説明

電極板のハンガーバー研磨装置、および、電極板のハンガーバー研磨装置を備えた電極板搬送装置

【課題】電極板の一部を構成するハンガーバーの下面のブスバーと接触するコンタクト部とその近傍に付着した酸化皮膜、電解液の結晶などの付着物を簡単かつ確実に除去でき、メンテナンスも容易な電極板のハンガーバー研磨装置を提供する。
【解決手段】金属の電解精錬に用いられる電極板のハンガーバーの下面に付着した酸化皮謨、電解液の結晶などの付着物を除去するための電極板のハンガーバー研磨装置であって、コンベアにより搬送されてくる電極板のハンガーバーの下面に対して下方向から押し付けるように、付勢機構によって上方向に付勢された回転ブラシを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属の電解精錬、例えば、銅の電解精錬に用いられる電極板のハンガーバーの下面に付着した酸化皮謨、電解液の結晶などの付着物を除去するための電極板のハンガーバー研磨装置、および、電極板のハンガーバー研磨装置を備えた電極板搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金属の電解精錬、例えば、銅の電解精錬における電解プロセスとして、パーマネントカソード(Permanent Cathode:PC)法が広く用いられている。このパーマネントカソード法は、ステンレス板をカソード(陰極)、粗銅をアノード(陽極)とし、アノードとカソードを交互に電解槽に浸漬して両電極間に直流電圧を印加することで、ステンレス板に電着した銅を剥ぎ取って製品とする方法である。
【0003】
パーマネントカソード法では、電解は通常1〜2週間継続して行われる。そして、銅の重さが50〜90kg程度になった状態で電解槽から引き揚げられ、電着した銅をステンレス板から剥離して電気銅とする。なお、電着した銅が剥がされたステンレス板は、繰り返しカソード板として使用される。このようなパーマネントカソード法としては、例えば、特許文献1(特開2005−240146号公報)に示すものがある。
【0004】
ここで、パーマネントカソード法として実用化されているプロセスの中に、ISA法と呼ばれる方法がある。ISA法は、カソード板の両側部を塩化ビニール等で絶縁マスキングするとともに下部をマスキングして、両側部および下部に電着が及ばないようにし、電解終了後、カソード板の両面に電着した電気銅を剥離機によって剥ぎ取り、これによって1つのカソード板から2枚の電気銅を得る方法である。
【0005】
また最近では、例えば、特許文献2(特表2003−502512号公報)に開示されているように、ISA法において、カソードの下部をマスキングせずに、代わりにカソード板の下部にV溝加工を施すことで、カソード板の両面に電着した銅を剥ぎ取りに容易に分離できるような方法も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−240146号公報
【特許文献2】特表2003−502512号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような従来の金属の電解精錬では、図4に示したような構造の電極板100を用いている。
【0008】
すなわち、水平方向の支持部材であるハンガーバー102と、このハンガーバー102から、下方に鉛直方向に垂下するように取り付けられた板状の電極板本体104と、絶縁マスキング112とを備えている。
【0009】
この場合、例えば、銅精錬の場合には、電極板100がカソード(陰極)の場合には、電極板本体104がステンレスから、電極板100がアノード(陽極)の場合には、電極板本体104が粗銅から構成されるものである。
【0010】
なお、図4では、V溝などは、説明の便宜上、省略して図示している。
【0011】
ところで、電解精錬の際には、図5、図6に示したように、このように構成される電極板100を、ハンガーバー102の両端部106、108を、それぞれブスバー110上に支持して、電解漕114の中にその電極板本体104が電解液に浸漬するように配置して、ブスバー110を介して、電極板100に直流電流を印加することによって、電解製錬が行われるようになっている。
【0012】
しかしながら、電極板100の一部を構成するハンガーバー102は、ある期間使用すると、ブスバー110と接触する下面のコンタクト部106a、108aとその近傍に酸化皮膜、電解液の結晶などの付着物が付着することになる。
【0013】
これらの付着物が存在すると、電極板100への通電時の抵抗となり、電解精錬に余分な電力を消費することになり、コストが高くつくことになる。そのため、定期的にハンガーバー102のコンタクト部106a、108aの付着物を除去することが必要である。
【0014】
このため、従来は、ある期間使用した電極板100を別途準備した架台に載置して、ハンガーバー102のコンタクト部106a、108aの付着物を、スクレッパーなどを用いて手作業で取り除くことが行われており、手間と時間がかかり、コストが高くつくことになっていた。
【0015】
本発明は、このような現状に鑑み、電極板の一部を構成するハンガーバーの下面のブスバーと接触するコンタクト部とその近傍に付着した酸化皮膜、電解液の結晶などの付着物を簡単かつ確実に除去でき、メンテナンスも容易な電極板のハンガーバー研磨装置、および、電極板のハンガーバー研磨装置を備えた電極板搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、前述したような従来技術における課題及び目的を達成するために発明されたものであって、本発明の電極板のハンガーバー研磨装置は、
金属の電解精錬に用いられる電極板のハンガーバーの下面に付着した酸化皮謨、電解液の結晶などの付着物を除去するための電極板のハンガーバー研磨装置であって、
コンベアにより搬送されてくる電極板のハンガーバーの下面に対して下方向から押し付けるように、付勢機構によって上方向に付勢された回転ブラシを備えることを特徴とする。
【0017】
このように構成することによって、コンベアにより搬送されてくる電極板のハンガーバーの下面に対して、付勢機構によって上方向に付勢された回転ブラシを下方向から押し付けることによって、回転ブラシの回転と押し付け力によって、電極板のハンガーバーの下面に付着した酸化皮謨、電解液の結晶などの付着物を簡単かつ確実に除去することができ、コストも低減することができる。
【0018】
また、本発明の電極板のハンガーバー研磨装置は、前記付勢機構が、電極板のハンガーバーの下面に対する回転ブラシの押し付け位置を調節するための押し付け位置調整機構を備えることを特徴とする。
【0019】
このように構成することによって、付勢機構の押し付け位置調整機構によって、電極板のハンガーバーの下面に対する回転ブラシの押し付け位置を調節することができる。その結果、適正な押し付け力によって、回転ブラシを電極板のハンガーバーの下面に押し付けることができる。
【0020】
これにより、回転ブラシの回転と押し付け力によって、電極板のハンガーバーの下面に付着した酸化皮謨、電解液の結晶などの付着物を簡単かつ確実に除去することができる。
【0021】
また、本発明の電極板のハンガーバー研磨装置は、前記押し付け位置調整機構が、弾性部材の弾性力を調整することによって、電極板のハンガーバーの下面に対する回転ブラシの押し付け位置を調節できるように構成されていることを特徴とする。
【0022】
このように構成することによって、例えば、スプリングなどの弾性部材の弾性力を調整することによって、電極板のハンガーバーの下面に対する回転ブラシの押し付け位置を簡単に調節できる。
【0023】
これにより、適正な押し付け力によって、回転ブラシを電極板のハンガーバーの下面に押し付けることができ、回転ブラシの回転と押し付け力によって、電極板のハンガーバーの下面に付着した酸化皮謨、電解液の結晶などの付着物を簡単かつ確実に除去することができる。
【0024】
また、本発明の電極板のハンガーバー研磨装置は、前記押し付け位置調整機構が、前記弾性部材の付勢力により押し付け方向に揺動する揺動アームによって、電極板のハンガーバーの下面に対する回転ブラシの押し付け位置を調節できるように構成されていることを特徴とする。
【0025】
このように構成することによって、例えば、スプリングなどの弾性部材の弾性力を調整することによって、押し付け方向に揺動アームを揺動させることにより、電極板のハンガーバーの下面に対する回転ブラシの押し付け位置を簡単に調節できる。
【0026】
これにより、適正な押し付け力によって、回転ブラシを電極板のハンガーバーの下面に押し付けることができ、回転ブラシの回転と押し付け力によって、電極板のハンガーバーの下面に付着した酸化皮謨、電解液の結晶などの付着物を簡単かつ確実に除去することができる。
【0027】
また、本発明の電極板のハンガーバー研磨装置は、前記回転ブラシを電極板のハンガーバーの下面から離反する方向に回動させる回動機構を備えることを特徴とする。
【0028】
このように構成することによって、回動機構によって、回転ブラシを電極板のハンガーバーの下面から離反する方向に回動させ、摩耗損傷した回転ブラシを交換することができ、メンテナンス性に優れている。
【0029】
また、本発明の電極板のハンガーバー研磨装置は、前記回転ブラシの回転方向と、コンベアの搬送方向とが反対の方向となるように構成されていることを特徴とする。
【0030】
このように、回転ブラシの回転方向と、コンベアの搬送方向とが反対の方向となるので、電極板のハンガーバーの下面に付着した酸化皮謨、電解液の結晶などの付着物の除去効果に優れている。
【0031】
また、本発明は、前述のいずれかに記載の電極板のハンガーバー研磨装置を備えたことを特徴とする電極板搬送装置である。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、コンベアにより搬送されてくる電極板のハンガーバーの下面に対して、付勢機構によって上方向に付勢された回転ブラシを下方向から押し付けることによって、回転ブラシの回転と押し付け力によって、電極板のハンガーバーの下面に付着した酸化皮謨、電解液の結晶などの付着物を簡単かつ確実に除去することができ、コストも低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】図1は、本発明の電極板のハンガーバー研磨装置30を備えた電極板搬送装置10の斜視図である。
【図2】図2は、図1の電極板のハンガーバー研磨装置をメンテナンスのために、回転ブラシを電極板のハンガーバーの下面から離反する方向に回動させた状態を示す斜視図である。
【図3】図3は、本発明の電極板のハンガーバー研磨装置の概略を示す図1のA方向から見た概略図である。
【図4】図4は、従来の金属の電解精錬で用いられる電極板の斜視図である。
【図5】図5は、従来の金属の電解精錬で用いられる電極板とブスバーとの関係を示す斜視図である。
【図6】図6は、図5のF部分の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施の形態(実施例)を図面に基づいてより詳細に説明する。
【0035】
図1は、本発明の電極板のハンガーバー研磨装置30を備えた電極板搬送装置10の斜視図、図2は、図1の電極板のハンガーバー研磨装置をメンテナンスのために、回転ブラシを電極板のハンガーバーの下面から離反する方向に回動させた状態を示す斜視図、図3は、本発明の電極板のハンガーバー研磨装置の概略を示す図1のA方向から見た概略図である。
【0036】
図1〜図3において、符号10は、全体で本発明の電極板のハンガーバー研磨装置を備えた電極板搬送装置を示している。
【0037】
図1に示したように、電極板搬送装置10は、搬送コンベアフレーム12を備えており、この搬送コンベアフレーム12の上面に、搬送コンベア14を案内するガイドレール16が設けられている。
【0038】
そして、ガイドレール16には、複数のコンベアチェーン18が連結されて構成された搬送コンベア14が案内されるようになっている。このコンベアチェーン18には、電極板20の水平方向の支持部材であるハンガーバー22の端部24を支持する支持部材26が設けられている。
【0039】
これにより、図1〜図3に示したように、電極板20のハンガーバー22の端部24が、コンベアチェーン18に載置されて、搬送コンベア14によって、図1、図3の矢印Bで示したように、電極板20が搬送方向に搬送されるようになっている。
【0040】
また、搬送コンベアフレーム12の側部28には、本発明の電極板のハンガーバー研磨装置30が付設されている。
【0041】
すなわち、搬送コンベアフレーム12の側部28には、固定用ブラケット32が固定されており、この固定用ブラケット32に対して、回動軸34を介して、支持ブラケット36が、図2に示したように、搬送コンベア14から離反する方向に回動可能に連結されている。
【0042】
また、支持ブラケット36には、揺動軸38を介して、上下方向に揺動可能に揺動アーム40が連結されている。この揺動アーム40に、駆動モーター44が固定され、駆動モーター44の回転軸46に回転ブラシ48が取り付けられている。
【0043】
さらに、支持ブラケット36と揺動アーム40との間には、付勢機構50が設けられている。
【0044】
すなわち、支持ブラケット36には、ボルト固定用フランジ52が固定されており、このボルト固定用フランジ52に、ボルト54が固着されている。一方、揺動アーム40には、調整用フランジ56が設けられており、この調整用フランジ56にボルト54が挿通されている。
【0045】
そして、ボルト54と調整用フランジ56との間に、圧縮状態でコイルスプリング62が介装されている。この調整用フランジ56のボルト挿通孔から突設したボルト54に、押し付け力調整用ナット64が螺着されている。
【0046】
この場合、回転ブラシ48の材貿は、特に限定されるものではなく、例えば、ステンレスワイヤーやプラスチックなどの公知のブラシ材料を採用することができる。
【0047】
また、駆動モーター44としては、特に限定されるものではなく、好ましくは、高遠回転が可能なエアモーターであるのが望ましいが、電動モーターも使用できる。
【0048】
なお、図示しないが、回転ブラシ48の近傍には、回転ブラシ48で除去した付着物が周囲に飛散するのを防止するために、カバーを取り付けることもできる。
【0049】
このように構成されるハンガーバー研磨装置30を備えた電極板搬送装置10は、以下のように作動される。
【0050】
すなわち、図1、図3に示したように、電極板20のハンガーバー22の端部24が、コンベアチェーン18に載置されて、搬送コンベア14によって、図1、図3の矢印Bで示したように、電極板20が搬送方向に搬送される。
【0051】
そして、図3に示したように、回転ブラシ48の回転方向Cが、搬送コンベア14の搬送方向Bと反対の方向になっている。
【0052】
しかも、この際には、付勢機構50の圧縮状態で介装されたコイルスプリング62の付勢力によって、揺動アーム40が、図1の矢印Dで示したように、揺動軸38を介して、上方向に揺動する。これにより、揺動アーム40に設けられた回転ブラシ48が、電極板20のハンガーバー22の端部24の下面のブスバーとのコンタクト部24aの方向に、適正な押し付け力で押し付けられることになる。
【0053】
その結果、搬送コンベア14により搬送されてくる電極板20のハンガーバー22の下面のブスバーとのコンタクト部24aに対して、付勢機構50によって上方向に付勢された回転ブラシ48が下方向から押し付けされることになる。
【0054】
これにより、回転ブラシ48の回転と付勢機構50による押し付け力によって、電極板20のハンガーバー22の下面のブスバーとのコンタクト部24aとその近傍に付着した酸化皮謨、電解液の結晶などの付着物を簡単かつ確実に除去することができ、コストも低減することができる。
【0055】
なお、この際、回転ブラシ48の回転方向Cが、搬送コンベア14の搬送方向Bと反対の方向になっているので、電極板20のハンガーバー22の下面のブスバーとのコンタクト部24aとその近傍に付着した酸化皮謨、電解液の結晶などの付着物の除去効果に優れている。
【0056】
また、付勢機構50において、付勢機構の押し付け位置調整機構である、ボルト54に螺着した押し付け力調整用ナット64の螺着状態を調整することによって、図1、図3の矢印Dで示したように、付勢機構50の圧縮状態で介装されたコイルスプリング62の付勢力を調整することができる。
【0057】
しかも、揺動アーム40が、図1の矢印Dで示したように、揺動軸38を介して、上下方向に揺動するので、揺動アーム40に設けられた回転ブラシ48が、電極板20のハンガーバー22の端部24の下面のブスバーとのコンタクト部24aの方向に、適正な押し付け力で押し付けられることになる。
【0058】
これにより、回転ブラシの回転と押し付け力によって、電極板20のハンガーバー22の下面のブスバーとのコンタクト部24aとその近傍に付着した酸化皮謨、電解液の結晶などの付着物を簡単かつ確実に除去することができる。
【0059】
さらに、本発明の電極板のハンガーバー研磨装置30を備えた電極板搬送装置10では、摩耗損傷した回転ブラシ48を交換するなどのメンテナンスが必要になった場合には、以下のように作動される。
【0060】
すなわち、電極板搬送装置10の搬送を停止した状態で、図1に示した状態から、図1の矢印Eで示した方向に、図2に示したように、搬送コンベアフレーム12の側部28に固定された固定用ブラケット32に対して、回動軸34を介して、支持ブラケット36を、搬送コンベア14から離反する方向に回動させる。
【0061】
これにより、支持ブラケット36に連結された揺動アーム40、付勢機構50、駆動モーター44、回転ブラシ48が一体的に、搬送コンベア14から離反する方向に回動されることになる。
【0062】
このような回動機構によって、回転ブラシ48を電極板20のハンガーバー22の端部24の下面のブスバーとのコンタクト部24aから離反する方向に回動させ、摩耗損傷した回転ブラシ48を交換することができ、メンテナンス性に優れている。
【0063】
なお、この回動機構を駆動するには、手動の他、図示しないが、例えば、ピストンシリンダー機構を付設して自動的に支持ブラケット36を、搬送コンベア14から離反する方向に回動させるようにすることも可能である。
【0064】
また、この実施例では、揺動アーム40が、図1の矢印Dで示したように、揺動軸38を介して、上下方向に揺動するようにしたが、図示しないが、ガイド部材によって、揺動アーム40を上下に移動するようにすることもできる。
【0065】
さらに、この実施例では、付勢機構50の圧縮状態で介装されたコイルスプリング62を、付勢力を付与する手段として用いたが、弾性力を有する弾性部材であれば良く、例えば、皿バネ、ダイヤフラム、ゴムなど種々の公知の弾性部材を用いることができる。
【0066】
また、この実施例では、図示として、回転ブラシ48を電極板20のハンガーバー22の片側の端部24の下面のブスバーとのコンタクト部24aにのみ図示し、これに対応して本発明の電極板のハンガーバー研磨装置30を設けたが、電極板20のハンガーバー22の他方の端部24にも、ハンガーバー研磨装置30を設けてもよいことはもちろんである。
【0067】
さらに、この実施例では、搬送コンベア14の搬送方向に1つのハンガーバー研磨装置30を設けたが、搬送コンベア14の搬送方向に複数のハンガーバー研磨装置30を一定間隔離間して設けることも可能である。
【0068】
このように構成される本発明の電極板のハンガーバー研磨装置30は、金属の電解精錬、例えば、銅の電解精錬に使用することができる。
【0069】
金属の電解精錬では、通常、陰極板に付着した電着物は、いわゆる剥取り装置にて剥取られる。
【0070】
すなわち、天弁クレーンにて、電解槽から引上げられた電着物のついた陰極板は、搬入コンベアに乗せられる。その後、洸浄工程、剥取り工程を経て、搬出コンベア上で整列される。整列された陰極板は、天井クレーンにて、再び電解槽に運ばれ、再び電解が行なわれる。
【0071】
本発明の電極板のハンガーバー研磨装置30は、電解槽に運ばれる手前の搬出コンベア上に設置されるのが望ましい。すなわち、いったんハンガーバー研磨装置30で付着物を除去した電極板20のハンガーバー22の下面のブスバーとのコンタクト部24aに、例えば、剥取り工程などで再び付着物が付着しないようにするためには望ましい。
【0072】
しかしながら、搬入コンベア、洸浄工程、剥取り工程での搬送コンベアに設置することももちろん可能である。
【0073】
以上、本発明の好ましい実施の態様を説明してきたが、本発明はこれに限定されることはなく、例えば、上記実施例では、電極板20として、陰極板に適用した実施例について説明したが、陽極板に適用することもできる。
【0074】
また、上記実施例では、付勢機構50の圧縮状態で介装されたコイルスプリング62の付勢力を押し付け力調整用ナット64を調整することによって、回転ブラシ48の押し付け圧力と押し付け位置を調整するようにしたが、図示しないが、コイルスプリング62の付勢力、すなわち、押し付け圧力を一定にして、押し付け位置のみを変更するように構成することも可能であるなど本発明の目的を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、金属の電解精錬、例えば、銅の電解精錬に用いられる電極板のハンガーバーの下面に付着した酸化皮謨、電解液の結晶などの付着物を除去するための電極板のハンガーバー研磨装置、および、電極板のハンガーバー研磨装置を備えた電極板搬送装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0076】
10 電極板搬送装置
12 搬送コンベアフレーム
14 搬送コンベア
16 ガイドレール
18 コンベアチェーン
20 電極板
22 ハンガーバー
24 端部
24a コンタクト部
28 側部
30 ハンガーバー研磨装置
32 固定用ブラケット
34 回動軸
36 支持ブラケット
38 揺動軸
40 揺動アーム
44 駆動モーター
46 回転軸
48 回転ブラシ
50 付勢機構
54 ボルト
56 調整用フランジ
62 コイルスプリング
64 押し付け力調整用ナット
100 電極板
102 ハンガーバー
104 電極板本体
106、108 両端部
106a、108a コンタクト部
110 ブスバー
112 絶縁マスキング
114 電解漕

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属の電解精錬に用いられる電極板のハンガーバーの下面に付着した酸化皮謨、電解液の結晶などの付着物を除去するための電極板のハンガーバー研磨装置であって、
コンベアにより搬送されてくる電極板のハンガーバーの下面に対して下方向から押し付けるように、付勢機構によって上方向に付勢された回転ブラシを備えることを特徴とする電極板のハンガーバー研磨装置。
【請求項2】
前記付勢機構が、電極板のハンガーバーの下面に対する回転ブラシの押し付け位置を調節するための押し付け位置調整機構を備えることを特徴とする請求項1に記載の電極板のハンガーバー研磨装置。
【請求項3】
前記押し付け位置調整機構が、弾性部材の弾性力を調整することによって、電極板のハンガーバーの下面に対する回転ブラシの押し付け位置を調節できるように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の電極板のハンガーバー研磨装置。
【請求項4】
前記押し付け位置調整機構が、前記弾性部材の付勢力により押し付け方向に揺動する揺動アームによって、電極板のハンガーバーの下面に対する回転ブラシの押し付け位置を調節できるように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の電極板のハンガーバー研磨装置。
【請求項5】
前記回転ブラシを電極板のハンガーバーの下面から離反する方向に回動させる回動機構を備えることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の電極板のハンガーバー研磨装置。
【請求項6】
前記回転ブラシの回転方向と、コンベアの搬送方向とが反対の方向となるように構成されていることを特徴とする電極板のハンガーバー研磨装置。
【請求項7】
請求項1から5のいずれかに記載の電極板のハンガーバー研磨装置を備えたことを特徴とする電極板搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−19018(P2013−19018A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−152864(P2011−152864)
【出願日】平成23年7月11日(2011.7.11)
【出願人】(000174909)三井金属エンジニアリング株式会社 (21)
【Fターム(参考)】