説明

電極組立体及び電極組立体を備えた二次電池

【課題】セラミックスコーティング層を備えて熱的安全性を著しく向上させた電極組立体及びこれを備えた二次電池を提供すること。
【解決手段】本発明による二次電池は、電極組立体、上記電極組立体を収容するように上部が開口された缶及び上記缶の開口された面を封止するキャップ組立体を含み、上記電極組立体は陽極活物質層が形成された陽極、陰極活物質層が形成された陰極及び上記陽極と上記陰極がお互いに対向する面のうち少なくとも1つの面に形成されたセラミックスコーティング層とを含み、上記セラミックスコーティング層はセラミックス粉末及びバインダーを含んでなり、上記セラミックス粉末の比表面積は1.5m/g〜15.0m/gであり、上記セラミックス粉末の粒度分布は10%の相対粒子含量での粒度(D10)が0.05μmを超過し、90%の相対粒子含量での粒度(D90)が3.0μm未満に形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極組立体及び電極組立体を備えた二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、二次電池は使い捨て電池と異なって充電をすることから繰り返して用いることができる電池であり、主に通信用、情報処理用、オーディオ/ビデオ用携帯器機の主な電源として用いられている。最近、二次電池に対する関心が集中されて開発化が急速に行われている主な理由は、二次電池が超軽量、高エネルギー密度、高出力電圧、低い自己放電率、環境親和的バッテリー及び長い寿命を有した電源であるためである。
【0003】
二次電池は、電極活物質によってニッケル水素(Ni−MH)電池とリチウムイオン(Li−ion)電池などに分けられ、特にリチウムイオン電池は電解質の種類によって液体電解質を用いる場合と固体ポリマー電解質あるいはゲル状の電解質を用いる場合に分けられる。また、電極組立体が収容される容器の形態によって缶型とパウチ型などの様々な種類に分けられる。
【0004】
リチウムイオン電池は、重さ当たりエネルギー密度が使い捨て電池に比べて非常に高いことから超軽量バッテリーの具現が可能であり、セル当たり平均電圧は3.6Vとして他の二次電池であるニッカド電池やニッケル水素電池の平均電圧1.2Vより3倍のコンパクト効果がある。また、リチウムイオン電池は、自己放電率が20℃で一ヶ月に約5%未満でニカド電池やニッケル水素電の約1/3の水準であり、カドミウム(Cd)や水銀(Hg)のような重金属を使用しないことで、環境親和的であり、また定常状態で1000回以上の充放電をすることができる長所がある。よって、このような長所に基づいて最近の情報通信技術の発展と共にその開発が急速に行われている。
【0005】
従来の二次電池は、陽極板と陰極板及びセパレータからなった電極組立体をアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる缶に収納し、缶の上端開口部をキャップ組立体で封止した後、缶内部に電解液を注入して密封することでベオセルを形成する。
【0006】
このとき、セパレータは、ポリオレフィン系フィルムセパレータとして2つの電極の間で陽極板と陰極板の短絡を防止するために設けられる。また、セパレータは、セパレータ自体が電池の過熱を防止する安全装置の役割も有するようになる。しかし、電池の温度が、例えば、外部熱転移などの理由で急に上昇する場合、セパレータの微細通孔が閉鎖されるにもかかわらず、電池の温度上昇が一定時間続くことからセパレータの破損が生じうる。
【0007】
尚、電池の高容量化によって二次電池で短時間に多くの電流が流れる場合、セパレータの微細通孔が閉鎖されても電流遮断によって電池の温度が低くなる可能性よりは既に発生された熱によってセパレータの溶融が続いてセパレータの破損による内部短絡が発生する可能性が大きくなる問題点がある。
【0008】
このような、フィルムセパレータの熱に対する安定性を補完するために電極にセラミックス粉末とバインダーと溶媒からなるペーストを一重さらにコーティングして電極上にセラミックスコーティング層を形成することで内部短絡に対する安全性を向上させる方法が考案された。
【0009】
この場合、セラミックスコーティング層を活物質層上に均一で欠陥なくコーティングされることから前述した二次電池の熱的安全性の向上という目的を果たすことができる。つまり、セラミックス粉末が電極活物質層上に未コーティング部、ピンホール(Pin Hole)、クラック(Crack)などの欠陥なく均一な厚さでコーティングされることで所望の安全性向上に寄与することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2003−123726号
【特許文献2】米国特許第2003167627号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、セラミックスコーティング層に未コーティング部、ピンホール、クラックなどの欠陥があると、その欠陥部位に電流が集中されて内部短絡が発生するようになり、短絡による初期熱が始発点になって電極活物質の熱分解と電解液の分解を過度に促進させてしまうという問題点があった。
【0012】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、セラミックスコーティング層を備えて熱的安全性を著しく向上させた電極組立体及びこれを備えた二次電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、陽極活物質層が形成された陽極、陰極活物質層が形成された陰極及び上記陽極と陰極がお互いに対向する面のうち少なくとも1つの面に形成されたセラミックスコーティング層とを含み、上記セラミックスコーティング層はセラミックス粉末及びバインダーを含んでなり、上記セラミックス粉末の比表面積は1.5m/g超過15.0m/g未満に形成される電極組立体が提供される。
【0014】
このとき、上記セラミックスコーティング層は、上記セラミックス粉末に上記バインダーと溶媒を混合して製造したセラミックスペーストを上記陽極または上記陰極にコーティングして形成されることができ、上記セラミックスペーストの粘度は20〜3000cpsであることがあり、コーティング後に乾燥されたセラミックスコーティング層の厚さの散布は10%未満であることができる。
【0015】
また、上記セラミックス粉末は、アルミナ、シリカ、ジルコニア、ゼオライト、マグネシア、酸化チタン及びバリウム酸チタンとを含む群から少なくとも1つ選択されることができ、上記バインダーはアクリレートゴム系列であることができる。
【0016】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、陽極活物質層が形成された陽極、陰極活物質層が形成された陰極及び上記陽極と上記陰極がお互いに対向する面のうち少なくとも1つの面に形成されたセラミックスコーティング層を含み、上記セラミックスコーティング層はセラミックス粉末及びバインダーを含んでなり、上記セラミックス粉末の粒度分布は10%の相対粒子含量での粒度(D10)が0.05μmを超過し、90%の相対粒子含量での粒度(D10)が3.0μm未満に形成されることを特徴とする、電極組立体が提供される。
【0017】
この場合にも上記セラミックスコーティング層は、上記セラミックス粉末に上記バインダーと溶媒を混合して製造したセラミックスペーストを上記陽極または上記陰極にコーティングして形成され、上記セラミックスペーストの粘度は20〜3000cpsであることができ、コーティング後に乾燥されたセラミックスコーティング層の厚さの酸度は10%未満であることができる。また、上記セラミックス粉末は、アルミナ、シリカ、ジルコニア、ゼオライト、マグネシア、酸化チタン及びバリウム酸チタンとを含む群から少なくとも1つ選択されることができ、上記バインダーはアクリレートゴム系列であることができる。
【0018】
一方、本発明の他の次元による電極組立体は、陽極活物質層が形成された陽極、陰極活物質層が形成された陰極及び上記陽極と上記陰極がお互いに対向する面のうち少なくとも1つの面に形成されたセラミックスコーティング層を含み、上記セラミックスコーティング層はセラミックス粉末及びバインダーを含んでなり、上記セラミックス粉末の比表面積は1.5m/g超過15.0m/g未満に形成され、上記セラミックス粉末の粒度分布は10%の相対粒子含量での粒度(D10)が0.05μmを超過し、90%の相対粒子含量での粒度(D90)が3.0μm未満に形成されることを特徴とする。
【0019】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、電極組立体、上記電極組立体を収容するように上部が開口された缶及び上記缶の開口された部分を封止するキャップ組立体を含み、上記電極組立体は陽極活物質層が形成された陽極、陰極活物質層が形成された陰極及び上記陽極と上記陰極がお互いに対向する面のうち少なくとも1つの面に形成されたセラミックスコーティング層を含み、上記セラミックスコーティング層はセラミックス粉末及びバインダーとを含んでなり、上記セラミックス粉末の比表面積は1.5m/g〜15.0m/gであり、上記セラミックス粉末の粒度分布は10%の相対粒子含量での粒度(D10)が0.05μmを超過し、90%の相対粒子含量での粒度(D90)が3.0μm未満に形成されることを特徴とする、二次電池が提供される。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように本発明によれば、セラミックス粉末の比表面積及び粒度分布を調節してセラミックス粉末をピンホール(Pin hole)、クラック(Crack)などの欠陥なく均一な厚さで電極にコーティングすることができる。
【0021】
また、本発明は、欠陥なく均一な厚さで電極にセラミックスコーティング層を形成することからセパレータが溶融されて内部短絡が発生される状況でも欠陥部位への電流集中を遮断して内部短絡の拡大を抑制する。
【0022】
また、本発明は、内部短絡の拡大を抑制することから活物質と電解液の熱分解を抑制する。
【0023】
また、本発明は、セラミックスコーティング層を所望の厚さで均一にコーティングすることから二次電池の短絡誘発確率を低下させて電極組立体の損傷を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態による二次電池の分解斜視図である。
【図2】図1でのA領域に対する拡大図である。
【図3】本発明の一実施形態によるセラミックス粉末の粒度累積分布を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0026】
本発明は、二次電池に関し、より詳しくは、セラミックスコーティング層を備えて熱的安定性を著しく向上させた電極組立体及びこれを備えた二次電池に関する。
【0027】
図1は、本発明の一実施形態による二次電池の分解斜視図であり、図2は図1でのA領域に対する拡大図である。
【0028】
図1及び図2を参照すれば、本発明の一実施形態による二次電池は、缶100、缶100に収容されてセラミックスコーティング層215を含む電極組立体200及び上記缶100の開口された部分を密封するキャップ組立体300を含んでなる。一方、図面では角形二次電池を示したが、これは本発明を例示するためのものであり、本発明は角形二次電池に限定されるものではない。
【0029】
缶100は、ほぼ直方体状を有する金属材料に形成され、それ自体が端子の役割を遂行することができるが、缶100の形状はこれに限定されるものではない。また、図示されないが、缶100は内部で発生された熱の外部放出をさらに容易になれるように放熱面積を拡大する所定形状の放熱面積拡大部が形成される。缶100は、その一面が開口された上端開口部101を含み、上端開口部101を介して電極組立体200が収納される。
【0030】
キャップ組立体300は、電極端子330、キャッププレート340、絶縁プレート350及びターミナルプレート360を含む。キャップ組立体300は、別途の絶縁ケース370によって電極組立体200と絶縁されながら缶100の上端開口部101に結合されて缶100を密封する。
【0031】
電極端子330は、後述する陽極210の陽極タブ217または後述する陰極220の陰極タブ227に連結されて陽極端子または陰極端子と作用するようになる。
【0032】
キャッププレート340は、缶100の上端開口部101と相応する大きさと形状を有する金属板に形成される。キャッププレート340の中央には、所定大きさの端子通孔341が形成され、端子通孔341には電極端子330が挿入される。電極端子330が端子通孔341に挿入されるときは、電極端子330とキャッププレート340の絶縁のために電極端子330の外面にはチューブ型のガスケット335が結合されて共に挿入される。キャッププレート340の一側には、電解液注入口342が所定大きさに形成され、他側には安全ベント(図示せず)が形成される。安全ベントは、キャッププレート340の断面の厚さを薄くして一体に形成される。キャップ組立体320が缶100の上端開口部101に組立てられた後に電解液注入口342を介して電解液が注入されて電解液注入口342は栓343によって密閉される。
【0033】
電極組立体200は、ゼリーロール(Jelly−roll)状に巻回される陽極210、陰極220及び陽極と陰極がお互いに対向する面のうち少なくとも1つの面に形成されたセラミックスコーティング層215を含むことができる。また、図示するように本実施例による二次電池は、陽極210と陰極220との間に介在されて共に巻回されるセパレータ230をさらに含むことができる。しかし、本実施例ではこのようなセパレータ230を省略することもできる。
【0034】
陽極210は、アルミニウム薄膜からなる陽極集電体211と陽極集電体211の両面にコーティングされるリチウム系酸化物を主成分とする陽極活物質層213を含む。また、図示されないが、陽極集電体211上には陽極活物質層213が陽極集電体211の両面または一面には、コーティングされない領域である陽極無地部(cathode uncoated parts)が陽極集電体211の両端にそれぞれ形成される。陽極無知部(図示せず)には、陽極タブ217が備えられる。陽極タブ217が電極組立体200から引出される部分には短絡を防止するために絶縁テープ218が巻かれている。
【0035】
陰極220は、薄板の銅ホイルからなる陰極集電体221と陰極集電体221の両面にコーティングされた炭素材を主成分にする陰極活物質層223を含んでいる。また、図示されないが、陰極集電体221には陰極活物質層223が陰極集電体211の両面または一面には、コーティングされない陰極無地部(anode uncoated parts)が陰極集電体221の両端にそれぞれ形成される。陰極無知部(図示せず)には、陰極タブ227が備えられる。陰極タブ227が電極組立体200から引出される部分には短絡を防止するために絶縁テープ218が巻かれている。本実施形態では、電池の陽極活物質及び陰極活物質は、LiCoOとグラファイトからなる。
【0036】
セラミックスコーティング層215は、セラミックス粉末にバインダーと溶媒を混合して製造したセラミックスペーストを陽極と陰極がお互いに対向する面のうち少なくとも1つの面にコーティングして形成される。
【0037】
お互いに対向する2つの電極210、220の電極面のうち少なくとも一方にセラミックスコーティング層215が形成されるようにするためには、例え、2つの電極を積層し、巻回してなるゼリーロール状の電極組立体では、i)2つの電極それぞれの外側面にセラミックスコーティング層を形成する。或いは、ii) 2つの電極それぞれの内側面にセラミックスコーティング層を形成するか、iii)2つの電極のうち一電極の内側面及び外側面の両側にセラミックスコーティング層を形成することもできる。
【0038】
図2では、一例として上記iii)の場合として、陽極210の内側面及び外側面の全部にセラミックスコーティング層215を形成したことを示しているが、本発明はここに限定されず、上記のi)、ii)、iii)全部に該当することができる。
【0039】
このようなセラミックスコーティング層215は、PP、PEなどのフィルム上のセパレータ230の役割を有する。このとき、セラミックスコーティング層215に含まれるセラミックス粉末はアルミナ、シリカ、ジルコニア、ゼオライト、マグネシア、酸化チタン及びバリウム酸チタンとを含む群から選択される少なくとも1つ以上を含んでなるが、これを分解温度は1000℃以上であるため、二次電池を製作するときに内部短絡に対する熱的安全性が著しく高くなる。
【0040】
また、フィルム上のポリオレフィン系セパレータ230は、100℃以上の高温で収縮または溶融される問題点があるが、セラミックスコーティング層215が、陽極活物質層213または陰極活物質層223上にコーティング接着されて電極210、220と一体化されていて、セラミックスコーティング層215の耐熱性が優れていることから二次電池の内部短絡発生時の温度が100℃以上に上昇してもセラミックスコーティング層215が収縮もしくは溶解する懸念はない。
【0041】
PP、PEのポリオレフィン系のフィルムセパレータ230は、内部短絡時の初期発熱によって損傷された部分に加えてその周辺フィルムが継続に収縮されるか溶解してフィルムセパレータ230が燃えてなくなる部分が拡大されるので、より深刻な短絡拡大を発生させるようになる。しかし、セラミックスコーティング層215を含む電極210は、内部短絡が発生してもその部分のみ小さな損傷があるだけで周辺のセラミックスコーティング層215が収縮するか溶融される問題がないことから短絡部位が拡大される現象につながらない。
【0042】
また、高い空隙率のセラミックス粉末を用いることから良好な高率充放電特性を有してセラミックスコーティング層215が電解液を迅速に含湿することから電解液の注液速度を向上させて生産性の優れたリチウムイオン電池を得ることができるようにする。また、充放電サイクルが進行されることによって極板の間の電解液が分解されながら枯渇するようになるが、含湿力が高いセラミックスコーティング層215は周囲の電解液を吸いこんで電極に供給されるため寿命特性も向上される。
【0043】
このとき、セラミックスコーティング層215がPP、PEからなるフィルム形式のセパレータ230の機能も可能であるが、より高い安全性のためにポリオレフィン系フィルムセパレータ230とセラミックスコーティング層215を兼用して用いることもでき、前述したようにポリオレフィン系のフィルムセパレータ230を除去してセラミックスコーティング層215のみ形成して既存のポリオレフィン系セパレータ230を取り替えることもできる。
【0044】
一方、セラミックスペーストをなす溶媒は、NMP(N―Methyl pyrrolidone)、シクロヘキサノン(Cyclohexanone)、水、トルエン(Toluene)、キシレン(Xylene)を含む群から少なくとも1つを含む。溶媒は、セラミックス粉末とバインダーの分散を助ける分散媒の役割をした後に乾燥過程で全部揮発されるので最終的にセラミックスコーティング層をなすものはセラミックス粉末とバインダーである。
【0045】
セラミックス粉末とバインダーの最適重量の割合は、セラミックスとバインダーの種類によって変わることができるが、普通のバインダーは10質量%以下で用いられる。その理由は、セラミックスコーティング層215が短絡面積の拡散を防止する効果を出すためには高耐熱性セラミックス粉末の量が重要であり、バインダーはセラミックス粉末が脱落しない程度の最小限の接着力を維持することができる量だけ必要であるためである。
【0046】
バインダーは、炭素を含む有機物質として、アクリレートゴム系列に形成できるが、内部短絡が発生して分解温度以上に二次電池の温度が上がれば燃焼する。しかし、セラミック粉末は、無機金属酸化物として1000度以上の耐熱性を有している。よって、セラミックスコーティング層をなすセラミックス粉末とバインダーのうち90質量%以上はセラミックス粉末が占めるようになる。なお、バインダーとして用いるアクリレートゴム系列は、2−エチルヘキシルアクリレート(2Ethylhexylacrylate)、メトキシメチルアクリレート(Metoxymethylacrylate)、メチルアクリレート(Methylacrylate)、メトキシエチルアクリレート(Metoxyethyacrylate)、エチルアクリレート(Ethylacrylate)、エトキシエチルアクリレート(Etoxyethylacrylate)、プロピルアクリレート(propyleacrylate)、ブトキシエチアクリレー(Butoxyethyacrylate)、ブチルアクリレート(Butylacrylate)、メトキシエトキシアクリレート(Metoxyethoxyehylacrylate)、オクチルアクリレート(Octylacrylate)、ビニルメタクリレート(vinylmethacrylate)、ビニルアクリレート(vinylacrylate)、2−クロロエチルビニルエーテル(2−cloroethylvinylether),アリルメタクリレー(allyl methacrylate)、クロロ酢酸ビニル(cloroaceticacidvinyl)、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート(dicyclopentenyloxyethylacrylate)、クロロ酢酸アクリル(cloroaceticacidacryl)1、1−ジメチルプロペニルメタクリレート(1,1−dimethylpropenylmethacrylate)、クロロメチルスチレン(cloromethylstyrene)、1、1−ジメチルプロペニルアクリレート(1,1−dimethylpropenylacrylate)、グリシジルアクリレート(glicizileacrylate)、ビニルグリシジルエーテル(vinylglicizileether)、アクリルグリシジルエーテル(acrylglicizileether)、アクリルグリシジルエーテル(acrylglicizileether)、アクリル酸(acryl acid)、無水マレイン酸(Maleic Anhydride),アクリルニトリル(Acrylonitrile)、メタクリル酸(methacrylacid)、3、3−ジメチルブテニルメタクリレート(3,3−dimethylbutenylmethacrylate)、イタコン酸ジビニル(Itaconicaciddivinyl)、マレイン酸ジビニル(Maleic acid divinyl)、ビニル−1、1−ジメチルプロペニルエーテル(vinyl 1,1−dimethylpropenylether)、ビニル−3、3−ジメチルブテニルエーテル(vinyl 3,3−dimethylbutenylether)、1−アクリロイルオキシ−1−フェニルエーテル(1−acryloiruoxy−1−phenylethen)、3、3−ジメチルブテニルアクリレート(3,3−dimethylbutenylacrylate)、メチルメタクリレート(Methyl methacrylate)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0047】
したがって、セラミックス粉末がセラミックスペーストの性質を左右するようになる。このとき、上記のような二次電池の熱的安定性向上のためにはセラミックス粉末が電極に欠陥なく均一にコーティングされなければならない。すなわち、セラミックス粉末が電極活物質層上に未コーティング部、ピンホール(Pin Hole)、クラック(Crack)などの欠陥なく均一な厚さでコーティングされなければならない。
【0048】
したがって、セラミックス粉末の物性を調節する必要があるが、セラミックスペーストの流動性、安定性及び分散性が重要であり、それによってセラミックスコーティング層のコーティング品質が左右される。
【0049】
流動性というのは、ペーストが動くか否かを示すものであり、粘度として確認することができる。粘度が低いと流動性が高いことで粘度が高いと流動性が低いことと判断する。
【0050】
安定性は、セラミックス粉末と溶媒、バインダーがどれくらい均一にミキシング混合されているかを示すものである。均一に混合されてないと、溶媒とバインダーとセラミックス粉末とは別々にそれぞれの層分離が起きる。これは沈降テストを介して確認することができる。沈降テストは、セラミックスペーストをメスシリンダーに入れて一定時間後に層分離変化を確認することとして、比重が低い物質が上層に浮かぶようになり、比重の高い物質は下側に沈降するようになる。ミキシングがよくできて均一に混合されていたら層分離があまり起きない。
【0051】
分散性というのは、セラミックス粉末が溶媒とバインダーとの間にどれくらい均一に、固まらずによく分散されているかを示すものである。セラミックス粉末同士が固まって溶解できないと、大きい粒子を作るようになり、このような粒子によってセラミックスコーティング層にピンホール(Pin hole)やライン模様、粒子突出などの欠陥が発生することができる。分散性は、ギャップゲージ(Gap Gage)を利用してどれくらいの大きさの粒子がセラミックスペースト内に存在するかを知ることができる。
【0052】
このようなすべての物性は、セラミックス粉末の比表面積と粒度分布に最も影響を受けるようになる。よって、本発明の一実施形態による二次電池は、このようなセラミックス粉末の比表面積と粒度分布を限定して二次電池の寿命、熱的安定性などの性能向上を実現する。
【0053】
これに、本発明の一実施形態によるセラミックスコーティング層に含まれるセラミックス粉末の比表面積は、1.5m/gを超えて15.0m/g未満に形成され、セラミックス粉末の粒度分布は10%の相対粒子含量での粒度(以下、D10)が0.05μmを超えて、90%の相対粒子含量での粒度(以下、D90)が3.0μm未満に形成される。ここで、D10とは、その粉体の集団の全体積を100%として累積カーブを求めたとき、その累積カーブが10%となる点の粒子径を指す。また、ここで、D90とは、その粉体の集団の全体積を100%として累積カーブを求めたとき、その累積カーブが90%となる点の粒子径を指す。
【0054】
比表面積は、単位重量当たり全体表面の面積を意味することで、単位はm/gを使用する。大体に比表面積が大きいと、粉末粒径が小さくてポーラス(Porous)であるものであり、比表面積が小さいと粉末粒径が大きいかノンポーラス(Non Porous)であるもので比表面積と粒径は反比例関係である。
【0055】
この場合、一定量のバインダーを入れたときにセラミックス粉末の比表面積が、15.0m/g以上であれば、バインダーが広い粒子表面にくっついてセラミックスペーストの溶媒内には必要な量のバインダーが存在しないので、ペーストの粘度は下落し、セラミックスコーティング層を活物質上にコーティングしたときにセラミックスコーティング層と活物質層の界面間の接着力やセラミックス粉末同士の接着力は下落するようになる。
【0056】
反対に、一定のバインダー量を入れたときにセラミックス粉末の比表面積が1.5m/g以下であれば、余分のバインダーがペーストの溶媒内に残るようになるので、ペーストの粘度は増加する傾向を示す。そのため、セラミックスコーティング層を活物質層上にコーティングしたときに余剰のバインダーが硬くなり、活物質層を引っぱる応力で作用するようになって、電極集電体と活物質層との接着力を下落させるようになる。よって、前述したように本発明の一実施形態によるセラミックス粉末の比表面積は1.5m/gを超えて15.0m/g未満に形成される。
【0057】
このとき、セラミックスペーストの粘度は、20〜3000cpsに形成される。セラミックスペーストの粘度が20cps未満であれば、低粘度であるためコーティングが不可能であり、3000cpsを超えると高粘度であることからコーティングが不可能であるためでる。上記粘度は、25℃で測定される粘度を指す。
【0058】
また、D10値が0.05μm以下であるとは、微粉が多く存在するという意味であるが、微粉が多く存在すれば微粉同士に凝集されて固まりを形成するようになって均一に分散されたペーストを製作することができない。このとき、微粉のためペーストの粘度が高くなり、部分的にゲル化(Gel)される現象が起きる場合がある。微粉凝集によって粒子が生じて粒子によってライン模様現象等が発生してコーティング性も悪化され、ひどい場合はゲル化まで進行されたペーストはコーティングしてもコーティングの厚さが不均一になって欠陥も多く生ずるようになる場合もある。
【0059】
また、D90値が3μm以上であれば、大きい粒子が部分的に存在するという意味であるが、D90値が3μm以上のセラミックス粉末でペーストを製作すると大きい粒子は密度が高くて下層に沈むようになる。したがって、ペーストの層分離現象が起きるようになって不安定になる。また、大きい粒子自体が粒になるのでコーティング性も悪くなる。
【0060】
したがって、前述したように本発明の一実施形態によるセラミックス粉末の粒度分布は、10%の相対粒子含量での粒度(以下、D10)が0.05μmを超過し、90%の相対粒子含量での粒度(以下、D90)が3.0μm未満に形成される。
【0061】
図3は、本発明の一実施形態によるセラミックス粉末の粒度累積分布を示したグラフである。図3で本発明の一実施形態による良好なセラミックス粉末の粒度分布を確認することができる。
【0062】
一方、本発明の一実施形態によるセラミックスコーティング層を形成するセラミックス粉末の比表面積及び粒度分布を有するセラミックスコーティング層の厚さの散布(ばらつき、標準偏差)は10%の未満に形成される。厚さの散布は、小さいほど好ましいのでこの場合に下限値は意味をなさない。上記厚さについては、SEMによる断面観察によって測定される。また、上記10%未満に形成されるとは、例えば10μmのセラミック層を形成することを目的とした場合において、10μmの10%に当たる1μm未満のばらつきの範囲内で形成されるということを指し、9μm超過11μm未満に形成される。
【0063】
上述のように本発明の一実施形態による電極組立体及びこれを備えた二次電池は、セラミックス粉末の比表面積及び粒度分布を調節してセラミックス粉末をピンホール(Pin hole)、クラック(Crack)などの欠陥なく均一な厚さで電極にコーティングすることができる。よって、結合部位への電流集中を遮断して内部短絡の発生を抑制することから活物質と電解液の熱分解を抑制する。
【0064】
また、セラミックスコーティング層が均一な厚さでコーティングされるので、極板をゼリーロール状で巻いたときに所望の大きさで精緻に形成される。すなわち、セラミックスコーティング層が目標の厚さより薄くコーティングされて外部衝撃や震動が加えられる場合の短絡誘発確率を低下させることができる。また、非常に厚くコーティングされて缶の中に挿入さえもならないかやっと挿入されても無理な外部力が加えられることからゼリーロール状の電極組立体が外側が缶入口にかかって破れるか掻かれる損傷を受けることを防止することができる。
【実施例】
【0065】
以下、本発明の実験例によって本発明の一実施形態によるセラミックス粉末の物理的な性質についてより詳しく説明する。但し、本実験例は、本発明を例示するためのものであり、本発明は本実験例に限定されるものではない。
【0066】
(実験例1)
実験例1では、セラミックス粉末の比表面積によるセラミックスペーストの粘度、層分離可否及び粒子形成可否とセラミックスコーティング層の厚さの均一度及びセラミックスコーティング層の欠陥を測定した。表1は、セラミックス粉末の比表面積によるセラミックスペーストの粘度、層分離可否及び粒子可否とセラミックスコーティング層の厚さの均一度及びセラミックスコーティング層の欠陥、上記セラミックを用いた電池の耐性試験結果を示した表である。本実施例で用いるセラミックスペーストは全て、95wt%のセラミックス粉末と、5wt%のバインダー(ブチルアクリレート)と、400wt%の溶剤(NMP)から構成される。また、本実施例で用いた電池の陽極活物質及び陰極活物質は、LiCoOとグラファイトからなる。
【0067】
セラミックス粉末の比表面積は、アメリカマイクロメリティックス社のASAP2020を利用し、使用ガスとしてはNガスを利用した。
【0068】
セラミックスペーストの粘度(cps)は、#62スピンドル(Spindle)を利用して回転数50rpmに測定した。粘度計として、アメリカブルックフィールド社のDV−2+PROを用いた。このとき、(1)20cps以下は極限底粘度であるため、コーティングが不可能であることからNGに表示した。(2)20〜3000cpsはコーティングに適合な粘度範囲であるため、OKに表示した。(3)3000cps以上は極限高粘度であるため、コーティングが不可能であることからNGに表示した。上記粘度は、25℃で測定される粘度を指す。
【0069】
セラミックスペーストの層分離可否は、10mlメスシリンダにセラミックスペースト10mlを入れて3日間に放置後に肉眼で層分離可否を確認した。上部に浮かんでいる溶媒層の高さが全体セラミックスペースト高さの10%以上であるときに層分離に判定した。この場合、層分離がないときはOKに、層分離があるときはNGに表示し、層分離はないがゲル(gel)化さればNGに表示した。
【0070】
セラミックスペーストの粒子形成可否は、ギャップゲージ(Gap Gage)のギャップを調節して所望の厚さでセラミックスペーストコーティング後に粒子存在可否を肉眼で確認した。この場合、ギャップより大きい粒子が存在時に未コーティング部分にライン模様が生ずることを確認した。ライン模様がないときはOKに、ライン模様があるときはNGに表示した。
【0071】
セラミックスコーティング層の厚さの均一度は、銅箔機材の上にセラミックスペーストをコーティングして乾燥した後に厚さの散布を測定した。厚さの散布が10%未満のときはOKに、10%以上のときはNGに表示した。
【0072】
セラミックスコーティング層の欠陥は、ピンホール(Pin hole)、クラック(Crack)、未コーティング部及びライン模様などを欠陥に定義し、欠陥面積が正常面積対比5%未満のときはOKに、5%以上のときはNGに表示した。
【0073】
電池の耐性試験の一つとして、釘貫通試験を行った。当該釘貫通試験については、120%に過充電した電池に釘を貫通した後に当該電池の破裂度合いを調べた。一つのサンプルにつき、30回行い、24回以上破裂するか否かで、OK、もしくはNGと判定した。
【0074】
電池の耐性試験の一つである150℃オーブン試験を行った。当該150℃オーブン試験については、まず、100%に充電した電池をオーブンに入れた。次に、オーブンを毎分5℃の割合で150℃に昇温して150℃で一時間放置した。一つのサンプルにつき、30回行い、24回以上破裂するか否かで、OK、もしくはNGと判定した。
【0075】
電池の耐性試験の一つであるバー衝撃試験を行った。当該バー衝撃試験については、まず、100%に充電した電池に5mm直径の鉄のバーを置いて、1mの高さから当該鉄のバー上に9kNの鉄の塊を落とした。一つのサンプルにつき、30回行い、24回以上破裂するか否かで、OK、もしくはNGと判定した。
【0076】
【表1】

【0077】
【表2】

【0078】
比較例1〜比較例16は、セラミックス粉末の各成分別に1.50m/g以下の小さい比表面積と、15.0m/g以上の大きい比表面積を有する粉末を示している。
【0079】
実施例1〜実施例16は、各成分種類別に1.5m/g超過15m/g未満範囲の比表面積を有するセラミックス粉末を比較例1〜比較例16のような方法で評価したものである。
【0080】
まず、このセラミックス粉末とバインダー5%及びNMP溶媒を混合ミキシングしてセラミックスペーストを製作した。引き続き、製作したペーストに対してそれぞれの流動性、安全性、分散性を確認した後に陰極極板の活物質層上にセラミックスコーティング層をコーティング乾燥した。セラミックスコーティング層のコーティング性は、大きく厚さの均一度と欠陥可否で判断することができる。すなわち、厚さが欠陥なく均一なものがコーティング性が良いものである。
【0081】
表1、および表2を参照すれば、1.50m/g以下の小さい比表面積と、15.0m/g以上の大きい比表面積を有する粉末を使用したとき、すなわち、比較例1〜比較例16の場合にはペーストの物性が良くなくてその結果としてコーティング品質も良くないことが分かる。
【0082】
一方、本発明の一実施形態に含まれる範囲の実施例1〜実施例16の場合にはペーストの物性及びコーティング品質が良好さを確認することができる。また、電池の耐性も、比較例1〜16の場合に比較して、実施例1〜16の場合では良好な結果を得ることができた。
【0083】
(実験例2)
実験例2では、セラミックス粉末の粒度分布によるセラミックスペーストの粘度、層分離可否及び粒子形成可否とセラミックスコーティング層の厚さの均一度及びセラミックスコーティング層の欠陥を測定した。表3、4は、セラミックス粉末の粒度分布によるセラミックスペーストの粘度、層分離可否及び粒子可否とセラミックスコーティング層の厚さの均一度及びセラミックスコーティング層の欠陥と電池の耐性試験結果を示した表である。
【0084】
セラミックス粉末の粒度は、日本マイクロトラック(Microtrack)社のHRAモデルを用いた。D10、D90は、それぞれ10%及び90%の相対粒子含量での粒度をいう。セラミックスペーストの粘度、層分離可否及び粒子形成可否とセラミックスコーティング層の厚さの均一度とセラミックスコーティング層の欠陥可否と電池の耐性試験に対する測定条件は実験例1と同一に形成した。
【0085】
【表3】

【0086】
【表4】

【0087】
比較例17〜比較例32のうち奇数番号は、セラミックス粉末の粒度分布のうちD10値が0.05μm以下のものであり、偶数番号はD90値が3μm以上のものである。実施例1〜実施例12は、セラミックス粉末の粒度分布のうちD10値は0.05μm超過、D90値は3μm未満の場合である。
【0088】
表3、4を参照すれば、D10値が0.05μm以下またはD90値が3μm以上の場合、すなわち、比較例17〜比較例32の場合にはペーストの物性が良くなく、その結果としてコーティング品質も良くないことが分かる。
【0089】
一方、本発明の一実施形態による範囲である実施例17〜実施例32の場合にはペーストの物性及びコーティング品質が良好さを確認することができた。
【0090】
前述したように実施例17〜実施例32の場合、良好なセラミックス粒度累積分布を図3で確認することができる。また、電池の耐性も、比較例17〜32の場合に比較して、実施例17〜32の場合では良好な結果を得ることができた。
【0091】
(実験例3)
実験例3では、セラミックス粉末の比表面積及び粒度分布によるセラミックスペーストの粘度、層分離可否及び粒子形成可否とセラミックスコーティング層の厚さの均一度及びセラミックスコーティング層の欠陥を測定した。表5、6は、セラミックス粉末の粒度分布によるセラミックスペーストの粘度、層分離可否及び粒子可否とセラミックスコーティング層の厚さの均一度とセラミックスコーティング層と電池の耐性試験の欠陥を示した表である。
【0092】
【表5】

【0093】
【表6】

【0094】
比較例33〜比較例48は、セラミックス粉末の各成分別に比表面積が1.50m/g以下または1.5m/gを超過する場合でありながらセラミックス粉末の粒度分布のうちD10値が0.05μm以下またはD90値が3μm以上であるものである。
【0095】
実施例33〜実施例48は、セラミックス粉末の各成分種類別に比表面積が1.5m/g超過15m/g未満の場合でありながらセラミックス粉末の粒度分布のうちD10値は0.05μm超過、D90値は3μm未満の場合である。
【0096】
表5、6を参照すれば、セラミックス粉末の比表面積と粒度分布を同時に限定してもペーストの物性及びコーティング品質の譲渡した範囲は以前の実験例1及び2よりも狭くならないことを確認することができる。すなわち、セラミックス粉末の粒度分布のうちD10値が0.05μmを超えて、D90値が3μm未満の場合であれば、比表面積は1.5m/gを超えて15m/g未満の範囲の場合であることが分かる。
【0097】
これはセラミックス粉末の粒径が比表面積と反比例関係でるため、比表面積と粒度分布それぞれが独立的にペーストの物性及びコーティング品質を決定するということを示している。すなわち、実験例1で、本発明の一実施形態による比表面積の範囲に属するものは実験例2で本発明の一実施形態による粒度分布の範囲に属する。また、電池の耐性も、比較例33〜48の場合に比較して、実施例33〜48の場合では良好な結果を得ることができた。
【0098】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0099】
100 缶
200 電極組立体
210 陽極
211 陽極集電体
213 陽極活物質層
215 セラミックスコーティング層
220 陰極
221 陰極集電体
223 陰極活物質層
230 セパレータ
300 キャップ組立体
330 電極端子
340 キャッププレート
370 絶縁ケース



【特許請求の範囲】
【請求項1】
陽極活物質層が形成された陽極と、
陰極活物質層が形成された陰極と、
前記陽極と前記陰極が互いに対向する面のうち少なくとも1つの面に形成されたセラミックスコーティング層と、
を備え、
前記セラミックスコーティング層は、セラミックス粉末及びバインダーを含み、
前記セラミックス粉末の比表面積は、1.5m/g超過15.0m/g未満に形成されることを特徴とする、電極組立体。
【請求項2】
前記セラミックスコーティング層は、前記セラミックス粉末に前記バインダーと溶媒を混合して製造したセラミックスペーストを、前記陽極または前記陰極にコーティングして形成されることを特徴とする、請求項1に記載の電極組立体。
【請求項3】
前記セラミックスペーストの粘度は、20〜3000cpsであることを特徴とする、請求項2に記載の電極組立体。
【請求項4】
前記セラミックスコーティング層の厚みの散布は、10%未満であることを特徴とする、請求項1〜3の何れかに記載の電極組立体。
【請求項5】
前記セラミックス粉末は、アルミナ、シリカ、ジルコニア、ゼオライト、マグネシア、酸化チタン及びバリウム酸チタンからなる群から選択される少なくとも1つ選択されることを特徴とする、請求項1〜4の何れかに記載の電極組立体。
【請求項6】
前記バインダーは、アクリレートゴム系列であることを特徴とする、請求項1〜5の何れかに記載の電極組立体。
【請求項7】
陽極活物質層が形成された陽極と、
陰極活物質層が形成された陰極と、
前記陽極と前記陰極が互いに対向する面のうち少なくとも1つの面に形成されたセラミックスコーティング層と、
を備え、
前記セラミックスコーティング層はセラミックス粉末及びバインダーを含み、
前記セラミックス粉末の粒度分布は、10%の相対粒子含量での粒度(D10)が0.05μmを超えて、90%の相対粒子含量での粒度(D90)が3.0μm未満に形成されることを特徴とする、電極組立体。
【請求項8】
前記セラミックスコーティング層は、前記セラミックス粉末に前記バインダーと溶媒を混合して製造したセラミックスペーストを、前記陽極または前記陰極にコーティングして形成されることを特徴とする、請求項7に記載の電極組立体。
【請求項9】
前記セラミックスペーストの粘度は、20〜3000cpsであることを特徴とする、請求項8に記載の電極組立体。
【請求項10】
前記セラミックスコーティング層の厚みの散布は、10%未満であることを特徴とする、請求項7〜9の何れかに記載の電極組立体。
【請求項11】
前記セラミックス粉末は、アルミナ、シリカ、ジルコニア、ゼオライト、マグネシア、酸化チタン及びバリウム酸チタンからなる群から選択される少なくとも1つ選択されることを特徴とする、請求項7〜10の何れかに記載の電極組立体。
【請求項12】
前記バインダーは、アクリレートゴム系列であることを特徴とする請求項7〜11の何れかに記載の電極組立体。
【請求項13】
陽極活物質層が形成された陽極と、
陰極活物質層が形成された陰極と、
前記陽極と前記陰極が互いに対向する面のうち少なくとも1つの面に形成されたセラミックスコーティング層と、
を備え、
前記セラミックスコーティング層はセラミックス粉末及びバインダーを含み、
前記セラミックス粉末の比表面積は1.5m/g超過15.0m/g未満に形成され、
前記セラミックス粉末の粒度分布は、10%の相対粒子含量での粒度(D10)が0.05μmを超過し、90%の相対粒子含量での粒度(D90)が3.0μm未満に形成されることを特徴とする、電極組立体。
【請求項14】
電極組立体と、
前記電極組立体を収容するように上部が開口された缶と、
前記缶の開口された部分を封止するキャップ組立体と、
を備え、
前記電極組立体は、陽極活物質層が形成された陽極と、
陰極活物質層が形成された陰極と、
前記陽極と陰極が互いに対向する面のうち少なくとも1つの面に形成されたセラミックスコーティング層と、
を有し、
前記セラミックスコーティング層はセラミックス粉末及びバインダーを含み、
前記セラミックス粉末の比表面積は1.5m/g〜15.0m/gであり、
前記上記セラミックス粉末の粒度分布は、10%の相対粒子含量での粒度(D10)が0.05μmを超過し、90%の相対粒子含量での粒度(D90)が3.0μm未満に形成される、二次電池。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−170421(P2009−170421A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−4716(P2009−4716)
【出願日】平成21年1月13日(2009.1.13)
【出願人】(590002817)三星エスディアイ株式会社 (2,784)
【Fターム(参考)】