説明

電気ケトル

【課題】電気ケトルの蓋部等の装着状態を電気的に検知可能として、吹きこぼれのない、安全な湯沸しを実現する。
【解決手段】この発明では、液体を入れる液体容器3を備えた容器本体1Aと、該容器本体1Aの開口部を覆う着脱可能な蓋体2と、上記液体容器3を加熱する湯沸し用ヒータ4等の加熱手段とを備えてなる電気ケトルにおいて、上記容器本体1Aの開口部に対する蓋体2の装着状態を電気的に検出する蓋装着状態検出手段を設けている。
したがって、蓋装着の有無はもちろん、その装着状態の適否を自動的に検出することができ、蓋体が適正に装着されていない場合には、例えばブザー等の警報手段を作動させて、ユーザーに報知したり、湯沸し用ヒータ4等の加熱手段に給電できないようにすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、蓋装着状態等の検知機能を備えた電気ケトルの構成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近では、常時保温ヒータに通電して置くことが必要な電気ポットに代わって、お湯が必要な時にのみ、加熱手段に通電して簡易かつ速やかに湯沸しを行うことができるようにした電気ケトルが、省エネ性の高い湯沸し手段として重宝されている。
【0003】
この電気ケトルは、液体を入れる液体容器を備えた容器本体と、該容器本体の開口部を覆う着脱可能な蓋体と、上記液体容器を加熱する湯沸し用ヒータ等の加熱手段とからなっている(特許文献1,2の構成を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−285170号公報
【特許文献2】特開2008−212316号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、以上のような電気ケトルでは、上述のように、蓋体が容器本体の開口部に対して着脱可能となっているために、蓋体を確実に装着せずに湯沸しを行うことも考えられ、そのような状態で湯沸しが行われると、沸とう時に吹きこぼれが生じる問題がある。
【0006】
また、そのような吹きこぼれ防止の見地から、上記電気ケトルでは、一般に湯沸し時などには、給湯用の湯注出通路を閉じる機械式の給湯ロック機構が設けられており、この給湯ロック機構の給湯ロックスイッチが給湯ロック解除状態にあると、上記と同様に湯注出口を通して、湯が吹きこぼれる可能性がある。
【0007】
本願発明は、このような問題を解決するためになされたもので、上記のような電気ケトルにおいて、容器本体の開口部に対する蓋体の装着状態や給湯ロック機構の給湯ロック状態を電気的に検出する検出手段を設けることによって、吹きこぼれのない安全な湯沸しを行えるようにした電気ケトルを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願各発明は、同目的を達成するために、それぞれ次のような課題解決手段を備えて構成されている。
【0009】
(1) 請求項1の発明
この発明の電気ケトルは、液体を入れる液体容器を備えた容器本体と、該容器本体の開口部を覆う着脱可能な蓋体と、上記液体容器を加熱する加熱手段とを備えてなる電気ケトルであって、上記容器本体の開口部に対する蓋体の装着状態を電気的に検出する蓋装着状態検出手段を設けたことを特徴としている。
【0010】
このような構成によると、蓋体装着の有無はもちろん、その装着状態の適否を自動的に検出することができ、蓋体が装着されていないか、または装着されていても適正に装着されていない場合には、例えばブザー等の警報手段を作動させて、ユーザーに報知したり、湯沸し用ヒータ等の加熱手段に給電できないようにすることができる。
【0011】
その結果、蓋体がないか、または適切に閉められていない状態において、あやまって湯沸しが行われて、湯が吹きこぼれるなどの事象の発生が確実に回避される。
【0012】
(2) 請求項2の発明
この発明の電気ケトルは、液体を入れる液体容器を備えた容器本体と、該容器本体の開口部を覆う着脱可能な蓋体と、上記液体容器を加熱する加熱手段と、湯注出通路を閉じる給湯ロック手段とを備えてなる電気ケトルであって、上記給湯ロック手段の給湯ロック状態を電気的に検出する給湯ロック状態検出手段を設けたことを特徴としている。
【0013】
このような構成によると、蓋体装着の有無はもちろん、給湯ロック手段の給湯ロック状態をも自動的に検出することができ、湯沸しに際して、給湯ロック手段の給湯ロック状態が解除されている場合には、ブザー等の警報手段を作動させて、ユーザーに報知したり、湯沸し用ヒータ等の加熱手段に給電できないようにすることができる。
【0014】
その結果、給湯ロック手段のロック状態が解除されている湯注出通路開放状態において、あやまって湯沸しが行われ、湯が吹きこぼれるなどの事象の発生が確実に回避される。
【0015】
(3) 請求項3の発明
この発明の電気ケトルは、液体を入れる液体容器を備えた容器本体と、該容器本体の開口部を覆う着脱可能な蓋体と、上記液体容器を加熱する加熱手段と、湯注出通路を閉じる給湯ロック手段と、上記容器本体の開口部に対する蓋体の装着状態を電気的に検出する蓋装着状態検出手段と、上記給湯ロック手段の給湯ロック状態を電気的に検出する給湯ロック状態検出手段とを備えてなる電気ケトルであって、上記蓋装着状態検出手段と給湯ロック状態検出手段との2つの検出手段を単一の検出手段により構成したことを特徴としている。
【0016】
このような構成によると、上述した蓋装着状態検出手段および給湯ロック状態検出手段の2つの検出手段を簡単に構成することができ、より低コストに実現することができるようになる。
【0017】
(4) 請求項4の発明
この発明の電気ケトルは、上記請求項1,2又は3の発明の電気ケトルの構成において、検出手段により吹きこぼれの恐れのある状態が検出された時には、ヒータへの通電を行えないようにしたことを特徴としている。
【0018】
その結果、蓋体がないか、あっても適切に閉められていない状態又は給湯ロック手段の給湯ロック状態が解除されている状態において、あやまって湯沸しが行われ、湯が吹きこぼれるなどの事象の発生が確実に回避される。
【0019】
(5) 請求項5の発明
この発明の電気ケトルは、上記請求項1,2,3又は4の発明の電気ケトルの構成において、検知手段は、磁気的な検知手段により構成されていることを特徴としている。
【0020】
このような構成によると、蓋体の装着状態検出手段や給湯ロック手段の給湯ロック状態の検出手段をマグネットと該マグネットの磁気を検知するリードスイッチ等の磁気センサにより簡単に構成することができる。
【0021】
したがって、その構成は極めて簡単で、容器本体側および蓋体側の構造を特別に変更する必要がなく、きわめて低コストに実現することができる。
【発明の効果】
【0022】
以上の結果、本願発明によると、蓋装着の有無や装着状態の適否はもちろん、給湯ロック状態をも自動的に検出することができ、吹きこぼれの恐れがあるような場合には、例えばブザー等の警報手段を作動させて、ユーザーに報知したり、湯沸し用ヒータ等の加熱手段に給電できないようにすることができる。
【0023】
その結果、吹きこぼれの恐れがあるような状態において、無理な湯沸しが行われ、湯が吹きこぼれるなどの事象の発生が確実に回避される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本願発明の実施の形態1に係る電気ケトル本体の構成を示す断面図である。
【図2】同電気ケトルの本体側要部の拡大断面図である。
【図3】同電気ケトルの蓋体側要部の背面図である。
【図4】同電気ケトルの蓋体側要部の左右方向の傾斜状態における作用を示す説明図である。
【図5】同電気ケトルの蓋体側要部の転倒状態における作用を示す説明図である。
【図6】同電気ケトルの制御システムのブロック図である。
【図7】本願発明の実施の形態2に係る電気ケトルの要部の構成を示す断面図である。
【図8】同電気ケトルの制御システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
<実施の形態1>
以下、添付の図面を参照して、本願発明の電気ケトルの実施の形態1の構成について、詳細に説明する。
【0026】
先ず図1には、本願発明の実施の形態1にかかる電気ケトル本体の全体的な構成が、また図2には、同電気ケトルの蓋装着状態検知部の構成が、さらに図3には同電気ケトルの蓋体側マグネット設置部の構成が、図4および図5には同マグネット設置部の作用を示す構成が、また図6には、同電気ケトルの制御部の構成が、それぞれ示されている。
【0027】
(電気ケトル本体部の構成)
この実施の形態の電気ケトル1は、先ず図1に示すように、貯湯用の容器本体1Aと、該容器本体1Aの上部側開口部を開閉する蓋体2と、上記容器本体1Aの液体容器3部分を湯沸し時において加熱する加熱手段である湯沸し用のヒータ4と、上記液体容器3内の湯を外部へ給湯するための湯注出口5と、上記容器本体1Aの背部に対して上端側から下端側に延びる状態で取り付けられた基板設置部11Cおよび把手部11eとを備えて構成されている。
【0028】
この実施の形態の場合、上記容器本体1Aは、上記液体容器3の内容器部分を形成する有底の筒状体で、上部が開口したステンレス製の第1の筒体3aと、該第1の筒体3aの外周にあって、該第1の筒体3a外周面との間に所定の幅の第1の真空断熱空間3cを形成する形で、上下両端側を上記第1の筒体3aに接合することにより、上記第1の筒体3aと共に真空二重壁構造の液体容器3を形成しているステンレス製の第2の筒体3bと、上記液体容器3の開口部全周を覆う合成樹脂製でスリーブ構造の肩部材11と、上記液体容器3のヒータ4を含めた底部全体を覆う受皿構造の底部材1Bとからなっている。
【0029】
第1の筒体3aの底部31はフラットに、また側部32は上下方向に略等径の円筒体に形成されている一方、上端側開口縁部33部分は、上方に行くほど半径方向外方に徐々に径が拡大されるフレア形状に形成されている。
【0030】
第2の筒体3bは、側部35が上端から下端まで略等径で、最上端側のストレートな開口縁部34を上記第1の筒体3aの上端側開口縁部33の最上端側のストレートな縁部(フレア部上端側から上方に所定幅ストレートに延びる縁部部分)に接合されているとともに、下端35a側は上記第1の筒体3aの底部31外周面よりも所定寸法下方側の位置まで長く延設され、上記第1の筒体3aの底部31外周面下方に位置して、半径方向に所定の幅で、かつ上下方向に所定の深さの底部側第2の真空断熱空間3dを形成するように、半径方向内側にU状に曲成されて、上記第1の筒体3aの底部31の外周面内側寄りに接合され、上記第1の筒体3aの底部31外周面との間に、上記ヒータ4を囲む形で上述の側部側第1の真空断熱空間3cに連続する所定の下降高さの底部側第2の真空断熱空間3dを形成している。
【0031】
第2の筒体3bは、その上端部に外周面側に凸となる形で、全周に亘って断面半円形状のビード部36が形成されており、それによって上記第2,第1の筒体3b,3aの剛性がアップされ、液体容器3の真空引き後の収縮変形が回避されるようになっている。
【0032】
このようにして形成された容器本体1Aの液体容器3には、上記内容器部分を形成している第1の筒体3aの底部31の下面側に、その周方向に延びる形で平面C字形の湯沸し用ヒータ4を取り付けているとともに、第2の筒体3bの下部全体を覆う形で、受皿構造の合成樹脂製の底部材1Bが一体に嵌合されている。
【0033】
湯沸し用ヒータ4は、例えばフラットな伝熱性の良いヒータプレート4aの外周に断面逆台形状の下方側に所定の高さを有する平面C字形のヒータ埋設用凸部4bを形成し、該ヒータ埋設用凸部4b内に埋め込む形で平面C字形に設置されている。そして、その両端側には、電源配線である電源リード線接続用の電源リード端子が、上記ヒータ埋設用凸部4bの両端から所定の長さ突出する形で設けられている(図示省略)。
【0034】
一方、上記ヒータプレート4aの下面側には、例えば上記ヒータ埋設用凸部4bの内周側に位置して、空焚き検知のための安全用のバイメタルおよび受電用の棒状電極8、スリーブ状電極9、スリーブ状の挿脱用ガイド筒よりなる筒体状の受電カプラ10が設けられている。
【0035】
そして、底部材1Bは、それらを下方側からカバーする形で、上記のように第2の筒体3bの下端部外周に嵌合されて一体化されており、その中央部には、上記受電カプラ10に対応した電源台20側給電プラグ20c挿入用の円形の開口17が設けられている。
【0036】
一方、液体容器3の上端側開口縁部(第1,第2の筒体3a,3b上端側開口縁部33,34同士の接合部)には、上記合成樹脂製のスリーブ状の肩部材11が嵌合固定されている。
【0037】
この肩部材11は、前端側に突出した下口部分(湯注出口5の下半分部分)11a、周方向全体に亘るスリーブ状の蓋嵌装用の枠部分11b、該枠部分11bの後端側把手基部11dから所定幅断面コ字状に突出し、下方側底部材1Bの後部外周縁部までストレートに延設された合成樹脂製の基板設置部11C、該基板設置部11Cの上端側と上記枠部分11bの後端部が交わる部分から所定寸法後方に延びる合成樹脂製の把手基部11d、同後方に延びた把手基部11dの後端部分から下方に向けて略直角に曲成された合成樹脂製の鉤形の把手部11eとから構成されている。
【0038】
スリーブ状の枠部分11bは、その周方向に延びる下端側端部12aの中間部に上記第1,第2の筒体3a,3bの上端側接合縁部を嵌入させる所定の深さの嵌入溝12bを有しているとともに、その外周部側には当該嵌入溝12bを有する端部12a面よりも所定寸法下方に長く延びる形で、スカート状のカバー壁12cが設けられている。
【0039】
枠部分11bには、その後端側の上記把手基部11dの下部部分に位置してリードスイッチよりなる磁気センサRSが設けられており、同磁気センサRSの感知部は、後述する蓋体2が閉じられた状態において、当該蓋体2の下板2bの後端部分に設けられている図3のようなマグネット設置部50の中央部(図4中の黒丸部分)に同軸上に対応せしめられている。
【0040】
なお、マグネット設置部50は、後述するように、蓋体2の下板2bの筒状壁後端部の板厚拡大部内にあって、全体として、図3に示すように周方向左右に延びる円弧状のマグネット転動室内に球体構造のマグネットMGを収納してなり、マグネット転動室は、その底部50aが左右方向に各々均等な曲率の所定幅以上の円弧面となっているとともに、前後方向に所定値以上の奥行寸法を有して形成されている。
【0041】
把手基部11dおよび把手基部11dから下方に向けて鉤形に延びる把手部11eは、全体として内部が空胴の筒状体に形成されており、下方側への曲成部上端側には、支軸7aにより回動可能に軸支された操作スイッチ(電源スイッチ)7が設けられている。
【0042】
また、上記枠部分11bの後端および把手基部11d部分より下方に延びる上述の基板設置部11Cは、例えば、その水平断面形状がコ字状のボックス部14aの両側に、上記容器本体1Aの第2の筒体3bの外周面に沿って弧状に延びる所定幅の合成樹脂製の背面カバー(図示省略)が設けられている。これらボックス部14a、背面カバーは、それぞれ下端側を上述の底部材1Bの外周縁部内側に係合させて連結することによって、上記肩部材11と底部材1Bとを相互に連結一体化させるとともに、それらの間に上記真空二重壁構造の液体容器3を保持させる形で、上記把手部11eを持っての安定した注湯操作が可能な容器本体1Aを形成している。
【0043】
そして、上記ボックス部14a内には、上下方向に延びる形で、所定幅、所定長さの電源基板ユニット15aが、スタッド15b,15bおよびビス15c,15cを介して設置されている。
【0044】
この電源基板ユニット15aは、例えば図6のような、所定の能力のマイコン制御ユニットMCを備えているとともに制御用の入出力回路および動作電源回路(5V)などを有して構成されており、例えば上述した液体容器開口縁部に設けてあるサーミスタ13aが内容器である第1の筒体3a内の湯の沸とう状態を検知した時には、上記底部材1B側電源基板の電源回路をOFFにして湯沸し用ヒータ4への電源の供給を停止する。
【0045】
また、同マイコン制御ユニットMCは、上記リードスイッチよりなる磁気センサRSの出力信号がOFFの時は、蓋体2が適切に閉められていないと判定して、図6の警報手段56を作動させ、ユーザーに対して蓋体2が適切に閉められていないことを示す警報を出す。
【0046】
そして、それと同時に上記湯沸し用ヒータ4への電源の供給を禁止(操作スイッチ7を押しても電源が入らない状態に)するようになっている。
【0047】
(蓋体の構成)
次に蓋体2は、合成樹脂製の上板2aと該上板2aに対して外周縁が結合された外周に筒状壁を有する合成樹脂製の下板2bと、その下方の内カバー2cからなっており、上記肩部材11の枠部分11bの開口部に対して上下方向に着脱自在に嵌合されている。
【0048】
上記上板2aおよび下板2b間の空間は、必要に応じて断熱材を充填した断熱構造体に形成されているとともに、下板2bの一部には、下方から上方に向けて凹んだ蒸気パイプの収納部が設けられている。そして、同収納部内に収納設置された蒸気パイプには、下方側内カバー2cの蒸気導入口部21aから上方側蒸気排出口21dに向けて相互にジグザグ構造に連通した蒸気排出通路21b〜21cが形成されている。そして、同蒸気排出通路21b〜21c下部の蒸気導入口部21a内には、転倒止水弁22が設置されている。
【0049】
そして、上記下板2b外周の筒状壁後端部分(必要な肉厚に拡大した部分)に位置して、上述のように、マグネットMGを収納したマグネット設置部50が設けられている。
【0050】
このマグネット設置部50は、前述のように蓋体2の下板2bの筒状壁後端部の板厚内にあって、全体として、図3に示すように周方向左右に延びる正面視円弧状のマグネット転動室内に球体構造のマグネットMGを収納してなり、転動室は、その底部50aが上述のように左右方向に均等な曲率の所定幅以上の円弧面となっているとともに、前後方向に所定値以上の奥行寸法を有して形成されている。したがって、例えば蓋体2が、図4のように左右何れかの方向に傾いた状態で閉じられた時には、その傾き方向にマグネットMGが転動し、上述した肩部材11側のリードスイッチよりなる磁気センサRSの感知部と同軸上に対応しなくなり、リードスイッチRSはOFFになる。
【0051】
そして、このOFF信号は、図6の構成のように、リード線Lを介して、上記電源基板15a上のマイコン制御ユニットMCに入力される。
【0052】
その結果、マイコン制御ユニットMCは、同OFF信号に基いて、蓋体2が適切に閉められていないと判定して、警報手段56を作動させ、ユーザーに警報を出すと同時に、上記操作スイッチ7をON操作しても、湯沸し用ヒータ4に電源が入らないようにする。
【0053】
これは、蓋体2が前後方向に傾いている時も同様であり、上記転動室の奥行寸法と深さにより、後部が高く、前部が低い場合(前側に傾斜している時)にはマグネットMGが前方に転がるので、磁気センサ(リードスイッチ)RSの感知部との距離が遠くなって、磁気センサ(リードスイッチ)RSはOFFになる。また、前部が高く、後部が低くなる場合(後側に傾斜している時)には、転動室そのものが本来の位置よりも下方に下降するとともに所定距離前方側に離れる。したがって、やはりリードスイッチRSはOFFになる。
【0054】
したがって、これらの場合も上記左右方向の傾斜の場合と全く同様に、マイコン制御ユニットMCを用いて、警報を出し、電源が入らないようにすることができる。
【0055】
さらに、また同構成では、例えば図5のように容器本体1Aそのものが転倒した時にも、磁気センサ(リードスイッチ)RSがOFFになるので、この時にもバックアップ電源がなくなるまで警報を出すことができる。
【0056】
また、一方符号18は、湯の注出状態をロック(禁止)する機械式の給湯ロックスイッチであり、同給湯ロックスイッチ18が付勢スプリング18bの反発力に抗して下方側に押し下げられると、弁体部材18aが所定ストローク下方に押し下げられ、蓋体2側と容器本体1Aの湯注出口5側との間の湯注出通路5aを開放し、内容器である第1の筒体3a内の湯の注出を可能とする。
【0057】
(電源台の構成)
他方、符号20は卓上型の電源台であり、その中央部には、上記容器本体1A側スリーブ構造の受電カプラ10内に嵌合される同じくスリーブ構造の給電カプラ30が所定の高さ突出して設けられている一方、裏面側にはAC電源コード20bの収納部20aが設けられている。
【0058】
給電カプラ30は、上記受電カプラ10のスリーブ状のガイド筒に対応して、その内側に摺動可能に嵌合されるガイド筒30aと、該ガイド筒30aの内周側にあって、上記スリーブ状電極9の内側にブラシ構造の電極を介して嵌合接触するスリーブ状電極30bと、該スリーブ状電極30bの内側にあって、上記受電カプラ10側の棒状電極8が挿入される軸筒状電極30cとからなっており、上記電源コード収納部20aのAC電源コード20bがAC電源に接続されると、上記電源台20側給電カプラ30を介して上記容器本体1A側受電カプラ10にAC電源が供給され、さらに同受電カプラ10を介して上述の底部材1B側湯沸し用ヒータ用の電源基板の電源回路に電源が供給される。
【0059】
その結果、同電源回路を介して、さらに操作スイッチ7、上記基板設置部11C内の電源基板ユニット15aの電源回路、マイコン制御ユニットMC、警報手段56、沸騰検知センサ13a、磁気センサRS、湯沸し用ヒータ駆動回路57、湯沸し用ヒータ4、空焚き検知のための安全用バイメタルなどに電源が供給されることになる。
【0060】
以上のように、この出願の発明の実施の形態の構成では、液体を入れる液体容器3を備えた容器本体1Aと、該容器本体1Aの開口部を覆う着脱可能な蓋体2と、上記液体容器3を加熱する湯沸し用ヒータ4等の加熱手段とを備えてなる電気ケトルであって、上記容器本体1Aの開口部に対する蓋体2の装着状態を電気的に検出する蓋体装着状態検出手段(50,MG,RS,MC)を設けたことを特徴としている。
【0061】
このような構成によると、蓋体2装着の有無はもちろん、その装着状態の適否を自動的に検出することができ、蓋体2が適正に装着されていない場合には、例えばブザー等の警報手段56を作動させて、ユーザーに報知したり、湯沸し用ヒータ4等の加熱手段に給電できないようにすることができる。
【0062】
その結果、蓋体2がない状態はもちろん、あっても適切に閉められていない状態において、あやまって湯沸しが行われ、湯が吹きこぼれるなどの事象の発生が確実に回避される。
【0063】
また、蓋体装着状態検出手段は蓋体2の装着状態に応じて任意に位置を変えるマグネットMGと該マグネットMGの磁気を検知するリードスイッチ等の磁気センサRSにより構成されている。
【0064】
したがって、その構成は極めて簡単で、容器本体1A側および蓋体2側の構造を特別に変更する必要がなく、低コストに実現することができる。
【0065】
また、動作の信頼性も高い。
【0066】
<実施の形態2>
次に、添付の図7および図8を参照して、本願発明の電気ケトルの実施の形態2の構成について、詳細に説明する。
【0067】
先ず図7には、本願発明の実施の形態2にかかる電気ケトル本体の給湯ロック部の構成が、また図8には、同電気ケトルの給湯ロック状態検知制御部の構成が、それぞれ示されている。
【0068】
上述の実施の形態1の構成では、内外第1,第2の筒体3a,3bよりなる真空二重壁構造の液体容器3の外筒側第2の筒体3b自体を外ケースとして兼用することによって容器本体1Aを構成し、肩部材11と一体の合成樹脂製の外ケース自体を不要とした。
【0069】
しかし、第1,第2の筒体3a,3bよりなる真空二重壁構造の液体容器3を採用する場合において、例えば図7のように合成樹脂製の外ケース16を有する構造を採用しても良いことは言うまでもない。
【0070】
そして、その場合において、肩部材11の枠部分11b内側下部の液体容器3係止用のスカート状のリブ壁38部分に対して、上述した外筒側第2の筒体3bの上部に形成した断面半円形状のビード部36を衝合させるようにすると、ビード部36形成による液体容器3自体の強度アップ作用に加えて、上述の実施の形態1の場合と全く同様の断熱シール空間37a(シール部37b)を形成することができ、液体容器3開口部付近の断熱性、保温性を向上させることが可能となる。
【0071】
そして、この実施の形態の電気ケトル1は、そのようにした場合において、例えば図7に示すように、上述の実施の形態1の蓋装着状態検知手段の構成に加えて、さらに給湯ロック機構の給湯ロックスイッチ18部分に、給湯ロックスイッチ18がアンロック状態にあることを検出して、上述した電源基板ユニット15a上のマイコン制御ユニットMCに入力するリードスイッチよりなる第2の磁気センサRS2と該第2の磁気センサRS2をON作動させる第2のマグネットMG2が設けられている。
【0072】
この場合、上記第1,第2の呼称は、上述の実施の形態1のものに対応するマグネットを第1のマグネットMG1、同第1のマグネットMG1に対応する磁気センサRSを第1の磁気センサRS1として、呼称している。
【0073】
すなわち、図7中の符号18は、湯の注出状態をロックする機械式の給湯ロックスイッチであり、同給湯ロックスイッチ18が付勢スプリング18bの反発力に抗して下方側に押し下げられると、弁体部材18aが所定ストローク下方に押し下げられ、蓋体2側と容器本体1Aの湯注出口5側との間の湯注出通路5aが開放され、内容器である第1の筒体3a内の湯の注出が可能となる。
【0074】
他方、逆に同給湯可能な押圧状態から、同押圧状態を解除(再プッシュ)すると、上記付勢スプリング18bの反発力により同給湯ロックスイッチ18は、元の押圧前の状態(図示省略)に復帰して、上記弁体部材18aが湯注出通路5aを閉じる。
【0075】
この時、上記給湯ロックスイッチ18の押圧ボタン裏側には第2のマグネットMG2、これに対向する軸方向下方側下板2bの上面部分にはリードスイッチよりなる第2の磁気センサRS2が設けられており、第2の磁気センサRS2は、図示しないリード線を介して上述の実施の形態1の場合と同様、図8のように電源基板ユニット15a上のマイコン制御ユニットMCに接続されている。
【0076】
したがって、上記給湯ロックスイッチ18が押されていない図示給湯ロック状態では、第2の磁気センサRS2と第2のマグネットMG2との距離が大きく、第2の磁気センサRS2はON作動しないが、上記給湯ロックスイッチ18が押し込まれると、第2のマグネットMG2が第2の磁気センサRS2に接近するので、第2の磁気センサRS2がONになる。
【0077】
そして、このON信号が、上記図8のマイコン制御ユニットMCに入力される。
【0078】
これにより、マイコン制御ユニットMCは、給湯ロックスイッチ18がON操作され、給湯ロック状態が解除されていると(または蓋体2が取り外されていると)判断し、上述の実施の形態1の場合と同様にブザー等の警報手段56を作動させて、給湯ロックスイッチ18を戻すように警報するか、または蓋体2を適正に装着するように注意喚起する。
【0079】
それと同時に、必要な場合には、上記湯沸し用ヒータ4に対する通電を行えないようにするか、または通電を可能として、蒸気発生前の段階までの湯沸しを可能とする。
【0080】
この蒸気発生前の段階までの湯沸し用ヒータ4への通電の停止は、前述した液体容器3の開口縁部に設けられている沸とう検知センサ(サーミスタ)13aの検知温度が沸とう検知直前の温度に所定値レベルで近くなった時に行うようにすることによってなされる(ヒータOFF基準温度の設定)。
【0081】
また、この場合、上記のようにして一旦湯沸し用ヒータ4への加熱を停止した場合であっても、その後に給湯ロックスイッチ18が給湯ロック状態に戻され、第2の磁気センサRS2がOFFになった時には、ヒータ4への通電を可能として、通常の湯沸しを行う。
【0082】
このような構成によると、上記実施の形態1と同様の蓋体2後端側第1の磁気センサRS1による蓋装着状態の検出・判定に加え、給湯ロックスイッチ18の給湯ロック状態の検出・判定をも行った上で、湯沸し加熱を行うことができるから、上述の実施の形態1の場合に比べて、より一層安全で、吹きこぼれのない電気ケトルを提供することができるようになる。
【0083】
(変形例1)
この実施の形態の場合、上記のように給湯ロック状態の検知・判定と同時に、蓋体2装着の有無および装着状態の検知・判定も可能である。
【0084】
したがって、必ずしも上記実施の形態1の構成の蓋装着状態検知装置と組み合わせることは必要でなく、この実施の形態単独の給湯ロック状態検出機能だけでも、ほぼ同様の作用を実現することができる。
【0085】
(変形例2)
なお、変形例1のように1つの検知システムで、蓋体2の装着状態と給湯ロック状態の検出を可能とする構成として、例えば上述の実施の形態1の磁気センサRSに対応する部分に、図7の実施の形態2と同様の給湯ロックスイッチ18を設け、その下降時にマグネットMGが、同磁気センサRSに対応してON作動させるようなシステムとすることもできる。
【0086】
この場合、可能な限り給湯用の湯注出通路5aを蓋体2の後端側近くに延ばしても良いし、あるいは湯注出通路5aはそのままとして、弁体部材18aをリンクロッドで下降又は上昇させるようにしても良い。
【0087】
<その他の実施の形態>
なお、以上の各実施の形態では、蓋装着状態等の検出に、磁気センサを用いたが、これは蓋体等の適正な装着に連動してON作動するリミットスイッチを用いるようにしてもよい(例えば蓋体2の装着時に下板2bの側部に設けた凸部がリミットスイッチを押圧するなどの構成)。
【0088】
また、以上の各実施の形態では、その何れにあっても、液体容器3を第1,第2の筒体3a,3bよりなる真空二重容器としたが、これは通常の一重壁構造のものであっても良いことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0089】
1は電気ケトル、1Aは容器本体、1Bは底部材、2は蓋体、3は液体容器、3aは第1の筒体、3bは第2の筒体、3cは側部側第1の真空断熱空間、3dは底部側第2の真空断熱空間、4は湯沸し用ヒータ、5は湯注出口、10は受電カプラ、11は肩部材、11aは下口部分、11bは枠部分、11cは基板設置部、11dは把手基部、14aはボックス部、15aは電源基板ユニット、20は電源台、56は警報手段、MCはマイコン制御ユニット、MGはマグネット、RSは磁気センサ、RS1は第1の磁気センサ、RS2は第2の磁気センサ、である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を入れる液体容器を備えた容器本体と、該容器本体の開口部を覆う着脱可能な蓋体と、上記液体容器を加熱する加熱手段とを備えてなる電気ケトルであって、上記容器本体の開口部に対する蓋体の装着状態を電気的に検出する蓋装着状態検出手段を設けたことを特徴とする電気ケトル。
【請求項2】
液体を入れる液体容器を備えた容器本体と、該容器本体の開口部を覆う着脱可能な蓋体と、上記液体容器を加熱する加熱手段と、湯注出通路を閉じる給湯ロック手段とを備えてなる電気ケトルであって、上記給湯ロック手段の給湯ロック状態を電気的に検出する給湯ロック状態検出手段を設けたことを特徴とする電気ケトル。
【請求項3】
液体を入れる液体容器を備えた容器本体と、該容器本体の開口部を覆う着脱可能な蓋体と、上記液体容器を加熱する加熱手段と、湯注出通路を閉じる給湯ロック手段と、上記容器本体の開口部に対する蓋体の装着状態を電気的に検出する蓋装着状態検出手段と、上記給湯ロック手段の給湯ロック状態を電気的に検出する給湯ロック検出手段とを備えてなる電気ケトルであって、上記蓋装着状態検出手段と給湯ロック状態検出手段との2つの検出手段を単一の検出手段により構成したことを特徴とする電気ケトル。
【請求項4】
検出手段により吹きこぼれの恐れのある状態が検出された時には、ヒータへの通電を行えないようにしたことを特徴とする請求項1,2又は3記載の電気ケトル。
【請求項5】
検出手段は、磁気的な検知手段により構成されていることを特徴とする請求項1,2,3又は4記載の電気ケトル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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