カレントコレクタ上で乾燥したスラリー、これらは互いに電極を形成する、を圧縮してアノード14の形成を終了する。乾燥後に電極を圧縮することによって、活物質がアノード14の体積に適合できるように、電極の密度を高める。電極を圧縮することは通常、二つのローラー間の間隔が半固定された、一対の磨かれたローラーまたはこのローラーの複数の対が一組となったものに電極を通過させること、または別の圧縮技術を用いることを含む。圧力を半固定して圧縮を行うことができる。乾燥スラリーとカレントコレクタとを組み合わせることによって、アノード14が提供される。
【0027】
本発明のいくつかの実施形態においては、母材24をプレリチウム化することが望ましいであろう。本発明の目的のため、「プレリチウム化」(prelithiate and/or prelithiating)という用語は、母材24に関して用いられる場合、母材が電解質と接触する前に母材24をリチウム化することを意味する。母材のプレリチウム化によって、母材のリチウム化と同時に生じる不可逆反応であって、電極中のリチウム金属粉末粒子と電解質との間の不可逆反応よって引き起こされる、電池における不可逆容量の損失を低減することができる。
【0028】
母材24をリチウム金属と接触させることによって、本発明の実施形態に従うところの母材24のプレリチウム化を行うことが好ましい。例えば、母材24を、乾燥リチウム金属粉末または流動体もしくは溶液に懸濁させたリチウム金属粉末と接触させることができる。リチウム金属粉末と母材24とを接触させることによって母材をリチウム化し、それによって母材24をプレリチウム化する。
【0029】
いくつかの実施形態においては、母材24の少なくとも一部がリチウム金属粉末の少なくとも一部と接触するように、母材24と乾燥リチウム金属粉末とを混合する。激しい撹拌またはその他の撹拌を利用して、母材24とリチウム金属粉末との間の接触を促進することができる。リチウム金属粉末と母材24との間に接触が生じる結果、母材24が部分的にリチウム化し、プレリチウム化された母材24が作り出される。
【0030】
母材24のプレリチウム化を室温で実施することができる。しかしながら、本発明の種々の実施形態においては、母材24のプレリチウム化を約40℃を超える温度で実施する。室温を超える温度または約40℃を超える温度でプレリチウム化を実施することによって、リチウム金属粉末と母材24との間の相互作用および/または拡散が増大し、所与の時間内にリチウム化し得る母材24の量が増加する。
【0031】
室温を超える温度でさらされると、リチウム金属粉末がより軟化するおよび/または展性がより高くなる。別の物質と混合すると、より軟化したリチウム金属粉末がそれと混合した物質とさらに接触することになる。例えば、リチウム金属粉末と、撹拌された母材24との混合物の間の室温での相互作用および/または拡散は、混合物の温度が室温よりも高い場合と比べて、より小さい。リチウム金属粉末と反応性化学種、例えば母材24との間の接触が増加することによって、反応性化学種がリチウム化する量が増加する。従って、リチウム金属粉末と母材24との混合物の温度が上昇することによって、二つの物質間の相互作用および/または拡散が増大し、このことは、母材24のリチウム化も増加させる。
【0032】
本発明の特定の実施形態においては、リチウム金属粉末と母材24との混合物の温度が上昇して、母材24のリチウム化が促進される。混合物の温度をリチウムの融点以下に維持することが好ましい。温度が上昇することによってリチウム化が促進されるが、リチウム金属から形成される粉末は、このようなリチウム化反応にとって好ましい。例えば、リチウム金属粉末と母材24との混合物の温度を約180℃以下に高めて、母材24のリチウム化を促進することができる。リチウム金属粉末と母材24との混合物の温度を約40℃〜約150℃の間に高めることがより好ましく、これによって母材24のリチウム化を促進することができる。このような方式で母材24をリチウム化すると、プレリチウム化された母材24が結果としてもたらされる。
【0033】
その他の実施形態においては、リチウム金属粉末を含む溶液に母材24を導入する。この溶液は、例えば、鉱物油および/またはその他の溶媒、または好ましくは、溶液中で不活性すなわちリチウム金属粉末と反応しない液体を含むことができる。溶液と混合する場合、母材24とリチウム金属粉末との間の接触が促進されるような方法でその溶液を撹拌することが好ましい。母材24とリチウム金属粉末との間の接触によって母材24のリチウム化が促進され、その結果、電極を形成することに用いることができるプレリチウム化された母材24となる。
【0034】
本発明のその他の実施形態においては、リチウム金属粉末以外の供給源から電極内にリチウムを導入する。溶融リチウム金属中で母材24をリチウム化することができる。粉末化母材24すなわち母材24の粒子を溶融リチウム金属に添加することによって母材24とリチウム金属との間の接触が促進され、母材24のリチウム化がもたらされる。母材24と溶融リチウム金属混合物との撹拌によって、母材24のリチウム化がさらに促進される。得られたリチウム化母材24は、溶融リチウム金属から分離することができる固体であり、本明細書に記載されたこれらのプロセスと類似のプロセスを用いて電極を組み立てることに用いられる。
【0035】
例えば、溶融リチウム金属が粉末化黒鉛に実質的にしみ込むように、粉末化黒鉛を溶融リチウム金属と混合することができる。粉末化黒鉛と溶融リチウム金属との間の接触によって、結果的に粉末化黒鉛が部分的にリチウム化する。さらに、粉末化黒鉛と溶融リチウム金属との混合物を撹拌することによって粉末化黒鉛と溶融リチウム金属との間の接触が促進され、その結果、粉末化黒鉛がリチウム化する。液体から固体を除去するための公知の方法を用いて、例えばろ過、ハイドロサイクロン分離などによって、溶融リチウム金属から、リチウム化された固体の黒鉛粒子を除去することができる。得られた生成物は、リチウム化された、粉末化黒鉛材料であり、この材料はアノードおよびカソードなどの電極の組み立てに用いることができる。
【0036】
溶融リチウム金属から母材のリチウム化が生じるところのこれらの実施形態においては、本発明の電極の形成プロセスを用いて、リチウム化された、粉末化母材24を電極に形成することができる。電解質の選択によって左右される、リチウム化された母材と電解質との間の初期のパッシベーション反応が生じない限り、リチウム化された粉末化母材24を用いる場合、電極において更なるリチウム粉末を要求することは必須ではないだろう。従って、リチウム化された粉末化母材24を、本発明の種々の実施形態における母材24およびリチウム金属粉末の代わりに用いることができる。リチウム化された粉末化母材24から電極を形成する場合には更なるリチウム金属粉末は必要ではないが、必要に応じて、リチウム金属粉末を添加してもよく、例えば、リチウム化された母材と電解質との間の初期のパッシベーション反応の間に失われ得るあらゆるリチウムを補填してもよい。
【0037】
本発明の実施形態に従えば、プレリチウム化された母材24から電極を形成することができる。本明細書に記載された混合物または溶液から回収されるプレリチウム化された母材24を分離して、電極の形成に用いることができる。あるいは、プレリチウム化された母材24の一部を含有する混合物または溶液を用いて、プレリチウム化された母材24を分離することなく電極を形成することができる。
【0038】
母材24内のプレリチウム化物の量を、母材24がその中で用いられる特定の用途に合わせて調整することができる。プレリチウム化された母材24は、0パーセント〜100パーセントの間のパーセンテージのプレリチウム化物を含むことができる。換言すれば、母材24を完全にリチウム化または少なくとも部分的にリチウム化することができる。本発明の実施形態に従って形成される電極は、プレリチウム化された母材24を含むことが好ましい。
【0039】
本発明の実施形態に従って、プレリチウム化された母材24を用いて電極を形成することに必要なリチウムの量は、母材24内に生じたプレリチウム化物の量に応じて変化してもよい。母材24内のプレリチウム化物の量が増えるほど、電極に必要なリチウムは減少する。例えば、リチウム化するだろう母材24の90パーセントがリチウム化されるように、アノードの母材24をプレリチウム化すると、アノードの形成に必要なリチウムの量をより少なくすることができる。
【0040】
圧力を利用して、母材24のプレリチウム化を達成することもできる。リチウム金属粉末と母材24との混合物に圧力を加えることによって、リチウム金属粉末と母材24との間の接触が増加し、それによって母材24のリチウム化が促進される。
【0041】
本発明の実施形態に従えば、リチウム金属粉末と母材24との混合物を圧縮して、リチウム金属粉末と母材24との間の接触を促進する。物質または化合物に圧力を加えるための種々の方法を利用して、混合物を圧縮することができる。圧力に起因する接触が増加することによって、母材24のリチウム化が促進される。
【0042】
本発明のその他の実施形態においては、リチウム金属粉末と母材24との混合物に圧力を加えて母材24のリチウム化を促進する。例えば、プレカット機能が組み合わさったカレンダリングおよび/または金型を用いることによって、またはその他の任意の方法によって、圧力を加えることができる。この方法の選択は、当業者の範囲内のことである。
【0043】
本発明の実施形態に従えば、母材であるリチウム金属粉末および黒鉛を混合し、圧縮して混合物が何らかの変化を被るかどうかを測定した。これらの実験において、圧縮後の混合物は色の変化を示した。色の変化は黒鉛すなわち母材24がリチウム化されたことを示す。例えば、リチウム金属粉末と黒鉛との混合物の色は、黒色から青銅色に変化した。圧縮された材料の青銅色は、リチウム化された黒鉛と同じ色を示す。
【0044】
その他の物質を、圧縮または圧力の添加前に、リチウム金属粉末および母材24と混合することもできる。圧縮または圧力の添加によって母材24をリチウム化することは、このような材料が存在することによって影響されるか、または影響されないかもしれない。例えば、リチウム金属26および母材24を、圧縮または圧力の添加前に、バインダーポリマーおよび/または導電性物質と混合することができる。この混合物に圧力を添加することによって、母材24をリチウム化する。しかしながら、スラリーの任意の溶媒の添加前に、すなわちリチウム金属粉末、母材24およびその他の構成成分のスラリーを形成する前に、圧縮または圧力の添加を行うことが好ましい。
【0045】
電極の形成の間の圧縮プロセスの結果として、母材24のプレリチウム化が生じ得ることが分かった。乾燥スラリーとカレントコレクタとを組み合わせたものを圧縮することで、乾燥スラリー中での母材24のリチウム化が開始する。圧縮によって生じる圧力によって、乾燥スラリー中でのリチウム金属粉末と母材との間の接触が促進され、その結果、母材24がリチウム化する。圧縮によって引き起こされる母材24のリチウム化の結果、乾燥した被膜内に空間が存在することも分かった。この空間は、母材24とリチウム化する時にリチウムから放たれる空間などのリチウム化反応の副生成物のように見える。しかしながら、電極内に空間の存在が多過ぎることは望ましくない。というのは、電極の密度およびそれに関する電池のエネルギー密度が低下するからである。
【0046】
乾燥スラリーの圧縮の間に生じる、リチウム化によって引き起こされる空間を、圧縮された乾燥スラリーを二回目の圧縮プロセスに付すことによって低減または解消することができる。本発明の種々の実施形態に従えば、圧縮した乾燥スラリーとカレントコレクタとを組み合わせたものを、二回目の圧縮の間に再圧縮して、最初の圧縮によって引き起こされる任意の空間を解消するかまたは低減する。さらに、二回目の圧縮によって乾燥スラリーをコンパクト化し、圧縮した乾燥スラリーの密度を高める。乾燥スラリーの密度を高めることによって、乾燥スラリーとカレントコレクタとを組み合わせたものから形成される電極および/または電池の体積エネルギー密度が高まる。電池にとっては、体積エネルギー密度および重量エネルギー密度の両方が重要である。自動車におけるものなどの大型の電池にとっては重量エネルギー密度がより重要である一方、携帯電話におけるものなどの小型の電池にとっては体積エネルギー密度がより重要である。
【0047】
例えば、黒鉛の母材およびリチウム金属粉末を含むスラリーを、カレントコレクタに添加することができる。乾燥後、その乾燥スラリーを圧縮プロセスに付す。この圧縮プロセスによって、乾燥スラリー中の黒鉛のリチウム化が促進される。黒鉛がリチウム化される結果、乾燥スラリー内に空間が形成されることとなる。乾燥スラリーとカレントコレクタとを組み合わせたものを二回目に圧縮することによって、圧縮した乾燥スラリーでの空間の体積が低減し、乾燥スラリーの密度が高まる。得られた乾燥スラリーとカレントコレクタとを組み合わせたものを用いて、プレリチウム化された母材24を有する電極を形成することができる。
【0048】
本発明のその他の実施形態においては、カレントコレクタに添加される乾燥スラリーを複数回の圧縮に付することができ、その結果、乾燥スラリーでの母材24のリチウム化を促進し、このようなリチウム化による空間の体積を低減する。複数回の圧縮によって、乾燥スラリーとカレントコレクタとを組み合わせたものの密度も高まり、これによって乾燥スラリーとカレントコレクタとを組み合わせたものから形成される電極の体積エネルギー密度が上昇する。
【0049】
本発明のその他の実施形態においては、圧縮プロセスの温度を高くすることによって、圧縮される乾燥スラリーでの母材のリチウム化を促進する。乾燥スラリーの圧縮、または圧力の添加による乾燥スラリーでの母材のリチウム化は、室温では遅い。圧縮の間に乾燥スラリーでの母材のリチウム化を加速させるためには、圧縮プロセスの温度を高くすればよい。
【0050】
圧縮プロセスの間の温度を高くすることで、乾燥スラリーにおけるリチウム金属粉末が軟化し、それによってリチウム金属粉末の母材24との接触を増加させると考えられる。リチウム金属粉末と母材24との間の接触が増加することによって、母材24のリチウム化が促進される。圧縮プロセスの温度が高まるにつれて、母材24のリチウム化も増加する。
【0051】
さらに、圧縮プロセスの温度の上昇によって引き起こされるリチウム化の加速は、圧縮される乾燥スラリーにおける空間の体積を低減させることに役立つ。リチウム化は乾燥スラリー内で生じるので、空間が現れる。圧縮プロセスにおける温度の上昇によって引き起こされるリチウム化の加速は、圧縮の間の所与の時間内で、乾燥スラリー中で形成される空間の量すなわち体積を増加させる。しかしながら、リチウム化が起こる時に乾燥スラリーに加えられる圧力によって、空間は低減するかまたは解消される。空間の低減によって、乾燥スラリーの密度は高くなる。
【0052】
高温で圧縮された乾燥スラリーは、室温で同じ時間圧縮された乾燥スラリーと比較して、乾燥スラリーにおいてより多くの母材24がリチウム化されていることを示す。さらに、高温で圧縮された乾燥スラリーは、リチウム化がより速くなされることによる空間の生成量の増加と、圧縮プロセスの圧力による空間の低減とに起因する、さらなる高密度化を示す。
【0053】
本発明のその他の実施形態においては、リチウム金属の箔、メッシュまたはその他の断片を母材を有する電極に積層することによって、リチウム金属粉末を添加することなく、リチウム化された母材を有する電極を形成することができる。リチウム金属を電極に積層することによって、電極においてリチウム金属と母材との間の接触が生じる。この接触の結果、特に電解質が電池に用いられる材料と接触すると、母材がリチウム化される。
【0054】
例えば、黒鉛などの母材を含む電極410を図4に図示する。リチウム金属箔420の層を少なくとも一部の電極410上に形成する電極410に、リチウム金属箔420を積層する。リチウム金属箔420と母材との間の接触の結果、特に電解質を導入すると、母材の少なくとも一部がリチウム化する。
【0055】
リチウム金属箔420を電極410に圧縮することによって、電極410にリチウム金属箔420を積層することを達成できる。リチウム金属箔はかなり軟らかいので、室温以上の温度で積層プロセスを実施することができる。積層の温度が室温より高いところのこれらの例においては、電極410における母材のリチウム化が積層プロセスそのものの間に生じる可能性があり、加速される可能性さえある。温度がより高くなるとリチウム金属箔420が軟化し、これによってリチウム金属箔420と母材との間の接触量が増加すると考えられている。より高い温度での接触の増加とリチウムの拡散速度の上昇によって、母材でのリチウム化が増加する。リチウム金属箔420を電極410に積層することができる温度の範囲は約10℃〜約150℃の間であり、約30℃〜約120℃の間が好ましい。
【0056】
リチウム金属箔420を積層する電極410は、プレリチウム化された母材を含んでもよく、含まなくてもよい。積層プロセスを介して、リチウム化されていない母材を有する電極410における母材をリチウム化することができる。同様に、本明細書に記載された積層プロセスを用いて、少なくともいくつかのリチウム化された母材を含む電極410における母材を、さらにリチウム化することができる。
【0057】
本発明のその他の実施形態においては、図5において図示されるように、リチウムのメッシュ430を、既に組み立てられた電極410に付加することができる。リチウムのメッシュ430を付加することは、リチウム金属箔420を電極410に積層することと似ている。リチウムのメッシュ430を電極410上に圧縮したり、さもなければ電極410に積層することができる。リチウム金属のメッシュ430におけるリチウム金属と電極410の母材との間の接触によって、リチウムのメッシュが母材と接触するところの母材のリチウム化が開始される。室温以上の温度、例えば約10℃〜約150℃で、リチウムのメッシュ430を電極410の積層または付加を行うことができる。
【0058】
リチウム金属のメッシュ430と電極410の母材との間の接触によって母材のリチウム化が開始されるが、リチウム化は必須ではない。そこに取り付けられたリチウム金属のメッシュ430を有する電極410を用いて電池を形成する間に、電解質がリチウム金属のメッシュ430と接触し、リチウム金属のメッシュ430を通過して電極410に至る。電極中の母材とリチウムのメッシュとの両者と連絡する電解質によって、リチウム金属のメッシュ430と母材との間をリチウムイオンが移動するための経路が完成し、これによって電極410における母材のリチウム化が促進される。
【0059】
リチウムのメッシュ430の形状およびサイズは、本発明を制限するものではない。さらに、その他のリチウム金属の断片を、本発明のリチウム金属箔420もしくはリチウムのメッシュ430の代替物として、またはそれらと組み合わせて用いることができることが理解される。本発明の実施形態に従ってリチウム金属の断片を電極410に積層することを、リチウムを母材を含む製造前の電極に導入することに利用することができる。電解質の導入の間などの積層の間または後に、導入されたリチウムからの母材のリチウム化が生じ得る。
【0060】
本発明のさらに他の実施形態においては、標準的な薄膜技術、例えば熱蒸発、電子ビーム蒸発、スパッタリングおよびレーザアブレーションを利用して、リチウムの薄層を製造前の電極表面に付着させることができる。付着プロセスの間に、真空を利用して、原子のリチウムと、水、酸素および窒素などのリチウム反応性物質の分子との間の反応を回避する。好ましくは、1ミリTorr(10E−03Torr)より大きい真空が望ましい。電子ビームによる付着を用いる場合、10E−04Torrの真空が望ましく、10E−06Torrの真空が、電子ビームとあらゆる残余の空気分子との相互作用を回避するためには好ましい。
【0061】
本発明の実施形態に従うところの蒸着技術は、リチウム金属を加熱してリチウム蒸気を生じさせることを含む。電子ビームによって、またはリチウム金属上もしくは周囲の電流の抵抗性によって、リチウム金属を加熱することができる。リチウム蒸気によって、リチウムが製造前の電極などの担体上に付着する。リチウム金属の付着を促進するために、この担体を冷却するかまたはリチウム蒸気の温度よりも低い温度を維持すればよい。水晶型モニターなどの膜厚モニターをその担体の近傍に設置し、付着した膜の厚さを監視することができる。モニターとしては、所望の付着厚に達した時にリチウム蒸気の生成をコントロールすることによってリチウムの付着速度をコントロールすることができるフィードバックループに結合することが可能なものであって、受動的なものまたは能動的なものがよい。
【0062】
レーザアブレーション技術およびスパッタリング技術を利用して、製造前の電極上のリチウムの薄膜の成長を促進することができる。例えば、アルゴンイオンをスパッタリングプロセスに用いて、固体のリチウム金属のターゲットに衝突させることができる。衝突によってターゲットのリチウムを叩き落し、担体の表面上にリチウムを付着させる。レーザアブレーションのプロセスを利用して、リチウムのターゲットのリチウムを叩き落すことができる。次いで、分離されたリチウムが製造前の電極などの担体上に付着する。
【0063】
付着プロセスを利用してリチウム膜を形成した後、適切なガス、例えば二酸化炭素をリチウムが積層した電極と接触させて、リチウム層上に保護層を形成することができる。このことによって、積層した電極を真空環境外で取り扱うことが容易になる。
【0064】
その他の実施形態においては、製造前の電極上に付着するリチウム金属が所望のパターンで付着するように、リチウム付着の間に、製造前の電極をマスクすることができる。あるいは、連続的に形成される膜に、孔または開口部を付着後に押し付けてもよいだろう。これによって、電解質が電極内を通過することが可能となり、電極における母材のリチウム化が促進される。
【0065】
本発明の実施形態で用いられるバインダーポリマーは、アノード14でのリチウムと反応しないことが十分なバインダーポリマーを含む。アノード14の形成プロセスの間のリチウムの安定性を維持することができ、かつ安定的なアノード14を提供することができるバインダーポリマーが好ましい。さらに、アノード14製造プロセスにおいて用いられる温度で、選択された溶媒または共溶媒に溶解するバインダーポリマーが好ましい。本発明の実施形態で用いることができる、バインダーポリマーのいくつかの好ましい例としては、ポリフッ化ビニリデン、エチレン・プロピレン・ジエンのターポリマー、エチレン・プロピレン・ジエンのモノマー、エチレン・アクリル酸、エチレン・酢酸ビニルおよびスチレンブタジエンゴムが挙げられる。
【0066】
本発明の実施形態で用いられる溶媒は、アノード14製造プロセスにて用いられる温度において、リチウム金属およびバインダーポリマーとも反応しないものでなければならない。溶媒または共溶媒が、スラリーから容易に蒸発して、カレントコレクタに添加されたスラリーの乾燥を促進するような、十分な揮発性を有することが好ましい。例えば、溶媒としては、非環式炭化水素、環式炭化水素、芳香族炭化水素、対称エーテル、非対称エーテルおよび環状エーテルを挙げることができる。
【0067】
本発明の種々の実施形態で用いられるリチウム金属を、リチウム粉末として供給することができる。輸送中の安定性のために、リチウム粉末を処理またはその他の状態にすることができる。例えば、従来より知られているように、二酸化炭素の存在下で乾燥リチウム粉末を形成することができる。乾燥リチウム粉末を本発明の種々の実施形態に用いることができる。あるいは、懸濁液中で、例えば鉱物油の溶液またはその他の溶媒の懸濁液中でリチウム粉末を形成することができる。溶媒懸濁液中でリチウム粉末を形成することによって、より小さなリチウム金属粒子の製造を促進することができる。本発明のいくつかの実施形態においては、本発明の種々の実施形態で用いることができる溶媒中でリチウム粉末を形成することができる。溶媒中で形成されるリチウム金属粉末を溶媒中で輸送することができる。さらに、本発明の実施形態でリチウム金属粉末と溶媒との混合物を用いることができ、これによって電極製造プロセスから混合工程を省くことができるかもしれない。というのは、溶媒およびリチウム金属粉末を単一の成分として利用できるからである。このことによって製造コストを削減することができ、より小さいすなわちより微細なリチウム金属粉末粒子を本発明の実施形態に用いることが可能となる。
【0068】
種々のバインダーポリマーおよび溶媒の組み合わせを本発明の実施形態で試験して、バインダーポリマー−溶媒の相性が良くかつ安定したペアを決定した。さらに、バインダーポリマー−溶媒のペアから形成されるアノード14を試験して、相性を確認した。本発明のいくつかの実施形態に従ってアノード14を製造することに好ましく用いられるバインダーポリマー−溶媒のペアを、表1に列挙する。
【0069】
【表1】

【0070】
更なるバインダーポリマー−溶媒のペアを用いるか、または組み合わせて、本発明の実施形態に従うところのスラリーおよびアノード14を形成することもできることが理解される。異なるバインダーポリマー、溶媒およびバインダーポリマー−溶媒のペアを本発明の種々の実施形態で用いることの実現可能性を調べるために実施された試験の代表例を、実施例1〜3に記載する。
【実施例1】
【0071】
(エチレン・プロピレン・ジエンのターポリマーおよびシクロヘキサン)
シクロヘキサン、リチウム粉末およびエチレン・プロピレン・ジエンのターポリマー(Nordel(登録商標)IP 4570)を含むコーティング溶液について、所定の温度範囲全体に亘る熱安定性の試験を行った。この溶液は、8.8mLのシクロヘキサン、0.24gのリチウム粉末および0.127gのエチレン・プロピレン・ジエンのターポリマーからなるものであった。最適のカロリメーターとして、反応系スクリーニングツールを用いた。試験の間のチャンバー内部の圧力を、アルゴンを用いて200psigに設定することで、シクロヘキサンの沸点を超える系での試験が可能になった。19℃〜94℃の温度範囲全体に亘って、自己発熱は認められなかった。この試験のプロットを図2に図示する。シクロヘキサンの1atmでの沸点は80.7℃であるので、この温度を超えての走査は必要ではなく、この試験は94℃で終了した。図2に図示されるように、この装置は、傾斜の間は一分間に0.5℃の安定した加熱速度を維持した。自己発熱が認められたなら、加熱速度はこのレベルを超えて増大しただろう。加熱期間中の温度の傾向は直線であり、このことは、材料の自己発熱が生じなかったことを示す。自己発熱がないことは、エチレン・プロピレン・ジエンのターポリマー、シクロヘキサンおよびリチウム粉末の組み合わせが安定した混合物であることを示す。
【実施例2】
【0072】
(リチウム粉末およびp−キシレン)
0.531gの量のリチウム粉末を8mLのp−キシレンと混合し、実施例1に記載された反応系スクリーニングツールを用いて、熱安定性試験を実施した。室温〜180℃の間でこの試験を実施した。この温度範囲全体に亘って、自己発熱は認められなかった。このことは、室温〜180℃の間において、p−キシレン中ではリチウム粉末が安定であることを示す。
【実施例3】
【0073】
(ジメチルプロピレン尿素およびリチウム粉末)
ジメチルプロピレン尿素およびリチウム粉末を含む溶液について、実施例1に記載された同じ設定と手段による反応系スクリーニングツール技術を用いて、その熱安定性を試験した。25℃にてジメチルプロピレン尿素をリチウム粉末に添加した3秒以内に、自己発熱が認められた。一分間に1000℃を超える速度でこの自己発熱が上昇した。図3は、試験での熱暴走を図示する。系において自己発熱が存在することは、ジメチルプロピレン尿素が、本発明のアノードを形成するための安定した溶媒ではないことを示す。というのは、それがリチウム粉末と反応するからである。
【0074】
別のアノード14製造プロセスにおいては、母材24を、炭化水素溶媒(例えばヘキサン)などの非水性液体中にリチウム金属を含む懸濁液に浸漬することによって、アノード14にリチウム金属を付与することができる。懸濁液において用いられるリチウム金属26としては、微細なリチウム粉末が好ましい。母材24をアノードの形状に形成することができ、次いでリチウム金属懸濁液に浸漬するか、またはリチウム金属懸濁液と混合してスラリーを形成させ、次いでカレントコレクタに塗布して乾燥させて、アノード14を形成することができる。母材24をプレリチウム化することができる。懸濁液を作るために用いる非水性液体を、アノード14を乾燥させること(例えば温度を上昇させること)によって除去することもできる。用いられる方法にかかわらず、リチウム金属を母材内に可能な限り上手に分散させることが好ましい。
【0075】
図1に図示されるように、材料16によって、カソード12をアノード14から分離することができる。典型的には、材料16はポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリフッ化ビニリデン(PVDF)などの電気絶縁体である。
【0076】
二次電池10は、カソード12とアノード14とを電気化学的に連絡する電解質をさらに含む。この電解質は非水性液体、ゲルまたは固体であってもよく、リチウム塩、例えばLiPF6を含むものが好ましい。電解質は電池10の全体に亘って供給され、カソード12、アノード14および材料16の範囲に供給されることが好ましい。典型的には、電解質は液体であり、カソード12、アノード14および材料16は、電解質に浸漬されてこれらの成分間が電気化学的に連絡される多孔性材料である。あるいは、この材料16および電解質は単一の組成でもよい。例えば、電池においては、ゲル状ポリマーを電解質およびセパレーターの両者として用いることができる。
【0077】
本発明の実施形態の電池10は、カレントコレクタ20および22を含む。これらは電子を外部回路に送ることに用いられる。カレントコレクタ20がアルミニウム箔で作られ、カレントコレクタ22が銅箔で作られることが好ましい。
【0078】
電池10を当分野における公知の方法で作製することができ、次の範囲内の層の厚さを有することが好ましい。
【0079】
(層:厚さ)
カレントコレクタ(20) :10〜40μm。
カソード(12) :70〜200μm。
材料(16) :10〜35μm。
アノード(14) :50〜150μm。
カレントコレクタ(22) :10〜40μm。
【0080】
電池10は、カソード12、アノード14およびセパレーター16、ならびにケーシング(図示省略)の全体に分散した電解質を含んでもよい。この電解質は、材料16と統合してもよい。
【0081】
いくつかの実施形態においては、電池10の最初は充電された状態であり、完全に充電された状態がより好ましい。電解質を介してアノード14からカソード12にリチウムイオンを送ることによって、電池10を放電させることができる。同時に、カレントコレクタ22、外部回路およびカレントコレクタ20を介して、アノード14からカソード12に電子が送られる。電解質を介してカソード12からアノード14にリチウムを送ることによって、電池10を充電または再充電することができる。カソード活物質の大きな比容量を維持し、安全な操作条件を維持すると同時に、多数回サイクルさせるための充電工程および放電工程が生じてもよい。
【0082】
いくつかの実施形態においては、従来のリチウムイオン電池と共に知られているような充電されていない状態で、電池を提供することができる。リチウム金属をアノードおよび/またはカソードに付与することができる。例えば、リチウムイオン電池のアノードを、本発明の実施形態に従うところのリチウムを含むアノードで置換することができる。アノードはプレリチウム化された母材を含んでもよい。電池に電解質を導入することによって、アノードにおける電解質とリチウム金属との間の反応を促進することができ、アノードでの固体電解質界面(SEI)の形成が始まる。最初に電池を充電することによって、SEIの形成を加速させることができる。カソードからのリチウムのSEIでの消費によって引き起こされる不可逆容量の損失に起因する電池における容量損失を、アノードにおけるリチウム金属からSEIを形成することによって、低減および/または解消することができる。
【0083】
例えば、リチウムを含むカソード材料と、リチウムを含まないアノード材料のみを有するリチウムイオン電池を初充電すると、リチウムを含むカソード材料からのリチウムが、電池における電解質と反応して、固体電解質界面(SEI)がアノードで形成される。SEIはカソードからのリチウムをいくらか消費する。その結果、電池における不可逆容量が損失する。電池における不可逆容量の損失は、10〜20パーセントの間の容量損失となる可能性がある。しかしながら、本発明の実施形態に従って、リチウムイオン電池のアノードがリチウムによって形成されれば、電池の初充電の間に、アノードにおけるリチウムが電解質と反応して、アノードにてSEIを形成することができる。アノードに含まれるリチウムからSEIが形成することによって、カソードまたは電池におけるリチウムが保護され、その結果、不可逆容量に起因する容量損失が低減することとなる。このようにして、本発明の実施形態によって、不可逆容量として知られる現象に起因する電池の容量損失を低減および/または解消することができる。
【0084】
本発明の実施形態に従うところの電池を、種々のタイプの用途に用いることができる。例えば、この電池を携帯用電子機器、例えば携帯電話、ビデオカメラ、デジタル記録デバイスおよびラップトップ型コンピュータに用いることができ、大出力の用途、例えば電気自動車およびハイブリッド型電気自動車に用いることができる。リチウム含有アノードを用いる電池によって、カソード材料を選択するための選択肢をより多くすることができる−これによって、電池の用途および/または安全性を広げることが可能になる。さらに、リチウム含有アノードを用いる電池によって、不可逆容量の電池への影響を低減することができる。
【0085】
本発明は、大きな比容量、安全な操作条件および良好なサイクルアビリティを有することができる電池を提供する。特に、電池のいくつかの実施形態においては、カソード活物質として、リチウム化されていない材料を用いることができる。というのは、アノードにおいてリチウム金属が提供されるからである。リチウム化されていない材料は、リチウムイオン電池において現在用いられているリチウム化された材料よりも大きな比容量を有することができる。リチウム化されていないカソード活物質および金属リチウムのアノードを有する従来のリチウム電池とは異なり、リチウム化されていないカソード活物質とそれと組み合わせた本発明の実施形態のアノードとを用いて製造された電池は、安全に操作でき、そして循環の際にリチウムの樹枝状結晶を生じさせないことが分かった。さらに、本発明の実施形態の電池は、リチウムイオン電池よりも安全に操作できる。このリチウムイオン電池は、充電の間にカソードからリチウムが除去された時に不安定になる。特に、電池を最初に作製する場合、本発明の実施形態に従うところの電池におけるカソード活物質は典型的には完全に充電された状態なので、次いでリチウムイオン電池において用いられるカソードをより安定化することができる。さらに、安全な操作条件およびカソード活物質の大きな比容量を維持すると同時に、本発明の電池を何度も充電および放電することができる。さらに、アノード材料においてリチウムが存在することは、電池における不可逆容量の損失を低減することに役立つだろう。というのは、カソードからのリチウムよりもむしろ、アノードにおけるリチウムを用いてSEIを形成することができるからである。
【0086】
本発明の特定の実施形態がこのように記載されたが、以下に請求されるようなそれらの精神または範囲から逸脱することなく多数の自明なそれらの変形物が考えられるので、添付の請求の範囲に規定された本発明が、上記の説明に記載された特定の内容に制限されないことを理解するべきである。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】カソード、アノード、セパレーターおよび電解質を含む本発明に係る二次電池の構造を示す模式図である。
【図2】シクロヘキサン、リチウムおよびエチレンプロピレンジエンターポリマーについての反応系スクリーニングツール試験の結果を示すグラフである。
【図3】リチウム粉末を伴うジメチルプロピレン尿素についての反応系スクリーニングツール試験の結果を示すグラフである。
【図4】本発明の実施の形態に係る電極を示す模式図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る電極を示す模式図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
母材をリチウム金属中に分散させて、母材とリチウム金属との混合物を形成する工程と、
前記母材とリチウム金属との混合物を撹拌して、母材のリチウム化を促進する工程と
を含む母材をプレリチウム化する方法。
【請求項2】
前記リチウム金属がリチウム金属粉末である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記リチウム金属粉末が安定化リチウム金属粉末を含む請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記リチウム金属粉末および前記母材が非水性溶液に分散している請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記非水性溶液が炭化水素溶媒を含む請求項4に記載の方法。
【請求項6】
約180℃以下の温度で前記撹拌を行う請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記リチウム金属が溶融リチウム金属を含む請求項1に記載の方法。
【請求項8】
母材をリチウム金属粉末と組み合わせて、混合物を形成する工程と、
この混合物を操作して、母材のリチウム化を促進する工程と
を含む母材をプレリチウム化する方法。
【請求項9】
前記混合物の操作が、前記混合物を撹拌して、母材のリチウム化を促進することを含む請求項8に記載の方法。
【請求項10】
180℃以下の温度で前記撹拌を行う請求項9に記載の方法。
【請求項11】
40℃〜150℃の間の温度で前記撹拌を行う請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記混合物の操作が、前記混合物を40℃〜150℃の間の温度に加熱することを含む請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記混合物の操作が、前記混合物に圧力を加えて、母材をリチウム化することを含む請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記混合物への加圧が、180℃以下の温度で行われる請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記混合物の操作が、
前記混合物を用いて電極を形成する工程と、
前記電極を圧縮して母材をリチウム化する工程と
を含む請求項8に記載の方法。
【請求項16】
前記電極の二回目の圧縮を実施する工程をさらに含む請求項15に記載の方法。
【請求項17】
集電体と、
この集電体と接触しているプレリチウム化された母材と
を含む電極。
【請求項18】
前記プレリチウム化された母材が、リチウム金属粉末でプレリチウム化された母材を含む請求項17に記載の電極。
【請求項19】
陽極と、
プレリチウム化された母材を含む陰極と、
前記陽極と前記陰極との間のセパレーターと
を含む再充電可能なリチウムイオンセル。
【請求項20】
前記プレリチウム化された母材が、母材とリチウム金属粉末とから形成されたプレリチウム化された母材を含む請求項19に記載の再充電可能なリチウムイオンセル。
【請求項21】
請求項19に記載の再充電可能なリチウムイオンセルを含む電池。
【請求項22】
前記電池が、携帯用電子デバイス、携帯電話デバイス、ビデオカメラデバイス、デジタル記録デバイス、ラップトップ型コンピュータデバイス、電気自動車デバイスおよびハイブリッド型自動車デバイスからなる群より選択されるデバイスと共に用いられる電池である請求項21に記載の電池。
【請求項23】
母材をリチウム化する工程と、
前記リチウム化された母材から電極を形成する工程と
を含む電極を形成する方法。
【請求項24】
母材から電極を形成する工程と、
前記電極をリチウム化する工程と、
前記リチウム化された電極を陰極として用いて、電池を形成する工程と
を含む電池を形成する方法。
【請求項25】
前記電極をリチウム化する工程が、
前記母材から形成した電極にリチウム金属を適用する工程と、
前記母材のリチウム化を促進する工程と
を含む請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記電極にリチウム金属を適用する工程が、前記電極にリチウムのメッシュを適用することを含む請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記母材のリチウム化を促進する工程が、前記リチウムのメッシュおよび前記電極の母材に力を加えて、母材のリチウム化を開始することを含む請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記母材のリチウム化を促進する工程が、前記リチウムのメッシュおよび前記電極の母材に電解質を適用して、母材のリチウム化を開始することを含む請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記母材のリチウム化を促進する工程が、前記リチウムのメッシュおよび前記電極の母材を加熱して、母材のリチウム化を開始することを含む請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記電極にリチウム金属を適用する工程が、前記電極にリチウム箔を適用することを含む請求項25に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−500922(P2007−500922A)
【公表日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−522064(P2006−522064)
【出願日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【国際出願番号】PCT/US2004/024502
【国際公開番号】WO2005/013397
【国際公開日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願人】(598076270)エフエムシー・コーポレイション (8)
【Fターム(参考)】