説明

電気コネクタ

【課題】コンタクトを高密度に収容し、コンタクト間を効果的に遮蔽する電気コネクタを提供する。
【解決手段】電気部品に電子モジュールを電気接続する電気コネクタは、モジュール面730と反対側の部品面732とを有する絶縁体728を具備する。電気コンタクト722が絶縁体に保持される。電気コンタクトは、絶縁体のモジュール面に沿ってアレー状に配置された嵌合区分766を有する。嵌合区分は、電子モジュールの相手コンタクトと嵌合するよう構成される。シールド729は、導電性を有する本体731を有する。シールド本体は、絶縁体のモジュール面の少なくとも一部を覆うように、絶縁体上に実装される。シールド本体は、本体の内壁751により各々が区画された開口749を有する。各開口は、各開口の内壁が1個の電気コンタクトの嵌合区分の周囲に少なくとも部分的に延びるように、1個の電気コンタクトの嵌合区分を受容する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子モジュール用の電気コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
競合及び市場の要求により、より小型でより高性能(例えば、より高速)の電気システムへの傾向が続いている。その結果、高密度の電気システムは、表面実装技術に発展することになる。表面実装技術により、印刷回路(「回路基板」又は「印刷回路基板」とも称されることがある)等の電気部品の表面に、電子モジュールを電気接続することが可能になる。電子モジュールは、電気部品内に延びる導電バイアを用いるのではなく、電気部品に直接、又は介在電気コネクタを介して接続される。表面実装技術により、電気部品上の部品密度を増大でき、より小型化及びより高性能のシステムの開発が可能になる。
【0003】
このようなより小型化及びより高性能の電気システム用の電気コネクタの例は、ランドグリッドアレー(LGA)ソケット及びボールグリッドアレー(BGA)ソケットである。LGAソケットは、電気部品に電気接続されて電子モジュールの接触パッドアレーと係合する電気コンタクトアレーを有する。BGAソケットも、電気部品に電気接続された電気コンタクトアレーを有するが、BGAソケットの電気コンタクトは、接触パッドの代わりに電子モジュールの半田ボールアレーと係合する。LGAソケット及びBGAソケットの双方の電気コンタクトは、電気部品の接触パッドと係合するか、又は半田ボールアレーを介して電気部品に電気接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第5211567号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2010/0304610号明細書
【特許文献3】米国特許第6764341号明細書
【特許文献4】米国特許第6533613号明細書
【特許文献5】米国特許第5906511号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電気部品に電子モジュールを電気接続するために用いられる電気コネクタの電気コンタクトは、接地コンタクト及び信号コンタクトの双方からなるのが代表的である。接地コンタクトは、個別の信号コンタクト又は信号コンタクトの差動対が接地コンタクトにより取り囲まれるように、アレー内に配置される。これにより、接地コンタクトは、個別の信号コンタクト又は信号コンタクトの差動対を隣接する信号コンタクト又は信号コンタクト対から遮蔽する。しかし、隣接する信号コンタクト又は信号コンタクト対との間を十分に遮蔽するために、各々の信号コンタクト又は信号コンタクト対は、接地コンタクトが信号コンタクト又は信号コンタクト対と各々の隣接する信号コンタクト又は信号コンタクト対との間を延びるように、複数の信号コンタクトによって取り囲まれるのが代表的である。これらの接地コンタクトは、信号コンタクトが占有するアレー内の空間を占有する。換言すると、接地コンタクトの数は、全体で所与の数の電気コンタクトを有する所与の寸法のコネクタ内やアレー内に設けられる信号コンタクトの数を制限してしまう。さらに、接地コンタクトの数は、全体で所与の数の電気コンタクトを有する所与の寸法のコネクタ内やアレー内に設けられる信号コンタクトの密度を制限してしまう。従って、個別の信号コンタクト又は信号コンタクト対を複数の接地コンタクトで取り囲むことは、より小型で高性能の電気コネクタの開発を制限するおそれがある。さらに、個別の信号コンタクト又は信号コンタクト対を複数の接地コンタクトで取り囲むことは、アレー内での信号コンタクト、接地コンタクト、信号コンタクト対の相対配置を制限してしまい、電気コネクタの所望の性能を提供する配置を選択するという設計者の能力を制限するおそれがある。
【0006】
従って、電気コンタクトを高密度に収容し、電気コンタクト間を効果的に遮蔽することができる、電子モジュール用の電気コネクタに対するニーズがある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、電気部品に電子モジュールを電気接続するための電気コネクタは、モジュール面とその反対側の部品面とを有する絶縁体を具備する。この絶縁体は、モジュール面が電子モジュールに対面すると共に部品面が電気部品に対面するように、電子モジュール及び電気部品間を延びるよう構成される。電気コンタクトが絶縁体に保持される。これらの電気コンタクトは、絶縁体のモジュール面に沿ってアレー状に配置された嵌合区分を有する。そして、これらの嵌合区分は、電子モジュールの相手コンタクトと嵌合するよう構成されている。シールドは、少なくとも部分的に導電性を有する本体を具備する。シールドの本体は、その本体が絶縁体のモジュール面の少なくとも一部を覆うように、絶縁体上に実装される。シールドの本体は、その本体の内壁により各々が区画された開口を有する。各開口は、各々の開口の内壁が1個の電気コンタクトの嵌合区分の周囲に少なくとも部分的に延びるように、1個の電気コンタクトの嵌合区分を受容する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】電気システムの典型的な一実施形態を示す部分分解斜視図である。
【図2】図1の電気システムの相互接続部材の典型的な一実施形態の一部を示す分解斜視図である。
【図3】図2の相互接続部材の一部を示す平面図である。
【図4】相互接続部材の別の典型的な実施形態の一部を示す平面図である。
【図5】図2及び図3に示された相互接続部材の一部を示す断面図である。
【図6】図2、図3及び図5の相互接続部材を製造する方法の典型的な一実施形態を示すフローチャートである。
【図7】電気コンタクトが互いに分離した後の相互接続部材の電気コンタクトを示す、図2及び図3の相互接続部材の一部の斜視図である。
【図8】印刷回路に直接実装する半田ボールを示す、図7に示された相互接続部材の一部の側面図である。
【図9】絶縁体の両面に実装された電気コンタクトを示す相互接続部材の別の典型的な実施形態の一部の側面図である。
【図10】相互接続部材の別の典型的な実施形態の一部を示す分解斜視図である。
【図11】相互接続部材の別の典型的な実施形態の一部を示す平面図である。
【図12】相互接続部材の別の典型的な実施形態を示す斜視図である。
【図13】図12の相互接続部材の部分分解斜視図である。
【図14】図12及び図13の相互接続部材の一部を示す斜視図である。
【図15】相互接続部材の別の典型的な実施形態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して本発明を例示により説明する。図1は、電子組立体10の典型的な一実施形態を示す部分分解斜視図である。電子組立体10は、電気コネクタ12、印刷回路14及び電子モジュール16を有する。電気コネクタ12は印刷回路14上に実装される。電子モジュール16は、電気コネクタ12を介して印刷回路14に電子モジュール16を電気接続するよう電気コネクタ12に装填される。任意であるが、電気コネクタ12はソケットコネクタである。例えば、電気コネクタ12は、電子モジュール16の少なくとも一部を受容するよう構成されたソケット15を具備する。電子モジュール16は、チップ、パッケージ、中央演算処理装置(CPU)、プロセッサ、メモリ、マイクロプロセッサ、集積回路、印刷回路、特定用途向け集積回路(ASIC)等であるがこれらに限定されない任意のタイプの電子モジュールであってもよい。
【0010】
電気コネクタ12は、印刷回路14上に実装された誘電性の整合枠18を有する。この整合枠18は、電気コンタクト22のアレーを有する相互接続部材20を保持する。電子モジュール16は嵌合面24を有し、この嵌合面24に沿って電子モジュール16が相互接続部材20と嵌合する。相互接続部材20は、電子モジュール16の嵌合面24上の接触パッド(図示せず)と印刷回路14上の対応する接触パッド(図示せず)との間に配置され、電子モジュール16及び印刷回路14を電気接続する。
【0011】
典型的な実施形態において、電気コネクタ12はランドグリッドアレー(LGA)コネクタである。しかし、本明細書に開示された発明は、ボールグリッドアレー(BGA)コネクタ等であるがこれらに限定されない他のコネクタ、コネクタ組立体等にも適用できることを理解されたい。その上、電気コネクタ12は電子モジュール16を印刷回路14に相互接続するものとして本明細書では開示されているが、チップ、パッケージ、中央演算処理装置(CPU)、プロセッサ、メモリ、マイクロプロセッサ、集積回路、印刷回路、特定用途向け集積回路(ASIC)等であるがこれらに限定されない電子モジュール16に電気コネクタ12を介して他の電気部品が相互接続できることを理解されたい。さらに、電気コネクタ12は、図1に示された部品の数及びタイプに限定されず、本明細書に開示されていない追加部品等を有し、その追加部品に連動して作動してもよい。このため、以下の説明及び図面は、限定目的ではなく例示目的で提供されるものであり、本明細書に開示された発明の潜在的な応用の一例である。
【0012】
図2は、隣接する電気コンタクト22を相互接続する接続ストリップ26が切断される前の相互接続部材20の典型的な一実施形態の一部を示す分解斜視図である。相互接続部材20は、電気コンタクト22を保持する絶縁体28を有する。絶縁体28は、モジュール面30及びその反対側の部品面32を有する。図2は、電気コンタクト22の列34の一部を示す。電気コンタクト22は、電子モジュール16(図1参照)の嵌合面24(図1参照)上の接触パッド(図示せず)と係合するために、絶縁体28のモジュール面30に実装される。電気コンタクト22は、同じ材料板又は材料リール(図示せず)から製造される。電気コンタクト22は、打抜き加工、切断、機械加工、エッチング、曲げ加工、鋳造、成形等であるがこれらに限定されない任意の工程を用いて板又はリールから製造されてもよい。各電気コンタクト22は、本明細書で「第1」及び「第2」の電気コンタクトと称することがある。
【0013】
電気コンタクト22は実装基部36を有する。列34内で互いに隣接する電気コンタクト22は、板又はリールから製造された後、接続ストリップ26を介して機械的及び電気的に共に接続される。各接続ストリップ26は、1個の電気コンタクト22の実装基部36から隣接する電気コンタクト22の実装基部36まで延びる接続経路38に沿って延びる。後述するように、接続ストリップ26は、電気コンタクト22を互いに機械的及び電気的に分離するために、接続経路38に沿って切断されるよう構成される。電気コンタクト22が絶縁体28に機械的に接続された後、パンチ42(図5参照)を用いて接続ストリップ26を切断することができるように、絶縁体28のモジュール面30にパンチ開口40が設けられる。典型的な実施形態において、各対の隣接する電気コンタクト22間の接続経路38は、直線的である。しかし、1本以上の接続経路38が、接続経路38が直線にならないように1個以上の曲げ部、湾曲部、角度等を有してもよい。各接続ストリップ26の接続経路38は、他の任意の形状であってもよい。
【0014】
図2は電気コンタクト22の列34の一部を示すが、図2には電気コンタクト22のアレーの一部のみが図示されることを理解されたい。換言すると、相互接続部材20の電気コンタクト22のうちいくつかのみが図2に図示される。電気コンタクト列34は、図示されていない他の電気コンタクト22を有してもよい。そして、電気コンタクト22のアレーは、他の列や行を有してもよい。例えば、図11は、相互接続部材620の別の典型的な実施形態の一部を示す平面図である。相互接続部材620は、モジュール面630を有する絶縁体628と、モジュール面630で絶縁体628に機械的に接続された実装基部636を有する電気コンタクト622のアレーとを具備する。図11に図示された電気コンタクト622のアレーの一部は、2列623a,623b及び4行625a,625b,625c,625dに配列された電気コンタクト622を有する。各列623a,623b内で互いに隣接する電気コンタクト622の実装基部636は、対応する接続ストリップ626を介して最初は共に接続される。同様に、各行625a〜625d内で互いに隣接する電気コンタクト622の実装基部636は、対応する接続ストリップ626を介して最初は共に接続される。パンチ開口640が、絶縁体628のモジュール面630内に接続ストリップ626と整合して形成される。各電気コンタクト622は、本明細書において「第1」及び「第2」の電気コンタクトと称することがある。
【0015】
別の実施形態において、列623a内の1個以上の電気コンタクト622は、接続ストリップ626を介して列623a内の1個以上の隣接する電気コンタクト622に最初は接続されておらず、列623b内の1個以上の電気コンタクト622は、接続ストリップ626を介して列623b内の1個以上の隣接する電気コンタクト622に最初は接続されていない。同様に、別の実施形態において、行625a,625b,625c,625d内の1個以上の電気コンタクト622は、接続ストリップ626を介して同じ行625a,625b,625c,625d内の1個以上の隣接する電気コンタクト622に最初は接続されていない。
【0016】
図2を再度参照すると、電気コンタクト22のアレーは、全体で任意の数の電気コンタクト22を有してもよい。そして、コンタクト22は、任意の数の行及び列を有する任意のパターンに配列されてもよい。図2に示された全ての電気コンタクト22(同様に、例えば、図11に示された電気コンタクト622)は接続ストリップ26を介して隣接する電気コンタクト22に最初は接続されていないが、電気コンタクト22のアレーは、接続ストリップを介して1個以上の別のグループの電気コンタクト22に最初は接続されていない相互接続された電気コンタクトの個別グループ(例えば、行、列、他の形状のパターン等)を有してもよいし、有していなくてもよい。例えば、図11に示された相互接続部材620に対する別の実施形態において、接続ストリップを介して列623b内で隣接する電気コンタクト622に最初に接続された、列623a内の電気コンタクト622はない。各電気コンタクト622は、隣接する全ての電気コンタクト622又はいくつかの電気コンタクト622のみに最初は接続されてもよい。
【0017】
図3は、絶縁体28のモジュール面30の典型的な実施形態を示す図2の相互接続部材20の一部の平面図である。図3において、電気コンタクト22は、モジュール面30の絶縁体28に機械的に接続されて示される。各パンチ開口40は、対応する接続ストリップ26の接続経路38と整合して絶縁体28のモジュール面30に沿って位置する。換言すると、パンチ開口40は、対応する接続ストリップ26と整合する。典型的な実施形態において、パンチ開口40は、隣接する電気コンタクト22の実装基部36の間で絶縁体28のモジュール面30に沿って位置する。任意であるが、1個の実装基部36の中心から隣接する実装基部36の中心まで引かれた直線は、対応するパンチ開口40を横切る。
【0018】
実装基部36の間のパンチ開口40の典型的な位置は、典型的な接続経路38が実装基部36の間を全体に延びる結果である。本明細書で使用されるように、実装基部36の「間」とは、1個の実装基部36の外周から隣接する実装基部36の外周まで延びる、図3に破線で境界付けられた領域44を意味するよう意図されている。領域44の少なくとも部分的に外側を延びる接続経路38に沿って接続ストリップ26が延びる実施形態において、対応するパンチ開口40が領域44に沿って接続経路38と整合する限り、対応するパンチ開口40は領域44の外側に位置してもよい。
【0019】
例えば、図4は、相互接続部材120の別の一実施形態の一部を示す。ここで、1個の接続ストリップ126aの接続経路138aは、対応する隣接実装基部136の間で領域144の外側に延びる。相互接続部材120は、モジュール面130を有する絶縁体128と、モジュール面130上に絶縁体128に機械的に接続された実装基部136を有する電気コンタクト122とを具備する。互いに隣接する電気コンタクト122の実装基部136は、接続経路138に沿って延びる、対応する接続ストリップ126を介して共に接続される。パンチ開口140は、モジュール面130に形成されると共に接続ストリップ126と整合する。1個の接続ストリップ126aの接続経路138aは、対応する互いに隣接する実装基部136間を領域144の外側に延びる。対応するパンチ開口140aは、対応する実装基部136間を領域144の外側に絶縁体128のモジュール面130に沿って位置する。パンチ開口140aは、領域144の外側で接続経路138aと整合する。
【0020】
図5は、図2及び図3に示された相互接続部材20の一部の断面図である。典型的な実施形態において、パンチ開口40は、絶縁体28全体を貫通する。換言すると、各パンチ開口40は、モジュール面30及び部品面32の双方をそれぞれ貫通し、これらの面30,32間の絶縁体28を完全に貫通する。図5に見られるように、絶縁体28のモジュール面30に沿って延びる接続ストリップ26は、パンチ開口40を通って部品面32に露出する。絶縁体28の部品面32に沿った接続ストリップ26の露出により、接続ストリップ26を部品面32から切断することができる。別の一実施形態において、1個以上のパンチ開口40は、絶縁体28を完全に貫通してはいない。例えば、1個以上のパンチ開口40は或いは、パンチ開口40は部品面32を貫通しないように、双方の面30,32間で絶縁体28の一部のみとモジュール面30を貫通してもよい。後述するように、接続ストリップ26は、部品面32又はモジュール面30からパンチ42(図5参照)を用いて切断されてもよい。
【0021】
電気コンタクト22は、絶縁体28に実装されるものとして図5に図示される。特に、電気コンタクト22の実装基部36は、モジュール面30の絶縁体28に機械的に接続される。絶縁体28への電気コンタクト22の実装については後述する。図5に示され図2を参照して前述したように、電気コンタクト22の実装基部36は、最初は、接続ストリップ26によって共に機械的及び電気的に接続される。電気コンタクト22は、絶縁体28に機械的に接続された後、接続ストリップ26を切断することにより互いに分離することができる。
【0022】
典型的な実施形態において、パンチ42は、接続ストリップ26を切断して使用される。パンチ42はパンチ工具46を具備し、パンチ工具46は、接続ストリップ26と係合するよう構成された端部48を有する。パンチ工具46の端部48は、パンチ42に十分な力が印加されると、接続ストリップ26を切断するよう構成される。パンチ工具46の端部48は、ほぼ平坦面を有するものとして図示されているが、パンチ工具46が接続ストリップ26を切断できる任意の他の形状(例えば、尖頭、円形、先端、切断縁等)を追加的に又は代替的に有してもよい。典型的な実施形態において、パンチ工具46の端部48のほぼ平坦面により、パンチ工具46が接続ストリップ26を切断することができる。任意であるが、パンチ42は、2個以上の接続ストリップ26を同時に切断するために2個以上のパンチ工具46を有してもよい。パンチ42は、任意の数の接続ストリップ26を同時に切断するために任意の数のパンチ工具46を有してもよい。
【0023】
図6は、電気コネクタ12を製造する方法50の典型的な一実施形態を示すフローチャートである。特に、方法50は、相互接続部材20を製造することに用いられる。他に指定しない限り、方法50の工程は、参照番号が付された工程及び参照番号が付されていない工程を含む、任意の順序で実行されてもよい。図5及び図6を参照すると、方法50は、接続ストリップ26を介して共に機械的に接続された実装基部36を電気コンタクト22に設ける工程62を有する。方法50はまた、パンチ開口40を形成する工程54を有する。電気コンタクト22の実装基部36は、工程56で絶縁体(キャリア)28上に実装される。特に、実装基部36は、絶縁体28に機械的に接続される。任意であるが、絶縁体28に実装基部36を実装する工程56は、絶縁体28の対応する半田パッド64に実装基部36を半田付けする工程からなる。
【0024】
電気コンタクト22の実装基部36を絶縁体28に実装する工程56の後、電気コンタクト22は、工程58で接続ストリップ26を切断することにより互いに分離される。典型的な実施形態において、電気コンタクト22は、実装基部36が絶縁体28の半田パッド64に半田付けされた後、工程58で互いに分離される。電気コンタクト22を互いに分離する工程58は、パンチ開口40内にパンチ工具46を挿入する工程60を含む。パンチ工具46の端部48は、対応する接続ストリップ26と係合する。図5に示されるように、パンチ工具46の端部48により接続ストリップ26が工程62で切断されるまで、矢印Aの向きに力がパンチ42に印加される。典型的な実施形態において、パンチ工具46は、絶縁体28の部品面32からパンチ開口40を通って挿入される。このため、電気コンタクト22を互いに分離する工程58は、部品面32からパンチ開口40を通ってパンチ工具46を挿入する工程と、絶縁体28のモジュール面30に沿って接続ストリップ26を切断する工程とを有する。パンチ開口40の典型的な実施形態により、接続ストリップ26を部品面32から(すなわち、部品面32にパンチ42を用いて)切断することを可能にする。
【0025】
接続ストリップ26は或いは、絶縁体28のモジュール面30から切断されてもよい。具体的には、パンチ42は絶縁体28のモジュール面30に沿って位置し、パンチ工具46の端部48は接続ストリップ26と係合する。パンチ工具46の端部48により接続ストリップ26が切断されるまで、矢印Bの向きに力がパンチ42に印加される。接続ストリップ26を切断した後、パンチ工具46の端部48は、対応するパンチ開口40内に挿入される。従って、パンチ開口40は、パンチ工具46の端部48を収容する。パンチ開口40がない場合、端部48は、絶縁体28と係合状態となるよう強制され、これにより絶縁体28又はパンチ42をおそらく損傷するであろう。別の実施形態において、1個以上の接続ストリップ26はパンチを用いて部品面32から切断されるのに対し、1個以上の他の接続ストリップ26は別のパンチ(又は、異なる時間に同一のパンチ)を用いてモジュール面30から切断される。
【0026】
別の一実施形態において、任意の他の方法を用いて電気コンタクト22が絶縁体28に機械的に接続された後、接続ストリップ26が切断される。例えば、接続ストリップ26は、接続ストリップ26をレーザーや他の切断工具(図示せず)で切断するか、接続ストリップ26を化学エッチングする等により、切断してもよい。
【0027】
図7は、電気コンタクト22が工程58(図6参照)で互いに分離した後の電気コンタクト22を示す、図2及び図3の相互接続部材20の一部の斜視図である。電気コンタクト22は、絶縁体28のモジュール面30に実装される。接続ストリップ26(図2、図3及び図5参照)は、電気コンタクト22の実装基部36が最早機械的及び電気的に共に接続されないように、切断され除去される。従って、列34内の電気コンタクト22は、互いに電気的に絶縁される。
【0028】
各電気コンタクト22は、実装基部36から外側に延びる嵌合区分66を有する。嵌合区分66は、電気コンタクト22を電子モジュール16(図1参照)に電気接続するために、電子モジュール16の嵌合面24(図1参照)上の対応する接触パッド(図示せず)に係合するよう構成された嵌合インタフェース68を有する。任意であるが、嵌合区分66は、電子モジュール16の接触パッドと係合する際に絶縁体28に向かって撓むよう構成された弾性可撓性ばねである。弾性可撓性ばねであることに加えて又は代わって、1個以上の電気コンタクト22の実装基部36及び嵌合区分66間に、エラストマ円柱(図示せず)が任意に配置されてもよい。嵌合区分66は、実装基部36上を後方へ曲がる湾曲形状を有して図示される。しかし、嵌合区分66は、任意の他の形状を追加的に又は代替的に有してもよい。
【0029】
図8は、図7に示された相互接続部材20の一部を示す側面図である。図2及び図8を参照すると、典型的な実施形態において、絶縁体28は、その上に電気コンタクト22を実装するための半田パッド64を有する。電気コンタクト22の実装基部36は、対応する半田パッド64に半田付けされ、実装基部36延いては電気コンタクト22を絶縁体28のモジュール面30に機械的に接続する。半田付けに加えて又は代わって、実装基部36は、接着剤、圧入接続、スナップ嵌合接続、他のタイプの機械的固定具や接続部等を用いて、絶縁体28のモジュール面30の半田パッド64や他の構造物に機械的に接続される。さらに、半田パッド64の代替として、実装基部36は、モジュール面30を区画する絶縁体28の一面65に機械的に直接接続されてもよい。
【0030】
絶縁体28のモジュール面30内に、整列孔70が延びている。これらの整列孔70は、対応する半田パッド64近傍に位置する。電気コンタクト22は、実装基部36から外側に延びる整列テール72を有する。各整列テール72は、対応する整列孔70内に受容される。整列孔70内に整列テール72を受容することにより、半田パッド64に対して実装基部36を位置決め(すなわち、配置及び配向)する。換言すると、整列孔70及び整列テール72は協働し、絶縁体28のモジュール面30上での適正な配置及び配向を電気コンタクト22に与える。
【0031】
整列テール72は、実装基部36から先端74まで外側に延びる。各整列テール70は、実装基部36から外側に延びるモジュール側区分76と、モジュール側区分76から延びると共に先端74を有する孔区分78とを具備する。モジュール側区分76は、絶縁体28のモジュール面30に沿って延びる。孔区分78は、モジュール側区分76から対応する整列孔70内へ外側に延びる。各整列テール72の先端74は、絶縁体28の部品面32上の対応する半田ボール80(図2に図示せず)と係合する。整列テール72は、絶縁体28のモジュール面30上の電気コンタクト22を、絶縁体28の部品面32上の半田ボール80に電気接続する。半田ボール80は、印刷回路14(図1参照)上の対応する接触パッド(図示せず)と係合するよう構成され、電気コンタクト22を印刷回路14に電気接続する。
【0032】
任意であるが、整列テール72は、整列孔70内で絶縁体28と係合してもよい。例えば、整列テール72の孔区分78は、整列孔70内に圧入で受容されてもよい。追加で又は代わりに、孔区分78は、整列孔70内で絶縁体28と係合する逆刺(図示せず)を有してもよい。任意であるが、整列孔70は、その中で整列テール72及び絶縁体28の係合を促進するために、整列孔70が部品面32に向かって絶縁体28内に延びるにつれて内方へ傾斜してもよい。
【0033】
別の一実施形態において、整列テール72の先端74は、半田ボール80と係合していない。代わりに、整列孔70は導電バイアである。整列テール72及び半田ボール80は、整列孔70の導電材料が整列テール72を半田ボール80に電気接続するように、整列孔70の導電材料と係合する。さらに別の実施形態において、導電バイア(図示せず)は、半田パッド64から絶縁体28の部品面32まで絶縁体28を貫通する。半田ボール80は導電バイアと係合する。導電バイアは、絶縁体28のモジュール面30上の半田パッド64延いては実装基部36を、部品面32上の半田ボール80に電気接続する。電気コンタクト22を半田ボール80に電気接続するのに整列孔70が用いられない別の実施形態において、整列孔70は絶縁体28を完全に貫通していなくてもよいことを理解されたい。
【0034】
図9は、相互接続部材220の典型的な別の実施形態の一部を示す側面図である。相互接続部材220は、半田ボール80(図8参照)を用いるのではなく、相互接続部材220の部品面232上に電気コンタクト322を有する。相互接続部材220は、モジュール面230及び部品面232を有する絶縁体228を具備する。電気コンタクト222は、電子モジュール16(図1参照)の嵌合面24(図1参照)上の接触パッドと係合するために、モジュール面230上に実装される。電気コンタクト322は、印刷回路14(図1)の接触パッド(図示せず)と係合するために、絶縁体228の部品面232上に実装される。各電気コンタクト222は、本明細書において「第1」及び「第2」の電気コンタクトと称されることがある。各電気コンタクト322は、本明細書において「第3」電気コンタクトと称されることがある。
【0035】
電気コンタクト222,322は、実装基部236,336をそれぞれ有する。実装基部236,336は、絶縁体228のモジュール面230及び部品面232上の半田ボール264,364にそれぞれ機械的及び電気的に接続される。導電バイア300は、半田パッド264から半田パッド364まで絶縁体228を貫通する。バイア300は、絶縁体228のモジュール面230上の半田パッド264を、絶縁体228の部品面232上の半田パッド364にそれぞれ電気接続する。従って、各導電バイア300は、モジュール面230上の対応する電気コンタクト222を、絶縁体228の部品面232上の対応する電気コンタクト322に電気接続する。
【0036】
電気コンタクト22(図1ないし図3、図5、図7及び図8参照)と同様に、互いに隣接する電気コンタクト222は、最初に、接続ストリップ(図示せず)を介して共に機械的及び電気的に接続されている。互いに隣接する電気コンタクト322はまた、最初に、接続ストリップ(図示せず)を介して共に機械的及び電気的に接続されている。単一のパンチ開口(図示せず)が、互いに隣接する2個の電気コンタクト222を相互接続する接続ストリップと、対応する互いに隣接する電気コンタクト322を相互接続する別の接続ストリップの双方と整合してもよいことを理解されたい。換言すると、単一のパンチ開口により、単一の工具が、絶縁体228のモジュール面230に沿って延びる接続ストリップと、絶縁体228の部品面232に沿って延びる別の接続ストリップの双方を切断できる。パンチ工具46(図5参照)の端部48(図5参照)は、最初に絶縁体228のモジュール面230上の接続ストリップを切断するために用いられ、その後、パンチ開口に挿入されて絶縁体228の部品面232上の接続ストリップを切断してもよく、逆も同様である。
【0037】
図10は、相互接続部材420の別の典型的な実施形態の一部を示す分解斜視図である。相互接続部材420は、モジュール面430及び部品面432を有する絶縁体428を具備する。電気コンタクト422は、電子モジュール16(図1参照)の嵌合面24(図1参照)上の接触パッド(図示せず)と係合するためにモジュール面430に実装される。電気コンタクト422は、絶縁体428のモジュール面430上の半田パッド464に機械的に接続された実装基部436を有する。導電バイア500は、半田パッド464及び絶縁体428を貫通する。各電気コンタクト422は、本明細書において「第1」及び「第2」の電気コンタクトと称することがある。
【0038】
半田や接着剤を用いて半田パッド464に機械的に接続されることに加えて又は代わりに、実装基部464は、導電バイア500内に延びる保持逆刺502を有する。保持逆刺502は、導電バイア500と圧入係合し、電気コンタクト422を絶縁体428に機械的に接続する。導電バイア500への電気コンタクト422の電気接続は、実装基部436の半田パッド464との係合、実装基部436及び半田パッド464の接着接続や、保持逆刺502の導電バイア500との係合により提供されてもよい。導電バイア500内での保持逆刺502の保持は、半田パッド464に対して実装基部436を位置決めする。
【0039】
図12は、相互接続部材720の別の典型的な実施形態を示す斜視図である。図13は、相互接続部材720の部分分解斜視図である。図12及び図13を参照すると、相互接続部材720は、絶縁体728、絶縁体728に保持された電気コンタクト722のアレー、及び絶縁体728に実装されたシールド729を具備する。絶縁体728は、モジュール面730及びその反対側の部品面732を有する。相互接続部材720が電子モジュール16(図1参照)を印刷回路14(図1)に電気接続すると、絶縁体728は電子モジュール16及び印刷回路14間を延びる結果、モジュール面730は電子モジュール16に対面し、部品面732は印刷回路14に対面する。任意であるが、絶縁体728のモジュール面730及び部品面732は、それぞれほぼ平坦である。各電気コンタクト722は、本明細書で「第1」及び「第2」の電気コンタクトと称することがある。
【0040】
図13のみを参照すると、電気コンタクト722は、絶縁体728のモジュール面730に機械的に接続された実装基部736を有する。各電気コンタクト722は、実装基部736から外側に延びる嵌合区分766を有する。嵌合区分766は、電気コンタクト722を電子モジュール16(図1参照)に電気接続するために、電子モジュール16の嵌合面24(図1参照)上の対応する接触パッド(図示せず)に係合するよう構成された嵌合インタフェース768を有する。任意であるが、嵌合区分766は、電子モジュール16の接触パッドと係合する際に絶縁体728に向かって撓むよう構成された弾性可撓性ばねである。弾性可撓性ばねであることに加えて又は代わって、1個以上の電気コンタクト722の実装基部736及び嵌合区分766間に、エラストマ円柱(図示せず)が任意に配置されてもよい。嵌合区分766は、実装基部736上を後方へ曲がる湾曲形状を有して図示される。しかし、嵌合区分766は、任意の他の形状を追加的に又は代替的に有してもよい。
【0041】
電気コンタクト722は、信号コンタクト722a及び接地コンタクト722bを有する。信号コンタクト722aの嵌合インタフェース768は、電子モジュール16の嵌合面24上の接触パッドの信号パッド(図示せず)と係合する。接地コンタクト722bの嵌合インタフェース768は、電子モジュール16の嵌合面24上の接触パッドの接地パッド(図示せず)と係合する。典型的な実施形態において、電気コンタクト722は、4個の信号コンタクト722a及び4個の接地コンタクト722bを有するものとして図示される。しかし、電気コンタクト722は、任意の数の信号コンタクト722aを有してもよいし、任意の数の接地コンタクト722bを有してもよい。さらに、電気コンタクト722は、接地コンタクト722bの数に対して任意の数の信号コンタクト722aを有してもよい。実施形態によっては、電気コンタクト722は、信号コンタクト722aよりも少ない数の接地コンタクト722bを有する。
【0042】
典型的な実施形態において、電気コンタクト722は、各列が2個の信号コンタクト722a及び2個の接地コンタクト722bを有する2列723a,723bに配列される。さらに、列723a内の信号コンタクト722aは列723b内の信号コンタクト722aと整列し、列723a内の接地コンタクト722bは列723b内の接地コンタクト722bと整列する。しかし、信号コンタクト722aとして任意の電気コンタクト722が選択されてもよいし、接地コンタクト722bとして任意の電気コンタクト722が選択されてもよい。さらに、電気コンタクト722のアレーは、信号コンタクト722a及び接地コンタクト722bの任意の他のパターンや相対配列を有してもよい。電気コンタクト722のアレーの一部のみが図示されていることを理解されたい。換言すると、相互接続部材720の電気コンタクト722のうちいくつかのみが図示されている。電気コンタクト722のアレーは、図示されていない他の電気コンタクト722を有してもよいし、他の行や列を有してもよい。
【0043】
互いに隣接する電気コンタクト722のうち少なくともいくつかの実装基部736は、最初に、接続ストリップ726を介して共に機械的及び電気的に接続される。図13に見られるように、接続ストリップ726は例えばパンチ開口740を用いて切断されて除去されるので、電気コンタクト722の実装基部736は、もはや共に機械的及び電気的に接続されていない。従って、アレー内の電気コンタクト722は、互いに電気絶縁される。接続ストリップ726は、接続ストリップ726の切断後、各接地コンタクト722bから延びる少なくとも1個の接続ストリップ726の残余の区分726aが残されるように、切断される。後述するように、残余の区分726aはシールド729と係合し、接地コンタクト722bをシールド729に電気接続する。
【0044】
接続ストリップ726の切断後に残余の区分726aが残るかどうかは、対応するパンチ開口740の寸法による。例えば、図13に見られるように、残余の区分726aを残しながら接続ストリップ726を切断できるパンチ開口740は、残余の区分726aを残さないで接続ストリップ726を切断できるパンチ開口740より小さい。各区分726aは、本明細書では「残余」や「短絡タブ」と称することがある。
【0045】
シールド729は、少なくとも部分的に導電性を有する本体731を有する。本体731は、絶縁体面733と、絶縁体面733とは反対側の面735とを有する。本体731は、絶縁体728のモジュール面730の少なくとも一部を覆うように、絶縁体728上に実装されるよう構成される。図12から明白であるように、シールド729の本体731が絶縁体728上に実装されると、本体731の絶縁体面733は、絶縁体728のモジュール面730と対面する。任意であるが、本体731の絶縁体面733は、本体731が絶縁体728上に実装される際に絶縁体728のモジュール面730と係合する。
【0046】
図14は、図12及び図13に示される方向に対して反転した方向のシールド729の本体731を示す、相互接続部材720の一部の斜視図である。図14はまた、後述するように、本体731が絶縁体728(図12及び図13参照)に実装される際にシールド本体731に対する電気コンタクト722の配列をも示す。本体731は、本体731が電気コンタクト722を遮蔽できる任意の形状を有してもよい。典型的な実施形態において、シールド729の本体731は、絶縁体728のモジュール面730(図12及び図13参照)の少なくとも一部の上に延びる一枚の材料である。本体731は、典型的な実施形態では全体がブロック形状を有する。例えば、本体731は、全体が直方体の形状を有する。しかし、シールド729の本体731は、筒状、楕円状、他の任意の非直方体形状等であるがこれらに限定されない他の任意の全体形状を追加的に又は代替的に有してもよい。任意であるが、絶縁体面733や面735はほぼ平坦である。典型的な実施形態において、絶縁体面733及び面735はそれぞれ、互いにほぼ平行に延びるほぼ平面である。シールド本体731は、絶縁体733及び面735間に定められる任意の厚さを有する任意の寸法を有してもよい。実施形態によっては、シールド729の本体731の厚さや他の寸法は、本体731が所定の導電性や所定のシールド量を具備するよう選択される。
【0047】
任意であるが、陽極層737は、シールド本体731の少なくとも一部の上に延びる。陽極層737は、本体731の任意の面、部分、量、区分等の上に延びてもよい。典型的な実施形態において、陽極層737は、面735全体の上、並びに絶縁体面733及び面735間に延びると共にこれらを相互接続する各面739,741,743,745の全体の上に延びる。また、陽極層737は、典型的な実施形態における本体731の絶縁体面733の一部の上に延びる。任意であるが、本体731の区分747は、陽極層737内で孔755を通じて露出する。後述するように、接地コンタクト722bの残余の区分726aは、孔755を通じてシールド729の本体731と係合し、接地コンタクト722bをシールド本体731に電気接続する。
【0048】
典型的な実施形態において、シールド729の本体731は、面733,735及び本体731を貫通する複数の開口749を有する。後述するように、各開口749は、シールド本体731が絶縁体728上に実装される際に1個以上の電気コンタクト722を内部に受容する。各開口749は、本体731の少なくとも1個の内壁751により区画される。例えば、典型的な実施形態において、各開口は、任意であるが丸みを帯びた隅で相互接続された4個の内壁751で区画される。これら4個の内壁751は、典型的な実施形態では直方体形状を有する開口749を区画する。しかし、各開口749は、追加で又は代わりに、任意の形状を有する、電気コンタクト722を受容するための他の任意の形状を有してもよい。さらに、各開口は、任意の数の内壁751により区画されてもよい。
【0049】
図12を再度参照すると、シールド本体731が絶縁体728に実装されると、開口749は、その内部に電気コンタクト722を受容する。具体的には、典型的な実施形態において、各電気コンタクト722の嵌合区分766は対応する1個の開口749内に受容されるので、開口749の内壁751は嵌合区分766の周囲に延びる。シールド729の本体731は、アレー内で互いに隣接する電気コンタクト722間を延びる区分753を有する。典型的な実施形態において、各開口749は、その内部に1個の電気コンタクト722を受容する。しかし、各開口749は、その内部に任意の数の電気コンタクト722を受容してもよい。例えば、別の実施形態において、1個以上の開口749は、内部に差動信号対の電気コンタクト722を受容する。さらに別の実施形態において、1個以上の開口749は、内部に3個以上の電気コンタクト722のグループを受容する。8個の開口749が図示されているが、シールド729は、任意の数の電気コンタクト722用に任意の数の開口749を有してもよい。
【0050】
シールド729が図12に示されるように絶縁体728に実装されると、シールド729の本体731は、接地コンタクト722bと係合するので、接地コンタクト722bに電気接続される。より具体的には、図14を再度参照すると、電気コンタクト722がシールド729の開口749内に受容されると、接地コンタクト722bの残余の区分726aは、本体731の絶縁体面733に沿って実装基部736から外側に延びる。各残余の区分726aは、シールド本体731の絶縁体面733と係合し、対応する接地コンタクト722bをシールド本体731に電気接続する。具体的には、典型的な実施形態において、接地コンタクト722bの残余の区分726aは、陽極層737内で孔755を通ってシールド本体731の絶縁体面733の区分747と係合し、接地コンタクト722bをシールド本体731に電気接続する。
【0051】
図12を再度参照すると、シールド729の本体731は、接地コンタクト722bに電気接続されると、電気コンタクト722を互いに遮蔽する。例えば、シールド本体731の開口749を区画する内壁751は、対応する電気コンタクト722の周囲でアレー内で互いに隣接する電気コンタクト722間に延びるシールド壁を形成する。図12に見られるように、区分753は、アレー内で互いに隣接する電気コンタクト間に延びるシールド区分を形成する。これにより、壁751及び区分753は、隣接する電気コンタクト722を互いから遮蔽する。1個以上の開口749が電気コンタクト722の差動対を内部に受容する別の実施形態において、壁751及び区分753は、互いに隣接する個別のコンタクト722、互いに隣接するコンタクト722の差動対や、3個以上のコンタクト722の互いに隣接するグループから、電気コンタクト722の差動対を遮蔽する。同様に、1個以上の開口749が3個以上の電気コンタクト722のグループを内部に受容する別の実施形態において、壁751及び区分753は、互いに隣接する個別のコンタクト722、互いに隣接するコンタクト722の差動対や、3個以上のコンタクト722の互いに隣接するグループから、電気コンタクト722のグループを遮蔽する。
【0052】
図15は、相互接続部材820の別の典型的な実施形態を示す平面図である。図15は、シールド829を有する相互接続部材820を示す。シールド829は、シールド729(図12ないし図14参照)の開口749(図12及び図14参照)とは異なる形状の開口849の一例を有する。相互接続部材820は、絶縁体828、絶縁体828に保持された電気コンタクト822のアレー、及び絶縁体828上に実装されたシールド829を有する。各電気コンタクト822は、電子モジュール16(図1参照)の嵌合面24(図1参照)上の対応する接触パッド(図示せず)と係合するよう構成され、電気コンタクト822を電子モジュール16に電気接続する。各電気コンタクト822は、本明細書で「第1」及び「第2」の電気コンタクトと称することがある。
【0053】
シールド829は、少なくとも部分的に導電性を有する本体831を有する。シールド829の本体831は、本体831を貫通する複数の開口849を有する。各開口849は、シールド本体831が絶縁体828上に実装される際に1個以上の電気コンタクト822を内部に受容する。典型的な実施形態において、各開口849は、本体831の単一の内壁851に区画される。内壁851は、楕円形状を有する開口849を区画するように形状が設定される。
【0054】
本明細書に開示された実施形態は、所与の寸法のコネクタとして、或いは所与の数の電気コンタクトを有するアレーとしての少なくともいくつかの公知の電気コネクタよりも少ない接地コンタクトを有する電気コネクタを提供することができる。本明細書に開示された実施形態は、所与の寸法のコネクタとして、或いは所与の数の電気コンタクトを有するアレーとしての少なくともいくつかの公知の電気コネクタよりも多い信号コンタクトを有する電気コネクタを提供することができる。こ。本明細書に開示された実施形態は、所与の寸法のコネクタとして、或いは所与の数の電気コンタクトを有するアレーとしての少なくともいくつかの公知の電気コネクタよりも高密度の電気コンタクトを有する電気コネクタを提供することができる。本明細書に開示された実施形態は、少なくともいくつかの公知の電気コネクタよりも、電気コンタクトのアレー内の信号コンタクト、接地コンタクトや信号コンタクトの対の相対配置がより柔軟性を有する電気コネクタを提供することができる。本明細書に開示された実施形態は、接地コンタクトが信号コンタクトに隣接する必要がない、又は2個の隣接する信号コンタクト間に存在する必要がない電気コネクタを提供することができる。よ。本明細書に開示された実施形態は、少なくともいくつかの公知の電気コネクタよりも、製造が容易で、低コストで製造でき、製造に要する時間が短い電気コネクタを提供することができる。
【0055】
本明細書で用いられているように、「印刷回路」の用語は、導電接続部が電気絶縁基板上に所定パターンで印刷され又は付着された任意の電気回路を意味するよう意図される。印刷回路14の基板は、フレキシブル基板又は剛性基板であってもよい。基板は、セラミック、ガラスエポキシ、ポリイミド(カプトン(登録商標)等であるがこれに限定されない)、有機材料、プラスチック、高分子等であるがこれらに限定されない任意の材料から製造され、又はこれらの材料からなっていてもよい。実施形態によっては、基板はガラスエポキシから製造された剛性基板であるので、印刷回路14は「回路基板」又は「印刷回路基板」と称されることがあるものである。
【符号の説明】
【0056】
12 電気コネクタ
14 印刷回路(電気部品)
16 電子モジュール
38 接続経路
46 パンチ工具
722 電気コンタクト
722b 接地コンタクト
726 接続ストリップ
726a 残余の区分(短絡タブ)
728 絶縁体
729 シールド
730 モジュール面
731 本体
732 部品面
733 絶縁体面
736 実装基部
737 陽極層
740 パンチ開口
747 区分
749 開口
751 内壁
755 孔
766 嵌合区分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気部品(14)に電子モジュール(16)を電気接続するための電気コネクタ(12)であって、モジュール面(730)と該モジュール面の反対側の部品面(732)とを有する絶縁体(728)を具備し、前記絶縁体は、前記モジュール面が前記電子モジュールに対面すると共に前記部品面が前記電気部品に対面するように、前記電子モジュール及び前記電気部品間を延びるよう構成され、電気コンタクト(722)が前記絶縁体に保持され、前記電気コンタクトは、前記絶縁体の前記モジュール面に沿ってアレー状に配置された嵌合区分(766)を有し、前記嵌合区分は、前記電子モジュールの相手コンタクトと嵌合するよう構成されている電気コネクタにおいて、
シールド(729)が、少なくとも部分的に導電性を有する本体(731)を具備し、
前記シールドの前記本体は、該本体が前記絶縁体の前記モジュール面の少なくとも一部を覆うように、前記絶縁体上に実装され、
前記シールドの前記本体は、該本体の内壁(751)により各々が区画された開口(749)を有し、
前記開口の各々は、各開口の前記内壁が1個の前記電気コンタクトの前記嵌合区分の周囲に少なくとも部分的に延びるように、前記1個の電気コンタクトの前記嵌合区分を受容することを特徴とする電気コネクタ。
【請求項2】
前記電気コンタクトは接地コンタクト(722b)を具備し、
前記シールドの前記本体は、前記接地コンタクトに係合して前記本体を前記接地コンタクトに電気接続することを特徴とする請求項1記載の電気コネクタ。
【請求項3】
前記シールドの前記本体は、前記絶縁体の前記モジュール面に対面する絶縁体面(733)を有し、
前記電気コンタクトは、短絡タブ(726a)を有する接地コンタクトを具備し、
前記本体の前記絶縁体面は、前記接地コンタクトの前記短絡タブに係合して前記本体を前記接地コンタクトに電気接続することを特徴とする請求項1記載の電気コネクタ。
【請求項4】
前記シールドの前記本体は、前記絶縁体の前記モジュール面に対面する絶縁体面(733)を具備し、
陽極層(737)が、前記本体の前記絶縁体面上に延びており、
前記本体の前記絶縁体面の一区分(747)が、前記陽極層内で孔(755)を通じて露出しており、
前記コンタクトは、短絡タブを有する接地コンタクトを具備し、
前記短絡タブは、前記陽極層内で前記孔を通じて前記本体の絶縁体面に係合して前記本体を前記接地コンタクトに電気接続することを特徴とする請求項1記載の電気コネクタ。
【請求項5】
前記電気コンタクトは、最初に、接続ストリップ(726)により共に機械的に接続された実装基部(736)を具備し、
前記接続ストリップの各々は、1個の前記電気コンタクトの前記実装基部から別の前記電気コンタクトの前記実装基部まで接続経路(38)に沿って延びており、
前記接続ストリップの各々は、前記電気コンタクトが互いに分離するように、前記接続経路に沿って切断され、
前記電気コンタクトは接地コンタクトを具備し、
前記接地コンタクトの前記接続ストリップの残余は、前記シールドの前記本体に係合する短絡タブを係止して、前記本体を前記接地コンタクトに電気接続することを特徴とする請求項1記載の電気コネクタ。
【請求項6】
前記絶縁体は、前記絶縁体の前記モジュール面内に延びるパンチ開口(740)を具備し、
前記パンチ開口は、対応する接続ストリップの前記接続経路と整合すると共に、前記接続ストリップを切断するためのパンチ工具(46)を受容するよう構成されていることを特徴とする請求項5記載の電気コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−164654(P2012−164654A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−18310(P2012−18310)
【出願日】平成24年1月31日(2012.1.31)
【出願人】(399132320)タイコ・エレクトロニクス・コーポレイション (234)
【氏名又は名称原語表記】Tyco Electronics Corporation
【Fターム(参考)】