説明

電極コーティングの下の高屈折率層でコーティングされたガラス基材およびその基材を含む有機発光デバイス

本発明は、第1の面(11)および前記第1の面に対向する第2の面(12)を含み、少なくとも1層の電気伝導層を含む電極層(5)を前記第2の面の上方に含む、ガラス基材(10)において、1.7と2.4との間(1.7と2.4とを含む)の屈折率を有し、一方で、40重量%と60重量%との間(40重量%と60重量%とを含む)の、さらに45重量%と58重量%との間(45重量%と58重量%とを含む)の酸化ビスマスBi23を、他方では、5重量%と30重量%との間(5重量%と30重量%とを含む)の、好ましくは10重量%と25重量%との間(10重量%と25重量%とを含む)のZnOを含む少なくとも1層のガラス材料の層(3)を、前記基材(10)は前記第2の面(12)と前記電極層(5)との間に含むことを特徴とするガラス基材(10)に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一方の表面に電極を有するガラス基材に関する。
【0002】
それは、とくに、OLEDと呼ばれている有機発光ダイオードを備えたデバイスのための支持媒体として使用される構造のためのガラス基材に関する。
【背景技術】
【0003】
OLEDは、有機発光する材料または材料の積層を含み、2つの電極の間に封入される。一方の電極は、下側電極と呼ばれ、通常アノードであり、ガラス基材と結合することによって形成され、他方の電極は、上側電極と呼ばれ、通常カソードであり、有機発光システムの上に配置される。
【0004】
OLEDは、アノードから注入されたホールとカソードから注入された電子との再結合のエネルギーを使用するエレクトロルミネセンスによって発光するデバイスである。
【0005】
OLEDの様々な構成が存在する。
− 底部発光を使用する、換言すれば、下側(半)透明電極と上側反射電極とを備えたデバイス。
− 上端部発光を使用した、換言すれば、上側(半)透明電極と下側反射電極とを備えたデバイス。
− 上端部および底部発光を使用した、換言すれば、下側(半)透明電極と上側(半)透明電極との両方を備えたデバイス。
【0006】
本発明は、底部発光を使用し、また潜在的には上端部発光を使用するOLEDデバイスに関する。
【0007】
OLEDは、ディスプレイスクリーンまたは異なる制約条件を有する照明装置に通常、適用可能である。
【0008】
通常の照明システムでは、OLEDから取り出された光は、特定のまたはすべてのスペクトル波長の「白色」発光である。さらに、それは均一な方法で発光されなければならない。この観点から見れば、発光は、より正確に言えばランベルト(均等拡散)である。換言すれば、ランベルトの法則にしたがうことが、すべての方向に等しい光放射によって特徴付けられる。
【0009】
さらに、OLEDは、光の取り出しの低効率を示す。すなわち、ガラス基材から効率的に出てくる光と、発光材料によって発光された光との間の比率は比較的低く、0.25のオーダーである。
【0010】
この現象は、一方では、特定の量のフォトンが導波モードで電極間で捕獲されたままであるという事実によって、他方では、基材のガラス(約1.5のn)とデバイスの外側の空気(n=1)との間の屈折率の差異によるガラス基材の中の光の反射によって説明される。
【0011】
したがって、すなわち、「白色」の光を供給するのと同時に、換言すれば、特定のまたはすべての可視スペクトルの波長で発光するのと同時に取り出しの利得を増加させることによって、OLEDの効率を改善するための解決策が探されている。
【0012】
通常実行される解決策は、幾何学的光学でよく使用されるので解決策が幾何学的光学解決策と呼ばれるところのガラス−空気境界面で、または、回折光学で通常使用されるので、解決策は回折光学的解決策と呼ばれるところのガラス−下側電極境界面で、ガラス基材に関連する。
【0013】
回折光学タイプの知られている解決策は、回折格子を形成する周期的な突出部を有する構造を備えたガラス−下側電極境界面を提供する。米国特許出願公開第2004/0227462号明細書は回折光学的解決策を示す。この目的のため、この文書は、透明基材、下側電極のためのおよび有機層のための支持媒体にテクスチャが形成されたOLEDを開示している。したがって、基材の表面は、交互に並ぶ峰および窪みを有する。下側電極および上端に堆積された有機層がそのプロファイルに続く。
【0014】
しかし、そのような解決策は、単色光の取り出しに対して効率がよいが、換言すれば、空間の所与の方向で、その性能は、多色光の場合、照明用途用の白色光ほど良好ではない。
【0015】
さらに、この文書、米国特許出願公開第2004/0227462号明細書では、基材のプロファイルは、パターンが求める峰および窪みに対応するフォトレジストマスクを、基材の表面上に適用し、その後、マスクを通して表面をエッチングすることによって得られる。そのようなプロセスは、基材の大きな表面積にわたる工業規模での実施が容易ではなく、とくに照明用途の場合、とりわけ非常にコストがかかる。
【0016】
国際公開第05/081334号パンフレットは、別の回折光学的解決策を公表する。それは、エンボス加工によって得られたテクスチャが形成されたポリマー層で平らなガラス基材を被覆すること、ポリマー層のプロファイルの次に下側電極および有機層が後で堆積されることからなる。周期的あってもよくまたはそうでなくてもよいその層の波形は、波形ピークを窪みから隔てる距離が0.5μmと200μmmとの間の範囲内になるような大きさを示す。
【0017】
しかし、そのような解決策の場合、OLEDの多くの電気的故障が観察されている。
【0018】
もっとも良好な電流性能が、高屈折率基材の上に配置されたOLEDを使用して得られている。確かに、ガラス基材の屈折率を調整することによって、モードの分布を完全に変えることができる。
【0019】
確かに、1.5の屈折率を有するガラス基材の場合、およそ50%のフォトンのみが基材に到達するであろう。残りは、有機層および下側電極の中に捕獲されるであろう。
【0020】
アノードの屈折率および有機層の屈折率(約1.8)と釣り合う屈折率を有する基材を選ぶことによって、アノードおよび/または有機層の中に前もって捕獲されるモードは取り出され、したがって、約80%のフォトンが利用可能にできる。
【0021】
しかし、現在入手できる高屈折率基材は、非常に高く、有毒成分である鉛を含有する。
【0022】
別の解決策が、米国特許出願公開第2009/0153972号明細書に提案されている。この文書では、ガラス材料の層が、ガラス基材の一方の面上、この面と電極層との間に設けられている。ガラス材料のこの層は、拡散成分を含む。ガラス材料の層内におけるこれらの拡散成分の分布は、電極層の方向に減少する。
【0023】
したがって、ガラス材料の層は、電極層の方向で増加する屈折率を有する。
【0024】
しかし、ガラス材料の層は、電極層でコーティングされた基材に通常適用される酸および塩基の化学的エッチング反応について十分な化学的耐久性を示さない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0025】
【特許文献1】米国特許出願公開第2004/0227462号明細書
【特許文献2】国際公開第05/081334号パンフレット
【特許文献3】米国特許出願公開第2009/0153972号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
したがって、本発明の目的は、一方の面上に透明電極を有する無機ガラスで作製された基材を提供することである。その基材は、照明に好適なOLEDデバイスのための支持体を形成するように設計される。その設計は、単純であり、信頼性が高く、上記デバイスによって発光された光の取り出しを、現存する解決策について改善させることができ、それと同時に、製造に費用がかからない。
【0027】
別の重要な目的は、重大な環境的制約が全くない状態で上記基材を製造することを可能にすることである。
【0028】
別の重要な目的は、有機発光システムの層のための堆積プロセスに合った上記基材を製造することを可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0029】
本発明は、高い屈折率(換言すれば、基材の屈折率よりも高く、OLEDの屈折率よりも低くても、同じでも、高くてもよい屈折率)を有するガラス材料で作られた少なくとも1層の特定の層の使用に基づく。その層は、基材の第2の面と近接する電極層との間に配置される。この層は、比較的厚いが、しかし、基材自体の厚さに比べて非常に(少なくとも10〜100倍だけ)薄い。したがって、高い屈折率を有する特定の基材に比べて製造するのにより費用がかからないのと同時に、改善された化学的耐久性を示し、工業規模で有機発光システムの電極層上に堆積させることができる。
【0030】
したがって、本発明は、そのもっとも広い意味で、第1の面と第1の面に対向する第2の面とを含むガラスで作られた基材からなり、その基材は、その第2の面の上方に、少なくとも1層の電気伝導層を含む電極層を含み、1.7と2.4との間(1.7と2.4とを含む)の屈折率を有し、一方で、40重量%と60重量%との間(40重量%と60重量%とを含む)の、さらに45重量%と58重量%との間(45重量%と58重量%とを含む)の酸化ビスマスBi23を、他方で、5重量%と30重量%との間(5重量%と30重量%とを含む)の、好ましくは10重量%と25重量%との間(10重量%と25重量%とを含む)のZnOを含む少なくとも1層のガラス材料の層を、前記基材はその第2の面と電極層との間に含むことを特徴とする。
【0031】
したがって、基材は、1.4と1.6との間の範囲の低い屈折率を有する。そして、ガラス材料の層のガラス材料は高い屈折率、基材の低い屈折率よりも高い屈折率を有する。この高い屈折率は、発光源、とくに有機発光システムの発光源の通常高い屈折率に比べて、低いか、同じか、または高い。
【図面の簡単な説明】
【0032】
本発明は、限定されない例示的実施形態の以下の詳細な記載を読むことから、および以下の添付の図面から、より良好に理解されるであろう。
【図1】図1は、本発明の実施形態の第1の変形例によるコーティングされた基材の断面図を説明する。そして、
【図2】図2は、本発明の実施形態の第2の変形例によるコーティングされた基材の断面図を説明する。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本明細書を通して、本発明による基材は、水平に配置され、第1の面が下方に向いており、第1の面と対向する第2の面が上方に向いていると見なされる。したがって、方向の表現「上方」および「下方/下」は、この向きに関連して見なされるべきである。特段の定めがなければ、表現「上方」および「下方/下」は、2つの要素が相互に接触して配置されることを必ずしも意味しない。
【0034】
ここでは、用語「より低い」および「より高い」は、この位置決めに関連して使用される。
【0035】
本明細書を通して、用語「屈折率」は、590nmの波長で測定された光学的屈折率をいう。
【0036】
ガラス材料層は、当業者がガラス状エナメルまたはフリットと呼んでいるものであり得る。
【0037】
ガラス材料の上記層は、1μmと100μmとの間の、または2μmと80μmとの間の、または5μmと60μmとの間の範囲の厚さを好ましくは有する。
【0038】
本発明による基材は、それぞれ異なる屈折率を有する複数層のガラス材料の層をその第2の面と電極層との間に含んでもよい。基材の上記第2の面の方向に配置されたガラス材料の層は、上記電極層の方向に配置されたガラス材料の別の層に比べて低い屈折率を有する。ガラス材料の上記層は、一方で、40重量%と60重量%との間(40重量%と60重量%とを含む)の、さらに45重量%と58重量%との間(45重量%と58重量%とを含む)の酸化ビスマスBi23を、他方で、5重量%と30重量%との間(5重量%と30重量%とを含む)の、好ましくは10重量%と25重量%との間(10重量%と25重量%とを含む)のZnOを好ましくはすべて含む。
【0039】
したがって、電極層と低屈折率基材との間で2つのステップ(2層)またはそれよりも多いステップ(層)で屈折率が累進的に減少する屈折率の勾配を作り出すことは可能である。ガラス材料のそれぞれの層は、1.7と2.4との間の範囲内の屈折率を好ましくは有する。
【0040】
しかし、ガラス材料の少なくとも2層が、上述の広い範囲内を維持しながら、同じ酸化ビスマスBi23の割合を有さないこと、および/または同じ酸化亜鉛ZnOの割合を有さないことは可能である。一方で、ガラス材料の一方の層が40重量%と60重量%との間(40重量%と60重量%とを含む)の酸化ビスマスB23を含み、ガラス材料の他方の層が45重量%と58重量%との間(45重量%と58重量%とを含む)の酸化ビスマスB23を含み、他方で、ガラス材料の一方の層が5重量%と30重量%との間(5重量%と30重量%とを含む)のZnOを含み、ガラス材料の他方の層が10重量%と25重量%との間(10重量%と25重量%とを含む)のZnOを含むことは可能である。
【0041】
本発明の実施形態の変形例の1つによれば、ガラス材料の少なくとも1層が、複数層のガラス材料の層が存在する場合、好ましくはガラス材料のそれぞれの層が拡散成分、とくに気泡および/またはガラス材料の層の屈折率と異なる屈折率を有する材料の粒子を含む。その粒子は、たとえば、2.4〜2.7の範囲の屈折率を示すであろう酸化チタンを含有する粒子、および/または、たとえばジルコンまたはバッデリー石などの結晶である。
【0042】
したがって、この変形例によれば、ガラス材料の上記層、または、ガラス材料の少なくとも1層、またはさらに、ガラス材料のすべての層が、本質的に拡散層である。
【0043】
実施形態の別の変形例によれば、ガラス材料の少なくとも1層は、そして、ガラス材料の複数の層が存在する場合、好ましくはガラス材料のそれぞれの層が重量%で以下を含む。
− 0%と10%との間、好ましくは0%と5%との間のSiO2
− 0%と5%との間、好ましくは0%と1%との間のAl23
− 8%と25%との間、好ましくは10%と22%との間のB23
− 0%と10%との間、好ましくは0%と5%との間のCaO、
− 0%と20%との間、好ましくは0%と15%との間のBaO、
− 0%と5%との間、好ましくは0%と3%との間のLi2O、
− 0%と10%との間、好ましくは0%と5%との間のNa2O、
− 0%と5%との間、好ましくは0%と3%との間のK2O、
− 0%と5%との間、好ましくは0%と4%との間のZrO2
− 0%と5%との間のSrO、
− 0%と5%との間のLa23
上記範囲のこれらの値を含む。
【0044】
実施形態の別の変形例によれば、上記基材は、拡散成分、とくに、気泡および/または、たとえば、2.4〜2.7の範囲内の屈折率を有するであろう酸化チタンを含有する粒子などの、ガラス材料の層の屈折率と異なる屈折率を有する材料の粒子、および/または、たとえばジルコンまたはバッデリー石などの結晶などの結晶を含む。
【0045】
基材の一方の面または基材のそれぞれの面(前記基材の上記第1の面および/または上記第2の面)は、拡散面であってもよく、および/または拡散層でコーティングされていてもよい。
【0046】
したがって、ガラス材料の上記層と基材との間の境界面は、光が偏向するような特徴的寸法(幾何学的光学の法則が適用可能であるように可視波長の3倍よりも大きな特徴的寸法)または、光が散乱するような特徴的寸法(波光学が適用可能であるように可視波長と同等な特徴的寸法)を有する形態を示す。したがって、有機材料によって発光され、高屈折率ガラス材料を伝搬する可視光は、より低い屈折率を有する基材の中へより効率的に伝達される。
【0047】
基材は、0.8mmで遮断周波数を有するガウスフィルタを使用した、15mmの分析長さにわたって1〜5μmの、好ましくは1〜3μmの粗度パラメーターRaで規定される粗度の粗さを有していてもよい。
【0048】
基材の粗度は、平均振幅に対応する、プロファイルの相加平均偏差である、よく知られた粗度パラメーターRaによって特徴付けられる。粗い基材を規定するために、よく知られた粗度パラメーターRSmが、補足として使用されてもよい。それは、プロファイルの要素の幅の平均値である。したがって、パラメーターRSmは、0.8mmで遮断周波数を有するガウスフィルタを使用した、15mmの分析長さにわたって、40μm〜100μm、より好ましくは45μm〜65μmであり得る。
【0049】
たとえば、フッ化水素酸によってガラス基材のなめらかさを取ることによって粗さは得られる。粗い基材の例は、Omnidecor社によって作られた「DecorFlou(登録商標)」ガラス(シルクテクスチャー(silk texture))である。
【0050】
以下の例のような、酸を使用してエッチングされたガラスの別のタイプを選択してもよい。
− Sevasa社によって作られた「SatenGlass(登録商標)」ガラス。
− Saint-Gobain社によって作られた「Satinovo(登録商標)Mate」ガラス。
− Dekormat Glass社によって作られた「Dekormat(登録商標)」ガラス。
【0051】
光学プロフィルメーターが、広範囲色顕微鏡法の原理にしたがって、たとえば、STIL社からのMTM2ベースステーション(MIM2 base station)によって、粗度の測定に使用される。
【0052】
測定は、1mmのプロファイル間隔で30回繰り返すことができる。
【0053】
粗い基材の突出部は、たとえば、実質的にピラミッド形状であり、ランダムに分布しており、等方的に光を散乱させる。
【0054】
本発明による基材は、電極層の上方に有機発光システムをとくに含むように設計される。このOLEDデバイスは、高屈折率(または中間の範囲の屈折率)を有する。すなわち、基材自体の屈折率と等しいか、または高い。
【0055】
したがって、本発明は、低屈折率基材/高屈折率を有するガラス材料の層(1層または複数層)/電極層、のタイプの構造に関する。
【0056】
この構造を備えたこの基材の可視光透過率は、80%以上である。
【0057】
したがって、本発明は、本発明の基材とデバイスの電極の1つを形成する電極層とを含む多色光を発光する有機発光ダイオードを備えたデバイスに関する。
【0058】
また、本発明は、照明システムなどの有機発光ダイオードを備えたデバイスの支持媒体としての本発明の基材の使用に関する。電極層は、デバイスの電極の1つを形成する。
【0059】
また、本発明は、第1の面と対向する第2の面とを含むガラス基材の、とくに本発明の基材の製造方法に関し、上記基材は、少なくとも1層の電気伝導層を含む電極層をその第2の面の上方に含み、1.7と2.4との間の範囲内(これらの値も含む)の屈折率を有する少なくとも1層のガラス材料の層が、上記電極層が堆積される前に、上記基材の上記第2の面の上方に堆積され、ガラス材料の上記層は、一方で、40重量%と60重量%との間(40重量%と60重量%とを含む)の、またはさらにガラス材料の他方の層が45重量%と58重量%との間(45重量%と58重量%とを含む)の酸化ビスマスB23を含み、他方で、5重量%と30重量%との間(5重量%と30重量%とを含む)の、好ましくは、10重量%と25重量%との間(10重量%と25重量%とを含む)のZnOを含み、ガラス材料の上記層は、フリットから、とくにシルクスクリーン印刷またはスパッタリングによって好ましくは堆積されることを特徴とする。
【0060】
有利なことに、一方でガラス材料の層(好ましくはガラス材料のそれぞれの層)の酸化ビスマスの、他方で、酸化亜鉛の割合によって、高い屈折率を有し、高い化学的耐久性を有する1層(または数層)を形成することができる。この耐久性は、少なくともその特定の範囲で、これらの2種の酸化物の組み合わされた作用によって得られる。
【0061】
とくに、この化学的耐久性により、ガラス材料の層でコーティングされた基材を、電子部品およびデバイスの製造プロセスで使用することができる。
【0062】
確かに、電子産業では、第1に、浴の中の手動または自動の洗浄処置に耐えなければならない基材はクリーンルームの中で使用される。これらの洗浄処置は、有機発光システムの堆積の前に、粒子のいずれの痕跡と一緒に、有機または無機材料の痕跡のいずれをも基材から除去しなければならない。したがって、各基材は、それぞれの工程の間の中間のすすぎの段階とともに、塩基または酸の洗浄溶液と接触して連続して通過しなければならない。さらに、洗浄剤の存在によっておよび/または超音波の存在によっておよび/または約40℃に近い温度の使用によって洗浄の電力は高くなることが多い。
【0063】
したがって、一連の浴の一例は、
− 表面に堆積または凝縮した有機材料を溶かすように設計されたアルカリ洗浄剤と脱イオン水との溶液を有する第1の浴、
− その後、すすいでアルカリ洗浄剤の痕跡のいずれをも除去するように設計された硬水の中でのすすぎのための第2の浴、
− その後、無機材料または金属酸化物の塩などの潜在的汚染物質のいずれをも溶かすように設計された酸洗浄剤と脱イオン水との溶液を有する第3の浴、
− その後、すすいで酸洗浄剤の痕跡のいずれをも除去するように設計された硬水を備えた第4の浴、
− その後、第4の硬水浴から由来し、とくにガラス基材上の痕跡の原因であるとしてよく知られている無機塩のいずれをも除去するための脱ミネラル成分水の第5および第6の浴、から構成される。
【0064】
各浴は、少なくとも30〜40℃の温度に調整されており、前に1および2と呼ばれている洗浄浴は、活性溶液の取り替えを容易にし、洗浄プロセスの効率を高める超音波源を備えることができる。第5の浴は、固体粒子もしくは繊維を除去することを目的としてより周波数の高い超音波源を有することができる。
【0065】
1層(または2以上の層)の本発明によるガラス材料の層を堆積する前の基材の洗浄のために設計された一連の例は、任意の追加の層もしくは積層の堆積の前のガラス材料の上記層の洗浄のために使用し得る。
【0066】
また、有利なことに、本発明による溶液によって、高屈折率の層が、標準的に低い屈折率を有する標準的なガラス基材の上端部上に使用されることが可能になる。これにより、これは単独で、高屈折率基材+拡散成分集合体と同じ光学的作用を有することが可能になる。したがって、取り出しの増加のための2つの基本的な要素(屈折および拡散)は、備えられているガラス材料の層(の集合体)の中に組み合わされる。
【0067】
これらの図面において、示されている様々な要素間の比率は、読むことを容易にするために忠実に表現されていないということを留意する。
【0068】
図1および図2で説明されているように、本発明による基材10は、ガラスで作られ、周辺の縁と一緒に第1の面11および第1の面に対向する第2の面12を含む。
【0069】
この基材は、高屈折率を有するという特定の測定が得られないという意味で標準的な屈折率を有する。それは、1.4と1.6との間の範囲内である。ここでは見なされるその範囲では、この屈折率は「低い」という。
【0070】
たとえば、国際公開第2008/029060号パンフレットによって教示されているように、基材10は、透明であり、透明伝導酸化物の層、TCO、または1層もしくは2層以上の薄い金属層などの少なくとも1層の電気伝導層を含む電極層5を第2の面12の上方に含む。
【0071】
本発明によれば、基材10は、その第2の面12と電極層5との間に、少なくとも1層のガラス材料の層3を含む。それは、1.7と2.4との間(これらの値も含む)の、ここでより正確には1.8と2.0との間(これあの値も含む)の範囲内の屈折率を有する。それゆえ、ここで、問題の範囲で、この屈折率は「高い」と言われる。
【0072】
以下説明するように、ガラス材料は異なる組成の数層を含むことができる。
【0073】
好ましくは、ガラス材料の全体の厚さは、1μmと100μmとの間の、または2μmと80μmとの間の、またはさらに5μmと60μmとの間の、またはそのほかに5μmと80μmとの間の範囲内である。
【0074】
基材の上に最終的に堆積されるとき、ガラス材料の層のために使用されるガラス材料は、
− 一方で、40重量%と60重量%との間(40重量%と60重量%とを含む)の酸化ビスマスB23を含み、他方で、5重量%と30重量%との間(5重量%と30重量%とを含む)の、または、10重量%と25重量%との間(10重量%と25重量%とを含む)の酸化亜鉛ZnOを含むか、または
− 一方で、45重量%と58重量%との間(45重量%と58重量%とを含む)の酸化ビスマスB23を含み、他方で、5重量%と30重量%との間(5重量%と30重量%とを含む)の、または、10重量%と25重量%との間(10重量%と25重量%とを含む)の酸化亜鉛ZnOを含む。
【0075】
図1および2では、有機発光システム7は、電極層5の上端部上に示されている。2重の矢印は、このシステムによる光の放射を説明する。
【0076】
第1の変形例では、図1で説明されているように、ガラス材料の上記層3は、本発明による高屈折率の単層から全体的になっている。
【0077】
第2の変形例では、図2で説明されているように、第1の変形例に換えて、ガラス材料の層3は、本発明による高屈折率の単層から構成され、拡散成分をさらに含む。これらの拡散成分により、光を拡散する能力をガラス材料の層に付与することができる。これらの拡散成分は、高屈折率媒体中の光の波長と同等かまたは大きい特徴的寸法を有する。それは、数百ナノメートルと数ミクロンとの間の範囲内の寸法に当たる。
【0078】
これらの拡散成分は、たとえば、
− 層中におけるサイズおよび濃度が調整された気泡、および/または
− たとえば、2.4〜2.7の範囲内の屈折率を有するであろう、酸化チタンを含有する粒子などの異なる屈折率の材料の粒子、および/または
− たとえば、ジルコンまたはバッデリー石などの結晶である。
【0079】
前に示したように、それぞれ異なる屈折率を有する数層のガラス材料の層3を第2の面12と電極層5との間に堆積させることは完全に可能である。基材10の上記第2の面12の方向に堆積されたガラス材料の層は、上記電極層5の方向に堆積されたガラス材料の別の層に比べて低い屈折率を有する。
【0080】
したがって、異なる屈折率を有するのでそれぞれ異なる組成を有する、複数のガラス材料の層3を備えた屈折率の勾配を作り出すことが可能である。したがって、ガラス材料のそれぞれの層3は、1.7と2.4との間の範囲内の屈折率を好ましくは有する。
【0081】
したがって、2層、3層、4層、またはそれよりも多い層のガラス材料の層3を備えたガラスコーティングを作り出すことが可能である。したがって、化学的耐久性を有するようにするために、ガラス材料のそれぞれの層3は、
− 一方で、40重量%と60重量%との間(40重量%と60重量%とを含む)の酸化ビスマスB23を含み、他方で、5重量%と30重量%との間(5重量%と30重量%とを含む)の、または、10重量%と25重量%との間(10重量%と25重量%とを含む)の酸化亜鉛ZnOを含むか、または
− 一方で、45重量%と58重量%との間(45重量%と58重量%とを含む)の酸化ビスマスB23を含み、他方で、5重量%と30重量%との間(5重量%と30重量%とを含む)の、または、10重量%と25重量%との間(10重量%と25重量%とを含む)の酸化亜鉛ZnOを含む。
【0082】
本発明によるガラス材料の層(それぞれの層)3の組成は、好ましくは重量%で以下である。
【0083】
【表1】

【0084】
基材に堆積されたガラス材料の単層3について次の2つの組成(重量%の単位)を試験した。
【0085】
【表2】

(測定誤差を考慮に入れる。それぞれの成分の合計は100に等しい)
【0086】
これらの2つの例のそれぞれは、次の表にまとめた、酸を用いる試験、塩基を用いる試験、市販の洗浄剤を用いる試験および溶媒を用いる試験の全体のセットを受けた。
【0087】
【表3】

(「RBS 2%」は、2体積%の濃度を有する、すなわち、約11のpHを有する、イオン性および非イオン性洗浄剤+リン酸塩およびポリリン酸塩の混合物である塩基性アルカリ溶液である)
【0088】
試験(例1および2)のための基材は、光の取り出しに好適な粗さを有していなかった。ガラス材料の層が堆積された、基材の面は拡散手段を含んでいなかった。
【0089】
それぞれの試験は、4cm幅、7cm高さおよび2mm厚の試験片を、左欄で述べられている浴の中に浸させることによって実施される。それぞれの試験片は、その高さの80%まで浴の中に浸される。試験片は、約15μmの層3でコーティングされた基材10のみからなる。
【0090】
2つの例の化学的耐久性は、次の耐久性の等級にしたがって視覚的に評価される。
− レベルN5:層の全体の喪失
− レベルN4:溶解による部分的消失を伴った重大な崩壊
− レベルN3:表面の腐食、脱色またはつや消しなどの色の変化を伴った著しい崩壊
− レベルN2:液体−空気境界面に対応する、部分的浸漬と結びついた縁の出現を伴ったエッチング反応の発生
− レベルN1:見える反応なし
【0091】
また、テクスチャの変化は、光透過率(TL)および拡散透過率(TD)の値の変化によって評価される。これらの値は、視程計BYKタイプのデバイスを使用して測定される。
【0092】
表3に明らかなように、ビスマスを含む例2の層は、20℃または40℃の次の浴の中の10mnの浸漬を受ける。
− pHが4の酸:塩酸、硫酸、リン酸。
− 市販の洗浄剤:pHが4である1%の「Franklab neutrax」、pHが11である4%の「Franklab TFD 66」、2%である「RBS 25」。
【0093】
次の浴の中に10mnの間、浸漬されたときに、例2のこれらの層は、例1の層に関連して増加した耐久性を示す。
− 25℃でpHが2である酸:塩酸、リン酸。
− 25℃および40℃の市販の洗浄剤:pHが4である1%の「Franklab neutrax」、pHが11である4%の「Franklab TFD 66」、2%である「RBS」。
【0094】
良好な化学的耐久性を示すこれらの結果は、pHが11であるカ性ソーダの試験およびpHが13であるカ性ソーダの試験、さらに超音波試験とともに裏付けられている。
【0095】
ガラス材料の単層3について次の2つの組成(重量%の単位)が試験され、これらの2つの組成は、例2の組成と同様の結果を示した。
【0096】
【表4】

(測定誤差を考慮に入れる。それぞれの成分の合計は100に等しい)
【0097】
基材の面または基材のそれぞれの面(基材の上記第1の面および/または上記第2の面)が拡散表面であること、および/または少なくとも1層の拡散層でコーティングされることがさらに可能である。
【0098】
ガラス材料の層3は、フリットから、とくに、この後説明するようにシルクスクリーン印刷によって堆積され得る。
【0099】
増強された化学的耐久性を有するガラス材料の層3の作製は、様々な産業プロセスにしたがって、とくにシルクスクリーン印刷によって実施され得る。
【0100】
ペースト
シルクスクリーン印刷用のペーストは、塗布スクリーンを通過させるために、粒子を運ぶために使用されるシルクスクリーン印刷媒体を10〜50重量%の割合で含む。この媒体は、有機であることができ、細かい無機粒子またはセルロースエーテルと結びつく場合、ペーストに臨界流動特性を付与するアルコール、グリコール、エステル、ターピネオールから構成される。また、この媒体は、ナトリウム、カリウム、またはリチウムのケイ酸塩、または同様のコロイダルシリカなどのミネラルであり得る。固体部分は、高い割合の酸化ビスマスを有するガラスフリットなどの金属またはミネラルの酸化物から基本的に構成される。酸化ビスマスは、層の化学的耐久性と高屈折率特性との両方を提供する。チタン、バリウム、亜鉛、カルシウムなどの成分の酸化物、硫酸塩および炭酸塩タイプのサブミクロンのより少量の粒子と共同して屈折率をさらに高くしてもよい。
【0101】
構成物質のスラリー化は、円板形分散機を備えた遊星形ミキサーの中で高速で実施される。また、その高速の作業の前または次に低速システムを実施してもよい。これらの低速システムは、ニーダーまたはビータータイプの攪拌機またはボールを含むフラスコから構成される。ペーストは、1分当たり数回転の低速度で作動するローラー攪拌体上に数時間配置される。ペーストの特性は、エグマン(Egman)ゲージを使用して粒または凝集をなくすことによって評価される。
【0102】
堆積
堆積装置は、平板ガラスについて電子タイプ(EKRA、DEK)または産業サイズ(THIEME)の短縮した構成であり得る。スクリーンは、織物のメッシュ(たとえば、ポリエステル)または金属のメッシュから構成され得る。マスクは、フォトレジストまたは金属箔から構成され得る。ナッピング(napping)工具およびスクレーパ(scraper)は、ポリマー、カーボンまたは金属で作製されるであろう。ガラス基材上の堆積厚さは、10〜100μmである。厚さは、まず、スクリーンのメッシュサイズおよびスクリーンのテンションを選択することによって制御される。また、厚さは、スクレーパに適用される圧力および移動速度と一緒にスクリーンと基材との間の距離を調節することによって制御される。厚さは、コーティングされた領域とコーティングされていない領域との間で、ロッデンストック(Rodenstock)タイプのレーザー光学試験実験台を使用して確かめられるであろう。堆積物は、使用された媒体の性質により、赤外もしくはUV光トンネルの中で約100〜150℃の温度で乾燥される。
【0103】
また、高屈折率層の堆積は、シルクスクリーン印刷以外の方法で、たとえば、ロールコーティング、ディップコーティング、ナイフコーティング、スパッタリング、スピンコーティングまたは鉛直流式コーティングによって実施される。
【0104】
粉末−液体比率および添加物を変えて、組成物のレオロジーを、選択された堆積方法に適合させる。同じ層の、または異なる組成を有する、または1種もしくは2種以上の成分の勾配を有する積層を形成するために、2つの異なる堆積方法を連続的に採用してもよい。
【0105】
硬化
採用されたオーブンは、自動車のリアウィンドーの硬化と同様に、ローラー上の輸送手段を使用して動的であり得るか、または、基材の平坦さを保護するための金属もしくはガラス−セラミックス板上に配置して、好ましくは静的であり得る。好ましい方法の一つは、数十分に対して数分の平坦期を含む5〜10℃/分のゆっくりした昇温を使用する硬化である。硬化時間および550℃と670℃との間に定められた硬化温度によって、粗さを最小にすることができ、泡の数および大きさを制御し、結晶の成長を制限することができる。
【0106】
洗浄に対する耐久性
電子産業は、層を含むかまたは含まない基材をクリーンルームの中で通常使用する。基材は、手動もしくは自動の浴中の洗浄処置に、まず、耐えなければならない。これらの洗浄処置は、粒子と一緒に有機もしくは無機材料の痕跡のいずれをも基材から除去しなければならない。したがって、基材は、中間のすすぎ工程とともに塩基および酸洗浄溶液と接触する段階を連続的に通過する。洗浄力は、洗浄剤の存在、超音波の存在および40℃に近いことが多い温度によって高められる。
【0107】
ビスマスが多く、亜鉛を含む、高屈折率ガラス層の組成は、後述の浴などのこれらの活動的な環境において高い耐久性を付与する。同じ製造プロセスにしたがって形成された(例1のガラス層のような)ホウ酸亜鉛タイプのガラス層は、同じ洗浄条件下では完全に破壊されるであろう。これらの拡散層の分解の評価は、視程計(Hazeguard BYK)による光および拡散透過率の値の変化の測定によって実施される。
【0108】
次の2種のタイプの電極が例2の2つの試料の上に堆積された。
− 一方では、ITOをベースとするTCOで作られ、基材の速い昇温(約50℃/分)とともに熱い状態(300℃)で堆積された電極。そして、
− 他方で、国際公開第2008/029060号パンフレットの教示にしたがって、冷スパッタリングによってTCCで作られた電極。
そして、それぞれの試料は、それぞれの電極の堆積の前に、後述の必要な洗浄を受ける。
【0109】
電極の堆積の前も後もガラス材料の層の分解は、観察されなかった。
【0110】
本発明によるガラス材料の層の化学的耐久性は、ガラス材料の層における水に可溶な酸化物の組成が少ないという事実によって高められる。水に可溶な酸化物は、とくに、ナトリウムおよびカリウムタイプのアルカリ酸化物である。それらの濃度は、15重量%よりも小さく、好ましくは5重量%よりも低い。
【0111】
本発明は、例のつもりで、上述の明細書に記載されている。当業者が、クレームに規定されたような本発明の範囲から逸脱することなく、本発明の他の変形例を実施できることは言うまでのない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の面(11)および前記第1の面に対向する第2の面(12)を含み、少なくとも1層の電気伝導層を含む電極層(5)を前記第2の面の上方に含む、ガラス基材(10)において、
1.7と2.4との間(1.7と2.4とを含む)の範囲内の屈折率を有し、一方で、40重量%と60重量%との間(40重量%と60重量%とを含む)の、さらに45重量%と58重量%との間(45重量%と58重量%とを含む)の酸化ビスマスBi23を、他方で、5重量%と30重量%との間(5重量%と30重量%とを含む)の、好ましくは10重量%と25重量%との間(10重量%と25重量%とを含む)のZnOを含む少なくとも1層のガラス材料の層(3)を、前記基材(10)は前記第2の面(12)と前記電極層(5)との間に含むことを特徴とするガラス基材(10)。
【請求項2】
ガラス材料の前記層(3)は、1μmと100μmとの間の、または2μmと80μmとの間の、さらに5μmと60μmとの間の範囲内の厚さを有することを特徴とする請求項1に記載の基材(10)。
【請求項3】
前記基材(10)が、それぞれ異なる屈折率を有する複数層のガラス材料の層(3)を、前記第2の面(12)と前記電極層(5)との間に含み、
前記基材(1)の前記第2の面(12)の方向に堆積されたガラス材料の層は、前記電極層(5)の方向に堆積されたガラス材料の別の層の屈折率に比べて低い屈折率を有し、
ガラス材料の前記層(3)は、一方で、40重量%と60重量%との間(40重量%と60重量%とを含む)の、さらに45重量%と58重量%との間(45重量%と58重量%とを含む)の酸化ビスマスBi23を、他方で、5重量%と30重量%との間(5重量%と30重量%とを含む)の、好ましくは10重量%と25重量%との間(10重量%と25重量%とを含む)のZnOを好ましくはすべて含むことを特徴とする請求項1または2に記載の基材(10)。
【請求項4】
少なくとも1層のガラス材料の層(3)は、拡散成分、とくに気泡、および/または、ガラス材料の前記層の屈折率と異なる屈折率の材料の粒子、および/または結晶を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の基材(10)。
【請求項5】
少なくとも1層のガラス材料の層(3)は、重量%で、
− 0%と10%との間、好ましくは0%と5%との間のSiO2
− 0%と5%との間、好ましくは0%と1%との間のAl23
− 8%と25%との間、好ましくは10%と22%との間のB23
− 0%と10%との間、好ましくは0%と5%との間のCaO、
− 0%と20%との間、好ましくは0%と15%との間のBaO、
− 0%と5%との間、好ましくは0%と3%との間のLi2O、
− 0%と10%との間、好ましくは0%と5%との間のNa2O、
− 0%と5%との間、好ましくは0%と3%との間のK2O、
− 0%と5%との間、好ましくは0%と4%との間のZrO2
− 0%と5%との間のSrO、
− 0%と5%との間のLa23
(上記範囲のこれらの値を含む)
を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の基材(10)。
【請求項6】
前記基材(10)は、拡散成分、とくに、気泡、および/または、ガラス材料の前記層の屈折率と異なる屈折率を有する材料の粒子、および/または、結晶を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の基材(10)。
【請求項7】
前記基材(10)の前記第1の面(11)は、拡散表面である、および/または、拡散層によってコーティングされていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の基材(10)。
【請求項8】
前記基材(10)の前記第2の面(12)は、拡散表面である、および/または、拡散層によってコーティングされていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の基材(10)。
【請求項9】
前記基材は、有機発光システム(7)を前記電極層(5)の上方に含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の基材(10)。
【請求項10】
多色光を発光する有機発光ダイオードを備えたデバイスであって、
請求項1〜9のいずれか1項に記載の基材(10)、および、前記デバイスの電極の一つを形成する電極層(5)を含むデバイス。
【請求項11】
照明システムなどの有機発光ダイオード、および、電極の一つを形成する電極層(5)を備えたデバイスの支持体としての請求項1〜9のいずれか1項に記載の基材(10)の使用。
【請求項12】
第1の面(11)および第2の面(12)を含み、少なくとも1層の電気伝導層を含む電極層(5)を前記第2の面の上方に含むガラス基材(10)の、とくに請求項1〜9のいずれか1項に記載の基材(10)の製造方法であって、
1.7と2.4との間(1.7と2.4とを含む)の範囲内の屈折率を有する少なくとも1層のガラス材料の層(3)が、前記電極層(5)の堆積の前に前記基材(10)の前記第2の面(12)の上方に堆積され、
ガラス材料の前記層(3)は、一方で、40重量%と60重量%との間(40重量%と60重量%とを含む)の、さらに45重量%と58重量%との間(45重量%と58重量%とを含む)の酸化ビスマスBi23を、他方で、5重量%と30重量%との間(5重量%と30重量%とを含む)の、好ましくは10重量%と25重量%との間(10重量%と25重量%とを含む)のZnOを含み、
ガラス材料の前記層(3)は、フリットから、シルクスクリーン印刷またはスパッタリングによって好ましくは堆積されることを特徴とする製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−518361(P2013−518361A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−549395(P2012−549395)
【出願日】平成23年1月12日(2011.1.12)
【国際出願番号】PCT/FR2011/050052
【国際公開番号】WO2011/089343
【国際公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(500374146)サン−ゴバン グラス フランス (388)
【Fターム(参考)】