説明

電気ケトル

【課題】機械式の沸騰検知スイッチによるヒータ加熱の停止機能、及び電気的に駆動される音響報知器による報知音の発生機能を併用しながらも、音響報知器駆動用の回路基板への水の付着が抑制された電気ケトルを提供する。
【解決手段】ケトル本体1内のヒータ8に対する通電を開始させる機能と、沸騰により発生する蒸気に応じて通電を停止する機能を有し、ケトル本体の把手2の上部に配置された沸騰検知スイッチ18と、ケトル本体内で発生する蒸気を導入して沸騰検知スイッチに接触させた後、外部に排出する蒸気通路16とを備える。音響報知器24と、沸騰検知スイッチの通電停止に応じて音響報知器を駆動する駆動回路を有する回路基板25とを更に備え、回路基板は、把手の内部に蒸気通路とは離間させて配置され、把手の内部に設けられた隔離空間26内に収容されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケトル本体の把手内に沸騰検知スイッチが配置され、沸騰により発生する蒸気により沸騰を検知してヒータによる加熱を停止するように構成された電気ケトルに関する。
【背景技術】
【0002】
電気ケトルは、ヒータを備えたケトル本体を給電台上に装着して電力の供給を受け、ヒータによりケトル本体の内容器内の水を加熱するように構成されている。加熱により得られる湯は、ケトル本体を電源台から持ち上げることで、取り出すことができる。従って電気ケトルは、コンロで加熱することにより湯を沸かすだけの、いわゆる「やかん」とは異なり、電源への接続により手軽に湯沸かしができ、かつ可搬型として手軽に取り扱うことができる。
【0003】
このような電気ケトルをより便利にするために、沸騰を検知してヒータによる加熱を終了させる機能が設けられている。沸騰の検知は、沸騰により発生する蒸気をバイメタル式の温度スイッチからなる沸騰検知スイッチに導き、その熱でバイメタルを作動させることにより行う。沸騰検知スイッチの作動により、沸騰を検知して電流を遮断し加熱を終了することができる。すなわち、実際に蒸気が発生している沸騰状態を、簡易な構成で確実に検知して、ヒータによる加熱を終了し不要な電気エネルギーの消費を抑制することができる。
【0004】
この種の電気ケトルでは、沸騰検知スイッチは、加熱を始動させるためのスイッチ操作部材を伴って構成される。スイッチ操作部材を待機姿勢から通電姿勢に切り替えることにより、沸騰検知スイッチのバイメタルの状態が操作され、通電が行われる。そして、沸騰を検知して電流が遮断されるときには、沸騰検知スイッチが遮断状態に切り替わることにより、スイッチ操作部材が待機姿勢へ復帰する。
【0005】
従って使用者は、スイッチ操作部材の待機姿勢への復帰動作、或いは蒸気口からの蒸気の放出状態で、加熱の終了を知ることができる。これに対して、沸騰状態をより認識し易いように、通電中はランプ表示を行ない、通電完了後はランプ表示が消えて、加熱完了を視覚的に確認できるように構成されたものもある。
【0006】
しかし、視覚的に認識する構成では、使用者が電気ケトルから離れた場所にいる場合、特に電気ケトルから視覚的に遮断された場所にいる場合は、加熱完了を認識できない。そのため、加熱完了を聴覚的にも認識できるようにすることが、例えば、特許文献1に開示されている。
【0007】
特許文献1に開示された電気ケトルは、加熱により発生する沸騰水から発生する蒸気を蒸気検知機構に導く蒸気路を備え、蒸気検知機構による蒸気検知に伴って加熱を停止するとともに、蒸気路入口に導かれる蒸気又は蒸気路内を流れる蒸気により音を発生する第1音発生機構、あるいは蒸気検知機構に蒸気が到達した時点での蒸気検知機構の機械的挙動により音を発生する第2音発生機構を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010−82384号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に開示された構成の場合、蒸気の流れあるいは温度により直接、音響的あるいは機械的に音を発生する。従って、十分な音量を得るためには、十分な蒸気量が必要であり、沸騰後の一定期間、加熱を終了させずに、音発生機構に対して蒸気を供給しなければならない。そのため、沸騰状態であるにも係わらず、ヒータに通電して無駄な電気エネルギーを消費することになる。
【0010】
これに対して、電気的に駆動される音響報知器、例えばブザーにより報知音を発生させることが考えられる。それにより、沸騰による蒸気に依存せずに、加熱完了を聴覚的に認識可能とすることができる。
【0011】
但し、ブザーを用いるためには、電気的な駆動回路を備えた回路基板を搭載する必要がある。その場合、沸騰検知スイッチとともにブザーを用いるため、沸騰検知スイッチを動作させるための蒸気経路の存在が障害となる。すなわち、蒸気に起因する水が回路基板に付着するおそれがあり、ショートやトラッキング等の問題の原因となることを回避しなければならないからである。従来の電気ケトルでは、沸騰検知スイッチ、ヒーター、及び空焚き検知スイッチ等の電装部品は用いられていたが、スイッチはバイメタルを用いた機械式であり、回路基板は搭載されていなかった。従って、回路基板に水が付着することを回避するための構造は採用されていない。
【0012】
従って本発明は、機械式の沸騰検知スイッチによるヒータ加熱の停止機能、及び電気的に駆動される音響報知器による報知音の発生機能を併用するために、音響報知器を駆動する回路基板に水が付着するおそれが低減された電気ケトルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の電気ケトルは、貯水用の内容器を有するケトル本体と、前記内容器を加熱するように前記ケトル本体内に配置されたヒータと、前記ケトル本体の外殻に設けられた把手と、前記内容器の開口部を含む前記ケトル本体の開口部を開閉自在に封鎖する蓋体と、前記ヒータに対する通電を開始させる操作が可能とする機能、及び沸騰により発生する蒸気に応じて通電を停止する機能を有し、前記把手の上部に配置された沸騰検知スイッチと、前記ケトル本体内で発生する蒸気を導入して前記沸騰検知スイッチに接触させた後、外部に排出する蒸気通路とを備える。
【0014】
上記課題を解決するために、本発明の電気ケトルは、電気的に駆動される音響報知器と、前記沸騰検知スイッチによる通電停止に応じて前記音響報知器を駆動する報知器駆動回路が設けられた回路基板とを更に備え、前記回路基板は、前記沸騰検知スイッチの下方の前記把手の内部に前記蒸気通路とは離間させて配置され、前記把手の内部に設けられた隔離空間内に収容されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
上記構成によれば、沸騰による蒸気に依存せずに、加熱完了を聴覚的に認識可能とすることができ、しかも、音響報知器を駆動する報知器駆動回路が設けられた回路基板は、把手の内部に形成された隔離空間内に収容されるので、回路基板に水が付着するおそれが低減される。それにより、機械式の沸騰検知スイッチによるヒータ加熱の停止機能と、音響報知器による報知音の発生機能を共存させることが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態における電気ケトルの外観を示す正面図
【図2】同電気ケトルの断面図
【図3】同電気ケトルの図2における把手2の部分を拡大して示す断面図
【図4】同電気ケトルの動作を制御する通電制御回路を示す回路図
【図5】同通電制御回路の一部を構成するブザー駆動回路を示す回路図
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の電気ケトルは、上記構成を基本として、以下のような態様をとることができる。
【0018】
すなわち、前記隔離空間は、前記把手の内壁面が形成する凹部形状の基板ケースと、前記基板ケースの開放面を覆う基板カバーにより構成され、前記回路基板は前記基板カバーにより、前記基板ケースに固定された構成とすることができる。これにより、基板カバーが、隔離空間の形成と回路基板の固定を兼ねるので、把手内の狭い空間に回路基板を簡素な構造で搭載することができる。
【0019】
また、前記沸騰検知スイッチは、外部から操作するためのスイッチ操作部材を有し、前記スイッチ操作部材は前記把手に設けられた操作孔内に配置され、前記基板ケースを形成する壁の開放端は、水平方向において前記操作孔の周縁よりも外方に突出している構成とすることができる。これにより、回路基板に水が付着するおそれをより確実に低減することができる。
【0020】
また、前記報知器駆動回路は、前記沸騰検知スイッチと前記ヒータの間に前記ヒータと並列に接続されており、前記ヒータに対する通電中に充電されるキャパシタと、前記沸騰検知スイッチによる通電停止に伴い前記キャパシタに充電された電荷を前記音響報知器を介して放電する放電経路を形成する制御回路とを有する構成とすることができる。これにより、沸騰後速やかにヒータに対する通電を停止しても、十分な音量で音響報知器により報知音を発生させることを、簡単な回路構成で実現でき、無駄な電気エネルギーの消費を回避できる。
【0021】
以下、本発明の実施の形態における電気ケトルについて、図面を参照しながら説明する。
【0022】
(実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態における電気ケトルの外観を示す正面図である。この電気ケトルは、ケトル本体1と、ケトル本体1の外殻に設けられた把手2と、ケトル本体1の上部の開口部を開閉自在に封鎖する蓋体3と、ケトル本体1が載置される給電台4を備えている。ケトル本体1の上部に、給湯口5が設けられている。
【0023】
この電気ケトルの内部構造を図2に示す。ケトル本体1は、ステンレス鋼などよりなる金属製の内容器6を樹脂製の外装ケース7に収容して構成されている。ケトル本体1の下部には内容器6に接してヒータ8が配置され、内容器6に貯蔵された水をヒータ8により加熱して湯沸かしを行うことができる。蓋体3には、内容液をケトル本体1の上端前部に向け注出させる注出路9と、この注出路9を開閉する開閉機構10と、蒸気を外部に逃がす転倒時止水機能付きの蓋蒸気通路11とが設けられている。
【0024】
蓋体3によって内容器6を閉じ、蓋体3に設けた注出路9を開閉機構10によって開いたときだけ内容液を注出できる。従って、湯沸かし時を含む非注出時にケトル本体1が転倒しても、注出路9を通じた内容液の流出は防げられる。また、蒸気は蓋体3に設けられた蓋蒸気通路11を通じて所定の経路で、蓋体3の後部の蒸気放出口12から放出される。蓋蒸気通路11は常時開放されており、湯沸かし時はもとより、その後も、発生する蒸気を蓋体3の蒸気放出口12から外部に放出して、ケトル本体1内の圧力が上昇することを防止する。
【0025】
蒸気放出口12は、所定の安全な位置、具体的には、開閉機構10の蓋体3外部からの給湯操作部13や、蓋体3の外部からの着脱機構14の外部操作部が設けられる位置から離れた位置にあり、ケトル本体1の給湯口5から無制限に蒸気が放出される危険を防止できる。また、転倒時止水機能、つまり蓋蒸気通路11に設けた転倒時止水弁15が、ケトル本体1の転倒に応動して蓋蒸気通路11を塞ぐ位置に移動する。この止水機能により、ケトル本体1が転倒しても、内容液が蓋蒸気通路11を通じて流出するのを防止することができる。
【0026】
把手2の上部には、ケトル本体1内で発生する蒸気を把手2内に導入し排出するための蒸気通路16が設けられている。蓋体3の蒸気放出口12により湯沸かし時のケトル本体1から生じる蒸気を放出する機能は、位置や範囲が制限されている。従って、外部への放出が制限されることにより生じる蒸気圧により、ケトル本体1で発生する蒸気の一部を、ケトル本体1側から把手2側の蒸気通路16に流入させて排出することができる。これにより、蒸気通路16の途中から検知室17を分岐させて、検知室17に流入する蒸気が沸騰検知スイッチ18に接触するように構成されている。
【0027】
ケトル本体1は、その底部の下面に定置面19を有し、この定置面19によって給電台4の上に載置される。その際、給電台4に設けられた外部給電器具20にケトル本体1の内部給電器具21が接続され、給電台4に接続された家庭用電源から給電される。湯沸かし完了後は、給電台4からケトル本体1を取り外して把手2により持ち運び、必要位置に単独で定置し、その場で繰り返し注出に使用することができる。
【0028】
以下に、沸騰検知スイッチ18に関連する構造、およびその動作について、図3も参照して説明する。図3は、図2における把手2の部分を拡大して示す断面図である。蒸気通路16から検知室17への分岐箇所では、検知室17への蒸気の流入域が規制され、片寄った範囲から適量流入させる構造になっており、流入蒸気との拮抗なくスムーズに蒸気通路16に蒸気を戻し、蒸気を更新性よく沸騰検知スイッチ18に接触させることができる。
【0029】
沸騰検知スイッチ18は、把手2の上部内に検知室17に隣接して、センサユニットとして内蔵される。沸騰検知スイッチ18はバイメタルスイッチにより構成され、蒸気温度による沸騰検知とそれに伴う給電のオフ動作を行なう。沸騰検知スイッチ18が沸騰を検知したとき、ヒータ8への通電を遮断するので、特別な制御、蓋体3側の電気装備なしに、加熱を停止することができる。
【0030】
把手2には操作孔22が設けられ、操作孔22内にスイッチ操作部材23が配置されている。スイッチ操作部材23は沸騰検知スイッチ18に係合し、沸騰検知スイッチ18を外部から操作可能とする部材である。すなわち、沸騰検知スイッチ18がヒータ8に対する通電を遮断している状態でスイッチ操作部材23を押すことにより、バイメタルが変位して、沸騰検知スイッチ18はヒータ8に対する通電をオンとする姿勢に操作される。通電中はその姿勢を保持し、ケトル本体1内で発生する蒸気による昇温に応じてバイメタルが動作し、沸騰検知スイッチ18は通電をオフとする姿勢に復帰する。それに伴い、スイッチ操作部材23も元の状態に復帰する。
【0031】
本実施の形態の電気ケトルでは、把手2の内部にブザー24が配置されている。ブザー24は、沸騰検知スイッチ18による通電停止動作に応じて駆動されて報知音を発生し、加熱完了が音響的に報知される。ブザー24は、電気的に駆動される音響報知器であれば、他のどのような形態のものと置き換えてもよい。ブザー24を駆動するブザー駆動回路は、把手2の内部に配置された回路基板25に設けられている。
【0032】
本実施の形態のように、沸騰検知スイッチ18を用いるためには、蒸気通路16が必要であり、併せてブザー24等の電気的に駆動される音響報知器を採用する場合、回路基板25に水が付着してショートやトラッキング等の問題が生じる恐れが生じる。従って、回路基板25に対する水滴の接触を防止する構造が必要である。
【0033】
そのため、回路基板25及びブザー24は、把手2の内部における蒸気通路16とは離間した位置に配置される。しかし、回路基板25は、沸騰検知スイッチ18の下方に位置することになる。スイッチ操作部材23と操作孔22の間には、構造上、隙間が必要であり、誤使用等により水が浸入する恐れがあるので、回路基板25は、把手2の内部に形成された隔離空間26内に収容されている。これにより、例えば把手2の上部にある操作孔22から水が浸入した場合でも、回路基板25に水が付着することを回避できる。
【0034】
隔離空間26は、把手2の内壁面が形成する凹部形状の基板ケース27と、基板ケース27の開放面を覆う基板カバー28により構成されている。基板カバー28の内側には基板固定用ボス28aが形成され、回路基板25は基板固定用ボス28aを介して基板カバー28により、把手2と一体である基板ケース27に固定されている。把手2の内部は把手カバー2aにより覆われ、基板ケース27、ブザー24等は、把手カバー2aの内部に収容されている。把手2の下端部における把手カバー2aには、蒸気通路16の排出部に対応する位置に水抜き孔29が設けられている。
【0035】
基板ケース27を形成する壁の開放端は、水平方向において操作孔22の周縁よりも外方に突出している。従って、基板ケース27の壁は、スイッチ操作部材23と操作孔22の隙間から水が侵入した場合には庇の役目を果たす。
【0036】
図4は、本実施の形態における電気ケトルの動作を制御する通電制御回路の構成を示す。左側は給電台4内の給電台回路4a、右側がケトル本体1内のケトル本体回路1aを示す。AC電源30は、給電台4内の電源ヒューズ31を介して外部給電器具20に接続される。ケトル本体1を給電台4上に載置した状態で、外部給電器具20はケトル本体1の内部給電器具21に接続される。
【0037】
内部給電器具21の一方の端子は、空焚き検知スイッチ32、温度ヒューズ33、及び沸騰検知スイッチ18を介して、ヒータ8の一端に接続されている。内部給電器具21の他方の端子は、空焚き検知スイッチ32を介してヒータ8の他端に接続されている。沸騰検知スイッチ18とヒータ8間には、ヒータ8と並列に、ネオンランプ34が保護抵抗35を介して接続されている。沸騰検知スイッチ18とヒータ8間には更に、ブザー回路36が、ヒータ8と並列に接続されている。ブザー回路36は、回路基板25に設けられたブザー駆動回路及びブザー24を含む回路を意味する。
【0038】
空焚き検知スイッチ32は、バイメタルスイッチであり通常はオン状態であるが、空焚きが発生したときの異常な温度上昇によりオフとなり、給電を遮断する。スイッチ操作部材23を介して沸騰検知スイッチ18をオンに操作することにより、ヒータ8に対する通電が開始される。同時にネオンランプ34が点灯して、給電、すなわち加熱中であることを視認できる。
【0039】
ブザー回路36は、ヒータ8に対する通電中に充電されるキャパシタと、制御回路とからなる。制御回路は、沸騰検知スイッチ18による通電停止に伴い、キャパシタに充電された電荷をブザー24を介して放電する放電経路を形成する。これによりブザー24が駆動される。
【0040】
沸騰検知スイッチ18が沸騰に応じてオフに転じると、ヒータ8に対する通電が停止される。それに伴い、ネオンランプ34が消灯して、沸騰により加熱が終了したことを視認できる。併せて、ブザー回路36ではブザー24が駆動されて、沸騰を聴覚的に認識することができる。従って、離れた場所やケトルが見えない場所でも沸騰を認識でき、使用者の利便性が向上する。
【0041】
図5に、ブザー駆動回路の一例を示す。電源から供給されるAC100Vから、電源回路40により所定の電源電圧が生成されて、制御IC41、第1キャパシタ42、第2キャパシタ43に供給される。沸騰検知スイッチ18がオンの期間には、第1、第2キャパシタ42、43が充電される。
【0042】
制御IC41は、通電中は電源回路40から所定の電源電圧を供給され、通電停止後は第1キャパシタ42に充電された電荷により、所定の電源電圧が一定期間供給される。制御IC41は、電源回路40のゼロクロスを検出したとき、第2キャパシタ43に充電された電荷を、ブザー24を介して放電する放電経路を形成する。それにより、第2キャパシタ43が放電する一定期間、ブザー24が駆動され報知音を発生する。
【0043】
この回路によれば、沸騰に応じて沸騰検知スイッチ18によりヒータ8に対する通電が停止された後、一定の期間ブザー24を確実に駆動することができる。従って、沸騰後、速やかにヒータに対する通電が停止されても、十分な音量で音響報知器により報知音を発生させることができ、ヒータ通電の無駄な電気エネルギーの消費を回避できる。
【0044】
以上のように、本実施の形態の電気ケトルは、蒸気で動作する沸騰検知スイッチ18を用いるために蒸気通路16が必要な構成とともに、ブザー24等の電気的に駆動される音響報知器を併用しても、回路基板25に対する水滴の接触を防止することができる。これにより、電気的に駆動される音響報知器により報知音を発生させる構成を採用して、沸騰による蒸気に依存せずに、十分な音量で加熱完了を聴覚的に認識可能とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明の電気ケトルは、機械式の沸騰検知スイッチによるヒータ加熱の停止機能と、電気的に駆動される音響報知器による報知音の発生機能を共存させて、利便性を向上させることができるので、可搬型の電気ケトルとして有用である。
【符号の説明】
【0046】
1 ケトル本体
2 把手
2a 把手カバー
3 蓋体
4 給電台
5 給湯口
6 内容器
8 ヒータ
11 蓋蒸気通路
12 蒸気放出口
16 蒸気通路
17 検知室
18 沸騰検知スイッチ
20 外部給電器具
21 内部給電器具
22 操作孔
23 スイッチ操作部材
24 ブザー
25 回路基板
26 隔離空間
27 基板ケース
28 基板カバー
29 水抜き孔
30 AC電源
32 空焚き検知スイッチ
34 ネオンランプ
36 ブザー回路
41 制御IC
42、43 キャパシタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯水用の内容器を有するケトル本体と、
前記内容器を加熱するように前記ケトル本体内に配置されたヒータと、
前記ケトル本体の外殻に設けられた把手と、
前記内容器の開口部を含む前記ケトル本体の開口部を開閉自在に封鎖する蓋体と、
前記ヒータに対する通電を開始させる操作が可能とする機能、及び沸騰により発生する蒸気に応じて通電を停止する機能を有し、前記把手の上部に配置された沸騰検知スイッチと、
前記ケトル本体内で発生する蒸気を導入して前記沸騰検知スイッチに接触させた後、外部に排出する蒸気通路とを備えた電気ケトルにおいて、
電気的に駆動される音響報知器と、前記沸騰検知スイッチによる通電停止に応じて前記音響報知器を駆動する報知器駆動回路が設けられた回路基板とを更に備え、
前記回路基板は、前記沸騰検知スイッチの下方の前記把手の内部に前記蒸気通路とは離間させて配置され、前記把手の内部に設けられた隔離空間内に収容されていることを特徴とする電気ケトル。
【請求項2】
前記隔離空間は、前記把手の内壁面が形成する凹部形状の基板ケースと、前記基板ケースの開放面を覆う基板カバーにより構成され、前記回路基板は前記基板カバーにより、前記基板ケースに固定されている請求項1に記載の電気ケトル。
【請求項3】
前記沸騰検知スイッチは、外部から操作するためのスイッチ操作部材を有し、前記スイッチ操作部材は前記把手に設けられた操作孔内に配置され、前記基板ケースを形成する壁の開放端は、水平方向において前記操作孔の周縁よりも外方に突出している請求項1に記載の電気ケトル。
【請求項4】
前記報知器駆動回路は、前記沸騰検知スイッチと前記ヒータの間に前記ヒータと並列に接続されており、前記ヒータに対する通電中に充電されるキャパシタと、前記沸騰検知スイッチによる通電停止に伴い前記キャパシタに充電された電荷を前記音響報知器を介して放電する放電経路を形成する制御回路とを有する請求項1に記載の電気ケトル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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